特許第6413479号(P6413479)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6413479
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】車両制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/16 20120101AFI20181022BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20181022BHJP
   B60K 31/00 20060101ALI20181022BHJP
   B60W 30/10 20060101ALI20181022BHJP
   G01S 13/93 20060101ALI20181022BHJP
   G01S 17/93 20060101ALI20181022BHJP
【FI】
   B60W30/16
   G08G1/16 E
   B60K31/00 Z
   B60W30/10
   G01S13/93 220
   G01S17/93
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-169514(P2014-169514)
(22)【出願日】2014年8月22日
(65)【公開番号】特開2016-43809(P2016-43809A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年7月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(72)【発明者】
【氏名】田中 啓介
(72)【発明者】
【氏名】古藤 英章
【審査官】 増子 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−211212(JP,A)
【文献】 特開平11−153406(JP,A)
【文献】 特開2002−228748(JP,A)
【文献】 特開2013−142975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 − 50/16
B60K 31/00 − 31/18
B60R 21/00 − 21/13
B60R 21/34 − 21/38
G08G 1/00 − 99/00
G01S 7/00 − 7/42
G01S 13/00 − 13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現時点の自車位置から進行方向に沿って設けられ、自車が通過すると予測される自車予測経路を算出する自車予測経路算出部と、
前記自車の、前記自車予測経路算出部によって算出された前記自車予測経路上の前方を走行する車両を先行車としてロックオンする先行車ロックオン部と、
前記先行車ロックオン部によってロックオンされた前記先行車に対して予め設定された所定の車間距離を保持するように前記自車の走行を制御する先行車追従走行制御部と、
前記先行車ロックオン部によってロックオンされている前記先行車または前記先行車ロックオン部によってロックオンしている前記自車が車線変更を行ったと判定する車線変更判定部と、を備えた車両制御装置であって、
前記車線変更判定部は、所定時点において前記自車が記憶した、前記自車の前方を走行する前記先行車の位置と、前記所定時点において前記先行車の位置を記憶した後に、前記自車が前記進行方向に沿って走行して、先に記憶されている前記所定時点の前記先行車の位置のうち前記進行方向に沿った座標に到達した時点における、前記自車の位置と、の車幅方向の偏差が判定値を超えた場合、前記先行車または前記自車が前記車線変更を行ったと判定することを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記車線変更判定部は、前記先行車が前記自車予測経路からずれた第一時点における前記先行車の位置である前記先行車の第一位置と、前記自車が、前記第一時点における前記自車の位置である開始地点から前記進行方向に沿って、前記第一時点における前記自車の位置と記憶されている前記先行車第一位置との進行方向の偏差に相当する所定距離だけ走行した時点における前記自車の第一位置と、の前記車幅方向の偏差が前記判定値を超えた場合、前記先行車または前記自車が前記車線変更を行ったと判定することを特徴とする請求項1記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記車線変更判定部は、前記先行車が、前記自車が通過すると予測される自車予測経路からずれた第一時点から所定時間が経過した第二時点までの間において、所定の短時間毎に前記自車の位置を算出し、算出した前記自車の位置と前記第一時点における前記先行車の位置との前記車幅方向の微小偏差を前記所定の短時間毎に算出し、算出した前記車幅方向の微小偏差を積算することにより、前記先行車の位置と前記自車の位置との前記車幅方向の偏差を算出することを特徴とする請求項1記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記車線変更判定部は、所定の短時間毎に算出された前記自車の位置と、前記所定の短時間毎に算出・記憶された前記自車の位置を基準に算出・記憶された前記自車の位置に相当する既に記憶されている前記先行車の位置と、の前記車幅方向の偏差が前記判定値を超えた場合、前記先行車または前記自車が前記車線変更を行ったと判定することを特徴とする請求項1記載の車両制御装置。
【請求項5】
現時点の自車位置から進行方向に沿って設けられ、自車が通過すると予測される自車予測経路を算出する自車予測経路算出部と、
前記自車の、前記自車予測経路算出部によって算出された前記自車予測経路上の前方を走行する車両を先行車としてロックオンする先行車ロックオン部と、
前記先行車ロックオン部によってロックオンされた前記先行車に対して予め設定された所定の車間距離を保持するように前記自車の走行を制御する先行車追従走行制御部と、
前記先行車ロックオン部によってロックオンされている前記先行車または前記先行車ロックオン部によってロックオンしている前記自車が車線変更を行ったと判定する車線変更判定部と、を備えた車両制御装置であって、
前記車線変更判定部は、前記先行車ロックオン部によってロックオンされた前記先行車が前記自車予測経路上から逸脱した旨の判定がなされた場合、その判定がなされた第一時点の前記先行車の位置である先行車逸脱位置を記憶装置に記憶し、
その後、前記自車が前記進行方向に沿って走行して、先に記憶されている前記先行車逸脱位置のうち前記進行方向に沿った座標に到達した時点において、前記自車の到達した位置と前記先行車の先行車逸脱位置との前記車幅方向の偏差が判定値を超えた場合、前記先行車または前記自車が前記車線変更を行ったと判定することを特徴とする車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両制御装置の一形式として、特許文献1に示されているものが知られている。特許文献1の図4,5に示されているように、カーブ路判定は、先行車両が先行車両認識範囲から逸脱したとき、該逸脱した時点から一定時間経過後に、予め設定された判定時間Δt内で、設定時刻t毎に測定された先行車の前記車線幅方向移動距離X(JUDGX(t))とカーブ判定のためのX距離のしきい値(CRVXth)とを比較し、前記判定時間内で、JUDGX(t)>CRVXthとなる回数(JUDGNUM)が、カーブ判定回数しきい値(NUMth)より大(JUDGNUM>NUMth)のとき、走行車線前方にカーブ路があると判定するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−228748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載されている車両制御装置は、車両がカーブ路に沿って旋回する場合、先行車の車線幅方向移動距離は自車と先行車との間の経路や曲率で異なるため、特に前方の走行路の情報が入手できない車両では、先行車の車線に沿った旋回とレーンチェンジとの正確に判断(区別)することができないという問題があった。
【0005】
本発明は、上述した問題を解消するためになされたもので、車両制御装置において、先行車の車線に沿った旋回とレーンチェンジとの正確に判断することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、請求項1に係る車両制御装置の発明は、現時点の自車位置から進行方向に沿って設けられ、自車が通過すると予測される自車予測経路を算出する自車予測経路算出部と、自車の、自車予測経路算出部によって算出された自車予測経路上の前方を走行する車両を先行車としてロックオンする先行車ロックオン部と、先行車ロックオン部によってロックオンされた先行車に対して予め設定された所定の車間距離を保持するように自車の走行を制御する先行車追従走行制御部と、先行車ロックオン部によってロックオンされている先行車または先行車ロックオン部によってロックオンしている自車が車線変更を行ったと判定する車線変更判定部と、を備えた車両制御装置であって、車線変更判定部は、所定時点において自車が記憶した、自車の前方を走行する先行車の位置と、所定時点において先行車の位置を記憶した後に、自車が進行方向に沿って走行して、先に記憶されている所定時点の先行車の位置のうち進行方向に沿った座標に到達した時点における、自車の位置と、の車幅方向の偏差が判定値を超えた場合、先行車または自車が車線変更を行ったと判定することである。
【0007】
これによれば、車両制御装置の車線変更判定部は、所定時点において自車が記憶した、自車の前方を走行する先行車の位置と、所定時点において先行車の位置を記憶した後に、自車が進行方向に沿って走行して、先に記憶されている所定時点の先行車の位置のうち進行方向に沿った座標に到達した時点における、自車の位置と、の車幅方向の偏差が判定値を超えた場合、先行車または自車が車線変更を行ったと判定する。よって、先行車の位置に対する自車の位置の車幅方向の偏差に基づいて、先行車の車線に沿った旋回とレーンチェンジとを判断(区別)することとなり、自車と先行車との間の経路や曲率に関係なく、旋回とレーンチェンジの判断を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明による車両制御装置の一実施形態を示すブロック図である。
図2図1に示す車線変更判定部を示すブロック図である。
図3】先行車と自車とが同一直線状車線を走行している図である。
図4】先行車が自車と同一直線状車線から逸脱した状態を示す図である。
図5】先行車が自車と同一直線状車線から車線変更したか否かの判定を説明する図である。
図6図1に示した車両制御装置にて実行される制御プログラムのフローチャートである。
図7】先行車と自車とが同一車線(直線路から曲線路に変わる)を走行している図である。
図8】先行車が自車予測経路から逸脱した状態を示す図である。
図9】先行車が自車と同一車線(直線路から曲線路に変わる)から車線変更していない旨(同一車線内を走行)の判定を説明する図である。
図10】先行車が自車予測経路から逸脱した状態を示す図である。
図11】先行車が自車と同一車線(直線路から曲線路に変わる)から車線変更している旨の判定を説明する図である。
図12図1に示した車両制御装置にて実行される他の制御プログラムのフローチャートである。
図13図1に示した車両制御装置にて実行される他の制御プログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る車両制御装置を適用した一実施形態を図面を参照して説明する。図1に示すように、車両Mは、前方センサ11、車速センサ12、ヨーレートセンサ13、操作部14、記憶装置15、GPS受信機16、車両駆動装置17、車両制動装置18、および車両制御装置20を備えている。
【0010】
前方センサ11は、自車の前方情報を検知するセンサ、すなわち自車の前方を走行する車両を検知するセンサである。前方センサ11は、例えば、ミリ波を用いたスキャンレーダあるいは半導体レーザを用いたスキャンレーザレーダ、CCDカメラ等により構成されている。前方センサ11の検知信号からは、自車から物標までの車間距離、相対移動速度などを算出することができる。
【0011】
車速センサ12は、自車の車速を検出するセンサである。車速センサ12は、例えば、車両Mの車輪の速度である車輪速を検出する車輪速センサ、車両駆動装置17の出力軸の回転速度を検出する車速センサにより構成されている。
ヨーレートセンサ13は、車両Mのヨーレートを検出するセンサである。車両Mのヨーレートは、ヨー角の変化する速さであり、車両Mの重心点を通る鉛直軸まわりの回転角速度である。
【0012】
操作部14は、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)のオン・オフスイッチ、車間距離設定スイッチなどから構成されている。ACCのオン・オフスイッチは、ACC制御を開始・停止させるためのスイッチである。車間距離設定スイッチは、ACC制御中の先行車と自車との車間距離を設定するためのスイッチであり、複数の距離に応じた複数段の設定を有する。ACC制御は、先行車との車間距離を一定に保って、すなわち先行車に対して所定距離を保持して追従走行するように自車の走行を制御するものである。ACC制御は、自車の速度を設定した速度(設定速度)に一定に保持するように自車の走行を制御するクルーズコントロールも含んでいる。
【0013】
記憶装置15は、車両制御装置20と互いに通信可能なものであり、車両制御装置20で処理した処理結果などを記憶するものである。GPS(全地球測位システム)受信機16は、上空にある数個の衛星からの信号を受け取るものである。車両制御装置20は、GPS受信機16が受け取った信号から自車の現在位置を検出することができる。
【0014】
車両駆動装置17は、車両Mを駆動させて走行させるものである。車両駆動装置17は、例えばエンジン、モータなどの駆動源によって駆動輪を駆動させる。車両駆動装置17は、アクセルペダルの踏み込みの有無に関係なくエンジンやモータの出力(車両駆動力)を自動的に調整可能に構成されている。
【0015】
車両制動装置18は、車両Mを制動させるものである。車両制動装置18は、ABSやESC機能を有するブレーキアクチュエータを備えている。ブレーキアクチュエータは、ブレーキペダルの踏み込みの有無に関係なく各車輪に制動力を独立かつ自動的に付与可能なアクチュエータである。
【0016】
車両制御装置20は、先行車サーチ部21、自車予測経路算出部22、先行車ロックオン部23、車線変更判定部24、および先行車追従走行制御部25を備えている。
先行車サーチ部21は、自車の前方を走行する車両(以下、前方走行車ともいう)をサーチ(探索・検知)する。具体的には、先行車サーチ部21は、前方センサ11から取得した自車の前方情報に基づいて前方走行車をサーチする。
【0017】
自車予測経路算出部22は、現時点の自車位置からの走行経路を予測して算出する。具体的には、自車予測経路算出部22は、車速センサ12から取得した自車の速度、およびヨーレートセンサ13から取得した自車のヨーレートに基づいて自車予測経路を算出する。自車予測経路は、現時点の自車位置から所定時間先までの自車が走行すると予測される経路である。自車予測経路は、自車が走行すると予測される進行方向に沿って設定される。自車予測経路の幅は、車幅と同程度(例えば2m)に設定される。
【0018】
先行車ロックオン部23は、自車の前方を走行する車両を先行車としてロックオンする。具体的には、先行車ロックオン部23は、先行車サーチ部21から取得した前方走行車の情報(自車との車間距離、自車に対する相対位置、先行車の中心位置など)と、自車予測経路算出部22から取得した自車予測経路の情報とを照合することにより、前方走行車のうち自車予測経路を走行するものを先行車としてロックオンする。すなわち、先行車ロックオン部23は、自車予測経路上を走行している前方走行車のうち最も自車Maに近いものを先行車としてロックオンする。
【0019】
車線変更判定部24は、先行車ロックオン部23によってロックオンされている先行車または先行車ロックオン部23によってロックオンしている自車が車線変更を行ったか否かを判定する。車線変更判定部24は、先行車の軌跡と自車の判定位置との車幅方向の偏差が判定値を超えた場合、先行車または自車が車線変更を行ったと判定する。なお、先行車の軌跡は、自車の現在位置を基準に前方センサ11によって認識されている先行車の軌跡である。自車の判定位置は、ロックオンされている先行車またはロックオンしている自車が車線方向を行ったか否かを判定するための自車位置である。
【0020】
さらに、車線変更判定部24は、図2に示すように、先行車経路逸脱判定部31、先行車逸脱位置記憶部32,車幅方向偏差算出部33、および比較部34を備えている。
先行車経路逸脱判定部31は、自車予測経路上から先行車が逸脱したか否かの判定(先行車経路逸脱判定)を実行する。先行車経路逸脱判定部31は、先行車と自車予測経路との車幅方向のラップ率が判定値以下となれば逸脱したと判定し、ラップ率が判定値より大きい場合には逸脱していないと判定する。ラップ率は、先行車に対する自車予測経路の重なっている割合である。先行車が自車予測経路内を走行している場合、ラップ率はほぼ100%であり、一方先行車が自車予測経路から外れて走行している場合、ラップ率は0%である。判定値は、例えば95%〜50%が好ましい。本実施形態では、判定値は例えば75%である。なお、ラップ率は、自車予測経路に対する先行車の重なっている割合でもよい。
【0021】
先行車経路逸脱判定部31は、先行車ロックオン部23によってロックオンされた先行車に関する、前方センサ11から取得した先行車情報(自車からの車間距離、自車の進行方向に対する車幅方向位置)、および自車予測経路算出部22から取得した自車予測経路から先行車経路逸脱判定を実行する。
【0022】
例を挙げて説明する。図3に示すように、自車Maおよび先行車Mbがほぼ直線の道路(片側二車線)の走行車線を走行している場合、先行車Mbが自車Maの自車予測経路A上を逸脱しないで走行しておりラップ率は100%であるため、先行車逸脱位置記憶部32は、自車予測経路A上から先行車Mbが逸脱していない旨の判定を行う。
【0023】
しかし、図4に示すように、自車Maに対して同一の走行車線を先行している先行車Mbが車線変更を行う場合、先行車Mbが自車Maの自車予測経路Aを逸脱しラップ率は75%であるため、先行車逸脱位置記憶部32は、自車予測経路A上から先行車Mbが逸脱した旨の判定を行う。
【0024】
先行車逸脱位置記憶部32は、先行車経路逸脱判定部31によって自車予測経路上から先行車が逸脱した旨の判定がなされた場合、その判定がなされた時点の自車位置を基準位置として記憶するとともに、自車の基準位置を基準としてその時点の先行車の位置(先行車の第一位置)を記憶する。
【0025】
図4に示すように、逸脱した旨の判定がなされた時点(第一時点(時刻t0))にて、先行車Mbが自車Maの自車予測経路Aを逸脱した。第一時点における、自車Maの位置は、(X0,Y0)である。なお、Y0は、自車Maの進行方向(車両の全長方向)に沿った座標軸の座標であり、X0は、自車Maの進行方向に直交する方向(車両の車幅方向)に沿った座標軸の座標である。この自車Maの位置は、単位時間ごとに自車Maの速度およびヨーレートから算出したX軸、Y軸方向の移動量を積分して算出することができる。なお、X軸、Y軸方向は、それぞれ、例えば走行開始した時点の車幅方向、全長(前後)方向である。あるいは、自車Maの位置は、自車Maに搭載されているGPS(全地球測位システム)受信機16から取得される位置情報から算出できる。先行車逸脱位置記憶部32は、第一時点の自車位置を基準位置として第一時点の時刻t0と関連づけて記憶装置15に記憶する。
【0026】
先行車逸脱位置記憶部32は、第一時点における、自車Maの基準位置に対する先行車Mbの位置(先行車の相対位置)を前方センサ11から取得した先行車情報から算出する。第一時点における先行車Mbの相対位置は、(LX0,LY0)である。なお、LY0は、自車Maの進行方向に沿った相対距離であり、LX0は、自車Maの車幅方向に沿った相対距離である。
【0027】
さらに、先行車逸脱位置記憶部32は、第一時点における先行車Mbの第一位置を算出して第一時点の時刻と関連づけて記憶装置15に記憶する。第一時点における先行車Mbの第一位置は、第一時点における自車Maの位置(X0,Y0)に、第一時点における先行車Mbの相対位置(LX0,LY0)を加算することで、算出される。すなわち、第一時点における先行車Mbの第一位置は、(X0+LX0,Y0+LY0)である。先行車Mbの第一位置は制御サイクル毎に算出・記憶されており、制御サイクル毎に記憶された複数の先行車Mbの第一位置から先行車Mbの軌跡(走行軌跡)は算出される。
なお、自車位置および先行車位置は、自車および先行車の重心位置の座標で示されている。
【0028】
車幅方向偏差算出部33は、先に先行車逸脱位置記憶部32によって記憶装置15に記憶された先行車の位置と、自車の位置とから車幅方向の偏差(車幅方向偏差ΔX)を算出する。具体的には、車幅方向偏差算出部33は、先行車Mbが逸脱した地点まで自車Maが進行方向に沿って走行して到達した時点において、先行車Mbの逸脱した位置と自車Maの到達した位置の車幅方向偏差ΔXを算出する。
【0029】
例えば、図5に示すように、自車Maに対して同一の走行車線を先行している先行車Mbが車線変更を行った場合、自車Maが先行車Mbの逸脱した地点に到達した時点(時刻t10)では、自車Maの位置は(X10,Y10)である。この自車Maの位置は、走行開始位置(例えば(X0,Y0))を基準とし、単位時間ごとに自車Maの速度およびヨーレートから算出したX軸、Y軸方向の移動量を積分し、走行開始位置に加算することで算出することができる。あるいは、自車Maの位置は、GPS受信機16から取得される位置情報から算出できる。自車Maと先行車Mbとの車幅方向偏差ΔXは|X10−(X0+LX0)|である。このとき、先行車Mbは走行車線に隣接する追越車線を走行している。なお、車幅方向偏差ΔXは、自車Maと先行車Mbの位置座標の車幅方向の差の絶対値であるのが好ましい。
【0030】
比較部34は、車幅方向偏差算出部33によって算出された車幅方向偏差ΔXと判定値Xaとを比較する。比較部34は、車幅方向偏差ΔXが判定値Xa以下である場合、先行車(または自車)は車線(先行車が逸脱した時点での自車走行車線(自車Maが走行する車線))内の走行(車線内走行)をしている旨の判定を行って、先行車追従走行制御部25にその旨を送信する。一方、比較部34は、車幅方向偏差ΔXが判定値Xaより大きい場合、先行車(または自車)は車線変更をした旨の判定を行って、先行車サーチ部21にその旨を送信する。なお、判定値Xaは、車幅(または自車予測経路の幅)の5〜25%に設定されるのが好ましい。本実施形態では、判定値Xaは車幅の20%に設定されている。
【0031】
先行車追従走行制御部25は、先行車ロックオン部23によってロックオンされた先行車に対して所定距離を保持して追従走行するように自車の走行を制御する。所定距離は、操作部14の操作によって設定された設定車間距離である。先行車追従走行制御部25は、前方センサ11から取得した先行車との車間距離が設定車間距離となるように、車両駆動装置17または/および車両制動装置18を制御する。先行車追従走行制御部25は、先行車との車間距離が設定車間距離より短い場合、車両駆動装置17または/および車両制動装置18を制御して自車を減速し、車間距離を増大させる。一方、先行車追従走行制御部25は、先行車との車間距離が設定車間距離より長い場合、車両駆動装置17を制御して自車を加速し、車間距離を減少させる。
【0032】
さらに、上述した車両制御装置20による作動について図6に示すフローチャートに沿って説明する。車両制御装置20は、そのフローチャートに沿ったプログラムを実行する。
車両制御装置20は、ステップS102において、上述した先行車サーチ部21と同様に、先行車のサーチを行う。具体的には、前方センサ11から取得した自車の前方情報に基づいて前方走行車をサーチする。前方走行車の中から先行車が特定される。
【0033】
車両制御装置20は、ステップS104において、上述した自車予測経路算出部22と同様に、現時点の自車位置からの走行経路を予測して算出する。具体的には、車両制御装置20は、車速センサ12から取得した自車の速度、およびヨーレートセンサ13から取得した自車のヨーレートに基づいて自車予測経路を算出する。
【0034】
次に車両制御装置20は、上述した先行車ロックオン部23と同様に、ステップS102にてサーチした前方走行車の情報(自車との車間距離、自車に対する相対位置、先行車の中心位置など)と、ステップS104にて算出した自車予測経路の情報とから、前方走行車のうち自車予測経路を走行するものを先行車としてロックオンする。
具体的には、車両制御装置20は、ステップS106において、前方走行車の情報と自車予測経路の情報とを照合することにより、自車予測経路内に前方走行車が走行しているか否かを判定する。自車予測経路内に前方走行車が走行している場合、車両制御装置20は、ステップS106にて「YES」と判定し、前方走行車のうち自車予測経路内を走行するものを先行車としてロックオンする(ステップS108)。一方、自車予測経路内に前方走行車が走行していない場合(例えば、自車走行車線の隣車線を前方走行車が走行している場合)、車両制御装置20は、ステップS106にて「NO」と判定し、先行車に対するロックオンを行わない(ステップS126)。
車両制御装置20は、ステップS108において、先行車をロックオンするとともに、上述した先行車追従走行制御部25と同様に、ロックオンされた先行車に対して所定距離を保持して追従走行するように自車の走行を制御する。また、車両制御装置20は、ステップS126において、先行車をロックオンしないとき、先行車追従走行制御を中止し、自車Maの速度を設定した速度(設定速度)に一定に保持するように自車の走行を制御するクルーズコントロールを行う。
【0035】
車両制御装置20は、ステップS110において、自車予測経路上からロックオンされている先行車が逸脱したか否かの判定(先行車経路逸脱判定)を実行する。具体的には、車両制御装置20は、上述した先行車経路逸脱判定部31と同様に、先行車と自車予測経路との車幅方向のラップ率が判定値以下となれば逸脱したと判定し、ラップ率が判定値より大きい場合には逸脱していないと判定する。
車両制御装置20は、先行車が自車予測経路を逸脱したと判定した場合(ステップS110にて「YES」)には、プログラムをステップS112に進める。一方、車両制御装置20は、先行車が自車予測経路を逸脱していないと判定した場合(ステップS110にて「NO」)には、プログラムをステップS106に戻す。
【0036】
車両制御装置20は、ステップS112において、上述した先行車逸脱位置記憶部32と同様に、ステップS110にて自車予測経路上から先行車が逸脱した旨の判定がなされた場合、その判定がなされた時点(図4参照)の自車位置を基準位置として記憶するとともに、自車の基準位置を基準としてその時点の先行車の位置(先行車の第一位置)を記憶する。基準位置は、(X0,Y0)である。先行車の第一位置は、(X0+LX0,Y0+LY0)である。
【0037】
車両制御装置20は、上述した車幅方向偏差算出部33と同様に、先行車Mbが逸脱した地点まで自車Maが進行方向に沿って走行して到達した時点において、先行車Mbの逸脱した位置と自車Maの到達した位置の車幅方向偏差ΔXを算出する。具体的には、車両制御装置20は、ステップS114において、自車Maが進行方向に沿って走行して、先行車Mbが逸脱した地点に到達したか否かを判定する。詳細には、車両制御装置20は、自車Maが、自車予測経路上から先行車が逸脱した旨の判定がなされた時点にて算出された先行車の相対距離LY0だけ進行方向に沿って走行したか否かを判定する。自車Maの走行距離は、車速センサ12の検出結果から算出することができる。
【0038】
車両制御装置20は、ステップS116において、上述した車幅方向偏差算出部33と同様に、自車Maが先行車Mbの逸脱した地点に到達した時点(時刻t10:図5参照)の位置(X10,Y10)と、先行車Mbの逸脱した位置(X0+LX0,Y0+LY0)との車幅方向偏差ΔXを算出する。車幅方向偏差ΔXは|X10−(X0+LX0)|である。時刻t1から時刻t10までの間、自車Maの走行経路が直線であれば、X0とX10は同一であるので、車幅方向偏差ΔXは|X0−(X0+LX0)|であり、LX0である。
【0039】
車両制御装置20は、ステップS118において、上述した比較部34と同様に、ステップS116にて算出された車幅方向偏差ΔXと判定値Xaとを比較する。車両制御装置20は、車幅方向偏差ΔXが判定値Xa以下である場合、先行車(または自車)は車線(先行車が逸脱した時点での自車走行車線)内の走行(車線内走行)をしている旨の判定を行う(ステップS128)。そして、車両制御装置20は、プログラムをステップS106に戻し、先行車追従走行制御部25と同様に、先行車Mbが自車予測走行経路内を走行する限り先行車追従走行を継続する。
【0040】
一方、車両制御装置20は、車幅方向偏差ΔXが判定値Xaより大きい場合、先行車(または自車)は車線変更をした旨の判定を行う(ステップS120)。そして、車両制御装置20は、プログラムをステップS122に進め、先行車に対するロックオンを解除する。その後、車両制御装置20は、プログラムをステップS124に進め、本フローチャートを一旦中止する。
【0041】
さらに、自車走行車線が直線路から曲線路(本実施形態では左カーブ)に変化する場合について説明する。最初に先行車Mbおよび自車Maが自車Maの自車走行車線に沿って走行する場合について図7−9を参照して説明する。図7に示すように、先行車Mbは、直線路から曲線路に進入したところである。自車Maは、ロックオンしている先行車Mbに対して先行車追従走行を実施している。先行車Mbと自車Maとの車間距離は、設定車間距離LYである。
【0042】
図8に示すように、先行車Mbが曲線路(自車走行車線)に沿って旋回すると、車両制御装置20は、自車予測経路A上から先行車Mbが逸脱した旨の判定をする(ステップS110)。先行車Mbが走行する経路は先行車走行経路Bである。自車予測経路Aは、自車Maが直線路を走行しているため、自車Maの走行方向(直線路の延在方向)に沿って延びている。先行車Mbが自車予測経路Aから逸脱した時点(時刻t11)の自車Maの位置すなわち基準位置(開始地点)は(X0,Y0)である。先行車Mbの第一位置は、(X0+LX0,Y0+LY0)である。これら自車Maの基準位置および先行車Mbの第一位置は記憶装置15に記憶される(ステップS112)。
【0043】
図9に示すように、自車Maが先行車Mbと同一車線に沿って走行し、自車Maが先行車Mbの逸脱した地点(自車Maの第一位置)に到達する。車両制御装置20は、その時点(時刻t20)の位置(X10,Y10)と、先行車Mbの逸脱した位置(X0+LX0,Y0+LY0)との車幅方向偏差ΔXを算出する(ステップS114,116)。自車Maが先行車Mbと同一車線に沿って走行しているため、X10=X0+LX0である。よって、車幅方向偏差ΔXは|X10−(X0+LX0)|であり、0である。
すなわち、車幅方向偏差ΔXが判定値Xa以下であるため(ステップS118にて「YES」)、先行車Mb(または自車Ma)は自車走行車線内の走行(車線内走行)をしている旨の判定がなされる(ステップS128)。
【0044】
次に先行車Mbが自車走行車線Aから車線変更する場合について図7,10,11を参照して説明する。
図10に示すように、先行車Mbが曲線路に沿って旋回しながら車線変更すると、車両制御装置20は、自車予測経路A上から先行車Mbが逸脱した旨の判定をする(ステップS110)。先行車Mbは、自車走行車線から車線変更しながら旋回走行する。自車予測経路Aは、自車Maが直線路を走行しているため、自車Maの走行方向(直線路の延在方向)に沿って延びている。先行車Mbが自車予測経路Aから逸脱した時点(時刻t21)の自車Maの位置すなわち基準位置は(X0,Y0)である。先行車Mbの第一位置は、(X0+LX0,Y0+LY0)である。これら自車Maの基準位置および先行車Mbの第一位置は記憶装置15に記憶される(ステップS112)。
【0045】
図11に示すように、自車Maが自車走行車線に沿って走行し、自車Maが先行車Mbの逸脱した地点に到達する。車両制御装置20は、その時点(時刻t30)の自車Maの位置(X10,Y10)と、先行車Mbの逸脱した位置(X0+LX0,Y0+LY0)との車幅方向偏差ΔXを算出する(ステップS114,116)。自車Maは左カーブに沿って走行しているため、X10はX0より左側に位置している。さらに、先行車Mbは右側の車線に車線変更しているため、LX0は車幅の25%より大きい値である。よって、車幅方向偏差ΔXは|X10−(X0+LX0)|であり、車幅の25%よりさらに大きい値である。
すなわち、車幅方向偏差ΔXが判定値Xaより大きいため(ステップS118にて「NO」)、先行車Mb(または自車Ma)は車線変更をした旨の判定を行う(ステップS120)。
【0046】
上述した説明から明らかなように、本実施形態に係る車両制御装置20の車線変更判定部24は、先行車Mbの軌跡と自車Maの判定位置との車幅方向の偏差ΔXが判定値Xaを超えた場合、先行車Mbまたは自車Maが車線変更を行ったと判定する。よって、先行車Mbの軌跡に対する自車Maの位置の車幅方向の偏差ΔXに基づいて、先行車Mbの車線に沿った旋回とレーンチェンジとを判断(区別)することとなり、自車Maと先行車Mbとの間の経路や曲率に関係なく、旋回とレーンチェンジの判断を正確に行うことができる。
【0047】
また、車両制御装置20において、先行車Mbの軌跡は、先行車Mbが、自車Maが通過すると予測される自車予測経路Aからずれた第一時点(例えば時刻t11)における先行車Mbの第一位置(X0+LX0,Y0+LY0)(図8参照)であり、自車Maの判定位置は、自車Maが、第一時点における自車Maの位置である開始地点(X0,Y0)から自車予測経路Aに沿って所定距離LY0だけ走行した時点(例えば時刻t20)における自車Maの第一位置(X10,Y10)であり、車線変更判定部24は、先行車Mbの第一位置と自車Maの第一位置との車幅方向の偏差ΔXが判定値Xaを超えた場合、先行車Mbまたは自車Maが車線変更を行ったと判定する。
これによれば、先行車Mbの軌跡および自車Maの判定位置を正確かつ確実に算出することができ、ひいては、旋回とレーンチェンジの判断をより正確に行うことができる。
【0048】
なお、上述した実施形態において、上述した車線変更判定部24は、先行車Mbが、自車Maが通過すると予測される自車予測経路Aからずれた第一時点から所定時間が経過した第二時点までの間において、先行車Mbの軌跡と自車Maの判定位置との車幅方向の偏差を、所定の短時間毎に算出した微小偏差を積算することにより算出するようにしてもよい。第二時点は、自車Maが先行車Mbが自車予測経路Aからずれた(逸脱した)地点に到達した時点であるのが好ましい。所定時間は、自車Maが先行車Mbが自車予測経路Aからずれた地点に到達するのにかかる時間に設定されるのが好ましい。
【0049】
車線変更判定部24は、所定の短時間毎に自車Maの判定位置を算出し、算出した自車Maの判定位置と第一時点における先行車Mbの位置である先行車Mbの軌跡との車幅方向の微小偏差を所定の短時間毎に算出し、算出した車幅方向の微小偏差を積算することにより、先行車Mbの軌跡と自車Maの判定位置との車幅方向の偏差ΔXを算出する。その後、車線変更判定部24は、比較部34と同様に、前述のように算出された車幅方向偏差ΔXと判定値Xaとを比較する。
【0050】
さらに、図12に示すフローチャートに沿って車両制御装置20の動作を説明する。基本的に図6に示すフローチャートと同様であり、同一処理については、同一符号を付してその説明は省略する。
【0051】
車両制御装置20は、ステップS112の処理の後、所定の短時間毎に自車Maの判定位置を算出し(ステップS202)、算出した自車Maの判定位置と第一時点における先行車Mbの位置である先行車Mbの軌跡との車幅方向の微小偏差を所定の短時間毎に算出し(ステップS204)、算出した車幅方向の微小偏差を積算する(ステップS206)。車両制御装置20は、自車Maが先行車Mbの自車予測経路逸脱位置に到達するまで(所定時間が経過するまで)、ステップS202−206の処理を繰り返し実行する。その結果、車両制御装置20は、先行車Mbの軌跡と自車Maの判定位置との車幅方向の偏差ΔXを算出する。
【0052】
これによれば、先行車Mbの軌跡と自車Maの判定位置との車幅方向の偏差ΔXを正確かつ簡易に算出することができ、ひいては、車線に沿った旋回とレーンチェンジ(車線変更)の判断をより正確に行うことができる。
【0053】
また、上述した実施形態において、上述した車線変更判定部24は、先行車Mbが自車予測経路Aからずれた(逸脱した)第一時点を基準として車線変更の判定を行ったが、先行車Mbが自車予測経路Aからずれたか否かにかかわらず、車線変更の判定を行うようにしてもよい。この場合、車線変更判定部24は、先行車Mbの軌跡と自車Maの判定位置との車幅方向の偏差ΔXが判定値Xaを超えた場合、先行車Mbまたは自車Maが車線変更を行ったと判定する。
【0054】
車線変更判定部24は、所定の短時間毎に自車Maの位置(判定位置)を記憶装置15に記憶し、記憶した自車Maの判定位置と第一時点における先行車Mbの位置である先行車Mbの軌跡を所定の短時間毎に算出・記憶し、所定の短時間毎に先行車Mbの軌跡と自車Maの判定位置との車幅方向の偏差ΔXを算出する。その後、車線変更判定部24は、比較部34と同様に、前述のように算出された車幅方向偏差ΔXと判定値Xaとを比較する。
【0055】
さらに、図13に示すフローチャートに沿って車両制御装置20の動作を説明する。基本的に図6に示すフローチャートと同様であり、同一処理については、同一符号を付してその説明は省略する。
【0056】
車両制御装置20は、ステップS108の処理の後、所定の短時間毎に自車Maの判定位置(現在位置)を算出・記憶し(ステップS210)、算出・記憶した自車位置を基準に先行車Mbの位置である先行車Mbの軌跡を算出し(ステップS212)、その算出した先行車Mbの軌跡を記憶する(ステップS214)。そして、車両制御装置20は、ステップS116において、所定の短時間毎に自車Maの判定位置と、自車Maの判定位置に相当する既に記憶装置15に記憶されている先行車Mbの軌跡との車幅方向の微小偏差を算出する。すなわち、車両制御装置20は、自車Maの判定位置(先行車Mbの軌跡に対して自車Maの車幅方向の偏差ΔXを比較・判定する位置)毎に、先行車Mbの軌跡に対する車幅方向偏差ΔXを算出する。
これによれば、先行車Mbの軌跡と自車Maの判定位置との車幅方向の偏差ΔXを正確かつ簡易に算出することができ、ひいては、車線に沿った旋回とレーンチェンジ(車線変更)の判断をより正確に行うことができる。
【0057】
また、上述した実施形態においては、ヨーレートセンサ13の代わりに、横加速度センサ、舵角センサを使用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0058】
11…前方センサ、12…車速センサ、13…ヨーレートセンサ、14…操作部、15…記憶装置、16…GPS受信機、17…車両駆動装置、18…車両制動装置、20…車両制御装置、21…先行車サーチ部、22…自車予測経路算出部、23…先行車ロックオン部、24…車線変更判定部、25…先行車追従走行制御部、31…先行車経路逸脱判定部、32…先行車逸脱位置記憶部、33…車幅方向偏差算出部、34…比較部、M…車両、Ma…自車、Mb…先行車。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13