特許第6413304号(P6413304)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6413304
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】電池監視装置および電池監視方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/02 20060101AFI20181022BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20181022BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20181022BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20181022BHJP
   G01R 31/36 20060101ALI20181022BHJP
   H04L 12/42 20060101ALI20181022BHJP
【FI】
   G01R31/02
   H02J7/00 Y
   H01M10/48 P
   H01M10/48 301
   H01M10/42 P
   G01R31/36 A
   H04L12/42 M
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-76121(P2014-76121)
(22)【出願日】2014年4月2日
(65)【公開番号】特開2015-197393(P2015-197393A)
(43)【公開日】2015年11月9日
【審査請求日】2016年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【復代理人】
【識別番号】100131521
【弁理士】
【氏名又は名称】堀口 忍
(72)【発明者】
【氏名】長谷 隆介
【審査官】 山崎 仁之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0244847(US,A1)
【文献】 特開平01−279652(JP,A)
【文献】 特開2004−015488(JP,A)
【文献】 特開2012−178936(JP,A)
【文献】 特開2009−089521(JP,A)
【文献】 特開2015−015878(JP,A)
【文献】 特開2016−080559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/02
G01R 31/36
H01M 10/42
H01M 10/48
H02J 7/00
H04L 12/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池の状態を監視する複数の監視部と信号線により環状接続される制御部であって、
記制御部に接続される一方の監視部へ第1の検知信号を送信し、前記監視部あるいは前記信号線に異常があると、異常を検知した監視部から送信される予め決められたデューティ比のパルス信号である第2の検知信号、または、前記第2の検知信号を受信した監視部それぞれによりデューティ比を変化させた第2の検知信号、を前記制御部に接続される他方の監視部から受信し、
前記他方の監視部へ前記第1の検知信号を送信し、前記監視部あるいは前記信号線に異常があると、異常を検知した監視部から送信される予め決められたデューティ比のパルス信号である第3の検知信号、または、前記第3の検知信号を受信した監視部それぞれによりデューティ比を変化させた第3の検知信号、を前記一方の監視部から受信し、
前記第2の検知信号のデューティ比と前記第3の検知信号のデューティ比の変化量に応じて、異常箇所を特定する
ことを特徴とする制御部
【請求項2】
電池の状態を監視する複数の監視部と信号線により環状接続される制御部であって、
記制御部に接続される一方の監視部へ第1の検知信号を送信し、前記監視部あるいは前記信号線に異常があると、異常を検知した監視部から送信される予め決められた周波数の信号である第2の検知信号、または、前記第2の検知信号を受信した監視部それぞれにより周波数を変化させた第2の検知信号、を前記制御部に接続される他方の監視部から受信し、
前記他方の監視部へ前記第1の検知信号を送信し、前記監視部あるいは前記信号線に異常があると、異常を検知した監視部から送信される予め決められた周波数の信号である第3の検知信号、または、前記第3の検知信号を受信した監視部それぞれにより周波数を変化させた第3の検知信号、を前記一方の監視部から受信し、
前記第2の検知信号の周波数と前記第3の検知信号の周波数の変化量に応じて、異常箇所を特定する
ことを特徴とする制御部
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の制御部であって、
記他方の監視部から受信した前記第2の検知信号の変化と、前記一方の監視部から受信した前記第3の検知信号の変化と、を検出し、検出した変化に応じて前記監視部あるいは前記信号線の異常箇所を特定する、ことを特徴とする制御部
【請求項4】
請求項3に記載の制御部であって、
め記憶されている前記監視部の総数と、特定した前記異常箇所と、を用いて異常により使用できない監視部の総数を求める、ことを特徴とする制御部
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の制御部であって、
前記監視部それぞれは、前記一方の監視部あるいは前記他方の監視部から送信された前記第1の検知信号、または、正常な監視部それぞれにより所定の変化をさせた前記第1の検知信号、を受信すると、受信した前記第1の検知信号の変化に応じた識別情報を設定する、ことを特徴とする制御部
【請求項6】
電池の状態を監視する複数の監視部と制御部とが信号線により環状接続される電池監視装置の電池監視方法であって、
前記制御部は、
前記制御部に接続される一方の監視部と他方の監視部へ第1の検知信号を送信し、
前記監視部は、
前記一方の監視部へ前記第1の検知信号が送信された場合、前段の監視部あるいは前記信号線に異常があると、異常を検知したことを示す予め決められたデューティ比のパルス信号である第2の検知信号、または、前記第2の検知信号を受信すると、デューティ比を変化させた第2の検知信号、を次の監視部または前記制御部に送信し、
また、前記他方の監視部へ前記第1の検知信号が送信された場合、前段の監視部あるいは前記信号線に異常があると、異常を検知したことを示す予め決められたデューティ比のパルス信号である第3の検知信号、または、前記第3の検知信号を受信すると、デューティ比を変化させた第3の検知信号、を次の監視部または前記制御部に送信し、
前記制御部は、
前記他方の監視部から受信した前記第2の検知信号のデューティ比と前記一方の監視部から受信した前記第3の検知信号のデューティ比の変化量に応じて、異常箇所を特定する、
ことを特徴とする電池監視方法。
【請求項7】
電池の状態を監視する複数の監視部と制御部とが信号線により環状接続される電池監視装置の電池監視方法であって、
前記制御部は、
前記制御部に接続される一方の監視部と他方の監視部へ第1の検知信号を送信し、
前記監視部は、
前記一方の監視部へ前記第1の検知信号が送信された場合、前段の監視部あるいは前記信号線に異常があると、異常を検知したことを示す予め決められた周波数の信号である第2の検知信号、または、前記第2の検知信号を受信すると、周波数を変化させた第2の検知信号、を次の監視部または前記制御部に送信し、
また、前記他方の監視部へ前記第1の検知信号が送信された場合、前段の監視部あるいは前記信号線に異常があると、異常を検知したことを示す予め決められた周波数の信号である第3の検知信号、または、前記第3の検知信号を受信すると、周波数を変化させた第3の検知信号、を次の監視部または前記制御部に送信し、
前記制御部は、
前記他方の監視部から受信した前記第2の検知信号の周波数と前記一方の監視部から受信した前記第3の検知信号の周波数の変化量に応じて、異常箇所を特定する、
ことを特徴とする電池監視方法。
【請求項8】
電池の状態を監視する監視部であって、
複数の当該監視部と制御部とが信号線により環状接続され、
当該監視部が、
一方の方向で、前段の監視部または前記制御部から送信される第1の検知信号を受信できない場合は、異常を検知し、前記第1の検知信号とは異なる予め決められたデューティ比のパルス信号である第2の検知信号を次の監視部または前記制御部に送信し、前記第2の検知信号を受信した場合は、デューティ比を変化させた第2の検知信号を次の監視部または前記制御部に送信し、
他方の方向で、前段の監視部または前記制御部から送信される第1の検知信号を受信できない場合は、異常を検知し、前記第1の検知信号とは異なる予め決められたデューティ比のパルス信号である第3の検知信号を次の監視部または前記制御部に送信し、前記第3の検知信号を受信した場合は、デューティ比を変化させた第3の検知信号を次の監視部または前記制御部に送信する
ことを特徴とする監視部。
【請求項9】
電池の状態を監視する監視部であって、
複数の当該監視部と制御部とが信号線により環状接続され、
当該監視部が、
一方の方向で、前段の監視部または前記制御部から送信される第1の検知信号を受信できない場合は、異常を検知し、前記第1の検知信号とは異なる予め決められた周波数の信号である第2の検知信号を次の監視部または前記制御部に送信し、前記第2の検知信号を受信した場合は、周波数を変化させた第2の検知信号を次の監視部または前記制御部に送信し、
他方の方向で、前段の監視部または前記制御部から送信される第1の検知信号を受信できない場合は、異常を検知し、前記第1の検知信号とは異なる予め決められた周波数の信号である第3の検知信号を次の監視部または前記制御部に送信し、前記第3の検知信号を受信した場合は、周波数を変化させた第3の検知信号を次の監視部または前記制御部に送信する
ことを特徴とする監視部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電池のそれぞれの状態を監視する電池監視装置および電池監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電動フォークリフト、ハイブリッド車、電気自動車などの車両に搭載される電池パックは、負荷へ大きな電力を安定して供給するため、単電池または複数の電池を直列に接続した組電池を有する電池モジュールを、それぞれ複数並列に接続して用いることが知られている。電池モジュールそれぞれは、単電池または組電池以外に、電池の状態を計測する各種センサと、各種センサの計測結果を用いて電池の状態を監視する複数の監視部と、を有している。また、電池パックにおいては、複数の監視部と、複数の監視部から電池の状態を示す情報を取得する制御部と、が送受信可能に接続され、制御部は電池の異常判定や電池パックの各部の制御をしている。関連する技術として、例えば、特許文献1−3には複数の監視部と制御部とが接続されている装置において、制御部と監視部を用いて電池の異常を判定する技術が開示されている。
【0003】
次に、電池パックにおいて複数の監視部と制御部との接続は、複数の監視部と制御部とを信号線により環状に接続してもよい。しかしながら、その場合には監視部または信号線に異常があると、制御部はすべての監視部との送受信ができなくなるため、電池の監視ができなくなる。ついては監視部の異常を判定することもできなくなる。そのため、制御部と複数の監視部とを信号線により環状に接続した構成においては、速やかに異常箇所の特定を行い、制御部と複数の監視部との送受信を再開させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−083123号公報
【特許文献2】特開2011−154016号公報
【特許文献3】特開2011−047918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、複数の監視部と制御部とが信号線により環状接続されている場合に、異常を検知した監視部から送信される検知信号を、制御部に接続される一方の監視部と他方の監視部とを介して受信し、受信した検知信号それぞれに基づいて異常箇所を特定する電池監視装置および電池監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施の形態によれば、電池監視装置は、電池の状態を監視する複数の監視部と、制御部と、を有し、複数の監視部と制御部とは信号線により環状接続されている。
制御部は、制御部に接続される一方の監視部へ第1の検知信号を送信し、監視部あるいは信号線に異常があると、異常を検知した監視部から送信される第2の検知信号、または、第2の検知信号を受信した監視部それぞれにより所定の変化をさせた第2の検知信号、を制御部に接続される他方の監視部から受信する。
【0007】
また、制御部は、他方の監視部へ第1の検知信号を送信し、監視部あるいは信号線に異常があると、異常を検知した監視部から送信される第3の検知信号、または、第3の検知信号を受信した監視部それぞれにより所定の変化をさせた第3の検知信号、を一方の監視部から受信する。
【0008】
第2の検知信号と第3の検知信号とを制御部が受信すると、制御部はその第2の検知信号と第3の検知信号に基づいて異常箇所を特定する。
【発明の効果】
【0009】
本実施の形態によれば、複数の監視部と制御部とが信号線により環状接続されている場合に、異常を検知した監視部から送信される検知信号を、制御部に接続される一方の監視部と他方の監視部とから受信し、受信した検知信号それぞれに基づいて異常箇所を特定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、電池監視装置の一実施例を示す図である。
図2図2は、複数の異常箇所がある電池監視装置を示す図である。
図3図3は、複数の異常箇所がある電池監視装置を示す図である。
図4図4は、電池監視装置の制御部の動作の一実施例を示すフロー図である。
図5図5は、電池監視装置の監視部の動作の一実施例を示すフロー図である。
図6図6は、電池監視装置の監視部の動作の一実施例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面に基づいて実施形態について詳細に説明する。
図1は、電池監視装置の一実施例を示す図である。図1に示す電池監視装置1は、電池モジュール2(2−1〜2−5)、制御部3、メインリレー4を備えている。電池監視装置1は、例えば、電動フォークリフト、ハイブリッド車、電気自動車などの車両に搭載することが考えられる。
【0012】
電池モジュール2(2−1〜2−5)それぞれは、電力線により互いに並列接続され、メインリレー4を介して負荷11に電力を供給する。なお、電池モジュール2の数は5つに限定されるものではない。制御部3は、メインリレー4を切り替える(オン/オフ)制御をする。メインリレー4は、制御部3により切り替え(オン/オフ)制御され、電池モジュール2(2−1〜2−5)の電池5それぞれから負荷11へ電力を供給する電力線を遮断する。
【0013】
電池モジュール2について説明する。
電池モジュール2(2−1〜2−5)それぞれは、電池5、リレー6、電圧検出部7、電流検出部8、温度検出部9、監視部10(10−1〜10−5)を備えている。
【0014】
電池モジュール2の電池5それぞれは、電力線により互いに並列接続され、メインリレー4を介して負荷11に電力を供給する。また、電池5は充電可能な電池であり、例えば、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池などが考えられる。電池5は、例えば、単電池あるいは複数の電池を直列接続させた組電池などが考えられる。
【0015】
リレー6は、メインリレー4と電池5との間に設けられている。リレー6がオンしているときにメインリレー4がオンすると、電池5から電力線を介して負荷11へ電力が供給される。電圧検出部7は、電池5の電圧を検出するもので、例えば、電圧計が考えられる。電流検出部8は、充電時または放電時に電池5から流れる電流を検出するもので、例えば、電流計が考えられる。温度検出部9は、電池5の周辺温度を検出するもので、例えば、サーミスタが考えられる。
【0016】
監視部10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、マルチコアCPU、プログラマブルなデバイス(FPGA(Field Programmable Gate Array)、PLD(Programmable Logic Device)など)などにより構成され、記憶部12に記憶されているプログラムをCPU、マルチコアCPU、プログラマブルなデバイスなどが読み出して実行することにより、後述する監視部の機能が実現される。また、監視部10(10−1〜10−5)それぞれは、リレー6を切り替える(オン/オフ)制御をする。監視部10(10−1〜10−5)それぞれは、例えば、監視ECU(Electronic Control Unit)である。また、監視部10(10−1〜10−5)それぞれは、記憶部12、検知部13、送受信部14を備える。記憶部12はROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などであり、各種情報や各種プログラムを記憶する。
【0017】
監視部10または信号線が正常である場合について説明する。
検知部13は、監視部10(10−1〜10−5)それぞれまたは信号線が正常であるか否かを判定するために、前段の制御部3または監視部10から送信される後述する第1の検知信号を、送受信部14を介して受信する。その検知部13が正常に第1の検知信号を受信できると、第1の検知信号を次の監視部10または制御部3に送信する。
【0018】
すなわち、制御部3から監視部10−1の方向(一方の方向)へ第1の検知信号を送信した場合、監視部10−1から監視部10−5の方向(一方の方向)へ第1の検知信号が順に送信され、監視部10−5から送信された第1の検知信号を制御部3が受信する。あるいは、制御部3から監視部10−5の方向(他方の方向)へ第1の検知信号を送信した場合、監視部10−5から監視部10−1の方向(他方の方向)へ第1の検知信号が順に送信され、監視部10−1から送信された第1の検知信号を制御部3が受信する。
【0019】
第1の検知信号は、所定期間Tにおいて所定期間t1(t1<T)だけパルスを送信させた信号である。すなわち、予め決めたデューティ比のパルス信号を送信する。ただし、第1の検知信号は予め決めたデューティ比のパルス信号に限定されるものではなく、予め決められた周波数の信号(パルス信号以外の信号などを含む)を送信してもよいし、予め決めた形状の波形の信号を送信してもよいし、予め決められた電圧の信号を送信してもよい。さらに、第1の検知信号は複数回送信してもよい。
【0020】
上記のように、制御部3が第1の検知信号を正常に受信できた場合、第1の検知信号を送信した監視部10(10−1〜10−5)またはその送信に用いられた信号線が正常であると判定できる。信号線が正常であるとは、例えば、信号線がコネクタを両端に有するハーネスの場合、線材に断線がない状態、および、監視部10のコネクタにハーネスのコネクタが正しく嵌合している状態である。
【0021】
なお、制御部3から監視部10への第1の検知信号の送信は、監視部10−1の方向(一方の方向)から先にしてもよいし、監視部10−5の方向(他方の方向)から先にしてもよい。さらに、制御部3が一方の方向において監視部10(10−1〜10−5)および信号線が正常であると判定した場合には、他方の方向へ第1の検知信号の送信をしなくてもよい。また、その逆についても同様のことが言える。
【0022】
また、上記では検知部13は、第1の検知信号を受信した場合、監視部10に異常がなければ、次の監視部10または制御部3へ第1の検知信号を送信したが、受信した第1の検知信号を、所定の変化をさせてから次の監視部10または制御部3へ送信してもよい。第1の検知信号を変化させるとは、例えば、受信した第1の検知信号のデューティ比が4(%)である場合に、デューティ比を8(%)にして出力することが考えられる。なお、予め決められた周波数を所定の周波数に変化させた信号(パルス信号以外の信号など)を送信してもよいし、予め決めた形状の波形を所定の形状に変化させた信号を送信してもよいし、予め決められた電圧の信号を送信してもよい。
【0023】
監視部10または信号線に異常がある場合について説明する。
検知部13は、前段の制御部3または監視部10から送信される第1の検知信号を、送受信部14を介して受信できない場合、その検知部13に第1の検知信号を送信できない前段の監視部10、あるいは前段の監視部10と自身の監視部10とが接続されている信号線に、異常があると判定する。受信できない場合とは、例えば、予め決められた時間を経過しても第1の検知信号を受信できない場合などが考えられる。また、信号線が異常であるとは、例えば、線材に断線がある状態やコネクタが抜けている状態である。
【0024】
制御部3に接続される一方の監視部10−1へ制御部3から第1の検知信号が送信された場合(一方の方向に送信された場合)、監視部10(10−1〜10−5)あるいは信号線に異常があることを検知した監視部10の検知部13は、送受信部14を介して後述する第2の検知信号を、一方の方向にある監視部10または制御部3に送信する。
【0025】
例えば監視部10−3が異常を検知した場合であれば、監視部10−2あるいは監視部10−2と監視部10−3とを接続する信号線に異常があるとして、監視部10−4、10−5を介して制御部3へ第1の検知信号と異なる第2の検知信号を送信すれば、その第2の検知信号を受信することで制御部3は異常を検知できる。
【0026】
また、制御部3に接続される他方の監視部10−5へ制御部3から第1の検知信号が送信された場合(他方の方向に送信された場合)、監視部10(10−1〜10−5)あるいは信号線に異常があることを検知した監視部10の検知部13は、送受信部14を介して後述する第3の検知信号を、他方の方向にある監視部10または制御部3に送信する。
【0027】
例えば監視部10−2が異常を検知した場合であれば、監視部10−3あるいは監視部10−3と監視部10−2とを接続する信号線に異常があるとして、監視部10−1を介して制御部3へ第1の検知信号と異なる第3の検知信号を送信すれば、その第3の検知信号を受信することで制御部3は異常を検知できる。
【0028】
しかしながら、ただ単に第1の検知信号と異なる第2の検知信号または第3の検知信号を送信しただけでは、異常箇所を特定することはできない。
そこで、検知部13は、所定期間Tにおいて所定期間t2(t1≠t2<T)だけパルスを送信させる第2の検知信号または第3の検知信号を送信することが考えられる。すなわち、予め決めたデューティ比のパルス信号を送信する。ただし、第2の検知信号または第3の検知信号は予め決めたデューティ比のパルス信号に限定されるものではなく、予め決められた周波数の信号(パルス信号以外の信号など)を送信してもよいし、予め決めた形状の波形の信号を送信してもよいし、予め決められた電圧の信号を送信してもよい。さらに、第2の検知信号または第3の検知信号は複数回送信してもよい。
【0029】
また、前段の監視部10から第2の検知信号または第3の検知信号を受信した検知部13は、受信した第2の検知信号または第3の検知信号を、所定の変化をさせてから、送受信部14を介して次の監視部10または制御部3へ送信する。第2の検知信号または第3の検知信号を所定の変化をさせるとは、例えば、受信した第2の検知信号のデューティ比が54(%)である場合に、その受信したデューティ比を所定の変化(例えば4(%))をさせてデューティ比を58(%)にすることが考えられる。なお、予め決められた周波数を所定の周波数に変化させた信号(パルス信号以外の信号など)を送信してもよいし、予め決めた形状の波形を所定の形状に変化させた信号を送信してもよいし、予め決められた電圧の信号を送信してもよい。なお、第3の検知信号についても同様のことが言える。
(1)異常箇所が1つの場合について説明する
監視部10−2と監視部10−3との間に信号線の異常がある場合を例に説明をする。第1の検知信号が一方の方向に送信された場合に、監視部10−3が異常を検知した場合には、監視部10−3はデューティ比54(%)(=基準値50(%)+4(%))の第2の検知信号を監視部10−4に送信し、監視部10−4はデューティ比54(%)を58(%)(=54(%)+4(%))に変化させた第2の検知信号を監視部10−5に送信し、監視部10−5はデューティ比58(%)を62(%)(=58(%)+4(%))に変化させた第2の検知信号を制御部3に送信する。その結果、デューティ比62(%)の第2の検知信号を受信した制御部3は、異常箇所を特定することができる。すなわち、本例では受信した第2の検知信号のデューティ比を4(%)変化させているので、デューティ比62(%)を受信した制御部3は、(62(%)−基準値50(%))/4(%)=3を求めて、監視部10−5の方向(他方の方向)に監視部10−5から数えて3個目にある監視部10−3が異常を検知したこと、および、監視部10−2あるいは監視部10−2と監視部10−3を接続する信号線に異常があることを検知できる。
【0030】
次に、第1の検知信号が他方の方向に送信された場合に、監視部10−2が異常を検知した場合には、監視部10−2はデューティ比54(%)(=基準値50(%)+4(%))の第3の検知信号を監視部10−1に送信し、監視部10−1はデューティ比54(%)を58(%)(=54(%)+4(%))に変化させた第3の検知信号を制御部3に送信する。その結果、デューティ比58(%)の第3の検知信号を受信した制御部3は、異常箇所を特定することができる。すなわち、本例では受信した第3の検知信号のデューティ比を4(%)変化させているので、デューティ比58(%)を受信した制御部3は、(58(%)−基準値50(%))/4(%)=2を求めて、監視部10−1の方向(一方の方向)に監視部10−1から数えて2個目にある監視部10−2が異常を検知したこと、および、監視部10−3あるいは監視部10−2と監視部10−3を接続する信号線に異常があることを検知できる。
【0031】
また、制御部3が、接続される監視部10の総数、本例では5個、を予め認識している場合、第2の検知信号により監視部10−3が異常を検知し、第3の検知信号により監視部10−2が異常を検知しているので、監視部10(10−1〜10−5)はすべて正常であることが推定される、そうすると監視部10−2と監視部10−3との間の信号線に、線材が断線している状態あるいはコネクタが抜けている状態があると推定できる。
(2)異常箇所が複数の場合について説明する
図2図3は、複数の異常箇所がある電池監視装置を示す図である。図2図3の電池監視装置には、監視部10−2と監視部10−3とを接続する信号線の異常箇所(b1)および監視部10−4と監視部10−5とを接続する信号線の異常箇所(b2)が示されている。
【0032】
まず、第1の検知信号が一方の方向に送信された場合には、信号線の異常箇所(b1)により監視部10−2から送信させた第1の検知信号を監視部10−3で受信できないため、監視部10−3はデューティ比54(%)(=基準値50(%)+4(%))の第2の検知信号を監視部10−4に送信し、監視部10−4はデューティ比54(%)を58(%)(=54(%)+4(%))に変化させた第2の検知信号を監視部10−5に送信する。しかし、信号線の異常箇所(b2)により監視部10−4から送信させた第2の検知信号を監視部10−5で受信できないため、監視部10−5はデューティ比54(%)の第2の検知信号を制御部3に送信する。その結果、デューティ比54(%)の第2の検知信号を受信した制御部3は、(54(%)−基準値50(%))/4(%)=1を求めて、監視部10−5の方向(他方の方向)に監視部10−5から数えて1個目にある監視部10−5が異常を検知したこと、および、監視部10−4あるいは監視部10−4と監視部10−5を接続する信号線に異常があることを検知できる。
【0033】
次に、第1の検知信号が他方の方向に送信された場合には、信号線の異常箇所(b2)により監視部10−5から送信させた第1の検知信号を監視部10−4で受信できないため、監視部10−4はデューティ比54(%)(=基準値50(%)+4(%))の第3の検知信号を監視部10−3に送信し、監視部10−3はデューティ比54(%)を58(%)(=54(%)+4(%))に変化させた第3の検知信号を監視部10−2に送信する。しかし、信号線の異常箇所(b1)により監視部10−3から送信させた第2の検知信号を監視部10−2で受信できないため、監視部10−2はデューティ比54(%)の第3の検知信号を監視部10−1に送信し、監視部10−1はデューティ比54(%)を58(%)(=54(%)+4(%))に変化させた第3の検知信号を制御部3に送信する。その結果、デューティ比58(%)の第3の検知信号を受信した制御部3は、本例では受信した第3の検知信号のデューティ比を4(%)変化させているので、デューティ比58(%)を受信した制御部3は、(58(%)−基準値50(%))/4(%)=2を求めて、監視部10−1の方向(一方の方向)に監視部10−1から数えて2個目にある監視部10−2が異常を検知したこと、および、監視部10−2あるいは監視部10−2と監視部10−3を接続する信号線に異常があることを検知できる。
【0034】
また、第2の検知信号により監視部10−5が異常を検知し、第3の検知信号により監視部10−2が異常を検知しているので、監視部10−3と監視部10−4に異常があるか、あるいは監視部10−2と監視部10−3との間にある信号線と監視部10−4と監視部10−5との間にある信号線とに、線材が断線している状態あるいはコネクタが抜けている状態があると推定できる。
【0035】
制御部3について説明する。
制御部3は、例えば、CPU、マルチコアCPU、プログラマブルなデバイスなどにより構成され、記憶部15に記憶されているプログラムをCPU、マルチコアCPU、又はプログラマブルなデバイスなどが読み出して実行することにより、後述する制御部の機能が実現される。なお、制御部3は電池ECUなどである。また、制御部3は、記憶部15、特定部16、送受信部17を備える。記憶部15は、例えば、ROMやRAMであり、各種情報や各種プログラムを記憶する。
【0036】
監視部10または信号線が正常である場合について説明する。
制御部3の特定部16は、第1の検知信号を、制御部3に接続される一方の監視部10−1または制御部3に接続される他方の監視部10−5へ、送受信部17を介して送信する。
【0037】
制御部3から制御部3の一方に接続される監視部10−1へ第1の検知信号が送信された場合に、制御部3の他方に接続される監視部10−5から送信された第1の検知信号を、送受信部17を介して特定部16が受信した場合は、監視部10(10−1〜10−5)および信号線は正常であると、制御部3が判定する。
【0038】
また、制御部3から制御部3の他方に接続される監視部10−5へ第1の検知信号が送信された場合に、制御部3の一方に接続される監視部10−1から送信された第1の検知信号を、送受信部17を介して特定部16が受信した場合も、監視部10−1〜10−5および信号線は正常であると、制御部3が判定する。
【0039】
さらに、制御部3が一方の方向において監視部10(10−1〜10−5)および信号線が正常であると判定した場合には、他方の方向へ第1の検知信号の送信をしなくてもよい。また、その逆についても同様のことが言える。なお、第1の検知信号は複数回送信してもよい。
【0040】
監視部10または信号線に異常がある場合について説明する。
他方の監視部10−5から受信した第2の検知信号と、一方の監視部10−1から受信した第3の検知信号と、に基づいて特定部16は異常箇所を特定する。
【0041】
制御部3は、他方の監視部10−5から受信した第2の検知信号の変化と、一方の監視部10−1から受信した第3の検知信号の変化と、を検出し、検出した変化に応じて監視部あるいは信号線の異常箇所を特定する。
(3)異常箇所が1つの場合について説明する
監視部10−2と監視部10−3との間に信号線の異常がある場合を例に説明をする。第1の検知信号が一方の方向に送信された場合に、監視部10−3が異常を検知した場合には、制御部3は監視部10−5からデューティ比62(%)の第2の検知信号を受信する。その結果、デューティ比62(%)の第2の検知信号を受信した制御部3は、本例では受信した第2の検知信号のデューティ比を4(%)変化させているので、デューティ比62(%)を受信した場合、(62(%)−基準値50(%))/4(%)=3を求めて、監視部10−5の方向(他方の方向)に監視部10−5から数えて3個目にある監視部10−3が異常を検知したこと、および、監視部10−2あるいは監視部10−2と監視部10−3を接続する信号線に異常箇所があることを特定できる。
【0042】
次に、第1の検知信号が他方の方向に送信された場合に、監視部10−2が異常を検知した場合には、制御部3は監視部10−1からデューティ比58(%)の第3の検知信号を受信する。その結果、デューティ比58(%)の第3の検知信号を受信した制御部3は、異常箇所を特定することができる。すなわち、本例では受信した第3の検知信号のデューティ比を4(%)変化させているので、デューティ比58(%)を受信した制御部3は、(58(%)−基準値50(%))/4(%)=2を求めて、監視部10−1の方向(一方の方向)に監視部10−1から数えて2個目にある監視部10−2が異常を検知したこと、および、監視部10−3あるいは監視部10−3と監視部10−2を接続する信号線に異常箇所があることを特定できる。
【0043】
また、制御部3が、接続される監視部10の総数、本例では5個、を予め認識している場合、第2の検知信号により監視部10−3が異常を検知し、第3の検知信号により監視部10−2が異常を検知しているので、監視部10(10−1〜10−5)はすべて正常であることが推定される、そうすると監視部10−2と監視部10−3との間の信号線に、線材が断線している状態あるいはコネクタが抜けている状態があると特定できる。
(4)異常箇所が複数の場合について説明する
第1の検知信号が一方の方向に送信された場合には、信号線の異常箇所(b1、b2)により第1の検知信号および第2の検知信号を受信できない監視部10−3、10−5があるため、監視部10−5はデューティ比54(%)の第2の検知信号を制御部3に送信する。その結果、デューティ比54(%)の第2の検知信号を受信した制御部3は、(54(%)−50(%))/4(%)=1を求めて、監視部10−5の方向(他方の方向)に監視部10−5から数えて1個目にある監視部10−5が異常を検知したこと、および、監視部10−4あるいは監視部10−4と監視部10−5を接続する信号線に異常箇所があることを特定できる。
【0044】
次に、第1の検知信号が他方の方向に送信された場合には、信号線の異常箇所(b2、b1)により第1の検知信号および第3の検知信号を受信できない監視部10−4、10−2があるため、監視部10−1はデューティ比58(%)の第3の検知信号を制御部3に送信する。その結果、デューティ比58(%)の第3の検知信号を受信した制御部3は、本例では受信した第3の検知信号のデューティ比を4(%)変化させているので、デューティ比58(%)を受信した制御部3は、(58(%)−基準値50(%))/4(%)=2を求めて、監視部10−1の方向(一方の方向)に監視部10−1から数えて2個目にある監視部10−2が異常を検知したこと、および、監視部10−2あるいは監視部10−2と監視部10−3を接続する信号線に異常箇所があることを特定できる。
【0045】
また、第2の検知信号により監視部10−5が異常を検知し、第3の検知信号により監視部10−2が異常を検知しているので、監視部10−3と監視部10−4に異常があるか、あるいは監視部10−2と監視部10−3との間にある信号線と監視部10−4と監視部10−5との間にある信号線とに、線材が断線している状態あるいはコネクタが抜けている状態があると推定できる。
【0046】
また、制御部3は、記憶部15に予め記憶されている監視部10の総数と、特定した異常箇所と、を用いて、異常により使用できない監視部10の数を求める。例えば、監視部10(10−1〜10−5)の総数naと、監視部10−5から他方の方向にある異常を検知し監視部10までの監視部10の数m1と、監視部10−1から一方の方向にある異常を検知し監視部10までの監視部10の数m2と、を用いて異常により使用できない監視部の総数nb(=na−(m1+m2))を求める。例えば図2図3において総数na=5である場合に、m1=1でm2=2であるので、異常により使用できない監視部10の総数nb=2となる。この総数nbを、電池モジュール2を交換する作業者などに、通知することで、作業効率を向上させることができる。
【0047】
電池監視装置の動作について説明する。
図4は、電池監視装置の制御部の動作の一実施例を示すフロー図である。
ステップS1では、制御部3が第1の検知信号を送信する方向を設定する。本例では図1に示す監視部10−1の方向(一方の方向)に設定する。なお、複数の監視部10(10−1〜10−5)についても一方の方向に設定する。送信する方向の設定は、例えば、電池監視装置に電力が供給された後(電源オン)、所定の期間は一方の方向に設定されることが考えられる。
【0048】
ステップS2では、第1の検知信号を、制御部3が制御部3に接続される一方の監視部10−1へ送信する。
ステップS3では、制御部3が第1の検知信号を受信したか否かを判定し、第1の検知信号を受信した場合(Yes)にはステップS4に移行し、第1の検知信号以外(第2の検知信号、第3の検知信号)を受信した場合(No)にはステップS5に移行する。例えば、制御部3が監視部10−5から第1の検知信号を受信した場合にはステップS4に移行する。なお、所定時間経過しても第1の検知信号、第2の検知信号、第3の検知信号を受信できない場合には異常箇所を特定しないで、異常があることを上位のECUなどに通知する。
【0049】
ステップS4では、制御部3が複数の監視部10(10−1〜10−5)と信号線とが正常であると判定する。
ステップS5では制御部3が第2の検知信号または第3の検知信号を受信する。
【0050】
ステップS6では、制御部3が一方の方向に設定されているか否かを判定し、一方の方向に設定されている場合(Yes)にはステップS7に移行し、他方の方向に設定されている場合(No)にはステップS9に移行する。すなわち、一方の方向に設定されている場合には第2の検知信号を受信したとしてステップS7に移行する。他方の方向に設定されている場合には第3の検知信号を受信したとしてステップS9に移行する。
【0051】
ステップS7では、制御部3から他方の方向にある異常を検知した監視部10を、制御部3が特定する。図2の場合であれば監視部10−5を特定する。
ステップS8では、制御部3が他方の方向に設定してステップS2に移行する。例えば、電力が供給された後(電源オン)、所定の期間は一方の方向に設定し、その後所定の期間は他方の方向に設定することが考えられる。
【0052】
続いて、ステップS2〜S6の処理を行い、ステップS6では他方の方向に設定されているのでステップS9に移行する。すなわち、第3の検知信号を受信したとしてステップS9に移行する。
【0053】
ステップS9では、制御部3から一方の方向にある異常を検知した監視部10を、制御部3が特定する。図3の場合であれば監視部10−2を特定する。
このように処理することで、図2図3の場合であれば、監視部10−2と監視部10−3との間(b1)と、監視部10−4と監視部10−5との間(b2)と、に2個の異常箇所があることが特定できる。
【0054】
続いて、監視部の動作について説明をする。
図5図6は、電池監視装置の監視部の動作の一実施例を示すフロー図である。
ステップS501では、第1の検知信号を送信する方向を、監視部10が一方の方向に設定をする。本例では図1に示す監視部10−1の方向(一方の方向)に設定する。例えば、電力が供給された後(電源オン)、所定の期間は一方の方向に設定することが考えられる。
【0055】
ステップS502では、監視部10が第1の検知信号を受信したか否かを判定し、第1の検知信号を受信した場合(Yes)にはステップS503に移行し、第2の検知信号を受信した場合(No)にはステップS504に移行する。
【0056】
ステップS503では、監視部10が第1の検知信号を送信する。例えば、制御部3から第1の検知信号を受信した監視部10−1は、監視部10−2に第1の検知信号を送信する。また、監視部10−4から第1の検知信号を受信した監視部10−5は、制御部3に第1の検知信号を送信して、ステップS509に移行する。
【0057】
ステップS504では、監視部10が第2の検知信号を受信したか否かを判定し、第2の検知信号を受信した場合(Yes)にはステップS505に移行し、第2の検知信号を受信できない場合(No)にはステップS507に移行する。
【0058】
ステップS505では、監視部10が受信した第2の検知信号を所定の変化をさせる。例えば、受信した第2の検知信号のデューティ比54(%)であれば4(%)変化させてデューティ比58(%)にする。
【0059】
ステップS506では、監視部10が所定の変化をさせた第2の検知信号を送信して、ステップS509に移行する。例えば、監視部10−3から第2の検知信号を受信した監視部10−4は、第2の検知信号を所定の変化をさせて、監視部10−5に送信する。また、監視部10−4から第2の検知信号を受信した監視部10−5は、第2の検知信号を所定の変化をさせて、制御部3に送信する。
【0060】
ステップS507では、監視部10が所定時間を経過したか否かを判定し、所定時間を経過している場合(Yes)にはステップS508に移行し、所定時間を経過していない場合(No)にはステップS502に移行する。
【0061】
ステップS508では、所定時間を経過しても第1の検知信号も第2の検知信号も受信できない場合、監視部10が第2の検知信号を一方の方向にある監視部10または制御部3に送信して、ステップS509に移行する。
【0062】
ステップS509では、第1の検知信号を送信する方向を、監視部10が他方の方向に設定をする。本例では図1に示す監視部10−5の方向(他方の方向)に設定する。例えば、電力が供給された後(電源オフ)、所定の期間は一方の方向に設定し、その後所定の期間は他方の方向に設定することが考えられる。
【0063】
ステップS510では、監視部10が第1の検知信号を受信したか否かを判定し、第1の検知信号を受信した場合(Yes)にはステップS511に移行し、第2の検知信号を受信した場合(No)にはステップS512に移行する。
【0064】
ステップS511では、監視部10が第1の検知信号を送信する。例えば、制御部3から第1の検知信号を受信した監視部10−5は、監視部10−4に第1の検知信号を送信する。また、監視部10−2から第1の検知信号を受信した監視部10−1は、制御部3に第1の検知信号を送信して、次の処理に移行する。
【0065】
ステップS512では、監視部10が第3の検知信号を受信したか否かを判定し、第3の検知信号を受信した場合(Yes)にはステップS513に移行し、第3の検知信号を受信できない場合(No)にはステップS515に移行する。
【0066】
ステップS513では、監視部10が受信した第3の検知信号を所定の変化をさせる。例えば、受信した第3の検知信号のデューティ比54(%)であれば4(%)変化させてデューティ比58(%)にする。
【0067】
ステップS514では、監視部10が所定の変化をさせた第3の検知信号を送信する。例えば、監視部10−4から第3の検知信号を受信した監視部10−3は、第3の検知信号を所定の変化をさせて、監視部10−2に送信する。また、監視部10−2から第3の検知信号を受信した監視部10−1は、第3の検知信号を所定の変化をさせて、制御部3に送信して、次の処理に移行する。
【0068】
ステップS515では、監視部10が所定時間を経過したか否かを判定し、所定時間を経過している場合(Yes)にはステップS516に移行し、所定時間を経過していない場合(No)にはステップS510に移行する。
【0069】
ステップS516では、所定時間を経過しても第1の検知信号も第3の検知信号も受信できない場合、監視部10が第3の検知信号を他方の方向にある監視部10または制御部3に送信して、次の処理に移行する。
【0070】
本実施の形態によれば、複数の監視部と制御部とが信号線により環状接続されている場合に、異常を検知した監視部から送信される検知信号を、制御部に接続される一方の監視部と他方の監視部とから受信し、受信した検知信号それぞれに基づいて異常箇所を特定することができるという効果を奏する。
【0071】
変形例について説明をする。
複数の監視部10(10−1〜10−5)それぞれは、一方の監視部10−1あるいは他方の監視部10−5から送信された第1の検知信号、または、正常な監視部10(10−1〜10−5)それぞれにより所定の変化をさせた第1の検知信号、を受信すると、受信した第1の検知信号の変化に応じた識別情報を設定する。例えば、複数の監視部10(10−1〜10−5)それぞれに対して、識別情報を設定する方法について説明する。
制御部3から送信される第1の検知信号をSig1とし、監視部10−1で所定の変化をさせた第1の信号をSig2とし、監視部10−2で所定の変化をさせた第1の信号をSig3とし、監視部10−3で所定の変化をさせた第1の信号をSig4とし、監視部10−4で所定の変化をさせた第1の信号をSig5とする。第1の検知信号Sig1〜Sig5はすべて異なるデューティ比(例えば、4(%)、8(%)、12(%)、16(%)、20(%))であるので、Sig1〜Sig5それぞれに対して、監視部10(10−1〜10−5)それぞれを識別する識別情報ID1〜ID5を、関連付けて記憶部12に記憶させる。ただし、第1の検知信号Sig1〜Sig5の変化はデューティ比を変化さることに限定されるものではなく、周波数または波形の形状を変化させてもよい。
【0072】
監視部10が、第1の検知信号Sig1〜Sig5のいずれかを受信すると、受信した第1の検知信号に関連付けられている識別情報を選択して、選択した識別情報を第1の検知信号を受信した監視部10の識別情報として記憶部12に記憶する。例えば、監視部10−3が第1の検知信号Sig3を受信した場合には、識別情報ID3を、監視部10−3の識別情報として記憶部12に記憶する。
【0073】
このように第1の検知信号を利用することにより、複数の監視部10(10−1〜10−5)それぞれに対して、異常と判定された監視部10を有する電池モジュール2を交換した後でも、交換した監視部10に識別情報を割り振ることができる。
【0074】
また、本実施形態の、制御部3から一方の方向の監視部10に送信される第1の検知信号と、制御部3から他方の方向の監視部10に送信される第1の検知信号は、同じデューティ比の信号でも、異なるデューティ比の信号でも良い。異なるディーティ比とは、例えば、一方の方向に送信される第1の検知信号のデューティ比が4(%)であり、他方の方向に送信される第1の検知信号のデューティ比が6(%)が考えられるが、デューティ比はこれに限定されない。
【0075】
また、本実施形態の、異常を検知した監視部10から送信される第2の検知信号と、第3の検知信号は、同じディーティ比の信号でも、異なるデューティ比の信号でもよい。
また、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 電池監視装置、
2 電池モジュール、
3 制御部、
4 メインリレー、
5 電池、
6 リレー、
7 電圧検出部、
8 電流検出部、
9 温度検出部、
10 監視部、
11 負荷、
12 記憶部、
13 検知部、
14 送受信部、
15 記憶部、
16 特定部、
17 送受信部、
図1
図2
図3
図4
図5
図6