(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図17は、例として、一つの信号強度(光パワー)が4つの論理レベルを有するPAM―4の伝送信号を説明するための図である。
図17(a)は、1シンボルに対して1bitの信号を伝送する従来のPAM−2の伝送信号のアイパターンの例を示しており、
図17(b)は、1シンボルに対して2bitの信号を伝送するPAM−4伝送信号のアイパターンの例を示している。なお、これらの図において、横軸は時間(秒)を示しており、縦軸は信号強度に相当する光パワー(mW)を示している。図中の点A1〜A4は判別点である。
図17(a)に示されるように、PAM−2伝送信号においては光パワーのパワーレベル(論理レベル)が0−Levelと1−Levelの2つであるため、判別点は一つ(点A1)のみである。これに対し、
図17(b)に示されるように、PAM−4伝送信号においては光パワーのパワーレベル(論理レベル)が0−Level〜3−Levelの4つであるため、判別点は三つ(点A2〜A4)存在する。
【0008】
例えば80km程度以下の光ファイバ長での光信号伝送においては、信号受信時のノイズは光パワーレベルに依存しない。従って、受信時の信号誤り率を小さくする為には、PAM−4伝送信号の各パワーレベル間の振幅(図中のB1〜B3)を均等にするとよい。振幅B1〜B3が不均等である場合、振幅の小さいパワーレベル間の判別点での誤り率が増加するからである。
【0009】
図18は、PAM−4における光出力信号とEAM駆動電圧信号との関係(入出力特性あるいは伝達特性)を示す図である。
図18において、(a)は、駆動電圧(横軸、単位V)と光出力パワー(縦軸、単位mW)との関係を示している。(b)は、EAMに印加される駆動電圧信号のアイパターンである。(c)は、EAMから出力される光出力信号のアイパターンである。
図18(c)に示されるように、PAM−4では、光出力信号において0−Level〜3−Levelの各パワーレベル間の間隔が均等に保たれることが好ましい。しかしながら、
図18(a)に示されるように、EAMでは駆動電圧の変化に対して光出力パワーが線形(直線状)ではなく非線形に変化する。従って、
図18(b)に示されるように、駆動電圧信号においては、0−Level〜3−Levelの各電圧レベル(論理レベル)間の間隔B4〜B6は不均等となる。なお、このように不均等になるのは、EAMの入出力特性(伝達特性)が非線形であるためで、一般に、EAM以外の光変調器であっても入出力特性が非線形性を有する場合には同様の設定が必要となる。また、論理レベルの数がさらに多い場合、例えばPAM−8(0−Level〜7−Level)あるいはPAM−16(0−Level〜15−Level)の場合についても同じ理由によって各電圧レベル間の振幅は不均等となる。
【0010】
図19は、EAMを駆動するための回路構成の一例を示す図である。この駆動回路100は、線形増幅を行う差動増幅回路によって構成され、アンプ101と、アンプ101の2つの入力端にそれぞれ接続された端子102,103と、アンプ101の出力端に接続された端子109とを有する。端子102及び103は、それぞれAC結合用のキャパシタ104及び105を介して、例えばD/Aコンバータ(DAC)112に接続されている。端子102には、差動入力信号の正相成分VinPがDAC112から入力される。端子103には、差動入力信号の逆相成分VinNがDAC112から入力される。駆動回路100とDAC112とが例えば特性インピーダンス50オームの伝送線路を介して結合される場合、アンプ101と端子102との間の配線は、インピーダンス整合のための抵抗106、例えば50Ωを介してバイアス電位線108に接続される。同様に、アンプ101と端子103との間の配線は、インピーダンス整合のための抵抗107、例えば50Ωを介してバイアス電位線108に接続される。この駆動回路100において、アンプ101に入力される差動入力信号Vinは、正相成分VinP及び逆相成分VinNによって次の数式(1)のように表される。
Vin=VinP−VinN ・・・(1)
【0011】
図20(a)は、アンプ101の入出力特性(伝達特性ともいう)の典型例を示すグラフである。この入出力特性は、差動入力電圧Vinと出力電圧Voutとが比例する線形領域C1と、差動入力電圧Vinが変化しても出力電圧Voutがほとんど変化しない飽和領域C2,C3とを含んでいる。駆動回路100は、このうち線形領域C1を使用して差動入力信号Vinの増幅を行い、駆動電圧信号Voutを出力する。また、飽和領域C2,C3に差動入力信号Vinが掛かってしまうと駆動電圧信号Voutの波形に歪が生じるので、そのような事態を回避するために、線形領域C1と飽和領域C2,C3との間にはマージンとしてバックオフ電圧VbackoffH,VbackoffLが設定される。
図20(b)には、線形領域C1の範囲内で割り当てられたPAM−4用駆動電圧信号のアイパターンが示されている。この駆動電圧信号の振幅Voutampは、アンプ101の最大電圧振幅Voutlimitからバックオフ電圧VbackoffH及びVbackoffLを差し引いた電圧範囲内において設定される。振幅Voutampは、例えば2.0Vppである。
【0012】
上記のような線形駆動回路では、DAC112からの差動入力信号Vinを歪なく増幅して駆動電圧信号Voutを生成することにより、各論理レベル間の出力振幅が均等に揃ったPAM−4光出力信号が得られる。その為には、振幅Voutampは線形領域C1に含まれることが求められ、温度変化、電源電圧変動、制御誤差、製造誤差といった各種の変動や誤差に対して線形領域C1での駆動を保証する為に、上記のバックオフ電圧VbackoffH及びVbackoffLが必要となるのである。バックオフ電圧VbackoffH及びVbackoffLの大きさとしては、それぞれ例えば最大振幅Voutampの15%が好適である。
【0013】
しかしながら、
図18(b)に示されるような各論理レベル間の振幅B4〜B6が互いに異なるPAM−4用の信号を増幅する場合には、
図21に示されるようにバックオフ電圧VbackoffH及びVbackoffLが互いに等しい値とはならず、例えば一方を振幅Voutampの15%とした場合、他方は15%を大きく上回る値(例えば振幅Voutampの30%)となる。アンプ101の最大電圧振幅Voutlimitは、振幅Voutamp、バックオフ電圧VbackoffH及びVbackoffLの総和よりも大きい必要があるので、バックオフ電圧VbackoffH及びVbackoffLの一方が振幅Voutampの15%から30%に増加した場合、アンプ101の最大電圧振幅Voutlimitは12%増加する。これは、アンプ101の出力段の消費電力が12%増加することに相当する。
【0014】
ここで、各論理レベル間の振幅B4〜B6が互いに異なるPAM−4用の信号を増幅する場合にバックオフ電圧VbackoffH及びVbackoffLの一方が増加する理由について詳細に説明する。
図22は、(a)差動入力信号の正相成分VinP、(b)逆相成分VinN、(c)差動入力信号Vin、及び(d)駆動電圧信号Voutについて、無信号時平衡電位E1を互いに一致させて示すアイパターンである。駆動電圧信号Voutの各論理レベル間の間隔を不均等な波形とする場合、各論理レベルの発生頻度が等しいと仮定すると、
図22(a)及び
図22(b)に示されるように、無信号時平衡電位E1に対して正相成分VinP及び逆相成分VinNの各振幅の中心位置にずれ(オフセット)が生じる。なお、このオフセットはDAC112と駆動回路100の端子102、103とがそれぞれキャパシタ104及び105を介してAC結合によって接続されている場合に起こり得る現象である。
【0015】
すなわち、
図22(a)に示されるように、正相成分VinPのピーク電位及びボトム電位と無信号時平衡電位E1との電位差は、駆動電圧信号Voutの振幅Voutampを100%としたときそれぞれ21.25%及び28.75%となり、正相成分VinPの振幅の中心位置が無信号時平衡電位E1から電圧減少方向に3.75%ずれる。同様に、
図22(b)に示されるように、逆相成分VinNのピーク電位及びボトム電位と無信号時平衡電位E1との電位差は、振幅Voutampを100%としたときそれぞれ28.75%及び21.25%となり、逆相成分VinNの振幅の中心位置が無信号時平衡電位E1から電圧増加方向に3.75%ずれる。なお、ここで、線形増幅回路の利得は1とし、すなわち、|Vinamp|=|Voutamp|=100%と想定する。従って、上記式(1)で示される差動入力信号Vinにおいては、
図22(c)に示されるように、ピーク電位及びボトム電位と無信号時平衡電位E1との電位差が、振幅Voutampを100%としたときそれぞれ42.5%及び57.5%となり、振幅の中心位置が無信号時平衡電位E1から電圧減少方向に7.5%ずれることとなる。このため、駆動電圧信号Voutにおいては、
図22(d)に示されるように、線形駆動回路の最大電圧振幅Voutlimitの中心電位(無信号時平衡電位E1と等しい)から駆動電圧信号Voutの振幅の中心電位がずれるので、バックオフ電圧VbackoffLを振幅Voutampの15%に設定するとバックオフ電圧VbackoffHが振幅Voutampの30%となり、最大電圧振幅Voutlimitとして振幅Voutampの145%が必要となる。言い換えれば、線形駆動回路の最大電圧振幅Voutlimitに対して、駆動電圧信号Voutの振幅Voutampは69%(1.45の逆数)程度にしかならない。しかしながら、駆動電圧信号Voutとして使用されない残りの31%についても電力が消費されるので、消費電力の無駄が発生してしまう。
【0016】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、消費電力を低減することができる光変調器駆動回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した課題を解決するために、本発明による光変調器駆動回路は、少なくとも3つの電圧レベルを有する差動入力信号に応じて光変調器の駆動信号を出力する駆動回路であって、前記差動入力信号の正相成分及び逆相成分がそれぞれ入力され、該正相成分と該逆相成分との差分に応じて電圧振幅が増減する前記駆動信号を出力する第1の差動増幅回路と、前記正相成分および前記逆相成分のそれぞれのピーク電位が互いに一致するように前記正相成分及び前記逆相成分のそれぞれの直流電位を調整する調整回路と、を備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明による光変調器駆動回路によれば、消費電力を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に、本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。(1)本願発明による光変調器駆動回路は、少なくとも3つの電圧レベルを有する差動入力信号に応じて光変調器の駆動信号を出力する駆動回路であって、差動入力信号の正相成分及び逆相成分がそれぞれ入力され、該正相成分と該逆相成分との差分に応じて電圧振幅が増減する駆動信号を出力する第1の差動増幅回路と、正相成分および逆相成分のそれぞれのピーク電位が互いに一致するように正相成分及び逆相成分のそれぞれの直流電位を調整する調整回路と、を備える。
【0021】
この光変調器駆動回路では、調整回路によって、正相成分及び逆相成分の直流電位(平均電位)の調整が可能である。これにより、正相成分及び逆相成分のそれぞれのピーク電位が互いに近づくように調整されることができ、そのような調整によって、正相成分及び逆相成分の各振幅の中心位置のずれ(オフセット)を低減することができる。その結果、駆動電圧信号において、第1の差動増幅回路の最大電圧振幅の中心電位(無信号時平衡電位に等しい)からの駆動電圧信号の振幅の中心電位のずれが低減されるので、バックオフ電圧の増加を抑えることができる。従って、この光変調器駆動回路によれば、第1の差動増幅回路の最大電圧振幅に占める駆動電圧信号の振幅の割合を高めることができるので、消費電力を低減することができる。
【0022】
(2)光変調器駆動回路は、正相成分のピーク電位に応じて正相電位信号を出力する正相電位検出部と、逆相成分のピーク電位に応じて逆相電位信号を出力する逆相電位検出部と、を更に備え、調整回路は、正相電位信号と逆相電位信号との差分に基づいて正相成分及び逆相成分のそれぞれの直流電位を調整してもよい。
【0023】
この光変調器駆動回路では、調整回路によって、正相成分及び逆相成分の各ピーク電位が互いに近づくように調整されるので、正相成分及び逆相成分の各振幅の中心位置のずれ(オフセット)を低減することができる。その結果、駆動電圧信号において、第1の差動増幅回路の最大電圧振幅の中心電位(無信号時平衡電位)からの駆動電圧信号の振幅の中心電位のずれが低減されるので、バックオフ電圧の増加を抑えることができる。従って、この光変調器駆動回路によれば、第1の差動増幅回路の最大電圧振幅に占める駆動電圧信号の振幅の割合を高めることができるので、消費電力を低減することができる。
【0024】
(3)光変調器駆動回路において、調整回路は、正相電位信号及び逆相電位信号がそれぞれ入力され、正相電位信号と逆相電位信号との差分に応じて振幅が増減する正相出力信号及び逆相出力信号を出力する第2の差動増幅回路を有し、正相出力信号用いて正相成分の直流電位を調整するとともに、逆相出力信号を用いて逆相成分の直流電位を調整してもよい。これにより、調整回路を好適に実現することができる。
【0025】
(4)光変調器駆動回路は、正相成分を伝達する正相側配線に接続された一端と、定電位線に接続された他端とを有する第1の抵抗と、逆相成分を伝達する逆相側配線に接続された一端と、定電位線に接続された他端とを有する第2の抵抗とを更に備え、調整回路は、第1の抵抗と直列に接続された第1の電流源と、第2の抵抗と直列に接続された第2の電流源とを有し、正相出力信号に応じて第1の電流源を流れる電流量を増減させ、逆相出力信号に応じて第2の電流源を流れる電流量を増減させてもよい。これにより、調整回路を更に好適に実現することができる。
【0026】
(5)調整回路は、正相成分のピーク電位が逆相成分のピーク電位よりも低い場合に、第1の電流源の電流量を減少させるとともに、第2の電流源の電流量を増加させ、正相成分のピーク電位が逆相成分のピーク電位よりも高い場合に、第1の電流源の電流量を増加させるとともに、第2の電流源の電流量を減少させてもよい。これにより、正相成分及び逆相成分の各直流電位を好適に調整することができる。
【0027】
(6)正相電位検出部は、正相成分のピーク電位に代えて、正相成分のボトム電位に応じて正相電位信号を出力し、逆相電位検出部は、逆相成分のピーク電位に代えて、逆相成分のボトム電位に応じて逆相電位信号を出力してもよい。このような場合であっても、正相成分及び逆相成分の各直流電位を好適に調整することができる。
【0028】
(7)光変調器駆動回路は、第1の差動増幅回路の前段に接続された第3の差動増幅回路を更に備え、正相電位検出部は、第3の差動増幅回路から出力される差動入力信号の正相成分を入力し、逆相電位検出部は、第3の差動増幅回路から出力される差動入力信号の逆相成分を入力し、調整回路は、第3の差動増幅回路に入力される差動入力信号の正相成分及び逆相成分のそれぞれの直流電位を調整してもよい。このような構成であっても、上述した光変調器駆動回路の効果を好適に得ることができる。
【0029】
(8)調整回路は、正相電位信号のA/D変換を行う正相用A/D変換部と、逆相電位信号のA/D変換を行う逆相用A/D変換部と、A/D変換後の正相電位信号に基づいて正相成分の直流電位を調整するための正相電位調整信号を生成し、A/D変換後の逆相電位信号に基づいて逆相成分の直流電位を調整するための逆相電位調整信号を生成するディジタル演算部と、正相電位調整信号のD/A変換を行う正相用D/A変換部と、逆相電位調整信号のD/A変換を行う逆相用D/A変換部と、を有し、D/A変換後の正相電位調整信号を用いて正相成分の直流電位を調整するとともに、D/A変換後の逆相電位調整信号を用いて逆相成分の直流電位を調整してもよい。このような構成であっても、調整回路を好適に実現することができる。
【0030】
[本願発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る光変調器駆動回路の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0031】
図1は、本発明の一実施形態に係る光変調器駆動回路を備える光送信モジュールの構成を概略的に示す図である。
図1に示されるように、本実施形態の光送信モジュール1Aは、レーザダイオード3と、電界吸収型の光変調器(以下、EA変調器と称する)5と、光変調器駆動回路10Aとを備える。レーザダイオード3は、送信光の波長帯域に含まれる所定波長の連続光(CW光)を出力する。レーザダイオード3のアノードは、例えば光送信モジュール1Aのバイアス端子7を介してバイアス電圧Vbiasが印加され、レーザダイオード3のカソードは低電位線18に接続される。なお、EMLの仕様上、レーザダイオード3のカソードとEA変調器5のカソードとを共通の電位にする必要がある場合には、バイアス電圧Vbiasは定電位線18の電圧Vccよりも大きい電圧を使用する。しかし、レーザダイオード3のカソードとEA変調器5のカソードとを別々の電位として良い場合には、例えば、レーザダイオードのカソードを接地してバイアス電圧Vbiasは電圧Vccよりも小さい正電圧を使用する変形例も可能である。EA変調器5は、レーザダイオード3から出力された連続光を変調することにより、パルス変調された送信光を生成する。EA変調器5のカソードは定電位線18に接続されており、EA変調器5のアノードには、光変調器駆動回路10Aから伝送線路8を介して駆動電圧信号Voutが印加される。高周波成分の反射を抑制するために、伝送線路8の特性インピーダンスとインピーダンス整合をとるためにEA変調器5と並列に抵抗19が接続される。抵抗19の値は伝送線路8の特性インピーダンスと同じ、例えば50Ωである。なお、光変調器は電界吸収型ではなく、原理的に入出力特性(伝達特性)が非線形性を有する光変調器であっても良い。
【0032】
光変調器駆動回路10Aは、差動入力信号Vinに応じて増減する、パルス振幅変調のための駆動電圧信号VoutをEA変調器5に提供する。光変調器駆動回路10Aは、線形駆動回路である差動増幅アンプ11(第1の差動増幅回路)を有する。差動増幅アンプ11の非反転入力端11a及び反転入力端11bそれぞれには、光送信モジュール1Aの信号入力端子9a,9bそれぞれを介して、差動入力信号Vinの正相成分VinP及び逆相成分VinNそれぞれが入力される。差動増幅アンプ11の出力端11cは、正相成分VinPと逆相成分VinNとの差分に応じて増減する駆動電圧信号Voutを出力する。差動増幅アンプ11のゲインは、例えば1(すなわち、|Vout/Vin|=1)である。
【0033】
図2は、本実施形態の光変調器駆動回路10Aの構成を概略的に示す図である。
図2に示されるように、光変調器駆動回路10Aは、上述した差動増幅アンプ11に加えて、P側ピーク検出回路12(正相電位検出部)と、N側ピーク検出回路13(逆相電位検出部)と、フィードバック回路(調整回路)14とを備える。P側ピーク検出回路12は、正相成分VinPのピーク電位を検出し、該ピーク電位に応じて増減する正相電位信号SP1を出力する。N側ピーク検出回路13は、逆相成分VinNのピーク電位を検出し、該ピーク電位に応じて増減する逆相電位信号SN1を出力する。
【0034】
フィードバック回路14は、正相成分VinP及び逆相成分VinNのピーク電位が互いに近づくように、正相電位信号SP1と逆相電位信号SN1との差分に基づいて正相成分VinP及び逆相成VinNの各直流電位(バイアス電位)を調整する。本実施形態のフィードバック回路14は、正相電位信号SP1及び逆相電位信号SN1の差動増幅を行う差動増幅アンプ15(第2の差動増幅回路)を有する。フィードバック回路14は、差動増幅アンプ15の正相側出力(正相出力信号)SP2を用いて正相成分VinPの直流電位(バイアス電位)を調整するとともに、差動増幅アンプ15の逆相側出力(逆相出力信号)SN2を用いて逆相成分VinNの直流電位(バイアス電位)を調整する。なお、フィードバック回路14は、本実施形態において、正相成分VinPのピーク電位及び逆相成分VinNの各直流電位(バイアス電位)を調整するための調整回路を構成する。フィードバック回路14の動作帯域は例えば数100kHz以下に設定され、差動入力信号Vinの動作帯域あるいは変調レート、例えば25Gbpsよりも各段に低速である。
【0035】
図3は、差動増幅アンプ11の詳細な構成例を示す回路図である。
図3に示されるように、この差動増幅アンプ11は、前段のプリアンプ部16と、後段のメインアンプ部17とを有する。プリアンプ部16の非反転入力端16a及び反転入力端16bそれぞれには、正相成分VinP及び逆相成分VinNそれぞれが入力される。プリアンプ部16の非反転出力端16c及び反転出力端16dそれぞれは、増幅後の正相成分VinP及び逆相成分VinNそれぞれを出力する。なお、プリアンプ部16の出力振幅はメインアンプ部17の出力振幅の数分の一と小さい。従って、差動増幅アンプ11の消費電力は、主にメインアンプ部17の消費電力に依存する。
【0036】
メインアンプ部17は、NPN型の一対のトランジスタ17a,17bを含む差動トランジスタ対を有する。一方のトランジスタ17aの制御端子(ベース)には、プリアンプ部16の非反転出力端16cから正相成分VinPが入力される。他方のトランジスタ17bの制御端子(ベース)には、プリアンプ部16の反転出力端16dから逆相成分VinNが入力される。トランジスタ17a及び17bの各一方の制御端子(コレクタ)は、それぞれ抵抗17c,17dを介して定電位線18に接続されている。一実施例では、抵抗17c,17dの抵抗値は共に50Ωである。定電位線18の電位は、例えば3.3Vである。トランジスタ17a及び17bの各他方の制御端子(エミッタ)は、それぞれ抵抗17f,17gを介して定電流源17hに接続されている。定電流源17hの電流量は、例えば52mAである。トランジスタ17bの一方の制御端子(コレクタ)の電圧は、差動増幅アンプ11からの出力電圧(駆動電圧信号Vout)として出力される。なお、メインアンプ部17の最大電圧振幅Voutlimitは、例えば50Ω×52mA=2.6Vppである。そして、バックオフ電圧VbackoffH及びVbackoffLそれぞれを振幅Voutampの15%とすると、メインアンプ部17の振幅Voutampは2.0Vppとなり、差動増幅アンプ11のゲインが1であるとき正相成分VinP及び逆相成分VinNの振幅はそれぞれ1.0Vppとなる。また、駆動電圧信号Voutの中心電位は、3.3V−1.3V(最大電圧振幅Voutlimitの65%)=2.0Vとなる。なお、トランジスタ17a,17bはNチャネル型FET等であっても良い。
【0037】
図4は、P側ピーク検出回路12及びN側ピーク検出回路13として好適なピーク検出回路の構成例を示す回路図である。
図4に示されるピーク検出回路20Aは、オペアンプ21と、ホールド部22と、ディスチャージ部23と、バッファ部24とを有する。ホールド部22は、ダイオード22a、キャパシタ22b、及びノードN1を含む。ノードN1は、ダイオード22aのカソード及びキャパシタ22bの一方の電極と接続され、且つバッファ部24の入力端に接続されている。キャパシタ22bの他方の電極は接地電位線Gに接続されている。
【0038】
オペアンプ21の非反転入力端21aには、正相成分VinP(P側ピーク検出回路12の場合)又は逆相成分VinN(N側ピーク検出回路13の場合)が入力される。オペアンプ21の反転入力端21bは、ホールド部22のノードN1と接続されている。オペアンプ21の出力端21cは、ホールド部22のダイオード22aのアノードと接続されている。このような構成において、ノードN1の電位は、正相成分VinP又は逆相成分VinNのピーク電位に保持される。この電位は、バッファ部24を介して、正相電位信号SP1又は逆相電位信号SN1として出力される。なお、ディスチャージ部23は、例えばノードN1と接地電位線Gとの間に接続されたスイッチ素子23aによって構成され、キャパシタ22bの放電(すなわちリセット)を行うために設けられる。スイッチ素子23aは、
図5(a)に示されるFET24aであってもよく、
図5(b)に示されるバイポーラトランジスタ24bであってもよい。例えば、リセット信号をSRとした場合、リセット信号SRをFET24aのゲートあるいはバイポーラトランジスタ24bのベースに入力し、ハイレベルを入力してスイッチが閉じて放電を行うようにし、ローレベルを入力してスイッチを開放してリセット(放電)を解除するように構成することができる。なお、
図4のピーク検出回路は一例であって、他の回路構成によって同じようにビーク電位の検出を行うピーク検出回路を代わりに使用してもよい。
【0039】
図6は、フィードバック回路14の構成の一例を示す回路図である。
図6に示されるように、このフィードバック回路14は、前述した差動増幅アンプ15に加えて、抵抗31a及び31b、並びに可変電流源32a及び32bを有する。抵抗31a及び31bは、インピーダンス整合のための抵抗である。抵抗31a(第1の抵抗)は、正相成分VinPを伝達する正相側配線33aに接続された一端と、定電位線(バイアス電位線)34に接続された他端とを有する。抵抗31b(第2の抵抗)は、逆相成分VinNを伝達する逆相側配線33bに接続された一端と、定電位線(バイアス電位線)34に接続された他端とを有する。
【0040】
抵抗31a及び31bそれぞれの抵抗値は、例えば50Ωである。可変電流源32aは、抵抗31aと直列に接続された第1の電流源であって、抵抗31aと接地電位線Gとの間に設けられている。可変電流源32bは、抵抗31bと直列に接続された第2の電流源であって、抵抗31bと接地電位線Gとの間に設けられている。可変電流源32aを流れる電流量は、差動増幅アンプ15の非反転出力端15aから出力される正相側出力SP2に応じて増減する。可変電流源32bを流れる電流量は、差動増幅アンプ15の反転出力端15bから出力される逆相側出力SN2に応じて増減する。
【0041】
このフィードバック回路14において、正相側出力SP2の電圧値が大きくなると(すなわち正相成分VinPのピーク電圧と逆相成分VinNのピーク電圧との差が大きくなると)、可変電流源32aを流れる電流量は増加し、一方で、正相側出力SP2の相補信号である逆相側出力SN2の電圧値は小さくなるため、可変電流源32bを流れる電流量は減少する。従って、抵抗31aにおける電圧降下量が大きくなって正相成分VinPの直流電圧(バイアス電位)が下降し、また、抵抗31bにおける電圧降下量が小さくなって逆相成分VinNの直流電圧(バイアス電位)が上昇する。その結果、正相成分VinPのピーク電圧は下降し、逆相成分VinNのピーク電圧は上昇して双方の差異が小さくなる。なお、可変電流源32a,32bは例えば電圧制御電流源を使用することができる。
【0042】
以上の構成を備える本実施形態の光変調器駆動回路10Aによって得られる効果について説明する。前述したように、
図19に示された光変調器駆動回路100では、無信号時平衡電位に対して正相成分VinP及び逆相成分VinNの各振幅の中心位置にずれ(オフセット)が生じる。これは、前述した通り、各論理レベル間の振幅が不均等であるために、各成分の平均電位(直流電位)がそれぞれの振幅の中心位置とは異なるために生じる。従って、
図22(c)に示されるように、差動入力信号Vinにおいて、ピーク電位及びボトム電位と無信号時平衡電位E1との電位差が、振幅を100%としたときそれぞれ42.5%及び57.5%となり、振幅の中心位置が無信号時平衡電位E1から電圧減少方向に7.5%ずれる。このため、
図22(d)に示されるように、駆動電圧信号Voutにおいては、アンプ101の最大電圧振幅の中心電位から駆動電圧信号Voutの振幅の中心電位がずれるので、一方のバックオフ電圧が増大し、最大電圧振幅が大きくなってしまう。言い換えれば、アンプ101の最大出力振幅(145%)に占める駆動電圧信号Voutの振幅(100%)の割合が小さくなり、消費電力の無駄が発生してしまう。
【0043】
上記の課題に対し、本実施形態の光変調器駆動回路10Aでは、調整回路(フィードバック回路14)によって、正相成分VinP及び逆相成分VinNの各直流電位(バイアス電位)の調整が可能である。従って、正相成分VinP及び逆相成分VinNの各ピーク電位が互いに近づくように調整することができ、そのような調整によって、
図7(a)及び
図7(b)に示されるように、正相成分VinP及び逆相成分VinNの各最大振幅の中心位置のずれ(オフセット)を低減することができる。従って、
図7(c)に示されるように、差動入力信号Vinにおいて、ピーク電位及びボトム電位と無信号時平衡電位E1との電位差が、差動入力信号Vinの振幅Vinampを100%としたときそれぞれ50.0%に近づくので、振幅の中心位置が無信号時平衡電位E1に近づく(好適には略一致する)。その結果、
図7(d)に示されるように、駆動電圧信号Voutにおいて、差動増幅アンプ11の最大電圧振幅Voutlimitの中心電位(すなわち無信号時平衡電位E1)からの駆動電圧信号Voutの振幅の中心電位のずれが低減されるので、バックオフ電圧の増大を抑えることができる。例えば、
図7(d)に示される例では、バックオフ電圧が、
図22(d)に対して15%低減されている。従って、本実施形態の光変調器駆動回路10Aによれば、差動増幅アンプ11の最大電圧振幅Voutlimitに占める駆動電圧信号Voutの振幅Voutampの割合を高めることができるので、振幅Voutampを基準に考えれば差動増幅アンプ11の最大電圧振幅Voutlimitを小さくすることが可能となる。そして、差動増幅アンプ11の最大電圧振幅Voutlimitは、差動増幅アンプ11の消費電力とほぼ比例する。すなわち、本実施形態の光変調器駆動回路10Aによれば、消費電力を低減することができる。
【0044】
なお、差動増幅アンプ11の出力段(メインアンプ部17)の消費電力Wは、
図3に示された定電流源17hの電流Ieeと、定電位線18と接地電位との電位差Vccとの積(Iee×Vcc)によって表される。電位差Vccは、例えばメインアンプ部17を構成する各トランジスタ17a,17bおよび電流源17hに必要とされる最低動作電圧と駆動電圧信号Voutの最大振幅との和により決定される。電流Ieeは、例えば差動増幅アンプ11の最大電圧振幅と出力抵抗とに基づいて決定される。すなわち、差動増幅アンプ11の最大電圧振幅をVoutlimitとし、抵抗17dの抵抗値をRoutとし、EA変調器5とその終端抵抗との並列抵抗値をReamとすると、Iee=Voutlimit/(Rout//Ream)として表される。抵抗値Routおよび並列抵抗値Reamは、EA変調器5の動作帯域および伝送線路の特性インピーダンスとのインピータンス整合を考慮して決定される。例えば、28Gbaudで使用される場合、抵抗値Routおよび並列抵抗値Reamは共に50オームであり、これらの並列抵抗値(Rout//Ream)は25オームである。このように、差動増幅アンプ11の出力段の消費電力は、出力振幅とバックオフ電圧との和である最大電圧振幅、トランジスタの電圧、及び出力インピータンス整合用抵抗の抵抗値によって決定される。
【0045】
また、本実施形態のように、フィードバック回路14は、正相電位信号SP1及び逆相電位信号SN1がそれぞれ入力され、正相電位信号SP1と逆相電位信号SN1との差分に応じて振幅が増減する正相側出力SP2及び逆相側出力SN2を出力する差動増幅アンプ15を有し、正相側出力SP2を用いて正相成分VinPの直流電位(バイアス電位)を調整するとともに、逆相側出力SN2を用いて逆相成分VinNの直流電位(バイアス電位)を調整してもよい。これにより、フィードバック回路14を好適に実現することができる。
【0046】
また、本実施形態のように、光変調器駆動回路10Aは、正相成分VinPを伝達する正相側配線に接続された一端と、定電位線34に接続された他端とを有する抵抗31aと、逆相成分VinNを伝達する逆相側配線に接続された一端と、定電位線34に接続された他端とを有する抵抗31bとを更に備え、フィードバック回路14は、抵抗31aと直列に接続された可変電流源32aと、抵抗31bと直列に接続された可変電流源32bとを有し、正相側出力SP2に応じて可変電流源32aを流れる電流量を増減させ、逆相側出力SN2に応じて可変電流源32bを流れる電流量を増減させてもよい。これにより、正相成分VinP及び逆相成分VinNの各直流電位(バイアス電位)を好適に調整することができ、フィードバック回路14を更に好適に実現することができる。
【0047】
また、本実施形態のように、フィードバック回路14は、正相成分VinPのピーク電位が逆相成分VinNのピーク電位よりも低い場合に、可変電流源32aの電流量を減少させるとともに、可変電流源32bの電流量を増加させ、正相成分VinPのピーク電位が逆相成分VinNのピーク電位よりも高い場合に、可変電流源32aの電流量を増加させるとともに、可変電流源32bの電流量を減少させてもよい。これにより、正相成分VinP及び逆相成分VinNの各直流電位を好適に調整することができる。
【0048】
なお、本実施形態では、
図19に示された光変調器駆動回路100に対してP側ピーク検出回路12、N側ピーク検出回路13及びフィードバック回路14が付加されており、これらの回路も電力を消費する。しかし、これらの回路による負帰還動作は、駆動電圧信号Voutの周波数あるいは変調レート、例えば25Gbpsよりも各段に低い周波数領域、例えば数100kHz以下において行われることができる。従って、これらの回路の消費電力を、上述した効果による消費電力の低減量よりも小さくすることは十分に可能であり、本実施形態の光変調器駆動回路10Aによれば、回路全体の消費電力を効果的に低減することができる。
【0049】
(第1の変形例)
図8は、上記実施形態の第1変形例に係る光変調器駆動回路10Bの構成を概略的に示す図である。
図8に示されるように、本変形例の光変調器駆動回路10Bは、上記実施形態のP側ピーク検出回路12、N側ピーク検出回路13及びフィードバック回路14に代えて、P側ボトム検出回路42(正相電位検出部)、N側ボトム検出回路43(逆相電位検出部)及びフィードバック回路44を備える。
【0050】
P側ボトム検出回路42は、正相成分VinPのパルス振幅変調信号波形のボトム電位を検出し、該ボトム電位に応じて増減する正相電位信号SP3を出力する。N側ボトム検出回路43は、逆相成分VinNのパルス振幅変調信号波形のボトム電位を検出し、該ボトム電位に応じて増減する逆相電位信号SN3を出力する。
図9は、P側ボトム検出回路42及びN側ボトム検出回路43として好適なボトム検出回路の構成例を示す回路図である。
図9に示されるボトム検出回路20Bは、
図4に示されたピーク検出回路20Aとほぼ同様の構成を有しており、オペアンプ21と、ホールド部22と、ディスチャージ部23と、バッファ部24とを有する。但し、ボトム検出回路20Bではダイオード22aの向きがピーク検出回路20Aとは逆になっている。すなわち、ノードN1はダイオード22aのアノードと接続されており、オペアンプ21の出力端21cはダイオード22aのカソードと接続されている。このような構成において、ノードN1の電位は、正相成分VinP又は逆相成分VinNのボトム電位に保持される。この電位は、バッファ部24を介して、正相電位信号SP3又は逆相電位信号SN3として出力される。なお、
図9のボトム検出回路は一例であって、他の回路構成によって同じようにボトム電位の検出を行うボトム検出回路を代わりに使用してもよい。
【0051】
再び
図8を参照する。フィードバック回路44は、正相成分VinP及び逆相成分VinNの各ボトム電位が互いに近づくように、正相電位信号SP3と逆相電位信号SN3との差分に基づいて正相成分VinP及び逆相成分VinNの各直流電位を調整する。本変形例のフィードバック回路44は、正相電位信号SP3及び逆相電位信号SN3の差動増幅を行う差動増幅アンプ45(第2の差動増幅回路)を有する。フィードバック回路44は、差動増幅アンプ45の正相側出力SP4を用いて正相成分VinPの直流電位(バイアス電位)を調整するとともに、差動増幅アンプ45の逆相側出力SN4を用いて逆相成分VinNの直流電位(バイアス電位)を調整する。なお、フィードバック回路44は、本変形例において、正相成分VinPの直流電位及び逆相成分VinNの直流電位を調整するための調整回路を構成する。フィードバック回路44の詳細な構成は、上記実施形態のフィードバック回路14と同様にできる。
【0052】
本変形例によれば、調整回路(フィードバック回路44)によって、正相成分VinP及び逆相成分VinNの各直流電位(バイアス電位)の調整が可能である。従って、正相成分VinP及び逆相成分VinNの各ボトム電位が互いに近づくように調整されることができ、そのような調整によって、正相成分VinP及び逆相成分VinNの各最大振幅の中心位置のずれ(オフセット)を低減することができる。従って、上記実施形態と同様に、バックオフ電圧の増大を抑えて、差動増幅アンプ11の最大電圧振幅に占める駆動電圧信号Voutの振幅の割合を高め、消費電力を低減することができる。
【0053】
また、本変形例のように、正相成分VinP及び逆相成分VinNの各ボトム電位を検出し、該ボトム電位に基づいてそれぞれの直流電位(バイアス電位)を調整してもよい。このような方式であっても、正相成分VinP及び逆相成分VinNの各直流電位(バイアス電位)を好適に調整することができる。以下の変形例についても同様である。
【0054】
(第2の変形例)
図10は、上記実施形態の第2変形例に係る光変調器駆動回路10Cの構成を概略的に示す図である。
図10に示されるように、本変形例の光変調器駆動回路10Cでは、P側ピーク検出回路12及びN側ピーク検出回路13それぞれが、
図3に示された差動増幅アンプ11のプリアンプ部16から出力された増幅後の正相成分VinP及び逆相成分VinNそれぞれを入力する。そして、フィードバック回路14は、プリアンプ部16に入力される差動入力信号Vinの正相成分VinP及び逆相成分VinNに対して各直流電位(バイアス電位)を調整する。なお、本変形例では、メインアンプ部17が第1の差動増幅回路に相当し、プリアンプ部16は第3の差動増幅回路に相当する。本変形例の構成であっても、上記実施形態の光変調器駆動回路10Aと同様の効果を好適に得ることができる。
【0055】
(第3の変形例)
図11は、上記実施形態の第3変形例に係る光変調器駆動回路10Dの構成を概略的に示す図である。
図11に示されるように、本変形例の光変調器駆動回路10Dでは、第2変形例と同様に、P側ピーク検出回路12及びN側ピーク検出回路13それぞれが、プリアンプ部16から出力された増幅後の正相成分VinP及び逆相成分VinNそれぞれを入力する。そして、第2変形例とは異なり、フィードバック回路14は、プリアンプ部16から出力されメインアンプ部17に入力される差動入力信号Vinの正相成分VinP及び逆相成分VinNに対して各直流電位(バイアス電位)を調整する。本変形例の構成であっても、上記実施形態の光変調器駆動回路10Aと同様の効果を好適に得ることができる。
【0056】
(第4の変形例)
図12は、上記実施形態の第4変形例に係る光変調器駆動回路10Eの構成を概略的に示す図である。
図12に示されるように、本変形例の光変調器駆動回路10Eは、上記実施形態のフィードバック回路14に代えて、フィードバック回路50を備える。フィードバック回路50は、上記実施形態の差動増幅アンプ15に代えて、正相用A/D変換部51a、逆相用A/D変換部51b、コントローラ回路52(演算部)、正相用D/A変換部53a、及び逆相用D/A変換部53bを有する。
【0057】
正相用A/D変換部51aは、P側ピーク検出回路12から出力された正相電位信号SP1のA/D変換を行う。逆相用A/D変換部51bは、N側ピーク検出回路13から出力された逆相電位信号SN1のA/D変換を行う。コントローラ回路52は、A/D変換後の正相電位信号DP1に基づいて、正相成分VinPの直流電位(バイアス電位)を調整するための正相電位調整信号DP5を生成する。また、コントローラ回路52は、A/D変換後の逆相電位信号DN1に基づいて、逆相成分VinNの直流電位(バイアス電位)を調整するための逆相電位調整信号DN5を生成する。正相用D/A変換部53aは、コントローラ回路52から出力された正相電位調整信号DP5のD/A変換を行うことにより、正相電位調整信号SP5を生成する。逆相用D/A変換部53bは、コントローラ回路52から出力された逆相電位調整信号DN5のD/A変換を行うことにより、逆相電位調整信号SN5を生成する。
【0058】
なお、正相電位調整信号SP5及び逆相電位調整信号SN5を用いて正相成分VinP及び逆相成分VinNの各直流電位を調整するための構成(抵抗31a及び31b、並びに可変電流源32a及び32b)は、上記実施形態と同様である。また、コントローラ回路52、正相用A/D変換部51a、逆相用A/D変換部51b、正相用D/A変換部53a、及び逆相用D/A変換部53bのサンプリング速度は、例えば10kHz〜数100kHzである。コントローラ回路には、例えば一般的なCPUを使用することができる。
【0059】
本変形例のように、フィードバック回路が、ディジタル処理を行うコントローラ回路によって構成される場合であっても、上記実施形態の光変調器駆動回路10Aと同様の効果を好適に得ることができる。なお、コントローラ回路52は、P側ピーク検出回路12及びN側ピーク検出回路13のディスチャージ部23(
図4参照)のスイッチ素子23aをオン/オフさせるためのリセット信号SRをP側ピーク検出回路12及びN側ピーク検出回路13に提供してもよい。
【0060】
(第5の変形例)
図13は、上記実施形態の第5変形例に係る光変調器駆動回路10Fの構成を概略的に示す図である。
図13に示されるように、本変形例の光変調器駆動回路10Fは、上述した第4変形例の抵抗31a及び31b、並びに可変電流源32a及び32bに代えて、抵抗61a及び61bを有する。本変形例では、コントローラ回路52は、正相電位信号DP1に基づいて、正相成分VinPの直流電位(バイアス電位)を調整するための正相電位調整信号DP6を生成する。また、コントローラ回路52は、逆相電位信号DN1に基づいて、逆相成分VinNの直流電位(バイアス電位)を調整するための逆相電位調整信号DN6を生成する。そして、正相用D/A変換部53aは、コントローラ回路52から出力された正相電位調整信号DP6のD/A変換を行うことにより、正相電位調整信号としての正相側バイアス電圧VP6を生成する。同様に、逆相用D/A変換部53bは、コントローラ回路52から出力された逆相電位調整信号DN6のD/A変換を行うことにより、逆相電位調整信号としての逆相側バイアス電圧VN6を生成する。これらのバイアス電圧VP6及びVN6それぞれは、抵抗61a及び61bそれぞれの一端に印加される。抵抗61a及び61bそれぞれの他端は、正相側配線33a及び逆相側配線33bそれぞれに接続されている。
【0061】
本変形例の構成では、正相成分VinP及び逆相成分VinNの各バイアス電圧VP6及びVN6をコントローラ回路52が調整することによって、正相成分VinP及び逆相成分VinNの各ピーク電位を互いに近づけることができる。これにより、正相成分VinP及び逆相成分VinNの各振幅の中心位置のずれ(オフセット)を低減することができる。従って、上記実施形態と同様に、バックオフ電圧の増大を抑えて、差動増幅アンプ11の最大電圧振幅Voutlimitに占める駆動電圧信号Voutの振幅Voutampの割合を高め、消費電力を低減することができる。なお、本変形例において、正相用D/A変換部53aと抵抗61aとの間、及び逆相用D/A変換部53bと抵抗61bとの間に、電圧フォロワ回路が付加されてもよい。なお、コントローラ回路52は、P側ピーク検出回路12及びN側ピーク検出回路13のディスチャージ部23のスイッチ素子23aをオン/オフさせるためのリセット信号SRをP側ピーク検出回路12及びN側ピーク検出回路13に提供してもよい。
【0062】
(第6の変形例)
図14は、上記実施形態の第6変形例に係る光変調器駆動回路10Gの構成を概略的に示す図である。
図14に示されるように、本変形例の光変調器駆動回路10Gは、上記実施形態のP側ピーク検出回路12、N側ピーク検出回路13、及びフィードバック回路14に代えて、調整回路70Aを備える。調整回路70Aは、可変電圧源71と、DCレベル設定回路72とを有する。可変電圧源71の出力電圧VCは任意に設定され得る。可変電圧源71の出力電圧VCは、DCレベル設定回路72に入力される。DCレベル設定回路72は、出力電圧VCの大きさに応じた正相電位調整信号SP5及び逆相電位調整信号SN5を生成する。調整回路70Aは、正相電位調整信号SP5を用いて正相成分VinPの直流電位を調整するとともに、逆相電位調整信号SN5を用いて逆相成分VinNの直流電位を調整する。なお、正相成分VinP及び逆相成分VinNの直流電位を調整するための構成は、上記実施形態(例えば
図6を参照)と同様にできる。
【0063】
本変形例では、調整回路70Aによって、正相成分VinP及び逆相成分VinNの直流電位の調整が可能である。従って、正相成分VinP及び逆相成分VinNの各ピーク電位が互いに近づくように調整されることができ、そのような調整によって、正相成分VinP及び逆相成分VinNの各振幅の中心位置のずれ(オフセット)を低減することができる。従って、上記実施形態と同様に、バックオフ電圧の増大を抑えて、差動増幅アンプ11の最大電圧振幅Voutlimitに占める駆動電圧信号Voutの振幅Voutampの割合を高め、消費電力を低減することができる。本変形例は、例えば、EA変調器5の駆動電圧信号と光出力信号との間の非線形特性に対して駆動電圧信号の各レベル間の振幅を予め決めておき、それによって生じる正相成分および逆相成分の各最大振幅の中心位置(オフセット)がほぼ一定値として設定できる場合に適用することができる。
【0064】
(第7の変形例)
図15は、上記実施形態の第7変形例に係る光変調器駆動回路10Hの構成を概略的に示す図である。
図14に示されるように、本変形例の光変調器駆動回路10Gは、上記実施形態のP側ピーク検出回路12、N側ピーク検出回路13、及びフィードバック回路14に代えて、調整回路70Bを備える。調整回路70Bは、DCレベル設定回路72、コントローラ回路73、メモリ74、及びD/A変換部75を有する。コントローラ回路73は、メモリ74に記憶されたデータD1に基づいて、DCレベル設定回路72に入力される電圧VCに対応するディジタル信号D2を生成する。ディジタル信号D2は、D/A変換部75によって電圧VCに変換される。メモリ74内の上記データD1は任意に設定され得る。なお、上記の構成を除く調整回路70Bの構成は、前述した第6変形例の調整回路70Aと同様である。
【0065】
本変形例では、調整回路70Bによって、正相成分VinP及び逆相成分VinNの直流電位(バイアス電位)の調整が可能である。従って、本変形例によれば、第6変形例と同様の効果を好適に奏することができる。なお、本変形例において、メモリ74はコントローラ回路73に内蔵されていてもよい。また、本変形例は、例えば光送信モジュールの環境温度Taを温度センサ(図示せず。コントローラ73内に内蔵してもよい。)によって検出し、メモリ74に予め格納されたルックアップテーブルから環境温度Taに対するデータD1を読み出して電圧VCを調整することができ、温度補償を行うことができる。
【0066】
(第8の変形例)
図16は、上記実施形態の第8変形例として、フィードバック回路80の構成を示す回路図である。本変形例のフィードバック回路80は、上記実施形態のフィードバック回路14の可変電流源32a及び32b(
図6を参照)に代えて、一対のトランジスタ81a,81bと、定電流源82とを有する。トランジスタ81aの制御端子(ベース)には差動増幅アンプ15からの正相側出力SP2が入力される。トランジスタ81aの一方の電流端子(例えばコレクタ)は抵抗31aの一端と接続されており、トランジスタ81aの他方の電流端子(例えばエミッタ)は定電流源82と接続されている。また、トランジスタ81bの制御端子(ベース)には差動増幅アンプ15からの逆相側出力SN2が入力される。トランジスタ81bの一方の電流端子(例えばコレクタ)は抵抗31bの一端と接続されており、トランジスタ81bの他方の電流端子(例えばエミッタ)は定電流源82と接続されている。定電流源82の電流量は、例えば3mAである。
【0067】
このフィードバック回路80において、正相側出力SP2と逆相側出力SN2との差が大きくなると(すなわち正相成分VinPのピーク電圧と逆相成分VinNのピーク電圧との差が大きくなると)、トランジスタ81aを流れる電流量は増加し、トランジスタ81bを流れる電流量は減少する。従って、抵抗31aにおける電圧降下量が大きくなって正相成分VinPの直流電位(バイアス電位)が下降し、また、抵抗31bにおける電圧降下量が小さくなって逆相成分VinNの直流電位(バイアス電位)が上昇する。その結果、正相成分VinPのピーク電位と逆相成分VinNのピーク電位との差が小さくなり、好適には略一致する。定電流源82の電流量が3mAであり、抵抗31a及び31bの抵抗値が50Ωである場合、直流電位(バイアス電位)の調整範囲は50Ω×3mA=0.15V(駆動電圧信号Voutの最大振幅Voutampの7.5%)となる。定電位線34の電位は、例えば(2+0.075)Vである。これは、トランジスタ81a、81b、および電流源82を付加せずに負帰還を掛けない場合の正相成分VinP及び逆相成分VinNの最適バイアス電位を2.0Vとしたとき、それに最大調整範囲の1/2である0.075Vを調整しろとして加えたものである。
【0068】
なお、無信号時は、VinP=VinN=2.0V(最適バイアス電位)となるよう、抵抗31a及び31bに流れる電流量が等しくされる。そして、信号入力時、仮にフィードバック回路14による帰還動作が行われないとすると、正相成分VinPの中心電位は最適中心電位2.0Vから3.75%低下し、逆相成分VinNの中心電位は最適バイアス電位2.0Vから3.75%上昇する。従って、
図22に示されたように、駆動電圧信号Voutにて7.5%のオフセットが発生する。なお、この状態では、抵抗31a,31bにそれぞれ1.5mAの電流が流れる。例えば、リセット信号SRをハイレベルにしてリセット(放電)を行っている場合にはこのような状況になる。これに対し、例えばリセットを解除して、フィードバック回路14による帰還動作が行われた場合には、正相成分VinP及び逆相成分VinNの各直流電位(バイアス電位)が調整されて、正相成分VinP及び逆相成分VinNの各振幅の中心位置は最適バイアス電位2.0Vと略一致する(
図7を参照)。この状態では、抵抗31aに3.0mAの電流が流れ、抵抗31bには電流が流れない。なお、定電流源82の電流値は調整しろを大きくして余裕をとるためにさらに大きな値にしても良い。
【0069】
フィードバック回路は、本変形例のような構成を有しても良い。本変形例においても、前述した実施形態と同様の効果を好適に得ることができる。
【0070】
以上、本発明による光変調器駆動回路の実施形態及び変形例について説明したが、ここで、電圧波形についての説明を補足する。
図23は、(a)PAM−4伝送信号の過渡応答表示による電圧波形、及び(b)PAM−4伝達信号のアイパターン表示による電圧波形を示す図である。電圧波形について、
図23(b)のようなアイパターン表示にて説明してきたが、これは各論理レベル(0−Level〜3Level)間の時間に対する遷移としては
図23(a)の過渡応答表示にて示すような波形となっていることを意味する。すなわち、電圧波形のピーク電位は、例えばPAM−4の場合の3−Levelに相当し、ボトム電位は0−Levelに相当する。従って、上記実施形態及び各変形例におけるピーク電位は、特定の瞬間における最高電位ではなく、例えばPAM−4のパルス波形において最高位の論理レベルとして定常的に繰り返される3−Levelの電位を意味する。また、ボトム電位も同様に、例えば、PAM−4のパルス波形において最低位の論理レベルとして定常的に繰り返される0−Levelの電位を意味する。なお、さらに論理レベルの数が多いパルス振幅変調方式、例えばPAM−8(0―Level〜7Level)やPAM−16(0−Level〜15Level)においても、ピーク電位は最も大きい論理レベルの電位を意味し、ボトム電位は最も小さい論理レベルの電位を意味する。従って、本発明は、差動入力信号の正相成分と逆相信号のそれぞれのピーク電位(あるいはボトム電位)を互いに一致するように正相成分と逆相成分のそれぞれの直流電位(バイアス電位)を調整するが、本発明による効果は上述したPAM−4の場合に限定されず、PAM−8、PAM−16、あるいはそれ以上の論理レベルを有するパルス振幅変調方式においても同様に得ることができる。
【0071】
本発明による光変調器駆動回路は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、正相成分VinP及び逆相成分VinNの各直流電位を調整するための調整回路の構成としては、上記実施形態及び各変形例以外にも様々な構成が適用され得る。また、上記実施形態及び各変形例では、正相電位検出部及び逆相電位検出部が検出する直流電位としてピーク電位及びボトム電位を例示したが、正相電位検出部及び逆相電位検出部は、これらに限らず他の様々な波形の電位を検出してもよい。さらに、光変調器は電界吸収型以外の入出力特性(電圧特性)が非線形性を有するものであっても本発明による光変調駆動回路を適応することができる。