(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
プリント基板にはんだを印刷するはんだ印刷装置と、プリント基板上に電子部品を配置するマウンタと、はんだの印刷状態および電子部品の配置状態を検査する第一の検査装置と、電子部品をはんだ接合するリフロー炉と、電子部品とプリント基板との接合状況を検査する第二の検査装置と、を含む表面実装ラインを管理する品質管理装置であって、
前記第二の検査装置が不良を検出した場合に、前記第一の検査装置が行った検査項目のうち、当該不良と関連があると推定される検査項目を抽出する不良要因推定手段と、
前記抽出した検査項目に対応する検査結果として計測値の分布を前記第一の検査装置から取得し、当該計測値が異常判定基準を超えて分布している場合に、当該検査結果が異常を示していると判定する品質判定手段と、
前記検査結果が異常を示している場合に、前記はんだ印刷装置または前記マウンタが使用するパラメータのうち、変更すべきパラメータとその内容を決定するパラメータ変更手段と、
を有し、
前記品質判定手段は、前記第一の検査装置から取得した検査結果から、所定の集計単位における工程能力指数を算出し、前記集計単位に、前記第二の検査装置で不良が検出された製品が含まれている場合に、前記工程能力指数に基づいて前記異常判定基準を設定する
ことを特徴とする、品質管理装置。
前記パラメータ変更手段は、前記取得した計測値の分布において、前記異常判定基準の上限側における超過量と、下限側における超過量のいずれか片方が他方に比べて大きい場合に、当該超過量の不均一を解消する方向に計測値の分布が移動するように、変更すべきパラメータとその内容を決定する
ことを特徴とする、請求項1に記載の品質管理装置。
プリント基板にはんだを印刷するはんだ印刷装置と、プリント基板上に電子部品を配置するマウンタと、はんだの印刷状態および電子部品の配置状態を検査する第一の検査装置と、電子部品をはんだ接合するリフロー炉と、電子部品とプリント基板との接合状況を検査する第二の検査装置と、を含む表面実装ラインを管理する品質管理装置の制御方法であって、
前記第二の検査装置が不良を検出した場合に、前記第一の検査装置が行った検査項目のうち、当該不良と関連があると推定される検査項目を抽出する不良要因推定ステップと、
前記抽出した検査項目に対応する検査結果として計測値の分布を前記第一の検査装置から取得し、当該計測値が異常判定基準を超えて分布している場合に、当該検査結果が異常を示していると判定する品質判定ステップと、
前記検査結果が異常を示している場合に、前記はんだ印刷装置または前記マウンタが使用するパラメータのうち、変更すべきパラメータとその内容を決定するパラメータ変更ステップと、
を含み、
前記品質判定ステップでは、前記第一の検査装置から取得した検査結果から、所定の集計単位における工程能力指数を算出し、前記集計単位に、前記第二の検査装置で不良が検出された製品が含まれている場合に、前記工程能力指数に基づいて前記異常判定基準を設定する
ことを特徴とする、品質管理装置の制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の方法によると、隣接する部品の干渉が原因で不良が発生した場合に、当該原因を特定することができる。
しかし、部品の最終的な実装不良は、様々な要因によって発生する。例えば、はんだを印刷する工程においては、はんだの量や印刷位置のずれが不良の要因となりうる。また、部品をマウントする工程では、部品の押し込み量や装着位置のずれが不良の要因となりうる。特許文献1に記載された方法では、不良の要因が、部品の干渉にあるか否かを推定することはできるが、前工程におけるどのパラメータが不良の要因であるのかを正確に絞り込むことはできない。
【0007】
一方、はんだの印刷や部品のマウントといった工程が終了するごとに検査を行い、不良品を除去するという方法も考えられる。しかし、各工程終了時の検査では、明らかに不良の要因となるもの(例えば部品の欠落や極性誤り等)を検出することはできるが、発生したものがわずかな位置ずれ等である場合、実際にはんだの接合を行うまでは、最終的に製品が不良となるか否かを確定することができない。
【0008】
すなわち、表面実装ラインにおいては、はんだの接合を行うまでは、基板の良不良を正確に判定することが難しく、完成状態となった後に不良を検出した場合は、どの工程に原因があったのかを特定することが難しいという課題がある。
【0009】
本発明は上記の課題を考慮してなされたものであり、表面実装ラインにおいて品質の低
下を検出した場合に、その要因を精度よく特定する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る品質管理装置は、プリント基板にはんだを印刷するはんだ印刷装置と、プリント基板上に電子部品を配置するマウンタと、はんだの印刷状態および電子部品の配置状態を検査する第一の検査装置と、電子部品をはんだ接合するリフロー炉と、電子部品とプリント基板との接合状況を検査する第二の検査装置と、を含む表面実装ラインにて生産される基板の品質を管理する装置である。
【0011】
具体的には、本発明に係る品質管理装置は、前記第二の検査装置が不良を検出した場合に、前記第一の検査装置が行った検査項目のうち、当該不良と関連があると推定される検査項目を抽出する不良要因推定手段と、前記抽出した検査項目に対応する検査結果を前記第一の検査装置から取得し、当該検査結果が異常を示しているか否かを判定する品質判定手段と、前記検査結果が異常を示している場合に、前記はんだ印刷装置または前記マウンタが使用するパラメータのうち、変更すべきパラメータとその内容を決定するパラメータ変更手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
第二の検査装置は、はんだの接合状態を検査する装置である。ここで接合不良が検出された場合、当該不良の原因は、はんだをプリント基板に塗布する印刷工程か、基板上に電子部品を配置するマウント工程にあると考えられる。
本発明に係る品質管理装置では、第二の検査装置が何らかの不良を検出した場合に、不良要因推定手段が、第一の検査装置が行った検査項目のうち、当該不良と関連があると考えられるものを抽出する。例えば、部品の高さが規定値よりも高い場合、部品のマウント位置がずれていることが原因として考えられるため、部品のマウント位置についての検査項目を抽出する。また、電極の露出量が規定値よりも多い場合、はんだの印刷がずれていることが原因として考えられるため、はんだの印刷位置についての検査項目を抽出する。
【0013】
そして、品質判定手段が、第一の検査装置から、抽出した検査項目に対応する検査結果(すなわち、はんだの印刷と部品のマウントに関する検査結果)を取得し、当該検査結果に異常が認められるか否かを判定する。
検査結果に異常が認められる場合とは、例えば測定値が正常値以外の値に偏っている場合や、測定値がばらつきすぎている場合などである。この場合、パラメータ変更手段が、該当する検査項目に関連する実装パラメータ(例えば、はんだの印刷位置や部品のマウント位置)を特定し、変更後の内容を決定する。
【0014】
各工程終了後の検査では、計測値の偏りやばらつきが、最終的な品質に影響するか否かを判定することができないが、本発明に係る品質管理装置では、実装不良が発生した場合に、前工程における対応箇所の計測値を確認することで、品質に影響する要因を特定することができる。また、実装パラメータの変更内容を自動的に決定することで、一時的に不良が出ても、不良が出ない状態に短時間で回復させることができる。
【0015】
また、前記品質判定手段は、前記推定された検査項目における計測値の分布を取得し、当該計測値が異常判定基準を超えて分布している場合に、異常を示していると判定することを特徴としてもよい。
【0016】
異常判定基準を超えて分布しているとは、例えば、測定値が上下限値を超えている場合や、上下限値を超えた測定値が所定の割合より多く存在する場合、工程能力指数が既定値を下回る場合などである。このような場合、品質がばらついていることを意味するため、検出した不良は、当該ばらつきに起因するものであると判断することができる。
【0017】
また、前記パラメータ変更手段は、前記取得した計測値の分布において、前記異常判定基準の上限側における超過量と、下限側における超過量のいずれか片方が他方に比べて大きい場合に、当該超過量の不均一を解消する方向に計測値の分布が移動するように、変更すべきパラメータとその内容を決定することを特徴としてもよい。
【0018】
計測値の分布において、異常判定基準の上限側における超過量と、下限側における超過量のいずれか片方が大きい場合、計測値が上下いずれかに偏っていることを意味する。このような場合、超過量の不均一を解消する方向に計測値の分布が移動するよう、変更すべき実装パラメータと変更内容を決定すればよい。
【0019】
また、前記品質判定手段は、前記第一の検査装置から取得した検査結果から、所定の集計単位における工程能力指数を算出し、前記集計単位に不良製品が含まれている場合に、前記工程能力指数に基づいて異常判定基準を設定することを特徴としてもよい。
【0020】
集計単位とは、例えばロットごと、一定時間ごと、一定個数ごとなど、所定の値ごとに生産品を区切った単位である。当該集計単位に不良品が含まれている場合、当該集計単位における工程能力指数に基づいて異常判定基準を決めることができる。少なくとも、ここで算出された工程能力指数を下回る指数で基板が生産された場合、不良品が発生することが予測されるためである。
【0021】
また、前記品質判定手段は、前記第一の検査装置から検査結果を周期的に取得し、異常判定基準を更新することを特徴としてもよい。
生産工程における工程能力は常に一定ではないため、異常判定基準は、計測値に基づいて周期的に更新することが好ましい。
【0022】
また、前記パラメータ変更手段は、決定した変更すべきパラメータを、前記はんだ印刷装置または前記マウンタに適用することを特徴としてもよい。
また、本発明に係る品質処理装置は、ユーザに対して情報を出力する出力手段をさらに有し、前記パラメータ変更手段は、決定した変更すべきパラメータを、前記出力手段を通して出力することを特徴としてもよい。
【0023】
変更後のパラメータは、はんだ印刷装置やマウンタに無条件に適用してもよいし、ユーザが確認できるように一旦出力するようにしてもよい。変更後のパラメータを自動的に適用することで、特定のスキルを持つ作業者が不在の場合であっても品質を回復させることができる。また、情報を出力することで、ユーザがラインの状態を把握しやすくなる。
【0024】
また、前記出力手段は、表示装置であり、前記パラメータ変更手段は、変更すべきパラメータが決定された場合に、前記第二の検査装置が検出した不良の内容、当該不良と関連があると推定された検査項目、当該検査項目に対応する検査結果が異常を示しているか否か、変更すべきパラメータとその内容、のうち少なくともいずれかを、前記出力手段を通して出力することを特徴としてもよい。
【0025】
ユーザに対して情報を提示する際は、変更すべきパラメータや、当該パラメータを変更する根拠などをあわせて提示することが好ましい。このようにすることで、パラメータの変更が妥当であるかをユーザが判断できるようになる。
【0026】
また、本発明に係る品質管理装置は、前記第二の検査装置が行った検査結果と、前記第一の検査装置が行った検査結果とを比較し、検査項目間の関連度を求める関連度算出手段をさらに有し、前記不良要因推定手段は、前記検査項目間の関連度に基づいて、検出した不良と関連があると推定される検査項目を抽出することを特徴としてもよい。
【0027】
関連度算出手段は、異なる工程における検査結果間の関連度を算出する手段である。具体的には、はんだの接合状態に関する検査項目と、はんだの印刷または部品のマウントに関する検査項目同士を比較して、検査項目間の関連の度合いを数値で算出する。関連の度合いは、例えば計測値の相関などによって求めることができる。そして、不良要因推定手段が、算出した関連の度合いに基づいて、検出した不良と、前工程における検査項目との対応付けを行う。このように、実測値に基づいて、不良の要因に関連する検査項目を対応付けることで、より正確に不良の要因を特定することができるようになる。
【0028】
なお、本発明は、上記手段の少なくとも一部を含む品質管理装置として特定することができる。また、前記品質管理装置の制御方法や、前記品質管理装置を動作させるためのプログラム、当該プログラムが記録された記録媒体として特定することもできる。
上記処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、表面実装ラインにおいて品質の低下を検出した場合に、その要因を精度よく特定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(システム構成)
図1は、プリント基板の表面実装ラインにおける生産設備及び品質管理システムの構成例を模式的に示した図である。表面実装(Surface Mount Technology:SMT)とは、プリント基板の表面に電子部品をはんだ付けする技術であり、表面実装ラインは、主として、はんだ印刷〜部品のマウント〜リフロー(はんだの溶着)の三つの工程から構成される。
【0032】
図1に示すように、表面実装ラインでは、生産設備として、上流側から順に、はんだ印刷装置110、マウンタ120、リフロー炉130が設けられる。はんだ印刷装置110は、スクリーン印刷によってプリント基板上の電極部(ランドと呼ばれる)にペースト状のはんだを印刷する装置である。マウンタ120は、基板に実装すべき電子部品をピックアップし、該当箇所のはんだペーストの上に部品を載置するための装置であり、チップマウンタとも呼ばれる。リフロー炉130は、はんだペーストを加熱溶融した後、冷却を行い、電子部品を基板上にはんだ接合するための加熱装置である。これらの生産設備110〜130は、ネットワーク(LAN)を介して生産設備管理装置140に接続されている。生産設備管理装置140は、生産設備110〜130の管理や統括制御を担うシステムであり、各生産設備の動作を定義する実装プログラム(動作手順、製造条件、設定パラメ
ータなどを含む)、各生産設備のログデータなどを記憶、管理、出力する機能などを有している。また、生産設備管理装置140は、作業者又は他の装置から実装プログラムの変更指示を受け付けると、該当する生産設備に設定されている実装プログラムの更新処理を行う機能も有する。
【0033】
また、表面実装ラインには、はんだ印刷〜部品のマウント〜リフローの各工程の出口で基板の状態を検査し、不良あるいは不良のおそれを自動で検出する、品質管理システムが設置されている。品質管理システムは、良品と不良品の自動仕分けの他、検査結果やその分析結果に基づき各生産設備の動作にフィードバックする機能(例えば、実装プログラムの変更など)も有している。
図1に示すように、実施形態に係る品質管理システムは、はんだ印刷検査装置210、部品検査装置220、外観検査装置230、X線検査装置240の4種類の検査装置と、検査管理装置250、分析装置260、作業端末270などから構成される。
【0034】
はんだ印刷検査装置210は、はんだ印刷装置110から搬出された基板に対し、はんだペーストの印刷状態を検査するための装置である。はんだ印刷検査装置210では、基板上に印刷されたはんだペーストを二次元ないし三次元的に計測し、その計測結果から各種の検査項目について正常値(許容範囲)か否かの判定を行う。検査項目としては、例えば、はんだの体積・面積・高さ・位置ずれ・形状などがある。はんだペーストの二次元計測には、イメージセンサ(カメラ)などを用いることができ、三次元計測には、レーザ変位計や、位相シフト法、空間コード化法、光切断法などを利用することができる。
【0035】
部品検査装置220は、マウンタ120から搬出された基板に対し、電子部品の配置状態を検査するための装置である。部品検査装置220では、はんだペーストの上に載置された部品(部品本体、電極(リード)など部品の一部でもよい)を二次元ないし三次元的に計測し、その計測結果から各種の検査項目について正常値(許容範囲)か否かの判定を行う。検査項目としては、例えば、部品の位置ずれ、角度(回転)ずれ、欠品(部品が配置されていないこと)、部品違い(異なる部品が配置されていること)、極性違い(部品側と基板側の電極の極性が異なること)、表裏反転(部品が裏向きに配置されていること)、部品高さなどがある。はんだ印刷検査と同様、電子部品の二次元計測には、イメージセンサ(カメラ)などを用いることができ、三次元計測には、レーザ変位計や、位相シフト法、空間コード化法、光切断法などを利用することができる。
【0036】
外観検査装置230は、リフロー炉130から搬出された基板に対し、はんだ付けの状態を検査するための装置である。外観検査装置230では、リフロー後のはんだ部分を二次元ないし三次元的に計測し、その計測結果から各種の検査項目について正常値(許容範囲)か否かの判定を行う。検査項目としては、部品検査と同じ項目に加え、はんだフィレット形状の良否なども含まれる。はんだの形状計測には、上述したレーザ変位計や、位相シフト法、空間コード化法、光切断法などの他、いわゆるカラーハイライト方式(R、G、Bの照明を異なる入射角ではんだ面に当て、各色の反射光を天頂カメラで撮影することで、はんだの三次元形状を二次元の色相情報として検出する方法)を用いることができる。
【0037】
X線検査装置240は、X線像を用いて基板のはんだ付けの状態を検査するための装置(品質管理装置)である。例えば、BGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)などのパッケージ部品や多層基板の場合には、はんだ接合部が部品や基板の下に隠れているため、外観検査装置230では(つまり外観画像では)はんだの状態を検査することができない。X線検査装置240は、このような外観検査の弱点を補完するための装置である。X線検査装置240の検査項目としては、例えば、部品の位置ずれ、はんだ高さ、はんだ体積、はんだボール径、バックフィレットの長さ、はんだ接合の良否などがあ
る。なお、X線像としては、X線透過画像を用いてもよいし、CT(Computed Tomography)画像を用いることも好ましい。
【0038】
これらの検査装置210〜240は、ネットワーク(LAN)を介して検査管理装置250に接続されている。検査管理装置250は、検査装置210〜240の管理や統括制御を担うシステムであり、各検査装置210〜240の動作を定義する検査プログラム(検査手順、検査条件、設定パラメータなど)や、各検査装置210〜240で得られた検査結果やログデータなどを記憶、管理、出力する機能などを有している。
分析装置260は、検査管理装置250に集約された各検査装置210〜240の検査結果(各工程の検査結果)を分析することで、不良の予測、不良の要因推定などを行う機能や、必要に応じて各生産設備110〜130へのフィードバック(実装プログラムの変更など)を行う機能などを有するシステムである。
作業端末270は、生産設備110〜130の状態、各検査装置210〜240の検査結果、分析装置260の分析結果などの情報を表示する機能、生産設備管理装置140や検査管理装置250に対し実装プログラムや検査プログラムの変更(編集)を行う機能、表面実装ライン全体の動作状況を確認する機能などを有するシステムである。
【0039】
生産設備管理装置140、検査管理装置250、分析装置260はいずれも、CPU(中央演算処理装置)、主記憶装置(メモリ)、補助記憶装置(ハードディスクなど)、入力装置(キーボード、マウス、コントローラ、タッチパネルなど)、表示装置などを具備する汎用的なコンピュータシステムにより構成可能である。これらの装置140、250、260は別々の装置であってもよいが、一つのコンピュータシステムにこれらの装置140、250、260の全ての機能を実装することも可能であるし、生産設備110〜130や検査装置210〜240のいずれかの装置が具備するコンピュータに、これらの装置140、250、260の機能の全部又は一部を実装することも可能である。また、
図1では、生産設備と品質管理システムのネットワークを分けているが、相互にデータ通信が可能であればどのような構成のネットワークを用いてもよい。
【0040】
(第一の実施形態)
次に、前述した表面実装ラインにおける、品質管理システムの実施形態について説明する。
第一の実施形態に係る品質管理システムは、検査装置210〜240が出力した検査結果に基づいて、製品に発生した品質低下の要因を特定し、生産設備に対して、適切な実装パラメータを自動的にフィードバックするシステムである。実装パラメータとは、はんだの印刷や部品のマウントを行う際に使用されるパラメータであり、例えば、部品を配置する際のオフセットや、はんだの塗布圧などを定義する値である。
【0041】
ここで、
図2を参照しながらデータの流れについて説明する。前述したように、はんだ印刷検査装置210は、基板上にはんだが正常にプリントされているかを検査する装置であり、部品検査装置220は、基板上に電子部品が正常にマウントされているかを検査する装置である。
また、外観検査装置230およびX線検査装置240は、基板上に配置された電子部品の端子が、基板上のランドに正常にはんだ付けされているか否かを可視光線またはX線によって検査する装置である。すなわち、製品が完成した状態で検査を行う手段である。ここで不良と判定された基板は、不良品として仕分けられ、必要に応じて目視検査などの追加検査に回される。実施形態の説明では、外観検査装置230およびX線検査装置240が行う検査を完成検査と称し、完成検査を行う工程を完成検査工程と称する。
各検査装置は、検査ライン上に設けられており、搬送される基板に対して検査が実行可能な構成となっている。また、各検査装置は、検査が完了すると、検査結果を検査管理装置250に送信する。
【0042】
ここで問題となるのが、完成検査工程にて不良を発見した場合、当該不良が何に起因したものであるのかが特定できないという点である。例えば、最終的に「フィレットの高さが低すぎる」という不良が認められた場合、当該不良は、はんだの印刷工程にて発生した「はんだ過少」に起因している可能性もあるし、部品のマウント工程にて発生した「(電極方向の)部品ずれ」に起因している可能性もある。
【0043】
完成検査工程まで不良が残ることを防止するために、本来であれば、はんだの印刷工程(以下、印刷工程)および部品のマウント工程(以下、マウント工程)それぞれにおいて、最終的に品質に影響を及ぼす異常を検出することが好ましい。しかし、はんだの量や部品の位置等にずれがあっても、それが明らかに異常値とまでは言えない場合、実際に不良が発生するかは、リフロー工程が完了するまでわからない。すなわち、工程が進むまでは不良を確定させることができない。一方で、異常値の閾値を厳しくすると、良品を不良品と判定してしまう確率が高くなり、品質が過剰となってしまう。
【0044】
そこで、第一の実施形態に係る品質管理システムは、完成検査にて不良を発見した場合に、完成検査よりも前の検査工程(以下、前工程)にて生成された検査結果を参照して計測値のずれをチェックし、不良の要因であるか否かを推定したうえで、関連する実装パラメータを修正して生産設備へのフィードバックを行う。具体的には、分析装置260が、以下に説明する各ステップを実行する。
【0045】
(1)検出した不良との関連が疑われる検査項目を抽出する
完成検査において不良が発見された場合、分析装置260が、前工程における、当該不良との関連が疑われる検査項目を抽出する。
図3は、検査管理装置250に蓄積される検査結果(以下、検査結果情報)のフォーマット例である。検査結果は、検査の最小単位である端子ごとに生成される。また、同一の端子であっても、はんだ印刷検査装置、部品検査装置、外観検査装置、X線検査装置によってそれぞれ検査が行われるため、「検査種別」および「検査項目」フィールドによって、検査を行った工程および項目を識別する。
【0046】
まず、分析装置260は、検査管理装置250に記録された検査結果情報を取得し、検査種別が「外観検査」または「X線検査」であるレコード(すなわち、完成検査工程にて生成された検査結果)を抽出して、不良の有無を端子ごとにチェックする。
本例では、ある端子において、「検査項目」が「フィレット高さ」であって、「検査結果」が「不良」であるレコードがあったものとする。
【0047】
ここで、生産設備における実装パラメータと、各検査装置が行う検査項目同士の因果関係について、
図4を参照しながら説明する。
図4における矢印は、値が変動した場合の影響を表す。例えば、符号401は、はんだの印圧が変動すると、印刷検査における「はんだ体積」という検査項目に影響を及ぼすことを意味する。
図4に示した関係では、フィレットの高さに影響する項目は、はんだ印刷工程における「はんだ体積」、はんだ印刷工程における「はんだ位置ずれ」、部品マウント工程における「部品縦ずれ」の三種類であることがわかる。すなわち、この三つが「検出した不良との関連が疑われる、前工程における検査項目」となる。本実施形態に係る分析装置260は、
図4に示したような関係を保持しており、完成検査において不良が発見された場合に、対応する検査項目(前工程における検査項目)を抽出する。
【0048】
第一の実施形態に係る分析装置260は、
図4に示したデータのうち、検査項目間の関係をテーブル(以下、検査項目関連テーブル)で保持する。
図5は、検査項目関連テーブルの例である。
検査項目関連テーブルには、完成検査工程における検査項目と、当該検査項目と関連する、前工程における検査種別および検査項目が記録されており、分析装置260は、完成検査工程にて不良が発見された場合に、当該テーブルを参照して、対応する検査項目を抽出する。
【0049】
(2)抽出した検査項目について計測値の分布を取得し、異常を判定する
次に、(1)で抽出した検査項目について、検査結果を検査管理装置250から取得し、計測値の分布を取得する。そして、取得した計測値の分布に異常が見られるか否かを判定する。
【0050】
ここで、計測値の分布に異常がみられるか否かを判定する方法について説明する。
図6(A)は、ある検査項目(例えば、はんだ体積)があった場合の、計測値の分布の例である。ここでは、不良がないロットの、はんだ体積の平均値をμとし、上側の管理基準USL(Upper Specification Limit)および下側の管理基準LSL(Lower Specification Limit)をそれぞれμ±3σとする。σは標準偏差である。この値は、工程能力指数(以下、Cpk)の算出で用いられる値である。Cpkは、式(1)によって算出することができる。Cpkが1.0である場合、計測値のうち99.73%がLSLからUSLまでの範囲に収まる。
【数1】
【0051】
分析装置260は、Cpkに基づいて、計測値の分布が異常を示しているか否かを判定する。例えば、
図6(B)のように、管理基準を逸脱した計測値が増加すると、Cpkは1.0未満に低下する。そこで、第一の実施形態では、計測値からCpkを算出し、値が1.0未満である場合に、計測値の分布が異常であると判定する。
例えば、(1)で抽出された検査項目が「はんだ体積」、「はんだ位置ずれ」、「部品縦ずれ」の三つである場合、対応する計測値をそれぞれ取得し、個別にCpkを算出する。この結果、「はんだ体積」に対応するCpkのみが1.0を下回っている場合、はんだ体積の過多・過少が、完成検査において検出した不良の原因であることが推定される。また、管理基準を超過した方向を取得することで、はんだが過多であるか過少であるかを判定することができる。
【0052】
(3)異常が見られる検査項目に対応する実装パラメータを変更する
次に、分析装置260が、不良の原因を除去するために、実装パラメータを変更する。例えば、はんだ体積が過多である場合、はんだ印刷装置110がプリント基板に塗布するはんだの印圧を上げる。また、部品がずれている場合、マウンタ120が真空ノズルによって部品を持ち上げる際の吸着位置を調整する。分析装置260は、計測値の分布に異常がある場合に、どのように実装パラメータを修正すればよいかという情報を保持しており、当該情報に従って、生産設備管理装置140に対して、実装パラメータの変更を指示する。
【0053】
図7は、計測値の分布状況と、修正すべき実装パラメータを関連付けたテーブル(修正パラメータテーブル)の例である。ここでは、計測値のUSL側における超過量が、LSL側における超過量よりも多い場合、「+方向に基準超え」となり、計測値のLSL側における超過量が、USL側における超過量よりも多い場合、「−方向に基準超え」となる。すなわち、
(USL−μ)/3σ>(LSL−μ)/3σである場合、「−方向に基準超え」となり、
(USL−μ)/3σ<(LSL−μ)/3σである場合、「+方向に基準超え」となる。
例えば、はんだ体積の分布が「+方向に基準超え」である場合、修正パラメータテーブルに基づいて、はんだの印圧を上げる指示を生成する。
本実施形態では、完成検査における部品やはんだのずれ方向は、電極の向きを基準としており、マウンタの実装パラメータは、基板座標系(例えば、基板の左下を原点、右横向きを+X方向、縦方向を+Y方向とする)を用いているものとする。すなわち、はんだや部品の位置を修正する場合、電極の方向によって、修正すべき軸を変更する必要がある。例えば、電極が基板左右方向を向いており、「部品縦ずれ」が検出された場合、
図7では「部品Xずれ」を参照する。また、電極が基板上下方向を向いており、「部品縦ずれ」が検出された場合、
図7では「部品Yずれ」を参照する。
なお、(USL−μ)/3σ=(LSL−μ)/3σである場合、超過量が上下ともに同値であるため、実装パラメータの修正では対応することができない。このような場合は、実装パラメータは変更しないことが望ましく、必要に応じてユーザに通知することが望ましい。
【0054】
(処理フローチャート)
以上に説明した処理を実現するための、分析装置260が行う処理のフローチャートについて説明する。
図8は、分析装置260が行う品質管理処理のフローチャートである。
図8に示した処理は、例えば1時間など所定の時間ごとに実行してもよいし、製品の特定のロットの生産が終了した時点で実行してもよい。また、所定の数だけ製品が生産されるごとに実行してもよい。
【0055】
まず、ステップS11で、完成検査工程で生成した検査結果情報を検査管理装置250から取得し、未処理のレコードのうち、最初のレコードを選択する。
次に、ステップS12で、選択したレコードの検査結果が「良」であるか「不良」であるかを判定し、良である場合はステップS13へ遷移する。
ステップS13では、未処理のレコードが残っているかをチェックし、未処理のレコードがある場合は当該レコードを選択し(ステップS14)、ステップS12へ戻る。未処理のレコードが存在しない場合は、処理は終了する。
【0056】
ステップS12で、検査結果が「不良」であった場合、処理はステップS21へ遷移する。
ステップS21では、検査項目関連テーブルを参照し、検出した不良に関連付いた、前工程での検査種別および検査項目を選択する。なお、不良に関連付いた項目が複数ある場合、最初の検査種別および検査項目を選択する。
【0057】
ステップS22では、検査結果情報から、基板ID、部品ID、端子番号、検査種別、および検査項目が一致するレコードを抽出し、選択された検査種別および検査項目に対応する複数の計測値を取得する。これにより、例えば、特定の部品の特定の端子における、「印刷検査」における「はんだ体積」の分布が得られる。
なお、取得する検査結果情報は、全レコードであってもよいが、ロット単位、時間単位、枚数単位など、任意の単位で区切ったものであることが好ましい。また、検査から時間が経過した情報よりも、より新しい情報を用いることが好ましい。例えば、生産が完了した最新のロット、直近n時間、直近m枚などを対象とするとよい。
【0058】
次に、ステップS23で、取得した計測値の分布が異常を示しているか否かを判定する。具体的には、計測値の平均と、標準偏差と、前述した管理基準(USLおよびLSL)を取得し、式(1)を用いてCpkを算出する。
この結果、Cpkが1.0未満であった場合、当該検査項目についての計測値分布が異常であると判定し、ステップS24へ遷移したのちに、実装パラメータの修正を行う。
実装パラメータの修正内容は、生産設備管理装置140へ送信されたのちに、はんだ印刷装置110およびマウンタ120に適用される。
【0059】
ステップS23で、計測値の分布が正常であると判定された場合、すなわちCpkが1.0以上であった場合、処理はステップS25に遷移し、検出した不良に関連付いた他の検査項目があるか否かを判断する。ここで、他の検査項目がある場合、ステップS26で当該検査項目を選択し、処理はステップS22へ戻る。検査項目が無い場合、ステップS13へ遷移し、検査結果情報の次のレコードが処理される。
【0060】
本実施形態に係る品質管理システムでは、以上に説明したように、完成検査において不良が検出された場合に、中間工程における計測値の分布を参照することで、不良の要因を推定し、関連する実装パラメータを修正する。このようにすることで、複数の工程を経て基板を生産する表面実装ラインにおいて、何らかの原因によって完成品に不良が発生した場合であっても、当該不良を抑える方向にパラメータを修正することができる。また、対策を立てるためにラインを止める必要が無いため、生産効率を維持したままで不良品のみを抑制することができる。
【0061】
(第二の実施形態)
第一の実施形態では、ステップS22〜S23で説明したように、印刷検査および部品検査における計測値の分布からCpkを算出し、Cpkが1.0未満である場合に、異常が発生していると判定した。これに対して第二の実施形態は、実際に不良品が発生したロットにおけるCpkを閾値として異常の有無を判定する実施形態である。
【0062】
第二の実施形態では、ステップS23で異常判定を行う際の閾値となる工程能力指数(以下、Cpk
T)を以下の処理によって設定し、算出したCpkがCpk
T未満である場合に異常が発生していると判定する。
なお、以下の処理は、
図8の処理とは独立して実行される。当該処理は、例えばロットの生産が終了するごとに実行される。
【0063】
(1)直近に生産したロットに不良品が含まれている場合
直近に生産したロットに不良品が含まれている場合、当該不良と関連する検査項目(前工程における検査項目)に対応する計測値の分布を取得し、当該分布から算出した工程能力指数を、当該検査項目におけるCpk
Tとする。
例えば、第一の実施形態では、Cpkが1.0未満(例えば0.9)であった場合に異常判定を行ったが、第二の実施形態では、実際に達成した値である0.9を閾値として異常判定を行う。
なお、算出したCpkが1.0以上である場合、当該検査項目は、不良とは関係が無い検査項目であると考えられるため、この場合、当該検査項目についてのCpk
Tは既定値(例
えば1.0)とする。
【0064】
(2)直近に生産したロットに不良品が含まれていない場合
直近に生産したロットに不良品が含まれていない場合、第一の実施形態と同様に、Cpk
Tを1.0とする。直近に生産したロットが無い場合も同様である。なお、Cpk
Tは必ずしも1.0である必要はなく、1.0未満の任意の値を用いてもよい。
【0065】
このように、第二の実施形態では、実際に不良が発生したロットにおけるCpkを算出し、ステップS23で用いる異常判定の閾値とする。これにより、過去の生産実績に基づいて閾値を設定することができるため、異常判定をより精度よく行えるようになる。
なお、第二の実施形態では、不良のあるロットにおいて算出したCpkを閾値としたが、閾値は必ずしも同値でなくてもよく、当該値に基づいた値であればよい。例えば、ある程度の余裕を持たせた値を閾値としてもよい。
また、第二の実施形態では、ロット単位でCpk
Tを算出したが、算出の単位は、時間単
位、枚数単位など、任意の単位であってもよい。例えば、所定の時間ごとにCpk
Tを算出
し直すようにしてもよい。
【0066】
(第三の実施形態)
第一および第二の実施形態では、
図5に示したような検査項目関連テーブルを分析装置260に記憶させておき、当該テーブルを参照することで、不良に関連する検査項目を取得した。これに対し、第三の実施形態は、完成検査における測定値と、前工程における測定値との相関を求めることで、検査項目関連テーブルを自動生成する実施形態である。
【0067】
第三の実施形態では、ステップS21で用いる検査項目関連テーブルを、
図9に示したフローによって生成する。なお、
図9に示した処理は、
図8の処理とは独立して実行される。本実施形態では、ロットの生産が終了するごとに当該処理を実行するものとするが、所定の時間が経過するごとに、あるいは、所定の枚数を生産するごとに実行してもよい。
【0068】
生産したロットにおいて、完成検査で不良判定された製品がある場合、まず、不良が検出された検査項目についての過去の計測値を収集する(ステップS31)。収集の対象は、不良が発生した端子だけであってもよいが、同様の不良が発生する可能性が高い部品を対象としてもよい。同様の不良が発生する可能性が高い部品とは、例えば、以下のように定義することができる。もちろん、これ以外であってもよい。
(1)不良が発生した部品と同一の品番を持つ部品
(2)不良が発生した部品と同一のノズルでマウントされた部品
(3)不良が発生した部品と同一の位置にマウントされた部品
(4)不良が発生した部品と同一の基板にマウントされた部品
なお、収集範囲は、ロット単位、時間単位、枚数単位など、任意の単位で区切ったものであることが好ましい。例えば、直近に生産された基板20枚分などとすることができる。
【0069】
次に、当該部品に対応する、前工程での検査結果を取得し、全ての検査項目について、計測値を収集する(ステップS32)。これにより、
図10に示したように、計測値の分布が1対多で取得される。計測値の収集範囲は、ステップS31と同様である。
【0070】
次に、取得した計測値分布同士の相関を求め(ステップS33)、相関があると認められる組み合わせを、検査項目関連テーブルに追加する(ステップS34)。相関があるとは、例えば相関係数が所定の値以上である場合などである。
例えば、「フィレット高さ」についての計測値分布と、「はんだ体積」についての計測値分布に相関があると認められる場合、
図5に示したテーブルの最初のレコードが生成される。
なお、部品や端子によって計測値は異なるため、必要に応じて計測値を正規化するようにしてもよい。
【0071】
このように、第三の実施形態では、検査項目同士の相関を求めることで、実態に即した検査項目関連テーブルを生成することができ、より精度の高い品質管理を行うことができる。
【0072】
なお、生成した検査項目関連テーブルは、所定の時間が経過した場合に作り直してもよいし、新しいレコードを追加した場合に、ある程度古くなったレコードを削除するように
してもよい。このようにすることで、常に最新の状態を反映したテーブルを維持することができる。
【0073】
(第三の実施形態の変形例)
第三の実施形態では、相関係数を算出することによって検査項目同士の関連性を判定したが、検査項目同士の関連性は、他の方法を用いて判定してもよい。
例えば、あるロットにおいて、完成検査で不良判定された製品がある場合、以下の方法によって、検査項目同士が関連するか否かを求めることができる(
図11参照)。
(1)不良判定された製品を含むロットにおける、前工程での全ての検査項目について計測値を収集する
(2)不良判定された製品を含まないロットにおける、前工程での全ての検査項目についての計測値を収集する
(3)同一の検査項目に対応する計測値の分布同士を比較して、差があるか否かを判定する
この結果、差が認められる場合、当該検査項目と、不良となった検査項目との間に関連があると推定することができる。計測値の分布同士に差があるか否かは、例えばt検定などの検定法によって決定することができる。
また、特許第5017943号公報に記載されているような方法によって、検査項目同士の関連性を判定するようにしてもよい。
【0074】
(変形例)
なお、実施形態の説明は本発明を説明する上での例示であり、本発明は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更または組み合わせて実施することができる。
例えば、実施形態の説明では、ステップS24で実装パラメータを修正した場合に、自動的に生産設備に適用するようにしたが、情報を一旦ユーザに提示したうえで、ユーザの操作によって適用するようにしてもよい。この場合、修正対象のパラメータや、検出した不良の内容、不良との関連が推定される計測項目、判断に用いた閾値(Cpk
T)、実際の
Cpkなどを不図示の表示装置に出力したうえで、修正した実装パラメータを適用するか否かをユーザに選択させることが好ましい。また、変更後の実装パラメータは、例示した方法以外の方法によって生産設備に対してフィードバックさせてもよい。例えば、出力された表示を確認したユーザが手動で実装パラメータを変更するようにしてもよい。また、出力方法は画面表示に限られず、例えば、印書してもよいし、他の出力手段を用いてもよい。
【0075】
また、各実施形態では、分析装置260が、
図8に示した処理を周期的に実行したが、当該処理は他のトリガによって開始されてもよい。例えば、ユーザの操作によって開始されてもよいし、完成検査や、他の追加検査において不良品が発見された場合にその都度開始されてもよい。
【0076】
また、各実施形態では、工程能力指数に基づいて異常判定の閾値を決定したが、品質を表す値であれば、その他の指数を用いて異常判定の閾値を決定するようにしてもよい。例えば、許容される上下限値を設定し、計測値がこれを超えて分布している場合に異常判定を行うようにしてもよい。実装パラメータをどのように修正すればよいかを決定することができれば、ステップS23における異常判定にはどのような方法を用いてもよい。