【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のため、本発明は熱交換器、具体的には車両の空調回路用蒸発器に関する。熱交換器は、第1の流体と第2の流体との熱交換を可能にし、流体の一方と接触するよう意図された表面を有する。表面は、アルミニウムおよび/またはアルミニウム合金で形成されるとともに、アルミナ層と、アルミニウム本来の保護力を強化する強化層とも呼ばれる層とで覆われる。強化層は、有機物の部分と、無機物の部分とを含む。有機物の部分は少なくとも1つのポリマーを含み、無機物の部分はアルミニウムと反応して耐食材を形成可能な少なくとも1つの物質を含む。
【0008】
すなわち、熱交換器はまず、自然にできたアルミナ層で保護される。加えて、そこに塗布されたコーティングにより、熱交換器の表面が腐食、特に点食が発生した際に接触する表面のアルミニウムと反応して保護力を回復することができる。さらに、当該現象が厳密に働かなくても、前処理をしないにもかかわらず、使用するポリマー材料によって表面のコーティングの安定化につながる。当該強化コーティングまたは層によって、特にアルミナ層が再生することでアルミニウム本来の保護力が強化できる。このコーティングにより、熱交換器の耐食性を向上することができる。
【0009】
組み合わせまたは別個の適用が可能な本発明の様々な実施形態によれば、
−アルミナ層は強化層で覆われる。
−前もって表面を活性化するか、または酸洗いするといった準備をすることなく、強化層が塗布される。
−アルミニウムと反応可能な物質は表面および/またはアルミナ層の表面のむらを埋めることができる。
−アルミニウムと反応可能な物質は少なくとも1つのクロム系物質である。
−クロム系物質は3価クロム塩であってよい。
−有機物の部分および/または無機物の部分が強化層に親水性および/または抗菌性をもたらす。
−有機物の部分のポリマーは、ポリビニルアルコール等の遊離ヒドロキシル官能基を含むポリマーから成る。
−有機物の部分は結合材を含む。
−結合材は有機酸、アルコール、またはアミン系であって、ポリマーのヒドロキシル官能基と反応してもよい。
−有機物の部分の量は、重量で50%〜80%、好ましくは55%〜65%である。
−無機物の部分の量は、重量で20%〜50%、好ましくは35%〜45%である。
−強化層は少なくとも1つの腐食防止剤をさらに含む。
−腐食防止剤は、腐食の際アルミナ層を改質する。
−腐食防止剤は少なくとも1つのチタン系物質である。
−チタン系物質はチタン塩である。
−強化層は少なくとも1つの抗菌性物質を含む。
−抗菌性物質は、ブロノポール、カルベンダジム、イソチアゾリノン、および/またはジンクピリチオン等の少なくとも1つの亜鉛系物質等の有機物であってよい。
−強化層は、0.5〜1.5g/m
2、好ましくは0.8〜1.2g/m
2の表面密度を有する。
−熱交換器は、向かい合う面を覆う強化層よりも厚い強化層で覆われた表面を有する一面を含む。
−より厚く覆われた一面は外部空気流にさらされる面である。
【0010】
また、本発明は熱交換器、具体的には車両の空調回路用蒸発器の製造方法に関する。熱交換器は、冷却される流体の一方と接触するよう意図された表面で形成される。表面は、アルミニウムおよび/またはアルミニウム合金で形成されるとともに、アルミナ層で覆われる。アルミナ層は、アルミニウム本来の保護力を強化するコーティングで覆われる。コーティングは、有機物の部分と、無機物の部分とを含む。有機物の部分は少なくとも1つのポリマーを含み、無機物の部分はアルミニウムと反応して耐食材を形成可能な少なくとも1つの物質を含む。
【0011】
すなわち、本発明の方法によれば、前もって表面を処理および/または準備するステップを経ることなく、コーティングを熱交換器の表面に直接塗布してよい。さらに言い換えれば、一度コーティングを塗布するだけで熱交換器の表面に腐食に対する保護力をもたらすことができる。
【0012】
組み合わせまたは別個の適用が可能な本発明の様々な実施形態によれば、
−表面は熱交換器のろう付けステップの後に覆われる。
−コーティングはスプレーおよび/または吹きかけにより表面に塗布される。
−熱交換器は、表面をコーティングで覆った後、乾燥する前に送風されて、熱交換器の向かい合う2つの面上のコーティングの厚みを調整する。
−コーティングは乾燥される。
−コーティングは、130℃〜180℃、好ましくは150℃の加熱ステップにおいて乾燥される。
−加熱ステップは、1〜10分、好ましくは5分間行う。
−コーティングは、熱交換器の外表面へのコーティング塗布量が15〜20ml/m
2になるように塗布される。
−コーティングのpHは、1.5〜5、好ましくは2〜3.5の間で選ばれる。
−コーティングは1000ppm未満の少量のフッ化物を含む。
本発明による熱交換器の一部分の図である添付の
図1を参考に、単に説明用の非限定的な例として示された本発明の少なくとも1つの実施形態に続く詳細な説明の記述を通して、本発明がより理解され、本発明の他の目的、詳細、特徴、および利点がより明確になるであろう。