特許第6413453号(P6413453)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6413453
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】車両用ケーブル配索構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/00 20060101AFI20181022BHJP
   B60K 8/00 20060101ALI20181022BHJP
【FI】
   B60K1/00
   B60K8/00
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-161138(P2014-161138)
(22)【出願日】2014年8月7日
(65)【公開番号】特開2016-37158(P2016-37158A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2017年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】小林 裕
【審査官】 米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−182130(JP,A)
【文献】 特開2006−88871(JP,A)
【文献】 特開2007−14090(JP,A)
【文献】 特開2013−111989(JP,A)
【文献】 特開2000−152470(JP,A)
【文献】 特開2002−315124(JP,A)
【文献】 特開2000−69652(JP,A)
【文献】 特開2006−121825(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0162075(US,A1)
【文献】 特開2003−175784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/00
B60K 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に取り外し可能に支持された強電部品と、
前記車体と前記強電部品とに接続された、それらを等電位に保持するためのケーブルと、
前記車体に固定された他の部品と、
を備え、
前記他の部品は、前記車体に固定された状態において前記強電部品の前記車体からの取り外しを許容する位置で、かつ、平面視において前記ケーブルの前記車体との接続点を覆う位置に設けられていることを特徴とするケーブル配索構造。
【請求項2】
前記強電部品は、前記車体に設けられた支持面に支持されており、
前記他の部品の前記強電部品側の面における前記支持面よりも上方の領域に、前記ケーブルの少なくとも一部を固定したことを特徴とする請求項1に記載のケーブル配索構造。
【請求項3】
前記ケーブルの前記車体との接続点は、前記強電部品よりも車両前方に位置し、
前記ケーブルの前記他の部品への固定点は、前記強電部品よりも車両後方に位置していることを特徴とする請求項1または2に記載のケーブル配索構造。
【請求項4】
前記ケーブルは、第1ケーブルと、前記第1ケーブルと長さの異なる第2ケーブルとを備え、
前記第1及び第2ケーブルは、前記車体及び前記強電部品のいずれか一方に接続される一側端部と他方に接続される他側端部とをそれぞれ有するとともに、前記他側端部からの長さが等しくなる位置で互いに結束されており、
前記第1及び第2ケーブルの一側端部の少なくとも一方に当該一側端部の接続先を示す表示を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のケーブル配索構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強電部品を搭載した車両において当該強電部品と車体との間に等電位を確保するボンディングケーブルまたはアーシングケーブル(以下、単にケーブルと称する)の配索構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機のみを動力源とする電動車両や、電動機と内燃機関とを動力源として備えたハイブリッド車両は、強電部品として、例えば、電動機を駆動制御するインバータ等を備えている。特許文献1は、インバータの底面を底面ブラケットを介してサイドメンバに締結するとともに、インバータの車幅方向外側端部を前面ブラケットを介してラジエータコアアッパサポートに締結したインバータの車体締結構造を開示している。
【0003】
ところで、インバータ等の強電部品は、車体と電気的に接続することによって車体との等電位化を図る必要がある。特許文献1のインバータのように、ブラケットを介して車体に締結されたインバータでは、当該ブラケットにより車体との等電位化を図ることがある。一方、比較的小型のインバータでは、エンジンルーム内に独立にもしくは他の部品を介して搭載されることがあり、そのような場合には、インバータと車体とをケーブルにより電気的に接続することで、それらの等電位化を図ることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−121825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、インバータと車体との等電位化をケーブルにより行った場合は、インバータを交換する際に、ケーブルが完全に取り外されてしまい、交換後のインバータに対してケーブルを組み付けることを作業者が忘れてしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、インバータ等の強電部品の交換の際に、交換後の強電部品へのケーブルの組み付け忘れを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、車体と強電部品とを等電位に保持するためのケーブルの配索構造である。この配索構造では、平面視において当該ケーブルの車体との接続点を覆う位置に他の部品が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
上記配索構造によれば、他の部品が、平面視においてケーブルの車体との接続点を覆う位置に設けられているので、強電部品の交換の際、当該接続点への作業者のアクセスが制限され、ケーブルの車体との接続が外されにくくなる。これによりケーブルを完全に取り外すことが防止され、強電部品を取り外したあともケーブルが車体と接続されたまま残るので、交換後の強電部品へのケーブルの組み付け忘れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態にかかるケーブル配索構造を右斜め後方から見上げた斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態にかかるケーブル配索構造を右斜め前方から見下ろした斜視図である。
図3図3は、本発明の実施形態にかかるケーブル配索構造の平面図である。
図4図4は、本発明の実施形態にかかるケーブルの構成を示す図である。
図5図5は、本発明の実施形態にかかるケーブル配索構造の車両前突時の挙動を示す側面図である。(a)は、衝突前の状態を、(b)は、衝突開始後、ある程度車体の変形が進んだ状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態にかかる車両用ケーブルの配索構造について、図1乃至図5を参照して説明する。本実施形態は、内燃機関と電動機とを動力源として備えたハイブリッド車両1に本発明を適用した例である。なお、本発明は、ハイブリッド車両に限らず、電動機のみを動力源とする電動車両にも適用できる。
【0011】
本実施形態にかかる車両1では、図1乃至図3に示すように、エンジンルームの下部に、車両前後方向に延在するフロントサイドメンバ3が設けられている。フロントサイドメンバ3の車幅方向外側には、車両前後方向に延在してエンジンルームの車幅方向側部を画成するフードリッジ5が設けられている。フードリッジ5の前後中間部には、ストラットハウジング7が接合されている。ストラットハウジング7よりも車両前方に位置するフードリッジ5の下部は、ホイールハウスインナ9を構成している。
【0012】
フロントサイドメンバ3には、電動機駆動用のインバータ11(強電部品)が支持ブラケット13を介して取り外し可能に支持されている。インバータ11は、略直方体形状を有しており、支持ブラケット13により、フロントサイドメンバ3の車幅方向内側面3aよりも車幅方向内方、かつ、フロントサイドメンバ3の上面3bよりも上方の位置に保持されている。
【0013】
支持ブラケット13は、車両前方からの正面視において略三角形状の外形を有するブラケット下部13aと、ブラケット下部13aの上端部に接合された、インバータ11を取り付けるための取付面13c(支持面)を有するブラケット上部13bとを備えている。ブラケット下部13aの車幅方向外側面13dは、フロントサイドメンバ3の車幅方向内側面3aに沿って延び、これにボルト等の締結部材15によって締結固定されている。ブラケット上部13bの取付面13cは、略水平に延在しており、その上にインバータ11が載置されている。インバータ11の底部には取付金具17が固定されており、この取付金具17がボルト等の締結部材19により取付面13cに締結されている。
【0014】
インバータ11は、車体の一部であるホイールハウスインナ9にケーブル21を介して電気的に接続されることで、車体と等電位に保持されている。ケーブル21は、等電位化の信頼性向上の観点から2本のケーブル、すなわち、第1ケーブル21Aと第2ケーブル21Bとから構成されている。第1及び第2ケーブル21A,21Bは、各々コルゲートチューブなどの保護材で被覆された電線であり、レイアウト上の制約から互いに全長が異なるものとなっている。
【0015】
図4に示すように、第1及び第2ケーブル21A,21Bの両端部には、端子片23が設けられている。各端子片23には、それぞれボルト孔23aが設けられ、これに挿通したボルト25をケーブルの接続対象である相手部材に設けられたねじ穴にねじ込むことで、端子片23を相手部材に締結することができる。そして端子片23を相手部材に締結することで、ケーブル21を相手部材に電気的に接続することができる。なお、図4では、インバータ11側の端子片23の構造を示すため、インバータ11側のボルト25は省略している。
【0016】
第1及び第2ケーブル21A,21Bの車体側の端子片23(一側の端部)は、ホイールハウスインナ9の前側側面に立設された端子板31(図3参照)にそれぞれ締結されている。また、第1及び第2ケーブル21A,21Bのインバータ11側の端子片23(他側の端部)は、インバータ11の頂部の車幅方向外側端部に設けられた2つの端子33(強電部品との接続点)にそれぞれ締結されている。これにより、インバータ11と車体とが第1及び第2ケーブル21A,21Bを介して等電位に保持されている。
【0017】
また、第1及び第2ケーブル21A,21Bは、インバータ11側の端子片23からの長さが等しくなる位置で結束バンド27によって互いに結束されている。さらに、第1及び第2ケーブル21A,21Bの車体側の端子片23の少なくとも一方には、当該端子片23の接続先を示す表示、すなわち端子板31の2つの締結点31A,31B(車体との接続点)のうちいずれに締結すべきかを示す表示が設けられている。本実施形態では、第2ケーブル21Bの車体側の端子片23の近傍(具体的には、保護材の車体側の端部)にテープを貼り付けることにより、第2ケーブル21Bにマーク29Aを付している。また、当該端子片23が締結される端子板31の締結点31B近傍領域をマーク29Aと同一色に塗装することで、締結点31Bにマーク29Bを付している。なお、当該端子片23を2つの締結点31A,31Bのうちいずれに締結すべきかをマーク29Aのみから把握することが可能であれば、マーク29Bは省略してもよい。また、接続先を示す表示の形態は、上記のものに限らず、文字、図形、記号等を用いて接続先を指示するものであってもよい。
【0018】
ホイールハウスインナ9の上方には、他の部品であるIPDM(Intelligent Power Distribution Module)41が配置されている。IPDM41は、フードリッジ5の車幅方向内側側面にブラケット41aを介して固定されている(図2参照)。IPDM41は、図3に示すようにホイールハウスインナ9に立設された端子板31の真上に位置するように配置されている。より具体的には、IPDM41は、平面視において、少なくともケーブル21の端子板31との締結点31A,31Bを覆う位置に設けられている。
【0019】
また、IPDM41は、図3に示すように、フードリッジ5に固定された状態において、フロントサイドメンバ3の車幅方向内側面3aよりも車幅方向外方に位置して、インバータ11の上方への取り外しを許容している。すなわち、IPDM41は、後述するインバータ交換作業の邪魔にならない(取り付けまたは取り外しされるインバータ11と干渉しない)位置にあるので、インバータ交換時には取り外す必要がない。
【0020】
さらに、図5(a)に示すように、IPDM41の下面は、インバータ11を支持する支持ブラケット13の取付面13cよりも低く、フロントサイドメンバ3の上面3bよりも高い位置にある。また、IPDM41の車両前後方向の長さは、インバータ11のそれよりも大きい。従って、インバータ11の前側側面は、IPDM41の車両前方端部よりも車両後方に位置しており、インバータ11の後側側面は、IPDM41の車両後方端部よりも車両前方に位置している。なお、インバータ11とIPDM41とフロントサイドメンバ3との間の位置関係はこれに限定されず、レイアウト上の要求等に応じて適宜設定可能である。
【0021】
ケーブル21は、図1図3及び図4に示すように、クリップ51によりIPDM41に固定されている。具体的には、ケーブル21の中間部(端子片23以外の部分)が、IPDM41の筐体の車幅方向内側面41bすなわちインバータ11側の側面における、支持ブラケット13の取付面13cよりも上方の領域に固定されている。
【0022】
また、ケーブル21と端子板31との締結点31A,31Bは、図5(a)に示すように、インバータ11よりも(例えば、端子33の位置よりも)車両前方に位置している。一方、クリップ51によってケーブル21がIPDM41に固定されている位置(固定点51Aの位置)は、インバータ11よりも(例えば、端子33の位置よりも)車両後方に位置している。
【0023】
本実施形態において、インバータ11を交換する際は、まず、インバータ11の信号線や電源線の接続を外す。次に、インバータ11側の端子片23のボルト25を外し、第1及び第2ケーブル21A,21Bのインバータ11側の端部をインバータ11の端子33から取り外す。さらに、締結部材19を外して、インバータ11を持ち上げることで、取付金具17ごとインバータ11を支持ブラケット13から取り外す。そして、交換用のインバータ11(場合によっては、交換前のインバータ11と同じもの)を取付面13cの上に載せて位置決めしたのち、インバータ11の取付金具17を締結部材19により取付面13cに締結する。次に、第1及び第2ケーブル21A,21Bのインバータ11側の各端子片23を交換後のインバータ11の端子33に締結するとともに、インバータ11の信号線等の接続を行う。
【0024】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0025】
(1)従来、車体とインバータとの等電位化をケーブルにより行った場合、インバータを交換する際に、ケーブルが完全に取り外されてしまい、交換後のインバータに対してケーブルを組み付けることを作業者が忘れてしまうおそれがあった。なお、当該ケーブルは車体とインバータとの間に等電位を確保するためだけのものであり、このケーブルを組み付け忘れたとしても、車両の走行自体には支障がないため、車両側で組み付け忘れを検出することは困難であった。
【0026】
本実施形態にかかるケーブル配索構造によれば、IPDM41が、平面視においてケーブル21の車体との締結点31A,31Bを覆う位置に設けられている。そのため、インバータ11の交換の際、当該締結点31A,31Bへの作業者のアクセスが制限され、ケーブル21の車体との接続が外されにくくなる。これによりケーブル21を完全に取り外すことが防止され、インバータ11を取り外したあともケーブル21が車体と接続されたまま残るので、交換後のインバータ11へのケーブル21の組み付け忘れを防止することができる。
【0027】
(2)また、ケーブルは剛性が低いため、インバータ側の端子片をインバータの端子から取り外すと、その形状を維持できずに自重により垂れ下がり、そのため作業者がケーブルを見失う恐れがあった。
【0028】
本実施形態では、ケーブル21の少なくとも一部が、IPDM41のインバータ11側の側面における取付面13cよりも上方の領域に固定されている。そのため、インバータ11を取り外したあとも、ケーブル21が取付面13c近傍に保持される。これにより、インバータ11の交換時に、作業者がケーブル21を見失うことが防止され、ケーブル21の組み付け忘れをより確実に防止することができる。
【0029】
(3)車両1の前面衝突時には、図5(b)に示すように、前方からの衝撃荷重の入力によってフロントサイドメンバ3及びフードリッジ5が潰れ変形する。本実施形態では、ケーブル21の車体との締結点31A,31Bが、インバータ11よりも車両前方に位置し、ケーブル21のIPDM41への固定点51Aが、インバータ11よりも車両後方に位置している。このため、フロントサイドメンバ3及びフードリッジ5の潰れ変形に伴い、締結点31A,31Bとインバータ11とが、固定点51Aよりも大きな距離で車両後方へ移動(後退)する。
【0030】
そして、本実施形態では、締結点31A,31Bとインバータ11とが固定点51Aよりも車両前方に位置し、ケーブル21の余長部分のより大きな範囲が、フロントサイドメンバ3に沿って車両前後方向に延在している。このため、車両前突時における各締結点31A,31Bの固定点51Aに対する移動量(後退量)をケーブル21の余長部分によって効率的に吸収することができ、車両前突時にケーブル21が引っ張られて切断されることを防止することができる。
【0031】
(4)本実施形態では、全長の異なる2本のケーブル21A,21Bをインバータ11側の端子片23からの長さが等しくなる位置(結束点27A)で互いに結束するとともに、車体側の端部の少なくとも一方に当該車体側の端子片23の接続先を示す表示を設けている。このため、車体側の各端子片23をそれぞれ正規の接続先である締結点31A,31Bにより確実に接続することができる。また、車体側の端子片23を正規の締結点31A,31Bに締結しさえすれば、結束点27Aからインバータ11側の端子片23までの長さは2本のケーブル21で共通なので、インバータ11側の端子片23は2つの端子33のいずれにも接続可能である。従って、ケーブル21の取り付け作業において、インバータ11側の端子片23の接続先を管理する必要がなくなり、作業性が向上する。
【0032】
(5)本実施形態では、ケーブル21の締結点31A,31Bの真上に位置するIPDM41の下面が、支持ブラケット13の取付面13cよりも低い位置にある。このため、インバータ11の交換作業を行う作業者からみて、より奥まった位置に締結点31A,31Bが位置することになるので、作業者が誤ってケーブル21を完全に取り外してしまう可能性をさらに低減することができる。
【0033】
以上、本発明の実施形態について説明したが、この実施形態は本発明の理解を容易にするために記載された単なる例示に過ぎず、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。本発明の技術的範囲は、上記実施形態で開示した具体的な技術事項に限らず、そこから容易に導きうる様々な変形、変更、代替技術なども含むものである。
【0034】
例えば、上記実施形態では、強電部品としてインバータ11を例に挙げたが、強電部品はこれに限らず、例えば、DC−DCコンバータや各種モータであってもよい。
【0035】
また、上記実施形態では、他の部品としてIPDM41を例に挙げたが、他の部品は、インバータ交換時に取り外す必要のない部品であればよく、例えば、USM(Underhood Switching Module)、ヒューズボックス、リレーボックスなどであってもよい。
【0036】
さらに、上記実施形態では、ケーブル21の車体側の端子片23を、端子板31を介してホイールハウスインナ9に電気的に接続したが、車体側の端子片23の接続位置はこれに限らず、例えば、フロントサイドメンバ3の車幅方向内側面3a、車幅方向外側面、あるいは上面3bなどであってもよい。
【0037】
また、上記実施形態では、平面視においてケーブル21の車体との締結点31A,31Bを覆う位置にIPDM41を設けたが、そのような位置にさらに別の他の部品を設けてもよい。また、平面視だけでなく、インバータ交換を行う作業者の視点から見たときに、上記締結点31A,31Bが覆われるような位置に、さらに別の他の部品を設けてもよい。このようにすることで、インバータ11の交換の際の締結点31A,31Bへの作業者のアクセスがさらに制限され、ケーブル21を完全に取り外すことがより確実に防止される。
【0038】
さらに、上記実施形態では、第1及び第2ケーブル21A,21Bをインバータ11側の端子片23からの長さが等しくなる位置(結束点27A)で互いに結束するとともに、車体側の端部の一方に当該車体側の端子片23の接続先を示す表示を設けている。しかしながら、インバータ11側の端子片23の接続先を管理する方が車体側の接続先を管理するよりも容易な場合等は、上記と反対の位置関係となるように結束点27Aの位置を設定してもよい。すなわち、結束点27Aを、第1及び第2ケーブル21A,21Bの車体側の端子片23からの長さが等しくなる位置とし、インバータ11側の端部の少なくとも一方に当該インバータ11側の端子片23の接続先を示す表示を設けてもよい。
【0039】
また、上記実施形態では、ケーブル21の本数を2本としていたが、1本であっても、3本以上であってもよい。また、上記実施形態では、インバータ11を支持ブラケット13を介してフロントサイドメンバ3に支持させていたが、インバータ11を支持するものは特に限定されず、リアサイドメンバなど他のフレーム部材であってもよい。
【0040】
さらに、上記実施形態では、結束バンド27とクリップ51とを別体としていたが、結束バンド27をIPDM41に固定可能な構造とし、これをクリップ51として兼用してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 車両
3 フロントサイドメンバ(車体)
5 フードリッジ(車体)
9 ホイールハウスインナ(車体)
13 支持ブラケット(車体)
13c 取付面(支持面)
11 インバータ(強電部品)
21 ケーブル
21A 第1ケーブル
21B 第2ケーブル
23 端子片(一側端部、他側端部)
29 マーク(表示)
31A,31B 締結点(車体との接続点)
41 IPDM(他の部品)
51A 固定点
図1
図2
図3
図4
図5