(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下記(1)〜(11)を含むUV硬化性被覆組成物:
(1)不活性溶媒;
(2)第1の脂肪族ウレタンアクリレート樹脂、
ここで、前記第1の脂肪族ウレタンアクリレート樹脂は、下記式Iで表されるポリイソシアネート成分と、(メタ)アクリル酸の少なくとも1つの単塩基性でヒドロキシル官能性の線状又は分岐C1〜C12アルキルエステルを含むアルコール成分との反応生成物である
(式I中、R1、R2、及びR3は、同一か又は異なり、各々線状又は分岐のC4〜C20(シクロ)アルキル基を表し;
Xは、同一か又は異なり、イソシアネート基を含み;
式IのR1、R2、及びR3は窒素原子に結合している);
(3)式IIの構造を含む、第2の脂肪族ウレタンアクリレート樹脂
(式II中、A
1、A
2、及びA
3は、それぞれ式IIIの構造をそれぞれ含む基である)
(ここで、式IIIのR
1、R
2、及びR
3は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、2〜12個の炭素原子を有する線状脂肪族基、或いは4〜12個の炭素原子を有する脂環式基
を含む)
ここで、前記第2の脂肪族ウレタンアクリレート樹脂は500〜2000の平均分子量を有し、
第2の脂肪族ウレタンアクリレート樹脂は分子あたり
6個の重合性アクリレート基を含み、且つ
第1の脂肪族ウレタンアクリレート樹脂と前記第2の脂肪族ウレタンアクリレート樹脂は1:3〜3:1の質量比を有する;
(4)第1の多官能性アクリレート、
ここで、該第1の多官能性アクリレートは170〜1000の平均分子量を有し、
前記第1の多官能性アクリレートが分子あたり2個の重合性不飽和基を含む;
(5)第2の多官能性アクリレート、
ここで、前記第2の多官能性アクリレートは、ペンタエリスリトールトリアクリレート及びトリメチロールプロパントリアクリレートの少なくとも1つから選択される、
(6)第1の光開始剤
及び第2の光開始剤、
ここで、前記第1及び第2の光開始剤は、ジフェニルホスフィンオキシド、フェニルグリオキシレート、α−ヒドロキシケトン、二官能性α−ヒドロキシケトン及びその組み合わせからなる群から選択される、
(7)ヒンダードアミン光安定剤、
(8)ベンゾトリアゾール及びベンゾトリアジンの少なくとも1つを含むUV吸収剤;
(9)アクリル化有機−無機ハイブリッド材料、
(10)フェノールベースの酸化防止剤、
並びに
(11)流動添加剤
。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の原理の理解を促進する目的で、ここで幾つかの態様を参照し、これを説明するために特定の用語を用いる。しかしながら、これによって本発明の範囲を限定することは意図しておらず、示された装置における変更及び更なる修正、並びにここで記載する本発明の原理の更なる適用は、本発明が関係する技術の当業者に通常的に想到されると考えられる。
【0011】
上記で開示したように、その幾つかの形態においては、本発明は、独特の被覆組成物、及び被覆組成物を用いるか又は含む方法及び被覆物品に関する。好ましい形態においては、被覆組成物は、第1及び第2のアクリル化脂肪族ウレタン樹脂を含む新規な樹脂ブレンドを含む。かかる被覆組成物は、少なくとも、イミノオキサジアジンジオン、イソシアヌレート、ウレトジオン、ウレタン、アロファネート、ビウレット、又はオキサジアジントリオン基を含む脂肪族ポリイソシアネート成分と、少なくとも1つの単塩基性でヒドロキシル官能性のメタ(アクリル)酸の線状又は分岐アルキルエステルを含むアルコール成分との反応によって形成される第1のウレタンアクリレート樹脂を含む。
【0012】
好ましい形態においては、第1のウレタンアクリレート樹脂は約800〜約2500g/モルの間の分子量を有する。より好ましくは、第1のアクリル化脂肪族ウレタンは約1000〜約1600g/モルの分子量を有し、現時点までにおいては約1400g/モルの分子量が作用させるのに最も好ましい。理解されるように、ここで与える重合性樹脂の分子量は、他に示さない限りにおいて数平均分子量である。第1のウレタンアクリレート樹脂の形成において用いるアルコール成分は、約100〜約2000g/モルの分子量を有していてよい。幾つかの変法においては、第1のウレタンアクリレートは、
(a)ポリイソシアネート成分のモル数を基準として20〜100モル%の式I:
【0014】
(ここで、
式IのR
1、R
2、及びR
3は、同一か又は異なり、線状又は分岐のC
4〜C
20(シクロ)アルキル基を表し;
Xは、同一か又は異なり、イソシアネート基、或いはイミノオキサジアジンジオン、イソシアヌレート、ウレトジオン、ウレタン、アロファネート、ビウレット、又はオキサジアジントリオン基も含んでいてよいイソシアネート基含有基を表し;
式IのR
1、R
2、及びR
3は窒素原子に結合している)
によって包括されるイミノオキサジアジンジオン基含有ポリイソシアネートトリマーを含むポリイソシアネート成分と;
(b)少なくとも1つの単塩基性でヒドロキシル官能性の(メタ)アクリル酸の線状又は分岐C
1〜C
12アルキルエステルを含むアルコール成分;
との反応生成物であってよい。本発明において用いるのに好適なかかるウレタンアクリレート樹脂に関する更なる情報は、米国特許6,191,181(本発明において用いることができる製造方法及び最終ウレタンアクリレート樹脂化合物の開示を含むその全部を参照として本明細書中に包含する)において見られる。第1の脂肪族ウレタンアクリレートとして用いるのに好適な樹脂は、例えばBayer Material ScienceからDesmoluxの商品名で得ることができる。
【0015】
幾つかの態様においては、第1のウレタンアクリレートは、約2〜約6、より好ましくは約3〜約5、最も好ましくは約3.5〜約4の官能価を有する。更に又はその代わりに、第1のウレタンアクリレートは、紫外線で硬化して、例えば4より高く、例えば約4〜約7の鉛筆硬度を有する硬質被覆を与える能力を示すことができる。
【0016】
第1の脂肪族ウレタンアクリレート樹脂は、単独で与えることができ、或いは1種類以上の反応性希釈剤、例えばHDDA(1,6−ヘキサンジオールジアクリレート)、TPGDA(トリプロピレングリコールジアクリレート)、DPGDA(ジプロピレングリコールジアクリレート)、TMPTA(トリメチロールプロパントリアクリレート)、及び/又はGPTA(グリセロールプロポキシトリアクリレート)を混合して与えることができる。1種類以上の反応性希釈剤と混合する場合には、第1の脂肪族ウレタンアクリレート樹脂は、特定の態様においては混合物の約70%〜約90%を構成してよい。
【0017】
幾つかの態様においては、本発明の被覆組成物は、第1のウレタンアクリレート樹脂と異なる第2のウレタンアクリレート樹脂も含む。第2のウレタンアクリレート樹脂は、多官能性アクリレート(例えば約190〜約500の分子量を有し、分子あたり少なくとも3個の重合性不飽和基を含む)と、アルキル炭素単環式ジイソシアネートのポリマーとアルカンポリオールポリアクリレートとをベースとする脂肪族ウレタンとの反応によって形成することができる。幾つかの態様においては、第2のウレタンアクリレート樹脂は、式II:
【0019】
(式中、A
1、A
2、及びA
3は、それぞれ式III:
【0021】
(ここで、式IIIのR
1、R
2、及びR
3は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、2〜約12個の炭素原子を有する線状脂肪族基、或いは4〜約12個の炭素原子を有する脂環式基である)
の基である)
によって包括される。式IIIのR
1、R
2、及びR
3はそれぞれ、好ましくは2〜約12個の炭素原子を有するアルキレン基である。式IIの化合物は、例えば、米国特許5,658,672(本発明において用いることができる製造方法及び上記の式IIによって包括される最終化合物の開示を含むその全部を参照として本明細書中に包含する)に記載されているようにして製造することができる。この’672特許においては、本発明において用いることができるEbecryl 8301(Cytec Surface Specialties, Smyrna, GA)が、希釈剤及び式IIのヘキサ官能性アクリレートオリゴマーをそれぞれ約48:52の重量比で含み、希釈剤が(エチレン/ジエチレングリコールジアクリレート(ヒドロキシエチルアクリレートをベースとする)、主としてエチレングリコールジアクリレートであるブレンドであることが教示されている。
【0022】
好ましくは、第2のウレタンアクリレート樹脂は、約500〜約2000g/モル、より好ましくは約800〜約1000g/モルの範囲、現時点までにおいて最も好ましくは約800g/モルの分子量を有する。幾つかの態様においては、第2のウレタンアクリレートは、約2〜約10、より好ましくは約4〜約8、最も好ましくは約6の官能価を有する。
【0023】
上記で開示したように、本発明の幾つかの態様は、上記で議論した第1のウレタンアクリレート樹脂、及び上記で議論した第2のウレタンアクリレート樹脂を含む樹脂のブレンドを含む被覆組成物に関する。好ましいかかる態様においては、組成物中に存在する不活性溶媒を除いて、第1のウレタンアクリレート樹脂は組成物の約10重量%〜約40重量%を構成する。より好ましくは、かかる態様においては、存在する不活性溶媒を除いて、第1のウレタンアクリレート樹脂は、組成物の約10%〜約30%、更により好ましくは約15〜約25%を構成する。第2のウレタンアクリレート樹脂に関しては、好ましくは、存在する溶媒を除いて、被覆組成物の約20重量%〜約50重量%、より好ましくは約25〜35%を構成する。
【0024】
ここで規定する本発明の他の態様においては、第1のウレタンアクリレート樹脂及び第2のアクリレート樹脂は、それぞれ約1:10〜約10:1、より好ましくは約1:5〜5:1、最も好ましくは約1:3〜約3:1の重量比又は分子比で被覆組成物中に含まれる。幾つかの特定の態様においては、第1及び第2のウレタンアクリレート樹脂は、それぞれ約1:2〜約2:1の重量比又は分子比で存在する。
【0025】
第1及び第2のウレタンアクリレート樹脂は、ブレンドされた樹脂被覆組成物中に含ませると、FMVSS108によるスチールウール及びASTM−D1044によるテーバー摩耗を用いて測定される高い表面硬度を有するUV硬化被覆を形成する好ましい組成物を与えることができる。更に、これらのウレタンアクリレートを含む好ましくブレンドされた被覆は、広く受け入れられている促進及び自然耐候試験法並びに熱亀裂抵抗によって定量化される優れた耐候特性を与える。また、これらは有利な硬化速度及び材料の適合性を与える。
【0026】
ここで開示する樹脂ブレンド被覆組成物の表面硬度は、通常はゾルゲル法によって製造されるアクリル化有機−無機ハイブリッド材料を加えることによって更に向上させることができる。好ましい有機−無機ハイブリッド材料は、約200〜約450の分子量、及び分子あたり少なくとも2つの重合性不飽和基を有する
多官能性のアクリレートと、球状で、非多孔質及びアモルファスである約5nm〜約100nmの範囲のシリカ粒子を含む。有機−無機ハイブリッド材料の好ましい最終分子量は、約500〜約3000の間である。向上した表面硬度特性は、約5重量%〜約35重量%(存在する不活性溶媒を除く)のかかるアクリル化有機−無機ハイブリッド材料を加えることによって達成することができる。より好ましくは、含ませる場合には、アクリル化有機−無機ハイブリッド材料の含量は、存在する不活性溶媒を除いて約8重量%〜約18重量%である。本発明の組成物、被覆、及び被覆物品において用いることができる好適な有機−無機材料の例としては、Etercure 601A-35、Etercure 601B-35、Etercure 601C-35、Etercure 601H-35(Eternal Chemical Company, Ltd. 台湾)、及びRX11402(Cytec Surface Specialties, Smyrna, GA)が挙げられる。
【0027】
本発明の被覆組成物にはまた、1種類又は複数の多官能性アクリレートを含ませることもできる。本発明の被覆組成物において用いる1種類又は複数の多官能性アクリレートは、所望の適用粘度、適用方法、及び性能特性によって定まる。代表的な多官能性アクリレートは、約170〜約1000の分子量を有し、分子あたり少なくとも2つの重合性不飽和基を含む反応性希釈剤タイプのものである。代表的な多官能性アクリレートとしては、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレートなどが挙げられる。好ましい被覆組成物は、それぞれ約5重量%〜約55重量%の量の2種類のかかる多官能性アクリレートを含む。幾つかの好ましい態様においては、本発明の被覆組成物は、約5%〜約15%の、分子あたり2つの重合性不飽和基を有する第1のかかる多官能性アクリレート、及び約15%〜約25%の、分子あたり3つの重合性不飽和基を有する第2のかかる多官能性アクリレートを含む。
【0028】
多くの光開始剤及び/又は増感剤が、本発明の被覆組成物において用いるのに好適である。これらの中で好適な光開始剤の群は、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、及びビス−2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドのようなジフェニルホスフィンオキシドタイプの光開始剤;オキシフェニル酢酸2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステル、及びオキシフェニル酢酸2−[2−ヒドロキシエトキシ]エチルエステルのようなフェニルグリオキシレートタイプ;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、及び二官能性α−ヒドロキシケトンのようなα−ヒドロキシケトンタイプ;である。好ましい態様はジフェニルホスフィンオキシド及びα−ヒドロキシケトンタイプの光開始剤のブレンドを含み、より好ましいブレンドはビス−2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド及び二官能性α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンのものである。
【0029】
少なくとも1種類の光開始剤を、所望の硬化反応を得るのに十分な量で好ましい配合物に加える。本発明の好ましい配合物においては、少なくとも2種類の光開始剤のブレンドを約0.25重量%〜約15重量%の量で含ませる。第1の好ましい光開始剤(上述のジフェニルホスフィンオキシドタイプ)の範囲は、幾つかの態様においては約0.5%〜約2.5%である。第2の好ましい光開始剤(上述のα−ヒドロキシケトンタイプ)の範囲は、幾つかの態様においては約4%〜約13%である。幾つかの本発明の配合物においては、更なる利益は、約0.5%〜約4.5%の範囲の第3の光開始剤、例えばヒドロキシアルキルフェノンタイプの光開始剤を加えることによって得られる。含ませる1種類又は複数の光開始剤の量は、UV硬化装置のタイプ、UV装置の設定、硬化速度、及び所望の耐久性のような多くのファクターに基づいて変化する。
【0030】
本発明の好ましい被覆組成物はまた、屋外耐久性及びUV抵抗性を最大にする安定化材料も含む。好適な安定剤としては、ヒンダードアミン、並びにベンゾトリアゾール又はベンゾトリアジン誘導体のようなUV吸収剤が挙げられる。系中の安定剤の量は、適用パラメーター、及び硬化反応及び表面硬度を犠牲にすることなく耐候性を最大にする所望の性能特性によって変化する。より好ましい組成物においては、ヒンダードアミンが約0.5%〜約4.5%の範囲であり、ヒドロキシフェニルベンゾトリアジン(又は他の好適な化合物)が約2%〜約15%の範囲であり、酸化防止剤が約0.25%〜約2.0%の範囲である。
【0031】
本発明の好ましい被覆組成物は1種類以上の不活性溶媒を含む。幾つかの態様においては、組成物は複数の不活性溶媒のブレンドを含む。好適な不活性溶媒の例としては、酢酸エチル及び酢酸ブチルのようなエステル溶媒;アセトン及びメチルエチルケトンのようなケトン溶媒;イソプロピルアルコール及びsec−ブチルアルコールのようなアルコール溶媒;が挙げられる。組成物中の溶媒の量及びタイプは、適用法及び装置の能力並びに好みによって変化する。例えば、フローコート又はカーテンコート適用法においては、不活性溶媒は成形物品の基プラスチックに対して過度に攻撃性であってはならない。本発明の幾つかの形態においては、被覆組成物中の不活性溶媒含量は、全体で0重量%〜80重量%の範囲であってよく、好ましい溶媒含量は35重量%〜65重量%である。
【0032】
また、本発明の被覆組成物中に種々の他の添加剤を含ませて、硬化被覆の外観及び/又は性能特性を更に向上させることもできる。好適な添加剤の例は、反応性及び非反応性のアクリル又はシリコーン流動剤、スリップ剤、及び耐損傷剤、並びに組成物の基材湿潤及びレベリングを助けるレベリング剤、並びに熱及びプロセス安定性を与えるフェノールベースの酸化防止剤である。1つの特に好ましい添加剤は、Byk 301(BYK-CHEMIE, Wallingford, CT)の商品名で商業的に入手できるもののようなポリシロキサン溶液である。
【0033】
幾つかの好ましい態様においては、約10〜50重量%の量の不活性有機溶媒、約3重量%〜約20重量%の量の上記で議論した第1の脂肪族ウレタンアクリレート、約3重量%〜約20重量%の量の上記で議論した第2の脂肪族ウレタンアクリレート、約5重量%〜約30重量%の量の反応性希釈剤成分(反応性希釈剤成分は1種類以上の多官能性アクリレートを含む)、例えばここで示すものから選択される1種類以上の光開始剤、及び例えばここで示すものから選択される1種類以上の光安定剤を含む樹脂ブレンド被覆組成物が提供される。この態様のより好ましい組成物は、例えばここで示すような酸化防止剤及び流動添加剤を更に含む。幾つかの形態においては、第1の脂肪族ウレタンアクリレートの製造において、式IのXはイソシアネート基を表す。他の好ましい形態においては、式IのXは、イミノオキサジアジンジオン基も含むイソシアネート基含有基を表すか;或いは式IのXは、イソシアヌレート基も含むイソシアネート基含有基を表すか;或いは式IのXは、ウレトジオン基も含むイソシアネート基含有基を表すか;或いは式IのXは、ウレタン基も含むイソシアネート基含有基を表すか;或いは式IのXは、アロファネート基を更に含むイソシアネート基含有基を表すか;或いは式IのXは、ビウレット基も含むイソシアネート基含有基を表すか;或いは式IのXは、オキサジアジントリオン基も含むイソシアネート基含有基を表す。これらの態様においては、第1の脂肪族ウレタンアクリレート及び第2の脂肪族ウレタンアクリレートは、ここで開示する任意の他の特徴的な特性も有していてよい。
【0034】
本発明の被覆組成物は、従来のスプレー、HVLPスプレー、エアアシステッド/エアレススプレー、回転霧化、フローコート、カーテンコート、又はロールコートのような種々の通常の被覆法によって選択された物品に適用することができる。更に、被覆組成物は、基材に、或いは予め硬化させているか又は未硬化の被覆の上に直接適用することができる。本発明の被覆組成物を用いて形成される硬化膜の所望の膜圧は約3ミクロン〜約40ミクロンであり、最も好ましい乾燥膜厚は約5ミクロン〜約20ミクロンである。
【0035】
適用したら、被覆組成物は当業者に公知のように紫外エネルギーを用いる照射によって硬化させることができる。これに関し、照射は硬化が完了するまで継続し、好ましい曝露時間は、通常は300秒未満、より好ましくは約20〜約100秒である。硬化温度は室温から基材の熱撓み温度まで変化させることができ、一方、硬化距離は、通常は最小で約100mW/cm
2の強度を達成するUV源から約2〜約18インチの間である。
【0036】
上塗り層を硬化させるためには、約180nm〜450nmの間の波長範囲を有する紫外光源が好ましい。紫外エネルギーを放射する許容できる光源としては、太陽光、太陽ランプ、LEDランプ、カーボン又はキセノンアークランプ、及び水銀蒸気ランプが挙げられる。好適な光源のより好ましい例としては、上記記載の範囲の強いUVエネルギー出力を与える水銀蒸気タイプ又は金属ハロゲン化物タイプの電球を備えた電極タイプのアークランプ又は無電極タイプのマイクロ波ランプが挙げられる。
【0037】
最も好ましい照射は、一連の媒体を約100W/インチ〜約600W/インチの強度を有する高圧水銀ランプに曝露することによって達成され、これにより好適な小型放射計を用いて測定して約20〜約75秒の曝露で約1500〜約15000mJ/cm
2のUVエネルギーが与えられる。より好ましいエネルギー出力は約3000〜約8000mJ/cm
2である。強度及びエネルギーの測定装置は、それらが測定する帯域幅によって変化することを注意すべきである。これらの記載された照射条件下で上記記載の好ましい被覆組成物を処理すると、最終被覆は、厳しい曝露条件下において成形プラスチック物品を環境劣化及び化学分解から適切に保護する特性の独特の組み合わせを与える。
【0038】
本発明の幾つかの態様においては、ここで記載する被覆組成物を用いて、被覆物品、特にポリカーボネート又はポリエステルを用いて製造されるもののような被覆プラスチック物品を形成する。好ましい態様は被覆プラスチックレンズを提供し、特に、例えばポリカーボネートを用いて製造される自動車前方照明レンズのような被覆された透明なプラスチックレンズを形成する。この点に関し、
図1及び2を参照すると、被覆された自動車前方照明レンズの一態様が示されている。レンズ11は、非垂直方向に存在し(例えばレンズの全外表面積の少なくとも約10%を含む)、自動車13のボンネットライン中にデザインされ、したがって太陽光からの入射光により直接的に曝露される大きな上部要素12を含む「被包照明」レンズの実例である。このような被包レンズは現在の自動車において通常的になり始めており、太陽曝露による黄変を防ぐためのUV保護を与えるように被覆をデザインする課題が示されている。本発明の好ましい態様においては、上部要素12の外表面を含むレンズ11の外表面14を、本発明のUV硬化させた透明な被覆組成物で上塗り被覆する。したがって、本発明の更なる態様は、このような被覆された自動車前方照明レンズ、及びそれを含む自動車を提供する。
【0039】
本発明及びその幾つかの態様の更なる理解を促進する目的で以下の実施例を与える。これらの実施例は例示であり、全く限定するものではないことが理解されよう。
【実施例】
【0040】
実施例1:
UV硬化性ブレンド組成物の製造:
公知の方法を用いて表1に列記する成分を配合して、上記に記載の所定量の第1及び第2のウレタンアクリレート樹脂を、多官能性アクリレート、光開始剤、光安定剤、酸化防止剤、及び流動改良剤と共に含むUV硬化性樹脂ブレンド組成物を形成した。上記に記載の1種類以上の不活性溶媒を組成物中に含ませて、その流動特性を変化させることができる。
【0041】
【表1】
【0042】
実施例2:
UV硬化性樹脂ブレンド組成物の製造:
公知の方法を用いて表2に列記する成分を配合して、上記に記載の所定量の第1及び第2のウレタンアクリレート樹脂を、多官能性アクリレート、光開始剤、光安定剤、酸化防止剤、及び流動改良剤と共に含むUV硬化性樹脂ブレンド組成物を形成した。上記に記載の1種類以上の不活性溶媒を組成物中に含ませて、その流動特性を変化させることができる。
【0043】
【表2】
【0044】
実施例3:
フローコート法による被覆プラスチック物品の製造:
硬化させると望ましい膜厚範囲が得られる比重を達成するように1種類以上の不活性溶媒も含ませた実施例1又は2の配合物を調製した。好ましい比重は約0.975未満の範囲である。造作物上に載置した射出成形ポリカーボネートレンズに、フローコート法によって被覆を適用し、被覆をレンズの上面及び側面のみに適用した。湿潤状態の被覆レンズを、短時間の雰囲気中フラッシング、次に対流加熱空気フラッシングにかけて溶媒を蒸発させた。次に、湿潤状態の被覆レンズを、空気中において、約450mW/cm
2の強度で240W/cmの標準水銀ランプによる照射に曝露して、約8〜12ミクロンの被覆乾燥膜厚を有する被覆物品を得た。
【0045】
実施例4:スプレー法による被覆プラスチック物品の製造:
1種類以上の不活性溶媒も含む実施例1又は2の配合物を、ロボット上に載置した通常のスプレーガンを用いて、スプレー法によって射出成形ポリカーボネートレンズに適用した。プログラムされたスプレーパターンを用いて、コーティングの安定した被覆及び8〜12ミクロンの範囲の硬化乾燥膜厚を達成した。湿潤状態の被覆レンズを加熱対流空気にかけて溶媒を蒸発させ、次に空気中において、約450mW/cm
2の強度で240W/cmの標準水銀ランプによる照射を行った。
【0046】
本発明の説明との関連(特に特許請求の範囲との関連)での用語「a」、「an」、及び「the」の使用は、ここで他に示されていないか又は記載によって明らかに反しない限りにおいて、単数形及び複数形の両方をカバーすると解釈すべきである。ここでの値の範囲の記載は、ここで他に示されていない限りにおいて、その範囲内に含まれるそれぞれの別々の値を個別に示す簡潔な方法として機能することを単に意図するものであり、それぞれの別々の値はここで個別に示されているかのように明細書中に含まれる。ここで記載する全ての方法は、ここで他に示されていないか或いは記載によって明らかに反しない限りにおいて、任意の好適な順番で行うことができる。ここで与えられているありとあらゆる例又は例示の用語(例えば「のような」)の使用は、単に本発明をより良好に解明することを意図するものであり、特許請求されてない限りにおいて本発明の範囲に限定を与えるものではない。明細書中の用語はいずれも、特許請求されていない要素を本発明の実施に必須のものとして示すように解釈すべきではない。
【0047】
図面及び上記の説明において本発明を詳細に説明及び記載したが、これらは例示のもので限定の性格を有するものではないと考えるべきであり、好ましい態様のみが示され記載されており、本発明の精神に含まれる全ての変更及び修正は保護されることを要求していると理解される。更に、ここで引用した全ての公報は、その全部を参照として本明細書中に包含する。