特許第6413225号(P6413225)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6413225
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】シーリング材の試験体載置用のパレット
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/04 20060101AFI20181022BHJP
   G01N 3/00 20060101ALI20181022BHJP
   G01N 3/08 20060101ALI20181022BHJP
【FI】
   G01N3/04 P
   G01N3/00 Q
   G01N3/08
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-233756(P2013-233756)
(22)【出願日】2013年11月12日
(65)【公開番号】特開2015-94653(P2015-94653A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2016年11月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠史
(72)【発明者】
【氏名】高田 朋幸
(72)【発明者】
【氏名】岡本 洋平
【審査官】 素川 慎司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−022630(JP,A)
【文献】 特開平09−292322(JP,A)
【文献】 特開2011−185713(JP,A)
【文献】 実開昭63−007346(JP,U)
【文献】 米国特許第05033308(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/00 − 3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長形状のシーリング材を、前記シーリング材の長手方向と直交する方向から前記シーリング材を挟むように取着された一対の基板を備え、
前記基板は、一対の横辺と一対の縦辺を有する矩形板状を呈し、
前記シーリング材は、前記一対の横辺の中央間にその長手方向を前記縦辺と平行させて延在し、
前記シーリング材と前記一対の基板とで試験体が構成され、
前記シーリング材の長手方向を上下方向に向けて複数の前記試験体が載置される矩形板状のパレットであって、
前記一対の基板が対向する方向と直交する方向をX軸方向とし、前記一対の基板が対向する方向をY軸方向とした場合、前記パレットの上面に、前記複数の試験体がX軸方向とY軸方向に間隔をおいて載置されるように、各試験体が載置される前記パレットの上面箇所毎に設けられ、前記シーリング材を基準として前記X軸方向および前記Y軸方向における前記試験体の位置決めを行なう位置決め手段と、
前記パレットの上面の四隅から前記縦辺よりも大きい寸法で突出する位置決めピンと、
前記パレットの下面の四隅に、下方に配置される前記パレットの前記位置決めピンの上端が係止され、上方に位置するパレットの下面と、下方に位置する前記パレットの上面との間に、前記試験体の縦辺よりも大きい寸法の隙間を確保する係止凹部とを備え、
前記位置決め手段は、各試験体が載置される前記パレットの上面箇所毎に、各試験体の一対の基板の間で前記シーリング材の両側に近接した箇所に突設された複数組の一対のガイドピンで構成されている、
ことを特徴とするシーリング材の試験体載置用のパレット。
【請求項2】
前記複数の試験体が前記位置決め手段により前記上面上でY軸方向に間隔をおきX軸方向に並べられて載置されることで複数のX軸列が構成され、
前記複数の試験体が前記位置決め手段により前記上面上でX軸方向に間隔をおきY軸方向に並べられて載置されることで複数のY軸列が構成され、
前記複数の試験体は前記各X軸列において、平面視した場合に、前記複数の試験体の一対の基板の横辺がそれぞれそれらの長手方向に沿って延在するように並べられて配置され、
前記複数の試験体は前記各Y軸列において、平面視した場合に、前記複数の試験体の一対の基板の横辺がそれぞれ平行するように並べられて配置され、
前記パレットの上面に、X軸方向に間隔をおいてY軸方向に延在し、前記パレットの上面に載置された前記複数の試験体の前記横辺の両端に係止しY軸方向において前記複数の試験体の前記横辺の両端を揃える複数のガイドバーが設けられている、
ことを特徴とする請求項記載のシーリング材の試験体載置用のパレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーリング材の試験体載置用のパレットに関する。
【背景技術】
【0002】
ビルや家屋などの建造物を構成する建築材同士、例えば外壁同士の間に打設する目地材としてシーリング材が広く用いられており、シーリング材により建築材同士の水密性あるいは気密性を確保している。
特許文献1には、シーリング材の性能評価試験の1つとして引張接着性試験(建築用シーリング材の試験方法(JIS A1439))を行なうことが開示されている。
引張接着性試験では、建築材料に見立てた一対の基板をシーリング材により接着することで試験体(H型試験体)を構成し、引張試験機を用いて一対の基板に引張力を加えて規定された複数の試験項目について試験を行なう。
ところで、シーリング材を開発するにあたっては、シーリング材の組成を異ならせた大量の試験体を作成し、それら大量の試験体について引張接着性試験を行なう必要がある。
そのため、自動的に引張接着性試験を行なうことで24時間稼動を可能とし大量の試験体について引張接着性試験を行なうことが求められている。また、試験の自動化を図ることで、省人効果も期待できる。
そこで、試験を人の手を介さずに自動で行う方法として、複数の試験体を基板の厚さ方向に複数個積み重ねて収容するカセットを複数設け、それらカセットを自動搬送装置により引張試験機近傍まで搬送し、ロボットなどによりカセットから試験体を取り出して引張試験機に自動的に供給して試験を行なうことが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−185713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようなカセットを用いた場合、各試験体は、それよりも上部に位置する試験体全ての荷重が加わることになり、したがって、下部に位置する試験体ほどシーリング材に大きな予備荷重がかかる。
このような予備荷重は、シーリング材の変形を生じさせるため、引張接着性試験の評価結果を正しく得る上で不利が生じる。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであり、その目的は、引張接着性試験の評価結果を正しく得る上で有利なシーリング材の試験体載置用のパレットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明は、細長形状のシーリング材を、前記シーリング材の長手方向と直交する方向から前記シーリング材を挟むように取着された一対の基板を備え、前記基板は、一対の横辺と一対の縦辺を有する矩形板状を呈し、前記シーリング材は、前記一対の横辺の中央間にその長手方向を前記縦辺と平行させて延在し、前記シーリング材と前記一対の基板とで試験体が構成され、前記シーリング材の長手方向を上下方向に向けて複数の前記試験体が載置される矩形板状のパレットであって、前記一対の基板が対向する方向と直交する方向をX軸方向とし、前記一対の基板が対向する方向をY軸方向とした場合、前記パレットの上面に、前記複数の試験体がX軸方向とY軸方向に間隔をおいて載置されるように、各試験体が載置される前記パレットの上面箇所毎に設けられ、前記シーリング材を基準として前記X軸方向および前記Y軸方向における前記試験体の位置決めを行なう位置決め手段と、前記パレットの上面の四隅から前記縦辺よりも大きい寸法で突出する位置決めピンと、前記パレットの下面の四隅に、下方に配置される前記パレットの前記位置決めピンの上端が係止され、上方に位置するパレットの下面と、下方に位置する前記パレットの上面との間に、前記試験体の縦辺よりも大きい寸法の隙間を確保する係止凹部とを備え、前記位置決め手段は、各試験体が載置される前記パレットの上面箇所毎に、各試験体の一対の基板の間で前記シーリング材の両側に近接した箇所に突設された複数組の一対のガイドピンで構成されていることを特徴とするシーリング材の試験体載置用のパレットである。
請求項2記載の発明は、前記複数の試験体が前記位置決め手段により前記上面上でY軸方向に間隔をおきX軸方向に並べられて載置されることで複数のX軸列が構成され、前記複数の試験体が前記位置決め手段により前記上面上でX軸方向に間隔をおきY軸方向に並べられて載置されることで複数のY軸列が構成され、前記複数の試験体は前記各X軸列において、平面視した場合に、前記複数の試験体の一対の基板の横辺がそれぞれそれらの長手方向に沿って延在するように並べられて配置され、前記複数の試験体は前記各Y軸列において、平面視した場合に、前記複数の試験体の一対の基板の横辺がそれぞれ平行するように並べられて配置され、前記パレットの上面に、X軸方向に間隔をおいてY軸方向に延在し、前記パレットの上面に載置された前記複数の試験体の前記横辺の両端に係止しY軸方向において前記複数の試験体の前記横辺の両端を揃える複数のガイドバーが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、試験体のなかで最も高い精度で形成されたシーリング材を基準として試験体の位置決めを行なうため、パレット上で試験体を正確に整然と並べて載置する上で有利となる。
また、位置決めピンと係止凹部とを設けたため、複数のパレットが積み重ねられた場合であっても、各試験体のシーリング材には、シーリング材の自重以外の予備荷重はかからない。
したがって、シーリング材の物性及び試験体寸法に何ら影響を与えることがなく、大量の試験体についての引張接着性試験の評価結果を自動、かつ正しく得る上で有利となる。
また、試験体を構成する一対の基板に対しても予備荷重がかからないため、基板の損傷や破損を確実に防止でき、引張接着性試験を効率よく、確実に行なう上で有利となる。
また、位置決め手段を一対のガイドピンにより簡単に構成することができ、パレットのコストダウンを図る上で有利となる。
請求項記載の発明によれば、X軸方向における試験体の位置決めをさらに高い精度で行なうことができ、引張接着性試験を確実に行う上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】(A)は実施の形態に係るパレットの平面図、(B)は(A)のB矢視図、(C)は(A)のC矢視図である。
図2】(A)は実施の形態に係るパレットにJIS規格で規定された試験体が載置された状態を示す平面図、(B)は(A)のB矢視図、(C)は(A)のC矢視図である。
図3】(A)は実施の形態に係るパレットが2段積み重ねられた状態を示す平面図、(B)は(A)のB矢視図、(C)は(A)のC矢視図である。
図4】(A)は実施の形態に係るパレットに載置された試験体がチャック機構により取り出される状態を示す平面図、(B)は(A)のB矢視図、(C)は(A)のC矢視図である。
図5】(A)はJIS規格で規定された試験体の斜視図、(B)は(A)のB矢視図、(C)は(A)の(C)矢視図である。
図6】(A)はパレット上で一対のガイドピンにより位置決めされた試験体の斜視図、(B)は(A)のB矢視図である。
図7】(A)は実施の形態に係るパレットにISO規格で規定された試験体が載置された状態を示す平面図、(B)は(A)のB矢視図、(C)は(A)のC矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、試験体について説明する。なお、本実施の形態では、試験体が建築用シーリング材の試験方法(JIS A1439))で規定するH型試験体である場合について説明する。
図5(A)、(B)、(C)に示すように、試験体10Aは、細長形状のシーリング材12と、シーリング材12の長手方向と直交する方向からシーリング材12を挟むように取着された一対の基板14とで構成されている。
【0009】
基板14は、一対の横辺1402と一対の縦辺1404を有する矩形板状を呈し、本実施の形態では、一対の基板14は、同形同大の正方形の板状を呈している。一対の基板14の一辺は50mmであり、厚さは、例えば3mm、5mm、10mm、25mmの何れかである。
基板14は、アルミ、ガラス、モルタルなどの建築材料と同様の材料で構成されている。
【0010】
シーリング材12は、一対の横辺1402の中央間にその長手方向を縦辺1404と平行させて延在している。
シーリング材12は、一対の基板14が対向する方向の厚さTが12mm、一対の基板14が対向する方向と直交する方向の幅Wが12mmであり、断面が正方形を呈している。
したがって、一対の基板14の間隔は12mmである。
なお、シーリング材12は一対の基板14に接着されることで取着されるが、一対の基板14のシーリング材12が接着される接着面に予めプライマーを塗布するなど任意である。
【0011】
次に、本実施の形態に係るシーリング材12の試験体載置用のパレット(以下パレットという)について説明する。
図2(A)、(B)、(C)に示すように、パレット20は、複数の試験体10Aが位置決めされ、整然と並べて載置されるものである。
【0012】
図1(A)、(B)、(C)に示すように、パレット20は、パレット本体22と、位置決め手段26と、位置決めピン28と、係止凹部30と、ガイドバー32とを含んで構成されている。
パレット本体22は、矩形板状を呈し、試験体10Aが載置される上面2202と、上面2202の反対の下面2204とを備えている。
なお、本実施の形態では、上面2202に位置決め手段26により複数の試験体10Aが整然と並べられて載置された状態で、一対の基板14が対向する方向と直交する方向をX軸方向とし、一対の基板14が対向する方向をY軸方向とする。
【0013】
図2(A)、(B)、(C)に示すように、位置決め手段26は、パレットの上面2202に、複数の試験体10AがX軸方向とY軸方向に間隔をおいて載置されるように、各試験体10Aが載置されるパレットの上面2202箇所毎に設けられ、シーリング材を基準としてX軸方向およびY軸方向における試験体10Aの位置決めを行なうものである。
【0014】
本実施の形態では、位置決め手段26は、上面2202に、複数の試験体10AがX軸方向とY軸方向にそれぞれ等間隔をおいて載置されるように、各試験体10Aが載置される上面2202箇所毎に、各試験体10Aの一対の基板14の間でシーリング材12の両側に近接した箇所に突設された複数組の一対のガイドピン24で構成されている。
したがって、図2(A)、(B)、(C)、図6(A)、(B)に示すように、試験体10Aを、シーリング材12の長手方向を上下方向に向け、一対のガイドピン24の両側に一対の基板14を位置させ、一対のガイドピン24の間にシーリング材12を位置させると、一対のガイドピン24により1つの試験体10AのX軸方向およびY軸方向における位置決めがなされる。
【0015】
本実施の形態では、ガイドピン24は、均一の外径で形成され、ガイドピン24の直径は例えば10mmである。また、一対のガイドピン24の外周面の間隔は例えば14mmであり、この一対のガイドピン24で挟まれるシーリング材12の幅Wは12mmであるため、試験体10AがX軸方向において正規位置から2mmの範囲で位置決めされることになる。
また、試験体10Aの一対の基板14の間隔は12mmであり、ガイドピン24の直径(10mm)よりも大きい寸法であるため、試験体10AがY軸方向において正規位置から2mmの範囲で位置決めされることになる。
【0016】
図1(A)、(B)、(C)に示すように、位置決めピン28は、パレット本体22の上面2202の四隅から基板14の縦辺1404よりも大きい寸法で突出している。
位置決めピン28の上部には、位置決めピン28の上端からパレット本体22に向かうにつれて半径が次第に大きくなるテーパ面2802となっており、このテーパ面2802は、位置決めピン28を係止凹部30へ円滑に挿入するためのガイド面として機能している。
【0017】
図3(A)、(B)、(C)に示すように、係止凹部30は、パンレット本体の下面2204の四隅に設けられ、下方に配置されるパレット20の位置決めピン28の上端が係止されるものである。
係止凹部30は、位置決めピン28が係止されることにより、上方に位置するパレット20の下面2204と、下方に位置するパレット20の上面2202との間に、試験体10Aの縦辺1404(図5(A))よりも大きい寸法の隙間Sを確保するように構成されている。
【0018】
図1(A)、(B)、(C)に示すように、ガイドバー32は、パレット本体22の上面2202に、X軸方向に間隔をおいてY軸方向に延在して複数設けられている。
すなわち、図2(A)、(B)、(C)に示すように、複数の試験体10Aを、シーリング材12の長手方向を上下方向に向け、一対のガイドピン24の両側に一対の基板14を位置させ、一対のガイドピン24の間にシーリング材12を位置させると共に、上面2202上でY軸方向に間隔をおきX軸方向に並べて載置することで複数のX軸列が構成される。
また、複数の試験体10Aを上面2202上でX軸方向に間隔をおきY軸方向に並べて載置することで複数のY軸列が構成される。
複数の試験体10Aは各X軸列において、平面視した場合に、複数の試験体10Aの一対の基板14の横辺1402(図5(A))がそれぞれそれらの長手方向に沿って延在するように並べられて配置される。
複数の試験体10Aは各Y軸列において、平面視した場合に、複数の試験体10Aの一対の基板14の横辺1402がそれぞれ平行するように並べられて配置される。
【0019】
そして、各ガイドバー32は、パレット20の上面2202に載置された複数の試験体10Aの横辺1402の両端に係止することで、Y軸方向において複数の試験体10Aの横辺1402の両端を揃え、複数の試験体10AのX軸方向の位置決めを位置決め手段26よりも高精度に行なう。
本実施の形態では、X軸列が7個の試験体10Aで構成され、Y軸列が6個の試験体10Aで構成され、したがって、1つのパレット20当たり42個の試験体10Aが載置される。
【0020】
次に、本実施の形態のパレット20を用いた自動試験システムについて説明する。
自動試験システムは、複数のパレット20に搭載された大量の試験体10Aの引張接着性試験を自動的に行なうものであり、複数のパレット20、台車、第1の自動搬送装置、試験体供給排出装置、引張試験機、コンピュータ、第2の自動搬送装置などを含んで構成されている。
【0021】
複数のパレット20には、図2(A)、(B)、(C)に示すように、複数の試験体10Aが載置されており、各試験体10Aは、複数組の一対の位置決めピン28と、複数のガイドバー32とによって位置決めされることにより、複数の試験体10Aにより複数のX軸列と複数のY軸列とが構成されている。
そして、複数のパレット20は、図3(B)、(C)に示すように、台車上に積み重ねられた状態で搭載される。
この場合、各パレット20の係止凹部30は、下方に配置されるパレット20の位置決めピン28の上端が係止されており、これにより、上方に位置するパレット20の下面2204と、下方に位置するパレット20の上面2202との間に、試験体10Aの縦辺1404よりも大きい寸法の隙間Sが確保されている。
【0022】
複数のパレット20が搭載された台車が所定の搬送エリアに移動されると、第1の自動搬送装置が台車上に積み重ねられた複数のパレット20から、例えば、最も上位に位置する1つのパレット20あるいは最も下位に位置するパレット20を取り出したのち、このパレット20を所定の試験エリアまで搬送する。
パレット20が試験エリアまで搬送されると、試験体供給排出装置によりパレット20から1つの試験体10Aが取り出され、引張試験機に装着される。
試験体供給排出装置は、例えば、図4(A)、(B)、(C)に示すように、試験体10Aの一対の基板14のX軸方向の両端をそれぞれ挟むチャック爪42を備えるハンドリング機構40を備え、このハンドリング機構40を用いて試験体10Aをパレット20から取り出す。
【0023】
また、引張試験機は、試験体10Aの一対の基板14が対向する方向を上下方向(鉛直方向)に向けた状態で試験体10Aに引張力を加えるように構成されている。
したがって、試験体供給排出装置は、パレット20上において一対の基板14が対向する方向が水平方向に向いた試験体10Aを、一対の基板14が対向する方向が鉛直方向を向くように試験体10Aを反転させる反転機構を備えている。
引張試験機は、試験体10Aが装着されたならば、予め定められた試験項目に従って引張接着性試験を行ない、試験結果をコンピュータに供給する。
コンピュータは、所定のアプリケーションプログラムに基づいて試験結果の保存や分析などの予め定められた処理を行なう。
【0024】
引張試験機により試験体10Aについて引張接着性試験が終了したならば、試験体供給排出装置は、引張試験機から試験済みの試験体10Aを取り出し、試験済みの試験体10Aを収容するための容器に排出する。
試験体供給排出装置および引張試験機は、試験エリアに位置するパレット20に載置された全ての試験体10Aの試験が終了するまで同様の処理を繰り返す。
パレット20に載置された全ての試験体10Aの引張接着性試験が終了したならば、第2の自動搬送装置が空のパレット20を試験エリアから所定の退避エリアまで搬送する。
また、第1の自動搬送装置は、台車上に積載された複数のパレット20から次の1つのパレット20を取り出したのち、このパレット20を所定の試験エリアまで搬送する。
以下、このような処理を台車上のパレット20が無くなるまで繰り返す。
【0025】
なお、第1、第2の自走搬送装置は、空気シリンダ、電動シリンダ、ロボットなど従来公知の様々なアクチュエータ、及び運動機構を組み合わせることによって構成される。
また、試験体供給排出装置は、前記のハンドリング機構40を備えるロボット(単軸〜多軸)や複数の空気シリンダ、電動シリンダ、その他ガイド等を組み合わせるなど従来公知の様々なアクチュエータを組み合わせることによって構成される。
【0026】
以上説明したように、本実施の形態によれば、複数のパレット20が積み重ねられた状態で、各パレット20の係止凹部30は、下方に配置されるパレット20の位置決めピン28の上端が係止されており、これにより、上方に位置するパレット20の下面2204と、下方に位置するパレット20の上面2202との間に、試験体10Aの縦辺1404よりも大きい寸法の隙間Sが確保されている。
そのため、複数のパレット20が積み重ねられた場合であっても、各試験体10Aのシーリング材12には、シーリング材12の自重以外の予備荷重はかからない。
したがって、大量の試験体10Aを準備して引張接着性試験を行なうに際して、シーリング材12の物性及び試験体形状に何ら影響を与えることがなく、引張接着性試験の評価結果を正しく得る上で有利となる。
また、試験体10Aを構成する一対の基板14に対しても予備荷重がかからないため、例えば、基板14がガラスで形成されているような場合であっても、基板14の損傷や破損を確実に防止でき、引張接着性試験を効率よく、確実に行なう上で有利となる。
【0027】
また、本実施の形態では、試験体10Aを、シーリング材12の長手方向を上下方向に向け、一対のガイドピン24の両側に一対の基板14を位置させ、一対のガイドピン24の間にシーリング材12を位置させることで、一対のガイドピン24により1つの試験体10AのX軸方向およびY軸方向における位置決めを行なうようにした。
したがって、一対の基板14の厚さが変化しても一対のガイドピン24によって試験体10Aの位置決めを行える。
すなわち、基板14の厚さが、例えば3mm、5mm、10mm、25mmの何れの場合であっても、一対のガイドピン24によって試験体10Aの位置決めを行えるため、一対の基板14の厚さに拘わらずパレット20を共通して使用することができ、コストを抑制する上で有利となる。
また、図7(A)、(B)、(C)に示すように、基板14の厚さがISO規格に対応した寸法でJIS A1439の規格よりも大きい試験体10Bの場合であっても、試験体10BをX軸方向およびY軸方向に整然と並べて載置することが可能となる。
【0028】
また、本実施の形態では、一対のガイドピン24に加えてガイドバー32を設けたため、試験体10Aの位置決めをより正確に行なう上で有利となり、ハンドリング機構40を用いてパレット20から試験体10Aを取り出す作業を確実に行なえることから、引張試験機への試験体10A、10Bの装着作業をより効率よく行なう上で有利となる。
また、基板14の横辺1402の寸法が規格を上回る不良品の試験体10A、10Bがあった場合、このような不良品をパレット20上に載置しようとしても、試験体10A、10Bの基板14の部分がガイドバー32にぶつかってしまう。これにより、一目で不良品であることが判別できるため、不良品を的確に排除することができ、引張接着性試験を効率よく、確実に行なう上で有利となる。
【符号の説明】
【0029】
10A、10B 試験体
12 シーリング材
14 基板
1402 横辺
1404 縦辺
20 パレット
22 パレット本体
2202 上面
2204 下面
24 ガイドピン
26 位置決め手段
28 位置決めピン
30 係止凹部
32 ガイドバー
S 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7