(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記上型が前記下型に型合わせされた状態で前記上側成形面部と前記仕切部との間に構成される第3パーティングラインを介して前記第2パーティングラインが前記キャビティ部の外側と連通される、
請求項1記載の発泡成形品用モールド。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された発泡成形品用モールドでは、上型の仕切壁と下型の底面(成形面)とのパーティングラインが下型の底面に沿って設定されている。このため、発泡樹脂原液の発泡時に発生するガスの逃げ場がなくなり、発泡成形品に欠肉が発生することが考えられる。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、生産性を確保しつつ欠肉の発生を抑制することができる発泡成形品用モールド及び欠肉が低減された発泡成形品を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明に係る発泡成形品用モールドは、キャビティ空間が設けられた下型と、前記下型に型合わせされると共に、当該下型に型合わせされた状態で前記キャビティ空間の下側成形面部に対向する上側成形面部が形成された上型と、前記上側成形面部から突設され、前記上型が前記下型に型合わせされた状態で前記下側成形面部との間に第1パーティングラインを構成する仕切壁と、前記下側成形面部から突設され、前記上型が前記下型に型合わせされた状態で前記仕切壁と共に前記キャビティ空間を仕切って複数のキャビティ部を形成しかつ当該仕切壁との間に前記第1パーティングラインと当該キャビティ部の外側とを連通する第2パーティングラインを構成する仕切部と、を有している。
【0007】
請求項1に記載の本発明によれば、下型にキャビティ空間が設けられており、一方、下型に型合わせされる上型には、当該上型が下型に型合わせされた状態でキャビティ空間の下側成形面部に対向する上側成形面部が形成されている。また、上側成形面部からは仕切壁が突設されており、一方、下側成形面部からは仕切部が突設されている。
【0008】
そして、上型が下型に型合わせされた状態において、下側成形面部と仕切壁との間に第1パーティングラインが構成されると共に、仕切壁と仕切部とによって下型のキャビティ空間が仕切られ、複数のキャビティ部が形成されるようになっている。このため、下型のキャビティ空間に発泡樹脂原液を注入し、下型に上型を型合わせすることにより、複数のキャビティ部内において、発泡樹脂原液が上型の上側成形面部及びキャビティ空間の下側成形面部に沿って発泡及び膨張しつつ硬化していく。その結果、発泡樹脂原液の1回の注入で複数の発泡成形品を成形することができる。
【0009】
ところで、下型のキャビティ空間が上型の仕切壁のみによって仕切られる場合、仕切壁とキャビティ空間の下側成形面部とのパーティングラインが、当該下側成形面部に沿って構成される。このため、発泡樹脂原液の発泡時に発生するガスの逃げ場がなくなり、発泡成形品に欠肉が発生することが考えられる。
【0010】
ここで、本発明では、上型が下型に型合わせされた状態において、上型の仕切壁と下型の下側成形面部から突設された仕切部との間に第2パーティングラインが構成される。そして、第2パーティングラインによって、第1パーティングラインとキャビティ部の外側とが連通されている。このため、仕切壁と仕切部とによってキャビティ空間が仕切られて形成されたキャビティ部の内側と当該キャビティ部の外側とが連通された状態となる。その結果、発泡樹脂原液の発泡時に発生するガスが、キャビティ部の内側から当該キャビティ部の外側へと放出される。
【0011】
請求項2に記載の発明に係る発泡成形品用モールドは、請求項1に記載の発明において、前記上型が前記下型に型合わせされた状態で前記上側成形面部と前記仕切部との間に構成される第3パーティングラインを介して前記第2パーティングラインが前記キャビティ部の外側と連通されている。
【0012】
請求項2に記載の本発明によれば、上型が下型に型合わせされた状態で上側成形面部と仕切部との間に構成される第3パーティングラインを介して第2パーティングラインがキャビティ部の外側と連通されている。これにより、発泡成形品の成形時において、仕切壁における上型成形面側の端部周辺までガスが上昇しても、当該ガスは当該端部周辺に留まることなく、キャビティ部の内側から当該キャビティ部の外側へと放出される。
【0013】
請求項3に記載の発明に係る発泡成形品用モールドは、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記仕切部の上端部は、前記下型における前記キャビティ空間の上側周縁部と連続して形成されている。
【0014】
請求項3に記載の本発明によれば、仕切部の上端部は、下型におけるキャビティ空間の上側周縁部と連続して形成されているため、第2パーティングラインが仕切部の上端部でキャビティ部の外側に開口される。
【0015】
請求項4に記載の発明に係る発泡成形品は、上面部と、下面部と、当該上面部及び当該下面部と連続する外周面部とを含んで発泡樹脂で形成された
略直方体状の本体部と、前記外周面部に設けられ、前記下面部における前記本体部の一端部側から前記上面部における当該一端部と反対側の当該本体部の他端部側にかけて当該下面部における当該他端部側を経由することなく形成されたパーティングライン部と、を有
し、前記パーティングライン部は、前記下面部と前記外周面部との境界に沿う第1パーティングライン部と、当該第1パーティングライン部と連続しかつ当該外周面部に沿って配置されて当該下面部と前記上面部とを繋ぐ第2パーティングライン部と、を含んだ突条部とされている。
【0016】
請求項4に記載の本発明によれば、上面部と、下面部と、当該上面部及び当該下面部と連続する外周面部とが設けられた本体部が発泡樹脂で形成されており、当該外周面部にパーティングライン部が設けられている。このパーティングライン部は、下面部における本体部の一端部側から上面部における当該一端部と反対側の当該本体部の他端部側にかけて当該下面部における当該他端部側を経由することがないように形成されている。すなわち、本体部の成形時において、当該本体部を成形する上型と下型とのパーティングラインは、本体部の外周面部に上記パーティングライン部が形成されるように構成されている。
【0017】
このため、発泡樹脂の成形時において、上型と下型とによって形成されると共に本体部を成形するキャビティ部の内側に発生するガスが、当該キャビティ部の外側へと放出される。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、生産性を確保しつつ欠肉の発生を抑制することができる発泡成形品用モールド及び欠肉が低減された発泡成形品を得ることができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
以下、
図1〜
図5を用いて、本発明に係る発泡成形品用モールド(以下、単に「モールド」ともいう)10の第1実施形態の一例について説明する。なお、図面に適宜示される矢印FRはモールド前方を示し、矢印UPはモールド上方を示し、矢印LHはモールド左方を示している。
【0021】
図5に示されるように、モールド10は、平面視で矩形状(正方形状)に形成された下型12と、平面視でこの下型よりも一回り小さい矩形状(正方形状)に形成され、下型12に型合わせされる上型14とを含んで構成されている。より詳しくは、上型14には、側面視でL字状の板材で構成されたヒンジアーム部16が設けられており、このヒンジアーム部16が、下型12に設けられたヒンジ受け部18に軸支されている。これにより、上型14は、下型12に対して回動可能に支持されている。
【0022】
下型12は、
図4に示されるように、複数の下側キャビティ空間20、22と、当該下側キャビティ空間20、22の周壁を構成する周壁部26と、当該周壁部26を囲うように立設された外枠部28と、を含んで構成されている。なお、上型14は、外枠部28の内周に納まる大きさに設定されている。
【0023】
また、下側キャビティ空間20、22は、平面視で矩形状(長方形状)に形成されると共に、モールド幅方向左側からこの順に並んで形成されており、当該下側キャビティ空間20、22は、下側仕切壁30によって仕切られている。下側キャビティ空間20、22の底面部は、それぞれ下側成形面部34、36とされており、一例として、平面状に形成されている。なお、下側成形面部34、36は、曲面状に形成されていてもよいし、傾斜面状に形成されていてもよい。
【0024】
また、それぞれの下側キャビティ空間20、22の内部には、下側成形面部34、36からモールド上方側に向かって、直方体状の仕切部40、42が突設されている。より具体的には、下側キャビティ空間20の内部に設けられた仕切部40は、周壁部26のうち当該下側キャビティ空間20のモールド幅方向外側を構成する部分におけるモールド前後方向中央部に当該周壁部26と一体に形成されている。
【0025】
一方、下側キャビティ空間22の内部に設けられた仕切部42は、下側キャビティ空間20と下側キャビティ空間22とを仕切る下側仕切壁30のモールド前後方向中央部に当該下側仕切壁30と一体に形成されている。
【0026】
また、仕切部40、42の上面部(上端部)40A、42A及び周壁部26の上面部26Aは、同一平面上に配置されるように設定されている。さらに、上面部40A、42Aの周縁部40A1、42A1は、下側キャビティ空間20、22の上側周縁部20A、22Aの一部を構成している。換言すれば、上面部40Aは上側周縁部20Aと、上面部42Aは上側周縁部22Aと、それぞれ連続して形成されている。
【0027】
上記のように構成された下型12では、下側キャビティ空間20、22が、それぞれ同じ形状に設定されており、具体的には、下側キャビティ空間20、22は、平面視でモールド前後方向中央部が矩形状に窪んだ形状とされている。
【0028】
一方、
図3に示されるように、上型14には、上述した下側キャビティ空間20、22に対応する上側成形部46、48が形成されている。本実施形態では、一例として、上側成形部46と上側成形部48とは、上型14が下型12に型合わせされた状態で下側仕切壁30が挿入される挿入部52によって仕切られており、モールド幅方向に並んで配置されている。なお、上側成形部46、48は、モールド前後方向に並んで配置されていてもよく、この場合、下側仕切壁30は、モールド幅方向に延在する構成となり、挿入部52も下側仕切壁30に対応するように形成される。また、下側仕切壁30は、下型12の隅部を結ぶ対角線に沿って配置されるように、換言すれば、正面視で斜めに延在するように構成されていてもよい。
【0029】
上側成形部46と上側成形部48とは、基本的には同様の構成とされているため、下側キャビティ空間20に対応する上側成形部46を例にとって、これらの構成について説明する。なお、
図3には、上側成形部46、48と下側キャビティ空間20、22との対応関係が理解しやすいように、上型14が下型12に型合わせされた状態における下側キャビティ空間20、22の外形線が二点鎖線で示されている。また、
図4には、上側成形部46、48の構成要素のうち、上型14が下型12に型合わせされた状態において、下側キャビティ空間20、22の内部に配置されるものの外形線が二点鎖線で示されている。
【0030】
上側成形部46は、2つのコア部56、2つのコア部57、2つのコア部58、1つのコア部60、当該コア部60に設けられた仕切壁70及び上側キャビティ空間62を含んで構成されている。具体的には、コア部56、57は、上型14における上側成形面部64の一部を構成する平面部64Aから突設されており、コア部58、60は、上側キャビティ空間62の内部に設けられている。
【0031】
上側成形部46を構成する2つのコア部56は、モールド幅方向内側が平面視で半円状に面取りされた柱状に形成されている。これらのコア部56は、上型14が下型12に型合わせされた状態において、下型12の仕切部40に対してモールド前後方向に対称となるようにかつ当該仕切部40に対して所定距離隔てて配置されるように設定されている。また、コア部56は、
図1にも示されるように、その端部56Aが、上型14が下型12に型合わせされた状態において、下側キャビティ空間20の下側成形面部34と所定距離隔てて配置されるようにそのモールド上下方向の長さが設定されている。
【0032】
なお、上型14全体では、上型14が下型12に型合わせされた状態において、上側成形部46を構成する2つのコア部56のモールド幅方向左側に面する立設面部56Bが、周壁部26の内周面に当接されるように設定されている。一方、上側成形部48を構成する2つのコア部56のモールド幅方向左側に面する立設面部56Bは、下側仕切壁30の側面に当接されるように設定されると共に挿入部52の一部を構成している。
【0033】
一方、コア部57は、四角柱状に形成されると共にコア部56に対してモールド前後方向に所定距離隔てて配置されている。より詳しくは、コア部57は、上型14が下型12に型合わせされた状態において、そのモールド幅方向外側に面する立設面部57B及びモールド前後方向外側に面する立設面部57Cが、それぞれ周壁部26の内周面に当接されるように配置されている。
【0034】
なお、上側成形部48を構成するコア部57のモールド幅方向左側に面する立設面部57Bは、上型14が下型12に型合わせされた状態において、下側仕切壁30の側面に当接されるように設定されると共に挿入部52の一部を構成している。また、コア部57は、その端部57Aが、上型14が下型12に型合わせされた状態において、下側キャビティ空間20の下側成形面部34と所定距離隔てて配置されるようにそのモールド上下方向の長さが設定されている。
【0035】
一方、平面部64Aのモールド幅方向内側には、上側キャビティ空間62が形成されており、当該上側キャビティ空間62の上面部は、平面部64Aと連続しかつモールド幅方向左側からモールド幅方向右側に向かって傾斜する傾斜面部62Aとされている。つまり、傾斜面部62Aは、上側成形面部64の一部を構成している。そして、上側キャビティ空間62の傾斜面部62Aからコア部58、60が突設されている。なお、上側成形面部64は、上型14が下型12に型合わせされた状態において、下側キャビティ空間20の下側成形面部34と対向している。
【0036】
コア部58は、四角柱状に形成されると共に、コア部57に対してモールド幅方向に所定距離隔てて配置されている。より詳しくは、コア部58は、上型14が下型12に型合わせされた状態において、そのモールド幅方向右側に面する立設面部58Bが下側仕切壁30に、そのモールド前後方向外側に面する立設面部58Cが周壁部26にそれぞれ当接されるように配置されている。なお、立設面部58Bは、挿入部52の一部を構成している。また、上側成形部48を構成するコア部58は、そのモールド幅方向外側に面する立設面部58B及びそのモールド前後方向外側に面する立設面部58Cが、それぞれ周壁部26の内周面に当接されるように配置されている。さらに、コア部58は、その端部58Aが、上型14が下型12に型合わせされた状態において、下側キャビティ空間20の下側成形面部34と所定距離隔てて配置されるようにそのモールド上下方向の長さが設定されている。
【0037】
一方、コア部60は、モールド前後方向が長手方向とされた直方体状に形成されている。このコア部60は、
図1にも示されるように、その端面部60Aが、上型14が下型12に型合わせされた状態において、下側キャビティ空間20の下側成形面部34と所定距離隔てて配置されるようにそのモールド上下方向の長さが設定されている。また、コア部60のモールド前後方向の長さは、当該コア部60のモールド前後方向両端部が、コア部58とモールド前後方向に所定距離隔てて配置されるように設定されている。
【0038】
さらに、コア部60のモールド幅方向内側に面する立設面部60Bは、上型14が下型12に型合わせされた状態において、下側仕切壁30の側面に当接されるように設定されると共に挿入部52の一部を構成している。なお、上側成形部48を構成するコア部60のモールド幅方向右側に面する立設面部60Bは、上型14が下型12に型合わせされた状態において、周壁部26の内周面に当接されるように設定されている。そして、コア部60の長手方向中央部には、上側成形面部64の傾斜面部62Aから突設された仕切壁70が、当該コア部60と一体に配置されている。
【0039】
仕切壁70は、モールド幅方向に延在し、側面視で矩形板状に形成されると共に、上型14が下型12に型合わせされた状態において、平面視で仕切部40におけるモールド幅方向と平行方向の中心線に沿うように配置されている。この仕切壁70は、上側キャビティ空間62を分割するように構成されると共に、上型14が下型12に型合わせされた状態において、仕切部40と共に下側キャビティ空間20を仕切るように設定されている。これにより、上型14が下型12に型合わせされた状態において、仕切られた上側キャビティ空間62の一方と仕切られた下側キャビティ空間20の一方とによってキャビティ部72が形成されるようになっている。なお、本実施形態では、一例として、上型14が下型12に型合わせされた状態において、4つのキャビティ部72が形成されるように、上型14及び下型12が構成されている。
【0040】
図1に示されるように、上型14及び下型12は、上型14が下型12に型合わせされた状態において、下型12の周壁部26における上面部26Aと上型14の当接面部14Aとが当接されるように構成されている。しかしながら、上面部26A及び当接面部14Aは、微小な凹凸が不規則に形成された状態(荒れた状態)となっており、上型14が下型12に型合わせされた状態において、上面部26Aと当接面部14Aとの間には微小な隙間が形成される。これと同様に、上型14が下型12に型合わせされた状態において、下型12の外枠部28と上型14における当該外枠部28に当接される外周面部14Bとの間にも、微小な隙間が形成される。このため、上型14が下型12に型合わせされた状態において、下側キャビティ空間20の上側周縁部20Aとモールド10の外側とが連通されるようになっている。なお、
図1に示される下型12の断面は、
図4における下型12のA−A線断面に相当する。
【0041】
また、同様に、上型14が下型12に型合わせされた状態において、仕切部42の上面部42Aと上型14との間及び下側仕切壁30と挿入部52との間にも微小な隙間が形成される。これにより、上型14が下型12に型合わせされた状態において、下側キャビティ空間22の上側周縁部22Aとモールド10の外側とが連通されるようになっている。
【0042】
ここで、本実施形態では、上型14が下型12に型合わせされた状態において、上側成形面部64、下側成形面部34、仕切壁70及び仕切部40によって構成されるパーティングライン76に特徴がある。以下、このパーティングライン76の構成について詳細に説明する。なお、ここでいう「パーティングライン」とは、型合わせされた状態での上型14と下型12との境界部及び後述する発泡成形品78同士の境界部を意味する。また、上型14と下型12との「パーティングライン」は、上型14と下型12とが当接されて構成されていてもよいし、上型14と下型12との間に隙間が設定された状態で構成されていてもよい。
【0043】
図1及び
図2(A)に示されるように、パーティングライン76は、第1パーティングライン76A、第2パーティングライン76B及び第3パーティングライン76Cを含んで構成されている。第1パーティングライン76Aは、仕切壁70の先端部70Aと下側成形面部34との間に構成されると共に、モールド幅方向に直線状に延在している。一方、第3パーティングライン76Cは、仕切部40の上面部40Aと上側成形面部64との間に構成されている。つまり、第3パーティングライン76Cは、上面部40Aの周縁部40A1の一部を含んで、モールド前後方向に直線状に延在するパーティングライン及びモールド幅方向に直線状に延在するパーティングラインによって構成されている。
【0044】
そして、第1パーティングライン76Aと第3パーティングライン76Cとが仕切壁70と仕切部40との間に構成された第2パーティングライン76Bによって連通されている。これは、第3パーティングライン76Cを介して第2パーティングライン76Bがキャビティ部72の外側と連通されていると捉えることもできる。なお、パーティングライン76を全体として見ると、パーティングライン76の位置は、第2パーティングライン76Bを境界として、モールド上下方向下側からモールド上下方向上側へと変更されている。
【0045】
また、上記のように構成されたパーティングライン76は、発泡成形品の成形時において発生するガスの流路Wとして機能することが可能とされている。詳しく説明すると、第1パーティングライン76Aを構成する仕切壁70の表面部及び下側成形面部34は、微小な凹凸が不規則に形成された状態(荒れた状態)となっている。また、同様に第2パーティングライン76Bを構成する仕切部40の表面部、更には、第3パーティングライン76Cを構成する上側成形面部64も微小な凹凸が不規則に形成された状態(荒れた状態)となっている。これにより、第1パーティングライン76A、第2パーティングライン76B及び第3パーティングライン76Cをそれぞれ構成する構成要素同士は互いに当接されるものの、これらはそれぞれ微小な隙間として構成される。つまり、パーティングライン76は、下型12の下側成形面部34から下側キャビティ空間20の上側周縁部20Aまで連続する微小な隙間として構成される。なお、第1パーティングライン76Aは、10mm以下の間隙として設定されていてもよい。
【0046】
ところで、第2パーティングライン76Bが屈曲又は湾曲された構成であっても、パーティングライン76は、ガスの流路Wとして有効に機能する。つまり、仕切壁70及び仕切部40は、第2パーティングライン76Bが屈曲又は湾曲されるような構成であってもよい。しかしながら、良好にガスを流動させるためには、第2パーティングライン76Bが直線状に構成されることが好ましいと考えられる。従って、本実施形態では、第2パーティングライン76Bが、一例として、モールド上下方向に直線状に延在する構成とされている。
【0047】
<本実施形態の作用及び効果>
次に、本実施形態の作用・効果について説明する。本実施形態では、
図1及び
図2に示されるように、下型12に下側キャビティ空間20が設けられている。一方、下型12に型合わせされる上型14には、下型12に型合わせされた状態で下型12の下側成形面部34に対向する上側成形面部64が形成されている。また、上型14の上側成形面部64からは仕切壁70が突設されており、一方、下型12の下側成形面部34からは仕切部40が突設されている。
【0048】
そして、上型14が下型12に型合わせされた状態において、下側成形面部34と仕切壁70との間に第1パーティングライン76Aが構成される。さらに、仕切壁70と仕切部40とによって下型12の下側キャビティ空間20が仕切られ、複数のキャビティ部72が形成されるようになっている。
【0049】
このため、下型12の下側キャビティ空間20に発泡樹脂原液を注入し、下型12に上型14を型合わせすることにより、複数のキャビティ部72内において、
図2(B)に示されるような発泡成形品78が形成される。
【0050】
より具体的に説明すると、一例として、まず、ポリイソシアネート成分と、ポリオール成分、発泡剤、触媒、整泡剤及びその他の助剤を混合した配合液とをミキシングヘッド(図示省略)で混合し、発泡樹脂原液を得る。そして、発泡樹脂原液を下型12の下側キャビティ空間20、22に注入し、上型14を下型12に型合わせする。これにより、複数のキャビティ部72内において、発泡樹脂原液が上型14の上側成形面部64及び下型12の下側成形面部34に沿って発泡及び膨張しつつ硬化していく。その結果、発泡樹脂原液の1回の注入で複数の発泡成形品78を成形することができる。
【0051】
ところで、下型12の下側キャビティ空間20が上型の仕切壁70のみによって仕切られる場合、上型14の仕切壁70と下型12の下側成形面部34とのパーティングライン76が下型12の当該下側成形面部34に沿って構成される。このため、発泡樹脂原液の発泡時に発生するガスの逃げ場がなくなり、発泡成形品78に欠肉が発生することが考えられる。
【0052】
ここで、本実施形態では、上型14が下型12に型合わせされた状態において、上型14の仕切壁70と下型12の下側成形面部34から突設された仕切部40との間に第2パーティングライン76Bが構成される。そして、第2パーティングライン76Bによって、第1パーティングライン76Aとキャビティ部72の外側とが連通されている。このため、仕切壁70と仕切部40とによってキャビティ空間20、22が仕切られて形成されたキャビティ部72の内側と当該キャビティ部72の外側とが連通された状態となる。その結果、発泡樹脂原液の発泡時に発生するガスが、キャビティ部72の内側から当該キャビティ部72の外側へと放出される。換言すれば、第1パーティングライン76A及び第2パーティングライン76Bを含んでガスの流路Wが構成されている。
【0053】
また、本実施形態では、上型14が下型12に型合わせされた状態で上側成形面部64と仕切部40との間に構成される第3パーティングライン76Cを介して第2パーティングライン76Bがキャビティ部72の外側と連通されている。これにより、発泡成形品78の成形時において、仕切壁70における上側成形面部64側の端部周辺までガスが上昇しても、当該ガスは当該端部周辺に留まることなく、キャビティ部72の内側から当該キャビティ部72の外側へと放出される。その結果、発泡成形品78の上部に欠肉が発生することを抑制することができる。
【0054】
さらに、本実施形態では、仕切部40の上面部(上端部)40Aは、下型12における下側キャビティ空間20の上側周縁部20Aと連続して形成されている。これにより、第2パーティングライン76Bが仕切部40の上面部40Aでキャビティ部72の外側に開口される。その結果、発泡成形品78の成形時において、上型14の仕切壁70に沿って上昇するガスを効率よくキャビティ部72の外側へと放出することができる。
【0055】
加えて、本実施形態では、仕切部40が下型12側に形成されている。このため、発泡樹脂原液の硬化後に、上型14を下型12から抜くときに、発泡成形品78が下型12側に残りやすくなる。その結果、発泡成形品78の回収作業の効率化を図ることができる。
【0056】
そして、
図2に示されるように、モールド10で成形された発泡成形品78の本体部80は、上面部80Aと、下面部80Bと、当該上面部80A及び当該下面部80Bと連続する外周面部80Cとを含んで形成されている。また、外周面部80Cにパーティングライン部82(点線で囲んだ部分)が形成されている。
【0057】
このパーティングライン部82は、下面部80Bにおける本体部80の一端部80D側から、上面部80Aにおける一端部80Dと反対側の本体部80の他端部80E側にかけて形成されている。より詳しくは、パーティングライン部82の形状は、側面視で下面部80Bにおける他端部80E側を経由することがないように設定されている。なお、発泡成形品78には、コア部56の形状に対応する凹部80F、コア部57の形状に対応する凹部80G、コア部58の形状に対応する凹部80H及びコア部60の形状に対応する凹部80Iも形成されている。
【0058】
このように、本実施形態では、生産性を確保しつつ欠肉の発生を抑制することができる発泡成形品用モールド10及び欠肉が低減された発泡成形品78を得ることができる。
【0059】
<第2実施形態>
次に、
図6を用いて、本発明に係るモールド10及び発泡成形品78の第2実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一の番号を付してその説明を省略する。第1実施形態において、仕切部40は、下型12のみに設けられていたが、
図6(A)に示されるように、上型14と下型12とに仕切部40を分割して設けてもよい。一例として、仕切部40をモールド上下方向中央部で分割し、上側仕切部90を上型14における仕切壁70と一体に形成し、下側仕切部92を下型12に形成する構成としてもよい。
【0060】
このように構成されたモールド10は、第2パーティングライン76Bが屈曲して構成されるものの、当該第2パーティングライン76Bによって第1パーティングライン76Aとキャビティ部72の外側とを連通することができる。このため、キャビティ部72の内側と当該キャビティ部72の外側とが連通された状態となり、発泡成形品78の成形時に発生するガスをキャビティ部72の外側へと放出することができる。また、本実施形態では、上型14が下型12に型合わせされた状態において、キャビティ部72におけるモールド上下方向中央に第2パーティングライン76Bの一部を設定することができる。
【0061】
なお、本実施形態では、一例として、上側仕切部90をモールド前後方向から見て三角形状とし、下側仕切部92をモールド前後方向から見て上辺がキャビティ部72側とされた台形状とすることで第3パーティングライン76Cを設定することが可能である。このようにモールド10を構成することで、より多くのガスをキャビティ部72の外側へと放出することができ、その結果、発泡成形品78における欠肉の発生を効果的に抑制することができる。
【0062】
一方、このモールド10で形成される発泡成形品78のパーティングライン部82は、
図6(B)に示されるように、上面部80Aと下面部80Bとの間に本体部80の一端部80D側から当該本体部80の他端部80E側に延在する部分を含んで形成されている。
【0063】
<第3実施形態>
次に、
図7を用いて、本発明に係るモールド10及び発泡成形品78の第3実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一の番号を付してその説明を省略する。第1実施形態において、仕切壁70は、板状に形成されていたが、
図7(A)に示されるように、縦断面視で三角形状のブロック状の仕切壁70として形成されていてもよい。
【0064】
このように構成されたモールド10では、仕切壁70の成形面部70Bと上型14の上側成形面部64との成す角が鈍角となる。このため、発泡樹脂原液の発泡時に発生するガスが、仕切壁70における上側成形面部64側の端部周辺に溜まることを抑制することができる。
【0065】
一方、このモールド10で形成される発泡成形品78の外周面部80Cは、
図7(B)に示されるように、仕切壁70の成形面部70Bで成形される傾斜面部80C1を含んで構成されている。そして、パーティングライン部82の一部が傾斜面部80C1の周縁部に沿って形成されている。
【0066】
なお、上述した実施形態では、上型14が下型12に型合わせされた状態において、4つのキャビティ部72が形成されるように構成されていたが、発泡成形品78の成形に支障がない範囲で適宜キャビティ部72の個数を変更してもよい。さらに、コア部56、57、58、60の形状及び個数も上記のものに限らず、種々の構成をとることができる。
【0067】
また、仕切部40及び仕切壁70の構成は、上記のものに限らず、仕切部40を側面視で矩形の板状としてもよいし、仕切部40及び仕切壁70をそれぞれ側面視で台形の板状に形成してもよい。このように構成されたモールド10では、第3パーティングライン76Cがモールド幅方向に直線状に延在するパーティングラインのみによって構成される。
【0068】
さらに、仕切部40を側面視で三角形の板状に形成し、仕切壁70を側面視で台形の板状に形成してもよい。このように構成されたモールド10では、パーティングライン76が、第1パーティングライン76A及び第2パーティングライン76Bによって構成され、パーティングライン76の全体の長さを短く設定することができる。
【0069】
加えて、上述した実施形態では、パーティングライン76が複数の直線状のパーティングラインによって構成されていたが、屈曲又は湾曲されたパーティングラインによって構成されていてもよい。