(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シート状の溶融材と、前記溶融材に積層し前記溶融材よりも溶融温度が高い耐熱材と、を含むセパレータを用い、電極を挟持する前記セパレータを接合する電気デバイスのセパレータ接合方法であって、
前記電極を介して対面する前記セパレータの端部の両方を前記耐熱材同士を重ね合わせて折り畳む加工工程と、
互いに対面した前記端部の前記溶融材同士を接合する接合工程と、を有する電気デバイスのセパレータ接合方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明に係る第1〜第3実施形態について説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面における部材の大きさや比率は、説明の都合上誇張され実際の大きさや比率とは異なる場合がある。
図1〜
図14の全ての図において、X、Y、およびZで表す矢印を用いて、方位を示している。Xで表す矢印の方向は、袋詰電極11等の搬送方向Xを示している。Yで表す矢印の方向は、袋詰電極11等の搬送方向Xと交差した交差方向Yを示している。Zで表す矢印の方向は、セラミックセパレータおよび正極20の積層方向Zを示している。
【0013】
(第1実施形態)
セパレータ接合装置100は、電気デバイス(袋詰電極11)のセパレータ接合方法を具現化したものである。セパレータ接合装置100は、電極(正極20または負極30)を挟持するセパレータ(一対のセラミックセパレータ41および42)の端部同士を互いに接合する。
【0014】
先ず、セパレータ接合装置100によって接合して形成する電気デバイス(袋詰電極11)を、
図1〜
図4を参照しながら説明する。ここで、袋詰電極11は、リチウムイオン二次電池10の構成に基づき説明する。
【0015】
図1は、電気デバイス(袋詰電極11)を用いて構成したリチウムイオン二次電池10を示す斜視図である。
図2は、
図1のリチウムイオン二次電池10を各構成部材に分解して示す分解斜視図である。
図3は、
図1の袋詰電極11の両面に負極30をそれぞれ積層した状態を示す斜視図である。
図4は、
図3の構成を
図3中に示す4−4線に沿って示す部分断面図である。
【0016】
正極20は、電極に相当し、導電体である正極集電体21の両面に正極活物質22を結着して形成している。電力を取り出す正極電極端子21aは、正極集電体21の一端の一部から延在して形成している。複数積層された正極20の正極電極端子21aは、溶接または接着によって互いに固定している。
【0017】
正極20の正極集電体21の材料には、例えば、アルミニウム製エキスパンドメタル、アルミニウム製メッシュ、アルミニウム製パンチドメタルを用いている。正極20の正極活物質22の材料には、種々の酸化物(LiMn
2O
4のようなリチウムマンガン酸化物、二酸化マンガン、LiNiO
2のようなリチウムニッケル酸化物、LiCoO
2のようなリチウムコバルト酸化物、リチウム含有ニッケルコバルト酸化物、またはリチウムを含む非晶質五酸化バナジウム)またはカルコゲン化合物(二硫化チタン、二硫化モリブテン)等を用いている。
【0018】
負極30は、正極20と極性が異なる電極に相当し、導電体である負極集電体31の両面に負極活物質32を結着して形成している。負極電極端子31aは、正極20に形成した正極電極端子21aと重ならないように、負極集電体31の一端の一部から延在して形成している。負極30の長手方向の長さは、正極20の長手方向の長さよりも長い。負極30の短手方向の長さは、正極20の短手方向の長さと同様である。複数積層された負極30の負極電極端子31aは、溶接または接着によって互いに固定している。
【0019】
負極30の負極集電体31の材料には、例えば、銅製エキスパンドメタル、銅製メッシュ、または銅製パンチドメタルを用いている。負極30の負極活物質32の材料には、リチウムイオンを吸蔵して放出する炭素材料を用いている。このような炭素材料には、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、活性炭、カーボンファイバー、コークス、または有機前駆体(フェノール樹脂、ポリアクリロニトリル、またはセルロース)を不活性雰囲気中で熱処理して合成した炭素を用いている。
【0020】
セパレータは、一対のセラミックセパレータ41および42から構成している。一対のセラミックセパレータ41および42は、正極20と負極30を電気的に隔離している。一対のセラミックセパレータ41および42は、正極20と負極30との間に電解液を保持して、イオンの伝導性を担保している。一対のセラミックセパレータ41および42は、矩形状に形成している。一対のセラミックセパレータ41および42の長手方向の長さは、負極電極端子31aの部分を除いた負極30の長手方向の長さよりも長い。
【0021】
一対のセラミックセパレータ41および42は、互いに同様の構成からなる。例えばセラミックセパレータ41は、
図4に示すように、溶融材に相当するポリプロピレン層41mに対して、耐熱材に相当するセラミックス層41nを積層して形成している。セラミックス層41nは、ポリプロピレン層41mよりも溶融温度が高い。セラミックセパレータ41および42は、正極20を挟持し、セラミックス層41nおよび42nを対向させて積層している。セラミックス層41nおよび42nは、正極20の正極活物質22に当接している。
【0022】
セラミックセパレータ41のポリプロピレン層41mは、ポリプロピレンをシート状に形成している。ポリプロピレン層41mには、非水溶媒に電解質を溶解することによって調製した非水電解液を含浸させている。非水電解液をポリプロピレン層41mに保持するために、ポリマーを含有させている。セラミックス層41nは、例えば、無機化合物を高温で成形したセラミックスをポリプロピレン層41mに塗布して乾燥させることによって形成している。セラミックスは、シリカ、アルミナ、ジルコニウム酸化物、チタン酸化物等のセラミック粒子とバインダーの結合により形成された多孔質からなる。
【0023】
一対のセラミックセパレータ41および42は、セパレータ接合装置100の搬送方向Xに相当する長手方向の両側に形成した複数の接合部40hによって、互いに接合している。具体的には、セラミックセパレータ41は、長手方向に沿った一端部41pおよび他端部41qを、ポリプロピレン層41mが外側であってセラミックス層41nが内側になるように、それぞれ一定の幅で折り畳んでいる。同様に、セラミックセパレータ42は、長手方向に沿った一端部42pおよび他端部42qを、ポリプロピレン層42mが外側であってセラミックス層42nが内側になるように、それぞれ一定の幅で折り畳んでいる。セラミックセパレータ41の一端部41pは、セラミックセパレータ42の一端部42pと正極20を介して対面する。同様に、セラミックセパレータ41の他端部41qは、セラミックセパレータ42の他端部42qと正極20を介して対面する。すなわち、接合部40hは、対面した一対のセラミックセパレータ41および42の端部の溶融材(ポリプロピレン層)同士を溶融させつつ接合することによって形成している。
【0024】
袋詰電極11は、一対のセラミックセパレータ41および42によって、正極20の両面を挟持するように積層して構成している。接合部40hは、袋詰電極11において、一対のセラミックセパレータ41および42の長手方向の両側に沿って、両端部と中央部に合計3箇所ずつ形成している。リチウムイオン二次電池10が振動したり衝撃を受けたりしても、セラミックセパレータ41および42の長手方向の両端に形成した接合部40hによって、袋詰電極11内における正極20の移動を抑制することができる。すなわち、セラミックセパレータ41および42を介して、隣り合う正極20と負極30の短絡を防止できる。したがって、リチウムイオン二次電池10は、所期の電気的特性を維持することができる。
【0025】
外装材50は、例えば、内部に金属板を備えたラミネートシート51および52から構成し、発電要素17を両側から被覆して封止している。ラミネートシート51および52で発電要素17を封止する際に、そのラミネートシート51および52の周囲の一部を開放して、その他の周囲を熱溶着等によって封止する。ラミネートシート51および52の開放している部分から電解液を注入し、一対のセラミックセパレータ41および42に電荷液を含浸させる。ラミネートシート51および52の開放部から内部を減圧することによって空気を抜きつつ、その開放部も熱融着して完全に密封する。
【0026】
外装材50のラミネートシート51および52は、例えば、それぞれ3種類の材料を積層して3層構造を形成している。1層目は、熱融着性樹脂に相当し、例えばポリエチレン(PE)、アイオノマー、またはエチレンビニルアセテート(EVA)を用いている。1層目の材料は、負極30に隣接させる。2層目は、金属を箔状に形成したものに相当し、例えばAl箔またはNi箔を用いている。3層目は、樹脂性のフィルムに相当し、例えば剛性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)またはナイロンを用いている。
【0027】
次に、電気デバイス(袋詰電極11)のセパレータ接合方法を具現化したセパレータ接合装置100について、
図5〜
図7および
図10(A)と
図10(B)を参照しながら順に説明する。
【0028】
図5は、電気デバイス(袋詰電極11)のセパレータ接合方法を具現化したセパレータ接合装置100を示す斜視図である。
図6は、
図5のセパレータ接合装置100の加工部(セパレータ端部折畳部140)等の要部を示す斜視図である。
図7は、
図5のセパレータ接合装置100の要部を示す側面図である。
図10(A)および
図10(B)は、セパレータ接合装置100の接合部を示す斜視図である。
【0029】
セパレータ接合装置100は、例えば、電極搬送部110、第1セパレータ搬送部120(第1配置工程に対応)、第2セパレータ搬送部130(第1配置工程に対応)、セパレータ端部折畳部140(加工部、加工工程に対応)、セパレータ接合部150(接合部、接合工程に対応)、袋詰電極搬送部160、および制御部170から構成している。以下、セパレータ接合装置100の構成について構成部毎に順に説明する。
【0030】
電極搬送部110は、
図5および
図7に示し、正極20を搬送しつつ所定の形状に切断する。
【0031】
電極搬送部110の電極供給ローラ111は、円柱形状からなり、正極20を巻き付けて保持している。搬送ローラ112は、細長い円柱形状からなり、電極供給ローラ111に巻き付けられた正極20に対して一定の張力をかけた状態で搬送ベルト113に導く。搬送ベルト113は、外周面に吸引口を複数設けた無端状のベルトからなり、正極20を吸引した状態で搬送方向Xに沿って搬送する。搬送ベルト113は、交差方向Yに沿った幅が、正極20の幅よりも長い。回転部材114は、交差方向Yに沿って、搬送ベルト113の内周面に複数配設し、搬送ベルト113を回転させる。複数の回転部材114のうち、一つが動力を設けた駆動ローラであり、その他が駆動ローラに従動する従動ローラである。搬送ローラ112および電極供給ローラ111は、搬送ベルト113の回転に従動して回転する。
【0032】
電極搬送部110の切断部材115および116は、交差方向Yに沿って隣り合うように配設し、正極20を所定の形状に切断して成形する。切断部材115は、先端に直線状の鋭利な刃を設け、正極20の一端を交差方向Yに沿って直線状に切断する。切断部材116は、先端に一部を屈折させ段違いに形成した鋭利な刃を設け、一端を切断された直後の正極20の他端を、正極電極端子21aの形状に対応して切断する。受け台117は、正極20を切断する切断部材115および切断部材116を受ける。受け台117は、搬送する正極20を介して、切断部材115および切断部材116と対向して配設している。電極搬送部110は、切り出した正極20を、第1セパレータ搬送部120と第2セパレータ搬送部130との間を通過するように搬出する。
【0033】
第1セパレータ搬送部120(第1配置工程に対応)は、
図5〜
図7に示し、正極20の一面(積層方向Zに沿った
図5中に示す下方)に積層するためのセラミックセパレータ41を搬送しつつ所定の形状に切断する。
【0034】
第1セパレータ搬送部120は、電極搬送部110よりも搬送方向Xの下流側であって、積層方向Zに沿った
図5中に示す下方に配設している。
【0035】
第1セパレータ搬送部120は、第1配置工程に対応する。第1配置工程は、耐熱材(セラミックス層41nおよび42n)の中央部41ncおよび42nc同士が、電極(正極20または負極30)を隔てて対向するようにセラミックセパレータ41を配置する。
【0036】
第1セパレータ搬送部120の第1セパレータ供給ローラ121は、円柱形状からなり、長尺状のセラミックセパレータ41を巻き付けて保持している。第1セパレータ供給ローラ121は、セラミックセパレータ41を、ポリプロピレン層41mが内側であってセラミックス層41nが外側になるように、巻き付けて保持している。対向して配設した第1加圧ローラ122と第1ニップローラ123は、それぞれ細長い円柱形状からなり、第1セパレータ供給ローラ121に巻き付けられたセラミックセパレータ41に対して一定の張力をかけた状態で第1搬送ドラム124に導く。第1搬送ドラム124は、円柱形状からなり、その外周面に吸引口を複数設けている。第1搬送ドラム124は、交差方向Yに沿った幅を、セラミックセパレータ41の幅よりも短くしている。すなわち、セラミックセパレータ41の両端は、第1搬送ドラム124から交差方向Yに対して外方に突出している。このようにして、第1搬送ドラム124は、セパレータ接合部150との干渉を回避している。
【0037】
第1セパレータ搬送部120の第1搬送ドラム124を回転させると、第1加圧ローラ122と第1ニップローラ123に加えて第1セパレータ供給ローラ121が従動して回転する。第1切断部材125は、先端に直線状の鋭利な刃を設け、交差方向Yに沿って配設し、第1搬送ドラム124によって吸引されている長尺状のセラミックセパレータ41を一定の幅で切断する。第1搬送ドラム124は、長方形状に切断されたセラミックセパレータ41を、電極搬送部110から搬出された正極20の一面の側に近接させつつ積層する。セラミックセパレータ41は、そのセラミックス層41nの側を、正極20の一面に対向させている。
【0038】
第2セパレータ搬送部130(第1配置工程に対応)は、
図5および
図7に示し、正極20の一面に対向した他面(積層方向Zに沿った
図5中に示す上方)に積層するためのセラミックセパレータ42を搬送しつつ所定の形状に切断する。
【0039】
第2セパレータ搬送部130は、電極搬送部110よりも搬送方向Xの下流側であって、積層方向Zに沿った
図5中に示す上方に配設している。
【0040】
第2セパレータ搬送部130は、第1配置工程に対応する。第1配置工程は、耐熱材(セラミックス層41nおよび42n)の中央部41ncおよび42nc同士が、電極(正極20または負極30)を隔てて対向するようにセラミックセパレータ42を配置する。
【0041】
第2セパレータ搬送部130は、第1セパレータ搬送部120と積層方向Zに沿って対向して配設している。第2セパレータ搬送部130の第2セパレータ供給ローラ131は、円柱形状からなり、長尺状のセラミックセパレータ42を巻き付けて保持している。第2セパレータ供給ローラ131は、セラミックセパレータ42を、ポリプロピレン層42mが内側であってセラミックス層42nが外側になるように、巻き付けて保持している。対向して配設した第2加圧ローラ132と第2ニップローラ133は、それぞれ細長い円柱形状からなり、第2セパレータ供給ローラ131に巻き付けられたセラミックセパレータ42に対して一定の張力をかけた状態で第2搬送ドラム134に導く。第2搬送ドラム134は、円柱形状からなり、その外周面に吸引口を複数設けている。第2搬送ドラム134は、第1搬送ドラム124と同様に、交差方向Yに沿った幅を、セラミックセパレータ42の幅よりも短くすることによって、セパレータ接合部150との干渉を回避している。
【0042】
第2セパレータ搬送部130の第2搬送ドラム134を回転させると、第2加圧ローラ132と第2ニップローラ133に加えて第2セパレータ供給ローラ131が従動して回転する。第2切断部材135は、先端に直線状の鋭利な刃を設け、交差方向Yに沿って配設し、第2搬送ドラム134によって吸引されている長尺状のセラミックセパレータ42を一定の幅で切断する。第2搬送ドラム134は、長方形状に切断されたセラミックセパレータ42を、電極搬送部110から搬出された正極20の他面の側に近接させつつ積層する。セラミックセパレータ42は、そのセラミックス層42nの側を、正極20の他面に対向させている。
【0043】
第1セパレータ搬送部120と第2セパレータ搬送部130は、第1搬送ドラム124と第2搬送ドラム134との隙間の部分において、一対のセラミックセパレータ41および42によって正極20を挟持させるように積層しつつ、搬送方向Xに沿って搬送する。その搬送方向Xに沿った下流側の両端には、それぞれセパレータ接合部150を配設している。
【0044】
セパレータ端部折畳部140(加工部)は、
図5〜
図7に示し、正極20を介して対面するセラミックセパレータ41および42の端部に回転ローラ141を付勢しつつ、端部を回転ローラ141に沿って段階的に屈折させて折り畳む。
【0045】
セパレータ端部折畳部140は、第1セパレータ搬送部120および第2セパレータ搬送部130に隣接して配設している。
【0046】
セパレータ端部折畳部140は、加工部に相当する。セパレータ端部折畳部140は、正極20を介して対面するセラミックセパレータ41および42の端部を折り畳む加工工程を具現化したものである。セパレータ端部折畳部140は、第1セパレータ搬送部120および第2セパレータ搬送部130に対して、同様の仕様から構成している。そこで、セパレータ接合部150は、第1セパレータ搬送部120に隣接した構成によって説明する。
【0047】
セパレータ端部折畳部140は、第1セパレータ供給ローラ121と、第1加圧ローラ122および第1ニップローラ123の間であって、セラミックセパレータ41の一端部41pの側および他端部41qの側に、それぞれ複数の回転ローラ141を配設している。複数の回転ローラ141は、一端部41pの側と他端部41qの側において、同様の構成で配設している。そこで、セパレータ接合部150は、第1セパレータ搬送部120の一端部41pに隣接した構成について説明する。
【0048】
回転ローラ141は、案内部材に相当する。回転ローラ141は、円柱形状に形成し回転自在である。回転ローラ141は、第1セパレータ供給ローラ121から第1加圧ローラ122および第1ニップローラ123の間において、セラミックセパレータ41の一端部41pのポリプロピレン層41mに付勢するように、一定の間隔で複数配置している。
【0049】
回転ローラ141は、第1セパレータ供給ローラ121から第1加圧ローラ122および第1ニップローラ123に向かう方向に対して、一端部41pに対する当接角度を段階的に大きくなるように配設している。複数の回転ローラ141によって、一端部41pを、ポリプロピレン層41mが外側であってセラミックス層41nが内側になるように、一定の幅で折り畳む。複数の回転ローラ141は、第1セパレータ搬送部120によって搬送されるセラミックセパレータ41に従動して回転する。
【0050】
複数の回転ローラ141のうち、第1セパレータ供給ローラ121に一番近い回転ローラ141によって、一端部41pを捲り返すようにする。その状態で、複数の回転ローラ141によって、第1加圧ローラ122および第1ニップローラに向かって、一端部41pをさらに捲り返し、そのねじり返した幅が長くなるように折り返す。複数の回転ローラ141のうち、第1加圧ローラ122および第1ニップローラに一番近い回転ローラ141は、一対で構成している。一対の回転ローラ141によって、ポリプロピレン層41mを外側にして折り畳んだ一端部41pを両側から押圧して、一端部41pを完全に折り畳む。
【0051】
セパレータ接合部150(接合部)は、
図5および
図7に示し、互いに対面したセラミックセパレータ41および42の端部の溶融材(ポリプロピレン層)同士を溶融させつつ接合する。
【0052】
セパレータ接合部150は、第1セパレータ搬送部120および第2セパレータ搬送部130よりも搬送方向Xの下流側に配設している。セパレータ接合部150は、搬送方向Xに沿った両端に一組ずつ配設している。
【0053】
セパレータ接合部150は、接合部に相当する。セパレータ接合部150は、互いに対面した端部の溶融材(ポリプロピレン層)同士を接合する接合工程を具現化したものである。セパレータ接合部150は、加熱部材151および付勢部材152を備えている。加熱部材151と付勢部材152は、搬送されるセラミックセパレータ41および42を介して対向している。加熱部材151は、セラミックセパレータ42の側から端部に当接しつつ、セラミックセパレータ41および42を加熱する。付勢部材152は、セラミックセパレータ41の側から端部に当接しつつ、セラミックセパレータ41および42を加熱部材151の側に付勢する。加熱部材151および付勢部材152は、搬送されるセラミックセパレータ41および42に境にして、積層方向Zに沿って互いに接近および離間するように、移動自在としている。加熱部材151および付勢部材152は、セラミックセパレータ41および42の端部を加熱しつつ溶融させて接合する。
【0054】
加熱部材151は、本体部151aおよび当接部151bを備えている。本体部151aは、長方体形状に形成している。本体部151aは、加熱用の熱電対またはペルチェ素子等の熱源を内蔵している。当接部151bは、本体部151aの一端から突出して形成している。当接部151bは、本体部151aの熱源によって昇温する。付勢部材152は、本体部152aおよび当接部152bを備えている。本体部152aは、長方体形状に形成している。当接部152bは、本体部152aの一端から突出して形成している。当接部152bは、加熱部材151の当接部151bと積層方向Zに沿って対向するように配設している。
【0055】
ここで、セパレータ接合部150は、
図10(A)に示すように、セラミックセパレータ41および42を接合している間、袋詰電極搬送部160の搬送に追随させて、加熱部材151と付勢部材152を搬送方向Xの下流側に移動させる構成とすることもできる。このような構成の場合、加熱部材151と付勢部材152は、セラミックセパレータ41および42の一箇所の接合を完了すると、搬送方向Xの上流側に沿って高速で移動して元の位置に戻る。加熱部材151と付勢部材152が搬送方向Xに沿って移動しつつセラミックセパレータ41および42を部分的に接合することによって、第1セパレータ搬送部120および第2セパレータ搬送部130等の動作を継続させることができる。
【0056】
一方、セパレータ接合部150は、
図10(B)に示すように、回転自在な加熱部材153および付勢部材154によって、セラミックセパレータ41および42の端部を一体に挟持しつつ接合する構成とすることができる。加熱部材153は、本体部153aおよび当接部153bを備えている。本体部153aは、円盤形状に形成している。本体部153aは、加熱用の熱電対またはペルチェ素子等の熱源を内蔵している。当接部153bは、本体部153aの外周面から一定の間隔で複数突出して形成している。当接部153bは、本体部153aの熱源によって昇温する。付勢部材154は、本体部154aおよび当接部154bを備えている。本体部154aは、円盤形状に形成している。当接部154bは、本体部154aの外周面から一定の間隔で複数突出して形成している。加熱部材153と付勢部材154が回転しつつセラミックセパレータ41および42を部分的に接合することによって、第1セパレータ搬送部120および第2セパレータ搬送部130等の動作を継続させることができる。
【0057】
袋詰電極搬送部160は、
図5に示し、セパレータ端部折畳部140およびセパレータ接合部150等によって形成される袋詰電極11を搬送する。
【0058】
袋詰電極搬送部160は、電極搬送部110と搬送方向Xに沿って隣り合い、第1セパレータ搬送部120および第2セパレータ搬送部130よりも搬送方向Xの下流側に配設している。
【0059】
袋詰電極搬送部160の搬送ベルト161は、外周面に吸引口を複数設けた無端状のベルトからなり、袋詰電極11を吸引した状態で搬送方向Xに沿って搬送する。搬送ベルト161は、交差方向Yに沿った幅を、袋詰電極11の幅よりも短く形成している。すなわち、袋詰電極11の両端は、搬送ベルト161から交差方向Yに対して外方に突出している。このようにして、搬送ベルト161は、セパレータ接合部150との干渉を回避している。回転部材162は、交差方向Yに沿って、搬送ベルト161の内周面に複数配設し、搬送ベルト161を回転させる。回転部材162は、セパレータ接合部150との干渉を回避するため、搬送ベルト161から突出させていない。複数の回転部材162のうち、一つが動力を設けた駆動ローラであり、その他が駆動ローラに従動する従動ローラである。搬送ベルト161は、例えば、搬送方向Xに沿って配設している。
【0060】
袋詰電極搬送部160の吸着パッド163は、搬送ベルト161に載置された袋詰電極11よりも積層方向Zの
図5中に示す上方において、袋詰電極11と対向するように位置している。吸着パッド163は、板状からなり、袋詰電極11と当接する面に吸引口を複数設けている。伸縮部材164は、吸着パッド163よりも積層方向Zの
図5中に示す上方に位置している。伸縮部材164の一端は、吸着パッド163を接合している。伸縮部材164は、エアーコンプレッサー等を動力として、積層方向Zに沿って伸縮自在である。X軸ステージ165およびX軸補助レール166は、伸縮部材164の一端に対向した他端を移動自在に支持している。X軸ステージ165は、搬送方向Xに沿って配設し、伸縮部材164を搬送方向Xに沿って走査する。X軸補助レール166は、X軸ステージ165と並行に配設し、X軸ステージ165による伸縮部材164の走査を補助する。載置台167は、板状からなり、例えば配設された搬送ベルト161よりも、搬送方向Xに沿った下流側に配設している。載置台167は、袋詰電極11を一時的に載置して保管する。
【0061】
制御部170は、
図5に示し、電極搬送部110と第1セパレータ搬送部120と第2セパレータ搬送部130とセパレータ接合部150および袋詰電極搬送部160の作動をそれぞれ制御する。
【0062】
制御部170のコントローラ171は、ROM、CPU、およびRAMを含んでいる。ROM(Read Only Memory)は、セパレータ接合装置100に係る制御プログラムを格納している。制御プログラムは、電極搬送部110の回転部材114と切断部材115および116、第1セパレータ搬送部120の第1搬送ドラム124と第1切断部材125、および第2セパレータ搬送部130の第2搬送ドラム134と第2切断部材135の制御に関するものを含んでいる。さらに、制御プログラムは、セパレータ接合部150の加熱部材151と付勢部材152、および袋詰電極搬送部160の回転部材162と伸縮部材164等の制御に関するものを含んでいる。
【0063】
制御部170のCPU(Central Processing Unit)は、制御プログラムに基づいてセパレータ接合装置100の各構成部材の作動を制御する。RAM(Random Access Memory)は、制御中のセパレータ接合装置100の各構成部材に係る様々なデータを一時的に記憶する。データは、例えば、加熱部材151の温度に関するものである。
【0064】
次に、セパレータ接合装置100の作用について説明する。
【0065】
電極搬送部110は、
図5に示すように、切断部材115および116によって、正極20を所定の形状に1枚ずつ切断して成形する。電極搬送部110は、成形した正極20を第1セパレータ搬送部120および第2セパレータ搬送部130の間に搬出する。
【0066】
次いで、第1セパレータ搬送部120は、
図5〜
図7に示すように、正極20の一面に積層するセラミックセパレータ41を切り出して搬送する。ここで、セパレータ端部折畳部140は、
図5〜
図7に示すように、搬送中のセラミックセパレータ41の一端部41pおよび他端部41qに対して回転ローラ141を付勢させて、一端部41pおよび他端部41qを段階的に屈折させて折り畳む。第1切断部材125は、一端部41pおよび他端部41qが折り畳まれたセラミックセパレータ41を長方形状に切断する。第1セパレータ搬送部120は、セラミックセパレータ41を電極搬送部110から搬出された正極20の一面の側に積層する。
【0067】
同様に、第2セパレータ搬送部130は、
図5および
図7に示すように、第1セパレータ搬送部120の作動と並行して、正極20の一面に対向した他面に積層するためのセラミックセパレータ42を切り出して搬送する。ここで、セパレータ端部折畳部140は、
図5および
図7に示すように、搬送中のセラミックセパレータ42の一端部42pおよび他端部42qに回転ローラ141を付勢させて、一端部42pおよび他端部42qを段階的に屈折させて折り畳む。第2切断部材135は、一端部42pおよび他端部42qが折り畳まれたセラミックセパレータ41を長方形状に切断する。第2セパレータ搬送部130は、セラミックセパレータ42を電極搬送部110から搬出された正極20の他面の側に積層する。
【0068】
次いで、セパレータ接合部150は、
図5および
図7に示すように、加熱部材151および付勢部材152によって、セラミックセパレータ41および42の端部のポリプロピレン層同士を一体に挟持して、そのポリプロピレン層を溶融して接合する。
【0069】
その後、袋詰電極搬送部160は、
図5に示すように、セパレータ端部折畳部140およびセパレータ接合部150等によって形成された袋詰電極11を搬送する。袋詰電極搬送部160は、袋詰電極11を載置台167に載置して一時的に保管する。
【0070】
上述した第1実施形態によれば、以下の構成によって作用効果を奏する。
【0071】
電気デバイス(袋詰電極)のセパレータ接合方法は、シート状の溶融材(ポリプロピレン層)と、溶融材(ポリプロピレン層)に積層し溶融材(ポリプロピレン層)よりも溶融温度が高い耐熱材(セラミックス層)と、を含むセパレータ(セラミックセパレータ)を用い、電極(正極20または負極30)を挟持するセパレータ(セラミックセパレータ)を接合する方法である。セパレータ接合方法は、加工工程および接合工程を有する。加工工程は、電極(正極20または負極30)を介して対面するセパレータ(セラミックセパレータ)の端部(一端部および他端部の少なくとも一方)の少なくとも片方を折り畳む。接合工程は、互いに対面した端部(一端部および他端部の少なくとも一方)の溶融材(ポリプロピレン層)同士を接合する。
【0072】
電気デバイス(袋詰電極)のセパレータ接合装置100は、シート状の溶融材(ポリプロピレン層)と、溶融材(ポリプロピレン層)に積層し溶融材(ポリプロピレン層)よりも溶融温度が高い耐熱材(セラミックス層)と、を含むセパレータ(セラミックセパレータ)を用い、電極(正極20または負極30)を挟持するセパレータ(セラミックセパレータ)を接合する装置である。セパレータ接合装置100は、加工部(セパレータ端部折畳部140)および接合部(セパレータ接合部150)を有している。加工部(セパレータ端部折畳部140)は、電極(正極20または負極30)を介して対面するセパレータ(セラミックセパレータ)の端部(一端部および他端部の少なくとも一方)の少なくとも片方に案内部材(回転ローラ141)を付勢しつつ、端部を案内部材(回転ローラ141)に沿って段階的に屈折させて折り畳む。接合部(セパレータ接合部150)は、互いに対面した端部(一端部および他端部の少なくとも一方)の溶融材(ポリプロピレン層)同士を溶融させつつ接合する。
【0073】
このような構成では、対面するセパレータ(セラミックセパレータ)の端部の少なくとも片方を折り畳んだ上で、対面させた端部の溶融材(ポリプロピレン層)同士を接合する。すなわち、耐熱材(セラミックス層)よりも溶融させることが容易な溶融材(ポリプロピレン層)同士を対面させて接合する。したがって、接合が難しい耐熱材(セラミックス層)を備えたセパレータ(セラミックセパレータ)を用いる場合であっても、電極(正極20または負極30)を挟持するセパレータ(セラミックセパレータ)を十分に接合することができる。
【0074】
電気デバイス(袋詰電極)は、セパレータ(セラミックセパレータ)および電極(正極20または負極30)を有している。セパレータ(セラミックセパレータ)は、シート状の溶融材(ポリプロピレン層)と、溶融材(ポリプロピレン層)に積層し溶融材(ポリプロピレン層)よりも溶融温度が高い耐熱材(セラミックス層)と、を含んでいる。電極(正極20または負極30)は、セパレータ(セラミックセパレータ)によって挟持する。ここで、セパレータ(セラミックセパレータ)は、電極(正極20または負極30)を介して対面する端部(一端部および他端部の少なくとも一方)の少なくとも片方を折り畳み、対面した端部(一端部および他端部の少なくとも一方)の溶融材(ポリプロピレン層)同士を接合している。
【0075】
このような構成では、対面するセパレータ(セラミックセパレータ)の端部の少なくとも片方を折り畳んだ上で、その対面した端部の溶融材(ポリプロピレン層)同士を接合している。すなわち、耐熱材(セラミックス層)よりも溶融させることが容易な溶融材(ポリプロピレン層)同士を対面させて接合している。したがって、接合が難しい耐熱材(セラミックス層)を備えたセパレータ(セラミックセパレータ)を用いた場合であっても、電極(正極20または負極30)を挟持するセパレータ(セラミックセパレータ)を十分に接合していることから、所期の電気特性を発揮させることができる。
【0076】
具体的には、例えば、電気デバイス(袋詰電極11)は、リチウムイオン二次電池10が振動したり衝撃を受けたりしても、セパレータ(セラミックセパレータ)の端部を十分に接合していることから、正極20の移動を抑制することができる。すなわち、セパレータ(セラミックセパレータ)を介して隣り合う正極20と負極30の短絡を防止できる。したがって、リチウムイオン二次電池10は、所期の電気的特性を維持することができる。
【0077】
また、電気デバイス(袋詰電極11)は、電極(正極20または負極30)が配設されていないセパレータ(セラミックセパレータ)の端部を折り畳んで厚みを増加させている。すなわち、電気デバイス(袋詰電極11)は、中央と端部の層厚の差異を減少させることができる。
【0078】
さらに、特にセパレータ接合方法において、一対のセパレータ(セラミックセパレータ41および42)を用いる構成とすることができる。この接合方法において、加工工程は、一対のセパレータ(セラミックセパレータ41および42)の一のセパレータ(セラミックセパレータ41)の端部(一端部41pまたは他端部41qの少なくとも一方)および他のセパレータ(セラミックセパレータ42)の端部(一端部42pまたは他端部42qの少なくとも一方)をそれぞれ折り畳む。このセパレータ接合方法は、さらに第1配置工程を有している。第1配置工程は、接合工程の前に設けている。第1配置工程は、耐熱材(セラミックス層41nおよび42n)の中央部41ncおよび42nc同士が、電極(正極20または負極30)を隔てて対向するように一対のセパレータ(セラミックセパレータ41および42)を配置する。
【0079】
このような構成に示すように、このセパレータ接合方法は、枚葉式からなる非常に汎用性の高い方式に適用することができる。すなわち、このセパレータ接合方法は、セラミックセパレータ41、電極(正極20または負極30)、およびセラミックセパレータ42の順で、各部材を重ね合わせて積層する方式に用いることができる。
【0080】
さらに、特にセパレータ接合装置100において、案内部材は、円柱形状に形成し回転自在な回転ローラ141から構成することができる。回転ローラ141は、折り畳むセパレータ(セラミックセパレータ41および42)の搬送方向の端部に沿って、セパレータ(セラミックセパレータ41および42)に対する角度を段階的に異ならせて複数配設している。
【0081】
このような構成によれば、非常に簡便な構成からなる回転ローラ141によって、セパレータ(セラミックセパレータ41および42)の端部を容易に折り畳むことができる。さらに、回転ローラ141は、その間隔や角度を設定することによって、セパレータ(セラミックセパレータ41および42)の様々な硬さや折り畳む幅に対応することができる。さらに、このような構成によれば、第1セパレータ搬送部120および第2セパレータ搬送部130の動作を継続させたままの状態で、セパレータ(セラミックセパレータ41および42)の端部を折り畳むことができる。すなわち、セパレータ(セラミックセパレータ41および42)の接合に係る生産性を維持することができる。さらに、このような構成によれば、既存の装置に対して回転ローラ141を取り付けることができる。すなわち、既存の装置を改造することによって、装置の製造コストを大幅に削減することができる。さらに、このような構成によれば、回転ローラ141は、搬送されるセパレータ(セラミックセパレータ41および42)に従動して回転することから、駆動のための電力を必要としない。
【0082】
さらに、特にセパレータ接合装置100において、接合部(セパレータ接合部150)は、それぞれ円盤状に形成し、対面した端部同士を一体に挟持しつつ回転自在な一対の接合部材(加熱部材153および付勢部材154)を備える構成とすることができる。一対の接合部材(加熱部材153および付勢部材154)は、端部同士を部分的に接合する。
【0083】
このような構成によれば、一対の接合部材(加熱部材153および付勢部材154)は、一対のセラミックセパレータ41および42の端部に対して間欠的に当接しつつ、その端部を接合する。したがって、一対の接合部材(加熱部材153および付勢部材154)は、溶融材(ポリプロピレン層)から離間し易く、溶融材(ポリプロピレン層)に付着してしまうことを防止できる。すなわち、一対の接合部材(加熱部材153および付勢部材154)は、一対のセラミックセパレータ41および42の端部に付着して損傷させることなく接合することができる。
【0084】
また、このような構成によれば、一対の接合部材(加熱部材153および付勢部材154)を回転させつつ、一対のセラミックセパレータ41および42の端部同士を部分的に接合する。したがって、第1セパレータ搬送部120および第2セパレータ搬送部130の動作を継続させたままの状態で、一対のセラミックセパレータ41および42を接合することができる。すなわち、セパレータの接合に係る生産性を維持することができる。
【0085】
さらに、特にセパレータ接合装置100において、接合部(セパレータ接合部150)は、熱源からの熱伝導、通電により発生させたジュール熱、間欠的に電流を印加して発生させた熱、または超音波の振動に伴って発生させた熱によって、溶融材(ポリプロピレン層)同士を溶融させて接合する構成とすることができる。
【0086】
このような構成に示すように、セパレータ接合装置100において、接合部材によって溶融材(ポリプロピレン層)同士を接合する構成は非常に汎用性が高く、仕様や要望に応じて任意の構成を適宜選択することができる。
【0087】
(第1実施形態の変形例1)
第1実施形態の変形例1に係る電気デバイス(袋詰電極12)のセパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置200について、
図8および
図9を参照しながら説明する。
【0088】
第1実施形態の変形例1は、一対のセラミックセパレータ41および43のうち、セラミックセパレータ41の端部のみを折り畳み、セラミックセパレータ43の端部を折り畳まない構成が、前述した第1実施形態に係る構成と異なる。前述した第1実施形態では、一対のセラミックセパレータ41および42の両方の端部を折り畳んでいた。第1実施形態の変形例1においては、前述した第1実施形態と同様の構成からなるものについて、同一の符号を使用し、前述した説明を省略する。
【0089】
セパレータ接合装置200のセパレータ端部折畳部240について、
図8を参照しながら説明する。
【0090】
図8は、電気デバイス(袋詰電極12)のセパレータ接合方法を具現化したセパレータ接合装置200の要部を示す側面図である。
【0091】
第1セパレータ搬送部120および第2セパレータ搬送部130は、第2配置工程に対応する。第2配置工程は、セラミックセパレータ41のセラミックス層41nの中央部41ncと、セラミックセパレータ43のポリプロピレン層43mの中央部43mcとが、正極20を隔てて対向するようにセラミックセパレータ41および43を配置する。
【0092】
第2セパレータ搬送部130において、第2セパレータ供給ローラ131は、セラミックセパレータ43を、ポリプロピレン層43mが外側であってセラミックス層43nが内側になるように、巻き付けて保持している。すなわち、第2セパレータ供給ローラ131は、第1実施形態と異なり、セラミックセパレータ43を、ポリプロピレン層43mが外側になるように第2セパレータ供給ローラ131に対して巻き付けている。セパレータ端部折畳部140は、第1セパレータ搬送部120のみに隣接して配設している。すなわち、セパレータ端部折畳部140は、第1実施形態と異なり、第2セパレータ搬送部130に隣接して配設していない。
【0093】
セパレータ接合装置200によって接合した袋詰電極12について
図9を参照しながら説明する。
【0094】
図9は、
図8のセパレータ接合装置200によって接合した袋詰電極12の要部を示す部分断面図である。
【0095】
袋詰電極12は、正極20をセラミックセパレータ41および43によって挟持して構成している。セラミックセパレータ41は、一端部41pおよび他端部をそれぞれ折り畳んでいる。セラミックセパレータ41は、セラミックス層41nの中央部41ncを正極20に当接させている。一方、セラミックセパレータ43は、一端部43pおよび他端部をそれぞれ折り畳んでいない。セラミックセパレータ43は、ポリプロピレン層43mの中央部43mcを正極20に当接させている。セラミックセパレータ41の一端部41pのポリプロピレン層41mは、セラミックセパレータ43の一端部43pのポリプロピレン層43mと接合している。同様に、セラミックセパレータ41の他端部のポリプロピレン層41mは、セラミックセパレータ43の他端部のポリプロピレン層43mと接合している。
【0096】
上述した第1実施形態の変形例1によれば、以下の構成によって作用効果を奏する。
【0097】
セパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置200において、一対のセパレータ(セラミックセパレータ41および43)を用いる。例えばセパレータ接合方法において、加工工程は、一対のセパレータ(セラミックセパレータ41および43)のうち一のセパレータ(セラミックセパレータ41)の端部(一端部41pまたは他端部41qの少なくとも一方)のみを折り畳む。このセパレータ接合方法は、さらに第2配置工程を有している。第2配置工程は、接合工程の前に設けている。第2配置工程は、一のセパレータ(セラミックセパレータ41)の耐熱材(セラミックス層41n)の中央部41ncと、他のセパレータ(セラミックセパレータ43)の溶融材(ポリプロピレン層43m)の中央部43mcとが、電極(正極20または負極30)を隔てて対向するように一対のセパレータ(セラミックセパレータ41および43)を配置する。
【0098】
このような構成によれば、一のセパレータ(セラミックセパレータ41)の端部(一端部41pまたは他端部41qの少なくとも一方)のみを折り畳むことから、第1実施形態と比較して、セパレータ接合装置200の構成をさらに簡便化することができる。
【0099】
(第1実施形態の変形例2)
第1実施形態の変形例2に係る電気デバイス(袋詰電極13)のセパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置300について、
図10(C)を参照しながら説明する。
【0100】
第1実施形態の変形例2は、セラミックセパレータ41および42の端部同士を連続的に接合する構成が、前述した第1実施形態に係る構成と異なる。前述した第1実施形態では、端部同士を部分的に接合していた。第1実施形態の変形例2においては、前述した第1実施形態と同様の構成からなるものについて、同一の符号を使用し、前述した説明を省略する。
【0101】
セパレータ接合装置300のセパレータ接合部350について、
図10(C)を参照しながら説明する。
【0102】
図10(C)は、第1実施形態の変形例2に係る電気デバイス(袋詰電極13)のセパレータ接合方法を具現化したセパレータ接合装置300のセパレータ接合部350を示す斜視図である。
【0103】
セパレータ接合部350は、回転自在な加熱部材351および付勢部材352によって、セラミックセパレータ41および42の端部を一体に挟持しつつ接合する。加熱部材351は、円盤形状に形成している。加熱部材351は、加熱用の熱電対またはペルチェ素子等の熱源を内蔵している。付勢部材352は、円盤形状に形成している。付勢部材352は、積層方向Zに沿って加熱部材351と対向している。加熱部材351と付勢部材352が回転しつつセラミックセパレータ41および42を連続的に接合する。セパレータ接合部350は、第1セパレータ搬送部120および第2セパレータ搬送部130等の動作を継続させた状態で、セラミックセパレータ41および42を接合する。
【0104】
上述した第1実施形態の変形例2によれば、以下の構成によって作用効果を奏する。
【0105】
セパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置300において、特にセパレータ接合装置300の接合部(セパレータ接合部350)は、それぞれ円盤状に形成し、対面した端部同士を一体に挟持しつつ回転自在な一対の接合部材(加熱部材351および付勢部材352)を備える構成としている。一対の接合部材(加熱部材351および付勢部材352)は、端部同士を連続的に接合する。
【0106】
このような構成によれば、一対の接合部材(加熱部材351および付勢部材352)は、一対のセラミックセパレータ41および42の端部に対して連続的に当接させつつ溶着させる。したがって、一対の接合部材(加熱部材351および付勢部材352)は、溶融材(ポリプロピレン層)を線状に接合することができる。すなわち、一対の接合部材(加熱部材351および付勢部材352)は、一対のセラミックセパレータ41および42の端部を、より強固に接合することができる。さらに、このような構成によれば、一対の接合部材(加熱部材351および付勢部材352)を回転させつつ、一対のセラミックセパレータ41および42の端部同士を接合する。したがって、第1セパレータ搬送部120および第2セパレータ搬送部130の動作を継続させたままの状態で、一対のセラミックセパレータ41および42を接合することができる。すなわち、セラミックセパレータ41および42の接合に係る生産性を維持することができる。
【0107】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る電気デバイス(袋詰電極14)のセパレータ接合方法について、
図11および
図12を参照しながら説明する。
【0108】
第2実施形態は、長尺のセラミックセパレータ44を正極20に対して巻き付けつつ、一端部44rと他端部44sとを対面させる構成が、前述した第1実施形態に係る構成と異なる。前述した第1実施形態では、一対のセラミックセパレータ41および42によって正極20を挟持しつつ、端部同士を対面させていた。第2実施形態においては、前述した第1実施形態と同様の構成からなるものについて、同一の符号を使用し、前述した説明を省略する。
【0109】
セパレータ接合方法について、
図11および
図12を参照しながら説明する。
【0110】
図11は、電気デバイス(袋詰電極14)のセパレータ接合方法を模式的に示す斜視図である。
図12は、
図11(D)のセパレータ接合方法の要部を模式的に側面から示す部分断面図である。
【0111】
セラミックセパレータ44は、正極20の短手方向(
図11中の交差方向Y)に沿った幅を、正極20の短手方向の幅よりも2倍以上長く形成している。最初に、
図11(A)に示すように、正極20を、その正極電極端子21aがセラミックセパレータ44から突出するように、セラミックセパレータ44の片側に載置する。正極20は、その一端部20rがセラミックセパレータ44の中央に位置し、かつ、他端部20sがセラミックセパレータ44の他端部44sから少し内側に位置している。次に、
図11(B)に示すように、加工工程によって、セラミックセパレータ44の一端部44rを、正極20の一端部20rに沿って一定の幅で折り畳む。さらに、加工工程によって、セラミックセパレータ44の他端部44sを、正極20の長手方向の他端部20sを挟み込むように一定の幅で折り返して畳む。
【0112】
さらに、
図11(C)に示すように、巻付工程によって、セラミックセパレータ44を、正極20の他端部20sを境にして折り返しつつ、セラミックセパレータ44を正極20の両面に巻き付ける。この状態で、セラミックセパレータ44の一端部44rと他端部44sが対面する。最後に、
図11(D)および
図12に示すように、接合工程によって、加熱部材151と付勢部材152を用い、セラミックセパレータ44の一端部44rと他端部44sのポリプロピレン層44m同士を溶融して接合する。
【0113】
上述した第2実施形態によれば、以下の構成によって作用効果を奏する。
【0114】
セパレータ接合方法において、電極(正極20または負極30)と比して長尺に形成したセパレータ(セラミックセパレータ44)を用いる。この接合方法において、加工工程は、セパレータ(セラミックセパレータ44)の第1の端部(一端部44r)および第2の端部(他端部44s)を折り畳む。このセパレータ接合方法は、さらに巻付工程を有している。巻付工程は、接合工程の前に設けている。巻付工程は、セパレータ(セラミックセパレータ44)を電極(正極20または負極30)に対して巻き付けつつ、第1の端部(一端部44r)と第2の端部(他端部44s)とを対面させる。
【0115】
このような構成に示すように、電気デバイス(袋詰電極14)のセパレータ接合方法は、巻付式からなる非常に汎用性の高い方式にも適用することができる。すなわち、このセパレータ接合方法は、長尺のセパレータ(セラミックセパレータ44)を電極(正極20または負極30)に巻き付けることによって、各部材を重ね合わせて積層する方式に用いることができる。
【0116】
さらに、このような構成によれば、長尺のセパレータ(セラミックセパレータ44)は、電極(正極20または負極30)に巻き付けつつ折り返した部分を接合する必要がないことから、接合に要する設備や時間を削減することができる。さらに、このような構成によれば、長尺のセパレータ(セラミックセパレータ44)は、電極(正極20または負極30)の縁に沿って折り返すことによって、折り返す部分にのり代が生じることがないことから、材料に係るコストを削減することができる。さらに、このような構成によれば、一枚のセパレータ(セラミックセパレータ44)を用いることから、そのセパレータ(セラミックセパレータ44)を切り出すときの切断箇所を最小限にすることができ、製造コストおよび製造に要する時間を削減することができる。
【0117】
(第2実施形態の変形例)
第2実施形態の変形例に係る電気デバイス(袋詰電極15)のセパレータ接合方法について、
図13を参照しながら説明する。
【0118】
第2実施形態の変形例は、セラミックセパレータ45の一端部45rと他端部45sの両方を正極20に巻き付けつつ折り返す構成が、前述した第2実施形態に係る構成と異なる。前述した第2実施形態では、他端部44sのみを正極20に巻き付けつつ折り返していた。第2実施形態の変形例においては、前述した第2実施形態と同様の構成からなるものについて、同一の符号を使用し、前述した説明を省略する。
【0119】
セパレータ接合方法について、
図13を参照しながら説明する。
【0120】
図13は、電気デバイス(袋詰電極15)のセパレータ接合方法の要部を模式的に側面から示す部分断面図である。
【0121】
セラミックセパレータ45を正極20に巻き付ける巻付工程において、前述した第2実施形態の
図11(C)に係る部分が一部異なる。すなわち、加工工程によって一端部45rが折り畳まれた後、巻付工程は、その一端部45rを、正極20を隔てた反対側の面まで折り返す。その状態で、
図13に示すように、接合工程によって、加熱部材151と付勢部材152を用い、セラミックセパレータ45の一端部45rと他端部45sのポリプロピレン層45m同士を接合する。
【0122】
上述した第2実施形態の変形例によれば、以下の構成によって作用効果を奏する。
【0123】
セパレータ接合方法において、加工工程は、第1の端部(一端部45r)と第2の端部(他端部45s)の両方を電極(正極20または負極30)に巻き付けつつ折り返している。
【0124】
このような構成によれば、セパレータ(セラミックセパレータ45)の第1の端部(一端部45r)と第2の端部(他端部45s)の接触面積を増加させることができる。したがって、第1の端部(一端部45r)と第2の端部(他端部45s)の間の摩擦力が増加することから、互いに強固に接合させることができる。
【0125】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る電気デバイス(袋詰電極16)のセパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置400について、
図14を参照しながら説明する。
【0126】
第3実施形態は、セラミックセパレータ46を、正極20の縁20tを境にして折り返しつつ、一端部46p同士および他端部46q同士を、縁20tを境にして対面させる構成が、前述した第1実施形態に係る構成と異なる。前述した第1実施形態では、一対のセラミックセパレータ41および42によって正極20を挟持しつつ、一端部41pと一端部42p同士および他端部41qと他端部42q同士をそれぞれ対面させていた。第3実施形態においては、前述した第1実施形態と同様の構成からなるものについて、同一の符号を使用し、前述した説明を省略する。
【0127】
セパレータ接合装置400について、
図14を参照しながら説明する。
【0128】
図14は、電気デバイス(袋詰電極16)のセパレータ接合方法およびセパレータ接合装置400を示す斜視図である。
【0129】
セパレータ接合装置400の構成について、
図14を参照しながら説明する。
【0130】
セパレータ接合装置400は、部材搬送部410(正極20および袋詰電極16を搬送)、セパレータ搬送部420、セパレータ折返部430(折返工程に対応)、セパレータ端部折畳部440、およびセパレータ接合部450を含んでいる。以下、セパレータ接合装置400に含まれる構成について順に説明する。
【0131】
部材搬送部410は、正極20および袋詰電極16を搬送する。部材搬送部410は、吸着パッド411および支持部材412を備えている。吸着パッド411は、板状からなり、正極20または袋詰電極16と当接する面に吸引口を複数設けている。支持部材412は、一端に吸着パッド411を接合し、他端に電導ステージやエアーコンプレッサー等を備えた移動機構を接合している。吸着パッド411は、交差方向Yおよび積層方向Zに沿って移動自在である。
【0132】
セパレータ搬送部420は、一対の把持部材421および一対の切断部材422を備えている。一対の把持部材421は、積層方向Zに沿って開閉自在なロボットハンドに相当する。一対の把持部材421は、セパレータ供給ローラに巻き付けられている長尺のセラミックセパレータ46の端部を把持し、固定型431および移動型432に対して近接するように引き出す。一対の切断部材422は、先端に直線状の鋭利な刃を設けている。一対の切断部材422は、一対の把持部材421によって把持されている長尺状のセラミックセパレータ46を一定の幅で切断する。一対の切断部材422は、セパレータ折返部430の固定型431の端部および移動型432の端部に対向するように、それぞれ交差方向Yに沿って配設している。
【0133】
セパレータ折返部430は、折返工程に対応している。折返工程は、セラミックセパレータ46を正極20の縁20tを境にして折り返しつつ、セラミックセパレータ46の一端部46p同士および他端部46q同士を、正極20の縁20tを境にして対面させる。セパレータ折返部430は、固定型431および移動型432を備えている。固定型431および移動型432は、セラミックセパレータ46を正極20の縁20tを境にして折り返しつつ、一端部46p同士および他端部46q同士を対面させる。固定型431および移動型432は、それぞれ、板状に形成し、セラミックセパレータ46と当接する面に吸引口をマトリクス状に設けている。移動型432は、セラミックセパレータ46を中央で折り返すように、固定型431の一端を基準にして回転しつつ固定型431と対向する。
【0134】
セパレータ端部折畳部440は、加工部に相当する。セパレータ端部折畳部440は、セパレータ搬送部420に隣接して配設している。セパレータ端部折畳部440は、前述したセパレータ端部折畳部140と同様に構成している。すなわち、セパレータ端部折畳部440は、セパレータ搬送部420によって搬送されるセラミックセパレータ46の一端部46pおよび他端部46qのポリプロピレン層46mに対して回転ローラ141を付勢しつつ、一端部46pおよび他端部46qを回転ローラ141に沿って段階的に屈折させて折り畳む。
【0135】
セパレータ接合部450は、接合部に相当する。セパレータ接合部450は、加熱部材451を備えている。加熱部材451は、セパレータ折返部430の移動型432の搬送方向Xに沿った両端に、一定の間隔で複数配設している。加熱部材451は、長方体形状に形成している。加熱部材451は、ペルチェ素子等の熱源を内蔵している。複数の加熱部材451は、それぞれ断熱部材を用いて移動型432に対して断熱した状態で配設している。加熱部材451は、移動型432が固定型431に対して近接して対向すると、セラミックセパレータ46の一端部46pおよび他端部46qに対してそれぞれ押圧しつつ加熱する。加熱部材451は、セラミックセパレータ46の一端部46p同士および他端部46q同士をそれぞれ溶融させて接合する。
【0136】
セパレータ接合装置400の作用について、
図14を参照しながら説明する。
【0137】
最初に、
図14(A)に示すように、セパレータ搬送部420は、一対の把持部材421によって、セパレータ供給ローラに巻き付けられている長尺のセラミックセパレータ46の端部を把持し、そのセラミックセパレータ46を搬送方向Xに沿って引き出す。ここで、セパレータ端部折畳部440は、セパレータ搬送部420の動作に連動して、回転ローラ141によってセラミックセパレータ46の一端部46pおよび他端部46qを付勢しつつ、一端部46pおよび他端部46qを段階的に屈折させて折り畳む。
【0138】
次に、
図14(B)に示すように、セパレータ搬送部420は、一対の切断部材422によって長尺状のセラミックセパレータ46を一定の幅で切断する。このとき、セパレータ折返部430は、固定型431および移動型432によってセラミックセパレータ46を吸引して保持している。その後、部材搬送部410は、吸着パッド411によって正極20をセパレータ折返部430の固定型431の上方に搬送し、その正極20をセラミックセパレータ46に積層する。
【0139】
次に、
図14(C)に示すように、移動型432は、セラミックセパレータ46を中央で折り返すように、固定型431の一端を基準にして回転しつつ、固定型431と対向する。このとき、セパレータ接合部450は、加熱部材451によってセラミックセパレータ46の一端部46pおよび他端部46qに対して押圧しつつ加熱することによって、一端部46p同士および他端部46q同士を溶融させて接合する。
【0140】
最後に、
図14(D)に示すように、移動型432は、固定型431の一端を基準にして逆回転しつつ、固定型431から離間する。部材搬送部410は、吸着パッド411によって袋詰電極16を吸引して載置台に搬送する。袋詰電極16は、正極20を挟持したセラミックセパレータ46を接合したものである。
【0141】
上述した第3実施形態によれば、以下の構成によって作用効果を奏する。
【0142】
セパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置400において、例えばセパレータ接合方法は、電極(正極20または負極30)と比して長尺に形成したセパレータ(セラミックセパレータ46)を用いる。このセパレータ接合方法は、加工工程および接合工程に加えて、折返工程を有している。折返工程は、接合工程の前に設けている。折返工程は、セパレータ(セラミックセパレータ46)を電極(正極20または負極30)の縁20tを境にして折り返しつつ、セパレータ(セラミックセパレータ46)の端部(一端部46pまたは他端部46qの少なくとも一方)同士を、縁を境にして対面させる。
【0143】
このような構成に示すように、電気デバイス(袋詰電極16)のセパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置400は、折返式からなる非常に汎用性の高い方式にも適用することができる。すなわち、このセパレータ接合方法は、長尺のセパレータ(セラミックセパレータ46)を折り返しつつ、電極(正極20または負極30)を挟持することによって、各部材を重ね合わせて積層する方式に用いることができる。
【0144】
さらに、このような構成によれば、長尺のセパレータ(セラミックセパレータ46)は、その折り返した部分を接合する必要がないことから、接合に要する設備や時間を削減することができる。さらに、このような構成によれば、長尺のセパレータ(セラミックセパレータ46)は、電極(正極20または負極30)の縁に沿って折り返すことによって、折り返す部分にのり代が生じることがないことから、材料に係るコストを削減することができる。さらに、このような構成によれば、一枚のセパレータ(セラミックセパレータ46)を用いることから、そのセパレータ(セラミックセパレータ46)を切り出すときの切断箇所を最小限にすることができ、製造コストおよび製造に要する時間を削減することができる。
【0145】
そのほか、本発明は、特許請求の範囲に記載された構成に基づき様々な改変が可能であり、それらについても本発明の範疇である。
【0146】
例えば、第1〜第3実施形態では、リチウムイオン二次電池10に用いる袋詰電極において、電極を挟持するセパレータを互いに接合する構成で説明したが、このような構成に限定されることはない。リチウムイオン二次電池10に用いる袋詰電極以外の部材の接合にも適用することができる。
【0147】
また、第1〜第3実施形態では、二次電池をリチウムイオン二次電池10の構成で説明したが、このような構成に限定されることはない。二次電池は、例えば、ポリマーリチウム電池、ニッケル−水素電池、ニッケル−カドミウム電池として構成することができる。
【0148】
また、第1〜第3実施形態では、セパレータの耐熱材をセラミックス層の構成で説明したが、このような構成に限定されることはない。耐熱材は、セラミックスに限定されることはなく、溶融材よりも溶融温度が高い部材であればよい。
【0149】
また、第1〜第3実施形態では、セパレータの溶融材をポリプロピレンの構成で説明したが、このような構成に限定されることはない。溶融材は、ポリプロピレンに限定されることはなく、耐熱材よりも溶融温度が低い部材であればよい。
【0150】
また、第1〜第3実施形態では、正極20をセパレータによって袋詰めして袋詰電極を形成する構成で説明したが、このような構成に限定されることはない。負極30をセパレータによって袋詰めして袋詰電極を形成する構成としてもよい。
【0151】
また、第1〜第3実施形態では、電極を挟持しつつセパレータの端部同士を接合する構成で説明したが、このような構成に限定されることはない。セパレータの端部同士を接合した後に、電極を挿入して袋詰電極を形成する構成としてもよい。
【0152】
また、第1〜第3実施形態では、電極、セラミックセパレータ、および袋詰電極を自動で搬送する構成として説明したが、このような構成に限定されることはない。人手によって、電極、セラミックセパレータ、および袋詰電極を搬送する構成としてもよい。
【0153】
また、第1および第3実施形態では、セパレータの端部を折り畳んだ後に所定の長さに切断する構成で説明したが、このような構成に限定されることはない。セパレータを所定の長さに切断した後に端部を折り畳む構成としてもよい。
【0154】
また、例えば第1実施形態では、セラミックセパレータ41の一端部41pおよび他端部41qを折り畳み、セラミックセパレータ42の一端部42pおよび他端部42qを折り畳んだ上で、一端部41pと一端部42pを接合しつつ他端部41qと他端部42qを接合する構成で説明したが、このような構成に限定されることはない。セラミックセパレータ41の一端部41pのみを折り畳み、セラミックセパレータ42の一端部42pのみを折り畳んだ上で、一端部41pと一端部42pを接合してもよい。同様に、セラミックセパレータ41の他端部41qのみを折り畳み、セラミックセパレータ42の他端部42qのみを折り畳んだ上で、他端部41qと他端部42qを接合してもよい。
【0155】
また、例えば第1実施形態では、セラミックセパレータ41および42の端部に回転ローラ141を付勢しつつ、端部を回転ローラ141に沿って段階的に屈折させて折り畳む構成で説明したが、このような構成に限定されることはない。セラミックセパレータ41および42の端部に板状の固定部材を付勢しつつ、端部を固定部材に沿って段階的に屈折させて折り畳む構成としてもよい。
【0156】
また、例えば第1実施形態では、突起部を備えた加熱部材151と付勢部材152を用いて、セラミックセパレータ41および42の両端をスポット溶着する構成として説明したが、このような構成に限定されることはない。突起部を備えた加熱部材151と付勢部材152を、接合部40hが搬送方向Xに沿って連なるように作動させて、セラミックセパレータ41および42の両端をシーム溶着する構成としてもよい。
【0157】
また、第1実施形態の変形例2では、円盤状の加熱部材351と付勢部材352を用いて、セラミックセパレータ41および42の両端をシーム溶着する構成として説明したが、このような構成に限定されることはない。円盤状の加熱部材351と付勢部材352をセパレータから一定の周期で離間させることによって、セラミックセパレータ41および42の両端をスポット溶着する構成としてもよい。
【0158】
また、第3実施形態では、セラミックセパレータ46を正極20の短手方向に沿って折り返す構成として説明したが、このような構成に限定されることはない。セラミックセパレータ46を正極20の長手方向に沿って折り返す構成としてもよい。