特許第6413380号(P6413380)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6413380
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20181022BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20181022BHJP
   B60R 16/027 20060101ALI20181022BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20181022BHJP
【FI】
   G08G1/09 D
   B60R11/02 C
   B60R16/027
   B60K35/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-126053(P2014-126053)
(22)【出願日】2014年6月19日
(65)【公開番号】特開2016-4514(P2016-4514A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2017年4月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 匠
【審査官】 岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−208984(JP,A)
【文献】 特開2012−233854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/09
B60K 35/00
B60R 11/02
B60R 16/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内で使用され、所定のコンテンツを表示する表示手段と、
前記車両の進路上に設置されている信号機に関する信号情報を取得する信号情報取得手段と、
前記信号情報取得手段が取得した前記信号情報に基づき、前記車両が前記信号機で停止したか否かを判別する停止判別手段と、
前記停止判別手段によって前記車両が停止したと判別されると、前記信号情報取得手段が取得した前記信号情報に基づいて、前記車両が前記信号機で停止してから前記信号機が発進の許可を示すまでの停車期間を予測する停車期間予測手段と、
前記表示手段の表示動作を制御する表示制御手段と
音声を出力する音声出力手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記停車期間予測手段が予測した前記停車期間が所定期間よりも短い場合、前記表示手段に表示させたコンテンツが含む情報を、音声として前記音声出力手段に出力させる、
ことを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
車両内で使用され、所定のコンテンツを表示する表示手段と、
前記車両の進路上に設置されている信号機に関する信号情報を取得する信号情報取得手段と、
前記信号情報取得手段が取得した前記信号情報に基づき、前記車両が前記信号機で停止したか否かを判別する停止判別手段と、
前記停止判別手段によって前記車両が停止したと判別されると、前記信号情報取得手段が取得した前記信号情報に基づいて、前記車両が前記信号機で停止してから前記信号機が発進の許可を示すまでの停車期間を予測する停車期間予測手段と、
前記表示手段の表示動作を制御する表示制御手段と、
前記表示手段が表示するコンテンツに関する操作を受け付ける操作手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記停車期間予測手段が予測した前記停車期間が所定期間よりも短い場合、前記操作手段に対してなされる入力操作を補助するための情報を前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする車両用表示装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記停車期間予測手段が予測した前記停車期間の長さに応じて、前記表示手段に表示されているコンテンツの表示形態を変更させる、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記停車期間予測手段が予測した前記停車期間が所定期間よりも短くなるにつれて段階的に表示形態を変更させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記信号情報取得手段が取得した前記信号情報に基づき、前記信号機が発進の許可を示すまでの残時間を算出し、算出した前記残時間を前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用表示装置として、例えば特許文献1に開示されたものがある。この車両用表示装置は、車両の進路上に設置されている信号機の表示状態に関する情報を取得し、この情報に基づいて今後の停車時間を予測し、予測した停車時間が所定時間未満のときに、コンテンツの表示を中止するものである。これにより、運転者に車両が発進可能状態になる前触れを認識させることを試みている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−207268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の車両用表示装置では、主に運転者であるユーザの意思に反して、表示コンテンツが利用できなくなってしまう場合があるため、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、車両が停車してから信号機が発進許可を示すまでの間、表示コンテンツを効率良く利用できる車両用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る車両用表示装置は、
車両内で使用され、所定のコンテンツを表示する表示手段と、
前記車両の進路上に設置されている信号機に関する信号情報を取得する信号情報取得手段と、
前記信号情報取得手段が取得した前記信号情報に基づき、前記車両が前記信号機で停止したか否かを判別する停止判別手段と、
前記停止判別手段によって前記車両が停止したと判別されると、前記信号情報取得手段が取得した前記信号情報に基づいて、前記車両が前記信号機で停止してから前記信号機が発進の許可を示すまでの停車期間を予測する停車期間予測手段と、
前記表示手段の表示動作を制御する表示制御手段と
音声を出力する音声出力手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記停車期間予測手段が予測した前記停車期間が所定期間よりも短い場合、前記表示手段に表示させたコンテンツが含む情報を、音声として前記音声出力手段に出力させる、
ことを特徴とする。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る車両用表示装置は、
車両内で使用され、所定のコンテンツを表示する表示手段と、
前記車両の進路上に設置されている信号機に関する信号情報を取得する信号情報取得手段と、
前記信号情報取得手段が取得した前記信号情報に基づき、前記車両が前記信号機で停止したか否かを判別する停止判別手段と、
前記停止判別手段によって前記車両が停止したと判別されると、前記信号情報取得手段が取得した前記信号情報に基づいて、前記車両が前記信号機で停止してから前記信号機が発進の許可を示すまでの停車期間を予測する停車期間予測手段と、
前記表示手段の表示動作を制御する表示制御手段と、
前記表示手段の表示動作を制御する表示制御手段と、
前記表示手段が表示するコンテンツに関する操作を受け付ける操作手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記停車期間予測手段が予測した前記停車期間が所定期間よりも短い場合、前記操作手段に対してなされる入力操作を補助するための情報を前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車両が停車してから信号機が発進許可を示すまでの間、表示コンテンツを効率良く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用表示装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係る制御部の機能を説明するためのブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る表示形態変更処理のフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態に係る表示コンテンツの一例を示す図であり、(a)は詳細表示、(b)は概要表示、(c)は限定表示を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る表示コンテンツの一例を示す図であり、(a)は詳細表示、(b)は概要表示、(c)は限定表示を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る表示コンテンツの一例を示す図であり、(a)は詳細表示、(b)は概要表示、(c)は限定表示を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る操作部の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係る車両用表示装置を、図面を参照して説明する。
【0011】
本実施形態に係る車両用表示装置100は、図1に示すように、車両1に搭載され、主に車両1の運転者であるユーザに種々のコンテンツを表示するものである。
【0012】
車両用表示装置100は、図1図2に示すように、制御部10と、無線通信部20と、操作部30と、表示部40と、音声出力部50と、を備える。
【0013】
制御部10は、マイクロコンピュータ等から構成され、CPU(Central Processing Unit)11と、制御メモリ12と、コンテンツ記憶部13と、を有する。
制御メモリ12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等から構成され、CPU11の処理手順を示す動作プログラム(特に、後述の表示形態変更処理を実行するためのプログラム)を記憶する。CPU11は、制御メモリ12に格納されている動作プログラムを実行して、車両用表示装置100の各部の動作を制御する。コンテンツ記憶部13は、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等から構成され、車両用表示装置100で再生する各種コンテンツ(音声コンテンツ、動画コンテンツ等)を記憶する。また、制御部10は、図示しないタイマを有し、適宜、計時を行う。なお、制御部10は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの専用回路を含むものであってもよい。
【0014】
制御部10は、図示しない車内LAN(Local Area Network)によって、車両1に搭載された車速センサ2と接続されている。車速センサ2は、車両1の速度を示す車速信号を制御部10に供給する。車速信号は、車速センサ2から制御部10に直接、又は、車両1の各部を制御するECU(Electronic Control Unit)(図示せず)を介して車速センサ2から供給される。
【0015】
また、車両用表示装置100は、図示しないインターネット通信モジュールや、ラジオチューナ等の通信手段を備えており、制御部10は、これらの通信手段を介して、インターネット通信、ラジオ通信が可能となっている。
【0016】
例えば、制御部10は、コンテンツ記憶部13に格納された各種コンテンツ(インターネットを介してダウンロードしたコンテンツも含む)を表示部40に表示させたり、音声出力部50に音声出力させたりする。また、制御部10は、外部からの情報(車速信号や、後述の信号情報、操作信号)に基づき、表示・再生コンテンツを切り替えたり、所定の場合にコンテンツの表示形態を変更させたりする。なお、詳細は後に述べるが、制御部10は、図2に示すように、信号情報取得手段10a、停止判別手段10b、停車期間予測手段10c、及び表示制御手段10dとして機能することによって、コンテンツの表示形態の変更制御を行う。
【0017】
無線通信部20は、アンテナや高周波回路等を備え、交通管制用の基地局と無線通信を行う。具体的には、無線通信部20は、安全運転支援システム(DSSS:Driving Safety Support Systems)の基地局から、インフラストラクチャーとして設置された路側無線装置を介して、信号情報を取得する。信号情報は、個々の信号機の表示状態、所定の信号機に対しての自車両の位置、信号表示の切替時刻などの情報を含む。
【0018】
操作部30は、操作ボタン、操作キー、タッチパネル等から構成され、車両1内の所定位置に配設されるものである。操作部30は、ユーザの操作に応答して、操作内容を示す信号を制御部10に供給する。例えば、操作部30は、利用するコンテンツを切り替える操作や、後述のスピーカーの音量を調整する操作などに用いられる。操作部30は、一例として、図7に示すように、車両1のステアリングホイール3に設けられたステアリングスイッチ30aである。
【0019】
表示部40は、制御部10の制御の下で、種々のコンテンツを表示するものである。表示部40としては、カーナビゲーション用の表示モニタ、オーディオ操作用の情報を表示するモニタ、車両1のフロントガラスに投影される映像を表示するモニタ(いわゆるヘッドアップディスプレイ方式で映像を表示するモニタ)等の車両1に搭載される各種モニタを適用することができる。表示部40は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイや、DMD(Digital Micromirror Device)、反射型及び透過型のLCOS(登録商標:Liquid Crystal On Silicon)等から構成される。
【0020】
なお、表示部40は、ユーザによって携帯され車両1内で用いられるスマートフォン、タブレットPC(Personal Computer)を含む携帯端末の表示部であってもよい。この場合、Bluetooth(登録商標)等の規格に準拠した近距離無線通信により、携帯端末と制御部10とが接続を確立することにより実現できる。そして、表示部40に表示されるコンテンツは、携帯端末の記憶部に記憶されているものであってもよい。また、表示部40は車両1に予め搭載されたものであるが、その表示部40に表示されるコンテンツは、携帯端末側からの情報に基づくものであってもよい。また、このような携帯端末と制御部10とが有線で接続されていてもよい。
【0021】
音声出力部50は、デコーダー、D/A(Digital to Analog)変換器、スピーカー等を備える。音声出力部50は、制御部10から供給された音声データをデコードし、D/A変換した音声信号によってスピーカーから所定の音声を出力する。音声出力部50は、音声コンテンツの再生音や、表示コンテンツの利用補助のための音声などを出力する。
【0022】
以上の各部を制御する制御部10は、図2に示すように、信号情報取得手段10a、停止判別手段10b、停車期間予測手段10c、及び表示制御手段10dとして機能する。以下に、各手段を説明する。
【0023】
信号情報取得手段10aは、無線通信部20を介して、DSSSの基地局から信号情報を取得する。具体的には、信号情報取得手段10aは、車両1の進路上に設置されている信号機についての信号情報を取得する。
【0024】
停止判別手段10bは、信号情報取得手段10aが取得した信号情報に基づき、車両1が進路上に設置されている信号機で停止したか否かを判別する。具体的には、停止判別手段10bは、取得した信号情報に基づき、車両1が現在、信号情報が示す信号機付近に位置するか否かを判別する。そして、車両1がその信号機付近に位置し、且つ、車速センサ2からの車速信号が示す車速に基づいて車両1が停止していると判別した場合、停止判別手段10bは、その信号機で車両1が停止したと判別する。停止判別手段10bは、例えば、所定の期間内における車速信号が示す車速が、予め定められた閾値(例えば、時速数km)以下である場合、車両1が停止していると判別する。なお、停止判別手段10bは、単に、車速信号が示す車速が0km/hである場合に車両1が停止していると判別してもよい。
【0025】
停車期間予測手段10cは、停止判別手段10bによって車両1が信号機で停止したと判別されると、信号情報取得手段10aが取得した信号情報に基づいて、車両1がその信号機で停止してから信号機が発進の許可を示すまでの停車期間を予測する。例えば、停車期間予測手段10cは、取得した信号情報が示す信号表示の切替時刻(信号が赤から青に切り替わる時刻)と、停止判別手段10bが停車したと判別した時刻との差により、予想される停車期間を算出する。
【0026】
表示制御手段10dは、表示部40の表示動作を制御する。具体的には、表示制御手段10dは、受信・着信情報(メーラーを操作するための情報、着信履歴を示す情報など)、音楽情報(音楽プレイヤーを操作するための情報)、ラジオ情報(ラジオを聴取するためのチャンネル等の情報)などの各種コンテンツを表示部40の表示画面に表示させる。表示部40の表示画面に表示されるコンテンツの一例を、図4(a)(b)(c)〜図6(a)(b)(c)に示す。図4(a)〜(c)は受信・着信情報を示す表示コンテンツの一例であり、図5(a)〜(c)は音楽情報を示す表示コンテンツの一例であり、図6(a)〜(c)はラジオ情報を示すコンテンツの一例である。これらの表示コンテンツについては後に詳述する。
【0027】
また、表示制御手段10dは、信号情報取得手段10aが取得した信号情報に基づき、信号情報が示す信号機が発進の許可を示すまでの残時間を算出し、算出した残時間を表示部40に表示させる。具体的には、表示制御手段10dは、停車期間予測手段10cが予想される停車期間を算出した際に、タイマで計時を開始し、算出された停車期間と計時期間との差によって前記の残時間を算出する。そして、表示制御手段10dは、算出した残時間を表示部40の表示画面に表示させる。
この残時間は、例えば、図4(a)(b)(c)〜図6(a)(b)(c)に示す各画像の左端部に示したように表示される。これらの画像では、信号機を示すアイコンの下に、数値と、「s」で表した秒の単位とで、信号機が発進の許可を示すまで(赤から青になるまで)の残時間を示している。図4(a)の例では、「28」と「s」の表示から、ユーザは、残時間が28秒であることが容易に認識できる。
このように残時間を表示することで、運転者に、安全にコンテンツを利用できる時間を認識させることができる。そのため、信号機が発進許可を示しているにも拘わらず、運転者が表示コンテンツを注視してしまったり、コンテンツに関する操作に集中してしまったりすることを防ぐことができ、安全運転の観点からも良い。
【0028】
また、表示制御手段10dは、操作部30に対してユーザによるコンテンツ切替操作がなされ、これに応答した操作部30から操作信号が供給されると、表示部40に表示するコンテンツを切り替える。例えば、受信・着信情報を示すコンテンツが表示部40に表示されていた場合に、コンテンツ切替操作がなされると、表示制御手段10dは、表示コンテンツを音楽情報に切り替える。
【0029】
また、表示制御手段10dは、停車期間予測手段10cが予測(算出)した停車期間の長さに応じて、表示部40に表示されているコンテンツの表示形態を変更させる。本実施形態では、表示制御手段10dは、予測された停車期間に応じて、コンテンツの表示形態を下記(1)〜(3)のように変更させる。
【0030】
(1)予測された停車期間が、第1期間(例えば、60秒)以上である場合、コンテンツの表示形態を「詳細表示」とする。
(2)予測された停車期間が、第1期間未満であり第2期間(例えば、15秒)以上である場合、コンテンツの表示形態を「概要表示」とする。
(3)予測された停車期間が、第2期間未満である場合、コンテンツの表示形態を「限定表示」とする。
【0031】
詳細表示、概要表示、限定表示の順で、表示対象のコンテンツに関する情報は、次第に限定して表される(この順でコンテンツに関する情報が次第に概略的に遷移する、又は、この順でコンテンツに関する情報の量が次第に少なく表示される、とも言える)。
つまり、詳細表示よりも概要表示のほうが対象コンテンツに関する情報を限定して表す形態であり、概要表示よりも限定表示のほうが対象コンテンツに関する情報を限定して表す形態である。以下に具体例を説明する。
【0032】
(表示コンテンツが受信・着信情報の場合)
表示部40に表示されるコンテンツが受信・着信情報の場合、詳細表示は図4(a)に示す画像のようになる(前述の残時間表示以外の表示。他の表示形態や図5(a)〜(c)、図6(a)〜(c)においても同様)。
詳細表示では、例えば、電子メールの受信履歴、SNS(Social Networking Service)でのメッセージの受信履歴、着信履歴のリスト表示に加えて、受信したメールの本文も表示可能となっている(図示例では、電子メールとSNSでのメッセージ受信履歴)。
概要表示は、図4(b)に示すように、例えば、メール・メッセージの受信履歴、着信履歴のリストのみを示したものである。このように、概要表示は、詳細表示で表していたものと同種のコンテンツに関する情報を、詳細表示よりも限定して表す形態となっている。
限定表示は、図4(c)に示すように、例えば、受信履歴・着信履歴のうち、最新の1件のみを表示するものとなっている。このように、限定表示は、詳細表示又は概要表示で表していたものと同種のコンテンツに関する情報を、両表示よりも限定して表す形態となっている。
【0033】
(表示コンテンツが音楽情報の場合)
表示部40に表示されるコンテンツが音楽情報の場合、詳細表示は図5(a)に示す画像のようになる。詳細表示では、例えば、コンテンツ記憶部13に記憶された音声データが示す楽曲のプレイリストに加えて、プレイリスト内の楽曲情報(アルバム収録曲など)も表示可能となっている。
概要表示は、図5(b)に示すように、例えば、楽曲のプレイリストのみを示したものである。
限定表示は、図5(c)に示すように、例えば、再生中の楽曲情報のみを表示するものとなっている。
【0034】
(表示コンテンツがラジオ情報の場合)
表示部40に表示されるコンテンツがラジオ情報の場合、詳細表示は図6(a)に示す画像のようになる。詳細表示では、例えば、ラジオ局のチャンネルリストに加えて、リスト内のラジオ局の番組表も表示可能となっている。
概要表示は、図6(b)に示すように、例えば、ラジオ局のチャンネルリストのみを示したものである。
限定表示は、図6(c)に示すように、例えば、再生中のラジオ番組に関する情報のみを表示するものとなっている。
【0035】
このように、車両表示装置100は、信号機での停車期間の長さに応じて、ユーザが効率的にコンテンツを利用可能な情報量でコンテンツを表示する。このため、車両1が停車してから信号機が発進許可を示すまでの間、表示コンテンツを効率良く利用できる。また、表示コンテンツの視認性や操作性が向上する。
【0036】
また、表示制御手段10dは、停車期間予測手段10cが予測した停車期間が所定期間よりも短い場合、表示部40に表示させたコンテンツが含む情報を、音声として音声出力部50に出力させる。この具体例を、表示コンテンツが「受信・着信情報」の場合を示す、図4(c)を用いて説明する。
例えば、予測された停車期間が前述の第2期間(例えば、15秒)未満である場合、ユーザが受信メッセージを確認したり、メーラーに対する操作を行ったりするには、十分な時間がないと想定される。そのため、表示制御手段10dは、表示形態を限定表示に変更させると共に、受信メール文を音声として音声出力部50に出力させる読み上げ処理を行う。これにより、信号機が発信許可を示した場合の車両1の運転を妨げることなく、安全にコンテンツをユーザに提供することができる。
【0037】
また、表示制御手段10dは、停車期間予測手段10cが予測した停車期間が所定期間よりも短い場合、操作部30に対してなされる入力操作を補助するための情報を表示部40に表示させる。この具体例を、表示コンテンツが「音楽情報」の場合を示す、図5(c)を用いて説明する。
例えば、予測された停車期間が前述の第2期間(例えば、15秒)未満である場合、ユーザがプレイリスト中の楽曲の選択操作をするには、十分な時間がないと想定される。そのため、表示制御手段10dは、表示形態を限定表示に変更させると共に、限定表示で表した画像中に、入力操作を補助するための画像(以下、補助画像)を併せて表示する。この補助画像は、操作部30の物理的形状と対応して表されることが好ましい。図5(c)の例では、図7に示すステアリングスイッチ30aの形状(ステアリングスイッチ30aを構成する左右のスイッチ及び中心のスイッチ)と対応した補助画像を表示している。
このように補助画像が表示されることにより、これを視認するユーザは、感覚的にコンテンツに対する操作を行うことができ、限られた期間内で効率的に操作を行うことができる。なお、補助画像としては、様々な態様のものを適用可能であるが、操作部30の形状や、操作方法を連想させる図形、文字、アイコンなどが好適である。
【0038】
以上のように構成される車両用表示装置100は、表示部40に様々の情報を表示することが可能であるが、以下では、所定の場合に、表示部40に表示されるコンテンツの表示形態を変更させる、本実施形態に特有の表示形態変更処理について説明する。
【0039】
(表示形態変更処理)
制御部10(CPU11)は、例えば車両1のイグニッション・オンにより車両用表示装置100が起動すると、図3に示す表示形態変更処理を開始する。
【0040】
制御部10は、処理を開始すると、前述した停止判別手段10bとしての機能により、信号情報取得手段10aが取得した信号情報に基づき、車両1が進路上に設置されている信号機で停止したか否かを判別する(ステップS1)。車両1が当該信号機で停止していないと判別した場合(ステップS1;No)、制御部10は、当該信号機で停止したと判別するまで、現在、表示部10に表示されているコンテンツの表示形態を変更させない。
一方で、車両1が当該信号機で停止したと判別した場合(ステップS1;Yes)、制御部10は、ステップS2の処理を実行する。
【0041】
ステップS2では、制御部10は、前述の停車期間予測手段10cとしての機能により、取得した信号情報に基づいて、車両1がその信号機で停止してから信号機が発進の許可を示すまでの停車期間を予測(算出)する(ステップS2)。
【0042】
続いて、制御部10は、ステップS2で算出した停車期間が、予め制御メモリ12に記憶された第1期間以上であるか否かを判別する(ステップS3)。また、制御部10は、算出した停車期間が第1期間未満である場合は(ステップS3;No)、停車期間が第2期間以上であるか否かを判別する(ステップS4)。
【0043】
ステップS4及びステップS5における判別結果により、制御部10は、予測停車期間が第1期間以上の場合(ステップS3;Yes)、対象のコンテンツを詳細表示の形態で表示部40に表示させる(ステップS5)。また、制御部10は、予測停車期間が第1期間未満で第2期間以上の場合(ステップS3;No、ステップS4;Yes)、当該コンテンツを概要表示の形態で表示部40に表示させる(ステップS6)。また、制御部10は、予測停車期間が第2期間未満の場合(ステップS4;No)、当該コンテンツを限定表示の形態で表示部40に表示させる(ステップS7)。
【0044】
前述したように、第1期間は、表示コンテンツを利用するに十分な期間(例えば、60秒)として予め定められ、第2期間は、第1期間よりも信号機が発進許可を示す時点まで短い期間(例えば、15秒)として予め定められている。
これにより、信号機が発進許可を示すまでの時間に応じて、その時間内で、表示コンテンツに関する操作を十分に実行することができ、当該コンテンツが示す情報の認識も十分に把握できる表示形態で、当該コンテンツをユーザに利用させることができる。このため、車両表示装置100によれば、車両1が停車してから信号機が発進許可を示すまでの間、表示コンテンツを効率良く利用できる。
【0045】
また、制御部10は、例えば、対象コンテンツを限定表示で表示部40に表示させた場合(ステップS7)、併せて、当該コンテンツが含む情報を、音声として音声出力部50に出力させたり、操作部30に対してなされる入力操作を補助するための情報を表示部40に表示させたりする。音声の出力や補助画像の表示は、図4(c)、図5(c)を参照して前述した通りである。なお、制御部10は、対象コンテンツを概要表示で表示させる場合に、併せて音声出力や補助画像の表示を行ってもよい。
【0046】
制御部10は、例えば車両1のイグニッション・オフにより車両用表示装置100がオフするまで、上記の各処理を繰り返し実行する。以上が表示形態変更処理である。
【0047】
以上のように、車両表示装置100は、表示形態変更処理を実行することにより、信号機での停車期間の長さに応じて、ユーザが効率的にコンテンツを利用可能な情報量でコンテンツを表示する。このため、車両1が停車してから信号機が発進許可を示すまでの間、表示コンテンツを効率良く利用できる。
【0048】
なお、本発明は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【0049】
以上では、車両用表示装置100が、予測された停車期間の長さに応じて、表示コンテンツを三種の表示形態で変更可能に構成される例を示したが、これに限られない。車両用表示装置100は、予測された停車期間の長さに応じて、表示コンテンツを二種の表示形態間で変更可能に構成されてもよいし、四種以上の表示形態で変更可能に構成されてもよい。
【0050】
また、以上では、制御部10が停止判別手段10bとしての機能により、車速センサ2からの車速信号に基づいて、車両1が停止したか否かを判別した例を示したが、これに限られない。
車両用表示装置100がGPS(Global Positioning System)センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ等を備え、各種センサからの位置情報、加速度情報、角速度情報等に基づいて、制御部10が車両1の停止を判別するようにしてもよい。停止判別手段10bがどのような情報に基づいて、車両1の停止を判別するかは適宜変更が可能である。
【0051】
また、以上では、表示コンテンツが、「受信・着信情報」、「音楽情報」、「ラジオ情報」である例を示したが、これに限られない。種々の表示コンテンツに対して、表示形態変更処理が実行されてもよい。例えば、制御部10は、ECUから取得した車速、エンジン回転数、各種警告情報などの車両情報をコンテンツとして表示部40に表示させ、予測された停車期間が所定の期間よりも短い場合は、車両情報を、再発進に際して重要な情報に限定して表示させるようにしてもよい。その他、以上のように表示形態が変更されるコンテンツは、ナビゲーション情報(カーナビゲーションシステムにおける操作に関する情報)や、動画コンテンツ情報(リスト表示や動作再生操作に関する情報)などであってもよい。
【0052】
以上の説明では、本発明の理解を容易にするために、重要でない公知の技術的事項の説明を適宜省略した。
【符号の説明】
【0053】
100 車両用表示装置
10 制御部
11 CPU
12 制御メモリ
13 コンテンツ記憶部
10a 信号情報取得手段
10b 停止判別手段
10c 停車期間予測手段
10d 表示制御手段
20 無線通信部
30 操作部
30a ステアリングスイッチ
40 表示部
50 音声出力部
1 車両
2 車速センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7