(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コア部材の側面に、塗布された前記模擬シーラント剤の上下方向の大きさを表示する高さ基準線が設けられていることを特徴とする請求項5に記載のシール作業教育用テストピース。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載のシリコン組成物では、模擬シーラント剤として、実際のシーラント剤に近い粘度が得られないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、実際のシーラント剤に近い粘度を得ることができる模擬シーラント剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明の一態様に係る模擬シーラント剤は、
ポリブテン樹脂とポリエチレン樹脂とを含有する模擬シーラント剤であって、前記ポリエチレン樹脂はゾル状をなし、
ポリブテン樹脂内に拡散している。
【0007】
この構成によれば、基油としての
ポリブテン内に、増ちょう剤としてのポリエチレン樹脂がゾル状に拡散していることにより、模擬シーラント剤の粘度を調整することができる。これにより、模擬シーラント剤が、実際のシーラント剤に近い粘度を得ることができる。
【0008】
また、上記の模擬シーラント剤は、前記ポリエチレン樹脂の含有量が、質量%で4%以上9%以下であってもよい。
【0009】
この構成によれば、模擬シーラント剤におけるポリエチレン樹脂の含有量が、質量%で4%以上9%以下であるため、模擬シーラント剤を、好適な粘度に調整することができる。
【0010】
また、上記の模擬シーラント剤は、前記ポリエチレン樹脂の含有量が、質量%で6%以上7%以下であってもよい。
【0011】
この構成によれば、模擬シーラント剤におけるポリエチレン樹脂の含有量が、質量%で6%以上7%以下であるため、模擬シーラント剤を、より一層好適な粘度に調整することができる。
【0012】
また、上記の模擬シーラント剤は、添加剤として、質量%で5%未満の着色剤を含有してもよい。
【0013】
この構成によれば、
ポリブテンとポリエチレン樹脂とを含有する透明な模擬シーラント剤に、含有量が質量%で5%以下といった僅かな着色を行うことで、模擬シーラント剤の表面形状の視認性を確保するとともに、着色により模擬シーラント剤の内部気泡の視認性が悪くなるのを抑えることができる。
【0014】
また、本発明の一態様に係るシール作業教育用テストピースは、ベース部材と、前記ベース部材の上面に着脱自在に配設されるコア部材と、備え、前記ベース部材と前記コア部材との接合部分に、前述した模擬シーラント剤が塗布されるシール作業教育用テストピースであって、前記ベース部材の上面には、格子状の罫線が等間隔に設けられている。
【0015】
この構成によれば、透明な模擬シーラント剤が塗布されるベース部材の上面に、格子状の罫線が等間隔に設けられているので、このシール作業教育用テストピースを用いたシール作業の訓練を行う際に、模擬シーラント剤を塗布した長さや厚みを、罫線を目視することで、即座に把握することができる。これにより、シール作業の速度や精度を向上し、短期間でシール作業の習熟度を高めることができる。
また、透明な模擬シーラント剤を用いることで、模擬シーラント剤を通してベース部材の上面における罫線を視認することが可能になり、罫線の視認性を確保することができる。
【0016】
また、上記のシール作業教育用テストピースは、前記コア部材の側面に、塗布された前記模擬シーラント剤の上下方向の大きさを表示する高さ基準線が設けられてもよい。
【0017】
この構成によれば、コア部材の側面に、高さ基準線が設けられているので、側面に塗布された模擬シーラント剤の上下方向の大きさを、高さ基準線を目視することで、即座に把握することができる。これにより、シール作業の精度を向上し、より一層短期間で習熟度を高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の模擬シーラント剤によれば、実際のシーラント剤に近い粘度を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
本発明の一実施形態に係る模擬シーラント剤9(
図1参照)は、シーラント剤を模擬して配合された組成物である。模擬シーラント剤9は主に、構造体における構成部品同士の間の隙間をシールするシーラント剤の塗布作業(シール作業)における習熟度の向上を目的とした訓練に用いられる。
模擬シーラント剤9には、内部に形成される気泡の視認性、およびシーラント剤と同等の粘度が求められる。この点について詳述すると、一般的なシーラント剤は黒色不透明であることが多く、シール部への塗布後に内部気泡を視認するのが難しい。シール作業の訓練では、シール部への塗布後の模擬シーラント剤9を、ヘラ等の成形器具により成形しながら、内部気泡を除去する工程があり、模擬シーラント剤9は内部気泡が視認できることが好ましい。
また、粘度は主に、模擬シーラント剤9を塗布する際の感触(軟らかさ)、塗布した後の形状の保持性、塗布した後にヘラ等により成形する際の、ヘラ等への追従性(糸引き性)等に影響を与える。
【0022】
模擬シーラント剤9は、
ポリブテンとポリエチレン樹脂とを含有している。ポリエチレン樹脂はゾル状をなし、
ポリブテン内に拡散している。ポリエチレン樹脂の含有量は、好ましくは質量%で4%以上9%以下である(以下、説明の無い限り、質量%を省略する)。また、より好ましくは6%以上7%以下である。
【0023】
模擬シーラント剤9は透明であり、図示の例では薄い朱色を呈している。なお。模擬シーラント剤9は無色であってもよい。有色である場合は、添加剤として、5%未満の着色剤を含有していることが望ましい。有色透明であることで、模擬シーラント剤9の外形が視認しやくすくなるとともに、後述する内部気泡の視認性を確保することができる。
模擬シーラント剤9は、リサイクル性を備えている。すなわち、模擬シーラント剤9を塗布した後に、脱気して真空引きを行うことで再利用することができる。この点については塗布後に固化するシーラント剤と異なり、何度も使い回すことで、コストを削減することができる。
【0024】
次に、
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るシール作業教育用テストピース1は、ベース部材10と、ベース部材10の上面11に着脱自在に配設されるコア部材20と、を含有している。ベース部材10およびコア部材20はそれぞれ、表裏面が上下方向を向くとともに、上面視で、上下方向と直交する水平方向のうちの一方向に長い矩形状を呈する板状部材である。
以下の説明において、前記一方向を左右方向Xといい、水平方向のうち、左右方向Xと直交する方向を前後方向Yという。また、左右方向Xおよび前後方向Yにおいて、ベース部材10の水平方向における中央部に向かう方向を内側、中央部から離れる方向を外側という。
【0025】
コア部材20は、ベース部材10よりも前後方向Yおよび左右方向Xの双方向に小さくなっている。コア部材20はベース部材10の上面11における水平方向の中央部に配設されている。ベース部材10およびコア部材20それぞれの上下方向の大きさ(厚み)は互いに同等となっている。
ベース部材10とコア部材20との接合部分(以下、シール部という)に、前述した模擬シーラント剤9が塗布される。模擬シーラント剤9は、ベース部材10の上面11と、コア部材20の外表面のうち、ベース部材10の上面11と交差する側面21と、にまたがって、隅肉溶接における溶接ビードの様相を呈して塗布される。模擬シーラント剤9は、ベース部材10とコア部材20とのシール部に塗布された後に、ヘラ等を用いて、表面近傍に形成された内部気泡を除去されながら成形される。
【0026】
そして本実施形態では、ベース部材10の上面11には、格子状の罫線30が等間隔に設けられている。罫線30は前後方向Yおよび左右方向Xに沿って延びている。
罫線30は、少なくとも、ベース部材10の上面11における中央部であって、上面視でコア部材20よりも水平方向の外側に位置する部分に設けられている。罫線30は、ベース部材10の上面11に、罫書き針等を用いて書き入れられた罫書き線である。図示の例では、コア部材20の上面22にも、罫線30が等間隔に設けられている。
【0027】
罫線30は、例えば左右方向Xおよび前後方向Yに1mm(0.04インチ)ずつの間隔をあけて、上面視におけるコア部材20の外周縁部から水平方向の外側に向けてそれぞれ10mm(0.4インチ)の範囲に設けることができる。
なお、罫線30はベース部材10の上面11のうち、コア部材20の下面と当接する部分に設けられてもよいし、ベース部材10の上面11の全体に設けられてもよい。
【0028】
そして、ベース部材10とコア部材20とのシール部に模擬シーラント剤9を塗布する際に、罫線30および模擬シーラント剤9を同時に目視することで、塗布時間内に模擬シーラント剤9を塗布した長さ寸法(塗布速度)や、模擬シーラント剤9の上面視での前記長さ寸法と直交する幅寸法を即座に把握することができる。
【0029】
また本実施形態では、コア部材20の側面21に、塗布された模擬シーラント剤9の厚みを表示する高さ基準線31が設けられている。高さ基準線31は、上面視におけるコア部材20の外周縁部と平行に延びている。
コア部材20の側面21のうち、左右方向Xの両外側を向く第1側面21Aに設けられた第1高さ基準線31Aは、前後方向Yに沿って延びている。また、コア部材20の側面21のうち、前後方向Yの両外側を向く第2側面21Bに設けられた第2高さ基準線31Bは、左右方向Xに沿って延びている。
高さ基準線31は、コア部材20の側面21における上下方向の全域にわたって、上下方向に罫線30と等間隔をなして設けられている。高さ基準線31は、コア部材20の側面21に、罫書き針等を用いて書き入れられた罫書き線である。なお、高さ基準線31は、罫線30と異なる間隔をなしてもよい。
【0030】
ベース部材10とコア部材20とのシール部に模擬シーラント剤9を塗布する際に、高さ基準線31および模擬シーラント剤9を同時に目視することで、模擬シーラント剤9の高さ寸法を即座に把握することができる。なお、高さ基準線31はコア部材20の側面21のうちの一部にのみ形成されてもよい。また、コア部材20の側面21に、高さ基準線31と直交する長さ基準線を設けてもよい。
【0031】
<変形例1>
次に、前述した一実施形態の各変形例を説明する。なお、以下の各変形例においては、説明の無い限り、罫線30および高さ基準線31の図示を省略する。
図2を用いて変形例1に係るシール作業教育用テストピース2について説明する。また、以下の説明においては、前述した内容と共通の構成については、同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0032】
図2に示すように、シール作業教育用テストピース2では、ベース部材10が、調整板15を備えた調整台50に配設されている。調整台50は表裏面が上下方向を向くとともに、上面視で左右方向に長い矩形状を呈する板状部材である。
調整板15は、調整台50の上面51に左右方向Xに間隔をあけて、一対配設されている。一対の調整板15は、調整台50の上面51のうち、ベース部材10の左右方向Xの両外側に位置する部分に各別に配設されている。
調整板15は、表裏面が上下方向を向くとともに、上面視で矩形状をなす固定部15Aと、表裏面が左右方向Xを向くとともに、固定部15Aの左右方向Xの内端部に接続された角度調整部15Bと、を備えている。
【0033】
固定部15Aには、固定部15Aを上下方向に貫く固定孔(図示せず)が、前後方向Yに間隔をあけて一対形成されている。
角度調整部15Bは、左右方向Xから見た側面視で、前後方向Yのうちの一方向および上方に向けて突の扇状をなしている。角度調整部15Bには、角度調整部15Bを左右方向Xに貫くとともに、角度調整部15Bの円弧部分に沿って延びる円弧状の角度調整溝15Dが形成されている。角度調整溝15Dは、角度調整部15Bの円弧部分の周端部を除く全周にわたって形成されている。
【0034】
ベース部材10の上面11には、下方に向けて窪むとともに、左右方向Xに延びる幅調整溝51Aが、前後方向Yに間隔をあけて一対形成されている。一対の幅調整溝51Aは、調整台50の上面51のうち、ベース部材10の左右方向Xの両外側に位置する部分に2組形成されている。
幅調整溝51A内に、固定部15Aの固定孔を通して固定ねじ16が挿通され、蝶ナット等により取り外し可能に固定されている。固定ねじ16を緩め、固定ねじ16とともに調整板15を左右方向Xに移動させることにより、一対の調整板15の左右方向Xの間の距離を、任意に調整可能となっている。
【0035】
ベース部材10の下面には、左右方向Xの外側に向けて突出する調整ねじ17が配設されている。調整ねじ17は、ベース部材10の下面における前後方向Yの一方側の端部に各別に配設されている。
調整ねじ17は、調整板15の角度調整部15Bにおける角度調整溝15D内に各別に挿通され、蝶ナット等により固定されている。ベース部材10は、前後方向Yの他方側の端部を回動中心として、回動自在に角度調整部15Bに支持されている。このため、蝶ナットを緩め、調整ねじ17を、角度調整溝15Dに沿って角度調整溝15D内を移動させることにより、ベース部材10の上面11の角度を調整することができる。
【0036】
このように、一対の調整板15の左右方向Xの間の距離、およびベース部材10の上面11の角度を調整することで、例えばシーラント剤を塗布する作業スペースが狭小な場面を想定したり、シーラント剤を塗布するシール部が傾斜している場面を想定したりすることで、様々な状況を想定して、幅広い内容のシール作業の訓練を行うことができる。
【0037】
<変形例2>
次に、
図3を用いて変形例2に係るシール作業教育用テストピース3について説明する。なお、以下の説明においては、前述した内容と共通の構成については同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0038】
図3に示すように、シール作業教育用テストピース3のコア部材20Bは、左右方向Xから見た側面視でL字状をなしている。コア部材20Bの前後方向Yの他方側の端部には、上方に向けて延びる立設壁23が形成されている。コア部材20Bの厚み寸法、および立設壁23の前後方向Yの厚み寸法は、コア部材20の全域にわたって同等となっている。コア部材20の厚み寸法は、ベース部材10の厚み寸法よりも小さくなっている。
【0039】
<変形例3>
次に、
図4を用いて変形例3に係るシール作業教育用テストピースについて説明する。なお、以下の説明においては、前述した内容と共通の構成については同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0040】
図4(a)に示すように、シール作業教育用テストピースのベース部材10における上面11には、下方に向けて窪む位置決め孔12が形成されている。位置決め孔12は、左右方向Xに間隔をあけて一対形成されている。位置決め孔12は、ベース部材10の上面11における水平方向の中央部に形成されている。
位置決め孔12は、ベース部材10の上面11のうち、
図4(a)に二点鎖線で示されるような、コア部材20の上面視における外周縁部が位置する部分の内側に配置されている。
【0041】
図4(b)および
図4(c)に示されるように、シール作業教育用テストピースにおけるコア部材20、20Bの下面には、下方に向けて突出する位置決め突起24が形成されている。位置決め突起24は、左右方向Xに間隔をあけて一対形成されている。位置決め突起24は、コア部材20の下面における前後方向Yの中央部に形成されている。コア部材20、20Bの上面22のうち、上面視で位置決め突起24と同等の位置には、下方に向けて窪む取付孔25が各別に形成されている。
【0042】
コア部材20、20Bは、一対の位置決め突起24を、ベース部材10における一対の位置決め孔12内に各別に挿入した状態で、ベース部材10の上面11に配設される。このため、ベース部材10とコア部材20とのシール部に模擬シーラント剤9を塗布する際に、コア部材20がベース部材10に対して位置ずれするのを抑えることができる。
なお、位置決め孔12および位置決め突起24の数量としては、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0043】
<変形例4>
次に、
図5を用いて変形例4に係るシール作業教育用テストピースについて説明する。なお、以下の説明においては、前述した内容と共通の構成については同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0044】
図5に示すように、シール作業教育用テストピースのコア部材20C,20Dは様々な形状を呈している。
図5(a)に示すように、コア部材20Cは、左右方向Xから見た側面視で略L字状を呈している。コア部材20の上面22には、上方に向けて突き出した突出し部26が、左右方向Xに間隔をあけて複数形成されている。突出し部26の左右方向Xの大きさは、互いに隣り合う突出し部26同士の間の距離と同等となっている。
【0045】
図5(b)に示すように、コア部材20Dの前後方向Yの一方側に位置する第2側面21Bには、前後方向Yの他方側に向けて窪むとともに、上面視で矩形状を呈する切欠き凹部27が形成されている。切欠き凹部27は左右方向Xに間隔をあけて複数形成されている。切欠き凹部27の左右方向Xの大きさは、互いに隣り合う切欠き凹部27同士の間の距離と同等となっている。
【0046】
コア部材20Dに切欠き凹部27が複数形成されることにより、ベース部材10とコア部材20Dとのシール部の外周縁部の周長が長くなるとともに、シール部の形状が複雑になり、シール作業に求められる習熟度を調整することができる。
このように、ベース部材10を共通として、様々な形状のコア部材20C,20Dを交換可能とすることで、様々なレベルの作業者に合わせて、適切なレベルでの訓練を行うことができる。
【0047】
<変形例5>
次に、
図6を用いて変形例5に係るシール作業教育用テストピースについて説明する。なお、以下の説明においては、前述した内容と共通の構成については同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0048】
図6に示すように、シール作業教育用テストピースのコア部材20の上面22には、複数の補助ピース40が組み付けられている。
図6(a)に示すコア部材20では、上面22に複数の補助ピース40が配設されている。補助ピース40の下面には、下方に向けて突出する取付突起41が形成されている。取付突起41が、コア部材20の上面22における取付孔25内に挿入されることで、補助ピース40がコア部材20に組み付けられている。
コア部材20および補助ピース40それぞれの前後方向Yの大きさが互いに同等となっている。なお、補助ピース40はコア部材20よりも前後方向Yに小さくてもよい。
【0049】
補助ピース40は、上面視で矩形状を呈している。補助ピース40の上面のうち、左右方向Xの内側の端部は、左右方向Xの内側に向けて下方に向けて延びる傾斜面状に形成されている。また、補助ピース40の側面には、高さ基準線31を設けられている。
図6(b)に示す補助ピース40Bは、左右方向Xの全域にわたって同等の厚みを有している。補助ピース40Bは、左右方向Xの内側の端部が、左右方向Xの内側に向けて突の曲面状に形成されている。なお、このように曲面状に形成された構成にかえて、
図6(c)に示す補助ピース40Cのように、左右方向Xの内側の端部における前後方向Yの両外側に位置する角部が、平面状に面取りされた構成を採用しても構わない。
【実施例】
【0050】
以下に本発明の模擬シーラント剤9の実施例を比較例とともに示す。なお、以下に示す実施例は本発明の一例であり、本発明は以下に説明する実施例に制限されるものではない。
【0051】
表1に示すように、
ポリブテンとポリエチレン樹脂とを混合し、実施例としての模擬シーラント剤A1〜A10を生成した。また、ポリブチレン樹脂とシリカとを混合し、比較例としての模擬シーラント剤B1を生成した。
実施例A1〜A10の生成では、基油である
ポリブテンとして、高分子ポリブチレン(分子量1350:40℃粘度24000[mm2/s])を用いた。これに増ちょう剤であるポリエチレン樹脂を、直径数mmのペレット状の状態から加熱により溶解し、再凝固した状態で混合した。これにより、ポリエチレン樹脂はゾル状をなし、
ポリブテン内に拡散している。
比較例B1の生成では、
ポリブテンとして低
ポリブテン(分子量720:40℃粘度*2100[mm2/s])を用いた。これに増ちょう剤であるシリカを直径5〜50nmの状態で混合した。
【0052】
【表1】
【0053】
次に、このようにして得られた実施例A1〜A10についての模擬シーラントとしての判定結果を説明する。全ての実施例A1〜A10において、基油である
ポリブテンに、増ちょう剤であるポリエチレン樹脂を加えて粘度を調整することで、シール部に塗布することができる粘度に調整可能であることが確認された。
各実施例A1〜A10について詳述すると、A1では、塗布した際にシール面から流れることが確認された。A2では、塗布した後に時間の経過とともにシール面から垂れることが確認された。
【0054】
A3およびA4では、軟らかく、塗布後に垂れず、透明であることが確認された。糸引き性も良好であった。すなわち、模擬シーラント剤として好適な粘度、および視認性を備えていることが確認された。
しかしながら、夏場等の高温環境下における上向きの作業面への塗布では、長時間の作業において塗布後の模擬シーラント剤が垂れるおそれがあることが確認された。
【0055】
A5およびA6では、軟らかく、塗布後に垂れず、透明であることが確認された。糸引き性も良好であった。すなわち、模擬シーラント剤としてより一層好適な粘度、および視認性を備えていることが確認された。
A7およびA8では、塗布が可能、かつヘラでの成形が可能な範囲で硬く、塗布後に垂れず、内部気泡が視認できることが確認された。糸引き性は充分であった。すなわち、模擬シーラント剤として好ましい粘度、および視認性を備えていることが確認された。
【0056】
A9では、塗布が可能、かつヘラでの成形が可能な範囲で硬く、塗布後に垂れないが、内部気泡の視認性が良くないことが確認された。糸引き性は充分であった。
A10では、塗布、ヘラでの成形が困難な程度に硬く、不透明であるために内部気泡が視認できないことが確認された。
【0057】
次に、比較例B1についての判定結果を説明する。
増ちょう剤としてシリカを混合したB1では、製造過程の熱処理において、熱分解、加水分解等が起こり、シリカのSi−O結合が切れて粘度が下がるため、形状を維持した状態でシール部に塗布できないことが確認された。
【0058】
以上説明したように、本実施形態に係る模擬シーラント剤9によれば、基油としての
ポリブテン内に、増ちょう剤としてのポリエチレン樹脂がゾル状に拡散していることにより、模擬シーラント剤9の粘度を調整することができる。これにより、模擬シーラント剤9が、実際のシーラント剤に近い粘度を得ることができる。
また、模擬シーラント剤9におけるポリエチレン樹脂の含有量が、4%以上9%以下である場合には、模擬シーラント剤9を好適な粘度に調整することができる。
また、模擬シーラント剤9におけるポリエチレン樹脂の含有量が、6%以上7%以下である場合には、模擬シーラント剤9をより一層好適な粘度に調整することができる。
【0059】
また、
ポリブテンとポリエチレン樹脂とを含有する透明な模擬シーラント剤9に、含有量が質量%で5%以下といった僅かな着色を行うことで、模擬シーラント剤9の表面形状の視認性を確保するとともに、着色により模擬シーラント剤9の内部気泡の視認性が悪くなるのを抑えることができる。
【0060】
また、シール作業教育用テストピース1において、透明な模擬シーラント剤9が塗布されるベース部材10の上面11に、格子状の罫線30が等間隔に設けられている。このため、このシール作業教育用テストピース1を用いたシール作業の訓練を行う際に、模擬シーラント剤9を塗布した長さや厚みを、罫線30を目視することで、即座に把握することができる。これにより、シール作業の速度や精度を向上し、短期間でシール作業の習熟度を高めることができる。
また、透明な模擬シーラント剤9を用いることで、模擬シーラント剤9を通してベース部材10の上面11における罫線30を視認することが可能になり、罫線30の視認性を確保することができる。
【0061】
また、シール作業教育用テストピース1におけるコア部材20の側面21に、高さ基準線31が設けられている。このため、側面21に塗布された模擬シーラント剤9の厚みを、高さ基準線31を目視することで、即座に把握することができる。これにより、シール作業の精度を向上し、より一層短期間で習熟度を高めることができる。
【0062】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上記実施形態では、ポリエチレン樹脂の含有量は、好ましくは4%以上9%以下、より好ましくは6%以上7%以下である構成を示したが、このような範囲に限られない。ポリエチレン樹脂の含有量は、4%未満であってもよいし、9%よりも大きくてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、基油として
ポリブテンを用いた構成を示したが、このような態様に限られない。透明性を確保するという観点では、
ポリブテンに限られない。基油として、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系ポリマー、又は油溶性ポリマーであってもよい。これらのうち、ポリイソブチレン、オレフィンコポリマー、ポリメタルレート等が特に好ましい。
また、上記実施形態では、増ちょう剤としてポリエステル樹脂を用いた構成を示したが、このような態様に限られない。粘度を調整するという観点では、ポリエステル樹脂に限られない。増ちょう剤として、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の合成樹脂材料でもよいし、黒鉛、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン等の材料を採用してもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、シール作業教育用テストピース1におけるコア部材20の側面21に、高さ基準線31が設けられている構成を示したが、このような態様に限られない。コア部材20の側面21に高さ基準線31が設けられなくてもよい。