(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の導電性ローラは、表面にシリカ微粒子が付着したシリカ付着層を備えていれば、他の構成は特に限定されない。例えば、本発明の導電性ローラは、軸体、導電性シリコーン弾性層を有していてもよく、また、軸体と導電性シリコーン弾性層の間又は導電性シリコーン弾性層とシリカ付着層との間に接着層又はプライマー層等の中間層を有していてもよい。
【0016】
本発明の導電性ローラを、その一例を挙げて、説明する。
本発明の導電性ローラの一例である現像ローラは、
図1に示されるように、軸体2と導電性シリコーン弾性層3とシリカ付着層4とを備えている。
【0017】
軸体2は、従来公知の現像ローラにおける軸体と同様である。
軸体2は、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮等で構成された所謂「芯金」であり、良好な導電特性を有している。軸体は熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂等の絶縁性芯体にメッキを施して導電化した軸体であってもよいが、金属で形成された、高伝導性のものが好ましい。
【0018】
導電性シリコーン弾性層3は、シリコーンゴム、好ましくは後述するシリコーンゴム組成物の硬化物で形成されている。
導電性シリコーン弾性層3は、発泡ゴムからなる発泡層であってもよいが、厚み精度が優れる点で、中実な層であるのが好ましい。なお、本発明において「中実」とは、内部に中空部が存在しない場合に加えて、例えば0.1個/mm
2以下の中空部が存在する場合をも包含する。
【0019】
導電性シリコーン弾性層3は、20〜50のJIS A硬度を有しているのが好ましい。導電性シリコーン弾性層3が20〜50のJIS A硬度(JIS K6301)を有していると、現像ローラ1と被当接体との接触面積(ニップ幅ともいう)が大きくなり、転写効率、帯電効率又は現像効率等が改善される。また、感光体等の被当接体に機械的ダメージを与えるおそれが低減される。
【0020】
導電性シリコーン弾性層3は、被当接体との当接状態において被当接体と導電性シリコーン弾性層3との均一なニップ幅を確保することができる等の点で、その厚さは、0.5〜10mmが好ましく、1〜5mmが特に好ましい。
【0021】
導電性シリコーン弾性層3の外周面全面に後述するウレタン樹脂組成物の硬化物でウレタンコート層が形成され、この外周面にシリカが付着している。このウレタンコート層とシリカを合わせてシリカ付着層4という。
シリカ付着層4は、表面にシリカ微粒子が点在状に付着している。シリカ微粒子の粒径は、特に限定されないが、好ましくはレーザー顕微鏡では確認できない程度の微粒子であり、例えば、ナノ粒子が凝集したマイクロメータオーダーの微粒子である。このような微粒子であるとトナー搬送性及び脱離性が優れる。
【0022】
シリカ付着層4の表面積に対するシリカ微粒子の表面積の割合(本発明において面積比率という)は、10〜60%である。面積比率が10%未満であると、シリカ微粒子を付着させた効果が十分に発揮されず、ウレタンコート層の、トナーを付着する付着力を低下させることができない。一方、面積比率が60%を超えると、シリカ微粒子を付着させた効果が過剰に発揮され、必要量のトナーを付着させることができなくなる。
面積比率は、好ましくは15〜45%である、さらに好ましくは20〜40%である。面積比率が上記範囲内にあると、トナー付着力を適度に低下させて、トナーの付着量とトナーの脱離性をバランスよく両立できる。
【0023】
ここで、面積比率は、以下のようにして、測定、算出する。
シリカ付着層4の表面を電子顕微鏡により、例えば倍率2500倍で、観察し、表面の二次元画像を得る。この表面画像を二値化(条件:ソフトにより2値化、しきい値は自動調整にて設定。)して、シリカ付着層のピクセル数を範囲内の全ピクセル数で除した値を、シリカ付着層4の面積比率とする。
【0024】
この面積比率は、後述する表面処理の条件によって、適宜に調整できる。
【0025】
シリカ付着層4は、表面を元素分析したときの、全元素に対するシリカ元素の割合(本発明においてモル比率という)が0.5〜18モル%である。モル比率が0.5モル%未満であると、シリカ微粒子を付着させた効果が十分に発揮されない。一方、モル比率が18%を超えると、シリカ微粒子を付着させた効果が過剰に発揮される。
モル比率は、好ましくは0.8〜10モル%である、さらに好ましくは1.0〜8モル%である。モル比率が上記範囲内にあると、トナー付着力を適度に低下させて、トナーの付着量とトナーの脱離性をバランスよく両立できる。
【0026】
ここで、面積比率は、以下のようにして、測定、算出する。
すなわち二値化された画像より、しきい値を決め白の黒の画像に振り分ける。全画素数に対する白の画素の割合を求める。
なお、「表面」とは、シリカ付着層の深さ10nm〜2μmまでの表層をいう。
【0027】
この面積比率は、後述する表面処理の条件によって、適宜に調整できる。
【0028】
シリカ付着層4は、現像ローラ1が導電性を有していれば、導電性を有していても有していなくてもよいが、導電性を有しているのが好ましい。シリカ付着層4の導電性は、例えば、後述する樹脂組成物における導電性付与剤の含有量によって調整することができる。
【0029】
シリカ付着層4は、通常、10nm〜2μmの層厚を有しているのが好ましく、10nm〜1μmの層厚を有しているのがより好ましい。
【0030】
シリカ付着層4は、算術平均粗さRaが0.5〜3.0μmであるのが好ましい。算術平均粗さRaは、JIS B0601−1984に準じて、先端半径2μmの測定プローブを備えた表面粗さ計(商品名「590A」、東京精密社製)に、現像ローラ1をセットし、測定長2.4mm、カットオフ波長0.8mm、カットオフ種別ガウシアンにより、少なくとも3点を測定点として測定した値の平均値とする。
【0031】
本発明の導電性ローラの製造方法(以下、本発明の製造方法という。)は、導電性シリ導電性シリコーン弾性層の外周に設けられたウレタンコート層に特定の表面処理を施す表面処理工程を有する。この表面処理は、シリカ微粒子を形成してウレタンコート層の表面に付着させる処理であれば、特に限定されない。
本発明の製造方法を、現像ローラ1を例にして、説明する。
【0032】
本発明の製造方法では、必須ではないが、導電性ローラ1を製造する場合には軸体2を準備又は作製する。軸体2は、上記材料を用いて、公知の方法により棒状体に作製される。なお、軸体2は、所望により、その外周面を洗浄、脱脂処理等してもよい。
【0033】
次いで、本発明の製造方法では、軸体2の外周に導電性シリコーン弾性層3を形成する。
導電性シリコーン弾性層3を形成するシリコーンゴム組成物は、オルガノポリシロキサン及び導電性付与剤を含有するシリコーンゴム組成物であれば、特に制限されない。
【0034】
導電性付与剤は、導電性を有していれば特に限定されず、例えば、導電性カーボン、ゴム用カーボン類、金属、導電性ポリマー等の導電性粉末が挙げられる。
シリコーンゴム組成物は、各種の添加剤を含有していてもよい。このような添加剤としては、例えば、鎖延長剤及び架橋剤等の助剤、触媒、分散剤、発泡剤、老化防止剤、酸化防止剤、充填材、顔料、着色剤、加工助剤、軟化剤、可塑剤、乳化剤、耐熱性向上剤、難燃性向上剤、受酸剤、熱伝導性向上剤、離型剤、溶剤等が挙げられる。
【0035】
シリコーンゴム組成物として、軸体2との高い密着性を発現する点で、付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物、付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物、付加反応型発泡シリコーンゴム組成物等が好ましく、これらのなかでも、特に、付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物が好ましい。
【0036】
付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物としては、一分子中にケイ素原子と結合するアルケニル基を少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサン、一分子中にケイ素原子と結合する水素原子を少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、平均粒径が1〜30μmで嵩密度が0.1〜0.5g/cm
3である無機質充填材、導電性付与剤及び付加反応触媒を含有する付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物が挙げられる。付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物において、オルガノポリシロキサン100質量部に対して、オルガノハイドロジェンポリシロキサンは0.1〜30質量部、無機質充填材は5〜100質量部、導電性付与剤は2〜80質量部が好ましく、付加反応触媒はオルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンの合計質量に対して0.5〜1,000ppmが好ましい。
この付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物は、特開2008−058622号公報に記載の「付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物」を用いることができ、これに記載された内容は本明細書に組み込まれる。
【0037】
付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物としては、平均組成式:RnSiO
(4−n)/2(Rは、同一又は異なっていてもよい、置換又は非置換の一価炭化水素基、好ましくは炭素原子数1〜12、より好ましくは炭素原子数1〜8の一価炭化水素基であり、nは1.95〜2.05の正数である。)で示されるオルガノポリシロキサン、充填材、及び、該充填材に属するもの以外の導電性材料を含有する付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物が挙げられる。付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物において、オルガノポリシロキサン100質量部に対して、充填材は11〜39質量部、導電性材料は2〜80質量部が好ましい。
この付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物は、特開2008−058622号公報に記載の「付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物」を用いることができ、これに記載された内容は本明細書に組み込まれる。
【0038】
付加反応型発泡シリコーンゴム組成物としては、ビニル基含有シリコーン生ゴム、シリカ系充填材、発泡剤、付加反応架橋剤、付加反応触媒、反応制御剤を含有し、所望により有機過酸化物架橋剤及び各種添加剤を含有する付加反応型発泡シリコーンゴム組成物が挙げられる。このシリコーンゴム組成物において、ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して、シリカ系充填材は5〜100質量部、発泡剤は0.1〜10質量部、付加反応架橋剤は0.01〜20質量部、反応制御剤は0.1〜2質量部、付加反応触媒は組成物全体に対して1〜1,000ppmが好ましい。
この付加反応型発泡シリコーンゴム組成物は、特開2008−076751号公報に記載の「付加反応型発泡シリコーンゴム組成物」を用いることができ、これに記載された内容は本明細書に組み込まれる。
【0039】
導電性シリコーン弾性層3は、シリコーンゴム組成物を軸体2の外周面に配置し、シリコーンゴム組成物を硬化して、成形される。シリコーンゴム組成物の硬化及び成形はシリコーンゴム組成物の配置と同時に行うことができ、またこれらを連続して行うこともできる。シリコーンゴム組成物の硬化方法はシリコーンゴム組成物の硬化に必要な熱を加えられる方法であればよく、また導電性シリコーン弾性層3の成形方法も押出成形による連続加硫、プレス、インジェクションによる型成形等、特に制限されるものではない。具体的には、シリコーンゴム組成物が付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物である場合には、例えば、押出成形等を選択することができ、シリコーンゴム組成物が付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物である場合には、例えば、金型を用いる成形法、射出成形法を選択することができ、シリコーン組成物が付加反応型発泡シリコーンゴム組成物である場合には例えば、押出成形及び金型を用いる成形法を選択することができる。
【0040】
シリコーンゴム組成物を硬化させる際の加熱温度及び加熱時間は、付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物の場合は100〜500℃、特に120〜300℃であるのが好ましく、数秒以上1時間以下、特に10秒以上〜35分以下であるのが好ましく、付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物の場合は100〜300℃、特に110〜200℃であるのが好ましく、5分〜5時間、特に1〜3時間であるのが好ましく、付加反応型発泡シリコーンゴム組成物である場合は170〜500℃、特に200〜400℃であるのが好ましく、数分以上1時間以下、特に5〜30分間であるのが好ましい。このようにしてシリコーンゴム組成物を軸体2の外周面で硬化させる。硬化したシリコーンゴム組成物を、所望により、二次硬化させることもできる。
【0041】
導電性シリコーン弾性層3は、所望により、その表面が研磨、研削されて、外径及び表面状態等が調整される。また、導電性シリコーン弾性層3の外周にプライマー層が形成されてもよい。
【0042】
ウレタンコート層は、このようにして形成された導電性シリコーン弾性層3、又は、所望により形成されたプライマー層の外周面に、樹脂組成物を塗工し、次いで、塗工された樹脂組成物を加熱硬化させて、形成される。
【0043】
本発明の製造方法では、導電性シリコーン弾性層3の外周にウレタンコート層を形成する。
ウレタンコート層を形成する樹脂組成物は、ウレタン樹脂を形成する前駆体と、所望により導電性付与剤と、所望により各種添加剤とを含有する。
【0044】
ウレタンコート層を形成するウレタン樹脂は、ポリエステルウレタン樹脂が耐熱性に優れ、後述する表面処理を施すことができる点で、好ましい。
ポリエステルウレタン樹脂を形成する前駆体であるウレタン調製成分は、ポリエステルウレタン樹脂を形成できればよく、例えば、ポリエステルポリオールとイソシアネートとの混合物が挙げられる。
【0045】
ポリエステルポリオールとしては、特に限定されず、分子中に2以上のエステル結合及び2以上の水酸基を有する化合物が挙げられる。具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、その他の低分子ポリオールの1種又は2種以上と、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸、その他の低分子カルボン酸やオリゴマー酸の1種又は2種以上との縮合重合体、又は、プロピオンラクトン、バレローラクトン、カプローラクトンのような開環重合体等が挙げられる。
【0046】
ポリエステルポリオールとして、耐熱性の良いポリカーボネートポリオールを用いることもできる。また、性能向上のため少量のポリオレフィンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリアクリルポリオール等が混在したものであっても、後述する表面処理の熱に影響を及ぼさないものであれば用いることもできる。
ポリエステルポリオールは、1種又は2種以上を使用できる。
【0047】
ポリイソシアネートは、ポリウレタンの調製に通常使用される各種ポリイソシアネートであればよく、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートのカルボジイミド変性ポリイソシアネート、又は、これらのイソシアヌレート変性ポリイソシアネート等が挙げられる。
ポリイソシアネートは、1種又は2種以上を使用できる。
【0048】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'−MDI)、2,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4'−MDI)、1,4−フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート等が挙げられる。
【0049】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアナートメチル(NBDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が挙げられる。
【0050】
脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、H6XDI(水添XDI)、H12MDI(水添MDI)、4,4’−ジシクロへキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
【0051】
ポリオールとポリイソシアネートとの混合物における混合割合は、特に限定されないが、通常、ポリエステルポリオールに含まれる水酸基(OH)と、ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基(NCO)とのモル比率(NCO/OH)が0.7〜1.15であるのが好ましい。このモル比率(NCO/OH)は、ポリウレタンの加水分解を防止することができる点で、0.85〜1.10であるのがより好ましい。
【0052】
ウレタン調整成分には、ポリエステルポリオール及びポリイソシアネートに加えて、ポリオールとポリイソシアネートとの反応に通常使用される助剤、例えば、鎖延長剤、架橋剤等を併用してもよい。鎖延長剤、架橋剤としては、例えば、グリコール類、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン及びアミン類等が挙げられる。
【0053】
樹脂組成物の塗工は、例えば、樹脂組成物の塗工液を塗工する塗布法、塗工液に導電性シリコーン弾性層3等を浸漬するディッピング法、塗工液を導電性シリコーン弾性層3等に吹き付けるスプレーコーティング法等の公知の塗工方法によって、行われる。樹脂組成物は、そのまま塗工してもよいし、樹脂組成物に、例えば、メタノール及びエタノール等のアルコール、キシレン及びトルエン等の芳香族系溶媒、酢酸エチル及び酢酸ブチル等のエステル系溶媒等の揮発性溶媒、又は、水を加えた塗工液を塗工してもよい。
このようにして塗工された樹脂組成物を硬化する方法は、樹脂組成物の硬化等に必要な熱又は水分を加えられる方法であればよく、例えば、樹脂組成物が塗工された導電性シリコーン弾性層3等を加熱器で加熱する方法、樹脂組成物が塗工された導電性シリコーン弾性層3等を高湿度下に静置する方法等が挙げられる。樹脂組成物を加熱硬化させる際の加熱温度は、例えば、100〜200℃、特に120〜160℃、加熱時間は10〜120分間、特に30〜60分間であるのが好ましい。
なお、塗工に代えて、樹脂組成物を導電性シリコーン弾性層3又はプライマー層の外周面に、押出成形、プレス成形、インジェクション成形等の公知の成形方法によって、積層すると共に、又は、積層した後に、積層された樹脂組成物を硬化させる方法等が採用されることができる。
【0054】
このようにしてウレタンコート層を形成できる。
【0055】
本発明の製造方法では、次いで、ウレタンコート層を表面処理して、シリカ付着層4を形成する。
この表面処理は、シリカ微粒子を形成して、ウレタンコート層の表面に付着させる処理であれば、特に限定されない。この処理は、ウレタンコート層のウレタン樹脂を改質し、シリカ微粒子の形成を可能とする処理が好ましい。例えば、シラン化合物を含有する燃料ガスの火炎(酸化火炎)をウレタンコート層の表面に当てるフレーム処理を行った後にイトロ処理を行うことや、プラズマ処理後のプラズマコーティング処理が挙げられる。
【0056】
イトロ処理によれば、シラン化合物を酸化火炎と共にウレタンコート層の表面に当てて(吹き付けて)、ウレタン樹脂を改質し、シリカ微粒子を形成できる。
シラン化合物は、ケイ素原子を含み、二酸化ケイ素を形成できるものであれば特に限定されず、好ましくは有機ケイ素化合物が挙げられる。有機ケイ素化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラン、ヘキサメチルジシラザン、アルコキシシラン(メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
なかでも、ヘキサメチルジシラン、ヘキサメチルジシロキサンやヘキサメチルジシラザンが好ましい。
【0057】
燃料ガスは、液化天然ガス(LNG)、液化石油ガス(LPG)、液化ブタンガス(LBG)が挙げられる。
【0058】
イトロ処理をするに当たって、気化したシラン化合物及びLPGの混合物を燃焼させるバーナーと、このバーナーの下方に位置して処理対象物を搭載し、バーナーを火炎下に回転し、搬送することを備えた装置を用いることができる。例えば、CCVD法を用いる1バーナータイプの装置((株)イトロ製)が挙げられる。
イトロ処理条件は、ウレタンコート層の表面積、形成するシリカ微粒子量等に応じて一義的には定められないが、例えば、バーナーの有効幅を処理対象物の有効幅にあわせてバーナーを作成し、バーナーから処理対象物までの距離を10〜100mm、好ましくは40mmとし、処理対象物の回転速度を10〜1500rpm、好ましくは300rpm、処理対象物の搬送速度0.1〜4m/min、好ましくは1m/minに、それぞれ、設定できる。
また、シラン化合物の流量(使用量)は0〜3L/min、好ましくは1.8L/min、LPGの流量(使用量)は0〜5L/min、好ましくは3.5L/min、エアの流量(使用量)は20〜200L/min、好ましくは100L/minに、それぞれ、設定できる。
【0059】
イトロ処理は、上記条件を設定した後に、点火してバーナーから火炎を噴出させ、この火炎の下方を、回転させながら搬送した処理対象物を通過させることにより、ウレタンコート層の表面に火炎を当てて、その表面を処理する。このときの表面温度は、特に限定されないが、例えば、30〜250℃が好ましい。このようにして、イトロ処理を行うと、シラン化合物から、例えば縮合により、シリカ粒子を形成できる。
なお、本発明の製造方法において、イトロ処理装置は、処理対象物を回転させ、バーナーが移動可能なものを用いることもできる。なお、接着力をより強固にするため、処理対象物の表面を最初に酸化火炎処理を行った後、イトロ処理を行ってもよい。
【0060】
プラズマコーティング処理は、シラン化合物をプラズマと共にウレタンコート層の表面に当てて(吹き付けて)、ウレタン樹脂を改質し、シリカ微粒子を形成できる。接着を強固にするにはウレタン樹脂の表面をプラズマ処理してから、プラズマコーティング処理をしたほうがよい。
プラズマコーティング処理に用いる原料は、イトロ処理と同様の材料を用いる。
【0061】
プラズマコーティング処理に用いる装置は、気化したシラン化合物と気体の混合ガスをコロナ放電、グロー放電、高周波、アーク、誘電体バリア放電等によって発生したプラズマと混合し、被着体表面にシリカ微粒子を付着させる装置であって、処理対象物が回転し、プラズマコーティングヘッドが長手方向にトラバースすることによって加工する装置である。例えば、ACXYS製プラズマコーティング装置のような誘電体バリア放電を利用したコーティング装置が挙げられる。
【0062】
誘電体バリア放電を利用した大気圧プラズマコーティング処理における条件は、以下の通りである。プラズマに必要なガスは、He、Ar、N
2、O
2、H
2、空気等が挙げられるが、安価な空気を使用した場合のプラズマ発生条件は860watts、ガス流量86l/minコーティングガス条件はシリカ化合物0.15mL/min、空気5L/minによってガス化させる。すなわちウレタンコート層の表面積、形成するシリカ微粒子量等に応じて一義的には定められないが、例えば、プラズマノズルの形状がφ5mmの形状の場合、処理対象物までの距離を5〜50mm、好ましくは20mmとし、処理対象物の回転速度を10〜1500rpm、好ましくは1300rpm、処理対象物の搬送速度0.01〜4m/min好ましくは0.1m/minに、それぞれ、設定できる。表面処理温度は、特に限定されないが、例えば、30〜250℃が好ましい。
また、シラン化合物の流量(使用量)は0〜1mL/min、好ましくは0.15mL/min、空気の流量(使用量)は0〜20L/min、好ましくは5L/min、に、それぞれ、設定できる。
【0063】
このようにしてプラズマコーティング処理を行うと、シラン化合物からシリカ粒子を形成できる。
【0064】
上記表面処理により、ウレタンコート層をシリカ付着層4にすることができる。形成されたシリカ付着層4は上記した通りである。
このようにして、現像ローラ1が製造される。
【0065】
このようにして製造される現像ローラ1は、表面に点在状に、しかも強固にシリカ微粒子が付着しており、ウレタンコート層の表面のベタつきを改善することができる。また、シリカ付着層4の表面にトナー、特にトナー中のシリカを付着しにくくすることができ、トナー固着(フィルミングともいう)によるトナーの堆積を抑え、初期状態との付着状態の変化を少なくして長期間にわたって品質を安定させることができる。このように、トナーの過剰な付着を防止でき、ひいてはトナー離れをも改善させることができる。したがって、適切なトナー付着力を有し、トナーの過剰な堆積を長期間防止できる。
また、粒径が小さなシリカ微粒子は、シリカ付着層内に存在するのではなく、表面に付着しており、層内に含有する場合と比較して、現像ローラ1自体の硬度の上昇を抑えることができる。したがって、現像ローラ1と被当接体との接触面積が大きくなり、転写効率、帯電効率又は現像効率等が改善される。また、感光体等の被当接体に機械的ダメージを与えるおそれが低減される。
【0066】
本発明の製造方法は、シリカ微粒子を形成し、しかもシリカ付着層4の表面に強固に付着させることができ、本発明の導電性ローラの製造に好適である。
しかも、シリカ微粒子はシリカ付着層4に強固に付着しているため、アルコールでシリカ付着層4を拭いてもシリカ微粒子が脱落することもなく、最終組立工程までのハンドリング性にも優れる。
また、ウレタンコート層の表面を均一に表面処理することができる。
さらに、上記表面処理は、簡便な方法であり、工程管理もしやすく、また歩留まりも低く抑えられる。したがって、導電性ローラを廉価に製造することができる。
【0067】
次に、本発明の現像装置及び本発明の画像形成装置の一実施態様を、
図2を参照して、説明する。
画像形成装置10は、各色の現像ユニットB、C、M及びYに装備された複数の像担持体11B、11C、11M及び11Yを転写搬送ベルト6上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置であり、現像ユニットB、C、M及びYが転写搬送ベルト6上に直列に配置されている。現像ユニットBは、像担持体11B例えば感光体(感光ドラムとも称される。)と、帯電手段12B例えば帯電ローラと、露光手段13Bと、現像装置20Bと、転写搬送ベルト6を介して像担持体11Bに当接する転写手段14B例えば転写ローラと、クリーニング手段15Bとを備えている。
【0068】
現像装置20Bは、この発明に係る現像装置の一例であり、
図2に示されるように、本発明の現像ローラと現像剤、例えばプラス帯電現像剤とを備えている。したがって、この画像形成装置10において、現像ローラ1は、現像剤担持体23B、23C、23M及び23Y、すなわち、現像ローラとして装着されている。現像装置20Bは、具体的には、一成分非磁性の現像剤22Bを収容する筐体21Bと、現像剤22Bを像担持体11Bに供給する現像剤担持体23B例えば現像ローラと、現像剤22Bの厚みを調整する現像剤量調節手段24B例えばブレードとを備えて成る。現像装置20Bにおいて、現像剤量調節手段24Bは、
図2に示されるように、現像剤担持体23Bの外周面に接触又は圧接している。すなわち、前記現像装置20Bは所謂「接触式現像装置」である。前記現像ユニットC、M及びYは現像ユニットBと基本的に同様に構成されている。
【0069】
画像形成装置10において、現像装置20Bの現像剤担持体23Bは、その表面が像担持体11Bの表面に接触又は圧接するように配置されている。現像装置20C、20M及び20Yも、現像装置20Bと同様に、その表面が現像剤担持体23C、23M及び23Yが像担持体11C、11M及び11Yの表面に接触又は圧接するように配置されている。すなわち、この画像形成装置10は所謂「接触式画像形成装置」である。
【0070】
定着手段30は、現像ユニットYの下流側に配置されている。この定着手段30は、記録体16を通過させる開口部35を有する筐体内に、定着ローラ31と、定着ローラ31の近傍に配置された無端ベルト支持ローラ33と、定着ローラ31及び無端ベルト支持ローラ33に巻き掛けられた無端ベルト36と、定着ローラ31と対向配置された加圧ローラ32とを備え、無端ベルト36を介して定着ローラ31と加圧ローラ32とが互いに当接又は圧接するように回転自在に支持されて成る圧力熱定着装置である。画像形成装置10の底部には、記録体16を収容するカセット41が設置されている。転写搬送ベルト6は複数の支持ローラ42に巻回されている。
【0071】
画像形成装置10に使用される現像剤22B、22C、22M及び22Yはそれぞれ、摩擦により帯電可能な現像剤であれば、乾式現像剤でも湿式現像剤でもよく、また、非磁性現像剤でも磁性現像剤でもよい。各現像ユニットの筐体21B、21C、21M及び21Y内には、一成分非磁性の、黒色現像剤22B、シアン現像剤22C、マゼンタ現像剤22M及び黄色現像剤22Yが収納されている。
【0072】
画像形成装置10は、以下のようにして記録体16にカラー画像を形成する。まず、現像ユニットBにおいて、帯電手段12Bで帯電した像担持体11Bの表面に露光手段13Bにより静電潜像が形成され、現像剤担持体23Bにより供給された現像剤22Bで黒色の静電潜像が現像される。そして、記録体16が転写手段14Bと像担持体11Bとの間を通過する際に黒色の静電潜像が記録体16Bの表面に転写される。次いで、現像ユニットBと同様にして、現像ユニットC、M及びYによって、静電潜像が黒像に顕像化された記録体16に、それぞれシアン像、マゼンタ像及び黄色像が重畳され、カラー像が顕像化される。次いで、カラー像が顕像化された記録体16は、定着手段30によりカラー像が永久画像として記録体16に定着される。このようにして、記録体16にカラー画像を形成することができる。
【0073】
この画像形成装置は、高品質な画像を長期間にわたって形成できる。
【0074】
本発明の現像ローラ、現像装置及び画像形成装置は、上記したものに限定されることはなく、本発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。
【0075】
画像形成装置10は、電子写真方式の画像形成装置とされているが、この発明において、画像形成装置は、電子写真方式には限定されず、例えば、静電方式の画像形成装置であってもよい。また、本発明の現像ローラが配設される画像形成装置は、各色の現像ユニットを備えた複数の像担持体を転写搬送ベルト上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置に限られず、例えば、単一の現像ユニットを備えたモノクロ画像形成装置、像担持体上に担持された現像剤像を無端ベルトに順次一次転写を繰り返す4サイクル型カラー画像形成装置等であってもよい。また、画像形成装置10に用いられる現像剤は、一成分非磁性現像剤とされているが、この発明においては、一成分磁性現像剤であってもよく、二成分非磁性現像剤であっても、また、二成分磁性現像剤であってもよい。
【0076】
前記画像形成装置10は、所謂「接触式画像形成装置」であるが、この発明において、画像形成装置は、現像剤担持体の表面が像担持体の表面に接触しないように間隙を有して配置される所謂「非接触式画像形成装置」であってもよい。
【実施例】
【0077】
(実施例1)
図1に示される現像ローラ1を以下のようにして製造した。
無電解ニッケルメッキ処理が施された軸体2(SUM22製、直径10mm、長さ275mm)をエタノールで洗浄し、その表面にシリコーン系プライマー(商品名「プライマーNo.16」、信越化学工業社製)を塗布した。プライマー処理した軸体2を、ギヤオーブンを用いて、150℃の温度にて10分焼成処理した後、常温にて30分以上冷却し、軸体2の表面にプライマー層を形成した。
【0078】
次いで、導電性シリコーン弾性層3を形成するための下記組成を有するシリコーンゴム組成物を次のようにして調製した。
すなわち、両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(D)(重合度300)100質量部、BET比表面積が110m
2/gである疎水化処理されたヒュームドシリカ(日本アエロジル社製、R−972)1質量部、平均粒径6μm、嵩密度が0.25g/cm
3である珪藻土(F)(オプライトW−3005S、北秋珪藻土社製)40質量部、アセチレンブラック(G)(デンカブラックHS−100、電気化学工業社製)5質量部、及び金属ケイ素30質量部をプラネタリーミキサーに入れ、30分撹拌した後、3本ロールに1回通した。これを再度プラネタリーミキサーに戻し、架橋剤として、両末端及び側鎖にSi−H基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(E)(重合度17、Si−H量0.0060mol/g)2.1質量部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.1質量部、及び、白金触媒(H)(Pt濃度1%)0.1部を添加し、15分撹拌して混練して、付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物を調製した。
【0079】
次いで、調製した付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物を液体射出成形により軸体2の外周面に成形した。液体射出成形において付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物を10分間150℃に加熱して硬化させた。この成形体を研磨して外径20mmの導電性シリコーン弾性層3を形成した。
【0080】
また、下記組成を有するウレタンコート層形成用の樹脂組成物を調製した。
下記ポリエステルポリオール28質量部(後述するヘキサメチレンジイソシアネートとポリエステルポリオールとのモル比率(NCO/OH=1.1/1)
カーボンブラック(商品名「トーカブラック#5500」、東海カーボン社製)5質量部
シリカ(平均粒径1.5μm、商品名「ACEMATT OK−607」、デグサ社製)4質量部(ポリウレタン調整成分100質量部に対して9.5質量部)
ジブチル錫ジラウレート(商品名「ジ−n-ブチルすずジラウレート」、昭和化学社製)0.03質量部
ヘキサメチレンジイソシアネート(商品名「デュラネートTPA−100」、旭化成社製)14質量部
【0081】
上記ポリエステルポリオールは次のようにして合成した。すなわち、冷却管、温度計、水分受、窒素導入管及び減圧装置がセットされたセパラブルフラスコに、1,6−ヘキサンジオール709質量部及び1,2,4−ブタントリオール212質量部、アジピン酸472質量部及びイソフタル酸498質量部、p−トルエンスルホン酸0.5質量部、トルエン50質量部を仕込み、窒素を流しながら180℃に2時間かけて加温し、攪拌した。加温中に、全体が溶融混合し均一となって、水とトルエンとの混合物が流出してきた。180℃まで昇温後に同温度で2時間脱水縮合させた。次いで、フラスコ内の圧力を20mmHgまで徐々に減圧し、この圧力で1時間かけてトルエンを留去しつつ、引き続き脱水縮合を行った。その後冷却してポリエステルポリオールを得た。
【0082】
この樹脂組成物を導電性シリコーン弾性層3の外周面にスプレーコーティング法によって塗布し、160℃で30分間加熱して、層厚20μmのウレタンコート層を形成した。
【0083】
次いで、イトロ処理装置(商品名「イトロ処理装置」、イトロ社製)、シラン化合物「ヘキサメチルジシラン」(化学名)及びLPGを用いて、ウレタンコート層を表面処理した。
具体的には、イトロ処理装置において、回転数320rpmのジグに導電ローラをセットし、長手方向にバーナーを4mm/sで移動させ、バーナーから処理対象物までの距離を40mmに、それぞれ、設定した。また、シラン化合物の流量を1.8L/min、LPGの流量の流量を3.5L/min、エアの流量を100L/minに、それぞれ、設定した。イトロ処理装置を作動させて点火し、バーナーから火炎を噴出させて、表面を1回処理し、次にシラン化合物をウレタンコート層の表面に吹き付けた(表面処理温度84℃)。
このようにして、シリカ付着層4を形成した。
【0084】
このようにして、軸体2、導電性シリコーン弾性層3及びシリカ付着層4を備えた
図1に示す現像ローラ1を製造した。
【0085】
(実施例2)
上記イトロ処理の条件を表1に示す値に変更したこと以外は実施例1と同様にして
図1に示す現像ローラ1を、それぞれ、製造した。
【0086】
(
参考例)
図1に示される現像ローラ1を以下のようにして製造した。
実施例1と同様にして、導電性シリコーン弾性層3の外周にウレタンコート層を形成した。
次いで、プラズマコーティング処理装置(商品名:ULC−CVDコーティング、ACXYS社製)を用いて、ウレタンコート層を表面処理した。
具体的なプラズマ条件は、出力800ワット、空気流量86L/min、ノズルと製品の距離20mm、照射スピード300mm/minで行い、この後、同じ条件でプラズマコーティングを行った。シラン化合物はヘキサメチレンジシランを使用し、流量0.15mL/min、空気流量5L/minの条件でプラズマコーティング装置を作動させ、対象処理物を1回処理した次に、シラン化合物をウレタンコート層の表面に吹き付けた(表面処理温度50℃)。このようにして、シリカ付着層4を形成した。
【0087】
このようにして、軸体2、導電性シリコーン弾性層3及びシリカ付着層4を備えた
図1に示す現像ローラ1を製造した。
【0088】
(比較例1)
実施例1と同様にして、軸体2、導電性シリコーン弾性層3及びウレタンコート層を備えた現像ローラを製造した。
【0089】
(比較例2)
ウレタンコート層形成用の樹脂組成物に固形分に対して1%(重量基準)のシリカ(RY50、日本アエロジル社製)を含有させたこと以外は、実施例1と同様にして、導電性シリコーン弾性層3の外周にウレタンコート層を形成した。
製造した現像ローラにおいて、シリカはウレタンコート層内に納まり、表面に現れずシリカ付着層はできなかった。
【0090】
(面積比率及びモル比率の測定)
製造した各現像ローラ1のシリカ付着層について、上記方法により、面積比率(%)及びモル比率(モル%)を測定した。その結果を表1に示す。
なお、実施例1の現像ローラ1のシリカ付着層を電子顕微鏡で観察して得られた電子顕微鏡写真を
図3に示す。
図3において、点のように見える部分がシリカ微粒子であり、スケールバーとの比較により、シリカ微粒子は1〜2μm程度であることが分かる。
【0091】
(トナー付着及び画像品質の評価)
製造した各現像ローラ1それぞれを、市販のプリンター(商品名「C610dn」、沖データ社製)の現像カートリッジに、現像ローラとしてセットし、23℃55%の条件で、ベタ画像を形成し、印字評価を確認した。2000枚印刷後のフィルミング状況と、画像品質(ベタ印字の初期印字形成部分と終期印字形成部分との濃度段差率)を評価した。
【0092】
トナー付着(フィルミング)の評価は、現像ローラの表面のトナーを吸引後、フィルミング重量測定ジグに転写した重さを測定した。
フィルミング評価については、転写したトナーの重さで下記基準により評価した。結果を表1に示す。
○:0〜0.003mg
△:0.004〜0.006mg
×:0.007mg以上
【0093】
画像品質については、濃度段差率で下記基準により評価した。結果を表1に示す。
○:96〜100%
△:92〜95%
×:91%以下
なお、濃度測定にはX−Rite社製のX−Rite500分光濃度計を使用した。
【0094】
【表1】