(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のネイル除去補助器を使用した場合でも、各爪を施術する際に、除去溶剤を綿にしみこませて、ネイルに精度良く接触させなければならない。そのため、ネイルに綿が正確に当たるように綿の位置を調整しなければならず、手間の改善という観点から、未だ改良の余地が残っている。
【0007】
そこで、本発明は、従来に比べて、簡単でかつ手間をかけずにジェルネイル等のネイルの除去が容易となるネイル除去補助装置を提供することを課題とする。また、本発明は、ネイル除去補助装置を使用してジェルポリッシュ又はUVジェルネイルの除去を容易にするスチームジェルポリッシュ・UVジェル除去装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、固体又は液体状の除去溶剤を使用して、使用者の爪に接着又は塗布されたネイルを使用者の爪から浮かせるネイル除去補助装置であって、使用者の指を挿入可能な挿入穴と、前記除去溶剤を収容する収容部と、前記収容部内の除去溶剤を気化する気化手段と、を有し、前記挿入穴は、前記収容部の内外と連通するものであり、前記ネイルを浮かせる際には、使用者の指を前記挿入穴に挿入し、前記収容部内で気化させた除去溶剤に前記ネイルを晒すことを特徴とするネイル除去補助装置である。
【0009】
ここでいう「ネイル」とは、ジェルネイルやスカルプチュアなどの人工爪やネイルポリッシュなどの人工皮膜を含む概念である。つまり、「ネイル」には、例えば、ジェルポリッシュやUVジェルネイル、LEDジェルネイルなども含まれる。
ここでいう「固体状」とは、半固体状やゲル状を含む。
ここでいう「液体状」とは、ゾル状等の流動性を持つ流動体全般を含む。
【0010】
本発明の構成によれば、使用者の爪上に形成されたネイルを浮かせる際に、使用者の指を挿入穴に挿入し、気体状の除去溶剤を含んだ雰囲気下にネイルを置くので、直接ネイルを浮かせることができる。すなわち、本発明の構成によれば、あらかじめ綿等に除去溶剤を浸みこませる必要がなく、指をアルミホイルで巻く必要もない。そのため、作業性がよく、容易にネイルを爪から浮かせることができる。
また、本発明の構成によれば、気化させた除去溶剤を使用するため、ネイルと爪の間に除去溶剤が浸みこみやすく、短時間でネイルを爪から浮かせることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記挿入穴の一部を閉塞する制限部材を有し、前記制限部材は、前記挿入穴から気化した除去溶剤が前記収容部の外部へ放出されることを制限することを特徴とする請求項1に記載のネイル除去補助装置である。
【0012】
本発明の構成によれば、制限部材によって、挿入穴の一部が閉塞され、挿入穴から気化した除去溶剤が収容部の外部へ放出されることを制限されているので、使用者が気化した除去溶剤を吸引してしまうことを防止できる。すなわち、本発明の構成によれば、除去溶剤としてアセトン等の有機溶媒を使用した場合であっても、使用者が吸引しにくく、安全性が高い。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記気化手段は、加熱ヒータを有し、前記加熱ヒータは、気体状又は液体状の熱媒体を経由して前記収容部を加熱することを特徴とする請求項1又は2に記載のネイル除去補助装置である。
【0014】
本発明の構成によれば、加熱ヒータは、自己で発生させた熱を気体状又は液体状の熱媒体を経由して収容部に伝熱する。すなわち、加熱ヒータが直接収容部を加熱せず、他の熱媒体を介して収容部を間接的に加熱しているので、収容部が過剰に高温にならず、使用者が火傷等しにくい。
【0015】
請求項4に記載の発明は、前記挿入穴を複数有し、前記複数の挿入穴は、同一面上に間隔を空けて並列していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のネイル除去補助装置である。
【0016】
本発明の構成によれば、複数の挿入穴を備えているので、一度に複数本の指を挿入穴に挿入して、同時に施術することができる。そのため、より短時間でより多くのネイルを浮かせることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、各挿入穴は、前記収容部の内部で連続していることを特徴とする請求項4に記載のネイル除去補助装置である。
【0018】
本発明の構成によれば、各挿入穴は、収容部の内部で連続しているので、同一の除去溶剤を使用して、各爪に設けられたネイルに対して施術することができ、コストを低減できる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、外蓋と、内蓋を有し、前記外蓋は、前記内蓋の外側を覆うものであって、かつ、前記内蓋に対して着脱可能であり、前記外蓋は、前記挿入穴の一部を形成する第1挿入穴を備えており、前記内蓋は、前記挿入穴の一部を形成する第2挿入穴と、前記第2挿入穴とは別に前記収容部の内外を連通する連通穴を有し、前記外蓋を前記内蓋から取り外した状態において、前記連通穴は外部に露出しており、前記外蓋を前記内蓋に取りつけた状態において、前記外蓋は、前記連通穴を閉塞することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のネイル除去補助装置である。
【0020】
本発明の構成によれば、使用開始時や収容部に除去溶剤がなくなったときに、外蓋を内蓋から取り外すことによって、収容部の内外に連通する連通穴が外部に露出するので、例えば、除去溶剤を連通穴から収容部への導入することが可能である。また、例えば、連通穴に指を引っかけて内蓋を収容部から取り外すことも可能である。
また、本発明の構成によれば、使用時において、外蓋を内蓋に取りつけることによって、外蓋が連通穴を閉塞するので、除去溶剤が連通穴からこぼれたり、漏れたりすることを防止できる。
【0021】
上記した発明において、前記外蓋を前記内蓋に取りつけた状態において、前記制限部材は、前記内蓋と前記外蓋の間に介在していることが好ましい。
【0022】
請求項7に記載の発明は、閉塞蓋を有し、前記閉塞蓋は、前記外蓋の外側を覆うものであって、かつ、前記外蓋に対して着脱可能であり、前記閉塞蓋は、前記外蓋に取り付けた状態において、前記挿入穴を閉塞していることを特徴とする請求項6に記載のネイル除去補助装置である。
【0023】
本発明の構成によれば、不使用時に閉塞蓋を外蓋に取り付けることによって、挿入穴を閉塞するので、除去溶剤が外部に漏れることを防止できる。
【0024】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載のネイル除去補助装置を備え、前記ネイル除去補助装置によって、前記スチーム状の除去溶剤を使用者の爪に塗布されたジェルポリッシュ又はUVジェルネイルに晒して、使用者の爪から浮かせることを特徴とするスチームジェルポリッシュ・UVジェル除去装置である。
【0025】
本発明の構成によれば、ジェルポリッシュ又はUVジェルネイルを容易に除去できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明のネイル除去補助装置及びスチームジェルポリッシュ・UVジェル除去装置によれば、簡単でかつ手間をかけずにネイルの除去が容易となる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の第1実施形態のネイル除去補助装置1について説明する。なお、特に断りのない限り、上下の位置関係は、通常の設置姿勢を基準とする。
【0029】
本発明の本実施形態のネイル除去補助装置1は、ネイルサロン等で主に使用されるものである。ネイル除去補助装置1は、スチーム状の除去溶剤をジェルネイルやスカルプチュア、ネイルポリッシュ、ジェルポリッシュ等のネイルに晒して、被施術者の爪からネイルを除去するものである。つまり、ネイル除去補助装置1は、被施術者の爪に接着又は塗布されたネイルを被施術者の爪から剥がしやすくする装置である。本実施形態のネイル除去補助装置1は、ネイルの中でもジェルポリッシュ又はUVジェルネイルを被施術者の爪から除去する際に好適に使用されるスチームジェルポリッシュ・UVジェル除去装置である。
【0030】
ネイル除去補助装置1は、
図1,
図3から読み取れるように、主構成要素として、筐体部2と、蓋部3と、収容部4を備えており、収容部4に除去溶剤を導入して施術するものである。
【0031】
筐体部2は、
図3のように、上方に向けて開口した箱状の部材であり、その内部に収容部4を収容して取り付け可能となっている。
筐体部2は、
図4のように、主に、土台部5と、気化手段6と、中座部7から構成されている。
【0032】
土台部5は、
図1,
図4から読み取れるように、ネイル除去補助装置1の土台となる部位であって、ネイル除去補助装置1の外郭を構成する部材である。土台部5は、
図4のように、皿状であって、平面視円形状をしている。土台部5は、その底部から上方に向けて突出した固定部23を複数備えている。
固定部23は、公知の締結要素を用いて土台部5を中座部7に対して固定する部位である。
【0033】
気化手段6は、収容部4内に収容された除去溶剤を気化させるものである。
気化手段6は、
図5に示されるように、主に制御基板8と、気化用固定部9と、加熱ヒータ10と、加熱皿11と、温度検知手段12と、オーリング13から構成されている。
【0034】
制御基板8は、加熱ヒータ10等の出力を制御する基板であり、温度検知手段12の検知温度に基づいて加熱ヒータ10の出力をオンオフ制御可能となっている。
【0035】
気化用固定部9は、加熱ヒータ10と、加熱皿11を保持し、その状態で中座部7に対して固定する部材である。
気化用固定部9は、
図5のように、下方に向けて窪んだ皿状をしており、その内部に加熱皿11の一部を挿着可能となっている。
【0036】
気化用固定部9は、本体部21と、中座用取付部22を備えている。
本体部21は、加熱皿11を挿入して所定の姿勢で固定する部位である。本体部21は、底面部32と、底面部32の縁端部から上方に向けて立設された立壁部33を備えており、底面部32の上方に底面部32及び立壁部33によって囲繞された固定空間34を形成している。
底面部32は、中央に開口部35を備えており、その開口部を囲むようにヒータ支持部20を備えている。
ヒータ支持部20は、加熱ヒータ10を支持し、加熱ヒータ10と底面部32との接触面積を減らす部位である。
ヒータ支持部20は、具体的には、底面部32の上面から上方に向けて突出した突条であり、開口部35の周囲を円環状に囲んでいる。
【0037】
中座用取付部22は、本体部21を中座部7に対して所定の姿勢となるように取り付ける部位である。
中座用取付部22は、立壁部33から外側に向けて突出した突出片であり、公知の締結要素によって、加熱皿11の外側で中座部7と固定可能となっている。
【0038】
加熱ヒータ10は、公知の面ヒータであり、
図5のように、面状に広がりを持った加熱部15を備えている。
加熱ヒータ10は、温度検知手段12とともに制御基板8に接続されており、制御基板8によって、温度検知手段12が検知する温度に基づいて出力を調整することが可能となっている。
【0039】
加熱皿11は、金属製の皿であり、伝熱性をもつ部材である。加熱皿11の材質は、伝熱性を持つものであれば、特に限定されるものではない。本実施形態の加熱皿11は、ステンレス鋼製となっている。
加熱皿11は、
図5のように、円形状の底面部16と、底面部16の周端部から上方に向けて立設された側面部17を備えており、底面部16の上方に底面部16及び側面部17によって囲繞された囲繞空間18を形成している。また、この囲繞空間18は、上方に向けて開放している。
【0040】
温度検知手段12は、加熱皿11の温度を検知する部材であり、具体的には、公知の熱電対である。温度検知手段12は、加熱皿11の一部に接触させることによってその接触部分の温度を検知可能となっている。
【0041】
オーリング13は、公知のオーリングであり、加熱皿11の側面部17の上端部を中座部7の一部に密着させる部材である。
【0042】
中座部7は、
図1のように、土台部5とともに、ネイル除去補助装置1の外郭を構成する部位であり、土台部5の周縁部から上方に向けて立ち上がった部位である。
中座部7は、
図1,
図2,
図7から読み取れるように、外郭形成部25と、気化用取付部26と、支持部27と、スイッチ部28と、電源接続部29と、表示部30を備えている。
【0043】
外郭形成部25は、
図4のように、中座部7の外郭を形成する部位である。外郭形成部25は、上方に向けて外径が縮径した円筒状であって、外形形状が略円錐台状をしている。すなわち、外郭形成部25は、その内部に上下方向に貫通した空間31を備えている。
気化用取付部26は、
図7のように、外郭形成部25の内側面から中央側に向かって立ち上がった壁部である。気化用取付部26は、公知の締結要素によって、気化手段6の中座用取付部22を取り付け可能となっている。
【0044】
支持部27は、収容部4及び蓋部3を支持する部位であり、上下方向において、収容部4及び蓋部3の一部と係合可能となっている。
具体的には、支持部27は、
図4に示されるように、外郭形成部25の内側面から空間31の中央側に向かって突出した立壁部であり、空間31を中心として周方向に無端状に延びている。
【0045】
ここで、筐体部2を構成する各部位の位置関係について説明する。
【0046】
筐体部2は、
図5,
図7から読み取れるように、ヒータ支持部20上に加熱ヒータ10が載置されており、さらに加熱ヒータ10の加熱部15上に加熱皿11が載置されている。加熱ヒータ10の加熱部15は、加熱皿11の底面部16と面接触しており、加熱皿11の底面部16を面状に加熱可能となっている。
また気化用固定部9は、加熱ヒータ10の上方から固定空間34内に加熱皿11が挿入されている。加熱皿11の一部には、温度検知手段12が接触しており、加熱皿11の温度が測定可能となっている。
支持部27は、気化用取付部26よりも上方に離間して位置しており、加熱皿11の側面部17は、その上端部が支持部27によって覆われている。支持部27と加熱皿11の側面部17の上端部の間には、オーリング13が配されている。
【0047】
表示部30は、
図1,
図2から読み取れるように、中座部7の正面側に設けられており、スイッチ部28及び電源接続部29は、背面側に設けられている。スイッチ部28は、電源接続部29よりもやや上方に位置している。
【0048】
蓋部3は、
図6に示されるように、挿入蓋部50と、閉塞蓋部51(閉塞蓋)とから構成されている。
挿入蓋部50は、
図10のように、被施術者の指の一部を挿入可能な挿入穴52を複数備えている。本実施形態では、挿入蓋部50は、5つの挿入穴52を備えており、各挿入穴52は、同一面状に間隔を空けて並列されている。具体的には、挿入穴52は、対応する五指のそれぞれを挿入可能となっている。
【0049】
挿入蓋部50は、
図6に示されるように、第1蓋部55(外蓋)と、制限部材56と、第2蓋部57(内蓋)から構成されている。
第1蓋部55は、中座部7に対して着脱可能に取り付けられる部材である。第1蓋部55は、
図6のように、上に凸の曲面を持った部位であり、天面壁部58と、天面壁部58の端部から下方に向けて立設した側面壁部59と、天面壁部58の中央から下方に向けて突出した第1係合部64を備えている。
【0050】
天面壁部58は、第1蓋部55の天面を構成し、緩やかに湾曲した部位である。天面壁部58は、複数の第1挿入穴60と、開閉誘導部61を備えている。
第1挿入穴60は、挿入穴52の一部を形成する部位であり、上下方向に延びた貫通孔である。第1挿入穴60の断面積は、指が入る大きさとなっており、直径が3cm〜4cm程度となっている。本実施形態では、第1挿入穴60の断面積は、いずれも同じとなっている。そのため、右利き及び左利きのいずれの被施術者でも使用可能となっている。
【0051】
開閉誘導部61は、第1蓋部55の第2蓋部57に対する開閉方向を示す部位である。本実施形態では、第1蓋部55を第2蓋部57に対して取り付ける際の閉方向を示す矢印が記載されており、使用者(被施術者及び施術者を含む)に開閉方向を誘導可能となっている。
側面壁部59は、天面壁部58の周縁部から垂下した部位であり、中座側係合部62を備えている。中座側係合部62は、中座部7の一部と係合可能な部位である。
【0052】
第1係合部64は、第1蓋部55、制限部材56、及び第2蓋部57を一体化させる部位であり、第2蓋部57の一部と係合可能な部位である。第1係合部64は、外形形状が円形状の棒状部位であり、その外周面が第2蓋部57の係合部78と係合可能となっている。
【0053】
制限部材56は、除去溶剤が収容部4の外部に放出されることを制限する部材である。 制限部材56は、
図6のように、シート状であって、除去溶剤に対して耐性をもっている。制限部材56の材質としては、除去溶剤に対して耐性を持っていれば、特に限定されない。本実施形態の制限部材56は、ブラックラバー製となっている。
制限部材56は、平面視したときに円弧の一部を切り欠いた形状をしており、円弧部分71と直線部分72から構成されている。
【0054】
制限部材56は、
図6のように、切り込み部65と、第1貫通孔66を備えている。
切り込み部65は、平面視したときに挿入穴52の中央側の所定の位置から内周縁側に向かって延びた少なくとも3つの切り込みによって形成されている。
具体的には、切り込み部65は、「十」字状のスリットであり、所定の方向に延びた第1スリット67,67と、第1スリット67と交差する第2スリット68,68から構成されている。
第1スリット67,67は、互いに離反するように同一直線上に並んでおり、第2スリット68,68も互いに離反するように同一直線上に並んでいる。すなわち、スリット67,67,68,68のそれぞれの基端部は一致しており、そこから異なる方向に延びている。
【0055】
また、切り込み部65は、別の観点から視ると、
図6の拡大図のように、少なくとも3つの封止片70から構成されている。各封止片70は、中央側に向けて片持ち状に支持されており、各封止片70の角部は、中央で近接している。また、封止片70の一辺は、隣接する封止片70の辺と面方向に対向して、近接している。
また、切り込み部65は、複数形成されており、円弧部分71に沿って周方向に並設されている。
【0056】
第1貫通孔66は、
図6のように、制限部材56を部材厚方向に貫通した貫通孔であり、第1蓋部55の第1係合部64を挿通可能な挿通孔である。
第1貫通孔66の開口面積は、各挿入穴52の開口面積よりも大きい。本実施形態の第1貫通孔66の開口面積は、挿入穴52の開口面積の1.2倍〜2倍となっている。
第1貫通孔66は、制限部材56の略中央に位置しており、各切り込み部65によって囲まれている。
【0057】
第2蓋部57は、
図6のように、制限部材56の位置決め可能な位置決め部75と、複数の第2挿入穴76と、第2貫通孔77を備えている。
位置決め部75は、制限部材56の端部を固定する部位であり、制限部材56の面方向のずれを防止する部位である。
第2挿入穴76は、第1挿入穴60とともに挿入穴52の一部を形成する部位であり、上下方向に延びた貫通孔である。
第2挿入穴76の断面積は、第1挿入穴60の断面積と同程度であり、指が入る大きさとなっている。本実施形態では、第2挿入穴76の断面積は、第1挿入穴60と同様、いずれも同じとなっている。そのため、右利き及び左利きのいずれの被施術者でも使用可能となっている。
【0058】
第2貫通孔77は、
図6のように、第2蓋部57の略中央に位置しており、その周囲に各第2挿入穴76が並設されている。
第2貫通孔77は、第2蓋部57を部材厚方向に貫通した貫通孔であり、第1蓋部55の第1係合部64を挿着可能な孔である。
第2貫通孔77の開口面積は、第1貫通孔66の開口面積と同程度となっている。
第2貫通孔77は、深さがあり、その内周面に第1係合部64と係合可能な第2係合部78を備えている。
【0059】
閉塞蓋部51は、挿入蓋部50に対して着脱可能に取り付けられる部材であり、挿入蓋部50に取り付けた際に各挿入穴52を閉塞する部材である。閉塞蓋部51は、平面視円形状の蓋体であり、天面形成部80と、天面形成部80の外周から立ちあがった側面形成部81から形成されている。
天面形成部80は、中央から側面形成部81に向けて円弧状に湾曲している。天面形成部80と側面形成部81との境界部分は、面取りされており、緩やかに丸みを帯びている。
【0060】
ここで、蓋部3の各部位の位置関係について説明する。
蓋部3は、
図6のように、挿入蓋部50の外側に閉塞蓋部51が覆っている。具体的には、閉塞蓋部51は、天面形成部80が第1蓋部55の大部分を覆っており、全ての挿入穴52を閉塞している。すなわち、平面視したときに、各挿入穴52は、閉塞蓋部51の天面形成部80によって隠されており、視認不能となっている。
制限部材56は、第2蓋部57の位置決め部75に配されており、第1蓋部55は、制限部材56を覆うように外側に配されている。すなわち、制限部材56は、第1蓋部55と第2蓋部57の間に配されており、第2蓋部57と第1蓋部55によって挟まれている。
【0061】
第1蓋部55の第1挿入穴60は、
図7から読み取れるように、第2蓋部57の第2挿入穴76と同一直線上に並んでおり、それぞれ連通孔たる挿入穴52を形成している。制限部材56は、第1挿入穴60及び第2挿入穴76の境界部分に配されており、第1挿入穴60及び第2挿入穴76のそれぞれの開口を遮っている。
制限部材56の切り込み部65は、平面視したときに、その大部分が第1挿入穴60及び第2挿入穴76の開口内に位置している。すなわち、制限部材56の封止片70は、第1蓋部55と第2蓋部57に挟まれることによって、第1挿入穴60及び第2挿入穴76の開口縁から中央側に向かって片持ち状に支持されている。
制限部材56の第1貫通孔66は、第2蓋部57の第2貫通孔77と同一直線上に並んでおり、それぞれ連通孔53を形成している。そして、連通孔53に第1蓋部55の第1係合部64が挿入されており、第1蓋部55の第1係合部64と第2蓋部57の第2係合部78が互いに係合している。
【0062】
収容部4は、樹脂製であって、液体状又は固体状の除去溶剤を収容可能な部位であり、具体的には、深さのある皿状体である。本実施形態の収容部4は、ポリプロピレン製となっている。
収容部4は、
図3のように底面部85と、側面部86によって囲繞された収容空間89を備えている。
底面部85は、収容部4の底面を構成する部位であり、円形状の部位である。
側面部86は、収容部4の側面を構成する部位であり、底面部85の周縁部から上方に向けて立設した部位である。
収容部4の収容空間89は、
図7のように底面部85側から第1領域87と、第2領域88を備えている。
第1領域87は、実際に除去溶剤を収容する部位であり、同一径で延びた領域である。
第2領域88は、第1領域87よりも拡径した領域であり、第1領域87側から先端側に向けて、漸次断面積が大きくなっている。
【0063】
除去溶剤は、液体状又は固体状のネイルを剥がすリムーバー溶剤である。
除去溶剤は、揮発性を持ち、ネイルを剥離できるものであれば、特に限定されない。除去溶剤としては、例えば、アセトン、酢酸エチル、及びイソプロパノールから選ばれる少なくとも1種を含有する有機溶媒などが採用できる。
【0064】
続いて、第1実施形態のネイル除去補助装置1の使用方法に従って、各構成部位の位置関係について説明する。
【0065】
まず、説明の都合上、不使用状態(閉塞蓋部51を取り付けた状態)での各部位の位置関係について説明する。
【0066】
閉塞蓋部51は、挿入蓋部50に着脱可能に取り付けられている。すなわち、閉塞蓋部51は、挿入蓋部50の各挿入穴52を閉塞している。
収容部4の一部は、
図7のように、加熱皿11の側面部17の先端部分で構成される開口を通過して囲繞空間18内に進入している。
また、囲繞空間18では、収容部4の外面、加熱皿11の内面、オーリング13、及び支持部27によって密閉されて密閉空間90が形成されている。
密閉空間90内には、液体状又は気体状の熱媒体が収容されている。本実施形態の密閉空間90内には、熱媒体たる空気が充填されている。
各挿入穴52は、挿入蓋部50を通過して収容部4の内部で連続している。すなわち、いずれの挿入穴52も一つの収容部4に繋がっている。
収容部4は、支持部27上に載置されており、収容部4の上端部の上に挿入蓋部50が載置されている。また、挿入蓋部50は、第1蓋部55の中座側係合部62が外郭形成部25の一部と係合している。
また、スイッチ部28、電源接続部29、及び表示部30は、いずれも制御基板8に接続されている。
【0067】
次に、閉塞蓋部51を周方向に回転させて挿入蓋部50を取り外し、さらに
図8の矢印のように第1蓋部55を周方向に回転させて第1蓋部55及び制限部材56を取り外して、除去溶剤を収容部4に導入可能な導入可能状態とする。すなわち、この導入可能状態は、閉塞蓋部51、第1蓋部55、及び制限部材56を取り外した状態である。
【0068】
このとき、第2貫通孔77は、外部に露出しており、収容部4の空間は、第2貫通孔77及び各第2挿入穴76を介して外部に開放されている。
【0069】
そして、
図9のように、第2貫通孔77から除去溶剤を導入し、除去溶剤の容量を収容部4の第1領域87の範囲内で溜める。
【0070】
このとき、収容部4の容量によって適宜設計されるが、第1領域87内に溜める除去溶剤は、第1領域87の容量の10パーセント以上80パーセント以下であることが好ましい。除去溶剤の性質にも依存するが、10パーセント未満になると、使用時に除去溶剤がなくなってしまい、空焚き状態となる可能性がある。80パーセント超過になると、入りすぎて、使用時に指に直接接触する可能性がある。
【0071】
続いて、第2蓋部57の位置決め部75に制限部材56を設置し、第1蓋部55を周方向に回転させて第2蓋部57に対して取り付けて、
図10のように、被施術者が挿入穴52から指を収容部4に挿入可能な使用可能状態とする。すなわち、使用可能状態は、閉塞蓋部51が取り外された状態である。
【0072】
このとき、各挿入穴52はその開口が外部に露出しており、平面視すると、挿入穴52は封止片70によって閉塞されている。
【0073】
そして、
図11(a),
図11(b)から読み取れるように、被施術者の指を各挿入穴52に挿入し、その状態でスイッチ部28をオン状態とする。
【0074】
このとき、加熱ヒータ10は、通電により加熱されて、加熱皿11に熱を加える。加熱皿11に加わった熱は、加熱皿11と収容部4との間の密閉空間90内の空気を介して、収容部4に伝熱される。
加熱ヒータ10は、温度検知手段12の検知温度に伴って、出力が調整されており、加熱皿11の温度が一定となるように制御されており、収容空間89内が過剰な温度にならないように制御されている。そのため、収容部4に伝わった熱が徐々に除去溶剤に加わり、除去溶剤が徐々に昇温して気化し、スチーム状の除去溶剤が収容空間89内に拡散する。
ここで、
図11(b)のように、被施術者の指によって押圧された制限部材56の封止片70は、収容部4側に変形し、挿入穴52の一部を開放しており、押圧されていない残りの封止片70は、姿勢を維持しており、挿入穴52の残部を閉塞している。そのため、収容空間89は、制限部材56及び被施術者の指によって閉塞され、気化した除去溶剤が収容空間89内に充満し、ネイルがスチーム状の除去溶剤に晒されることとなる。
またこのとき、被施術者の指の先端から除去溶剤の液面の距離は、5mm以上空いていることが好ましい。
【0075】
時間が経過するにつれて、表示部30の点灯状態が変わり、所定時間が経過すると、表示部30が消灯する。表示部30が消灯すると、
図11(c)のように、被施術者の指を挿入穴52から抜き、被施術者の爪上形成されたネイルを除去する。
このとき、使用者の指が挿入穴52から抜けるにつれて、使用者の指から押圧力を受けていた封止片70が復元し、挿入穴52を閉塞する。
【0076】
その後、必要に応じて、公知の剥離機具によって、施術者が被施術者の爪からネイルを剥離する。
【0077】
また、必要に応じて、スイッチ部28をオフ状態にし、閉塞蓋部51を挿入蓋部50に取り付ける。
【0078】
第1実施形態のネイル除去補助装置1によれば、除去溶剤を気化し、収容部4内を気体状の除去溶剤で充満させ、そこに被施術者の指を挿入することによって、爪からネイルを浮かせる。そのため、除去溶剤を綿等の吸着部材に吸着させる必要も、アルミホイル等で指を覆う必要もない。すなわち、指を収容部4内に挿入するだけで、爪からネイルを浮かせることができるので簡潔で、煩わしい作業を行う必要がない。
【0079】
第1実施形態のネイル除去補助装置1によれば、5つの挿入穴52を備えて、各挿入穴52が同一の収容部4に繋がっているので、五指をそれぞれの挿入穴に挿入することで、五指とも同時にネイルを浮かせることができる。そのため、ネイルを速やかに爪から除去することができる。
【0080】
第1実施形態のネイル除去補助装置1によれば、第1蓋部55と第2蓋部57との間に制限部材56が設けられ、施術中に制限部材56の封止片70が外部への気体状の除去溶剤の放出を制限しているので、使用者が除去溶剤を吸引しにくい。そのため、安全性が高い。
【0081】
第1実施形態のネイル除去補助装置1によれば、加熱ヒータ10は、収容部4を直接加熱せず、加熱皿11及び加熱皿11と収容部4間の空気を経由して、収容部4を加熱する。そのため、加熱ヒータ10によって収容部4が急激に昇温することを防止でき、収容部4の温度変化を緩やかにすることができる。それ故に、収容部4が過度な高温になることを防止でき、不意に被施術者が指で収容部4を触ってしまっても、火傷等することを防止できる。
【0082】
第1実施形態のネイル除去補助装置1によれば、第1蓋部55に第1蓋部55の開閉方向を示す開閉誘導部61が設けられているので、第1蓋部55の開閉を間違わずに行うことができる。
【0083】
上記した実施形態では、連通孔53から除去溶剤を導入したが、本発明はこれに限定されるものではなく、
図12のように、制限部材56及び第2蓋部57を筐体部2から取り外して、直接収容部4に除去溶剤を導入してもよい。
なお、制限部材56及び第2蓋部57を筐体部2から取り外すにあたって、連通孔53に指を入れて筐体部2を取り外してもよい。こうすることによって簡単に取り外すことが可能である。
【0084】
上記した実施形態では、加熱皿11と収容部4との間に形成された空間内の空気を利用して収容部4を間接的に加熱したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、加熱皿11と収容部4との間に形成された空間内に、別の不活性気体や液体溶媒等の気体状又は液体状の熱媒体を入れて、熱媒体を経由して収容部4を間接的に加熱してもよい。また、収容部4を加熱ヒータ10で直接加熱してもよい。
【0085】
上記した実施形態では、加熱ヒータ10によって除去溶剤を加熱して気化させたが、本発明はこれに限定されるものではなく、除去溶剤を気化する方法は問わない。例えば、超音波によって除去溶剤を振動させて、気化させてもよい。
【0086】
上記した実施形態では、通常、指は五指あることから、挿入穴52の数を5つとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、挿入穴52の数は特に限定されない。4つ以下であってもよいし、6つ以上であってもよい。勿論1つであってもよい。