特許第6412932号(P6412932)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6412932
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】ナノ粒子数の計数における改良
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/06 20060101AFI20181015BHJP
   F01N 3/023 20060101ALI20181015BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20181015BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20181015BHJP
   F01N 11/00 20060101ALI20181015BHJP
   G01N 1/22 20060101ALI20181015BHJP
   G01N 1/02 20060101ALI20181015BHJP
   B01J 23/58 20060101ALI20181015BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
   G01N15/06 D
   F01N3/023 K
   F01N3/023 E
   F01N3/28 301P
   F01N3/10 A
   F01N11/00
   G01N1/22 R
   G01N1/02 A
   B01J23/58 A
   B01D53/94 241
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-521639(P2016-521639)
(86)(22)【出願日】2014年10月6日
(65)【公表番号】特表2016-540193(P2016-540193A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(86)【国際出願番号】GB2014000397
(87)【国際公開番号】WO2015052463
(87)【国際公開日】20150416
【審査請求日】2017年6月5日
(31)【優先権主張番号】1317744.9
(32)【優先日】2013年10月8日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516103091
【氏名又は名称】トゥイッグ サイエンティフィック アンド テクニカル エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】TWIGG SCIENTIFIC & TECHNICAL LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】110000132
【氏名又は名称】大菅内外国特許事務所特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】トゥイッグ,マーティン ヴィンセント
【審査官】 西岡 貴央
(56)【参考文献】
【文献】 独国実用新案第202013100053(DE,U1)
【文献】 特表2006−524812(JP,A)
【文献】 特開2013−173134(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0039295(US,A1)
【文献】 特表2004−507650(JP,A)
【文献】 特開2002−138813(JP,A)
【文献】 特表2006−506640(JP,A)
【文献】 特開平08−206516(JP,A)
【文献】 特開2013−146693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00−1/44、15/00−15/14、31/00
B01J 21/00−38/74
F01N 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ粒子カウンタデバイスの前段にガス処理ステージを有する、改良されたナノ粒子カウンタ装置であって、前記ガス処理ステージは、酸化触媒と、ガス状硫黄化合物と冷却されたときに、核形成して粒子を形成する窒素酸化物とを吸収するのに効果的な吸収体と、を備え、
前記ガス処理ステージは、1以上の透過モノリス上に支持され、
前記ガス処理ステージは、400セル/二乗インチ(62セル/平方センチメートル)より多くなく、50マイクロメートルより大きくないホイル厚さを有し、少なくとも90%の開口面積を有する金属ホイルモノリス上に支持される、装置。
【請求項2】
前記金属ホイルモノリスの厚さは、20マイクロメートルより大きくない、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ガス処理ステージは、プラチナ、パラジウム、ロジウム及び金、及び、それらの混合物から選択された触媒を含む、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記ガス処理ステージは、アルカリ金属化合物、及び、アルカリ土類金属化合物から選択される吸収体を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記ガス処理ステージは、触媒と吸収体が混合された処理領域を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記ガス処理ステージは、酸化触媒の内部層と吸収体の外部層とを有する区域を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
粒子カウンタ装置を用いる排気ガスストリーム内の固体粒子の数を計数する方法であって、上記請求項のいずれか1項に記載の装置のガス処理ステージを用いて、揮発性有機物質を酸化することと、続いて、ガス相から硫黄物質を吸収すること、を含むガス処理ステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ粒子数の計数における改良に関し、更に詳細には、濃縮可能な炭化水素及び硫酸塩のタイプの化学種を含む大気中の固体粒子の数を計数することに関する。
【背景技術】
【0002】
ガス状大気中のナノ粒子(100nmより小さい)の数を計数することは、環境的及び健康的理由により重要となってきた。特に、内燃エンジンは、NOx, CO、部分的に燃焼され、及び、燃焼されなかった炭化水素(HC)などの、規制対象であるガス状の汚染物質に加え、粒子を放出する。大きな炭素質の粒子は、旧式の設計によるディーゼルエンジンによって放出され、良く見えるディーゼル「煙」として、特に、エンジンに負荷がかかった状態で動作されるときに形成されるが、現代の高速ターボチャージャの中間冷却されたディーゼルエンジンは、視認しにくい、より小さい粒子を放出し続ける。更に、ガソリンエンジン、特に、ガソリン直接噴射設計のものは、大量の数の小さな粒子を放出する。EURO 5 Reg 83として知られる規制は、車載ディーゼルエンジン排気ストリームに適用されている。
【0003】
ICエンジン排気中のナノ粒子は、より大きなミクロンサイズの粒子に使用可能なレーザ光散乱装置などの技術を用いては、容易に数を計数することは出来ない。凝縮粒子カウンタ(CPC)として知られる装置は、商業的に利用可能だが、これは、粒子含有ガスを過飽和蒸気、水の蒸気が用いられてきたが、従来、イソプロパノールあるいはn−ブタノールなどの有機液体の蒸気に通過させ、粒子が蒸気凝縮の核として働くようにしている。従って、適切な条件の下、ナノ粒子は、サイズが10−12umまで成長することができ、従って、従来の散乱技術を用いて数を計数することが出来る。しかし、このシステムの問題は、任意の種類の粒子は、核として働くことができ、固体の炭素質あるいは金属酸化物の粒子でなくてもよいということである。この問題は、計数技術において用いられる高い希釈において、悪化される。ICエンジン排気は、法的対象である、固体の炭素質あるいは金属酸化物粒子に加え、炭化水素及び、他の有機凝縮個体及び硫黄化合物を含み、窒素酸化物、有機酸及び、リン酸を含むかもしれない。これらの化合物のそれぞれは、ある条件の下、核として働き、従って、計数処理を混乱させる。真の固体粒子と擬固体核との間の区別をするために、CPCにおいて、信号処理により、条件を調整することの幾つかの試みがなされてきたが、ナノ粒子放出の潜在的危険に多く注目されるに従い、別のアプローチへのニーズが残っている。
【0004】
1995年付けのSAE Paper No 950236は、揮発性の、固体排気粒子を測定することを提案する。記述した装置は、ディーゼル排気触媒の分野である、触媒ストリッパを用いる;排気の希釈なストリームは、冷却され、電子エアロゾル解析器あるいは、凝縮核カウンタ(CNC)などの粒子カウンタに通過させられる前、ディーゼル排気触媒に通過させられる。希釈なガスの別のストリームは、触媒ストリッパ処理なしで、粒子カウンタに通過させられ、合計の、揮発性及び不揮発性(固体)粒子濃度を決定可能とする。このデバイスは、また、米国特許出願US2004/0139785に記載されている。
【0005】
しかし、触媒ストリッパのコンセプトは、放棄されたと見え、ヨーロッパの規制は、蒸気相と空気希釈内の全ての揮発性成分を維持するための過熱されたチューブ内の排気ガスの処理と、排気ガスを粒子カウントのためのCNCに通過させる前の核形成を防止するために冷却することのみを要求する。
【0006】
ニック・コリングス教授は、最近、排気ガスの粒子測定における揮発性材料の凝縮あるいは核形成の問題を潜在的に防止する高温凝縮粒子カウンタを研究してきた。www.cambridgeparticlemeeting.org/sites/default/files/Presentations/2013/NColh UofCambridge) 2013 Hot condensation particle counter.pdfを参照されたい。
【発明の概要】
【0007】
本発明者は、排気ガスに幾つかの別の処理を適用し、それから、WO2004/097400 A1に記述されているように、処理されたガスを粒子カウンタに通過させ、異なる結果を比較し、吟味することにより、微粒子を解析する問題を解決することを試みた。処理の一つは、ガスのサンプルを、炭化水素と、酸性化学種を吸収するための塩基性物質を酸化するために酸化物触媒に接触させることを含んでいた。好適触媒は、アルミナに支持されたプラチナである。触媒及び吸収体は、透過セラミックモノリス上に適切に担持される。記述された装置は、いかなる形態でも商業的には用いられていたとは思われない。われわれは、以下に記述されるように、新規で、改良されたデバイスを開発した。
【0008】
しかし、CPCあるいは他の粒子カウンタ装置を混乱させる粒子を形成する他の成分との反応により直接に、あるいは、間接に、凝縮あるいは核形成することが出来る、排気ガスストリームにおける多くの異なる成分に対処出来る、信頼性のある粒子カウンタのニーズが残っている。特に、路傍テストあるいは、車載テストユニットのための装置などの、携帯装置に組み込まれることが出来るシステムを開発することは有用と思われ、本発明は、そのような解決策を提供すると信じる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、ナノ粒子カウンタデバイスの前に、ガス処理ステージを有する改良されたナノ粒子カウンタ装置を提供し、ガス処理ステージは、酸化触媒と、ガス状硫黄化合物、望ましくは、窒素酸化物及び、冷却されたとき、粒子を形成するために、核形成する他の気相の酸化学種を吸収するのに有効な吸収体とを含み、ガス処理ステージは、80%より少なくない、好ましくは、90%より少なくない、最も望ましくは、95%より少なくない開口領域の内部、および、それを有し、400セル/二乗インチより多くない金属透過モノリス上に支持されている。好ましくは、ガス処理ステージは、取替え可能なユニットに含まれ、例えば、これは、所定の使用期間の後に配置されることが出来る。あるいは、このユニットは、リサイクル、及び/あるいは、再生成されることが出来る。
【0010】
本発明は、従来の商業CPCデバイスと共に主に開発され、その原理は、非固体「粒子」、特に、内燃ガスストリームから導出されるものからの干渉に曝される任意の粒子カウンタと共に用いられることが出来る。本発明は、好ましくは、高温凝縮粒子カウンタと組み合わされることが出来、これは、触媒吸収ユニットを離れるガスストリームを冷却するニーズと、関連した潜在的な粒子拡散損失を防止する。
【0011】
ガス処理ユニットは、便利に、しかし、本質的ではなく、単一の筐体に含まれる。好ましくは、筐体は、非対称で、フィッティングと関連して、正しい仕方でのみ、つまり、触媒区域アップストリームに、搭載されることが出来る。セラミック製あるいは金属製透過ハニカム状基板構造などの従来の触媒構造は、本発明に用いられることが出来る。粒子の流れを妨げる傾向のある構造は望ましくない。なぜなら、それらは、粒子カウント結果を歪ませ得るからである。粒子の流れを妨げることを防止するキーとなる要因は、モノリスの開口面積であると考える。例えば、WO2004/0907400の開示において用いられるような、従来の最新のセラミックモノリスは、壁厚8mil(数千インチ)を有していた。400セル/二乗インチのモノリスに対し、これは、70.56%の開口面積を有しているだろうと、われわれは計算した。SAE paper No 950236は、12.2mil壁厚のセラミックモノリスを用いた触媒を用いており;これは、60.8%の開口面積を与えるだろう。
【0012】
触媒は、動作条件下で有効な、触媒活性物質の任意のものとすることが出来る。適切には、触媒は、プラチナ群金属、好適には、プラチナあるいは、パラジウム、より好適には、パラジウム/プラチナ触媒又はそれらを含むものであり、あるいは、マンガン、あるいは、実質的に、全ての有機蒸気を、特に、触媒を通過するガス内の炭化水素を酸化するための特定の条件下で活性な他の適切な金属化合物などの他の材料を用いることができる。SOを硫酸塩化学種に酸化することは望ましくない。これが発生する度合いは、触媒形成と動作温度に依存する。約300−350℃の温度での動作において、SO酸化の量は少なくあるべきである。酸化されるいかなるSOも、吸収体によって吸収されるだろう。SO自身は、粒子カウントに任意の実質的な干渉を引き起こすとは思われない。
【0013】
触媒は、単一の成分を含むことができ、あるいは、触媒の有効表面積を増加し、あるいは、SOの硫酸塩化学種への酸化を防止する材料を含む、1以上の促進剤、あるいは、他の活性あるいは不活性成分を含むことが出来る。
【0014】
従来の最新のアルミナではなく、シリカ/アルミナを含むウォッシュコート上に支持されるプラチナなどの活性触媒酸化相を有することは、硫黄化学種によって毒化される触媒への望ましい抵抗性となる、ことを見出した。また、これは、延長された高性能と、触媒の長寿命を導くことを見出した。
【0015】
そのような触媒は、当業者によるわれわれの一連の手順によって製造されることが出来る。
【0016】
触媒の下流に配置されるのは、吸収体である。適切な吸収体は、炭酸塩あるいは、バリウム、ストロンチウム、あるいは、カルシウムの酸化物、あるいは、硫酸塩タイプの化学種を結合するのに有効な同様な材料などのアルカリ土類金属あるいは、アルカリ金属化合物を含む。
【0017】
触媒及び吸収体機能は、テストガスが通過する筐体内に搭載された別個のユニットによって実行されることができ、粒子損失を最小化するために、更なる実施形態において、同様の支持体上に、順番に、触媒と吸収体被覆を堆積することも望ましい。従って、吸収体含有成分の層は、例えば、吸収体成分、あるいは、吸収体成分の前駆体を含む懸濁液あるいは溶液で、触媒支持体をスプレーする、あるいは、これに触媒支持体を浸けることにより、最初に触媒支持体上に堆積されることが出来る。真空被覆を含む他の触媒被覆操作を用いることが出来る。このように被覆された支持体は、それから、乾燥され、か焼され、それから、処理は、オプションとして、支持体を反転することにより、触媒成分を含む懸濁液あるいは溶液で繰り返される。支持体モノリスの場合、これは、従って、上流触媒被覆と下流吸収体被覆で被覆されたモノリスを得ることが出来る。他のユニット設計は、当業者が利用することが出来、触媒と、吸収体、あるいは、酸化触媒の内部層、及び、吸収体の外部層の混合物を含む区域は利点があるであろう。
【0018】
好ましくは、触媒区域と吸収体の全体ユニットは、10nm粒子について少なくとも80%の浸透率(浸透率は、特定の粒子サイズと特定の条件の下、ユニットを離れる粒子の濃度を、ユニットに入る粒子の濃度で割って、100倍したものとして定義される)、より好ましくは、少なくとも90%の浸透率を有する。従って、上に指定されたように、高い開口面面積を有する、相対的に低セル密度(400セル/二乗インチより大きくない)透過モノリスを用いることが好適である。一般に、区域が、触媒酸化の望ましいレベルを達成するのに十分なら、粒子拡散損失を最小化するために、より短い触媒区域を用いることは好適である。上記WO2004/0907400において、その開示そのものは、大きく異なるモノリス形状、特に、34mm直径×110mm長に関連していることは注意すべきである。
【0019】
本発明の使用に特に適した新規のモノリスは、金属ホイルモノリスであり、このホイルは、50ミクロンの、好適には、20ミクロンの最大厚さと、少なくとも90%の面開口面積を有している。触媒技術の明らかな傾向は、支持体モノリスのセル密度を増加することであり;本発明は、その傾向に反しており、最大、400セル/二乗インチ、好適には、200cpsi(セル/二乗インチ)より大きくない。
【0020】
同一のガスと触媒/吸収体ユニットは、両者とも、触媒が、触媒反応に最も有利な温度で動作することを保証し、揮発性材料が全て気相であることを保証するために、加熱手段が設けられることが好適である。これは、一般に、範囲150から550℃、好適には、範囲200から375℃である。当業者は、モノリス、特に、セラミックモノリスを十分加熱することは、実際上不可能であるので、サンプルガスは、モノリスに届く前に、望ましい動作温度に予め加熱されるべきであることを認識するだろう。
【0021】
テストガス中の非固体粒子の濃度と、装置が経験する使用に応じて、吸収体は、結果的に飽和し(好ましくは、延長された動作寿命を有するように設計されるが)、触媒自体は、毒化あるいは、コーキングにより効果的ではなくなり、吸収体は、飽和するだろうことは認識されるだろう。従って、ユニットが効果的ではなくなる前に、触媒/吸収体ユニットを取り替えることが好適である。したがって、好ましくは、ユニットは、粒子カウンタ装置に搭載された、容易に取替え可能なユニットの形態である。触媒と吸収体両方の再生成を考えることは可能であるが、現在のところ、ユニットを安全に配置することが好適である。上記したように、非対称設計を用いることが好適である。
【0022】
この発明を支持するテストの幾つかにおいて、触媒/吸収体ユニットは、約42mm長、19.05mm直径(外部寸法)であり;幾つかの別のものも使われ、例えば、38mm長と22.2mm直径で、それぞれ、触媒長は、37mmと32mmであった。活性酸化触媒と、そのようなユニット内の吸収体負荷は、5g/三乗フィートから200g/三乗フィートの範囲であり、好ましくは、酸化触媒が、Pt, Pd, Rh 及び/または Auなどの貴金属である場合、10から100g/三乗フィートであり、酸化マンガンなどの、卑金属誘導体が用いられる場合は、もっと高く、20g/三乗フィートから1000g/三乗フィート以上であり、好ましくは、吸収材料の、50g/三乗フィートから300g/三乗フィートである。
【0023】
本発明は、ここに、例を用いて説明されるだろう。この分野では、SIあるいは、メートル法の単位ではなく、ある測定においては、ヤードポンド法を用いるのが従来である。
【0024】
[ガス処理ステージ準備]
5.66インチの直径の、長さ(6インチ)に沿って走る、複数の正方形平行チャネル(400/二乗インチ)を有する円筒コーディエライトモノリスは、30%のシリカを含み、140m/gのBET表面面積を有する分散可能な広表面面積シリカ/アルミナの水性懸濁液(重量で35%)に浸された。公称の壁厚は、2.5mil(インチの数千分の1)であり、われわれは、これは、90.2%の開口面積を有していると計算する。懸濁液は、希釈な硝酸で約pH=4に酸性化された水で、シリカ/アルミナをボールミリングすることによって作られた。ボールミリングは、粒子サイズ(d50)が、Malvern Instruments Mastersizer 2000で測定して、範囲5−15ミクロンになるまで継続された。希釈なアンモニア溶液の少量は、それから、モノリスに被覆するのに適していると判断されるまで、懸濁液がゲルになるように攪拌しながら、徐々に加えられた。
【0025】
モノリスは、懸濁液に浸され、除去され、数分の間、徐々に排出させた。余分な懸濁液は、モノリスを振って、それから、溝を通るエアガンからの高速空気のストリームで吹き飛ばすことにより、モノリスから除去された。モノリスは、それから、3時間、溝を通る熱風(120℃)の流れを通過させることにより乾燥され、その後、2時間に渡って、温度を室温から500℃まで増加させるようにプログラムされた電気炉内で、静止空気内で、熱に曝され、それから、その温度を2.5時間維持し、その後、熱を加えることなく、室温まで冷却されるようにした。非被覆モノリスの重量を、被覆とか焼の後のモノリスのそれと比較することにより、全体のモノリス体積の2.3グラム/三乗インチのウォッシュコート積載量を示した。
【0026】
帯のこぎりを用いて、ウォッシュコートされたモノリスは、各38mm厚のスライスに、直径方向に渡って切断された。スライスは、25mmの深さの浅い皿内の溶液内に浸すことにより、飽和された;溶液が、ウォッシュコートされたモノリスによって吸収されるので、液体の深さを維持するために、追加の溶液が追加された。溶液は、乾燥され、か焼されたとき、飽和されたモノリスが、被覆されたモノリスの、三乗フィート当たり、90gのPtを含むように、十分なテトラアンミンプラチナジニトラート(tetrammineplatinum dinitrate )を含んでいた。飽和された溶液は、また、エチルヒロキシセルロース(ethylhyroxycellulose )(Natrosol TM Ashland Chemicals )を少量含んでおり、皿の中の液体のレベルのかなり上のモノリスまでの溶液の芯化を防止するために十分なほど溶液の粘性を増加した。飽和された溶液の適切な濃度は、冷水ピックアップ方法(cold water pick-up method)により、ウォッシュコートされたモノリスの穴容積を評価することにより、決定された。飽和の後、一部がプラチナ化されたモノリスは、2時間120℃で乾燥され、それから、上記したように、3時間、500℃で、か焼された。冷却されたとき、一部がプラチナ化されたモノリスは、ひっくり返され、皿内の酢酸バリウムの12.5mmの深い溶液に浸された。再度、溶液の粘度は、Natrosol を用いて、制御された。以前のように、溶液が吸収されるので、深さを維持するために、酢酸バリウム溶液が追加された。数分の間、溶液内に入れた後、モノリスは、注意深く除去され、上に持ち上げられたワイヤーメッシュ上で排出可能とされた。モノリスは、それから、120℃で乾燥され、上記したように、500℃で、か焼された。バリウムの積載量は、モノリスの三乗フィートにつき、250gのBaに対応した。結果のモノリスは、溝の長さに沿って、2つの区域を有し、1つは、25mm長にプラチナ化され、一つは、12.5mm長でバリウムを有していた。
【0027】
上記一連の手順は、350cpsiの金属ホイルのモノリスで繰り返された。金属ホイルのモノリスは、一般に、セラミックのモノリスより薄い壁のセクションで作られることが出来る。25.3mm長、17.9mm直径で、1mm壁厚の外部ステンレススチールチューブが、350セル/二乗インチを有し、0.05mm厚の商業触媒モノリス金属ホイルから製造される、内部構造にフィッティングされた。これは、91.5%の開口面積を有すると計算される。ユニットは、洗浄剤含有水で洗浄され、それから、純粋アセトンで処理し、空気乾燥する前に、数回脱イオン化された水で数回すすがれた。それから、3時間、550℃の空気大気下で、電気炉内で加熱され、ホイル面上に、薄い、抵抗性酸化膜を成長させた。ユニットは、それから、上記一連の手順を用いて、乾燥し、500℃でか焼した後の測定で固体を19.5%含む懸濁液で3回ウォッシュコートされた。最終ウォッシュコート積載量は、ユニットの全体積の2.0グラム/三乗インチに対応した。得られたウォッシュコートされたユニットは、それから、全体の長さに沿ってプラチナ化され、90グラム/三乗フィートの積載量に対応した。7.5mm長の取り出し区域は、酢酸アセテートで飽和され、2時間の500℃でのか焼の後、ストロンチウムを300グラム/三乗フィート含んでいた。
【0028】
ウォッシュコートされ、区域飽和されたセラミックモノリスは、それから、ダイヤモンドコアドリルで、芯取りされ、38mm長、約16mm直径のモノリスを生成した。コアは、それから、適切な長さ(42mm)と直径(19mm)のステンレススチール(タイプ316)マントルに搭載され、膨張されたマットによって所定の位置に保持され、300リットル/時の流れる空気中で、3時間の間、空気の中で、450℃で、熱処理された。10mm直径チューブを有する中央開口部を有するステンレススチールの入り口と出口は、後のテストのために、各ユニットに、溶接された。他のユニットは、例えば、外部22.2mmと25.4mm直径で、35.5mmと31.0mm長の、異なる寸法を有して作られた。
【0029】
[テスト]
{1.炭化水素除去}
これらのテストにおいては、上記のユニット(例えば、OD19mm、長さ42mm、モノリスサイズではない)が構成され、サンプルガス流は、最初、酸化部分を通され、それから、硫黄吸収部分を通された。標準の解析及び粒子測定技術が用いられ、全ての場合で、HEPAフィルタリングされた空気が、炭化水素の既知の量を用いて、炭化水素が蒸発されるガス源として用いられた。濃度は、クロマトグラフィー解析(FID)によって検出された。炭化水素を含むガスは、350℃に予め加熱され、ユニットは、電気ヒータと制御デバイスによって、同一の温度に維持された。出口ガスは、解析前に、加熱HEPAフィルタリングされた空気によって希釈された。用いられた濃縮可能炭化水素は、デカン、ヘキサデカン及びトルエンを含んでいた。ユニットを通過するガス流の速度は、範囲50リットル/時から500リットル/時であり、典型的は、180リットル/時であった。入り口炭化水素濃度は、30ppmと1000ppmとの間で変化し、実験誤差の範囲内で、出口ガスにおいて、炭化水素は検出されず、少なくとも99.8%の炭化水素の除去に対応した。テトラコンタン(C4082)、自動車測定における「標準的な」揮発性微粒子は、ユニットに入る前に蒸発された。冷却ガス内の粒子は、商業CPCでの標準的な一連の手順を用いて測定された。室温に維持されたユニットで、粒子の予測数を検出し、温度が上昇するに従い、測定数は、350℃で実質的にゼロに減少した。
【0030】
{2.粒子浸透}
小さな粒子の浸透は、主に、短いステンレススチールコーンであって、短い10mmの入り口と出口パイプ(上記されたように)が設けられたユニット内の熱泳動及び拡散プロセスによって、起こった粒子損失を評価するために測定された。ディーゼルエンジン排気から出る既知のサイズの粒子は、室温でユニットを通過し(触媒酸化を最小化するために)、10nm粒子の浸透は、80%より大きかった。同様な結果は、金属粒子が、炭化水素が酸化する高温で用いられたときに、得られた。測定された浸透は、ユニットの寸法、流速、及び、温度に依存した。
【0031】
{3.硫黄許容度}
硫黄毒化に向けたユニットの例外許容度は、長時間にわたって、上記した動作条件の下、炭化水素と空気と共に、二酸化硫黄の様々な量を含むテストガスを用いて実施された。n−デカンを用いた一実験において、ユニットは、1000時間、約100ppm二酸化硫黄を含むガスで処理され、ガスクロマトグラフィーによって検出される出口ガスストリームにおいては、炭化水素は検出されなかった。出口ガスでの粒子測定は、硫黄酸の核形成からくる粒子は検出せず、アルミナ酸化触媒上の従来のプラチナでの個別のテストは、短時間オンラインであった後、約12nmサイズの硫酸粒子を生成した。
【0032】
1000時間の硫黄暴露は、典型的には、1年よりかなり多く使用された粒子カウント装置に対応するだろう。
【0033】
{4.車両排気ガス}
ディーゼル排気ガスは、4つの円筒ディーゼルエンジンと、排気ガス後処理成分が全て除去された、10ppmより少ない硫黄及び合成長寿命潤滑オイルを含む燃料で動作させたEuro 5標準に従うテイルパイプ放出を有する車両で得られた。排気ガスは、標準的方法で、フィルタリングされた空気を用いて、一定の体積のサンプリングシステムに取得された。2500rev/分で動くエンジンで、排気ガスサンプルは、HEP Aフィルタリングされた空気で10から1に希釈され、ユニットを介して供給された。ユニットからの排出ガスは、n−ブタノールと、10nmより小さく切られたより小さい粒子サイズで動作する従来のCPCに取得された。ユニットの温度は、最初周囲温度で、計数された粒子数は、6×10から1×10粒子/ccに対応した。サンプルガスプレヒータとユニットを含む加熱ブロックは、それから、スイッチオンされ、350℃の制御された温度に増加され、測定は、完全な温度平衡を保証するために、1時間後になされた。CPCによって計数された粒子の数は、劇的に減少され、実質的にゼロになり、エンジンから出た粒子の非常に高い割合は、揮発性であった。
【0034】
他の実験においては、Euro Stage 3に従う車両における1.6リットルの排気量の4つの円筒ガソリンエンジンの、レギュラーの低硫黄ガソリンを燃料供給されるテイルパイプ排気は、エンジンにフィッティングされるクローズカップルド三元触媒の直前からの排気ガスサンプルを提供するために用いられた。粒子測定は、以前用いられたCPCより大きいテストガス流を要求するCambustion DMS500高速粒子解析器によってなされた。テストガスは、サンプリングのときに、HEPAフィルタリングされた空気で、4倍に希釈され、典型的に用いられる、20から1の希釈比で、粒子カウント装置において、副次的希釈を行った。粒子の非常に多い数は、3×10粒子/ccに対応すると測定され、350℃での発明のユニットの通過の後、より少ない数の固体粒子が、5×10粒子/ccより少なく対応すると測定された。これらは、潤滑オイルにおける無機添加物から主に由来すると考えられた。
【0035】
実験室テストにおいては、ディーゼル排気ガスのモデルガスとして、プロペンを用いるのが通常である。これは、以下のテストに用いられている。外部寸法OD19mmと長さ42mmの上記ユニットがテストユニットに構成され、水の追加あり、あるいは、なしで、空気中に、200、500あるいは1000ppmのプロペンを含むガス流は、最初、酸化部分を通され、それから、硫黄吸収部分に通された。このテストは、微粒子フィルタの再生成の間での燃料のエンジンへの遅れた注入が起こるとき、及び、排気ガスが微粒子数含有量が測定される前に希釈されない場合などのような、排気ガスに、高レベルの炭化水素が存在するときの振る舞いを模倣するべきものであった。これは、携帯排気測定装置の場合であるかもしれない。全ガス流は、水を追加しない、96リットル/時であり、追加された水(6.0%)があった場合、102リットル/時であり、これらの典型は、凝縮粒子カウンタと組み合わせて用いられるかもしれない。
【0036】
入り口ガスに追加の水が存在しない場合には、テストは室温のすぐ上から始まり、フーリエ変換赤外分光計によって出口ガスストリーム内にプロペンが検出されなくなるまで、温度は徐々に上昇された。同一の装置は、質量流コントローラによって設定され、維持されたプロペンの入り口濃度を確認するのに用いられた。水が、入り口ガス混合物に追加されたとき、温度は、露点の上に維持された。出口ガスにプロペンが検出された温度は、入り口ガスに200ppmのプロペンがあったとき140℃で、入り口ガスに500ppmのプロペンがあったとき150℃で、入り口ガスに1000ppmのプロペンがあったとき170℃であった。入り口ガスにおける水(6.0%)の追加は、これらの温度のそれぞれにおいて、約5℃の上昇を来たした。テスト装置に同様に構成された高開口前面領域を有する、より小さい25.3mm長、17.9mm直径外部寸法の金属ホイルでのテストは、145℃、155℃、および177℃での完全なプロペンの除去は、同様な結果を得、それぞれ、250℃より上の温度で動作するとき、特に、300℃より上で、気相の全ての炭化水素は、両方のユニットによって酸化され、炭化水素核形成を防止することが確認された。