(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ロック装置(25,125,225)がロック部分(26,26’,126,226)を含み、該ロック部分が、前記調整部分(22,22’,122,222)とは独立に前記長手中心軸線(10,110,210)の方向に変位可能で、且つ前記ハウジング(2,102,202)と相対回転不能に結合され、前記ロック部分(26,26’,126,226)に、前記ロック装置(25,125,225)の少なくとも1つの第1のロック要素(40,41,42,43,93,94,95,96)が配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の噴射器。
前記調整部分(22,22’,122,222)に、少なくとも1つの第2のロック要素(40,41,42,43,44,92)が配置され、前記少なくとも1つの第1のロック要素(40,41,42,43,93,94,95,96)と、前記少なくとも1つの第2のロック要素(40,41,42,43,44,92)とが、前記ロック部分(26,26’,126,226)と前記調整部分(22,22’,122,222)との第1の軸線方向位置で、前記ロック位置を決定し、且つ前記ロック部分(26,26’,126,226)と前記調整部分(22,22’,122,222)との少なくとも1つの第2の軸線方向位置で、前記ロック部分(26,26’,126,226)に対する前記調整部分(22,22’,122,222)の相対回転位置とは独立に係合解除されていることを特徴とする、請求項2に記載の噴射器。
前記噴射器(1,101,201)が、前記ロック部分(26,26’,126,226)を前記第1の軸線方向位置へ予め付勢しているばね(28,128)を有していることを特徴とする、請求項3に記載の噴射器。
前記調整部分(22,22’,122,222)が前記スライダ(20,120)と相対回転不能に結合されていること、前記容器(5,105)から噴射液を噴出させる際に前記スライダ(20,120)が前記送出部分(18,118)に対し次のように作用し、すなわち前記スライダ(20,120)が基端方向への移動の際に前記送出部分(18,118)を基端方向に変位させるように作用すること、前記噴出ピストン(14,114)が前記ハウジング(2,102,202)内で回転不能に保持されていることを特徴とする、請求項2から4までのいずれか一つに記載の噴射器。
前記噴射器(1,101,201)が、前記送出部分(18,118)と相対回転不能に結合されている駆動体(13,113)を有していること、前記噴射器(1,101,201)が、第1の位置で前記調整部分(22,22’,122,222)を前記駆動体(13,113)と相対回転不能に結合させるとともに、第2の位置で前記駆動体(13,113)に対する前記調整部分(22,22’,122,222)の相対回転を許容する連結部(24,124)を有していること、前記第1の位置から前記第2の位置への前記連結部(24,124)の位置調整を、前記噴射器(1,101,201)の操作ボタン(8,108,208)を基端方向へ変位させることによって行うことを特徴とする、請求項2から5までのいずれか一つに記載の噴射器。
前記ロック部分(26,26’,126,226)が前記長手中心軸線(10,110,210)の方向において次のように前記操作ボタン(8,108,208)に連結されており、すなわち基端方向への前記操作ボタン(8,108,208)の移動が、基端方向への前記ロック部分(26,26’,126,226)の移動を生じさせるように、連結されていることを特徴とする、請求項6に記載の噴射器。
前記操作ボタン(8)が加圧部材(27)を介して前記ロック部分(26,26’)に作用し、前記加圧部材(27)が、前記操作ボタン(8)に対し回転可能に支持され、且つ前記調整部分(22,22’)と相対回転不能に結合されていることを特徴とする、請求項8に記載の噴射器。
前記調整部分(22,22’)が、少なくとも1つの開口部(55)を有する環状細条部(34)を介して前記位置調整スリーブ(7)と結合され、前記開口部を通じて前記加圧部材(27)の加圧細条部(37)が突出していることを特徴とする、請求項9に記載の噴射器。
前記送出部分(18)が第2のロック装置(32)を介して前記ハウジング(2)と結合され、前記第2のロック装置(32)が少なくとも1つの縦細条部(85)を含み、該縦細条部で前記送出部分(18)が噴射液噴出の際に案内されていることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか一つに記載の噴射器。
前記噴射器(101,201)が第2の連結部(127)を有し、該第2の連結部が、前記操作ボタン(108,208)の末端位置で、前記ロック部分(126,226)に対する前記駆動体(113)の相対回転を可能にし、且つ前記操作ボタン(108,208)の基端位置で、前記駆動体(113)を前記ロック部分(126,226)と相対回転不能に結合させることを特徴とする、請求項12に記載の噴射器。
前記駆動体(113)と前記ロック部分(126,226)とがそれぞれ歯部を有していること、前記調整部分(122,222)に、対向歯部を担持する連結部分(132)が配置され、前記対向歯部が、前記操作ボタン(108,208)の末端位置で、前記駆動体(113)および前記ロック部分(126,226)の前記歯部の1つとのみ協働し、前記操作ボタン(108,208)の基端位置では、前記駆動体(113)の歯部と前記ロック部分(126,226)の歯部との双方と相対回転不能に結合されていることを特徴とする、請求項13に記載の噴射器。
前記連結部分(132)が前記調整部分(122,222)に対し回転可能であること、前記連結部分(132)が前記長手中心軸線(110,210)の方向において前記調整部分(122,222)に位置固定して保持されていることを特徴とする、請求項14に記載の噴射器。
前記噴射器(1,101,201)がばね(29,129)を有し、該ばねが、前記スライダ(20,120)と前記ハウジング(2,102,202)との間で作用し、前記スライダ(20,120)を前記第2の回転方向(51)にあらかじめ付勢していることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか一つに記載の噴射器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、冒頭で述べた種類の噴射器において、異なる間隔での複数のロック位置の配置を可能にするように構成することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1の構成を備えた噴射器によって解決される。
【0007】
本発明によれば、
各ロック位置と調整した各噴出させるべき噴射液量とに、ハウジングに対する調整部分の一義的な回転位置が割り当てられている。これによって、必要とする複数のロック位置を互いに異なる間隔で配置することができる。たとえば、冒頭で例示した治療のためには、0.01mlのプライミング過程と、0.20mlおよび0.25mlの
噴射液量とに対して、ちょうど3つのロック位置を提供するような噴射器が得られる。これにより、噴射器の操作がかなり容易になる。送出部分とスライダと調整部分とが異なるねじ山結合部を介して軸線方向に移動することにより、調整部分とスライダと送出部分とに対して異なる軸線方向距離が可能である。噴射器は、操作者が噴射を手で実施できるように設計でき、その結果操作者は噴射速度を自身で制御することができる。
【0008】
ロック装置は、調整部分とハウジングとの間で作用する。その際、ロック装置は調整部分とハウジングとによって形成されいる必要はなく、調整部分またはハウジングと相対回転不能に結合されている構成部材に配置されていてもよい。したがってロック装置は、調整部分または該調整部分と相対回転不能に結合されている構成部材と、ハウジングまたは該ハウジングと相対回転不能に結合されている構成部材とによって形成されている。
【0009】
前記特許文献1の場合には、噴射のたびにスケールパイプに対するねじ山部分の半径方向相対位置が変化する。
噴出させるべき噴射液量を調整する場合には、ハウジングに対しスケールパイプとねじ山部分とが回転する。
調整した噴射液量を噴出させる場合には、スケールパイプが戻り回転し、他方ねじ山部分は相対回転不能に且つ軸線方向に移動可能にハウジング内で案内されている。これにより、所定
の噴出させるべき噴射液量を調整する場合に、ハウジング内でのねじ山部分の回転位置が不定になり、噴射過程ごとに変化することがある。これに対し本発明では、各ロック位置と調整した
各噴出させるべき噴射液量とに、ハウジングに対する調整部分の一義的な回転位置が割り当てられている。これにより、複数のロック位置を互いに異なる間隔で配置することができる。たとえば、所定量の噴射液に割り当てられていないようなロック位置を省略することができる。
【0010】
有利には、ロック装置はロック部分を含み、該ロック部分は、調整部分とは独立に長手中心軸線の方向に変位可能で、且つハウジングと相対回転不能に結合されている。有利には、ロック部分に、ロック装置の少なくとも1つの第1のロック要素が配置されている。ロック要素を、軸線方向に変位可能なロック部分に配置することにより、ロック要素は、噴射器の長手中心軸線方向に変位することにより、非作用位置へもたらすことができる。調整部分には、有利には、少なくとも1つの第2のロック要素が配置されている。少なくとも1つの第1のロック要素と、少なくとも1つの第2のロック要素とは、有利には、ロック部分と調整部分との第1の軸線方向位置で
、ロック位置を決定し、且つロック部分と調整部分との少なくとも1つの第2の軸線方向位置で、ロック部分に対する調整部分の相対回転位置とは独立に係合解除されている。これにより、
噴出させるべき噴射液量を噴出する際に、調整部分はロック部分に対し元の位置へ復帰することができ、しかもロック位置が利用者に聞こえたり知覚されず、利用者がこれらロック位置に打ち勝って操作する必要がない。これにより、簡単で人間工学的な操作が得られる。有利には、噴射器は、ロック部分を第1の軸線方向位置へ予め付勢しているばねを有している。
【0011】
有利には、調整部分はスライダと相対回転不能に結合されている。スライダは、容器から噴射液を噴出させる際に走出部分に対し次のように作用し、すなわちスライダが基端方向への移動の際に走出部分を基端方向へ変位させるように、作用する。
噴出ピストンはハウジング内で回転不能に保持されている。
噴出させるべき噴射液量を調整する際、調整部分とスライダと送出部分とは、有利にはハウジングに対しそれぞれのねじ山結合部を介して回転する。
噴出させるべき噴射液量を調整する際、送出部分は有利には回転不能に案内され、基端方向への移動により、
噴出ピストンを一緒に連行する。調整部分とスライダとは、
噴出させるべき噴射液量を調整する際にその出発位置へ戻る。
【0012】
有利には、噴射器は、送出部分と相対回転不能に結合されている駆動体を有している。駆動体と送出部分とは、有利には、噴射器の長手中心軸線の方向で互いに相対的に移動可能である。特に、噴射器は、第1の位置で調整部分を駆動体と相対回転不能に結合させるとともに、第2の位置で駆動体に対する調整部分の相対回転を許容する連結部を有している。駆動体は、有利には送出部分と相対回転不能に結合されている。有利には、第1の位置から第2の位置への連結部の位置調整を、噴射器の操作ボタンを基端方向へ変位させることによって行う。有利には、ロック部分は縦中心軸線の方向において次のように操作ボタンに連結されており、すなわち基端方向への操作ボタンの移動が、基端方向へのロック部分の移動を生じさせるように、連結されている。
【0013】
噴出させるべき噴射液量を調整するため、有利には噴射器は位置調整スリーブを有している。噴射器の第1実施態様では、位置調整スリーブは調整部分と固定結合されている。位置調整スリーブは特に調整部分と一体に結合されている。有利には、操作ボタンは加圧部材を介してロック部分に作用し、その際加圧部材は、操作ボタンに対し回転可能に支持され、且つ調整部分と相対回転不能に結合されている。調整部分は、有利には、少なくとも1つの開口部を有する環状細条部を介して位置調整スリーブと結合され、開口部を通じて加圧部材の加圧細条部が突出している。
噴出させるべき噴射液量を噴出させる際、操作ボタンは有利には回転不能に案内されている。調整部分は位置調整スリーブとともにその出発位置へ戻り回転する。加圧部材は、調整部分および位置調整スリーブとともに操作ボタンに対し回転することができる。これにより簡潔な構成が生じる。有利には、送出部分は第2のロック装置を介してハウジングと結合され、その際第2のロック装置は少なくとも1つの縦細条部を含み、該縦細条部で送出部分が噴射液噴出の際に案内されている。第2のロック装置は、送出部分と、該送出部分と相対回転不能に結合されている操作ボタンとが、
調整した噴出させるべき噴射液量を噴出させる際にハウジングに対し回転せず、これにより噴射液の噴出量を減少させることができるよう保証している。第2のロック装置は、第1のロック装置に比べて、調整部分とロック部分との間で有利には非常に弱く設計されている。第2のロック装置のロックステップは、
すべての噴出させるべき噴射液量がロックステップの複数倍に相当するように設計されている。プライミング過程のため
に噴出させるべき噴射液量は、有利には、少なくとも第2のロック装置のロックステップに相当している。
【0014】
更なる実施態様では、位置調整スリーブが操作ボタンと固定結合されていてよい。有利には、噴射器は第2の連結部を有し、該第2の連結部は、操作ボタンの末端位置で、ロック部分に対する駆動体の相対回転を可能にし、且つ操作ボタンの基端位置で、駆動体をロック部分と相対回転不能に結合させる。これにより噴射器の簡潔な構成が生じる。第2の連結部の簡潔な構成は、駆動体とロック部分とがそれぞれ歯部を有していれば、生じる。調整部分には、有利には、対向歯部を担持する連結部分が配置されている。対向歯部は、操作ボタンの末端位置で、駆動体およびロック部分の歯部の1つとのみ協働する。操作ボタンの基端位置では、対向歯部は、駆動体の歯部とロック部分の歯部との双方と相対回転不能に結合されている。有利には、連結部分は調整部分に対し回転可能であり、縦中心軸線の方向において調整部分に位置固定して保持されている。この場合、連結部分は調整部分に対し軸線方向にわずかに変位可能であってよい。連結部分は、次のように調整部分に位置固定して配置されていなければならず、すなわち該連結部分が、操作ボタンの基端位置において駆動体の歯部およびロック部分の歯部との双方に相対回転不能に結合され、操作ボタンの末端位置ではこれら歯部の一方とのみ相対回転不能に結合されるよう保証されているように、調整部分に位置固定して配置されていなければならない。簡潔な構成は、連結部分が操作ボタンの末端位置でロック部分の歯部とのみ協働するならば、生じる。
【0015】
有利には、噴射器はばねを有し、該ばねは、スライダとハウジングとの間で作用し、スライダを第2の回転方向にあらかじめ付勢している。ばねは特にねじりばねである。スライダを第2の回転方向にあらかじめ付勢していることで、スライダはばね力により、所定量の噴射液が調整されていなければ、第1のロック装置の次に低いロック位置へ復帰する。これにより、ロック位置が割り当てられていない非所定量の噴射液の調整が簡単に阻止されている。同時に、ばねは調整された噴射液量の噴出を支援する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1および
図2は、ハウジング2を有する噴射器1を示している。ハウジング2は、上部ハウジング部分3と下部ハウジング部分4とを含んでいる。
図2が示すように、下部ハウジング部分4内には、噴射液を備えた容器5が配置されている。噴射器1は、
噴出させるべき所定の噴射液量を調整して、
図1に示した、噴射器1の基端で保持されている噴射針12を通じて、容器5から噴出させるために用いられる。噴射針12は、
図3に示した、噴射器1の固定ねじ山11で、着脱可能に固定されている。
【0018】
噴射器1の基端は、噴射針12が配置された端部である。噴射器1の末端は、噴射針12とは逆の側の端部である。「基端」とは、噴射器1の、噴射の際に穿刺部位側に対向する側であり、「末端」とは、穿刺位置とは反対の側である。基端方向とは噴射方向を示すものであり、すなわち噴射針12側への方向、または、噴射液が容器5から噴出する方向である。末端方向とはこれとは逆の方向、すなわち噴射針12から離間する方向である。
【0019】
噴射器1は操作要素6を有している。操作要素6は、本実施形態では複数の部分から形成され、位置調整スリーブ7と操作ボタン8とを有している。上部ハウジング部分3には視認窓9が設けられ、該視認窓を通じてスケールを視認することができる。
図1および
図2は、
噴出させるべき噴射液量が調整されていないゼロ位置で噴射器1を示したものである。
噴出させるべき噴射液量を調整するため、操作者は位置調整スリーブ7を噴射器1の長手方向中心軸線10のまわりに第1の回転方向(本実施形態では時計方向)に回転させる。位置調整スリーブ7が回転すると、操作要素6は末端方向に移動する。
調整した噴射液量を噴出させるには、利用者は操作ボタン8を基端方向へ押して、位置調整スリーブ7を
図1に示した出発位置へ到達させる。
【0020】
図2は、噴射器1の構成の詳細を示している。操作ボタン8は駆動体13と固定結合されている。本実施形態では、操作ボタン8と駆動体13とは一体に形成されている。駆動体13はスリーブ状に形成されており、噴射器1の内部へ突出している。駆動体13は送出部分18と相対回転不能に結合されている。駆動体13は長手中心軸線10の方向において走出部分18に対し可動である。送出部分18は、第1のねじ山結合部19を介して、
噴出ピストン14のピストン棒15と結合されている。
噴出ピストン14はその基端側にピストンディスク16を有し、該ピストンディスクは容器5の栓17に当接している。噴射液を噴出させるため、
噴出ピストン14の基端方向へ変位させ、これによって栓17を基端方向へ変位させ、これにより噴射液が容器5から噴出する。
【0021】
ピストン棒15は、上部ハウジング部分3と下部ハウジング部分4との間に保持されているピストンガイド31を介して、ハウジング2内に回転不能に保持されている。その際、ピストンガイド31は上部ハウジング部分3と相対回転不能に結合されている。駆動体13は、連結部24を介して調整部分22と結合されている。調整部分22は位置調整スリーブ7と固定結合され、本実施形態ではこれと一体に実施されている。
図1および
図2に示した、噴射器1の位置では、連結部24は閉じており、駆動体13を調整部分22と相対回転不能に結合させている。送出部分18の外周にはスライダ20が配置され、該スライダは第2のねじ山結合部21を介してハウジング2内で保持されている。本実施形態では、調整部分22はスライダ20の外周に配置されている。スライダ20と調整部分22とは互いに相対回転不能に結合されている。ハウジング2内にはねじ山部分30が固定されている。ねじ山部分30は、第3のねじ山結合部23を介して調整部分22と結合されている。ねじ山部分30はハウジング2の一部として実施されていてよい。というのは、ねじ山部分30はハウジング2内に相対回転不能に且つ軸線方向に固定して保持されているからである。複数部分から成る構成により、簡潔な製造が得られる。
【0022】
ねじ山部分30またはハウジング2とスライダ20との間では、有利にはねじりばねとして形成されているばね29が作用する。ばね29はスライダ20を、
図1および
図2に示したゼロ位置の方向に緊張させる。
噴出させるべき噴射液量を調整する場合、ばね29は緊張する。噴射液を噴出させる場合、ばね29は利用者を補助して、噴射液を噴出させるために必要な力を低減させる。
【0023】
上部ハウジング部分3内には、ロック部分26が回転不能に且つ軸線方向に変位可能に配置されている。噴射器1は第1のロック装置25を有し、該第1のロック装置はロック部分26と調整部分22との間で作用する。軸線方向において操作ボタン8とロック部分26との間には加圧部材27が配置され、その機能に関しては以下でさらに詳細に説明する。ロック部分26は、圧縮ばねとして形成されているばね28によって、その末端位置方向にあらかじめ緊張せしめられている。
【0024】
図3および
図4は、噴射器1を、
噴出させるべき最大噴射液量が設定されている位置で示したものである。視認窓9内には、
噴出させるべき最大噴射液量の表示として「2」が認められる。
噴出させるべき噴射液量を調整するには、操作者は位置調整スリーブ7を回転させる。駆動体13は連結部24を介して操作ボタン8とともに回転し、駆動体13と送出部分18との間の相対回転不能な結合により送出部分18も回転する。第1のねじ山結合部19が設けられているので、送出部分18は同時に矢印33の方向において末端方向へも移動する。送出部分18とピストンガイド31との間には第2のロック装置32が形成されている。
噴出させるべき噴射液量を調整する場合、第2のロック装置32が設けられているために、弱いクリック音を知覚可能で、聞くことができる。
【0025】
調整部分22は、位置調整スリーブ7の回転の際、第3のねじ山結合部23が設けられているために、矢印33の方向において末端方向に移動する。その際第3のねじ山結合部23のピッチは、第1のねじ山結合部19のピッチよりも著しく大きくてよい。調整部分22の外周には、視認窓9を通じて視認可能なスケールが設けられている。調整部分22とスライダ20との間の相対回転不能な結合により、スライダ20も一緒に回転する。加えて、第2のねじ山結合部21により、スライダ21は、矢印33の方向において末端方向にも移動する。その際第2のねじ山結合部21のピッチは、有利には、第1のねじ山結合部19のピッチと少なくとも同じ大きさであり、その結果末端方向での送出部分18の移動はスライダ20によって阻止されない。
【0026】
噴出させるべき噴射液量を調整した後、操作者は操作ボタン8を矢印38の方向に、すなわち基端方向に押す必要がある。位置調整スリーブ7内には受容部36が形成され、該受容部内に加圧部材27が配置されている。加圧部材27は加圧細条部37を有し、該加圧細条部は基端方向においてロック部分26へ突出している。位置調整スリーブ7は、環状細条部34を介して、調整部分22のスリーブ状本体と結合されている。操作ボタン8を押すと、加圧細条部37は、環状細条部34内の開口部(
図4には図示せず)によって押され、これによってロック部分26を基端方向へ変位させる。これにより第1のロック装置25の個々のロック要素は非係合状態に達する。この位置を
図5および
図6に図示した。ロック装置25がもはや位置調整スリーブ7の戻り回転を阻止しないことにより、操作者は操作ボタン8を位置調整スリーブ7とともにさらに矢印38の方向において基端方向に移動させることができる。これによって、位置調整スリーブ7が基端方向においてその出発位置へ戻り、その際に、第3のねじ山結合部23が設けられているために調整部分22とともに回転する。スライダ20も戻り回転して、基端方向においてその出発位置へ移動する。
図6が示すように、スライダ20は、送出部分18の段部89に当接している段部68を有する。スライダ20は、基端方向でのその移動の際に、段部68と89を介して送出部分18を連行し、これによって該送出部分を同様に基端方向へ変位させる。送出部分18は操作ボタン8と相対回転不能に結合され、回転することはできず、第2のロック装置32によって案内されて、噴射器1の長手方向に移動することができる。ピストン棒15がハウジング2内で回転不能に保持されているので、該ピストン棒15は第1のねじ山結合部19を介して連行されて、栓17を基端方向へ移動させる。これにより、調整された量の噴射液が容器5から噴出する。
図6には、ピストン棒15に設けられた雄ねじ90も認められるが、これは第1のねじ山結合部19の一部である。
【0027】
図7ないし
図10は、第1のロック装置25の構成の詳細図である。第1のロック装置25はロック部分26にロックアーム39を含み、該ロックアームには、
図8に示したロック要素40が形成されている。
図7および
図8に図示した、ロック部分26および調整部分22の軸線方向相対位置では、ロック部分26のロック要素40は、調整部分22に設けたロック要素41,42,43,44と協働し、これらロック要素とともに第1のロック装置25を形成している。
図7および
図8は、操作ボタン8を操作しないときのゼロ位置での配置構成を示したものである。噴射器1のこの位置は
図1および
図2にも図示されている。
図7は、調整部分22の外周に配置されたスケール46と、第3のねじ山結合部23の一部である雄ねじ47をも示している。ロック部分26は縦溝48を有し、該縦溝により、ロック部分26は上部ハウジング部分3(
図2)内で回転不能に、しかし軸線方向に変位可能に案内されている。
【0028】
噴出させるべき噴射液量を調整する場合、調整部分22を、
図8に示した第1の回転方向45へ回転させる。
図8はゼロ位置での配置構成を示している。ロック要素40が調整部分22のロック要素42にロックすると、プライミング(priming)位置が達成される。調整部分22がさらに回転すると、第1の
噴出させるべき噴射液量に関係づけられる、ロック要素43での他のロック位置が達成されるとともに、第2の
噴出させるべき噴射液量(同時に
噴出させるべき最大噴射液量である)に関係づけられる、ロック要素44での他のロック位置が達成される。
図8が示すように、ロック要素41,42,43,44は周方向に互いに異なる間隔を有している。ロック要素40ないし44は、ロック装置25が作動したときに、すなわち
図7および
図8に示した、調整部分22とロック部分26の軸線方向相対位置で、第1の回転方向45にだけ回転できるように、構成されている。1つのロック位置に到達後、戻りはもはや不可能である。調整部分22が2つのロック位置にある間に位置調整スリーブ7が解放されると、ばね29がスライダ20を戻り回転させ、よってスライダ20と相対回転不能に結合されている調整部分22をも戻り回転させて、次に低いロック位置が達成される。これにより、第1のロック装置25のロック位置に関係づけられていない噴射液量の噴出が回避されている。
【0029】
図9および
図10は、
図5および
図6に示したような、操作ボタン8を押した後の配置構成を示している。操作ボタン8を基端方向に押すことにより、ロック部分26は基端方向に変位する。これにより、ロックアーム39はそのロック要素40によって、調整部分22に設けたロック要素41ないし44との係合を解除される。調整部分22は、第1の回転方向45とは逆方向の第2の回転方向51に戻り回転して、その出発位置に戻ることができる。その際、調整された噴射液量が噴出される。
【0030】
図11ないし
図16は、調整部分22の構成の詳細図である。
図12が示すように、それぞれのロック要素は、調整部分22の外周に対し比較的平坦に伸びている案内側部49と、調整部分22の外周に対し急傾斜で(本実施形態ではほぼ垂直に)延びているロック側部50とを有している。案内側部49とロック側部50との異なる傾斜角は、ロック位置が容易に達成されるように、しかし調整部分22が1つのロック位置からより低い配量へ戻ることができないよう保証している。しかしながら、第2の回転方向51に調整部分22を回転させることによってロック側部50を乗り越えて、調整部分22を戻ることができるようにロック要素40ないし44を形成してもよい。
【0031】
図14が示すように、調整部分22はその内面に歯部52を有している。歯部52は連結部24の一部であり、本実施形態では、ほぼ位置調整スリーブ7の高さに配置されている。調整部分22の末端部には、操作ボタン8のためのストッパー53が形成されている。
図5が示すように、操作ボタン8は、位置調整スリーブ7内に完全に押し込められた状態でストッパー53に当接している。調整部分22は、その基端領域の内周に2つの縦溝54を有し、これらの縦溝は互いに対向しあうように配置され、調整部分22とスライダ20とを相対回転不能に結合させるために用いる。位置調整スリーブ7の末端側には、操作ボタン8を保持する保持縁60が設けられている。
【0032】
図16は環状細条部34を示している。
図16が示すように、環状細条部34には4つの開口部55が形成され、これらの開口部を通じて加圧部材27の加圧細条部37(
図6)が突出している。これらの開口部55は長手中心軸線10のまわりに円弧状に形成されている。
【0033】
図17ないし
図21には、ロック部分26が詳細に示されている。
図17ないし
図19が示しているように、ロックアーム39はロック部分26の基端部に隣接して繰り抜き部56内に配置されている。
図21が示しているように、ロック要素40は、周方向に対しわずかに傾斜している案内側部57と、急傾斜に方向づけられているロック側部58とを有し、ロック側部は、ロック要素41ないし44の1つをロック側部50の後方でロックするために形成されている。ロック要素39は半径方向内側へ弾性を持つように形成され、すなわち材料の固有弾性で弾性を持つように形成されている。有利には、ロック部分26はプラスチックから成る。
図21も示しているように、外周には、均等に配分されて、上部ハウジング部分3との相対回転不能な結合のための4つの縦溝48が設けられている。
【0034】
図22ないし
図25は、加圧部材27の詳細を示している。加圧部材27は環状部分59を有し、該環状部分に操作ボタン8が末端側で当接している。基端方向において環状部分59からは4つの加圧細条部37が突出し、これら加圧細条部はそれぞれ円弧状に形成されている。加圧部材37は、操作ボタン8の非操作状態で環状細条部34(
図16)の開口部55を通じて突出しているが、これら開口部を完全に貫通しておらず、或いは、わずかだけ貫通している。
【0035】
図26ないし
図28は、操作ボタン8を一体成形した駆動体13の詳細を示している。
図26と
図27が示しているように、操作ボタン8は、外側へ突出している保持縁61を有している。保持縁61は、操作ボタン8の
非操作状態で調整部分22の保持縁60に当接し、これによって、
図4が示しているように操作ボタン8を末端方向に位置固定させている。
図26と
図28が示しているように、駆動体13はその外周に歯62を有している。本実施形態では、それぞれ3つの歯62の2つのグループが互いに対向しあって駆動体13の外周に配置されている。他の数量の歯62も有利である。歯62は調整部分22の歯52と協働し、これら歯とともに連結部24を形成している。歯62が歯部52内に配置されていれば、連結部24は閉じている。これは
図1ないし
図4に図示されている。操作ボタン8を押すと、歯62は歯部52との結合が解除される。噴射器1のこの位置は
図5および
図6に示されている。この位置で調整部分22は駆動体13に対し回転可能である。
【0036】
図27および
図28が示すように、駆動体13はその内周4に複数の縦細条部63を有している。縦細条部63は、送出部分18との相対回転不能な結合のために用いる。
【0037】
図29ないし
図32は、スライダ20の詳細を示している。スライダ20は、その基端部に雄ねじ67を担持している。スライダ20は、その末端領域の外周に、互いに対向しあって配置される2つの縦細条部64を有し、これらの縦細条部は、調整部分22との相対回転不能な結合のために用いられる。スライダ20は、雄ねじ67の末端側側面に、外側へ突出しているアーム65を有している。アーム65は開口部66を有し、該開口部にばね29が掛止されている。
図30が示しているように、スライダ20は、その基端部に隣接してその内面に段部68を有している。
図32が示すように、アーム65には、ゼロ位置を設定するための第1のストッパー140と、最大に調整可能な
噴出させるべき噴射液量を設定するための第2のストッパー141とが設けられている。ストッパー140と141の機能を以下に詳細に説明する。
【0038】
図33ないし
図37は、上部ハウジング部分3の構成の詳細図である。上部ハウジング部分3は、ほぼ視認窓6の高さに、互いに対向しあって配置される2つの止め部69を有している。上部ハウジング部分3は、その末端領域に4つの縦細条部70を有し、これらの縦細条部は、ロック部分26の縦溝48内へ突出して、ロック部分26を回転不能に且つ軸線方向に変位可能に上部ハウジング部分3内で保持する。上部ハウジング部分3は、内側へ突出する環状細条部71を有し、該環状細条部には雌ねじ72が形成されている。目ねじ72はスライダ20の雄ねじ67と協働して、これとともに第2のねじ山結合部21を形成している。
図37が示すように、環状細条部71は、ピストンガイド31を回転不能に固定するために用いられる2つの開口部79を有している。
【0039】
図38ないし
図42はねじ山部分30を示している。ねじ山部分30は、互いに対向しあって配置される、上部ハウジング部分3の止め部69を受容するための2つのロック穴75を有している。止め部69は、上部ハウジング部分3内でねじ山部分30を固定する。ねじ山部分30は雌ねじ74を有し、該雌ねじは調整部分22の雄ねじ47と協働して、これとともに第3のねじ山結合部23を形成している。ねじ山部分30はさらに視認窓73を有し、該視認窓は視認窓9に対し合同になるように配置され、調整部分22上のスケール46を操作者が視認できるようになっている。
図38と
図42が示しているように、ねじ山部分30は、ばね29の一端のための受容部76を有している。
【0040】
図43はばね29を示している。ばね29は、スライダ20の開口部66内に配置される第1の端部77と、作動時にねじ山部分30の受容部76内へ突出する第2の端部78とを有し、これによってばね29の第2の端部78はハウジングに固定される。これにより、スライダ20と、該スライダ20と相対回転不能に結合されている調整部分22とは、噴射器1のゼロ位置の方向へ、すなわち第2の回転方向51へ予め付勢されている。
【0041】
図44ないし
図47は、ピストンガイド31の詳細を示している。ピストンガイド31は2つのアーム82と82を有し、これらのアームは、
図37に示した上部ハウジング部分3の開口部79を通じて突出している。アーム82はアーム83よりも長く形成されている。アーム82は、第1のストッパー98と第2のストッパー99とを有している。第1のストッパー98は、作動時に、
図32に示したスライダ20の第1のストッパー40と協働して、これとともに噴射器のゼロ位置を設定する。第2のストッパー99はスライダ20の第2のストッパー141と協働して最大位置を設定する。
【0042】
図45および
図47が示すように、ピストンガイド31はロック構造部84を有し、該ロック構造部は、長手中心軸線10に対し平行に延びている多数の縦細条部85によって形成されている。ピストンガイド31はさらに開口部80を有し、該開口部は、互いに対向しあって配置される2つの平坦部81を有している。
図47に図示したように、ピストン棒15は対応する平坦部91を有している。平坦部81と91を介してピストン棒15はピストンガイド31内で回転不能に保持され、ピストンガイド31はアーム82と83を介して上部ハウジング部分31と相対回転不能に結合されている。これにより、ピストン棒15はハウジング2に対し回転することができない。
【0043】
図48ないし
図51は、送出部分18の詳細を示している。送出部分18はその基端部に2つのロックアーム35を有し、これらロックアームの端部にはそれぞれ、外側へ突出するロック要素87が配置されている。ロック要素87はピストンガイド31のロック構造部84と協働して、これとともに第2のロック装置32を形成している。送出部分18は、
噴出させるべき噴射液量の調整時にはハウジング3に対し回転し、
噴出させるべき噴射液量の噴出時には長手中心軸線10の方向で縦細条部85で案内されているので、ハウジング2に対するロック要素87の相対位置は、各噴射過程の後に変化する。ロック構造部84は次のように形成されており、すなわちここで定義されるロック位置が、ロック装置25を用いて調整可能なすべてのロック位置のためのディバイダを形成するように、形成されている。さらに、第2のロック装置32のロック位置は第1のロック装置よりもかなり弱く知覚可能、聞き取り可能であり、その結果操作者にとっては、
噴出させるべき許容噴射液量がいつ調整されたかをはっきりと認識できる。ロック構造部84の縦細条部85は左右対称に形成されており、その結果第2のロック装置32を戻すことができる。第2のロック装置32は次のように設計されており、すなわち
噴出させるべき許容噴射液量が調整されなかった場合に、ばね29に蓄積されているトルクが、第2のロック装置32の力を克服して調整部分22を次に低い
噴出させるべき許容噴射液量へ戻すために十分であるように、設計されている。
【0044】
図49が示すように、送出部分18は、その末端領域に、周部に均等に配分される4つの縦溝86を有している。縦溝86内には、駆動体13の縦細条部63が突出している。これによって駆動体13は送出部分18と相対回転不能に結合されている。送出部分18はその基端部に雌ねじ88を有し、該雌ねじは、ピストン棒15の雄ねじ90と協働して、これとともに第1のねじ山結合部19を形成している。
図51は、スライダ20が当接している、送出部分18の段部89をも示している。
【0045】
図52ないし
図61は、噴射器1の調整部分およびロック部分に対する他の実施形態を示している。同じ構成要素には同じ参照符号を付し、互いに対応しあっている構成要素にはダッシュを付した。
【0046】
図52および
図53は、調整部分21’をロック部分26’とともに示している。ロック部分26’は、構成要素を見やすくするために、作動時には到達できないような末端位置に配置されている。ロック部分26’はその末端側端面97にロック要素93,94,95,96を有している。ロック要素93はゼロ位置に割り当てられ、ロック要素94はプライミング位置に割り当てられ、ロック要素95は第1の医療に、ロック要素96は最大に調整可能な第2の
噴出させるべき噴射液量に割り当てられている。ばね28は、ロック部分26’を末端方向にあらかじめ付勢している。
図55が示しているように、調整部分22’は環状細条部34にロック要素92を有している。
図56ないし
図58は、ロック部分26’に設けたロック要素93ないし96の配置構成を詳細に示したものである。
図56が示しているように、それぞれのロック要素は、案内側部57とロック側部58とを有している。ロック側部57は平坦に延在し、他方ロック要素58は急傾斜に、長手中心軸線10に対しほぼ平行に延在している。
【0047】
図61が示すように、ロック要素92は、案内側部49とロック側部50とを有している。案内側部49も平坦に延在し、他方ロック側部50は急傾斜に延在している。これにより、
図52ないし
図61に図示した実施形態でも、一度調整した噴射液量のリセットは不可能である。
図52ないし
図61に示したロック装置は、ロック部分26がその末端位置にあるときにアクティブである。操作ボタン8(
図1)を基端方向に押して、加圧部材27(
図2)を介してロック部分26を基端方向へ移動させると、ロック要素93ないし96とロック要素92との係合が解除される。このとき、調整部分22‘はその出発位置へ戻ることができる。ロック要素92なしい96は軸線方向に作用し、他方ロック要素40ないし44は半径方向に作用する。
【0048】
図62ないし
図96は、噴射器101の1実施形態を示している。これまでの図に付した参照符号と同じ参照符号は、同じ構成要素を示している。噴射器101は、
図62および
図63においてゼロ位置で示されている。噴射器101はハウジング102を有し、ハウジングは、上部ハウジング部分103と、該上部ハウジング部分103の基端側に配置される下部ハウジング部分104とを含んでいる。下部ハウジング部分104内には、噴射液を備えた容器105が配置され、容器内には栓117が配置されている。上部ハウジング部分103は視認窓109を有し、該視認窓を通じてスケールを視認することができる。上部ハウジング部分103の間端部には操作要素106が配置され、操作要素は位置調整スリーブ107と操作ボタン108とを含み、位置調整スリーブと操作ボタンとは互いに固定結合されている。
図63が示すように、本実施形態では、位置調整スリーブ107と操作ボタン108とは互いに一体に形成されている。操作要素106は駆動体113とも一体に形成されている。操作要素106は、位置調整スリーブ117の領域に、内側へ突出して調整部分122の保持縁160に当接している保持縁161を有している。操作要素106はロック部分126の末端側に配置され、ロック部分はばね128によって末端方向にあらかじめ付勢されている。ばね128は、ロック部分126を介して操作要素106へも作用する。保持縁160と161は、操作要素106が末端方向へさらに移動するのを阻止する。噴射器101は縦中心軸線110を有している。噴射器101の末端部には、噴射針用の固定ねじ山111が設けられている。
【0049】
駆動体113は送出部分118と相対回転不能に結合され、送出部分は、第1のねじ山結合部119を介して、
噴出ピストン114のピストン棒115と結合されている。
噴出ピストン114は、その基端側に、容器105の栓117に当接しているピストンディスク116を担持している。ピストン棒115は、ピストンガイド131内でハウジング102に対し相対回転不能に保持されている。送出部分118は段部89を有し、該段部にスライダ120の段部68が当接している。スライダ120は、第2のねじ山結合部121を介して、ハウジング102と結合されている。スライダ120は調整部分122と相対回転不能に結合され、調整部分は第3のねじ山結合部123を介してハウジング103と結合されている。第3のねじ山結合部123は、ハウジング102内で固定保持されているねじ山部分130と調整部分122との間に形成されている。ねじ山部分130の外周にはばね128が案内されている。ねじ山部分130とスライダ120との間で第2のばね129が作用し、第2のばねはねじりばねとして形成され、スライダ120を噴射器101のゼロ位置の方向にあらかじめ付勢している。ロック部分126と調整部分122との間でロック装置125が作用する。
【0050】
調整部分122と駆動体113との間には、第1の連結部124が設けられている。
図63では、第1の連結部はゼロ位置で閉じている。位置調整スリーブ127を回転させると、駆動体113と第1の連結部124とを介して調整部分122が連行される。操作要素106とロック部分126との間には、第2の連結部127が設けられている。第2の連結部は連結部分132を含み、
図63では、第2の連結部はゼロ位置で開口している。この位置で操作要素106をロック部分126に対し回転させることができる。連結部分132は、調整部分122の保持縁136と137の間で軸線方向において調整部分122に固定保持されている。この場合、連結部分132は製造公差の範囲内で調整部分122に対し軸線方向に可動であってよい。連結部分132はロック部分126と相対回転不能に結合されている。ロック部分126を介して連結部分132はハウジング102と相対回転不能に結合されている。
図63に示した第2の連結部127の開口位置では、連結部分132は完全にロック部分126の内部にある。第2の連結部127のこの位置で、連結部分132は操作要素106に対し回転可能である。しかし、連結部127の開口位置で連結部分132が完全に操作要素106の内部にあり、操作要素106と相対回転不能に結合され、ロック部分126およびハウジング102に対し回転可能であるのも有利である。
【0051】
噴出させるべき噴射液量を調整する際、操作者は位置調整スリーブ107を回転させる。調整部分122との相対回転不能な結合により調整部分122も移動し、調整部分は、第3のねじ山結合部123により、矢印33の方向においても末端方向に移動する。ばね128はロック部分126と操作要素106とを調整部分122の保持縁160に対し押圧させ、これらの構成要素を、調整部分122の末端側への移動の際に追従させる。駆動体113および走出部分118の相対回転不能な結合により、送出部分118が回転し、第1のねじ山結合部119により末端方向へ移動する。スライダ120は調整部分122によって連行され、第2のねじ山結合部121により同様に末端方向に移動する。
【0052】
図64および
図65は、
噴出させるべき最大噴射液量を調整した後の配置構成を示している。本実施形態では、視認窓109内に数字「2」が表示されている。ロック部分126は部分的に上部ハウジング部分103から移動している。調整部分122とロック部分126との軸線方向における相対位置は変化しておらず、その結果ロック装置125は調整過程の間ずっと動作状態にある。調整過程の際、ばね129はスライダ120とハウジング103との相対回転により緊張せしめられる。
【0053】
調整した噴出させるべき噴射液量を噴出させるため、操作ボタン108は矢印38の方向において基端方向に変位する。操作ボタン108の基端側位置は
図66および
図67に示されている。操作ボタン108は、調整部分122のストッパー53が操作ボタン108に当接するまで押すことができる。この位置で保持縁160と161は互いに間隔を有している。操作要素106は、その基端側に、ロック部分126に当接している押圧縁112を有している。操作ボタンを基端方向に変位させると、押圧縁112はロック部分126に作用し、ロック部分126を基端方向に変位させる。これによって押圧縁112は連結部分132の領域に到達し、第2の連結部127は閉鎖する。この位置で連結部分132は操作要素106およびロック部分126の双方と相対回転不能に結合されている。これによって操作ボタン108はハウジング102に対し回転不能に保持されている。
【0054】
操作ボタン108を基端方向に変位させると、駆動体113と調整部分122との間の第1の連結部124も解除される。これにより調整部分122は操作ボタン108と連結部分132とロック部分126とに対し回転可能である。操作ボタン108をさらに変位させると、調整部分122は基端方向に変位する。その際調整部分122は、第3のねじ山結合部123が設けられているためにハウジング102に対し回転し、スライダ120を連行し、該スライダも同様に長手中心軸線110のまわりに回転し、第2のねじ山結合部121が設けられているために基端方向に移動する。スライダ120は段部68と69を介して送出部分118に作用し、送出部分118を基端方向に変位させる。その際送出部分118は、閉じている第2の連結部127により、駆動体113と操作要素106と連結部分132とロック部分126とを介してハウジング102と相対回転不能に結合されている。スライダ120は、送出部分118を、同様にハウジング102に対し回転阻止されているピストン棒115とともに基端方向に移動させ、これによって噴射液を容器5から噴出させる。
【0055】
噴射器101の第2の連結部127は、噴射の間、ハウジング102に対する送出部分118の回転を阻止している。この限りでは、噴射器101の第2の連結部127は噴射器1のロック装置32(たとえば
図6を参照)の代用である。
【0056】
図68ないし
図71は、第2の連結部127の詳細を示している。
図69が示すように、連結部127が開いているとき、ロック装置125は動作状態にある。第1の連結部124は閉じている。
図71が示すように、操作ボタン108の基端位置で第1の連結部124は開いており、第2の連結部127は閉じている。ロック装置125は、ロック部分126と調整部分122とのロック要素が互いに係合していないので、非動作状態にある。操作ボタン108とロック部分126とは互いに相対回転不能に結合されている。
【0057】
図72ないし
図76は、調整部分122の詳細を示している。調整部分122はロック要素41ないし44を有している。調整部分122の内周には、第1の連結部124の歯部52が配置されている。
【0058】
図77ないし
図82は、ロック部分126の詳細を示している。ロック部分126は、該ロック部分126の末端側にある内側歯部135の点でロック部分26とは異なっている。
【0059】
図83ないし
図85は、連結部分132を示している。連結部分132は、その外周に外側歯部133を有するリングとして形成されている。外側歯部133はロック部分126の内側歯部135と協働し、その結果連結部分132はロック部分126内で回転不能に保持されている。
【0060】
図86ないし
図89は、駆動体113を示している。駆動体113は押圧縁112に内側歯部134を有し、該内側歯部はロック部分126の内側歯部135に対応している。操作ボタン108の基端位置で連結部分132は内側歯部134内へ突出して、ロック部分126を駆動体113と相対回転不能に結合させる。これにより駆動体113は、よって送出部分118もハウジング102に対し回転が阻止されている。
図87が示すように、保持縁161は歯部134の末端側に配置されている。
図88および
図89は、駆動体113の縦細条部63および歯62も示している。
【0061】
図90ないし
図93は、開口部80を備えたピストンガイド131を示している。
図91および
図93が示すように、ピストンガイド131にはロック構造部が設けられていない。送出部分118とピストンガイド131との間にロック装置は必要ない。というのは、操作ボタン108を押して第2の連結部127が閉じたとき、送出部分118は、駆動体113と第2の連結部127とを介して、ロック部分126と、よってハウジング102と相対回転不能に結合されているからである。これによって、調整した噴射液量を噴出する際の操作ボタン108の回転、よってスライダ118の回転は、確実に阻止されている。
図94および
図96が示すように、送出部分118は対応的にロックアームを有していない。送出部分118はスリーブ状に形成され、縦溝86と雌ねじ88とを有している。
【0062】
図97ないし
図106は噴射器201の1実施形態を示し、その構成はほぼ噴射器101の構成に対応している。これまでの図に用いた参照符号と同じ参照符号は同じ構成要素を表している。噴射器201は、ハウジング202と操作要素206とを有している。操作要素206は操作ボタン208を有している。
図98が示すように、ハウジング202内では、ロック部分226が縦溝48と縦細条部70とを介して回転不能に、且つその長手中心軸線210の方向に変位可能に保持されている。噴射器201は、さらに調整部分222を有し、該調整部分は、本実施形態では、半径方向にてロック部分226の内側に配置されている。ロック部分226と調整部分222との間でロック装置225が作用する。ロック装置225は、調整部分222に形成されて、ロックアーム39に弾性で保持されているロック要素40と、ロック部分226に設けたロック要素41,42,43,44とを有している。
【0063】
図99ないし
図103は、ロック部分226の構成の詳細を示している。ロック部分226は、その末端領域に、連結部分132の外側歯部133との相対回転不能な結合のために内側歯部135を有している。ロック部分226の内周には、基端領域に、
図100および
図102が示しているようにロック要素41ないし44が配置されている。
図102が示すように、ロック要素41ないし44は、ロック部分226の内周に設けた傾斜状の隆起部として形成されている。
図103は内側歯部135を示し、内側歯部は、本実施形態では、複数の中断部235によって中断されている。
【0064】
図104ないし
図106は、調整部分222の詳細を示している。調整部分222は、基端領域の外周に雄ねじ47を担持している。調整部分222は、その基端領域に歯部252を有している。歯部252は、連結部124に対応する連結部の一部であり、操作要素206との相対回転不能な結合に用いられる。操作要素206は、その内面に設けた、歯部252に付設される歯部(図示せず)を担持している。中央領域(その外径は、雄ねじ47の外径に比べて著しく小さい)には、ロック要素40を備えたロックアーム39が設けられている。
【0065】
噴射器201の機能は、噴射器101に対し述べた機能に対応している。ロック部分226に位置固定のロック要素41ないし44を配置し、調整部分222にロック要素40を備えたロックアーム39を配置したことにより、調整部分222の製造時に、調整部分222を射出成形金型から除去するのが容易になる。噴射器201に
、噴出させるべき噴射液量の他の調整が必要な場合、したがって他のロック位置が必要な場合には、単にロック部分226に設けたロック要素41ないし44の位置を変更しさえすればよい。製造が面倒な調整部分222は変更せずに、そのまま使用できる。
【0066】
噴射器201の場合、
図97および
図98に示したゼロ位置のためのストッパーは、ロック要素40とロック要素41との間に形成されている。しかし、ゼロ位置のためのストッパーを、ロック部分226と調整部分222との間に形成するのではなく、スライダ120(
図63)とハウジング202との間に形成してもよい。ストッパーは、たとえばスライダ120に設けた軸線方向隆起部によって形成されていてよく、該軸線方向隆起部は、ハウジング201に設けた対応する隆起部または繰り抜き部と協働する。
【0067】
噴射器1,101,201の場合、ロック装置25,125,225はそれぞれ、ハウジング2,102,202内に回転不能に保持されているロック部分26,26‘,126,226と、
噴出させるべき噴射液量の調整の際に第1の回転方向45に回転し、
噴出させるべき噴射液量の噴出の際には逆の回転方向51に回転する調整部分22,22’,122,222との間で作用する。
噴出させるべき噴射液量の噴出の際に調整部分22,22’,122,222が戻り回転することにより、各ロック位置には、ロック部分26,126,226に対する調整部分22,22‘,122,222の所定位置が割り当てられている。これにより、複数のロック位置の間で異なる間隔を設けることができる。
噴出させるべき噴射液量を調整するには、操作者は所定のロック位置を強く押すだけでよい。噴射器1に設けられている(噴射器101,201には設けられていない)第2のロック装置32の場合だけ、付加的にロック装置の複数の中間ステップを克服せねばならないが、その抵抗力はロック装置25の抵抗力よりも著しく小さい。これにより、人間工学的な簡単な操作が得られる。