(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カバー本体が、前記切欠部とは別の切欠部を、前記第1分断部及び前記第2分断部の少なくとも一方であって複数の前記切欠部のうち隣り合う切欠部の間に有していることを特徴とする請求項2に記載の帯電防止カバー。
前記カバー本体が、前記第1分断部と前記第2分断部とを重なり合わせた状態で筒状に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の帯電防止カバー。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のことから、既存のチューブにも適用可能な帯電防止手段として、導電性物質を含み且つ前記既存のチューブを覆うことができるカバーを採用することが考えられた。しかしながら、前記カバーが前記既存のチューブに対応する単純な筒状にすぎない場合、このカバーにとって前記既存のチューブは覆いにくいものとなる。特に、前記既存のチューブが曲げられた状態で設置されている場合、この傾向が顕著となる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、既存の絶縁性樹脂製のチューブに帯電防止性能を付与し、かつ、前記チューブに対してその曲げ状態に応じて着脱しやすい帯電防止カバーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、
絶縁性樹脂製のチューブを覆うための帯電防止カバーであって、
導電性物質を含む樹脂組成物からなり、前記チューブの全周を囲むことができる筒状のカバー本体を備え、
前記カバー本体が、第1分断部及び第2分断部が形成されるように周方向の一箇所で分断されており、前記チューブを通過させ得る隙間が前記第1分断部と前記第2分断部との間にできるように弾性変形可能に構成されるとともに、
前記カバー本体が、前記第1分断部と前記第2分断部との間で前記カバー本体の周方向に沿って設けられた切欠部を有し、
前記切欠部が、前記カバー本体の周方向に関し当該カバー本体の一周分の長さに対して40%以上の長さを有しているものである。
【0010】
この構成によれば、既存の前記チューブに対して前記帯電防止カバーを使用する際、前記カバー本体が前記チューブの全周を囲むように前記帯電防止カバーにて前記チューブの実質的に全体を覆うことができるので、前記チューブ内を流れる流体の流量にかかわらず、前記チューブの帯電を阻止することが可能となる。したがって、前記帯電防止カバーを用いて前記チューブに帯電防止性能を付与することができる。
【0011】
また、前記帯電防止カバーを前記チューブに着脱する際、前記第1分断部と前記第2分断部との間を広げるように前記カバー本体を変形させて、このカバー本体を前記チューブに対してその一方から被せる又は外すことが可能となる。したがって、前記チューブが所定の接続対象と接続されている場合であっても、このチューブに対して前記帯電防止カバーが着脱しやすくなる。
【0012】
しかも、前記カバー本体において、前記切欠部により、狭幅部を形成することができるので、前記カバー本体を、その軸心方向に曲げやすいものにできる。したがって、前記チューブが既に軸心方向に曲げられた状態で設置されているような場合であっても、このチューブに合わせて前記カバー本体を簡単に曲げることが可能となる。よって、前記チューブに対する前記帯電防止カバーの着脱の容易化を図ることができる。
【0013】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の帯電防止カバーにおいて、
前記切欠部が、前記カバー本体の軸心方向に複数設けられているものである。
【0014】
この構成によれば、前記カバー本体を、その軸心方向により曲げやすいものにできる。
【0015】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の帯電防止カバーにおいて、
前記カバー本体が、前記切欠部とは別の切欠部を、前記第1分断部及び前記第2分断部の少なくとも一方であって複数の前記切欠部のうち隣り合う切欠部の間に有しているものである。
【0016】
この構成によれば、前記帯電防止カバーにより前記チューブに付与される帯電防止性能を十分に確保しつつ、前記カバー本体をその軸心方向にさらに曲げやすくすることができる。また、前記カバー本体が前記チューブを囲むとき、そのチューブが透明又は半透明であれば、前記別の切欠部を介して前記チューブ内の状態を視認することが可能となる。
【0017】
請求項4に係る発明は、請求項1又はから請求項3のいずれか一項に記載の帯電防止カバーにおいて、
前記切欠部の周方向両端側の閉塞部に、アール加工が施されているものである。
【0018】
この構成によれば、前記カバー本体を、破損させることなく、その軸心方向により一層曲げやすくすることができる。
【0019】
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の帯電防止カバーにおいて、
前記カバー本体が、前記第1分断部と前記第2分断部とを重なり合わせた状態で筒状に形成されているものである。
【0020】
この構成によれば、前記カバー本体が前記チューブを囲む際にとり得る内径(内周側の径方向幅)の変化範囲を拡大させることが可能となる。そのため、前記帯電防止カバーを、所定の外径を有する一種類のチューブではなく、異なる外径を有する複数のチューブに使用することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、既存の絶縁性樹脂製のチューブに帯電防止性能を付与し、かつ、前記チューブに対してその曲げ状態に応じて着脱しやすい帯電防止カバーを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0024】
図1に、本発明の一実施形態に係る帯電防止カバー1の使用状態を示す。
【0025】
図1に示すように、前記帯電防止カバー1は、例えば、半導体、液晶又は有機ELなどの製造装置において有機溶剤等の可燃性流体(電気絶縁流体)を流すために備えられた既存のチューブ2に対して使用され得る。前記帯電防止カバー1は、前記チューブ2の全周を覆うようにこれに外嵌可能なものであり、全体的に前記チューブ2に対応した筒状を呈するように形成されている。
【0026】
前記チューブ2は、絶縁性樹脂製のチューブであり、本実施形態においてはフッ素樹脂(例えば、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン))製のチューブである。前記チューブ2は、その内部が外部から見えるように透明又は半透明であって略一定径の円筒状に形成され、軸心方向両端部のそれぞれで前記製造装置の所定機器等(接続対象)と接続可能なように構成されている。
【0027】
図2に、前記帯電防止カバー1の正面図を示す。
図3に、前記帯電防止カバー1の背面図を示す。
図4に、前記帯電防止カバー1の側面図及び側面断面図を示す。
図5に、前記帯電防止カバー1の平面図を示す。
図6に、前記帯電防止カバー1の底面図を示す。
図7に、前記帯電防止カバー1の展開図を示す。
図8に、前記チューブ2への前記帯電防止カバー1の取付時の様子を示す側面図を示す。
【0028】
図1、
図2、
図3、
図4、
図5、
図6、
図7に示すように、前記帯電防止カバー1は、カバー本体10を備えている。前記カバー本体10は、導電性物質を含む樹脂組成物から構成されている。本実施形態においては、前記カバー本体10は、カーボンブラックを含むPP(ポリプロピレン)から構成されている。
【0029】
なお、本発明における導電性物質を含む樹脂組成物は、本実施形態のようなカーボンブラックを含むPPに限定されるものではなく、例えば、カーボン繊維、グラファイト、金属微粉末、又は、これら2種以上の組み合わせ等の導電性物資を含むPP又はPE(ポリエチレン)等の樹脂組成物としてもよい。
【0030】
前記カバー本体10は、前記チューブ2の全周を囲むことができる筒状に形成されている。前記カバー本体10は、第1分断部11及び第2分断部12が形成されるように周方向の一箇所で分断されており、
図8(a)に示すように、前記チューブ2を通過させ得る隙間15が前記第1分断部11と前記第2分断部12との間にできるように弾性変形可能に構成されている。
【0031】
本実施形態において、前記カバー本体10は、前記第1分断部11を前記カバー本体10の周方向一端側に有し、前記第2分断部12を前記カバー本体10の周方向他端側に有している。そして、前記カバー本体10は、前記第1分断部11と前記第2分断部12とが重なり合う又は隣り合う状態で、前記チューブ2の実質的に全体を覆うことができる円筒状を呈するようになっている。
【0032】
前記第1分断部11には、前記カバー本体10の軸心方向に延びる周方向一端面13が設けられている。前記周方向一端面13は、前記カバー本体10の軸心に沿った、ある程度の凹凸を許容する平面状に形成されている。一方、前記第2分断部12には、前記カバー本体10の軸心方向に延びる周方向他端面14が設けられている。前記周方向他端面14は、前記カバー本体10の軸心に沿った、ある程度の凹凸を許容する平面状に形成されている。
【0033】
そして、前記カバー本体10は、弾性変形を利用して、円筒状を呈するように前記第1分断部11と前記第2分断部12とを近接させた形態と、前記カバー本体10の内径(内周側の径方向幅)を前記チューブ2の外径よりも大きく変化させながら、前記第1分断部11と前記第2分断部12との間に前記隙間15が形成されるように両者を離間させる形態とを択一的にとり得るように構成されている。
【0034】
詳しくは、前記カバー本体10は、
図4(a)及び(b)に示すように、前記第1分断部11と前記第2分断部12とが接触するように近接した通常形態をとり得るように構成されている。この通常形態は、前記カバー本体10が前記チューブ2を囲まない、前記帯電防止カバー1の非使用時における形態である。この通常形態では、前記カバー本体10の内径が、前記チューブ2の外径と比べて略同一の又は小さい内径となる。
【0035】
通常形態において、前記カバー本体10は、自然状態となり、その一周分の長さがL1となるように構成されている。この長さL1は、次式に基づいて規定される。
長さL1=(L1a+L1b)x1/2
この式中、L1aは、前記カバー本体10の外周面のうち、前記周方向他端面14の始点位置23Aから前記周方向一端面13側にある終点位置23Bまで周方向に延びる一周分の長さを表している(
図4(b)参照)。L1bは、前記カバー本体10の内周面のうち、前記周方向他端面14の始点位置24Aから前記周方向一端面13側にある終点位置24Bまで周方向に延びる一周分の長さを表している(
図4(b)参照)。
【0036】
前記カバー本体10は、
図8(a)に示すように、前記隙間15を生じさせるべく、前記第1分断部11と前記第2分断部12とが離間した、側面視で楕円の一部を切り欠いたような変形形態をとり得るように構成されている。この変形形態は、前記カバー本体10が前記チューブ2に対して着脱される際の一時的な形態である。この変形形態では、前記カバー本体10の内径が、前記通常形態に比べて大きなものとなる。
【0037】
前記カバー本体10は、
図8(b)に示すように、前記第1分断部11と前記第2分断部12とが接触するように近接した被覆形態をとり得るように構成されている。この被覆形態は、前記カバー本体10が前記チューブ2の全周を囲む、前記帯電防止カバー1の使用時における形態である。この被覆形態では、前記カバー本体10の内径が、前記チューブ2の外径に応じて変化した内径となる。
【0038】
このような構成により、前記帯電防止カバー1を前記チューブ2に着脱することができる。すなわち、前記帯電防止カバー1を前記チューブ2に対して取り付ける場合には、まず、前記カバー本体10を変形させるために前記帯電防止カバー1に外力を作用させる。こうして、前記帯電防止カバー1を通常形態から変形形態に変化させて、前記第1分断部11と前記第2分断部12と間に前記チューブ2を通過させ得る前記隙間15を形成する。
【0039】
そして、前記第1分断部11と前記第2分断部12との間に位置する前記隙間15から前記カバー本体10内に向かって前記チューブ2を移動させる。その移動後、前記カバー本体10が前記チューブ2を外嵌するように、前記カバー本体10を弾性変形させる。これにより、
図1及び
図8(b)に示すように、前記カバー本体10を被覆形態に変化させて、前記帯電防止カバー1の取付作業を完了させることができる。
【0040】
一方、前記帯電防止カバー1を前記チューブ2から取り外す場合には、前記カバー本体10を変形させるために前記帯電防止カバー1に外力を作用させる。こうして、前記帯電防止カバー1を被覆形態から変形形態に変化させて、前記隙間15から前記カバー本体10外に向かって前記チューブ2を移動させる。これにより、
図4(a)に示すように、前記帯電防止カバー1を通常形態に戻して、前記帯電防止カバー1の取外作業を完了させることができる。
【0041】
また、
図1から
図7に示すように、前記帯電防止カバー1において、前記カバー本体10は、切欠部16を有している。前記切欠部16は、前記カバー本体10における前記第1分断部11と前記第2分断部12との間に前記カバー本体10の周方向に沿って設けられている。前記切欠部16は、前記カバー本体10の周方向に関し前述した前記カバー本体10の一周分の長さL1に対して40%以上の長さL2を有している
【0042】
本実施形態においては、前記切欠部16は、前記カバー本体10をその径方向に貫通する一つの長孔状の貫通孔から構成されている。前記切欠部16は、所定の軸心方向幅W1を有し、前記カバー本体10の周縁部よりも内側に設けられている。
【0043】
そして、前記カバー本体10において、前記切欠部16と前記第1分断部11の周方向一端面13との間に、第1狭幅部17が形成されている。また、前記カバー本体10において、前記切欠部16と前記第2分断部12の周方向他端面14との間に、第2狭幅部18が形成されている。
【0044】
前記第1狭幅部17及び前記第2狭幅部18は、それぞれ、前記カバー本体10がその軸心方向に曲げられたときであっても、前記カバー本体10の周方向に関して、前記カバー本体10のうち前記切欠部16を挟む軸心方向両側の領域の連結が保たれる程度の周方向の長さ(例えば、前記カバー本体10の肉厚と同等、この肉厚の2倍、又は5倍)を有している。
【0045】
ここで、前記切欠部16の径方向の深さ、即ち前記カバー本体10の肉厚は、0.5mmから2mm以下の範囲内の所定値に設定するのが好ましい。
【0046】
以上のような構成により、既存の前記チューブ2に対して前記帯電防止カバー1を使用する際、前記カバー本体10が前記チューブ2の全周を囲むように前記帯電防止カバー1にて前記チューブ2の実質的に全体を覆うことができるので、前記チューブ2内を流れる流体の流量にかかわらず、前記チューブ2の帯電を阻止することが可能となる。したがって、前記帯電防止カバー1を用いて前記チューブ2に帯電防止性能を付与することができる。
【0047】
また、前記帯電防止カバー1を前記チューブ2に着脱する際、前記第1分断部11と前記第2分断部12との間を広げるように前記カバー本体10を変形させて、このカバー本体10を前記チューブ2に対してその一方から被せる又は外すことが可能となる。したがって、前記チューブ2が前記製造装置の所定機器等と接続されている場合であっても、このチューブ2に対して前記帯電防止カバー1が着脱しやすくなる。
【0048】
しかも、前記カバー本体10において、前記切欠部16により、前記第1狭幅部17及び前記第2狭幅部18を形成することができるので、前記カバー本体10を、その軸心方向に曲げやすいものにできる。したがって、前記チューブ2が既に軸心方向に曲げられた状態で設置されているような場合であっても、この曲げられた状態のチューブ2に合わせて前記カバー本体10を簡単に曲げることが可能となる。よって、前記チューブ2に対する前記帯電防止カバー1の着脱の容易化を図ることができる。
【0049】
また、
図1から
図7に示すように、本実施形態においては、前記切欠部16が、前記カバー本体10の軸心方向に複数設けられている。複数の前記切欠部16は、前記カバー本体10の軸心方向における一端側から他端側にわたって所定間隔ごとに配置されている。ここで、隣り合う前記切欠部16・16の各間隔は、略等間隔に揃えられている。
【0050】
このような構成により、前記カバー本体10を、その軸心方向により曲げやすいものにできる。
【0051】
また、
図2、
図3、
図6、
図7に示すように、本実施形態においては、前記カバー本体10が、前記切欠部16とは別の切欠部を少なくとも一つ有している。前記別の切欠部は、前記第1分断部11及び前記第2分断部12の少なくとも一方であって、前記隣り合う切欠部16・16の間に配置されている。
【0052】
詳しくは、前記別の切欠部は、第1切欠部25を前記第1分断部11に複数備えるとともに、第2切欠部26を前記第2分断部12に複数備えている。前記第1切欠部25及び前記第2切欠部26は、それぞれ、前記カバー本体10の周方向に関して長さL3・L4を有し、前記カバー本体10の軸心方向に関して前記切欠部16と重なり合う又は重なり合わないように(ここでは重なり合わないように)所定間隔を隔て交互に配置されている。
【0053】
前記第1切欠部25は、前記カバー本体10をその径方向に貫通し且つ前記第1分断部11の前記周方向一端面13から前記カバー本体の10の周方向中央部に向かって延びるように切り欠き形成された凹部である。前記第1切欠部25は、略一定の軸心方向幅W2であって、前記切欠部16の軸心方向幅に対して略同一の又は大きい(ここでは略同一の)軸心方向幅W2を有している。
【0054】
前記第2切欠部26は、前記カバー本体10をその径方向に貫通し且つ前記第2分断部12の前記周方向他端面14から前記カバー本体の10の周方向中央部に向かって延びるように切り欠き形成された凹部である。前記第2切欠部26は、略一定の軸心方向幅W3であって、前記切欠部16の軸心方向幅に対し略同一の又は大きい(ここでは略同一の)軸心方向幅W3を有している。
【0055】
前記第2切欠部26は、前記第1切欠部25と同数設けられている。そして、前記第2切欠部26は、
図7に示すように、前記帯電防止カバー1の展開時における前記カバー本体10の短手方向中央線27を挟んで前記第1切欠部25と対称に配置されて、前記カバー本体10が通常形態及び被覆形態をとる場合に連続する前記第1切欠部25と協働して貫通孔を形成し得るようになっている。
【0056】
このような構成により、前記帯電防止カバー1にて前記チューブ2に付与される帯電防止性能を十分に確保しつつ、前記カバー本体10をその軸心方向にさらに曲げやすくすることができる。また、前記カバー本体10が前記チューブ2を囲むとき、そのチューブ2が透明又は半透明であれば、前記別の切欠部(前記第1切欠部25及び前記第2切欠部26)を介して前記チューブ2内の状態を視認することが可能となる。
【0057】
なお、前記カバー本体10においては、前記第1切欠部25及び前記第2切欠部26のような切欠部のほか、
図9に示すように、隣り合う前記第1切欠部25・25の間に第3切欠部53を設けてもよいし、隣り合う前記第2切欠部26・26の間に第4切欠部54を設けてもよい。また、前記第1切欠部25及び前記第2切欠部26に代えて、
図10に示すように、前記切欠部16と略同一周上に位置する第5切欠部55及び第6切欠部56を設けてもよい。
【0058】
さらに、前記カバー本体10においては、前記第1切欠部25及び前記第2切欠部26に代えて、
図11に示すように、前記帯電防止カバー1の展開時における前記カバー本体10の短手方向中央線27を挟んで互いに非対称となるように、第7切欠部57を前記カバー本体10における前記第1分断部11側に設け、かつ、第8切欠部58を前記カバー本体10における前記第2分断部12側に設けてもよい。
【0059】
また、
図1から
図7に示すように、上記の実施形態においては、前記切欠部16の周方向両端側の閉塞部21・22に、アール加工が施されている。詳しくは、前記切欠部16の周方向一端側閉塞部21が、前記第1分断部11の周方向一端面13に向かって凸となる湾曲(円弧)形状に形成されている。前記切欠部16の周方向他端側閉塞部22が、前記第2分断部12の周方向他端面14に向かって凸となる湾曲(円弧)形状に形成されている。
【0060】
このような構成により、前記カバー本体10を、破損させることなく、その軸心方向により一層曲げやすくすることができる。
【0061】
上記の実施形態において、前記切欠部16は、15mm以下の軸心方向幅W1を有している。前記切欠部16は、前記閉塞部21・22を除いて軸心方向幅W1を略一定幅としたうえで、15mmの最大幅を有し、かつ、前記閉塞部21・22のそれぞれでアール加工を施すことができるような最小幅を有している。具体的には、前記切欠部16の軸心方向幅は、0.1mmから15mm以下の範囲内で設定されるようになっている。
【0062】
なお、前記切欠部16の軸心方向幅W1を前記範囲内で大きく設定すれば、前記チューブ2を前記帯電防止カバー1で覆ったとき、前記チューブ2が透明又は半透明であれば、前記切欠部16を介して前記チューブ2内の状態(例えば、流体の流れ方向又は詰まり具合)を視認することが可能となる。
【0063】
さらに、上記の実施形態においては、前記第1切欠部25の周方向他端側の閉塞部28、及び、前記第2切欠部26の周方向一端側の閉塞部29に、それぞれ、前記切欠部16の閉塞部21・22と同様に、アール加工が施されている。そして、前記カバー本体10の軸心方向に関して対応する前記閉塞部28・29間に、アース線と接続される銅線等の金属線30が巻き付けられるようになっている(
図1参照)。
【0064】
なお、前記金属線30は、前記カバー本体10において、前記切欠部16の閉塞部21と前記第1切欠部25の閉塞部28との間に巻き付けてもよいし、前記切欠部16の閉塞部22と前記第2切欠部26の閉塞部29との間に巻き付けてもよい。
【0065】
また、
図4に示すように、上記の実施形態においては、前記カバー本体10は、前記第1分断部11と前記第2分断部12とを重なり合わせた状態で筒状に形成されている。すなわち、前記カバー本体10が通常形態をとる際、前記第2分断部12が前記第1分断部11の径方向内方に配置されて、前記第1分断部11と前記第2分断部12とが重なり合う重合部分31が前記カバー本体10の周方向の一部に設けられるようになっている。
【0066】
このような構成により、前記カバー本体10が前記チューブ2を囲む際にとり得る内径(内周側の径方向幅)の変化範囲を拡大させることが可能となる。そのため、例えば、通常形態時における前記カバー本体10の内径と略同一の外径を有する前記チューブ2に対して着脱するだけでなく、
図8(c)に示すように、前記チューブ2よりも太いチューブ20に対しても所定の許容範囲内で着脱することができる。つまり、前記帯電防止カバー1を、所定の外径を有する一種類のチューブではなく、異なる外径を有する複数のチューブに使用することができる。
【0067】
また、
図3、
図6、
図7に示すように、上記の実施形態においては、前記第1切欠部25及び前記第2切欠部26のそれぞれの開口縁部に、面取り加工が施されている。すなわち、前記第1分断部11の周方向一端面13に位置する前記第1切欠部25の開口縁部に面取り部33が形成されている。前記第2分断部12の周方向他端面14に位置する前記第2切欠部26の開口縁部に面取り部34が形成されている。
【0068】
このような構成により、前記帯電防止カバー1を前記チューブ2に対して着脱する際、前記カバー本体10の前記第1分断部11及び前記第2分断部12と、前記チューブ2との接触に起因する前記チューブ2の破損を生じにくくすることができる。
【0069】
なお、本発明に係る切欠部は、上記の実施形態においては前記切欠部16としているが、これに限定するものではなく、例えば、
図12に示すような切欠部71としてもよいし、
図13に示すような切欠部72としてもよいし、
図14、
図15に示すような、略同一周上に配置された複数の切欠部からなる切欠部73としてもよい。図中、上記の実施形態の構成と実質的に同一のものには同一の符号を付している。
【0070】
すなわち、本発明に係る切欠部は、
図12に示すように、カバー本体10の周方向に関し当該カバー本体10の一周分の長さL1に対して上記の実施形態の長さL2よりも長い長さL5を有する長孔状の前記切欠部71であってもよい。また、本発明に係る切欠部は、
図13に示すように、カバー本体10の周方向に関し当該カバー本体10の一周分の長さL1に対して40%以上の長さL6を有するとともに、前記カバー本体10の周方向を長手方向とし且つ各角部にアール加工を施された矩形状の前記切欠部72であってもよい。
【0071】
また、本発明に係る切欠部は、
図14、
図15、
図16に示すように、第1分断部11に設けられた第7切欠部75と、第2分断部12に設けられた第8切欠部76とからなる前記切欠部73であってもよい。この場合、前記第7切欠部75及び前記第8切欠部76が、カバー本体10の周方向に関して略同一直線上に配置される。前記第7切欠部75は軸心方向幅W4を有し、前記第8切欠部76はここでは前記軸心方向幅W4と略同一の軸心方向幅W5を有している。
【0072】
そして、前記カバー本体10の周方向に関して、前記切欠部43の長さ、即ち前記第7切欠部75の長さL7に前記第8切欠部76の長さL8を加えた長さ(L7+L8)が、前記カバー本体10一周分の長さL1に対して40%以上の長さとなるように設定される。ここで、前記切欠部73の狭幅部77は、前記カバー本体10がその軸心方向に曲げられたときであっても、前記カバー本体10のうち前記切欠部73を挟む軸心方向両側の領域の連結が保たれる程度の大きさを有している。
【0073】
そのうえで、この場合には、
図14、
図16に示すように、前記切欠部73(前記第7切欠部75及び前記第8切欠部76)とは別の切欠部として、前記カバー本体10を貫通する貫通孔からなる少なくとも一つの第9切欠部78を設けてもよい。これによれば、前記カバー本体10がチューブを囲むとき、そのチューブが透明又は半透明であれば、前記切欠部73及び前記第9切欠部78を介して前記チューブ2内の状態を視認することが可能となる。
【0074】
また、前述した各実施形態においては、前記カバー本体10を構成する樹脂組成物における導電性物質の含有率は、前記チューブ2への前記カバー本体10の被覆時に得られる帯電防止性能、前記チューブ2に対する前記カバー本体10の着脱性、着脱の繰り返し性、及び、装着性の観点から、好ましくは1〜20%、より好ましくは5〜20%、更に好ましくは5〜15%に設定される。