特許第6413132号(P6413132)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • 6413132-血行促進器具 図000002
  • 6413132-血行促進器具 図000003
  • 6413132-血行促進器具 図000004
  • 6413132-血行促進器具 図000005
  • 6413132-血行促進器具 図000006
  • 6413132-血行促進器具 図000007
  • 6413132-血行促進器具 図000008
  • 6413132-血行促進器具 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6413132
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】血行促進器具
(51)【国際特許分類】
   A61H 39/04 20060101AFI20181022BHJP
   A61H 7/00 20060101ALI20181022BHJP
   A61N 2/08 20060101ALI20181022BHJP
【FI】
   A61H39/04 B
   A61H7/00 300D
   A61N2/08 C
   A61N2/08 F
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-38520(P2017-38520)
(22)【出願日】2017年3月1日
(65)【公開番号】特開2018-143286(P2018-143286A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2017年4月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】504336582
【氏名又は名称】株式会社レクシオ
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀和
【審査官】 小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−175146(JP,A)
【文献】 特開2000−316935(JP,A)
【文献】 特開2013−106730(JP,A)
【文献】 特開2005−230244(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 39/04
A61N 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌表面に対して転がすための複数の突起を備えた表層部を有する血行促進器具であって、
前記突起と、それ以外の表層部とでは同極の磁場の強度が異なるように構成された血行促進器具。
【請求項2】
表層部よりも内側の央部は磁石を含み、
前記表層部は反磁性材料を少なくとも含有する請求項1に記載の血行促進器具。
【請求項3】
表層部よりも内側に反磁性材料が配置され、
前記表層部は表面法線方向に同一磁極となる磁性材料を少なくとも含有する請求項1に記載の血行促進器具。
【請求項4】
前記表層部は、反磁性材料を練りこんだプラスティック材料からなる請求項2に記載の血行促進器具。
【請求項5】
前記突起は、肌表面に食い込む程度の形の突起である請求項1から請求項4のいずれか一に記載の血行促進器具。
【請求項6】
前記突起は、表層部単位面積当たりの数が10個/平方センチメートル以上、30個/平方センチメートル以下である請求項1から請求項5のいずれか一に記載の血行促進器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血行促進器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
血行促進器具やマッサージ器具に磁石を用いているものや、突起を用いるものが知られている。前者は例えば磁石を備えた絆創膏のようなものであり、後者としては手のひらに握って手のひらの上を転がすクルミボールのようなものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−244010
【特許文献2】特開2016−209115
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、磁石の効果は磁石の効果、突起の効果は突起の効果でそれぞれ別であり、両者の効果の相乗効果を有する器具はなかった。電気式でなく磁石の効果と突起の効果が相まって血流を促進するような電磁界効果を得られれば簡易な構成で今までにない大きな効果を得ることができる。
【0005】
そのような目的を達成するために、本発明は、肌表面を転がすための複数の突起を備えた表層部を有する血行促進器具であって、前記突起と、それ以外の表層部とでは磁場の強度が異なるように構成された血行促進器具を開発した。
【0006】
次に、本発明は、前記特徴に加えて、表層部よりも内側の央部に磁石を含み、前記表層部は反磁性材料を少なくとも含有する血行促進器具を開発した。
【0007】
次に、本発明は、前記特徴に加えて、表層部よりも内側に反磁性材料が配置され、前記表層部は表面法線方向に同一磁極となる磁性材料を少なくとも含有する血行促進器具を開発した。
【0008】
次に、本発明は、前記特徴に加えて、前記表層部が、反磁性材料を練り込んだプラスティック材料からなる、血行促進器具を開発した。
【0009】
次に本発明は、前記特徴に加えて、前記突起が、肌正面に食い込む程度の形の突起である、血行促進器具を開発した。
【0010】
次に、本発明は、前記特徴に加えて、前記突起が表層部単位面積当たりの数が10個/平方センチメートル以上、30個/平方センチメートル以下である、血行促進器具を開発した。
【発明の効果】
【0011】
本発明の血行促進器具によれば、電気式でなく磁石の効果と突起の効果が相まって血流を促進するような電磁界効果を有する血行促進器具を提供することとができる。;
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明における、血行促進器具の全体図である。
図2】本発明における、央部の概念図である。
図3】本発明における、被不特定表面上の転がしによる磁場変化の概念図である。
図4】本発明における、表層部と央部の概念部分分解図である。
図5】本発明における、央部の概念断面図である。
図6】本発明における、反磁性体の影響を受けて核部の磁場に強弱が生じていることを示す概念図である。
図7】本発明における、反磁性体の影響を受けて表層部の磁場に強弱が生じていることを示す概念図である。
図8】本発明における、実施品の使用例を示す図である。
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図を用いて説明する。以下の説明は、実施例1は請求項1に、実施例2は請求項2に、実施例3は請求項3に、実施例4は請求項4に、実施例5は請求項5に、実施例6は請求項6に、それぞれ対応する、なお、本発明の内容は、以下の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得る。
【実施例1】
【0014】
〈概要〉
本実施例の発明は、磁場に強弱をつけた血行促進器具である。
【0015】
図1に示すように、本実施例の発明は、肌表面を転がすための複数の突起を備えた表層部を有しており、前記突起とそれ以外の表層部では磁場の強度が異なるように構成された、血行促進器具である。
【0016】
図2に示すように、本実施例の発明は、略半球体を組み合わせており(0201)、球のような形を有しているが、この形態に限定されるものではない。前記略半球体は、上部の半球体(0202)と下部の半球体(0203)が左右の異なる方向に回転可能である本実施例の発明は、図1に示すように、球の外周に多数の略円錐状の突起が設置されているが、前記表層部に凸凹を生じさせる形状であれば、前記突起の形状は限定されない。本実施例の発明は、本実施例の発明を構成する部材の一部または全てが磁性体によって構成されることで、磁力を帯びている。さらに、肌の受ける磁場に強弱の差異が生じるように磁性体によって構成された部材を配置する。例えば表層部の全体を表面に法線方向に磁力線を出す磁石とすることで突起の部分は磁力線を集中させ、それ以外の部分は比較的弱くすることができる。また、突起の部分のみ、埋め込まれる全ての磁石の磁極の向きが同一となるように磁石を埋込み、それ以外の部分には磁石を埋め込まないように構成することでも同じように磁場の強弱をつけることができる。
【0017】
本実施例では、器具の全体に磁場が帯びており、かつ、その磁場の強さに強弱がつくように構成されているので、肌にも磁場の強弱が与えられる。その上で、図3に示すように、肌表面を転がす使い方をするものなので血流(イオン性流体)に動磁場が印加される結果、血流中のイオン成分に対してこれを移動させる力が働く(フレミングの左手の法則)。これが血流を促進する作用をもたらす。したがって、血行が良くなる。さらに、図8で示すように、肌表面を転がすことで、磁場の強い部分と弱い部分が交互に入れ替わり、図3に示すように、磁界に変動が生じる結果、体内に微弱な電流が流れる。微弱な電流により、筋肉の緊張が緩和されるので、体の凝りがほぐされ、筋肉からの圧迫により硬直した血管が緩まるので、このことからも血流が促進される。これに加えて、前記突起が指圧によりマッサージの効果と同様に、肌表面に物理的刺激を与えることで、血流に対してより大きな刺激を与えることがでる。さらに、前記突起が指圧によりマッサージの効果と同様に、筋肉の硬直がほぐされるので体の緊張が緩和され、血流をさらに強く促進できる。したがって、本実施例は物理的刺激と、磁力による刺激と、電磁的な刺激の全てを組み合わせて、皮膚表面から体の奥の方まで同時に刺激を与えて、血管中の血球と筋肉に効果を及ぼすことで、血流を促進する効果を高めている。特に突起が鋭い場合ほど突起が肌表面を押し込むので皮膚表面のみならず、皮膚の奥までこれらの効果が及ぶこととなる。
【0018】
〈表層部について〉
図4に示すように、前記表層部は、内部が空洞になっており、その空洞部分に磁石などの略半球体(0401)を配置するように構成されている(この略半球体部分を合わせて本明細書では央部という。)組み合わせている。前記表層部は、央部(0402)に被せて、接着剤で固定しているが、この他の方法により固定してもかまわない。央部を構成する前記略半球は、上部と下部がそれぞれ異なる向きに回転する。それぞれの半球体は左右いずれの方向にも回転することが可能である。略半球体が回転する動きに合わせて、表層部はそれぞれが固定されている略半球体と同一の方向に回転する。表層部は、ある程度の硬度を有している素材により構成されることを想定しているが、例えばプラスティック樹脂、シリコーン樹脂のような柔軟な素材を母材として構成することも可能である。前記表層部の形状は、本実施例の形状に合わせて、四角を基礎とする形状であっても、三角を基礎と形状であってもよく、その他の多角形を基礎とする形状であってもかまわない。
【0019】
〈央部について〉
図5に示すように、前記回転部は、金属板(0504)の平面の両側に、潤滑板(0503)を有し、前記潤滑板の前記金属板側ではない面側に核部(0502)を有している。前記金属板及び前記潤滑板は、円板状であり、中心には、円柱状の柱を固定している。前記潤滑板は、例えばプラスティック素材などで構成されているものが考えられるが、それ以外の素材によって構成されていてもかまわない。前記核部は、略半球体でできており、中心が前記円柱状の柱(金属棒)を中心として回転可能に構成される。つまり、前記核部は、頂部近辺に凹部を有し、その凹部の中心に前記空洞が設けられる(0506)。前記金属棒の両端は、前記空洞径よりも経大(0507)となるように構成される。これには、例えば前記金属棒の頂部に金属棒をはめる環状の止め具(0501)を設置し、この環状の止め具を金属棒の頂部をつぶして外れないようにする。あるいは、前記金属棒の頂部に前記空洞径よりも経大となるように管を被せることで、前記環状の止め具を外れないようにする。このようにすれば核部が金属棒から抜け落ちることはない。前記央部には、前記核部が含まれていればよく、その構成は限定されない。前記回転部は回転することが望ましいが、回転しない構造でもよい。前記回転部を構成する部材は、本実施例の形状に合わせて、四角を基礎とする形状であっても、三角を基礎と形状であってもよく、その他の多角形を基礎とする形状であってもかまわない。
【0020】
〈金属板について〉
前記金属板は、二つの本件血行促進器具を連結可能な構造になっていてもよい。あるいは、複数の本件血行促進器具を連結可能な構造となっていてもよい。連結可能とする構造としては、例えば連結リングのようなものによって、前記金属板に開けられた穴と穴を架橋することで、連結させる方法が考えられる。あるいは、いわゆるメガネのような形状にして、二つの血行促進器具を連結させることも考えられる。後者の方が、血行促進具の状態が固定されるため、磁極の向きが必ず統一されるので、本件血行促進器具を用いた場合の効果は高い。
【実施例2】
【0021】
〈概要〉
本実施例の発明は、実施例1の特徴に加えて、前記表層部に反磁性材料を含有することにより、磁場に強弱をつけて血行促進効果をより高める、血行促進器具である。
【0022】
本実施例の発明は、実施例1の特徴に加えて、前記央部に磁石(例えば核部全体)が含まれ、前記表層部は全体に均一に反磁性材料を少なくとも含有する、との特徴を有する血行促進器具である。
【0023】
前記核部は、磁石により構成されている。前記核部の表目は、全て磁極が同極となっている。前記表層部を構成する反磁性材料としては、ゲルマニウム及びゲルマニウムの原石を多く含む黒雲母を用いることなどが考えられるが、反磁性材料であれば種類は限定しない。前記各部以外の部分が磁石によって構成されていても構わないが、磁力の効果を高めるために、前記各部に磁石が用いられていることが望ましい。
【0024】
図6に示すように、略球体に配置された磁石から全方位に均一に生じる磁場が反磁性体により弱められることで、磁場に強弱が生じることになる。例えば、突起がまんべんなく配置された表層部面積を2平方センチメートルから5平方センチメートルとし、突起の密度を10個毎平方センチメートルから30個毎平方センチメートル程度とする設計が考えられる。この際、人の手でこの球状の血行促進器具を2センチメートル毎秒から10センチメートル毎秒程度転がすと、肌面近傍では5Hzから25Hz程度の電磁波が生じ、導体である血液に対して起電力が働いたり、イオンである血液に力が働いたりする。この周波数は高いほど大きな起電力、大きな力を働かせることとなる。逆に周波数が低いとその効果がほとんどなくなる。
したがって、仮に永久磁石として15000ガウス程度の磁石を用い、肌に触れる磁石の強度が差分値で10000ガウス程度とし、この変化が0.1秒(肌表面を本件血行促進器具を転がすことで突起が肌にあたり、次に突起が退避するまでの時間)で生じるとすると、計算により0.001ボルト程度の起電力が肌表面の組織内に生じることとなる。人体内の起電力が1マイクロボルトから1ピコボルト程度であるので、その1000倍から100000倍程度の起電力が体内に生起されることとなり、十分に血流等の流れを活性化する効果がある。
また、反磁性体の突起の大きさによっても、差分値に差が生じるので、肌表面に流れる起電力の大きさが変化する。本件血行促進器具では、底面3ミリメートル、高さ3ミリメートルの略円錐型の突起であるが、表層部から突起頂部までの長さが長くなると、反磁性材料が磁力を弱める力が強くなるので、差分値が大きくなる。差分値が大きくなると、より大きな起電力が生起されることになるので、血行促進効果がより大きくなる。
【0025】
本実施例では、図6に示すように、前記表層部には、前記突起が設置されており、前記突起には反磁性物質が含まれているため、突起の部分で反磁性の力が強く働くので(図中H1、H3、H5、H7、H9、H11、H13参照)、磁場は大きく弱められる。前記突起のない前記表層部の滑らかな部分では、反磁性の力は弱く働くので(図中H2、H4、H6、H8、H10、H12参照)、磁場は小さく弱められる。図では示されていないが、図中H6からH8の区域においては、多少強弱の仕方に乱れが生じている。器具の全体に磁場が帯びており、かつ、その磁場の強さに強弱がつくように構成されているので、肌にも磁場の強弱が与えられる(0601)。その上で、図8に示すように、肌表面を転がす使い方をするものなので血流(イオン性流体)に動磁場が印加される結果、血流中のイオン成分に対してこれを移動させる力が働く(フレミングの左手の法則)。これが血流を促進する作用をもたらす。したがって、血行が良くなる。さらに、肌表面を転がすことで、磁場の強い部分と弱い部分が交互に入れ替わり、図3に示すように、磁界に変動が生じる結果、体内に微弱な電流が流れる。微弱な電流により、筋肉の緊張が緩和されるので、体の凝りがほぐされ、筋肉からの圧迫により硬直した血管が緩まるので、このことからも血流が促進される。これに加えて、前記突起が指圧によりマッサージの効果と同様に、肌表面に物理的刺激を与えることで、血流に対してより大きな刺激を与えることがでる。さらに、前記突起が指圧によりマッサージの効果と同様に、筋肉の硬直がほぐされるので体の緊張が緩和され、血流をさらに強く促進できる。したがって、本実施例は物理的刺激と、磁力による刺激と、電磁的な刺激の全てを組み合わせて、皮膚表面から体の奥の方まで同時に刺激を与えて、血管中の血球と筋肉に効果を及ぼすことで、血流を促進する効果を高めている。特に突起が鋭い場合ほど突起が肌表面を押し込むので皮膚表面のみならず、皮膚の奥までこれらの効果が及ぶこととなる。
【実施例3】
【0026】
〈概要〉
本実施例の発明は、実施例1の特徴に加えて、表層部より内側に反磁性材料を用い、表層部に磁性体をもちいていた血行促進器具である。
【0027】
本実施例の発明は、実施例1の特徴に加えて、表層部よりも内側に反磁性材料が配置され、前記表層部は表面法線方向に同一磁極となる磁性材料を少なくとも含有する請求項1に記載の血行促進器具である
【0028】
前記核具は、反磁性材料により構成されている。反磁性材料は、表層部の内側であれば、どの部分に用いられていても構わないが、磁力の波をより効果的に発生させるためには、前記核部に反磁性材料を用いることが望ましい。前記核部に配置される反磁性材料は、ゲルマニウムである。ゲルマニウム原石を多く含んでいる黒雲母でもよい。その他の反磁性体であっても構わない。前記表層部の磁性体は、磁石を鋳造処理又は加熱処理をし、正面法線方向に同一磁極となるように処理されていなければならない。鋳造処理または加熱処理されていないと、反磁性体によって磁場を弱めたとしても統一された磁場の波が生じないため、血球の振動が継続的に増長されず、血行促進効果が高まらない。
【0029】
略球体に配置された磁石から全方位に均一に生じる磁場が反磁性体により弱められることで、磁場に強弱が生じることになる。例えば、突起がまんべんなく配置された表層部面積を2平方センチメートルから5平方センチメートルとし、突起の密度を10個毎平方センチメートルから30個毎平方センチメートル程度とする設計が考えられる。この際、人の手でこの球場の血行促進器具を2センチメートル毎秒から10センチメートル毎秒程度転がすと、肌面近傍では5Hzから25Hz程度の電磁波が生じ、導体である血液に対して起電力が働いたり、イオンである血液に力が働いたりする。この周波数は高いほど大きな起電力、大きな力を働かせることとなる。逆に周波数が低いとその効果がほとんどなくなる。
したがって、仮に永久磁石として15000ガウス程度の磁石を用い、肌に触れる磁石の強度が差分値で10000ガウス程度とし、この変化が0.1秒(肌表面を本件血行促進器具を転がすことで突起が肌にあたり、次に突起が退避するまでの時間)で生じるとすると、計算により0.001ボルト程度の起電力が肌表面の組織内に生じることとなる。人体内の起電力が1マイクロボルトから1ピコボルト程度であるので、その1000倍から100000倍程度の起電力が体内に生起されることとなり、十分に血流等の流れを活性化する効果がある。
また、反磁性体の突起の大きさによっても、差分値に差が生じるので、肌表面に流れる起電力の大きさが変化する。本件血行促進器具では、底面3ミリメートル、高さ2ミリメートルの略円錐型の突起であるが、表層部から突起頂部までの長さが長くなると、反磁性材料が磁力を弱める力が強くなるので、差分値が大きくなる。差分値が大きくなると、より大きな起電力が生起されることになるので、血行促進効果がより大きくなる。
【0030】
本実施例では、図7に示すように、前記核部には反磁性材料が用いられているので、磁石との距離の近い前記突起のない表層部で反磁性の力が強く働くので(図中h2、h4、h6、h8、h10、h12参照)、磁場は大きく弱められる。前記突起の部分では、反磁性の力は弱く働くので(図中h1、h3、h5、h7、h9、h11、h13参照)、磁場は小さく弱められる。図では示されていないが、図中h6からh8の区域においては、多少強弱の仕方に乱れが生じている。器具の全体に磁場が帯びており、かつ、その磁場の強さに強弱がつくように構成されているので、肌にも磁場の強弱が与えられる(0701)。その上で、図8に示すように、肌表面を転がす使い方をするものなので血流(イオン性流体)に動磁場が印加される結果、血流中のイオン成分に対してこれを移動させる力が働く(フレミングの左手の法則)。これが血流を促進する作用をもたらす。したがって、血行が良くなる。さらに、肌表面を転がすことで、磁場の強い部分と弱い部分が交互に入れ替わり、図3で示すように、磁界に変動が生じる結果、体内に微弱な電流が流れる。微弱な電流により、筋肉の緊張が緩和されるので、体の凝りがほぐされ、筋肉からの圧迫により硬直した血管が緩まるので、このことからも血流が促進される。これに加えて、前記突起が指圧によりマッサージの効果と同様に、肌表面に物理的刺激を与えることで、血流に対してより大きな刺激を与えることがでる。さらに、前記突起が指圧によりマッサージの効果と同様に、筋肉の硬直がほぐされるので体の緊張が緩和され、血流をさらに強く促進できる。したがって、本実施例は物理的刺激と、磁力による刺激と、電磁的な刺激の全てを組み合わせて、皮膚表面から体の奥の方まで同時に刺激を与えて、血管中の血球と筋肉に効果を及ぼすことで、血流を促進する効果を高めている。特に突起が鋭い場合ほど突起が肌表面を押し込むので皮膚表面のみならず、皮膚の奥までこれらの効果が及ぶこととなる。
【実施例4】
【0031】
〈概要〉
本実施例の発明は、前記実施例2の特徴に加え、前記表層部に反磁性材料を練り込んだプラスティック素材を用いている血行促進器具である。
【0032】
本実施例の発明は、前記実施例2の特徴に加え、前記表層部に、反磁性材料を練り込んだプラスティック素材を用いていることを特徴とする。
【0033】
プラスティックに練り込む反磁性材料はゲルマニウムである。ゲルマニウム原石を多く含んでいる黒雲母でも構わない。この他の反磁性材料であっても構わない。プラスティックに反磁性物質を練り込む場合、プラスティックの結合の間に反磁性体が混在することになる。そこで、反磁性物質の粒子が大きい場合には、プラスティックと反磁性物質の間の結合が脆弱になり、前記表層部の破損の原因となる。そのため、反磁性物質は細かい粒子にしてプラスティック素材に練り込むことが望ましい。
【実施例5】
【0034】
〈概要〉
本実施例の発明は、前記実施例のいずれか一に記載の特徴に加えて、前記突起の形状が肌に食い込む程度の形である血行促進器具である。
【0035】
本実施例の発明は、前記実施例1から4のいずれか一に記載の特徴に加えて、前記突起が肌表面に食い込む程度の形の突起であるとの特徴を有する。
【0036】
前記突起は、本実施例の発明を肌表面で転がしたときに、リラックス効果が認められる心地よい程度の刺激を与えるためのものである。したがって、針のような突起ではなく、ある程度の太さのある円錐状のものが望ましいが、それ以外の形状でも構わない。
【実施例6】
【0037】
〈概要〉
本実施例の発明は、前記実施例のいずれか一に記載の特徴に加え、前記突起の個数が表層部単位面積当たり10個から30個以内の血行促進器具である。
【0038】
本実施例の発明は、前記実施例のいずれか一に記載の特徴に加え、前記突起が、前記表層部の単位面積当たりの数が10個/平方センチメートル以上、30個/平方センチメートル以下であるとの特徴を有する。
【0039】
前記突起は、磁場の強い場所と弱い場所の分布を決定するものである。前記突起が密集しすぎていると、磁場の強い部分と弱い部分が顕著に表れなくなるので、単位面積当たりの数は30個/平方センチメートル以下である必要がある。前記突起が過疎すぎると、磁場の波が穏やかな波となり、赤血球の揺れが鈍いものとなり、高い血流促進効果が期待できないので、単位面積当たりの数は10個/平方センチメートル以上であることが必要である。
【0040】
〈その他の実施形態〉
本件血行促進器具は、表面を構成する物質に磁石や反磁性材料である例えばゲルマニウムや、プラスティックが用いられている。これらの物質は、体内に侵入した場合には、有害な物質である。そこで本件血行促進器具を使用している際に、傷口から本件血行促進器具を構成する物質が体内に侵入することを防ぐために、体内に取り込まれても無害な物質によって被覆加工することが考えられる。体内に取り込まれても無害な物質の例示として、金により被覆加工することが考えられる。例えば24金(金100%)、100%プラチナの材料を使う。
【0041】
本件血行促進器具の表層部に設置される突起の先端の鋭利さをしめすとんがり度は、30度以上120度以下を最適なものとする。とんがり度とは、接する平面のもつ内角の和の合計を360度から差し引いた値のことをいう。例えば、立方体の場合、一つの頂点には三つの平面が終結しており、頂点に接している各面の内角の総和は90度×3=270度となるので、とんがり度は360度から270度を差し引いた90度となる。円錐の場合には、頂点は展開図の扇型の頂点と一致するので、頂点に接する面とは、扇型の先端にあたる。したがって、そのとんがり度とは、扇型の中心角の角度を360度から差し引いた値となる。とんがり度は、大きいほど鋭利なとんがりとなる。とんがり度が120度よりも大きい場合、突起が手にささる危険があり、危ない。さらに、とんがり度が30度より小さいと、皮膚に食い込まないので、指圧のような物理的な効果が得られない。とんがり度が最適条件に合致していなくても、本件血行促進器具と同様の構造を有しておれば実施は可能であるが、同様の効果を得ることは期待できない。
【0042】
本件血行促進器具において、とんがり度を最適条件とした実施例の一例として、突起を高さ2ミリ底辺の直径を3ミリとする略円錐型にすることが考えられる。この場合、中心角の大きさは360度の3/4の270度となる。したがって、とんがり度は90度となり、最適条件のとんがり度を有する突起となる。
【0043】
本件血行促進器具の実施例の一例として、球の突起を取り除いた直径を20ミリから40ミリ程度にすることが考えられる。20ミリよりも小さいと、肌表面で本件血行促進器具を転がしたときの磁場の変化量が少ない為、血行促進効果が弱くなる。40ミリより大きい場合は、手に収めることができないので、素早く転がすことが困難となり磁場の変化速度が遅くなるため、血行促進効果が弱くなる。したがって、球の突起を取り除いた直径の大きさは20ミリから40ミリが最適条件となる。最適条件を満たしていなくても、本件血行促進器具と同様の子構造を有しておれば実施は可能であるが、同様の効果を得ることは期待できない。
【0044】
〈その他の効能〉
本件血行促進器具は、転がして利用するさいに手に持つことが想定されるところ、手元に対して集中的な刺激を与えることができる。刺激は、神経を通過して、脳に送られる。したがって、集中的な刺激を短時間に与えることで、脳に対しても集中的な刺激を短時間に与えることができるので、脳の働きを活性化させることができる。そこで、ボケ防止としての効果が期待できる。
【0045】
また、本件血行器具は、上下の略半球体が左右に回転運動をするので、この回転運動を片片手で行うためには、指先で複雑な動きを行う必要がある。複雑な動きを行うために脳は複雑な活動をすることになるので、脳に対して刺激を与えることになる。そこで、ボケ防止としての効果が期待できる。両手で回転運動を行う場合には、左右の手で異なる動きをする必要がある。左右の手に、同時に、異なる運動をさせることは複雑な動きであり、脳に対して強い刺激を与える。そこで、ボケ防止としての効果が期待できる。
【0046】
指先に与えられる物質が接触するという刺激に加えて、自らの手を複雑に動かすという複雑な思考が合わさることで、本件血行促進器具には痴呆紡糸のための高い効果が期待される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8