(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
熱量計でのガスの発熱量の検知には、時間がかかることが多い。このため、上記特許文献1に記載の技術では、混合ガスの発熱量の変化を熱量計で検出できた時点で、既に、発熱量変化後の混合ガスがガスタービンに供給されている場合がある。よって、特許文献1に記載の技術では、ガスタービンを安定運転できない場合がある、という問題点がある。
【0006】
そこで、本発明は、混合ガスの発熱量が変化してもガスタービン設備を安定運転できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するための発明に係る一態様としてのガスタービン設備の制御装置は、
天然ガスとボイルオフガスとの混合ガスを燃料とするガスタービンと、前記ガスタービンに供給される前記燃料の流量又は空気の流量を調節する調節器と、を備えるガスタービン設備の制御装置において、前記天然ガスと前記ボイルオフガスとの混合箇所より上流側の状況を示す情報を受け付ける受付部と、前記情報が示す前記上流側の状況に応じて、前記調節器の制御量を定める制御量演算部と、前記制御量演算部が求めた制御量を示す指令を前記調節器に出力する出力部と、を有す
る。前記調節器は、前記ガスタービンに供給される前記燃料の流量を調節する燃料調節弁を有する。前記受付部は、前記情報の少なくとも一部として、前記混合箇所より上流側での前記ボイルオフガスの流量を受け付ける。前記制御量演算部は、前記ボイルオフガスの流量に応じて定まる、前記ガスタービンに単位時間当たりに供給される前記混合ガスの発熱量であるガスタービン入熱量に基づいて、前記燃料調節弁の前記制御量を定める燃料制御量演算部を有する。
【0008】
天然ガスとボイルオフガスとの混合ガスの発熱量は、天然ガスとボイルオフガスとの混合箇所より上流側の状況が変化すると、変化する。すなわち、上流側の状況変化が起こってから、混合ガスの発熱量が変化する。当該制御装置では、上流側の状況を示す情報に応じて調節器の制御量が定められる。よって、当該制御装置では、混合ガスの発熱量が変化しても、ガスタービン入熱量又はタービンの燃焼ガス入口温度の変動を抑えることができる。
天然ガスを供給する設備で、ボイルオフガスは、その単位量当たりの発熱量はほぼ一定である。このため、ボイルオフガスの流量を把握することができれば、混合ガスの単位量当たりの発熱量である単位混合ガス発熱量、さらに、ガスタービンに単位時間当たりに供給される混合ガスの発熱量であるガスタービン入熱量を推定することができる。そこで、当該制御装置では、ボイルオフガスの流量を受け付け、ボイルオフガスの流量に応じて定まるガスタービン入熱量に基づいて、燃料調節弁の制御量を定める。よって、当該制御装置では、ボイルオフガスの流量変動に伴って単位混合ガス発熱量が変化しても、ガスタービン入熱量の変動を抑えることができる。
【0009】
ここで、前記ガスタービン設備の制御装置において、前記出力部は、前記上流側の状況が変化して、内容が変化した情報を前記受付部が受け付けた時点から、内容が変化した前記情報に応じた前記制御量を示す指令を、所定時間後に出力してもよい。
【0010】
当該制御装置では、発熱量変化後の混合ガスがガスタービンに流入するタイミングに合わせて、調節器を動作させることができる。
【0013】
また、前記燃料制御量演算部を有する前記ガスタービン設備の制御装置において、前記燃料制御量演算部は、前記上流側の状況を示す情報に基づかずに定まる前記燃料調節弁の制御量である燃料ベース制御量を求める燃料ベース制御量演算部と、前記ボイルオフガスの流量に応じた前記ガスタービン入熱量を求めるガスタービン入熱量演算部と、前記ガスタービン入熱量に応じた、前記燃料ベース制御量を補正するための補正係数を出力する燃料係数発生部と、前記燃料係数発生部が出力した前記補正係数を用いて前記燃料ベース制御量を補正する補正部と、を有してもよい。
【0014】
上記問題点を解決するための発明に係る他の態様としてのガスタービン設備の制御装置は、
天然ガスとボイルオフガスとの混合ガスを燃料とするガスタービンと、前記ガスタービンに供給される前記燃料の流量又は空気の流量を調節する調節器と、を備えるガスタービン設備の制御装置において、前記天然ガスと前記ボイルオフガスとの混合箇所より上流側の状況を示す情報を受け付ける受付部と、前記情報が示す前記上流側の状況に応じて、前記調節器の制御量を定める制御量演算部と、前記制御量演算部が求めた制御量を示す指令を前記調節器に出力する出力部と、を有する。前記調節器は、前記ガスタービンに供給される前記空気の流量を調節する吸気調節器を有し、前記制御量演算部は、前記ボイルオフガスの流量に応じて定まる、前記ガスタービンに単位時間当たりに供給される前記混合ガスの発熱量であるガスタービン入熱量に基づいて、前記吸気調節器の前記制御量を定める吸気制御量演算部を有してもよい。
この場合、前記吸気制御量演算部は、前記上流側の状況を示す情報に基づかずに定まる前記吸気調節器の制御量である吸気ベース制御量を求める吸気ベース制御量演算部と、前記ボイルオフガスの流量に応じた前記ガスタービン入熱量を求めるガスタービン入熱量演算部と、前記ガスタービン入熱量の単位時間当たりの変化量である入熱変化率を求める入熱変化率演算部と、前記入熱変化率に応じた、前記吸気ベース制御量を補正するための補正係数を出力する吸気係数発生部と、前記吸気係数発生部が出力した前記補正係数を用いて前記吸気ベース制御量を補正する補正部と、を有する。
【0015】
当該制御装置では、ボイルオフガスの流量を受け付け、ボイルオフガスの流量に応じて定まるガスタービン入熱量に基づいて、吸気調節器の制御量を定める。よって、当該制御装置では、ボイルオフガスの流量変動に伴って単位混合ガス発熱量が変化しても、タービンの燃焼ガス入口の温度変化を抑えることができる。
【0017】
また、以上のいずれかの前記ガスタービン設備の制御装置において、前記受付部は、前記情報の少なくとも一部として、前記混合箇所より上流側の設備状況を受け付け、前記制御量演算部は、前記設備状況に応じて定まる、前記ガスタービンに単位時間当たりに供給される前記混合ガスの発熱量であるガスタービン入熱量に基づいて、前記調節器の前記制御量を定めてもよい。
【0018】
天然ガスとボイルオフガスとの混合ガスの発熱量は、天然ガスとボイルオフガスとの混合箇所より上流側の設備状況が変化すると、変化する。すなわち、上流側の設備状況の変化が起こってから、混合ガスの発熱量が変化する。当該制御装置では、上流側の設備状況に応じて調節器の制御量が定められる。よって、当該制御装置では、混合ガスの発熱量が変化しても、ガスタービン入熱量又はタービンの燃焼ガス入口温度の変動を抑えることができる。
【0019】
前記受付部が前記ボイルオフガスの流量を受け付ける、以上のいずれかの前記ガスタービン設備の制御装置において、前記受付部は、前記情報の少なくとも一部として、前記混合箇所より上流側の設備状況を受け付け、前記制御量演算部は、前記設備状況が変化した時点から所定時間の間、変化した後の設備状況に応じて定まる、前記ガスタービンに単位時間当たりに供給される前記混合ガスの発熱量であるガスタービン入熱量に基づいて、前記調節器の前記制御量を定め、前記設備状況が変化した時点から前記所定時間経過した以降、前記ボイルオフガスの流量に応じて前記制御量を定めてもよい。
【0020】
前記受付部が前記上流側の設備状況を受け付ける、以上のいずれかの前記ガスタービン設備の制御装置において、前記調節器は、前記ガスタービンに供給される前記燃料の流量を調節する燃料調節弁を有し、前記制御量演算部は、前記燃料調節弁の前記制御量を定める燃料制御量演算部を有し、前記燃料制御量演算部は、前記上流側の状況を示す情報に基づかずに定まる前記燃料調節の制御量である燃料ベース制御量を求める燃料ベース制御量演算部と、前記受付部が受け付けた前記設備状況に応じた、前記燃料ベース制御量を補正するための補正係数を出力する燃料係数発生部と、前記燃料係数発生部が出力した前記補正係数を用いて前記燃料ベース制御量を補正する補正部と、を有してもよい。
また、上記問題点を解決するための発明に係るさらに他の態様としてのガスタービン設備の制御装置は、
天然ガスとボイルオフガスとの混合ガスを燃料とするガスタービンと、前記ガスタービンに供給される前記燃料の流量又は空気の流量を調節する調節器と、を備えるガスタービン設備の制御装置において、前記天然ガスと前記ボイルオフガスとの混合箇所より上流側の状況を示す情報を受け付ける受付部と、前記情報が示す前記上流側の状況に応じて、前記調節器の制御量を定める制御量演算部と、前記制御量演算部が求めた制御量を示す指令を前記調節器に出力する出力部と、を有する。前記受付部は、前記情報の少なくとも一部として、前記混合箇所より上流側の設備状況を受け付ける。前記制御量演算部は、前記設備状況に応じて定まる、前記ガスタービンに単位時間当たりに供給される前記混合ガスの発熱量であるガスタービン入熱量に基づいて、前記調節器の前記制御量を定める。前記調節器は、前記ガスタービンに供給される前記燃料の流量を調節する燃料調節弁を有する。前記制御量演算部は、前記燃料調節弁の前記制御量を定める燃料制御量演算部を有する。前記燃料制御量演算部は、前記上流側の状況を示す情報に基づかずに定まる前記燃料調節の制御量である燃料ベース制御量を求める燃料ベース制御量演算部と、前記受付部が受け付けた前記設備状況に応じた、前記燃料ベース制御量を補正するための補正係数を出力する燃料係数発生部と、前記燃料係数発生部が出力した前記補正係数を用いて前記燃料ベース制御量を補正する補正部と、を有する。
【0021】
前記受付部が前記上流側の設備状況を受け付ける、以上のいずれかの前記ガスタービン設備の制御装置において、前記調節器は、前記ガスタービンに供給される前記空気の流量を調節する吸気調節器を有し、前記制御量演算部は、前記吸気調節器の前記制御量を定める吸気制御量演算部を有し、前記吸気制御量演算部は、前記上流側の状況を示す情報に基づかずに定まる前記吸気調節器の制御量である吸気ベース制御量を求める吸気ベース制御量演算部と、前記受付部が受け付けた前記設備状況に応じた、前記吸気ベース制御量を補正するための補正係数を出力する吸気係数発生部と、前記吸気係数発生部が出力した前記補正係数を用いて前記吸気ベース制御量を補正する補正部と、を有してもよい。
【0022】
前記受付部が前記上流側の設備状況を受け付ける、以上のいずれかの前記ガスタービン設備の制御装置において、前記混合箇所より上流側の設備として、前記ガスタービンに前記ボイルオフガスを供給するために前記ボイルオフガスを昇圧する複数台のガス圧縮機が設けられており、前記受付部は、前記設備状況として、複数台の前記ガス圧縮機のうちの稼働台数を受け付け、前記制御量演算部は、前記ガス圧縮機の稼働
台数に応じて、前記調節器の前記制御量を定めてもよい。
【0023】
上記問題点を解決するための発明に係る一態様としてのガスタービン設備は、
以上のいずれかの前記制御装置と、前記ガスタービンと、前記調節器と、を備える。
【0024】
上記問題点を解決するための発明に係る一態様としてのガスタービン設備の制御方法は、
天然ガスとボイルオフガスとの混合ガスを燃料とするガスタービンと、前記ガスタービンに供給される前記燃料の流量又は空気の流量を調節する調節器と、を備えるガスタービン設備の制御方法において、前記天然ガスと前記ボイルオフガスとの混合箇所より上流側の状況を示す情報を受け付ける受付工程と、前記情報が示す前記上流側の状況に応じて、前記調節器の制御量を定める制御量演算工程と、前記制御量演算工程で求められた制御量を示す指令を前記調節器に出力する出力工程と、を実行する。
この場合、前記調節器は、前記ガスタービンに供給される前記燃料の流量を調節する燃料調節弁を有している。前記受付工程では、前記情報の少なくとも一部として、前記混合箇所より上流側での前記ボイルオフガスの流量を受け付ける。前記制御量演算工程は、前記ボイルオフガスの流量に応じて定まる、前記ガスタービンに単位時間当たりに供給される前記混合ガスの発熱量であるガスタービン入熱量に基づいて、前記燃料調節弁の前記制御量を定める燃料制御量演算工程を含む。
【0025】
天然ガスとボイルオフガスとの混合ガスの発熱量は、天然ガスとボイルオフガスとの混合箇所より上流側の状況が変化すると、変化する。すなわち、上流側の状況変化が起こってから、混合ガスの発熱量が変化する。当該制御方法では、上流側の状況を示す情報に応じて調節器の制御量を定める。よって、当該制御方法では、混合ガスの発熱量が変化しても、ガスタービン入熱量又はタービンの燃焼ガス入口温度の変動を抑えることができる。
【0026】
ここで、前記ガスタービン設備の制御方法において、前記出力工程では、前記上流側の状況が変化して、内容が変化した情報を前記受付工程で受け付けた時点から、内容が変化した前記情報に応じた前記制御量を示す指令を、所定時間後に出力してもよい。
【0028】
上記問題点を解決するための発明に係る他の一態様としてのガスタービン設備の制御方法は、
天然ガスとボイルオフガスとの混合ガスを燃料とするガスタービンと、前記ガスタービンに供給される前記燃料の流量又は空気の流量を調節する調節器と、を備えるガスタービン設備の制御方法において、前記天然ガスと前記ボイルオフガスとの混合箇所より上流側の状況を示す情報を受け付ける受付工程と、前記情報が示す前記上流側の状況に応じて、前記調節器の制御量を定める制御量演算工程と、前記制御量演算工程で求められた制御量を示す指令を前記調節器に出力する出力工程と、を実行する。この場合、前記調節器は、前記ガスタービンに供給される前記空気の流量を調節する吸気調節器を有しており、前記制御量演算工程は、前記ボイルオフガスの流量に応じて定まる、前記ガスタービンに単位時間当たりに供給される前記混合ガスの発熱量であるガスタービン入熱量に基づいて、前記吸気調節器の前記制御量を定める吸気制御量演算工程を含んでもよい。
この場合、前記吸気制御量演算工程は、前記上流側の状況を示す情報に基づかずに定まる前記吸気調節器の制御量である吸気ベース制御量を求める工程と、前記ボイルオフガスの流量に応じた前記ガスタービン入熱量を求める工程と、前記ガスタービン入熱量の単位時間当たりの変化量である入熱変化率を求める工程と、前記入熱変化率に応じた、前記吸気ベース制御量を補正するための補正係数を出力する工程と、前記吸気係数発生部が出力した前記補正係数を用いて前記吸気ベース制御量を補正する工程と、を含む。
【0029】
また、以上のいずれかの前記ガスタービン設備の制御方法において、前記受付工程では、前記情報の少なくとも一部として、前記混合箇所より上流側での設備状況を受け付け、前記制御量演算工程では、前記設備状況に応じて定まる、前記ガスタービンに単位時間当たりに供給される前記混合ガスの発熱量であるガスタービン入熱量に基づいて、前記調節器の前記制御量を定めてもよい。
【0030】
前記受付工程で前記上流側での設備状況を受け付ける前記ガスタービン設備の制御方法において、前記調節器は、前記ガスタービンに供給される前記燃料の流量を調節する燃料調節弁を有しており、前記制御量演算工程は、前記燃料調節弁の前記制御量を定める燃料制御量演算工程を含み、前記燃料制御量演算工程は、前記上流側の状況を示す情報に基づかずに定まる前記燃料調節弁の制御量である燃料ベース制御量を求める燃料ベース制御量演算工程と、前記受付工程で受け付けた前記設備状況に応じた、前記燃料ベース制御量を補正するための補正係数を出力する燃料係数発生工程と、前記燃料係数発生工程で出力された前記補正係数を用いて前記燃料ベース制御量を補正する補正工程と、を含んでもよい。
また、上記問題点を解決するための発明に係る他の態様としてのガスタービン設備の制御方法は、
天然ガスとボイルオフガスとの混合ガスを燃料とするガスタービンと、前記ガスタービンに供給される前記燃料の流量又は空気の流量を調節する調節器と、を備えるガスタービン設備の制御方法において、前記天然ガスと前記ボイルオフガスとの混合箇所より上流側の状況を示す情報を受け付ける受付工程と、前記情報が示す前記上流側の状況に応じて、前記調節器の制御量を定める制御量演算工程と、前記制御量演算工程で求められた制御量を示す指令を前記調節器に出力する出力工程と、を実行する。前記受付工程では、前記情報の少なくとも一部として、前記混合箇所より上流側での設備状況を受け付ける。前記制御量演算工程では、前記設備状況に応じて定まる、前記ガスタービンに単位時間当たりに供給される前記混合ガスの発熱量であるガスタービン入熱量に基づいて、前記調節器の前記制御量を定める。前記調節器は、前記ガスタービンに供給される前記燃料の流量を調節する燃料調節弁を有している。前記制御量演算工程は、前記燃料調節弁の前記制御量を定める燃料制御量演算工程を含む。前記燃料制御量演算工程は、前記上流側の状況を示す情報に基づかずに定まる前記燃料調節弁の制御量である燃料ベース制御量を求める燃料ベース制御量演算工程と、前記受付工程で受け付けた前記設備状況に応じた、前記燃料ベース制御量を補正するための補正係数を出力する燃料係数発生工程と、前記燃料係数発生工程で出力された前記補正係数を用いて前記燃料ベース制御量を補正する補正工程と、を含む。
【0031】
前記受付工程で前記上流側での設備状況を受け付ける、以上のいずれかの前記ガスタービン設備の制御方法において、前記調節器は、前記ガスタービンに供給される前記空気の流量を調節する吸気調節器を有しており、前記制御量演算工程は、前記吸気調節器の前記制御量を定める吸気制御量演算工程を含み、前記吸気制御量演算工程は、前記上流側の状況を示す情報に基づかずに定まる前記吸気調節器の制御量である吸気ベース制御量を求める吸気ベース制御量演算工程と、前記受付部が受け付けた前記設備状況に応じた、前記吸気ベース制御量を補正するための補正係数を出力する吸気係数発生工程と、前記吸気係数発生工程で出力された前記補正係数を用いて前記吸気ベース制御量を補正する補正工程と、を含んでもよい。
【0032】
前記受付工程で前記上流側での設備状況を受け付ける、以上のいずれかの前記ガスタービン設備の制御方法において、前記混合箇所より上流側の設備として、前記ガスタービンに前記ボイルオフガスを供給するために前記ボイルオフガスを昇圧する複数台のガス圧縮機が設けられており、前記受付工程では、前記設備状況として、複数台の前記ガス圧縮機のうちの稼働台数を受け付け、前記制御量演算工程では、前記ガス圧縮機の稼働
台数に応じて、前記調節器の前記制御量を定めてもよい。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、混合ガスの発熱量が変化してもガスタービン設備を安定運転できる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明に係るガスタービン設備の各種実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0036】
「第一実施形態」
本発明に係るガスタービン設備の第一実施形態について、
図1〜
図5を用いて説明する。
【0037】
本実施形態のガスタービン設備1は、
図1に示すように、ガスタービン10と、ガスタービン10の駆動で発電する発電機30と、ガスタービン10に供給される燃料が流れる燃料ライン21と、この燃料ライン21を流れる燃料の流量を調節する調節器としての燃料調節弁31と、ガスタービン10に供給される空気の流量を調節する調節器としての吸気調節器(IGV)35と、燃料調節弁31及び吸気調節器35の動作を制御する制御装置100と、を備えている。
【0038】
ガスタービン10は、空気Aを圧縮する空気圧縮機11と、空気圧縮機11で圧縮された空気中で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器14と、燃焼ガスにより駆動するタービン15と、を有する。
【0039】
空気圧縮機11は、軸線を中心として回転する圧縮機ロータ12と、この圧縮機ロータ12を回転可能に覆う圧縮機ケーシング13と、を有する。タービン15は、軸線を中心として回転するタービンロータ16と、このタービンロータ16を回転可能に覆うタービンケーシング17と、を有する。圧縮機ロータ12とタービンロータ16とは、同一の軸線上に位置し、互いに連結されてガスタービンロータ18を成している。圧縮機ケーシング13とタービンケーシング17とは、互いに接続されてガスタービンケーシング19を成している。ガスタービンロータ18には、発電機30のロータが連結されている。発電機30の発電量は、ガスタービン10の実出力として出力計41で検知される。
【0040】
燃焼器14には、前述の燃料ライン21が接続されている。この燃料ライン21に、燃料調節弁31が設けられている。吸気調節器(IGV)35は、圧縮機ケーシング13の吸込口側に設けられている複数の入口案内翼36と、複数の入口案内翼36の開度を変える案内翼駆動機37と、を有する。
【0041】
燃料ライン21には、燃料供給設備5からの混合ガスが燃料として供給される。この燃料供給設備5は、液化天然ガス(以下、LNG(Liquefied Natural Gas)とする)を貯めておくLNGタンク50と、LNGタンク50からのLNGが流れるLNGライン51と、LNGを昇圧するLNGポンプ61と、LNGポンプ61で昇圧されたLNGを加熱して気化させる気化器62と、気化したLNGである天然ガス(以下、NG(Natural Gas)とする)が流れるNGライン52と、LNGタンク50内で発生したボイルオフガス(以下、BOG(Boil Off Gas)とする)が流れるBOGライン53と、BOGを昇圧する複数のBOG圧縮機63と、BOGとNGとの混合ガスが流れる燃料供給ライン56と、を備えている。
【0042】
LNGタンク50と気化器62とは、前述のLNGライン51で接続されている。このLNGライン51中に、前述のLNGポンプ61が設けられている。LNGライン51には、ここを流れるLNGの単位量当たりの発熱量である単位LNG発熱量H
Nを検知するLNG熱量計71が設けられている。また、NGライン52には、ここを流れるNGの流量F
Nを検知するNG流量計72が設けられている。
【0043】
前述のBOGは、LNGタンク50内のLNGに対する自然入熱等によりLNGの一部が蒸発したガスである。このBOGは、LNGを構成するメタン、メタン、プロパン等のうちで、沸点が最も低いメタンのみで実質的に構成されている。
【0044】
BOGライン53は、LNGタンク50と複数のBOG圧縮機63の吸込み口とを接続するBOG吸込ライン54と、複数のBOG圧縮機63の吐出口とNGライン52とを接続するBOG吐出ライン55と、を有する。BOG吸込ライン54又はLNGタンク50には、内部の圧力を検知する圧力計73が設けられている。複数のBOG圧縮機63は、この圧力計73で検知された圧力が所定以上になると駆動する。BOG吐出ライン55には、ここを流れるBOGの流量F
Bを検知するBOG流量計74が設けられている。
【0045】
BOG吐出ライン55とNGライン52とは、いずれも燃料供給ライン56に接続されている。よって、燃料供給ライン56には、前述したように、BOGとNGとの混合ガスが流れることになる。BOG吐出ライン55及びNGライン52と燃料供給ライン56との接続箇所は、BOGとNGとの混合箇所57になる。燃料供給設備5の燃料供給ライン56は、ガスタービン設備1の燃料ライン21に接続されている。
【0046】
ガスタービン設備1の制御装置100は、
図2に示すように、各種データを受け付ける受付部110と、調節器である燃料調節弁31及び吸気調節器35の制御量を求める制御量演算部120と、制御量演算部120が求めた制御量を調節器に出力する出力部140と、BOGの単位量当たりの発熱量である単位BOG発熱量H
Bを出力するBOG発熱量発生部119と、を有する。
【0047】
受付部110は、出力計41で検知されたガスタービン10の実出力を受け付ける実出力受付部111と、上位装置からガスタービン10の目標出力を受け付ける目標出力受付部112と、NG流量計72で検知されたNG流量F
Nを受け付けるNG流量受付部113と、LNG熱量計71で検知された単位LNG発熱量H
Nを受け付けるLNG発熱量受付部114と、BOG流量計74で検知されたBOG流量F
Bを受け付けるBOG流量受付部115と、を有する。
【0048】
前述したように、BOGは、実質的にメタンのみで構成されている。また、この燃料供給設備5において、BOG吐出ライン55から燃料供給ライン56に流入するBOGの圧力はほぼ一定である。よって、この燃料供給設備5において、燃料供給ライン56を流れるBOGの単位体積当たりの発熱量である単位BOG発熱量H
Bは、ほぼ一定である。このため、本実施形態では、BOG発熱量発生部119に、予め単位BOG発熱量H
Bを記憶させている。
【0049】
制御量演算部120は、燃料調節弁31の制御量を求める燃料制御量演算部121と、吸気調節器35の制御量を求める吸気制御量演算部131と、を有する。
【0050】
燃料制御量演算部121は、燃料ベース制御量を求める燃料ベース制御量演算部122と、BOG流量F
Bに応じたガスタービン入熱量H
GTを求めるガスタービン入熱量演算部125と、燃料ベース制御量を補正するための補正係数kを出力する係数発生部126と、係数発生部126が出力した補正係数kを用いて燃料ベース制御量を補正する補正部127と、を有する。
【0051】
燃料ベース制御量は、BOGとNGとの混合箇所57より上流側、つまり、燃料供給ライン56よりもLNGタンク50側の状況を示す情報に基づかずに定まる燃料制御量である。言い換えると、燃料ベース制御量は、BOGとNGとの混合箇所57より下流側の状況を示す情報に基づいて定まる燃料制御量である。燃料ベース制御量演算部122は、例えば、実出力と目標出力との偏差を求める偏差演算部123と、この偏差に基づいてPI(Proportional Integral)制御量を求めるPI制御量演算部124と、を有する。なお、この燃料ベース制御量演算部122は、実出力が目標出力に近づく燃料制御量を求めるが、さらに、タービン15における燃焼ガスの入口温度が設定上限温度以下になる燃料制御量等も併せて求めてもよい。この場合、複数の燃料制御量のうちで最少の燃料制御量を燃料ベース制御量とする。
【0052】
ガスタービン入熱量H
GTは、ガスタービン10に単位時間当たりに供給される混合ガスの発熱量である。ガスタービン入熱量演算部125は、BOG流量計74で検知されたBOG流量F
Bと、BOG発熱量発生部119から出力された単位BOG発熱量H
Bと、NG流量計72で検知されたNG流量F
Nと、LNG熱量計71で検知された単位LNG発熱量H
Nとにより求める。
【0053】
係数発生部126は、ガスタービン入熱量H
GTと補正係数kとの関係を示す関数又はマップを持っている。係数発生部126は、この関数又はマップを用いて、ガスタービン入熱量演算部125が求めたガスタービン入熱量H
GTに対応する補正係数kを求める。本実施形態において、ガスタービン入熱量H
GTと補正係数kとの関係は、
図3に示すように、ガスタービン入熱量H
GTが大きくなるに連れて、補正係数kが次第に小さくなる関係である。この関係では、ガスタービン入熱量H
GTが予定の熱量H
GT0である場合、補正係数kは「1」となる。また、この関係では、ガスタービン入熱量H
GTが予定の熱量H
GT0よりも大きい場合、補正係数kは「1」より小さい、例えば「0.9」になり、ガスタービン入熱量H
GTが予定の熱量H
GT0よりも小さい場合、補正係数kは「1」より大きい、例えば「1.1」になる。
【0054】
補正部127は、燃料ベース制御量演算部122が求めた燃料ベース制御量に、係数発生部126が出力した補正係数kを乗算する乗算器である。
【0055】
吸気制御量演算部131は、吸気ベース制御量を求める吸気ベース制御量演算部132と、ガスタービン入熱量H
GTの単位時間当たりの変化量である入熱変化率dH
GTを求める入熱変化率演算部135と、吸気ベース制御量を補正するための補正係数jを出力する係数発生部136と、係数発生部136が出力した補正係数jを用いて吸気ベース制御量を補正する補正部137と、を有する。
【0056】
吸気ベース制御量は、燃料ベース制御量と同様、BOGとNGとの混合箇所57より上流側、つまり、燃料供給ライン56よりもLNGタンク50側の状況を示す情報に基づかずに定まる吸気制御量である。吸気ベース制御量演算部132は、例えば、ガスタービンロータ18の回転数や、タービン15における燃焼ガスの入口温度等により定められる。
【0057】
吸気制御量演算部131の係数発生部136は、入熱変化率dH
GTと補正係数jとの関係を示す関数又はマップを持っている。この係数発生部136は、この関数又はマップを用いて、入熱変化率演算部135が求めた入熱変化率dH
GTに対応する補正係数jを求める。本実施形態において、入熱変化率dH
GTと補正係数kとの関係は、
図4に示すように、入熱変化率dH
GTが正の値の場合、入熱変化率dH
GTが0から予め定められた値dH
GT1(正の値)まで、補正係数jは「1」で一定で、入熱変化率dH
GTが予め定められた値dH
GT1を超えると、入熱変化率dH
GTが大きくなるに連れて、補正係数jが次第に大きくなる関係である。また、入熱変化率dH
GTが負の値の場合、入熱変化率dH
GTと補正係数jとの関係は、入熱変化率dH
GTが0から予め定められた値dH
GT2(負の値)まで、補正係数jは「1」で一定で、入熱変化率dH
GTが予め定められた値dH
GT2より小さくなると、入熱変化率dH
GTが小さくなるに連れて、補正係数jが次第に小さくなる関係である。
【0058】
吸気制御量演算部131の補正部137は、吸気ベース制御量演算部132が求めた吸気ベース制御量に、係数発生部136が出力した補正係数jを乗算する乗算器である。
【0059】
出力部140は、燃料調節弁31に対して、その制御量である弁開度を出力する弁開度出力部141と、吸気調節器(IGV)35に対して、その制御量であるIGV開度を出力するIGV開度出力部142と、を有する。
【0060】
次に、以上で説明したガスタービン設備1の動作について説明する。
【0061】
燃料供給設備5では、状況に応じて、BOG圧縮機63の稼働台数が変化する。BOG圧縮機63の稼働台数が変化すると、ガスタービン設備1の燃料ライン21を流れる混合ガス中のBOGの流量F
Bが急変する結果、ガスタービン設備1の燃料ライン21を流れる混合ガスの単位量当たりの発熱量である単位混合ガス発熱量が急変する。単位混合ガス発熱量が急変すると、ガスタービン出力が急激に変化し、ガスタービン10の安定運転に支障を来す。特に、単位混合ガス発熱量が急激に増加すると、タービン15における燃焼ガス入口温度が急激に上昇し、タービン15や燃焼器14等が損傷するおそれがある。このため、多くのガスタービン設備1では、単位混合ガス発熱量の変化に応じて各種制御を実行する。
【0062】
ここで、単位混合ガス発熱量を熱量計で検知し、この熱量計からの出力に基づいて、ガスタービン設備を制御する場合について考察する。
【0063】
例えば、BOG圧縮機63の稼働台数が減少し、この結果、燃料供給設備5のBOG吐出ライン55、及びガスタービン設備1の燃料ライン21を流れるBOGの流量F
Bが急激に減少したとする。ガスタービン設備1の燃料調節弁31の弁開度が一定の場合、燃料ライン21を流れる混合ガス中、単位発熱量が小さいBOGの流量F
Bが急減する一方で、単位発熱量が大きいNGの流量F
Nが急増するために、単位混合ガス発熱量が急増する。よって、燃焼器14に流入する混合ガスの流量が一定でも、ガスタービン入熱量H
GTが急増する。
【0064】
前述したように、燃料ライン21を流れる混合ガスの単位混合ガス発熱量を熱量計で検知する場合、熱量計での検知時間が長い関係上、熱量計が単位混合ガス発熱量の変化を出力した時点で、既に発熱量変化後の混合ガスがガスタービン10に供給される場合がある。この場合、熱量計からの出力に基づいて如何なる制御を行っても、単位混合ガス発熱量の急変に対応できない。
【0065】
そこで、本実施形態の制御装置100は、発熱量変化後の混合ガスがガスタービン10に供給される前に、単位混合ガス発熱量の変化を認識し、この変化に対応するため、燃料供給設備5におけるNGとBOGとの混合箇所57より上流側の状況を示す情報を受け付ける。具体的に、本実施形態の制御装置100の受付部110は、混合箇所57より上流側の状況を示す情報として、燃料供給設備5のBOG吐出ライン55を流れるBOGの流量F
BをBOG流量計74から受け付ける(受付工程)。さらに、受付部110は、燃料供給設備5のNGライン52を流れるNGの流量F
NをNG流量計72から受け付け、燃料供給設備5のLNGライン51を流れるLNGの単位発熱量H
NをLNG熱量計71から受け付ける(受付工程)。
【0066】
制御装置100における燃料制御量演算部121は、受付部110が受け付けた各種データに基づいて燃料制御量を求める(燃料制御量演算工程)。具体的に、燃料制御量演算部121のガスタービン入熱量演算部125は、受付部110が受け付けた上記の情報に基づいて、ガスタービン入熱量H
GTを求める(ガスタービン入熱量演算工程)。ガスタービン10には、BOGとNGとで構成される混合ガスが供給される。このため、このガスタービン入熱量演算部125は、単位時間当たりにガスタービン10に供給されるBOGの発熱量、及び、単位時間当たりにガスタービン10に供給されるNGの発熱量を求め、両者を加算することで、ガスタービン入熱量H
GTを求める。単位時間当たりに燃焼器14に供給されるBOGの発熱量は、BOG流量計74で検知されたBOG流量F
Bと、BOG発熱量発生部119から出力された単位BOG発熱量H
Bとにより求められる。また、単位時間当たりに燃焼器14に供給されるNGの発熱量は、NG流量計72で検知されたNG流量F
Nと、LNG熱量計71で検知された単位LNG発熱量H
Nとにより求められる。
【0067】
LNGの単位量当たりの発熱量は、LNGタンク50内にLNGが蓄えられた後、新たなLNGがLNGタンク50内に流入しない限り、急激に変化することない。LNGタンク50内におけるLNGの単位量当たりの発熱量は、LNGタンク50内でのBOG発生量に応じて、ゆっくりと変化する。このため、LNG熱量計71での発熱量の検知に多少時間がかかっても、このLNG熱量計71から出力された単位LNG発熱量H
Nと、現時点での実際の単位LNG発熱量H
Nとには、ほとんど差がない。よって、LNG熱量計71で検知された単位LNG発熱量H
Nと、NG流量計72で検知されたNG流量F
Nとを用いて、単位時間当たりにガスタービン10に供給されるNGの発熱量を求め、これに基づいて燃料制御量を定めても、制御遅れが問題になることはない。
【0068】
また、BOGの単位体積当たりの発熱量である単位BOG発熱量H
Bは、前述したように、ほぼ一定である。このため、BOG流量F
Bを認識することができれば、単位時間当たりにガスタービン10に供給されるBOGの発熱量を求めることができる。そこで、本実施形態では、BOG発熱量発生部119から出力された予め記憶されている単位BOG発熱量H
Bと、BOG流量計74で検知されたBOG流量F
Bとを用いて、単位時間当たりにガスタービン10に供給されるBOGの発熱量を求める。このように、本実施形態では、熱量計で検知された発熱量を用いず、NGとBOGとの混合箇所57より上流側でのBOG流量F
Bを用いて、単位時間当たりにガスタービン10に供給されるBOGの発熱量を求めるので、これに基づいて燃料制御量を定めても、制御遅れが問題になることはない。
【0069】
すなわち、本実施形態では、ガスタービン設備1の燃料ライン21を流れる混合ガスの単位発熱量を、混合ガスの単位発熱量が変化する前に、NGとBOGとの混合箇所57より上流側でのBOG流量F
B等を用いて求める。そして、本実施形態では、この混合ガスの単位発熱量と燃料ライン21を流れる混合ガスの流量とから、混合ガスの単位発熱量が変化する前に、単位時間当たりにガスタービン10に供給される混合ガスの発熱量、つまりガスタービン入熱量H
GTを求める。
【0070】
ガスタービン入熱量演算部125によりガスタービ入熱量H
GTが求められると、燃料制御量演算部121の係数発生部126は、
図3を用いて説明したガスタービン入熱量H
GTと補正係数kとの関係を用いて、ガスタービン入熱量演算部125が求めたガスタービ入熱量H
GTに応じた補正係数kを求める(燃料係数発生工程)。
【0071】
燃料制御量演算部121の補正部127は、燃料制御量演算部121の燃料ベース制御量演算部122が求めた燃料ベース制御量に補正係数kを乗算して、この燃料ベース制御量を補正し、これを燃料制御量として出力する(補正工程)。燃料制御量演算部121の係数発生部126は、ガスタービン入熱量H
GTが大きくなるに連れて、次第に小さくなる補正係数kを出力するので、BOG流量F
Bの減少に伴ってガスタービン入熱量H
GTが大きくなる場合、補正部127は、補正により燃料ベース制御量を小さくしたものを燃料制御量として出力する。
【0072】
弁開度出力部141は、燃料制御量演算部121からの燃料制御量に応じた燃料調節弁31の弁開度を示す弁開度指令を燃料調節弁31に出力する(出力工程)。
【0073】
制御装置100の吸気制御量演算部131は、受付部110が受け付けた各種データに基づいて吸気制御量を求める(吸気制御量演算工程)。具体的に、吸気制御量演算部131の入熱変化率演算部135は、ガスタービン入熱量演算部125によりガスタービン入熱量H
GTが求められると、ガスタービン入熱量H
GTの単位時間当たりの変化量である入熱変化率dH
GTを求める(入熱変化率演算工程)。吸気制御量演算部131の係数発生部136は、
図4を用いて説明した入熱変化率dH
GTと補正係数jとの関係を用いて、入熱変化率演算部135が求めた入熱変化率dH
GTに応じた補正係数jを求める(吸気係数発生工程)。
【0074】
吸気制御量演算部131の補正部137は、吸気ベース制御量演算部132が求めた吸気ベース制御量に補正係数jを乗算して、この吸気ベース制御量を補正し、これを吸気制御量として出力する(出力工程)。
【0075】
IGV開度出力部142は、吸気制御量演算部131からの吸気制御量に応じた吸気調節器(IGV)35のIGV開度を示すIGV開度指令を吸気調節器35に出力する。
【0076】
ここで、前述したように、BOG圧縮機63の稼働台数が減少し、この結果、燃料供給設備5のBOG吐出ライン55を流れるBOGの流量F
Bが急激に減少し、
図5に示すように、時刻t0において、BOG吐出ライン55を流れるBOGの流量F
Bの急減がBOG流量計74で検知されたとする。
【0077】
BOGがBOG流量計74が設けられている位置から燃焼器14に至るまでの時間をT3とすると、このBOG流量F
Bの急減に対して何ら制御しない場合、BOG流量計74が検知した時刻t0から時間T3後の時刻t3で、
図5中の二点鎖線で示すように、ガスタービン入熱量H
GTが急増する。
【0078】
そこで、本実施形態では、ガスタービン入熱量H
GTが急増する予定時刻t3に至る以前に、制御装置100の弁開度出力部141が燃料調節弁31に対して弁開度指令を出力する。具体的に、燃料調節弁31の弁開度が変化してから、この変化に伴うガスタービン入熱量H
GTが変化するまでの時間をT1とする。本実施形態の弁開度出力部141は、BOG流量F
Bが変化して、このBOG流量F
Bを受付部110が受け付けた時刻t0から(T3−T1)時間後の時刻t1に、BOG流量F
Bの変化に基づく燃料制御量を示す弁開度指令を燃料調節弁31に出力する。燃料調節弁31は、この弁開度指令を受けると、この弁開度指令が示す燃料制御量に応じた開度になる。この場合、本実施形態では、BOG流量F
Bの急減によるガスタービン入熱量H
GTの急増に対して、燃料ベース制御量を補正により小さくした制御量を燃料制御量として扱うので、燃料調節弁31の弁開度は小さくなり、ガスタービン10に供給される混合ガスの流量が減少する。
【0079】
この結果、本実施形態では、ガスタービン入熱量H
GTが急増する予定時刻t3に併せて、燃焼器14に流入する混合ガスの流量が減少する。よって、本実施形態では、混合ガスの発熱量が変動しても、ガスタービン入熱量H
GTの変動を抑えることができる。
【0080】
以上のように、ガスタービン入熱量H
GTが急増する予定時刻t3に併せて、燃焼器14に流入する混合ガスの流量を減少させるために、燃料調節弁31の弁開度を変更しても、ガスタービン入熱量H
GTの単位時間当たりの変化量である入熱変化率dH
GTが燃料調節弁31の単位時間当たりの開度変化量より大きい場合には、
図5中の一点鎖線で示すように、ガスタービン入熱量H
GTが一時的に増加する。ガスタービン入熱量H
GTが増加すると、タービン15の燃焼ガス入口温度が高まる。
【0081】
本実施形態では、ガスタービン入熱量H
GTの単位時間当たりの変化量である入熱変化率dH
GTが正の値で予め定められた値dH
GT1よりも大きい場合、吸気ベース制御量を補正により大きくしたものを吸気制御量とする。このため、本実施形態では、この場合、吸気調節器35のIGV開度が大きくなり、燃焼器14に流入する空気の流量が増加して、タービン15の燃焼ガス入口温度の上昇を抑えることができる。また、本実施形態では、入熱変化率dH
GTが負の値で予め定められた値dH
GT2よりも小さい場合、つまり、ガスタービン入熱量H
GTが急激に少なくなった場合、吸気ベース制御量を補正により小さくしたものを吸気制御量とする。このため、本実施形態では、この場合、吸気調節器35のIGV開度が小さくなり、燃焼器14に流入する空気の流量が減少して、タービン15の燃焼ガス入口温度の低下を抑えることができる。
【0082】
制御装置100のIGV開度出力部142は、ガスタービン入熱量H
GTが急増する予定時刻t3に至る以前に、吸気調節器35に対して、前述の吸気制御量を示すIGV開度指令を出力する。具体的に、吸気調節器35のIGV開度が変化してから、この変化に伴う燃焼器14への流入空気量が変化するまでの時間をT2とする。本実施形態のIGV開度出力部142は、BOG流量F
Bが変化して、このBOG流量F
Bを受付部110が受け付けた時刻t0から(T3−T2)時間後の時刻t2に、吸気制御量を示すIGV開度指令を吸気調節器35に出力する。この結果、本実施形態では、ガスタービン入熱量H
GTが急増する予定時刻t3に併せて、燃焼器14に流入する空気の流量が増加する。よって、本実施形態では、ガスタービン入熱量H
GTが増加に伴うタービン15の燃焼ガス入口温度の上昇を抑えることができる。
【0083】
なお、弁開度指令を出力するタイミング(t1)及びIGV開度指令を出力するタイミング(t2)は、以上で説明した時間T1,T2,T3に応じて定められる。これら時間T1,T2,T3は、ガス流速により変動する。このため、開度指令を正確なタイミングで出力するためには、各ガスの流量からガス流速を求め、このガス流速を用いて、時間T1,T2,T3を定めることが好ましい。但し、開度指令の出力タイミングに関して正確性が要求されない場合には、各時間T1,T2,T3を予め定めた固定値として扱ってもよい。
【0084】
以上、本実施形態では、混合ガスの発熱量が変化しても、事前にガスタービン入熱量H
GTの変化を予測し、このガスタービン入熱量H
GTに応じて、燃料調節弁31の弁開度を制御するので、実際のガスタービン入熱量H
GTの変化を抑えることができる。さらに、本実施形態では、混合ガスの発熱量が変化しても、事前に予測したガスタービン入熱量H
GTの変化に応じて、吸気調節器35のIGV開度も制御するので、タービン15の燃焼ガス入口温度を変動を抑えることができる。よって、本実施形態によれば、混合ガスの発熱量が変化しても、ガスタービン設備1を安定運転できる。
【0085】
ここで、本実施形態において、吸気制御量演算部131の係数発生部136が補正係数jを定めるために用いる関係は、
図4を用いて説明したように、入熱変化率dH
GTが正の値の場合、入熱変化率dH
GTが予め定められた値dH
GT1を超えると、入熱変化率dH
GTが大きくなるに連れて、補正係数jが次第に大きくなる関係である。また、入熱変化率dH
GTが負の値の場合、入熱変化率dH
GTが予め定められた値dH
GT2より小さくなると、入熱変化率dH
GTが小さくなるに連れて、補正係数jが次第に小さくなる関係である。このため、本実施形態では、前述したように、混合ガスの発熱量が変化しても、タービン15の燃焼ガス入口温度を変動を抑えることができる。しかしながら、BOG流量F
Bの減少に伴う混合ガスの発熱量の増加に対して、タービン15の燃焼ガス入口温度の上昇を抑えることを目的とする場合には、上記関係は、
図4中の二点鎖線で示すように、入熱変化率dH
GTが負の値の場合、如何なる値でも、補正係数jが「1」で一定であってもよい。
【0086】
また、本実施形態では、吸気制御量を入熱変化率dH
GTに応じて補正したが、この吸気制御量をガスタービン入熱量H
GTに応じて補正してもよい。この場合、補正部137は、ガスタービン入熱量H
GTが大きくなるに連れて、吸気制御量が大きくなるように補正する。
【0087】
また、本実施形態では、BOG流量F
Bの変動に対して、燃料制御量と吸気制御量の両方を補正対象としたが、いずれか一方のみを補正対象にしてもよい。但し、吸気制御量のみを補正対象とする場合、前述したように、この吸気制御量をガスタービン入熱量H
GTに応じて補正することが好ましい。
【0088】
「第二実施形態」
本発明に係るガスタービン設備の第二実施形態について、
図6及び
図7を用いて説明する。
【0089】
本実施形態のガスタービン設備1aは、
図6に示すように、制御装置100aを除いて、第一実施形態のガスタービン設備1と同様である。また、このガスタービン設備1aに燃料を供給する燃料供給設備5は、制御装置80を備え、BOG圧縮機63の稼働台数をガスタービン設備1aの制御装置100aに通知する。燃料供給設備5の制御装置80は、複数のBOG圧縮機63のそれぞれから稼働中であるか否かを示す信号を受け付ける。燃料供給設備5の制御装置80は、各BOG圧縮機63からの信号に基づき、ガスタービン設備1aの制御装置100aに対して、BOG圧縮機63の稼働台数を通知する。
【0090】
ガスタービン設備1aの制御装置100aは、
図7に示すように、第一実施形態の制御装置100と同様、受付部110a、制御量演算部120a、出力部140、BOG発熱量発生部119を有する。但し、本実施形態の受付部110a及び制御量演算部120aは、第一実施形態のものとは異なる。
【0091】
本実施形態の受付部110aは、第一実施形態の受付部110と同様に、実出力受付部111、目標出力受付部112、NG流量受付部113、LNG発熱量受付部114、BOG流量受付部115を有する。さらに、本実施形態の受付部110aは、BOGとNGとの混合箇所57より上流側の設備状況として、燃料供給設備5の制御装置80からBOG圧縮機63の稼働台数を受け付ける設備状況受付部116を有する。
【0092】
本実施形態の制御量演算部120aは、第一実施形態の制御量演算部120と同様に、燃料制御量演算部121aと吸気制御量演算部131aとを有する。本実施形態の燃料制御量演算部121aは、第一実施形態の燃料制御量演算部121と同様に、燃料ベース制御量演算部122、ガスタービン入熱量演算部125、係数発生部126、補正部127を有する。さらに、本実施形態の燃料制御量演算部121aは、上記係数発生部126である第一係数発生部126の他に、燃料ベース制御量を補正するための補正係数kを発生する第二係数発生部128と、第一係数発生部126からの補正係数kと第二係数発生部128からの補正係数kとのうち、一方のみを補正部127に出力する係数切替部129と、を有する。
【0093】
第二係数発生部128は、BOG圧縮機63の稼働台数と補正係数kとの関係を示す関数又はマップを持っている。第二係数発生部128は、この関数又はマップを用いて、燃料供給設備5の制御装置80から送られてきたBOG圧縮機63の稼働台数に対応する補正係数kを求める。本実施形態において、BOG圧縮機63の稼働台数と補正係数kとの関係は、稼働台数が少なくなるに連れて、補正係数kが次第に小さくなる関係である。
【0094】
BOG圧縮機63の稼働台数が減少すると、第一実施形態で説明したように、BOG吐出ライン55を流れるBOGの流量が急激に減少して、ガスタービン設備1aの燃料ライン21を流れる混合ガス中、単位発熱量が小さいBOGの流量F
Bが急減する一方で、単位発熱量が大きいNGの流量F
Nが急増するために、単位混合ガス発熱量が急増する。よって、ガスタービン入熱量H
GTが急増する。このため、第二係数発生部128で用いるBOG圧縮機63の稼働台数と補正係数kとの関係は、稼働台数の減少に伴うガスタービン入熱量H
GTの増加を抑えるために、稼働台数が少なくなるに連れて、補正係数kが次第に小さくなる関係になっている。
【0095】
係数切替部129は、設備状況受付部116が受け付けたBOG圧縮機63の稼働台数に変更があった時刻から予め定められた時間経過するまでの第二補正期間、第二係数発生部128からの補正係数kを補正部127に出力する。また、この係数切替部129は、上記第二補正期間を除く第一補正期間、第一係数発生部126からの補正係数kを補正部127に出力する。
【0096】
本実施形態の吸気制御量演算部131aは、第一実施形態の吸気制御量演算部131と同様に、吸気ベース制御量演算部132、入熱変化率演算部135、係数発生部136、補正部137を有する。さらに、本実施形態の吸気制御量演算部131aは、上記係数発生部136である第一係数発生部136の他に、吸気ベース制御量を補正するための補正係数jを発生する第二係数発生部138と、第一係数発生部136からの補正係数jと第二係数発生部138からの補正係数jとのうち、一方のみを補正部137に出力する係数切替部139と、を有する。
【0097】
吸気制御量演算部131aの第二係数発生部138も、BOG圧縮機63の稼働台数と補正係数jとの関係を示す関数又はマップを持っている。第二係数発生部138は、この関数又はマップを用いて、燃料供給設備5の制御装置80から送られてきたBOG圧縮機63の稼働台数に対応する補正係数jを求める。本実施形態において、BOG圧縮機63の稼働台数と補正係数jとの関係は、稼働台数が予め定められた台数以下の場合、台数が少なくなるに連れて、補正係数jが次第に大きくなる関係である。
【0098】
吸気制御量演算部131aの係数切替部139も、前述の第二補正期間、第二係数発生部138からの補正係数jを補正部137に出力し、前述の第一補正期間、第一係数発生部136からの補正係数jを補正部137に出力する。
【0099】
次に、本実施形態のガスタービン設備1aの動作について説明する。
【0100】
BOG圧縮機63の故障、LNGタンク50内の急激な状況変化等で、BOG圧縮機63の稼働台数が減少すると、燃料供給設備5の制御装置80は、これを認識して、燃料供給設備5におけるBOG稼働台数をガスタービン設備1aの制御装置100aに通知する。
【0101】
ガスタービン設備1aにおける制御装置100aの設備状況受付部116は、燃料供給設備5の制御装置80からBOG圧縮機63の稼働台数を受信すると(受付工程)、この稼働台数を燃料制御量演算部121aの第二係数発生部128と吸気制御量演算部131aの第二係数発生部138に通知する。さらに、設備状況受付部116は、燃料制御量演算部121aの係数切替部129及び吸気制御量演算部131aの係数切替部139に対して、BOG稼働台数が変わった旨を通知する。
【0102】
燃料制御量演算部121aの第二係数発生部128は、BOG圧縮機63の稼働台数を受信すると、稼働台数と補正係数kとの関係を用いて、受信した稼働台数に応じた補正係数kを求める(燃料係数発生工程)。
【0103】
燃料制御量演算部121aの係数切替部129は、稼働台数の変更があった旨を受信した時刻から予め定められた時間経過するまでの第二補正期間、第二係数発生部128からの補正係数kを補正部127に出力する。このため、補正部127は、燃料ベース制御量に対して、第二係数発生部128からの補正係数kを乗算し、この燃料ベース制御量を補正し、これを燃料制御量として出力する(補正工程)。
【0104】
第二係数発生部128は、前述したように、稼働台数が少なくなるに連れて、次第に小さくなる補正係数kを出力する。このため、稼働台数の減少に伴ってガスタービン入熱量H
GTが大きくなる場合、補正部127は、補正により燃料ベース制御量を小さくしたものを燃料制御量として出力する。
【0105】
弁開度出力部141は、燃料制御量演算部121aからの燃料制御量に応じた燃料調節弁31の弁開度を示す弁開度指令を燃料調節弁31に出力する(出力工程)。BOG圧縮機63の稼働台数が減少した場合、燃料制御量演算部121aからの燃料制御量が小さくなるので、燃料調節弁31の弁開度は小さくなり、ガスタービン10に供給される混合ガスの流量が減少する。
【0106】
よって、本実施形態では、BOG圧縮機63の稼働台数の変化で混合ガスの発熱量が変動しても、ガスタービン入熱量H
GTの変動を抑えることができる。
【0107】
吸気制御量演算部131aの第二係数発生部138も、燃料制御量演算部121aの第二係数発生部128と同様に、BOG圧縮機63の稼働台数を受信すると、稼働台数と補正係数jとの関係を用いて、受信した稼働台数に応じた補正係数jを求める(吸気係数発生工程)。また、吸気制御量演算部131aの係数切替部139も、燃料制御量演算部121aの係数切替部129と同様に、稼働台数の変更があった旨を受信した時刻から予め定められた時間経過するまでの第二補正期間、第二係数発生部138からの補正係数jを補正部137に出力する。このため、吸気制御量演算部131aの補正部137は、吸気ベース制御量に対して、第二係数発生部138からの補正係数jを乗算し、この吸気ベース制御量を補正し、これを吸気制御量として出力する(補正工程)。
【0108】
吸気制御量演算部131aの第二係数発生部138は、前述したように、稼働台数が予め定められた台数以下の場合、台数が少なくなるに連れて、次第に大きくなる補正係数jを出力する。このため、稼働台数の減少により、この稼働載数が予め定められた台数以下になりガスタービン入熱量H
GTが大きくなる場合、吸気制御量演算部131aの補正部137は、補正により吸気ベース制御量を大きくしたものを吸気制御量として出力する。
【0109】
IGV開度出力部142は、吸気制御量演算部131aからの吸気制御量に応じた吸気調節器(IGV)35のIGV開度を示すIGV開度指令を吸気調節器35に出力する(出力工程)。BOG圧縮機63の稼働台数が予め定められた台数以下になった場合、吸気制御量演算部131aからの吸気制御量が大きくなるので、この場合、吸気調節器(IGV)35のIGV開度が大きくなり、燃焼器14に流入する空気の流量が増加して、タービン15の燃焼ガス入口温度の上昇が抑制される。
【0110】
よって、本実施形態では、BOG圧縮機63の稼働台数の変化で混合ガスの発熱量が変動しても、タービン15の燃焼ガス入口温度の変動を抑えることができる。
【0111】
設備状況受付部116が受け付けたBOG圧縮機63の稼働台数に変更があった時刻から予め定められた時間経過した以降の第一補正期間では、燃料制御量演算部121aの係数切替部129は、第一係数発生部126からの補正係数kを補正部127に出力する。また、この第一補正期間、吸気制御量演算部131aの係数切替部139も、第一係数発生部136からの補正係数jを補正部137に出力する。
【0112】
よって、第一補正期間では、本実施形態のガスタービン設備1aは、第一実施形態のガスタービン設備1と同様に動作する。このため、この第一補正期間では、例えば、稼働中のBOG圧縮機63の駆動量が多少低下して、BOG流量F
Bが減少した場合や、単位LNG発熱量H
N又はNG流量F
Nが多少変動した場合でも、ガスタービン入熱量H
GTの変動を抑えることができる。
【0113】
なお、本実施形態では、弁開度出力部141が燃料調節弁31に対して、第二係数発生部128からの補正係数kで補正された燃料制御量を示す弁開度指令を出力するタイミングは、第一実施形態において、
図5を用いて説明した弁開度指令を出力するタイミング(t1)と同じである。また、本実施形態では、IGV開度出力部142が吸気調節器35に対して、第二係数発生部138からの補正係数jで補正された吸気制御量を示すIGV開度指令を出力するタイミングは、第一実施形態において、
図5を用いて説明したIGV開度指令を出力するタイミング(t2)と同じである。但し、この場合、開度指令の出力タイミングを定めるために必要な時間T3は、BOGがBOG圧縮機63の吐出口から燃焼器14に至るまでの時間である。
【0114】
ここで、本実施形態では、BOGとNGとの混合箇所57より上流側の設備状況として、BOG圧縮機63の稼働台数を採用している。しかしながら、BOGとNGとの混合箇所57より上流側の設備であって、その設備の状況変化に応じて、燃料ライン21を流れる混合ガスの単位発熱量が変化する設備であれば、如何なる設備の状況を用いてもよい。
【0115】
また、本実施形態では、BOG流量F
Bと上流側の設備状況との両方に応じて、調節器の制御量を補正する。しかしながら、BOG流量F
Bと上流側の設備状況とのうち、上流側の設備状況のみに応じて、調節器の制御量を補正してもよい。この場合、本実施形態の燃料制御量演算部121aにおいて、ガスタービン入熱量演算部125、第一係数発生部126、係数切替部129が不要になり、これらを省略することができる。また、この場合、本実施形態の吸気制御量演算部131aにおいて、入熱変化率演算部135、第一係数発生部136、係数切替部139が不要になり、これらを省略することができる。また、上流側の設備状況のみに応じて、調節器の制御量を補正する場合、混合ガスの単位発熱量を検知する熱量計を燃料ライン21に設け、以上の実施形態で例示した実出力の他、この熱量計で検知された単位混合ガス発熱量に応じて、ベース制御量を定めてもよい。
【0116】
また、本実施形態では、上流側の設備状況の変化に対して、燃料制御量と吸気制御量の両方を補正対象としたが、いずれか一方のみを補正対象にしてもよい。