(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなシステムの使用用途として、非定型の大型物品(例えば、大型の重機、船舶、又は航空機等の部品用の金型等)を管理する用途が考えられる。このような使用用途では、対象物の運搬は、頻繁には行われないが、常時、対象物の位置を検知する場合には、消費電力又は処理量が増加する等の課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、消費電力又は処理量を抑制できる位置管理システム又は位置管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る位置管理システムは、複数の対象物の保管位置を管理するための位置管理システムであって、前記複数の対象物の各々に装着される発信器を含み、前記位置管理システムは、前記対象物の停止を検知し、前記発信器は、当該発信器を特定するための識別コードを無線送信し、前記位置管理システムは、前記対象物の停止が検知された場合、当該対象物の位置を検知し、検知した位置を前記保管位置として前記識別コードと対応付けて管理する。
【0007】
これによれば、当該位置管理システムは、対象物の停止をトリガとして対象物の位置検知を実行する。これにより、当該位置管理システムは、消費電力又は処理量を抑制できる。また、当該位置管理システムは、発信器から無線送信される識別コードを用いて、複数の対象物を、容易に区別して管理することができる。
【0008】
例えば、前記発信器は、当該発信器の停止を検知することで前記対象物の停止を検知する停止検知部を備えてもよい。
【0009】
これによれば、発信器において、停止検知と識別コードの送信とを行うことができる。これにより、例えば、位置管理を行うための追加機能の大部分を発信器で実現できる。よって、容易に位置管理を実現できるシステムを導入することができる。
【0010】
例えば、前記位置管理システムは、さらに、前記複数の対象物を運搬する運搬装置を含み、前記位置管理システムは、前記対象物の停止が検知された際の前記運搬装置の位置を検知することで前記対象物の位置を検知してもよい。
【0011】
これによれば、運搬装置の位置を検知することで対象物の位置を検知できる。よって、容易に対象物の位置を検知できる。
【0012】
例えば、前記発信器は、前記停止検知部で当該発信器の停止が検知された場合に、当該発信器を特定するための前記識別コードを無線送信し、前記運搬装置は、前記識別コードを受信した場合、当該運搬装置の位置を検知し、前記位置管理システムは、検知された前記運搬装置の位置を前記保管位置として、前記運搬装置で受信された前記識別コードと対応付けて管理してもよい。
【0013】
これによれば、発信器の停止をトリガに識別コードの送信が行われるので、識別コードの送信頻度を低減できる。これにより、発信器の省電力化を実現できる。さらに、当該識別コードを用いて、運搬が行われた対象物を容易に識別できる。
【0014】
例えば、前記位置管理システムは、前記運搬装置の位置を計測するためのレーザ計測器を含んでもよい。
【0015】
これによれば、運搬装置の位置を容易に計測できる。
【0016】
例えば、前記発信器は、前記停止検知部で当該発信器の停止が検知された場合に、当該発信器を特定するための前記識別コードを無線送信し、前記位置管理システムは、さらに、前記発信器により無線送信された前記識別コードを受信する複数の受信器を含み、前記位置管理システムは、前記複数の受信器のうち前記識別コードを受信した受信器の位置に基づき、前記発信器の位置を推定することで前記対象物の位置を検知し、前記位置管理システムは、検知された前記対象物の位置を前記保管位置として、前記受信器で受信された前記識別コードと対応付けて管理してもよい。
【0017】
これによれば、受信器を用いて運搬装置の位置を検知できる。これにより、運搬装置に機能追加を行うことなく、位置管理を実現できるシステムを導入することができる。
【0018】
例えば、前記位置管理システムは、さらに、前記対象物を撮影するカメラと、前記発信器により無線送信された前記識別コードを受信する受信器とを含み、前記位置管理システムは、前記カメラで撮影された画像に基づき、前記対象物の停止を検知し、前記受信器が受信した前記識別コードに基づき、停止した対象物を特定し、前記対象物の停止が検知された場合、当該対象物の位置を検知し、検知した位置を前記特定された対象物の前記保管位置として、前記受信器で受信された前記識別コードと対応付けて管理してもよい。
【0019】
これによれば、発信器で停止検知を行う必要がないので、発信器の省電力化を実現できる。
【0020】
また、本発明の一態様に係る位置管理方法は、複数の対象物の保管位置を管理するための位置管理システムにおける位置管理方法であって、前記位置管理システムは、前記複数の対象物の各々に装着される発信器を含み、前記位置管理方法は、前記対象物の停止を検知し、前記発信器が、当該発信器を特定するための識別コードを無線送信し、前記対象物の停止が検知された場合、当該対象物の位置を検知し、検知した位置を前記保管位置として前記識別コードと対応付けて管理してもよい。
【0021】
これによれば、当該位置管理方法は、対象物の停止をトリガとして対象物の位置検知を実行する。これにより、当該位置管理方法は、消費電力又は処理量を抑制できる。また、当該位置管理方法は、発信器から無線送信される識別コードを用いて、複数の対象物を、容易に区別して管理することができる。
【0022】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、消費電力又は処理量を抑制できる位置管理システム又は位置管理方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0026】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0027】
本実施の形態に係る位置管理システムでは、発信器の停止をトリガに、対象物の位置検知を実行する。これにより、当該位置管理システムは、消費電力又は処理量を抑制できる。
【0028】
まず、本実施の形態に係る位置管理システム100の構成を説明する。
図1は、本実施の形態に係る位置管理システム100の概要を示す図である。
図2は、位置管理システム100の通信関係を示す図である。
【0029】
位置管理システム100は、複数の対象物101の保管位置を管理するためのシステムである。位置管理システム100は、複数の対象物101と、複数の発信器102と、運搬装置103と、管理装置104とを備える。
【0030】
対象物101は、例えば、非定型の大型物品であり、大型の重機、船舶、又は航空機等の部品用の金型等である。言い換えると、対象物101は、例えば、標準化されていない物品である。例えば、対象物101の大きさは数m程度である。なお、
図1では、簡単化のため、対象物101を直方体として示しているが、対象物101の形状は任意でよい。また、
図1では簡略化しているが、対象物101の個数は、例えば、数百個程度である。また、
図1では、簡単化のため、対象物101がxy平面に並んで保管されている例を示すが、対象物101は、直接、又は棚等を用いて、垂直方向(z方向)に積載されてもよい。
【0031】
また、複数の対象物101は、保管領域110に保管される。なお、保管領域110は、屋内に存在してもよいし、屋外に存在してもよい。
【0032】
運搬装置103は、複数の対象物101の各々を運搬する。例えば、
図1に示すように運搬装置103は、橋形クレーンである。この場合、運搬装置103は、橋部103Aと、巻上部103Bと、フック103Cとを含む。橋部103Aはレール上をx軸方向に移動する。巻上部103Bは、橋部103Aに沿ってy軸方向に移動する。また、巻上部103Bは、フック103Cのz軸方向の移動を制御する。このような構成により、フック103Cのx、y、z位置が制御される。
【0033】
なお、運搬装置103は、橋形クレーンに限定されない。例えば、運搬装置103は、ジブクレーン等の他の方式のクレーンであってもよい。また、運搬装置103は、ホークリフト、又は移動可能なロボットアーム等であってもよい。
【0034】
例えば、対象物101が外部で使用される場合には、運搬装置103は、当該対象物101を保管領域110から外部に運搬する。また、対象物101の使用後には、運搬装置103は、外部から対象物101を保管領域110内の空いている領域に運搬し、当該領域に保管する。また、運搬装置103の制御は、例えば、操作部(図示せず)を介した作業者の操作により行われる。
【0035】
発信器102は、対象物101の各々に装着されている。
図3は、発信器102の構成を示すブロック図である。この発信器102は、停止検知部111と、識別コード記憶部112と、制御部113と、無線送信部114と電源部115とを備える。
【0036】
停止検知部111は、発信器102の停止を検知する。ここで、停止とは、発信器102が動いている状態から静止している状態に遷移し、その後所定の期間静止状態を継続することである。例えば、停止検知部111は、加速度センサであり、低消費電力機能を有する3軸加速度センサである。なお、停止検知部111は、加速度センサに限定されず、停止を検知できる構成であればよい。
【0037】
識別コード記憶部112は、当該発信器102を一意に特定するための情報である、識別コード161Aを記憶する。
【0038】
制御部113は、停止検知部111により発信器102の停止が検知された場合、識別コード161Aを含む検知指示信号151を、無線送信部114を介して、無線送信する。
【0039】
無線送信部114は、制御部113の制御に基づき、検知指示信号151を無線送信する。検知指示信号151は、例えば、IEEE802.15.4に準拠する無線信号であり、920MHz帯、950MHz帯又は2.4GHz帯の無線信号である。なお、検知指示信号151に、LPWA(Low Power,Wide Area)の無線信号が用いられてもよい。また、検知指示信号151は上記以外の任意の方式の無線信号であってもよい。
【0040】
電源部115は、当該発信器102に電力を供給する電源であり、例えば、電池又はバッテリー等である。つまり、発信器102は、外部からの電源供給を受けることなく、内部からの電源供給(又は内部で生成された電力)のみで動作可能である。
【0041】
次に、運搬装置103の構成を説明する。
図4は、運搬装置103の構成を示すブロック図である。運搬装置103は、無線受信部121と、位置計測部122と、制御部123と、通信部124とを備える。
【0042】
無線受信部121は、発信器102から無線送信された検知指示信号151を受信する。例えば、無線受信部121は、運搬している対象物101に近い位置に設けられており、例えば、フック103Cの近傍に設けられてもよい。
【0043】
位置計測部122は、当該運搬装置103の位置を計測する。例えば、位置計測部122は、GPS(Global Positioning System)機能を有し、当該GPS機能を用いて、当該運搬装置103の位置を計測する。なお、運搬装置103の位置とは、運搬装置103が運搬する対象物101と連動して移動する部分の位置である。例えば、
図1に示すように、運搬装置103が橋形クレーンである場合には、運搬装置103の位置とは、巻上部103B又はフック103Cの位置である。つまり、GSPが用いられる場合には、当該GPSは、巻上部103B又はフック103Cの近傍に設けられる。
【0044】
制御部123は、無線受信部121が検知指示信号151を受信した場合、検知指示信号151に含まれる識別コード161Aと、位置計測部122で計測された運搬装置103の位置を示す位置情報162Bとを含む位置通知信号152を、通信部124を介して管理装置104に送信する。
【0045】
通信部124は、管理装置104と通信を行う。なお、運搬装置103と管理装置104との通信方法は、特に限定されないが、例えば、公衆電話網、インターネット回線(無線或いは有線LAN、又はWi−Fi(登録商標)等を含む)、又は、独自の有線又は無線ネットワーク等を用いることができる。また、無線通信の方式は、検知指示信号151の無線通信の方式と同一であってもよい。
【0046】
次に、管理装置104の構成を説明する。管理装置104は、対象物101の保管位置を管理する。
図5は、管理装置104の構成を示すブロック図である。管理装置104は、通信部131と、位置管理部132と、位置管理情報記憶部133と、表示部134とを備える。
【0047】
通信部131は、運搬装置103から送信された位置通知信号152を受信する。
【0048】
位置管理情報記憶部133は、複数の対象物101の保管位置を示す位置管理情報163を記憶する。
【0049】
位置管理部132は、位置通知信号152に含まれる情報を用いて位置管理情報163を更新する。表示部134は、位置管理情報163等を表示する。なお、位置管理情報163の表示方法は任意でよい。例えば、二次元又は三次元のマップ配置図として複数の対象物101の位置が表示されてもよい。
【0050】
なお、位置管理システム100の構成は、
図2に示す構成に限定されない。管理装置104の機能は、複数の装置により実現されてもよい。また、運搬装置103の機能は、複数の装置により実現されてもよい。また、管理装置104の機能の少なくとも一部と、運搬装置103の機能の少なくとも一部とが単一の装置により実現されてもよい。この場合、運搬装置103と管理装置104との間の信号の伝達の少なくとも一部は、機器内で行われる。言い換えると、上述した位置通知信号152の伝達は、ネットワーク等を介した機器間の伝達に限らず、機器内の信号の伝達も含む。
【0051】
以下、位置管理システム100の動作を説明する。
図6は、位置管理システム100の動作を示す図である。
【0052】
発信器102は、当該発信器102の停止を検知する。具体的には、停止検知部111が、低消費電力機能を有する3軸加速度センサである場合には、静止状態が一定期間継続されている場合、停止検知部111は低消費電力状態になる。低消費電力状態では、機能が制限される一方で、消費電力が通常状態よりも低減される。例えば、停止検知部111は、低消費電力状態において、(1)加速度又は加速度の変化が第1閾値以上の状態が所定時間継続したか、(2)加速度又は加速度の変化が第2閾値以下の状態が所定時間継続したか、(3)自由落下であるか(3軸ともに加速度が第3閾値以下であるか)、のみを検知する。また、停止検知部111は、上記のいずれかが検知された場合に、通常モードに移行する。このような低消費電力機能を用いることで、発信器102の消費電力を低減できるので、発信器102のバッテリー寿命を改善できる。
【0053】
発信器102は、当該発信器102の停止を検知した場合(S101)、検知指示信号151を無線送信する(S102)。検知指示信号151は、運搬装置103に位置検知を指示する信号である。なお、発信器102は、検知指示信号151を所定の期間繰り返し送信してもよい。また、検知指示信号151を受信した運搬装置103は、検知指示信号151を受信したことを通知するための確認信号を発信器102に送信してもよい。この場合、発信器102は、確認信号を受信するまで繰り返し検知指示信号151を送信してもよい。
【0054】
図7は、検知指示信号151の構成を示す図である。
図7に示すように検知指示信号151は、当該検知指示信号151の送信元の発信器102を識別するための識別コード161Aを含む。
【0055】
検知指示信号151を受信した運搬装置103は、当該運搬装置103の位置を検知する(S103)。また、運搬装置103は、位置通知信号152を管理装置104に送信する(S104)。
【0056】
図8は、位置通知信号152の構成を示す図である。
図8に示すように、位置通知信号152は、識別コード161Bと、位置情報162Bとを含む。
【0057】
識別コード161Bは、検知指示信号151の送信元の発信器102を示す。例えば、識別コード161Bは、検知指示信号151に含まれる識別コード161Aと同一のIDである。位置情報162Bは、位置計測部122で計測された運搬装置103の位置を示す。なお、運搬装置103は、定期的に管理装置104に位置情報162Bを送信し、検知指示信号151を受信した場合に、識別コード161Bのみを管理装置104に送信してもよい。
【0058】
位置通知信号152を受信した管理装置104は、位置通知信号152を用いて、対象物101の保管位置を示す位置管理情報163を更新する(S105)。
図9は、位置管理情報163の構成例を示す図である。
図9に示すように位置管理情報163は、対象物を特定するための対象物名164と、識別コード161Cと、位置情報162Cと、更新時刻165とを含む。
【0059】
識別コード161Cは、対象物101に装着されている発信器102を特定するための情報である。位置情報162Cは、対象物101の保管位置を示す。なお、位置情報162Cは、対象物101の位置を特定できる情報であればよい。例えば、位置情報162Cは、保管領域110内の複数の区画のうち一つを特定する情報であってもよいし、緯度経度を示す情報であってもよい。更新時刻165は、位置情報162Cが更新された時刻を示す。
【0060】
管理装置104は、上記更新において、位置通知信号152に含まれる識別コード161Bにより、更新対象の対象物101を特定する。また、管理装置104は、特定した対象物101の位置情報162Cを、位置通知信号152に含まれる位置情報162Bに基づき更新する。具体的には、管理装置104は、位置通知信号152に含まれる識別コード161Bと同一の識別コード161Cを有する対象物101の位置情報162Cを、位置情報162Bで示される位置に更新する。
【0061】
なお、上記説明では、識別コード161Aが、運搬装置103を経由して管理装置104に送信されているが、識別コード161Aは、運搬装置103を経由せず、管理装置104に送信されてもよい。例えば、識別コード161Aは、無線中継器(図示せず)等を介して、管理装置104に送信されてもよい。この場合、発信器102から運搬装置103に位置検知を指示する信号が送信されてもよいし、識別コード161Aを受信した管理装置104が、運搬装置103に位置検知の指示を送ってもよい。また、定期的に管理装置104に位置情報162Bが送信されている場合は、運搬装置103への位置検知の指示は行われなくてもよい。
【0062】
また、上記説明では、保管位置として二次元の位置が用いられる例を示したが一次元の位置が用いられてもよい。
【0063】
以上のように、位置管理システム100は、対象物101の停止を検知する。発信器102は、当該発信器102を特定するための識別コード161Aを無線送信する。位置管理システム100は、対象物101の停止が検知された場合、対象物101の位置を検知し、検知した位置を保管位置として識別コード161Aと対応付けて管理する。
【0064】
このように、位置管理システム100は、対象物101の停止をトリガとして対象物101の位置検知を実行する。これにより、位置管理システム100は、消費電力又は処理量を抑制できる。また、位置管理システム100は、発信器102から無線送信される識別コード161Aを用いて、複数の対象物101を、容易に区別して管理することができる。
【0065】
また、発信器102は、当該発信器102の停止を検知することで対象物101の停止を検知する。これによれば、発信器102において、停止検知と識別コード161Aの送信とを行うことができる。これにより、例えば、位置管理を行うための追加機能の大部分を発信器102で実現できる。よって、容易に位置管理を実現できるシステムを導入することができる。
【0066】
また、位置管理システム100は、対象物101の停止が検知された際の運搬装置103の位置を検知することで対象物101の位置を検知する。これによれば、対象物101の停止が検知された際の運搬装置103の位置を対象物101の保管位置として用いることができる。よって、対象物101自体又は発信器102の位置を直接検知する機構が不要となるので、容易に対象物101の位置検知を実現できる。
【0067】
また、発信器102は、発信器102の停止が検知された場合に、当該発信器102を特定するための識別コード161Aを無線送信する。運搬装置103は、識別コード161Aを受信した場合、当該運搬装置103の位置を検知する。位置管理システム100は、検知された運搬装置103の位置を保管位置として、運搬装置103で受信された識別コード161Aと対応付けて管理する。
【0068】
これによれば、発信器102の停止をトリガに識別コードの送信が行われるので、識別コード161Aの送信頻度を低減できる。これにより、発信器102の省電力化を実現できる。さらに、当該識別コード161Aを用いて、運搬が行われた対象物101を容易に識別できる。
【0069】
以下、本実施の形態の変形例について説明する。上記説明では、運搬装置103の位置の検知方法として、運搬装置103が備えるGPS等が用いられる例を述べたが、以下に示すいずれかの方法を用いてもよい。
【0070】
位置管理システム100は、運搬装置103の位置を計測するためのレーザ計測器125を含んでもよい。例えば、
図10に示すように、運搬装置103は、レーザ計測器125を含む。レーザ計測器125は、x方向及びy方向にレーザを照射し、保管領域110の周辺の壁等で反射した反射レーザを受信する。レーザ計測器125は、レーザを照射してから反射レーザを受信するまでの時間に基づき、運搬装置103の位置を検知する。または、壁等にレーザを受信する複数のレーザ受信器が設けられており、いずれのレーザ受信器においてレーザが受信されたかに基づき、運搬装置103の位置が検知されてもよい。
【0071】
また、
図10では、運搬装置103がレーザ計測器125を備える例を示すが、レーザ計測器125は、壁、又は運搬装置103が通過する経路に設けられていてもよい。
【0072】
または、保管領域110内の位置を識別するための複数のマーカ(例えば、バーコード等のコード、又は文字)等が設置されていてもよい。この場合、運搬装置103はカメラを備え、当該カメラで得られた画像からマーカを識別することで、当該運搬装置103の位置を検知する。なお、マーカは床面に設けられていてもよいし、x方向及びy方向の壁面に設けられてもよい。例えば、カメラによりx方向の壁面に設けられたマーカと、y方向の壁面に設けられたマーカとを識別することで、xy位置を検知できる。また、マーカの代わりに、壁面の特徴点と位置との関係を予め登録しておき、特徴点抽出により位置検出が行われてもよい。
【0073】
または、クレーン等の各機構を制御するための位置情報を用いて、運搬装置103の位置が検知されてもよい。
【0074】
または、保管領域110を撮影する1以上のカメラが設置されており、当該カメラで得られた画像を用いて、運搬装置103又は対象物101の位置が検知されてもよい。
【0075】
なお、運搬装置103で位置検知が行われない場合には、検知指示信号151は、管理装置104等の位置検知を行う装置に直接又は間接的に送られればよく、運搬装置103に送られる必要はない。
【0076】
または、運搬装置103の位置を検知するのではなく、発信器102の位置が検知されてもよい。例えば、
図11に示すように、位置管理システム100は、保管領域110内に配置された複数の受信器105を含む。
図12は、この場合の位置管理システム100の動作を示す図である。
【0077】
発信器102は、当該発信器102の停止を検知した場合(S111)、検知用信号を無線送信する(S112)。この検知用信号は、検知指示信号151と同様に、識別コード161Aを含む。
【0078】
複数の受信器105のうち、検知用信号を受信した受信器105は、検知用信号を受信した旨を示す受信通知信号を管理装置104に送信する(S113)。この受信通知信号は、検知用信号に含まれる識別コード161Aと、当該受信器105を識別する情報とを含む。また、受信器105と管理装置104との通信方法は特に限定されないが、例えば、公衆電話網、インターネット回線(無線或いは有線LAN、又はWi−Fi(登録商標)等を含む)、又は、独自の有線又は無線ネットワーク等を用いることができる。また、この無線通信の方式は、検知用信号の無線通信の方式と同一であってもよい。
【0079】
管理装置104は、複数の受信器105のうち検知用信号を受信した受信器105の位置に基づき、発信器102の位置を推定することで対象物101の位置を検知する(S114)。具体的には、管理装置104は、複数の受信器105の設置位置を把握しており、検知用信号を受信した受信器105の位置を、発信器102の位置と判定する。なお、受信通知信号に、検知用信号の受信電波強度を示す情報が含まれ、管理装置104は、受信電波強度を用いて、発信器102の詳細な位置を推定してもよい。
【0080】
次に、管理装置104は、検知された対象物101の位置を保管位置として、受信器105で受信された検知用信号に含まれる識別コード161Aと対応付けて管理する。具体的には、管理装置104は、受信通知信号に含まれる識別コード161Aと同一の識別コード161Cを有する対象物101の位置情報162Cを、検知した発信器102の位置に更新する(S115)。
【0081】
以上により、受信器105を用いて運搬装置103の位置を検知できる。これにより、運搬装置103に機能追加を行うことなく、位置管理を実現できるシステムを導入することができる。
【0082】
または、作業員が対象物101又は運搬装置103の近傍に位置する場合には、作業者が所持する機器(例えばスマートフォン等)が有するGPS機能が用いられてもよい。つまり、作業者が所持する機器の位置が、対象物101の位置として用いられてもよい。例えば、定期的に作業員が所持する機器の位置情報が管理装置104に送られてもよい。または、対象物101の停止が検知された場合に、発信器102、運搬装置103又は管理装置104は、作業者が所持する機器に位置検知の指示を送る。当該機器は当該指示に従い、当該機器の位置検知を行い、当該機器の位置情報を直接又は他の機器を介して、管理装置104に送ってもよい。
【0083】
また、上記説明では、対象物101が停止したことを検出する方法として、発信器102が備える加速度センサが用いられる例を述べたが、以下に示すいずれかの方法を用いてもよい。
【0084】
例えば、発信器102は、操作ボタンを有し、対象物101が停止した際に、作業者が操作ボタンを押下することで、検知指示信号151が送信されてもよい。
【0085】
または、対象物101に、対象物が据置(設置)されたことを検知する機構(スイッチ等)が設けられてもよい。この場合、例えば、据置の検知結果が発信器102に送られる。発信器102は、対象物が据置されたことが検知された場合に、検知指示信号151を送信する。
【0086】
または、保管領域110を撮影するカメラ106で得られた画像に基づき、対象物101の停止が検知されてもよい。
図13は、この場合の動作例を示す図である。カメラ106で撮影された画像に基づき、対象物101の停止が検知される。なお、この検知では、各対象物101の識別までは行われず、画像に動きがあるか否かに基づき停止が検知される。例えば、動きがある状態から動きがない状態に遷移し、動きがない状態が所定時間継続した場合に、対象物101が停止したと検知される。カメラ106は、停止を検知した場合(S121)、停止通知信号を管理装置104に送信する(S122)。
【0087】
なお、
図13では、カメラ106において停止が検知される例を示すが、管理装置104が、カメラ106で撮影された画像に基づき、停止を検知してもよい。
【0088】
一方で、発信器102は、所定の周期で繰り返し、識別コード161Aを含む検知用信号を無線送信する(S123)。複数の受信器105の各々は、検知用信号を受信した場合、検知用信号を受信した旨を示す受信通知信号を管理装置104に送信する(S124)。この受信通知信号は、検知用信号に含まれる識別コード161Aと、当該受信器105を識別する情報とを含む。
【0089】
管理装置104は、停止通知信号を受信した場合、受信通知信号に基づき、検知用信号が受信される受信器105に変更があった発信器102を、停止した発信器102と判定する。なお、ここでは、発信器102の位置を特定する必要は必ずしもないので、例えば、
図11に示すように発信器102の位置を特定する場合に比べ、受信器105の数を減らすことができる。また、管理装置104は、検知指示信号を運搬装置103に送信する(S125)。
【0090】
運搬装置103は、当該運搬装置103の位置を検知し(S126)、位置情報162Bを含む位置通知信号152を管理装置104に送信する(S127)。
【0091】
管理装置104は、停止した発信器102の位置情報162Cを、受信した位置情報162Bに更新する(S128)。
【0092】
なお、
図13では、対象物101の位置検知の方法として、運搬装置103において運搬装置103の位置が検知される例を示すが、対象物101の位置検知の方法として、上述した複数の方法のいずれかが用いられればよい。
【0093】
また、
図13では、複数の受信器105での検知用信号の受信状況に基づき、検知用信号が受信される受信器105に変更があった発信器102を、停止した発信器102と判定しているが、以下の方法を用いてもよい。受信器105が運搬装置103に設けられる。例えば、受信器105は、フック103Cの近傍に設けられる。管理装置104は、対象物101の停止を検知した場合、当該受信器105で検知用信号が受信されている発信器102を、停止した発信器102と判定する。なお、管理装置104は、当該受信器105で複数の発信器102から送信された複数の検知用信号が受信されている場合には、最も受信電波強度の強い検知用信号の送信元の発信器102を、停止した発信器102と判定する。また、管理装置104は、所定の期間に連続して、当該受信器105で同じ発信器102から送信された複数の検知用信号が受信された場合に、当該発信器102を、停止した発信器102と判定してもよい。また、この判定は当該受信器105が行ってもよい。
【0094】
また、運搬装置103はカメラ106を備え、カメラ106で得られた画像を用いて対象物101の停止が検知されてもよい。例えば、上記画像を用いたオプティカルフローにより停止が検知されてもよい。なお、どの発信器102が停止した発信器102であるかを判別する手法は、上述した手法と同様の手法を用いることができる。
【0095】
このように、位置管理システム100は、カメラ106で撮影された画像に基づき、対象物101の停止を検知する。位置管理システム100は、受信器105が受信した識別コード161Aに基づき、停止した対象物101を特定する。位置管理システム100は、対象物101の停止が検知された場合、当該対象物101の位置を検知し、検知した位置を、特定された対象物101の保管位置として、受信器105で受信された識別コード161と対応付けて管理する。
【0096】
以上により、発信器102で停止検知を行う必要がないので、発信器102の構成を簡略化できるとともに、省電力化を実現できる。
【0097】
また、作業者が所持する機器は操作ボタンを有し、対象物101が停止した際に、作業者が操作ボタンを押下することで、当該機器が検知指示信号151を送信してもよい。また、当該機器はGPS機能等の位置検知機能を有し、操作ボタンを押下がされた際に、位置情報を送信してもよい。なお、どの発信器102が停止した発信器102であるかを判別する手法は、上述した手法と同様の手法を用いることができる。
【0098】
以上、本発明の実施の形態に係る位置管理システムについて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0099】
例えば、上記説明では、管理装置104において各対象物101の保管位置を管理する例を述べたが、各発信器102に保管位置を示す情報が格納されてもよい。例えば、上述した処理により得られた保管位置を示す情報は、発信器102に格納される。発信器102は、定期的に、又は、外部からの問い合わせに応じて、識別コード161Aと、保管位置を示す情報とを送信する。これにより、管理装置104等における管理が不要となる。
【0100】
また、上記実施の形態に係る位置管理システムに含まれる各装置に含まれる各処理部は典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0101】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0102】
また、上記実施の形態に係る位置管理システムに含まれる各装置の機能の一部又は全てを、CPU等のプロセッサがプログラムを実行することにより実現してもよい。
【0103】
さらに、本発明は上記プログラムであってもよいし、上記プログラムが記録された非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体であってもよい。また、上記プログラムは、インターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。
【0104】
また、本発明は位置管理システムとして実現できるだけでなく、位置管理システムに含まれる発信器、運搬装置、受信器、又は管理装置として実現してもよい。また、本発明は、このような位置管理システムに含まれる特徴的な手段をステップとする位置管理方法として実現したり、そのような特徴的なステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したりすることもできる。
【0105】
また、上記で用いた数字は、全て本発明を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。
【0106】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0107】
また、上記フローチャートで示すステップが実行される順序は、本発明を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0108】
以上、一つまたは複数の態様に係る位置管理システムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【解決手段】位置管理システム100は、複数の対象物101の保管位置を管理するためのシステムであって、複数の対象物101の各々に装着される発信器102を含み、位置管理システム100は、対象物101の停止を検知し(S101)、発信器102は、当該発信器102を特定するための識別コード161Aを無線送信し(S102)、位置管理システム100は、対象物101の停止が検知された場合、当該対象物101の位置を検知し(S103)、検知した位置を保管位置として識別コード161Aと対応付けて管理する(S105)。