(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るプロジェクターについて説明する。
なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0019】
また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示し、Z軸方向を
図2及び
図3に示す偏光変換素子40の高さ方向、すなわち、
図2の上下方向とし、Y軸方向を偏光変換素子40の厚み方向、すなわち、
図3の上下方向とし、X軸方向を偏光変換素子40の幅方向、すなわち、
図2の左右方向とする。
【0020】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態のプロジェクター1を示す模式図である。
プロジェクター1は、
図1に示すように、光源2と、凹レンズ20と、インテグレーター光学系30と、偏光変換素子40と、重畳光学系50と、色分離光学系3と、光変調装置4Rと、光変調装置4Gと、光変調装置4Bと、合成光学系5と、投射光学系6と、を概略備えている。
【0021】
光源2は、照明光WLを凹レンズ20に向けて射出する。光源2の構成は、特に限定されず、本実施形態において光源2は、例えば、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等のランプと、ランプの光を反射するリフレクターと、を備えている。
光源2から射出された照明光WLは、凹レンズ20を介して、インテグレーター光学系30に入射する。
【0022】
インテグレーター光学系30は、重畳光学系50と協同して被照明領域における照度分布を均一化するためのものである。インテグレーター光学系30は、第1レンズアレイ31と、第2レンズアレイ32と、を備える。第1レンズアレイ31と第2レンズアレイ32とによって、光源2からの照明光WLは、偏光変換素子40に導光される。偏光変換素子40は、
図2に示したように、中央光入射領域40a、光入射領域40d、及び光入射領域40eを備えている。偏光変換素子40の構成については、後段において詳述する。
【0023】
第1レンズアレイ31は、複数のレンズ33からなるレンズ列を奇数列備える。本実施形態においては、幅方向(X軸方向)のレンズ列の数は奇数である。
図1においては、幅方向に5つのレンズ列が配列されている。各レンズ33の幅及び厚みは、一様である。中央のレンズ列のレンズ33の光軸は、後述する偏光変換素子40の第1の光学ブロック41と第2の光学ブロック42との接合界面を通る。レンズ33は、特許請求の範囲におけるレンズに相当する。
【0024】
第2レンズアレイ32は、複数のレンズ34からなるレンズ列を奇数列備える。第1レンズアレイ31が備える複数のレンズ列の数に対応して、第2レンズアレイ32においても、幅方向に5つのレンズ列が配列されている。本実施形態においてレンズ34の幅は、第1レンズアレイ31から射出された光を偏光変換素子40の対応する光入射領域に入射させるように調整されている。
【0025】
本実施形態においては、第2レンズアレイ32の中央の3つのレンズ列のレンズ34からの光が中央光入射領域40aに入射され、第2レンズアレイ32の一方の端のレンズ列のレンズ34からの光が光入射領域40dに入射し、他方の端のレンズ列のレンズ34からの光が光入射領域40eに入射されるように、第2レンズアレイ32の各レンズ34は設計される。例えば、
図1に示す例では、レンズ34は、中央から外側に向かうにしたがって幅が大きくなる。
【0026】
インテグレーター光学系30を通過した照明光WLは、中央光入射領域40a、光入射領域40d、及び光入射領域40eから偏光変換素子40に入射する。偏光変換素子40は、照明光WLの偏光方向を揃えるものである。
【0027】
偏光変換素子40を通過することにより偏光方向が揃えられた照明光WLは、複数の光束からなる。複数の光束は重畳光学系50に入射する。重畳光学系50は、偏光変換素子40から射出された複数の光束を被照明領域において互いに重畳させるものである。重畳光学系50は、例えば、凸レンズから構成されている。インテグレーター光学系30と重畳光学系50とによって、被照明領域における照度分布が均一化される。重畳光学系50から射出された照明光WLは、色分離光学系3に入射する。
【0028】
色分離光学系3は、白色の照明光WLを赤色光LRと緑色光LGと青色光LBとに分離するためのものである。色分離光学系3は、第1のダイクロイックミラー7a及び第2のダイクロイックミラー7bと、第1の反射ミラー8a、第2の反射ミラー8b及び第3の反射ミラー8cと、第1のリレーレンズ9a及び第2のリレーレンズ9bと、を概略備えている。
【0029】
第1のダイクロイックミラー7aは、光源2からの照明光WLを赤色光LRと、その他の光(緑色光LG及び青色光LB)とに分離する機能を有する。第1のダイクロイックミラー7aは、分離された赤色光LRを透過するとともに、その他の光(緑色光LG及び青色光LB)を反射する。一方、第2のダイクロイックミラー7bは、その他の光を緑色光LGと青色光LBとに分離する機能を有する。第2のダイクロイックミラー7bは、分離された緑色光LGを反射するとともに、青色光LBを透過する。
【0030】
第1の反射ミラー8aは、赤色光LRの光路中に配置されて、第1のダイクロイックミラー7aを透過した赤色光LRを光変調装置4Rに向けて反射する。一方、第2の反射ミラー8b及び第3の反射ミラー8cは、青色光LBの光路中に配置されて、第2のダイクロイックミラー7bを透過した青色光LBを光変調装置4Bに導く。
なお、緑色光LGは、第2のダイクロイックミラー7bにより光変調装置4Gに向けて反射される。
【0031】
第1のリレーレンズ9a及び第2のリレーレンズ9bは、青色光LBの光路中における第2のダイクロイックミラー7bの光射出側に配置されている。第1のリレーレンズ9a及び第2のリレーレンズ9bは、青色光LBの光路長が赤色光LRや緑色光LGの光路長よりも長くなることに起因した青色光LBの光損失を補償する機能を有している。
【0032】
光変調装置4Rは、赤色光LRを通過させる間に、赤色光LRを画像情報に応じて変調し、赤色光LRに対応した画像光を形成する。光変調装置4Gは、緑色光LGを通過させる間に、緑色光LGを画像情報に応じて変調し、緑色光LGに対応した画像光を形成する。光変調装置4Bは、青色光LBを通過させる間に、青色光LBを画像情報に応じて変調し、青色光LBに対応した画像光を形成する。
【0033】
光変調装置4R,光変調装置4G,光変調装置4Bには、例えば透過型の液晶パネルが用いられている。また、液晶パネルの入射側及び射出側には、一対の偏光板(図示せず)が配置されている。
【0034】
光変調装置4R,光変調装置4G,光変調装置4Bの入射側には、それぞれフィールドレンズ10R,フィールドレンズ10G,フィールドレンズ10Bが配置されている。フィールドレンズ10R,フィールドレンズ10G,フィールドレンズ10Bは、光変調装置4R,光変調装置4G,光変調装置4Bそれぞれに入射する赤色光LR,緑色光LG,青色光LBを平行化するためのものである。
【0035】
合成光学系5は、光変調装置4R,光変調装置4G,光変調装置4Bそれぞれから入射した赤色光LR,緑色光LG,青色光LBに対応した画像光を合成し、合成された画像光を投射光学系6に向けて射出する。合成光学系5には、例えばクロスダイクロイックプリズムが用いられている。
【0036】
投射光学系6は、投射レンズ群から構成されている。投射光学系6は、合成光学系5により合成された画像光をスクリーンSCRに向けて拡大投射する。これにより、スクリーンSCR上には、拡大されたカラー映像が表示される。
【0037】
次に、偏光変換素子40について詳細に説明する。
図2は、偏光変換素子40を示す正面図である。
図3は、
図2におけるIII−III断面図である。
偏光変換素子40は、
図2及び
図3に示すように、第1の光学ブロック41と、第2の光学ブロック42と、位相差板47aと、位相差板47bと、位相差板48aと、位相差板48bと、を備える。第1の光学ブロック41と第2の光学ブロック42とは、後述する第1の光学ブロック41の第1の接合面41cが後述する第2の光学ブロック42の第2の接合面42cと対向して、接合されている。
【0038】
なお、以下の説明においては、各光学ブロックの幅方向(X軸方向)において、第1の光学ブロック41と第2の光学ブロック42との接合界面側を中央側、接合界面と逆側を外側と呼ぶ場合がある。
【0039】
(第1の光学ブロック)
第1の光学ブロック41は、本実施形態においては、直方体形状である。第1の光学ブロック41は、例えば、ガラス等で形成されている。
第1の光学ブロック41は、第1の光入射面41aと、第1の光射出面41bと、第1の接合面41cと、少なくとも一つの偏光分離膜と、少なくとも一つの反射膜と、を備える。反射膜は、偏光分離膜から入射する光を反射することができる部材ならば特に限定されず、金属膜、誘電体多層膜等を用いることができる。
【0040】
本実施形態においては、第1の光学ブロック41は、中央側偏光分離膜43aと、外側偏光分離膜43bと、中央側反射膜45aと、外側反射膜45bと、を含む。中央側偏光分離膜43aと、外側偏光分離膜43bと、中央側反射膜45aと、外側反射膜45bとは、Z軸方向に延在する帯状の部材であり、第1の光学ブロック41の内部に設けられている。以下、主にXY断面図を用いて説明する。
【0041】
第1の接合面41cは、特許請求の範囲における第1の面に相当する。中央側偏光分離膜43aは、特許請求の範囲における第1の偏光分離膜に相当する。外側偏光分離膜43bは、特許請求の範囲における第3の偏光分離膜に相当する。中央側反射膜45aは、特許請求の範囲における第1の反射膜に相当する。外側反射膜45bは、特許請求の範囲における第3の反射膜に相当する。
【0042】
第1の光入射面41aは、第1の光学ブロック41における光が入射する側(−Y側)の面である。
第1の光射出面41bは、第1の光入射面41aに対向する面であり、第1の光学ブロック41における光が射出される側(+Y側)の面である。
【0043】
第1の接合面41cは、後述する第2の光学ブロック42の第2の接合面42cと対向して、第2の光学ブロック42と接合される側(−X側)の面である。本実施形態において第1の接合面41cは、第1の光入射面41a及び第1の光射出面41bと直交する。
【0044】
中央側偏光分離膜43aは、
図3に示すように、第1の接合面41c及び後述する第2の接合面42cを介して、後述する第2の光学ブロック42の中央側偏光分離膜44aと対向配置されている。中央側偏光分離膜43aは、第1の光入射面41aに対して45°傾いて設けられている。中央側偏光分離膜43aの一端は、第1の光射出面41bと接続されている。中央側偏光分離膜43aの他端は、第1の接合面41cと接続されている。中央側偏光分離膜43aが第1の接合面41cと接続される位置は、第1の光入射面41aから距離D17だけ離間した位置である。言い換えると、中央側偏光分離膜43aは、第1の接合面41cにおける第1の光入射面41aから離間した位置において終端している。
【0045】
中央側偏光分離膜43aは、所定の偏光方向の光を透過させるとともに、その所定の偏光方向と異なる偏光方向の光を反射する。本実施形態においては、例えば、中央側偏光分離膜43aはS偏光を透過させ、P偏光を反射する。中央側偏光分離膜43aは、例えば、誘電体多層膜から構成される。
【0046】
外側偏光分離膜43bは、本実施啓形態においては、中央側偏光分離膜43aと平行に配置されている。すなわち、外側偏光分離膜43bは、第1の光入射面41aに対して45°傾いて設けられている。外側偏光分離膜43bの一端は、第1の光射出面41bと接続されている。外側偏光分離膜43bの他端は、第1の光入射面41aと接続されている。すなわち、外側偏光分離膜43bは、第1の光入射面41aにおいて終端している。外側偏光分離膜43bは、中央側偏光分離膜43aの第1の接合面41cとは逆側(+X側)に設けられている。外側偏光分離膜43bは、中央側偏光分離膜43aと同様の光学特性を有する。
【0047】
なお、本明細書において平行とは、部材同士が厳密に平行な場合だけでなく、設計誤差の範囲内でわずかに異なる場合も含む。具体的には、例えば、偏光分離膜及び反射膜の第1の光入射面41aに対する傾きの差が1°以内である範囲を含む。
【0048】
中央側反射膜45aは、中央側偏光分離膜43aと外側偏光分離膜43bとの間に設けられている。中央側反射膜45aは、中央側偏光分離膜43aと平行に、すなわち、第1の光入射面41aに対して45°傾いて配置されている。中央側反射膜45aの一端は、第1の光射出面41bに接続されている。中央側反射膜45aの他端は、第1の光入射面41aに接続されている。すなわち、中央側反射膜45aは、第1の光入射面41aにおいて終端している。中央側反射膜45aは、例えば、銀(Ag)、アルミニウム(Al)等の光反射率の高い金属で形成された金属膜である。
【0049】
外側反射膜45bは、外側偏光分離膜43bの中央側反射膜45aと逆側(+X側)に設けられている。外側反射膜45bは、外側偏光分離膜43bと平行に、すなわち、第1の光入射面41aに対して45°傾いて配置されている。外側反射膜45bの一端は、第1の光射出面41bに接続されている。外側反射膜45bの他端は、第1の光入射面41aに接続されている。すなわち、外側反射膜45bは、第1の光入射面41aにおいて終端している。外側反射膜45bは、中央側反射膜45aと同様に、例えば、金属で形成されている。
【0050】
Y軸方向に見たとき、第1の光射出面41bにおける中央側偏光分離膜43aが接続された位置は、第1の光入射面41aにおける中央側反射膜45aが接続された位置と重なる。Y軸方向に見たとき、第1の光射出面41bにおける中央側反射膜45aが接続された位置は、第1の光入射面41aにおける外側偏光分離膜43bが接続された位置と重なる。Y軸方向に見たとき、第1の光射出面41bにおける外側偏光分離膜43bが接続された位置は、第1の光入射面41aにおける外側反射膜45bが接続された位置と重なる。
【0051】
図2及び
図3に示すように、第1の光入射面41aにおける第1の接合面41cと中央側反射膜45aとの間には、第1中央光入射領域40bが形成されている。第1の光入射面41aにおける外側偏光分離膜43bと外側反射膜45bとの間には、光入射領域40dが形成されている。
【0052】
本実施形態においては、第1中央光入射領域40bの幅D11aは、光入射領域40dの幅D13よりも小さい。言い換えると、第1の光入射面41aにおける中央側反射膜45aが終端する位置と第1の接合面41cとの距離は、第1の光入射面41aにおける外側偏光分離膜43bが終端する位置と第1の光入射面41aにおける外側反射膜45bが終端する位置との距離より小さい。
【0053】
本実施形態においては、第1中央光入射領域40bと光入射領域40dとの間の間隔D12は、光入射領域40dの幅D13と等しい。間隔D12は、第1の光入射面41aにおける中央側反射膜45aが終端する位置と第1の光入射面41aにおける外側偏光分離膜43bが終端する位置との間隔である。
【0054】
本実施形態においては、外側偏光分離膜43bは第1の光入射面41aに対して45°傾いて配置され、かつ、Y軸方向に見たとき、第1の光射出面41bにおける外側偏光分離膜43bが接続された位置は、第1の光入射面41aにおける外側反射膜45bが接続された位置と重なる。したがって、光入射領域40dの幅D13は、第1の光学ブロック41の厚み(Y軸方向の寸法)と等しい。また、そのため、第1中央光入射領域40bの幅D11aは、第1の光学ブロック41の厚みより小さい。
【0055】
図3に示すように、本実施形態においては、中央側偏光分離膜43aと中央側反射膜45aとの間の間隔D14は、外側偏光分離膜43bと外側反射膜45bとの間の間隔D16と等しい。中央側反射膜45aと外側偏光分離膜43bとの間の間隔D15は、間隔D14と等しい。
【0056】
(第2の光学ブロック)
第2の光学ブロック42は、
図2及び
図3に示すように、本実施形態においては、直方体形状である。第2の光学ブロック42は、第1の光学ブロック41と同様に、例えば、ガラス等で形成されている。
第2の光学ブロック42は、第2の光入射面42aと、第2の光射出面42bと、第2の接合面42cと、少なくとも一つの偏光分離膜と、少なくとも一つの反射膜と、を備える。反射膜は、偏光分離膜から入射する光を反射することができる部材ならば特に限定されず、金属膜、誘電体多層膜等を用いることができる。
【0057】
本実施形態においては、第2の光学ブロック42は、中央側偏光分離膜44aと、外側偏光分離膜44bと、中央側反射膜46aと、外側反射膜46bと、を含む。中央側偏光分離膜44aと、外側偏光分離膜44bと、中央側反射膜46aと、外側反射膜46bとは、Z軸方向に延在する帯状の部材であり、第2の光学ブロック42の内部に設けられている。以下、主にXY断面図を用いて説明する。
【0058】
第2の接合面42cは、特許請求の範囲における第2の面に相当する。中央側偏光分離膜44aは、特許請求の範囲における第2の偏光分離膜に相当する。外側偏光分離膜44bは、特許請求の範囲における第4の偏光分離膜に相当する。中央側反射膜46aは、特許請求の範囲における第2の反射膜に相当する。外側反射膜46bは、特許請求の範囲における第4の反射膜に相当する。
【0059】
第2の光入射面42aは、第2の光学ブロック42における光が入射する側(−Y側)の面である。第2の光入射面42aは、第1の光学ブロック41の第1の光入射面41aと段差なく接続されている。
第2の光射出面42bは、第2の光入射面42aに対向する面であり、第2の光学ブロック42における光が射出される側(+Y側)の面である。第2の光射出面42bは、第1の光射出面41bと段差なく接続されている。
【0060】
第2の接合面42cは、第1の接合面41cと対向して、第1の光学ブロック41と接合される側(+X側)の面である。本実施形態において第2の接合面42cは、第2の光入射面42a及び第2の光射出面42bと直交する。
【0061】
中央側偏光分離膜44aは、第2の光入射面42aに対して45°傾いて設けられている。中央側偏光分離膜44aの一端は、第2の光射出面42bと接続されている。中央側偏光分離膜44aの他端は、第2の接合面42cと接続されている。中央側偏光分離膜44aが第2の接合面42cと接続される位置は、第2の光入射面42aから距離D17だけ離間した位置である。言い換えると、中央側偏光分離膜44aは、第2の接合面42cにおける第2の光入射面42aから離間した位置において終端している。中央側偏光分離膜44aは、第1の光学ブロック41の中央側偏光分離膜43aと同様の光学特性を有する。
【0062】
本実施形態においては、第2の接合面42cにおける中央側偏光分離膜44aが接続される位置と第2の光入射面42aとの距離は、第1の接合面41cにおける中央側偏光分離膜43aが接続される位置と第1の光入射面41aとの距離と等しい。そのため、中央側偏光分離膜44aは、第1の接合面41cと第2の接合面42cとが対向して接合されることで、中央側偏光分離膜43aと接続されている。
【0063】
ここで、本明細書において、中央側偏光分離膜43aと中央側偏光分離膜44aとが接続されているとは、偏光変換素子40の厚み方向(Y軸方向)において、第1の接合面41cにおける中央側偏光分離膜43aが接続された位置と、第2の接合面42cにおける中央側偏光分離膜44aが接続された位置と、が互いに一致することを含む。また、中央側偏光分離膜43aと中央側偏光分離膜44aとが接続されているとは、例えば、第1の接合面41cと第2の接合面42cとを接合するための接着剤を介して中央側偏光分離膜43aと中央側偏光分離膜44aとが接続されていることを含む。
【0064】
外側偏光分離膜44bは、本実施啓形態においては、中央側偏光分離膜44aと平行に配置されている。外側偏光分離膜44bの両端は、第2の光射出面42bと第2の光入射面42aとにそれぞれ接続されている。すなわち、外側偏光分離膜44bは、第2の光入射面42aにおいて終端している。外側偏光分離膜44bは、中央側偏光分離膜44aの第2の接合面42cとは逆側(−X側)に設けられている。外側偏光分離膜44bは、第1の光学ブロック41の中央側偏光分離膜43aと同様の光学特性を有する。
【0065】
中央側反射膜46aは、中央側偏光分離膜44aと外側偏光分離膜44bとの間に設けられている。外側反射膜46bは、外側偏光分離膜44bの中央側反射膜46aと逆側(−X側)に設けられている。中央側反射膜46a及び外側反射膜46bは、中央側偏光分離膜44a及び外側偏光分離膜44bと平行に配置されている。中央側反射膜46aの両端は、それぞれ第2の光射出面42bと第2の光入射面42aとに接続されている。外側反射膜46bの両端は、それぞれ第2の光射出面42bと第2の光入射面42aとに接続されている。すなわち、中央側反射膜46a及び外側反射膜46bは、第2の光入射面42aにおいて終端している。中央側反射膜46a及び外側反射膜46bは、第1の光学ブロック41の中央側反射膜45aと同様に、例えば、金属で形成されている。
【0066】
図2及び
図3に示すように、第2の光入射面42aにおける第2の接合面42cと中央側反射膜46aとの間には、第2中央光入射領域40cが形成されている。第2の光入射面42aにおける外側偏光分離膜44bと外側反射膜46bとの間には、光入射領域40eが形成されている。本実施形態においては、第2中央光入射領域40cの幅D11bは、第1の光学ブロック41における第1中央光入射領域40bの幅D11aと等しい。
【0067】
第1の光学ブロック41における第1中央光入射領域40bは、第2の光学ブロック42における第2中央光入射領域40cと接続されており、中央光入射領域40aが形成されている。中央光入射領域40aの幅D11は、第1中央光入射領域40bの幅D11a及び第2中央光入射領域40cの幅D11bが光入射領域40dの幅D13よりも小さいため、光入射領域40dの幅D13の2倍未満である。
【0068】
本実施形態において、第1の光学ブロック41と第2の光学ブロック42とは、第1の接合面41cと第2の接合面42cとの境界に対して、対称に設けられている。すなわち、本実施形態において、中央側偏光分離膜44a、外側偏光分離膜44b、中央側反射膜46a、及び外側反射膜46bは、第1の接合面41cと第2の接合面42cとの境界に対して、それぞれ中央側偏光分離膜43a、外側偏光分離膜43b、中央側反射膜45a、及び外側反射膜45bと対称に設けられている。そのため、第2の光学ブロック42に含まれる各光学素子同士の位置関係は、上述した第1の光学ブロック41における各光学素子の位置の関係と同様である。
【0069】
(位相差板)
位相差板47aは、
図3に示すように、第1の光学ブロック41における第1の光射出面41bの中央側偏光分離膜43aと中央側反射膜45aとの間に設けられている。位相差板47bは、第1の光射出面41bの外側偏光分離膜43bと外側反射膜45bとの間に設けられている。位相差板48aは、第2の光学ブロック42における第2の光射出面42bの中央側偏光分離膜44aと中央側反射膜46aとの間に設けられている。位相差板48bは、第2の光射出面42bの外側偏光分離膜44bと外側反射膜46bとの間に設けられている。
【0070】
位相差板47aは、例えば、λ/2板である。位相差板47aは、透過する光の位相差を半波長分ずらし、光の偏光方向を変える。すなわち、位相差板47aに入射したS偏光はP偏光となって射出され、位相差板47aに入射したP偏光はS偏光となって射出される。位相差板47b、位相差板48a、及び位相差板48bは、位相差板47aと同様の光学特性を有する。
【0071】
図4は、偏光変換素子40に入射した光の進み方を示す断面図である。
図4においては、偏光変換素子40に入射する光として光L1、光L2、及び光L3を示している。光L1は、中央光入射領域40aに入射される光である。光L2は、第1の光学ブロック41の光入射領域40dに入射される光である。光L3は、第2の光学ブロック42の光入射領域40eに入射される光である。
【0072】
本実施形態においては、光L1は、
図1に示す第1レンズアレイ31が備える中央の3つのレンズ列のレンズ33から第2レンズアレイ32を介して偏光変換素子40に入射する光である。光L2は、第1レンズアレイ31の一方の端のレンズ列のレンズ33から第2レンズアレイ32を介して偏光変換素子40に入射する光である。光L3は、第1レンズアレイ31の他方の端のレンズ列のレンズ33から第2レンズアレイ32を介して偏光変換素子40に入射する光である。
【0073】
図4に示すように、中央光入射領域40aに入射した光L1のうち、第1中央光入射領域40bに入射した光を光L1bとする。光L1bは、中央側偏光分離膜43aに入射する。光L1bのうちP偏光成分は、中央側偏光分離膜43aを透過し、光L11aとして第1の光射出面41bから射出される。光L1bのうちS偏光成分は、中央側偏光分離膜43aによって中央側反射膜45aに向けて90°折り曲げられて反射され、中央側反射膜45aに入射される。中央側反射膜45aに入射されたS偏光成分は、再度90°折り曲げられ、第1の光射出面41bを介して位相差板47aに入射される。位相差板47aに入射されたS偏光成分は、P偏光成分に変換され、光L12aとして光L11aと同じ方向(Y軸方向)に射出される。
【0074】
光L1のうち、第2中央光入射領域40cに入射した光を光L1cとする。光L1cは、中央側偏光分離膜44aに入射し、上述したのと同様にして、P偏光である光L11b及び光L12bとして偏光変換素子40から同じ方向(Y軸方向)に射出される。光L2も同様にして、P偏光である光L21および光L22として偏光変換素子40から射出される。光L3も同様にして、P偏光である光L31および光L32として偏光変換素子40から射出される。
以上により、偏光変換素子40に入射した光は、P偏光に変換されて射出される。
【0075】
本実施形態によれば、中央側偏光分離膜43aが、第1の接合面41c上の第1の光入射面41aから離間した位置で終端しているため、光の利用効率が低下することを抑制できる。以下、詳細に説明する。
【0076】
図10は、比較例の偏光変換素子440を示す断面図である。
図11は、偏光変換素子440を示す部分拡大断面図である。
なお、以下の説明において上記実施形態と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等により説明を省略する場合がある。
【0077】
偏光変換素子440は、
図10に示すように、第1の光学ブロック441と、第2の光学ブロック442と、を備える。
第1の光学ブロック441は、第1の光入射面441aと、第1の光射出面441bと、第1の接合面441cと、中央側偏光分離膜443aと、を含む。
第2の光学ブロック442は、第2の光入射面442aと、第2の光射出面442bと、第2の接合面442cと、中央側偏光分離膜444aと、を含む。
【0078】
第1の光学ブロック441と第2の光学ブロック442とは、第1の接合面441cと第2の接合面442cとが対向するようにして接合されている。第1の光入射面441aにおける中央側反射膜45aが接続された位置と、第2の光入射面442aにおける中央側反射膜46aが接続された位置との間には、中央光入射領域440aが形成されている。
【0079】
偏光変換素子440においては、中央側偏光分離膜443aは、第1の光入射面441aと第1の接合面441cとの交点と接続されるように設計され、中央側偏光分離膜444aは、第2の光入射面442aと第2の接合面442cとの交点と接続されるように設計される。
【0080】
ここで、比較例の偏光変換素子440においては、製造のばらつきによって、
図11に示すように、中央側偏光分離膜443aは、第1の光入射面441aにおける第1の接合面441cから離間した位置に接続される場合があり、中央側偏光分離膜444aは、第2の光入射面442aにおける第2の接合面442cから離間した位置に接続される場合がある。なお、
図11においては、中央側偏光分離膜443aが、第1の光入射面441aにおける第1の接合面441cから離間した位置に接続され、かつ、中央側偏光分離膜444aが、第2の光入射面442aにおける第2の接合面442cから離間した位置で接続される場合について示している。
【0081】
このような場合においては、中央側偏光分離膜443aと中央側偏光分離膜444aとの間、すなわち、中央光入射領域440aの中央部に隙間471が形成される。そのため、中央光入射領域440aに入射した光のうち隙間471を通る光は、偏光分離膜に入射されずに、第1の光射出面441bまたは第2の光射出面442bから射出されるため、偏光変換されない。したがって、偏光変換素子440の偏光変換効率が低下する場合があった。
【0082】
これに対して、本実施形態によれば、中央側偏光分離膜43aは、第1の接合面41cにおける第1の光入射面41aから離間した位置で接続され、中央側偏光分離膜44aは、第2の接合面42cにおける第2の光入射面42aから離間した位置で接続されている。そのため、製造のばらつきが生じた場合であっても、中央側偏光分離膜43aが、第1の光入射面41aにおける第1の接合面41cから離間した位置で接続されること、あるいは、中央側偏光分離膜44aが、第2の光入射面42aにおける第2の接合面42cから離間した位置で接続されることが抑制され、中央光入射領域40aに隙間が生じにくい。したがって、本実施形態によれば、偏光変換素子40の中央光入射領域40aに入射される光のうち偏光変換されない成分を低減することができ、結果として、偏光変換素子40の偏光変換効率が低下することを抑制できる。
【0083】
また、本実施形態においては、中央光入射領域40aには、第1レンズアレイ31のレンズ33のうち中央の3つのレンズ列のレンズによって集光された光L1が入射される。そのため、中央のレンズ列のレンズ33からの光が中央光入射領域40aの中央部に入射する。本実施形態においては、上述したように中央光入射領域40aの中央部に隙間が生じることを回避できる、あるいは、中央光入射領域40aの中央部に生じる隙間を小さくすることができる。したがって、中央光入射領域40aに第1レンズアレイ31の中央の3つのレンズ列から光が入射する構成において特に効果が高い。言い換えれば、1つのレンズ33から射出された光が第1中央光入射領域40bと第2中央光入射領域40cとに入射するような構成において特に効果が高い。
【0084】
また、本実施形態によれば、第1中央光入射領域40bの幅D11aは、光入射領域40dの幅D13よりも小さい。そのため、本実施形態のように、中央側偏光分離膜43aと中央側反射膜45aとの間隔D14と、外側偏光分離膜43bと外側反射膜45bとの間隔D16とを等しくすることができる。
【0085】
偏光変換素子40の製造方法の一例としては、各間に反射膜と偏光分離膜とを交互に挟むようにしてガラス等からなる複数の基板を積層して積層体を形成し、その積層体を基板の主面に対して斜めに切断して製造する方法が挙げられる。このような製造方法を用いる場合、中央側偏光分離膜43aと中央側反射膜45aとの間隔D14と、外側偏光分離膜43bと外側反射膜45bとの間隔D16とはそれぞれ、積層される基板の厚みである。そのため、間隔D14と間隔D16とを同じにできることにより、積層する複数の基板として同じ厚みの基板を用いることができる。したがって、本実施形態によれば、上記のような製造方法を用いる場合に、偏光変換素子40の製造コストを低減できる。
【0086】
また、本実施形態によれば、中央側反射膜45aと外側偏光分離膜43bとの間隔D15は、中央側偏光分離膜43aと中央側反射膜45aとの間隔D14と等しい。そのため、上記の製造方法を用いる場合に、より製造コストを低減できる。
【0087】
また、本実施形態によれば、第1の光学ブロック41と第2の光学ブロック42とが、第1の接合面41cと第2の接合面42cとの境界に対して対称に設けられている。そのため、偏光変換素子40から射出される光の対称性を向上できる。
【0088】
また、本実施形態のプロジェクター1によれば、偏光変換効率が低下することを抑制できる偏光変換素子40を備えるため、光の利用効率が低下することを抑制できる。
【0089】
なお、本実施形態においては、以下の構成を採用してもよい。
【0090】
本実施形態においては、第1の光学ブロック41の第1の接合面41cにおいて中央側偏光分離膜43aが終端する位置と、第2の光学ブロック42の第2の接合面42cにおいて中央側偏光分離膜44aが終端する位置とが厚み方向においてずれていてもよい。すなわち、中央側偏光分離膜43aと中央側偏光分離膜44aとが接続されていなくてもよい。
【0091】
また、本実施形態においては、第2の光学ブロック42の中央側偏光分離膜44aは、第2の光入射面42aと接続されていてもよい。
【0092】
また、上記説明においては、中央光入射領域40aに3つのレンズ列から射出された光が入射する構成としたが、これに限られない。本実施形態においては、例えば、中央光入射領域40aに1つのレンズ列から射出された光が入射してもよいし、5つ以上の奇数列のレンズ列から射出された光が入射してもよい。
【0093】
<第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態に対して、中央側偏光分離膜と中央側反射膜との間隔が、外側偏光分離膜と外側反射膜との間隔よりも大きい点において異なる。
なお、以下の説明においては、上記実施形態と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等によって説明を省略する場合がある。
【0094】
図5は、本実施形態の偏光変換素子140を示す断面図である。
本実施形態の偏光変換素子140は、
図5に示すように、第1の光学ブロック141と、第2の光学ブロック142と、位相差板147aと、位相差板148aと、を備える。
位相差板147a及び位相差板148aは、第1実施形態における位相差板47a及び位相差板48aと同様である。
【0095】
第1の光学ブロック141は、第1の光入射面141aと、第1の光射出面141bと、第1の接合面141cと、中央側偏光分離膜143aと、を含む。
第1の接合面141cは、特許請求の範囲における第1の面に相当する。中央側偏光分離膜143aは、特許請求の範囲における第1の偏光分離膜に相当する。
【0096】
第2の光学ブロック142は、第2の光入射面142aと、第2の光射出面142bと、第2の接合面142cと、中央側偏光分離膜144aと、を含む。
第2の接合面142cは、特許請求の範囲における第2の面に相当する。中央側偏光分離膜144aは、特許請求の範囲における第2の偏光分離膜に相当する。
【0097】
第1の光入射面141aは、第1実施形態の第1の光入射面41aと同様である。第1の光射出面141bは、第1実施形態の第1の光射出面41bと同様である。第1の接合面141cは、第1実施形態の第1の接合面41cと同様である。
第2の光入射面142aは、第1実施形態の第2の光入射面42aと同様である。第2の光射出面142bは、第1実施形態の第2の光射出面42bと同様である。第2の接合面142cは、第1実施形態の第2の接合面42cと同様である。
【0098】
中央側偏光分離膜143a及び中央側偏光分離膜144aは、第1実施形態の中央側偏光分離膜43a及び中央側偏光分離膜44aと同様に配置されている。第1の接合面141c及び第2の接合面142cにおいて終端する位置は、第1の光入射面141a及び第2の光入射面142aから距離D27だけ離間した位置である。
【0099】
第1の光学ブロック141と第2の光学ブロック142とは、第1実施形態と同様に、第1の接合面141cが第2の接合面142cと対向して、接合されている。第1の光学ブロック141と第2の光学ブロック142とは、第1の接合面141cと第2の接合面142cとの境界に対して、対称に設けられている。そのため、以下の説明においては、代表して第1の光学ブロック141についてのみ説明する場合がある。
【0100】
第1の光入射面141aにおける第1の接合面141cと中央側反射膜45aとの間には、第1中央光入射領域140bが形成されている。本実施形態においては、第1中央光入射領域140bの幅D21aは、光入射領域40dの幅D13と等しい。言い換えると、第1の光入射面141aにおける中央側反射膜45aが終端する位置と第1の接合面141cとの距離は、第1の光入射面141aにおける外側偏光分離膜43bが終端する位置と第1の光入射面141aにおける外側反射膜45bが終端する位置との距離と等しい。
【0101】
本実施形態においては、第1の光入射面141aにおける外側反射膜45bが終端する位置と、第1の光入射面141aの外側(+X側)の端部との距離は、第1中央光入射領域140bの幅D21aと等しい。本実施形態において、中央側反射膜45aと外側偏光分離膜43bと外側反射膜45bとは、第1の光入射面141aを幅方向(X軸方向)に4等分するように第1の光入射面141aに接続されている。
【0102】
第2の光入射面142aにおける第2の接合面142cと中央側反射膜46aとの間には、第2中央光入射領域140cが形成されている。第2中央光入射領域140cの幅D21bは、第1中央光入射領域140bの幅D21aと等しい。そのため、第1中央光入射領域140bと第2中央光入射領域140cとによって形成される中央光入射領域140aの幅D21は、光入射領域40dの幅D13の2倍となる。
【0103】
本実施形態においては、中央側偏光分離膜143aと中央側反射膜45aとの間の間隔D24は、外側偏光分離膜43bと外側反射膜45bとの間の間隔D16よりも大きい。
【0104】
第1の光射出面141bの中央側偏光分離膜143aが接続された位置と、第1の光入射面141aの中央側反射膜45aが接続された位置とは、偏光変換素子140の幅方向(X軸方向)において距離D28だけ離間している。本実施形態において距離D28は、第1レンズアレイ31から第1中央光入射領域140bに入射する光全体が、中央側偏光分離膜143aに入射されるように設定されている。以下、詳細に説明する。
【0105】
図6は、偏光変換素子140と第1レンズアレイ31とを示す図である。
図7は、
図6の部分拡大図である。第2レンズアレイ32は偏光変換素子140における光の強度分布にあまり影響しないため、
図6及び
図7においては、第2レンズアレイ32の図示を省略している。
本実施形態においては、
図6に示すように、中央光入射領域140aには、第1レンズアレイ31の中央のレンズ列のレンズ33aと、レンズ33aの両隣のレンズ列のレンズ33b及びレンズ33cと、から射出される光が入射する。距離D28は、
図6及び
図7に示す光L4が中央側偏光分離膜143aに入射されるように設定される。
【0106】
光L4は、レンズ33bの外側(+X側)の端部から射出され、中央光入射領域140aの外側(+X側)の端部、すなわち、第1中央光入射領域140bの外側(+X側)の端部に入射される光である。光L4が、中央側偏光分離膜143aに入射される場合には、レンズ33a、レンズ33b、及びレンズ33cから第1中央光入射領域140bに入射する光は、すべて中央側偏光分離膜143aに入射される。
【0107】
光L4が中央光入射領域140aに入射する角度θ1は、以下の(式1)及び(式2)で表せる。
(式1)θ1=atan((W5−D21a)/W3)
(式2)W5=1.5・W1/N
W1は、第1レンズアレイ31におけるレンズ33全体の幅(X軸方向の寸法)である。W3は、レンズ33と偏光変換素子140との間隔である。W5は、レンズ33bの外側(+X側)の端部からレンズ33aの光軸までの距離である。Nは、レンズ列の数であり、本実施形態においては5である。本実施形態においては、レンズ33aの光軸が第1の光学ブロック141と第2の光学ブロック142との接合界面を通るため、距離W5は、レンズ33の幅の1.5倍となる。
【0108】
また、本実施形態においては、上述したように第1の光入射面141aは4等分されているため、第1中央光入射領域140bの幅D21aは、以下の(式3)で表せる。
(式3)D21a=W2/(2・(N−1))
W2は、偏光変換素子140の幅(X軸方向の寸法)である。
【0109】
光L4が角度θ1で第1の光学ブロック141に入射すると屈折され、角度θ2で第1の光学ブロック141内を進む。屈折された後の光L4の角度θ2は、以下の(式4)で表せる。
(式4)θ2=asin(sinθ1/n)
nは、偏光変換素子140における第1の光学ブロック141の空気に対する相対屈折率である。
【0110】
図7に示すように、第1の光学ブロック141内を角度θ2で進んだ光L4は、第1の光射出面141bから射出される。光L4の第1の光入射面141aにおける入射位置と、光L4の第1の光射出面141bにおける射出位置との幅方向(X軸方向)の距離Dmaxは、以下の(式5)で表せる。
(式5)Dmax=W4・tanθ2
W4は、偏光変換素子140、すなわち、第1の光学ブロック141の厚み(Y軸方向の寸法)である。
【0111】
本実施形態において、距離D28は、距離Dmax以下となるように設定されている。距離D28がこのように設定されることで、第1レンズアレイ31から中央光入射領域140aの第1中央光入射領域140bに入射する光全体が、中央側偏光分離膜143aに入射される。
【0112】
ここで、本実施形態においては、第1中央光入射領域140bの幅D21aが光入射領域40dの幅D13と等しく、光入射領域40dの幅D13は、第1実施形態において述べたように、第1の光学ブロック41の厚み(Y軸方向の寸法)と等しい。これにより、第1中央光入射領域140bの幅D21aは、第1の光学ブロック41の厚みと等しい。また、中央側偏光分離膜143aが第1の光入射面141aに対して45°傾いている。そのため、本実施形態において、距離D28は、距離D27と等しい。したがって、本実施形態においては、第1の接合面141cにおいて中央側偏光分離膜143aが終端する位置と第1の光入射面141aとの距離D27は、距離Dmax以下に設定されている。
【0113】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、偏光変換素子の偏光変換効率が低下することを抑制できる。
【0114】
また、本実施形態によれば、中央側偏光分離膜143aと中央側反射膜45aとの間隔D24が外側偏光分離膜43bと外側反射膜45bとの間隔D16よりも大きいため、本実施形態のように第1中央光入射領域140bの幅D21aと光入射領域40dの幅D13とを等しく設定することができる。これにより、インテグレーター光学系30によって偏光変換素子140に入射される光の角度を各光入射領域に合わせて設計する手間が省ける。
【0115】
また、光入射領域の幅が狭い場合には、インテグレーター光学系30によって光の角度を大きくする必要がある。そのため、角度の大きい光が偏光変換素子に入射されやすく、偏光変換素子から射出された光が、他の光学部材によってけられ、プロジェクターの光の利用効率が低下する虞がある。
【0116】
これに対して、本実施形態によれば、第1中央光入射領域140bの幅D21aを光入射領域40dの幅D13と等しくできるため、第1中央光入射領域140bの幅D21aが他の光入射領域の幅よりも小さくなることを抑制できる。これにより、本実施形態によれば、偏光変換素子の偏光変換効率が低下することを抑制しつつ、プロジェクターの光の利用効率が低下することを抑制できる。
【0117】
<第3実施形態>
第3実施形態は、第1実施形態に対して、第1の光学ブロック41と第2の光学ブロック42との間に反射素子60が設けられている点において異なる。
なお、以下の説明においては、上記実施形態と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等によって説明を省略する場合がある。
【0118】
図8は、本実施形態の偏光変換素子240を示す断面図である。
偏光変換素子240は、
図8に示すように、反射素子60を備える。
反射素子60は、第1の光学ブロック41の第1の接合面41cと第2の光学ブロック42の第2の接合面42cとの間に設けられている。すなわち、第1の光学ブロック41と第2の光学ブロック42とは、第1の接合面41cと第2の接合面42cとが対向するようにして、反射素子60を介して接合されている。
反射素子60は、例えば、銀(Ag)、アルミニウム(Al)等の光反射率の高い金属等によって構成され、入射した光を反射する。
【0119】
第1の光入射面41aにおける中央側反射膜45aの接続位置と、第2の光入射面42aにおける中央側反射膜46aの接続位置との間には、中央光入射領域240aが形成されている。
【0120】
本実施形態によれば、偏光変換効率が低下することをより抑制できる。
図9は、本実施形態の効果を説明するための図である。
図9に示す偏光変換素子340は、例えば、第1実施形態の偏光変換素子において製造のばらつきによって、対向する中央側偏光分離膜同士が接続されていないような場合である。
【0121】
図9に示すように、偏光変換素子340は、第1の光学ブロック341と、第2の光学ブロック342と、を備える。
第1の光学ブロック341は、第1の接合面341cと、中央側偏光分離膜343aと、を含む。
第2の光学ブロック342は、第2の接合面342cと、中央側偏光分離膜344aと、を含む。
【0122】
第1の接合面341cにおいて中央側偏光分離膜343aが終端する位置と、第2の接合面342cにおいて中央側偏光分離膜344aが終端する位置とは、厚み方向(Y軸方向)において異なる。そのため、第1の接合面341cと第2の接合面342cとの境界に隙間370が形成される。このような場合においては、例えば、偏光変換素子340に角度の大きい光が入射すると、
図9に示す光L5のように隙間370を透過する虞がある。隙間370を透過する光L5は、中央側偏光分離膜343a及び中央側偏光分離膜344aに入射されないため、偏光変換されない。
【0123】
これに対して本実施形態によれば、
図8に示すように、第1の光学ブロック41と第2の光学ブロック42との間に反射素子60が設けられているため、製造のばらつきによって隙間370が生じた場合であっても、隙間370に入射する光は反射素子60によって反射され、中央側偏光分離膜43aまたは中央側偏光分離膜44aに入射されやすい。したがって、本実施形態によれば、中央光入射領域240aに入射された光のうち偏光変換されない成分を低減することができ、偏光変換効率が低下することをより抑制できる。
【0124】
なお、上記説明した実施形態においては、反射素子60は、第1の接合面41cと第2の接合面42cとの間全体に設けられる構成としたが、これに限られない。本実施形態においては、反射素子60は、第1の接合面41cと第2の接合面42cとの間の一部に設けられる構成であってもよい。
【0125】
なお、上記説明した実施形態においては、第1レンズアレイ31及び第2レンズアレイ32が、それぞれ奇数のレンズ列、すなわち、5列備える構成としたが、本発明の適用範囲にはこれに限られるものではない。本発明は、第1レンズアレイ31及び第2レンズアレイ32が偶数のレンズ列を備える構成のプロジェクターに適用することもできる。