(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態における画像形成システム1について説明する。
【0011】
図1は、画像形成システム1の全体構成を示す概略模式図である。
画像形成システム1は、画像形成装置100と、中間搬送装置200と、用紙処理装置(用紙搬送装置)300と、平綴じ処理装置400と、を有している。
なお、以下の説明において、鉛直方向をZ方向とし、
図1に示す画像形成装置100、中間搬送装置200、用紙処理装置300、及び平綴じ処理装置400が互いに接続される方向に沿う方向をX方向とし、X方向及びZ方向に直交する方向をY方向とする。
また、X方向について前側及び後側を付して説明し、Y方向について右側及び左側を付して説明し、Z方向について上側及び下側を付して説明する。ここで、前側は、画像形成システム1における搬送方向の上流側であり、後側は、その下流側である。また、右側は、用紙処理装置300の中折り・中綴じ処理における用紙搬送方向の上流側であり、左側は、その下流側である。
【0012】
画像形成装置100は、用紙に画像を形成する。
具体的には、画像形成装置100は、例えば、記録媒体として備蓄された用紙を用紙トレイから引き出して搬送する搬送部、ビットマップデータに応じたトナー像を転写ローラー等の一次転写部材に現像する現像部、一次転写部材に現像されたトナー像を転写ドラム150等の二次転写部材に転写する一次転写部、二次転写部材に転写されたトナー像を搬送部により搬送される用紙に転写する二次転写部、転写されたトナー像を用紙に定着させる定着部、及び定着部による定着処理後の用紙を排出する排出部等を備え、用紙に画像を形成する。
また、画像形成装置100は、画像が形成されて排出される用紙を中間搬送装置200に受け渡す。即ち、画像形成システム1は、画像形成装置100から排出される用紙が中間搬送装置200に受け渡されるよう接続されている。
【0013】
中間搬送装置200は、用紙を一時的に待機させると共に、用紙に対して筋付け及び断裁を施すことの可能な装置である。
具体的には、中間搬送装置200は、例えば、画像形成装置100から搬送された用紙を下降させるように搬送して用紙の紙面をZ方向にほぼ沿わせた状態で一旦停止させて待機させる待機部(スタッカー)、待機中の用紙の位置を整合する整合部、整合された用紙に筋付けを行う筋付け部(クリーサー)、及び筋付けが施された用紙を搬送しながら当該用紙の余白部分を断裁する断裁部(スリッター)等を備える。
即ち、中間搬送装置200は、画像形成装置100から受け渡された用紙を待機部において一旦停止させた状態で整合部により整合を行い、次いで筋付け部により筋付け処理を行った後、筋付けが施された用紙を搬送しながら当該用紙の余白部分を断裁部により断裁する。その後、中間搬送装置200は、断裁部により余白部分の断裁された用紙を用紙処理装置300に受け渡す。
なお、中間搬送装置200は、画像形成装置100から受け渡された用紙に対して、中間搬送装置200による各種の処理の一部又は全部を施さずに用紙処理装置300に受け渡すこともできる。
【0014】
用紙処理装置300は、用紙を中折り(二つ折り)にする中折り処理、中折りされた用紙を所定枚数重ね合わせて綴じることにより中綴じ冊子を作成する中綴じ処理、中綴じ冊子の小口断裁を行う断裁処理、中綴じ冊子の背表紙を角背成形する角背成形処理等を行う装置である。
具体的には、用紙処理装置300は、例えば、中間搬送装置200から受け渡された用紙をY方向に沿って中折りする中折り部310、中折り部310により中折りされた用紙を重ね合わせ、打針して中綴じ冊子とする中綴じ部320、中綴じ部320により中綴じされた中綴じ冊子を受け取って、水平面内を折り目部と直交する方向(X方向)に搬送する用紙搬送部330、用紙搬送部330により搬送された中綴じ冊子の折り目部近傍を挟持して保持するクランプ部(第1保持部)340、クランプ部340により保持された中綴じ冊子の小口の断裁処理を行う断裁部350、中綴じ冊子の背表紙の角背成形処理を行う角背成形部360、中綴じ冊子を外部に排出する際に、中綴じ冊子の小口側端部を保持する小口保持部(第2保持部)370(
図2等参照)、及び中綴じ冊子を外部に排出する排出部380等が備えられている。
なお、かかる用紙処理装置300は、中間搬送装置200から受け渡された用紙に対して、用紙処理装置300による各種の処理の一部又は全部を施さずに平綴じ処理装置400に受け渡すこともできる。また、これらの構成のうち、特に中折り部310及び中綴じ部320は複数の用紙を製本する製本部としての機能を有する。
【0015】
中折り部310は、例えば、一対の中折りローラー311、311と、一対の中折りローラー311、311の下方に位置し、一対の中折りローラー311、311の間に進入するように動作可能なY−Z平面に沿うよう配設された板状の折りナイフ312と、を備えている。
画像形成装置100から受け渡された用紙は、当該用紙のX方向の中央部が折りナイフに312対向することとなる位置まで搬送される。すると、折りナイフ312は、一対の中折りローラー311、311の間に進入し、用紙をニップ部に押し込む動作を行う。これにより、用紙は、折りナイフ312との当接位置においてY方向に沿った折り目部が形成された状態に中折りされる。即ち、用紙は、折り目部が上側でその両端の小口が下側となる所謂山折り形状(山形の状態の用紙)となる。
中折りされた用紙は、図示しない搬送部により折り目部に沿った方向(Y方向)に搬送され、中綴じ部320に到達する。
【0016】
中綴じ部320は、中折り部310から搬送されてきた用紙を重ね合わせて集積する鞍掛け部321、鞍掛け部321の上方に設けられた打針部322、及び鞍掛け部321の内部に設けられた受針部323等を備えている。
鞍掛け部321上に所定枚数の用紙が集積されると、その用紙束の折り目部上に打針部322及び受針部323の協働により綴じ針が打ち込まれ、中綴じ冊子が形成される。形成された中綴じ冊子は、鞍掛け部321の右端部(搬送方向上流側の端部)に備えられた整合部(図示省略)により下流側の用紙搬送部330に押し出される。
【0017】
用紙搬送部330は、Y−Z平面に沿うよう配設された板状のバッファ鞍331を有し、X方向に往復移動可能な移動ユニット332を備えている。
中綴じ部320から押し出されてきた中綴じ冊子は、バッファ鞍331により、その折り目部(綴じ部分)が下から支持される。移動ユニット332は、バッファ鞍331に中綴じ冊子が支持されると、X方向の後方から前方に向かって移動し、中綴じ冊子をクランプ部340に受け渡す。
【0018】
図2は、用紙処理装置300のクランプ部340、断裁部350、角背成形部360、及び小口保持部370の構成の一例を示す図である。また、
図3(a)(b)は、中綴じ冊子における、クランプ部340が挟持する第1位置aを示す模式図である。
【0019】
図2に示すように、クランプ部340は、断裁部350の上方に設けられ、Z方向に沿って設けられたガイドレールLに沿って昇降可能である。
クランプ部340は、二つの挟持部材341、342を備え、用紙搬送部330により後方から前方に搬送された中綴じ冊子を挟持する。
具体的には、クランプ部340と断裁部350の間に中綴じ冊子が位置した状態でクランプ部340が下降し、このとき二つの挟持部材341、342は、バッファ鞍331に支持された中綴じ冊子の折り目部近傍(第1位置a)を間に挟んで挟持可能な位置に位置決めされる。
そして、
図3(a)に示すように、クランプ部340のリフター板343がバッファ鞍331に支持された中綴じ冊子を下方から引っ掛けるように支持して吊り上げ、その状態において、二つの挟持部材341、342が接近して中綴じ冊子の折り目部近傍が挟持される。なお、二つの挟持部材341、342による中綴じ冊子の挟持後、移動ユニット332は後方に退避する。
クランプ部340が、このようにして中綴じ冊子を保持した状態で下降することで、中綴じ冊子の小口端部側を断裁部350に進入させることができる。
【0020】
また、クランプ部340には、当該クランプ部340に保持された状態の中綴じ冊子を、両面から支持するための一対の支持部344、345が備えられている。
このうち支持部344は、可動部として、Y方向に延在する一対の長尺な板状部材344a、344bを備えている。また、支持部345は、固定部として、Z方向に沿って延在する一乃至複数のワイヤー345aを備えている。
【0021】
支持部344の板状部材344a、344bは、中綴じ冊子の両面を支持することの可能な「支持位置」と、支持位置から退避した「退避位置」との切り替えが可能に構成されている。
支持位置とは、板状部材344a、344bが、互いに対向する側の端部が下方で他端部が上方となるZ方向に延在する姿勢となる位置である。
退避位置とは、板状部材344a、344bが、XY平面に略水平な姿勢となる位置である。
図4は、板状部材344a、344bが退避位置にあるときの斜視図であり、
図5は、支持部344が支持位置にあるときの斜視図である。また、
図6は、クランプ部340を下側からみた図である。なお、
図4の破線は、クランプ部340の挟持部材341が中綴じ冊子を保持した際の位置を示している。
【0022】
具体的に、板状部材344a、344bは、互いに対向しない側の端部が回動軸G1により軸支されている。
また、板状部材344a、344bには、駆動機構346の駆動により巻き取り又は巻き出しされるワイヤーKが係合されている。
また、板状部材344a、344bは、付勢バネ344cにより下方に付勢されている。
【0023】
駆動機構346は、
図6に示すように、駆動モーター346a、駆動モーター346aの駆動によりベルト346bを介して回転駆動するギア対346c1,346c2、ギア346c2に備えられたワイヤー巻取・巻出プーリー346d、及びワイヤーKを架け渡すための複数のプーリー346eを備えている。
【0024】
板状部材344a、344bは、通常、駆動モーター346aのディテントトルクにより退避位置に保持されている。
そして、駆動モーター346aの駆動によるベルト346b及びギア対346c1,346c2の回転に伴って、ワイヤー巻取・巻出プーリー346dが回転し、ワイヤー巻取・巻出プーリー346dからワイヤーKが巻き出されると、付勢バネ344cの付勢力により、板状部材344a、344bの互いに対向する側の端部が下側に移動し、退避位置から支持位置へと変化することとなる。
また、駆動モーター346aが反対方向へ駆動し、ワイヤー巻取・巻出プーリー346dにてワイヤーKが巻き取られると、板状部材344a、344bは、支持位置から退避位置へと変化することとなる。
なお、上記駆動機構346の構成は一例であって、板状部材344a、344bを動作させることのできるものであればこれに限定されない。
【0025】
このように、支持部344(板状部材344a、344b)は、支持位置及び退避位置の各々に対応した位置となるよう可動する。
一方、支持部345のワイヤー345aは、支持位置に対応した位置として、Z方向に沿って延在するよう固定されている。
よって、支持部344(板状部材344a、344b)が支持位置に位置することで、支持部344及び支持部345は、中綴じ冊子の両面を支持することとなる(
図7参照)。
【0026】
なお、板状部材344a、344b及びワイヤー345aは、中綴じ冊子の両面を支持した状態において、中綴じ冊子を挟んで対向することとなる位置に設けられていることが好ましい。
かかる構成により、中綴じ冊子を安定して支持することができるためである。
【0027】
また、支持部344、345が中綴じ冊子の両面を支持する際、支持部344、345のX方向の幅は、クランプ部340の二つの挟持部材341、342が中綴じ冊子を保持するため幅よりも広くなるように設定されることが好ましい。すなわち、板状部材344a、344bのX方向についての前端部は、挟持部材341のX方向についての前端部よりも後側(用紙から遠い側)に位置する(
図4参照)。
かかる構成により、クランプ部340が中綴じ冊子を保持する際に、支持部344、345が中綴じ冊子に過度に接触して傷をつけるのを防止することができる。また、クランプ部340が中綴じ冊子を保持する位置を切り替える際に、支持部344、345により中綴じ冊子の横倒れを防止しつつも、当該中綴じ冊子に傷をつけるのを防止することができる。
【0028】
断裁部350は、断裁挟持部材351、352を備え、かかる断裁挟持部材351、352の間の隙間に中綴じ冊子の小口を所定位置まで進入させる。そして、断裁刃353がY方向(水平方向)に移動して、中綴じ冊子の小口端部が断裁される。これにより、小口端部が不揃いな中綴じ冊子の小口部が水平に切り揃えられる。
【0029】
角背成形部360は、クランプ部340に搭載されている。
角背成形部360は、保持板361、362、及びローラー(図示省略)等を備えている。保持板361、362は、クランプ部340の二つの挟持部材341、342の上方に位置している。
角背成形処理を実行する場合、
図3(b)に示すように、リフター板343により中綴じ冊子を僅かに持ち上げ、保持板361、362により、二つの挟持部材341、342が中綴じ冊子を挟持する位置より上方の折り目部近傍を挟持する。
このとき、中綴じ冊子の持ち上げ量は、最大7mm程度であって、この動作後でも、二つの挟持部材341、342の挟持位置は、依然として中綴じ冊子の折り目部近傍(第1位置a)である。
その後、リフター板343をY方向に移動させて引き抜き、ローラーにより中綴じ冊子の折り目部を平らになるよう潰して、折り目部が角型形状に成形される。保持板361、362は、角背成形処理終了後は、中綴じ冊子から離間する。
【0030】
かかる角背成形処理は、小口の断裁処理の前に実行される。このとき、角背成形部360は、クランプ部340の移動前に角背成形処理を実行する構成であっても良いし、クランプ部340の移動に伴い所定距離下方に移動した位置で角背成形処理を実行する構成であっても良い。また、クランプ部340が下方の断裁部350まで移動し、断裁部350により中綴じ冊子の小口に断裁処理が実行されている間に、角背成形部360により中綴じ冊子の折り目部に角背成形処理を実行する構成とすることもできる。
【0031】
ここで、上記した断裁部350による断裁処理、及び角背成形部360による角背成形処理においては、クランプ部340の二つの挟持部材341、342は、中綴じ冊子の折り目部近傍(第1位置a)を挟持している。
このような挟持位置であることで、断裁処理においては断裁挟持部材351、352への挿入量を確保することができ、また、角背成形処理においては折り目部近傍を固定することができる。
しかしながら、中綴じ冊子の排出時において、クランプ部340の上方に設けられた排出部380に中綴じ冊子を受け渡す際に、排出部380への挿入量を確保するため、二つの挟持部材341、342の挟持位置を変更する必要がある。
【0032】
小口保持部370は、クランプ部340の二つの挟持部材341、342が中綴じ冊子を挟持する位置を変更する際に、中綴じ冊子を保持するためのものである。
図7は、小口保持部370が中綴じ冊子の小口側端部を保持した状態を示す図であり、
図8(a)(b)は、中綴じ冊子における、クランプ部340が挟持する第2位置bを示す模式図である。
【0033】
小口保持部370は、回動軸G2回りに回動可能な扁平直方体状の保持部371を備えている。
保持部371は、断裁処理や角背成形処理の実行時においては、主面371AがY−Z平面に沿う垂直な状態(
図2参照)である一方、中綴じ冊子の排出時においては、回動軸G2回りに回動し、
図7に示すように、主面371AがX−Y平面に沿う略水平な状態となる。
保持部371の主面371Aには、保持部371が略水平状態となった際に、
図7の矢印A及び矢印B方向にそれぞれ回動し、主面371A上にて起立する、対を成す小口挟持部材372、373が備えられている。
【0034】
保持部371が略水平状態となったときには、このような小口挟持部材372、373により、
図8(a)に示すように、中綴じ冊子の下端部を挟持して保持することが可能となる。
そして、小口挟持部材372、373により、中綴じ冊子の下端部を挟持して保持した状態において、
図8(b)に示すように、クランプ部340の二つの挟持部材341、342を中綴じ冊子から離間させ、下方に移動させて、中綴じ冊子のZ方向中央部(第2位置b)を挟持させる(中綴じ冊子を持ち替える)ことができる。
【0035】
本実施形態においては、小口保持部370にて中綴じ冊子を保持し、クランプ部340の二つの挟持部材341、342が中綴じ冊子を持ち替える際、中綴じ冊子の用紙条件に応じてクランプ部340の支持部344(板状部材344a、344b)が退避位置から支持位置に変化し、支持部345(ワイヤー345a)と共に中綴じ冊子の両面を支持する構成である。このため、中綴じ冊子の横倒れが防止され、その姿勢を維持させたまま、持ち替えることが可能となっている。
ここで、中綴じ冊子の用紙条件とは、例えば、サイズ、剛性、枚数(厚み)等である。例えば、中綴じ冊子を形成する用紙が20枚以下や、中綴じ冊子の厚みが4mm以下の場合、或いは、中綴じ冊子を形成する用紙がA3等の大きいサイズである場合等の、横倒れが発生しやすいと考えられる用紙条件において、支持部344が退避位置から支持位置に変化する。
【0036】
また、種々の方法により用紙の剛性を推定して、支持部344の位置を退避位置から支持位置に変化させるか否かを判断してもよい。例えば、用紙の坪量が70g/m
2の場合には剛性が小さいと判断して支持部344の位置を支持位置に変化させてもよい。他にも、用紙の紙種が普通紙である場合は剛性が大きいと判断して支持部344の位置を支持位置に変化させるのに対して、用紙の紙種がコート紙である場合には剛性が小さいと判断して支持部344の位置を支持位置に変化させないこととしてもよい。
【0037】
排出部380は、クランプ部340の上方に位置する。排出部380は、用紙処理装置300の上面に配置された積載部と、クランプ部340から中綴じ冊子を受け取って積載部に排出する方向転換部とを備えている。
クランプ部340により、垂直な状態で下方から上方に搬送されてきた中綴じ冊子は、方向転換部により略水平な姿勢に方向転換され、積載部上に順次重ねられるように排出される。
【0038】
図1に戻り、平綴じ処理装置400は、複数の用紙の平綴じ処理等を行う。
具体的には、平綴じ処理装置400は、例えば、用紙処理装置300から受け渡された複数の用紙にステープル処理を施すステープル処理部、ステープル処理が施された複数の用紙のうち背表紙と平行な端部を揃えるために当該端部の一部を切り落とす小口断裁を行うページ端断裁部、及び連結された各装置による処理後の用紙を排出する排出部等を備える。
なお、平綴じ処理装置400は、用紙処理装置300から受け渡された用紙に対して、平綴じ処理装置400による各種の処理の一部又は全部を施さずに排出することもできる。
【0039】
次に、画像形成システム1の動作制御について説明する。
図9は、画像形成システム1の動作制御に係る主要構成を示すブロック図である。
【0040】
画像形成システム1は、画像形成システム1の動作に係るユーザーの入力操作を受け付け、画像形成システム1の動作に係る表示出力を行う操作表示部501、画像形成システム1全体の動作制御を行う中央制御部502、画像形成装置100の動作制御を行う画像形成制御部503、中間搬送装置200の動作制御を行う中間搬送制御部504、用紙処理装置300の動作制御を行う用紙処理制御部(制御部)505、及び平綴じ処理装置400の動作制御を行う平綴じ処理制御部506を有する。
【0041】
操作表示部501は、例えば、タッチパネル方式の操作表示装置や各種の入力のためのスイッチ、キー等を有し、ユーザーの入力内容に応じた信号を中央制御部502に送信する。
中央制御部502、画像形成制御部503、中間搬送制御部504、用紙処理制御部505、及び平綴じ処理制御部506はそれぞれ、(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を有し、処理内容に応じたソフトウェア・プログラムや各種のデータを読み出して実行処理する。
【0042】
中央制御部502は、操作表示部501を介して入力されたユーザーの入力内容に応じて、画像形成システム1に係る各種の条件の設定を行う。
この設定条件には、例えば、用紙のサイズや画像形成時の色数(例えば、カラー・グレースケール・モノクロ等)、中折りされる用紙枚数、中折り処理におけるニップ圧、中綴じ処理される一部の用紙の枚数、中綴じ処理を行う用紙の種類、サイズ、坪量、中綴じ処理において用紙の折り目部に対して打ち込む綴じ針の数、中綴じ処理において綴じ針を打ち込む位置(綴じ位置)、中綴じ冊子の小口部の断裁処理の実施/非実施、中綴じ冊子の折り目部の角背成形処理の実施/非実施等が含まれる。
そして、中央制御部502は、画像形成制御部503、中間搬送制御部504、用紙処理制御部505、及び平綴じ処理制御部506の各制御部に対して設定内容に応じた処理を施すための命令を出力する。各制御部は、命令に応じてそれぞれの制御対象である装置の動作を制御する。
【0043】
例えば、中央制御部502は、用紙処理制御部505に対して中折り処理、中綴じ処理、小口断裁処理、角背成形処理等を施すための命令を出力する。
用紙処理制御部505は、これに応じて、中折り部310、中綴じ部320、用紙搬送部330、クランプ部340、断裁部350、及び角背成形部360を制御し、各処理を行う。
また、用紙処理制御部505は、クランプ部340、小口保持部370、及び排出部380を制御し、中綴じ冊子の持ち替え(挟持位置の変更)及び排出を行う。
【0044】
ここで、本実施形態における中綴じ冊子の持ち替え及び排出動作について、
図10のフロチャートを用いて説明する。
かかる動作は、中央制御部502の出力した命令による用紙処理制御部505の制御によって実行されるものである。
ここでは、用紙条件として、中綴じ冊子の剛性により支持部344の板状部材344a、344bの位置を変化させるか否かを判断する場合を例示する。
また、かかる処理の前提として、角背成形処理及び/又は小口断裁処理は終了しており、クランプ部340の挟持部材341、342は、中綴じ冊子の第1位置aを保持している。
【0045】
先ず、ステップS11において、用紙処理制御部505は、クランプ部340により中綴じ冊子を移動させ、中綴じ冊子の下端部が、小口保持部370に到達したか否かを判断する。
そして、中綴じ冊子の下端部が、小口保持部370に到達しない場合(ステップS11:NO)、用紙処理制御部505は、このステップS11の処理を繰り返し、中綴じ冊子の下端が、小口保持部370に到達した場合(ステップS11:YES)、続くステップS12において、用紙処理制御部505は、小口保持部370の小口挟持部材372、373により中綴じ冊子の小口部近傍を保持する(
図8(a)参照)。
【0046】
次いで、続くステップS13において、用紙処理制御部505は、中綴じ冊子の剛性が低いか否かを判断する。具体的には、上述のように、用紙の坪量や紙種に基づいて剛性を推定し、その剛性が低いか否かを判断する。
そして、中綴じ冊子の剛性が高い場合(ステップS13:NO)、用紙処理制御部505は、後述のステップS15に移行する。
一方、中綴じ冊子の剛性が低い場合(ステップS13:YES)、続くステップS14において、用紙処理制御部505は、クランプ部340の支持部344を退避位置から支持位置に変化させる。
【0047】
次いで、続くステップS15において、用紙処理制御部505は、クランプ部340の挟持部材341、342による第1位置aの挟持を解放する。
次いで、続くステップS16において、用紙処理制御部505は、クランプ部340を中綴じ冊子のZ方向中央部(第2位置b)に移動させる(
図8(b)参照)。
次いで、続くステップS17において、用紙処理制御部505は、クランプ部340の挟持部材341、342により中綴じ冊子のZ方向中央部(第2位置b)を挟持して保持する。
このとき、クランプ部340の支持部344、355により中綴じ冊子が挟まれているので、中綴じ冊子の剛性が低い場合であっても横倒れの発生が防止される。
【0048】
次いで、続くステップS18において、用紙処理制御部505は、中綴じ冊子の剛性が低いか否かを判断する。
そして、中綴じ冊子の剛性が高い場合(ステップS18:NO)、用紙処理制御部505は、後述のステップS20に移行する。
一方、中綴じ冊子の剛性が低い場合(ステップS18:YES)、続くステップS19において、用紙処理制御部505は、クランプ部340の支持部344を支持位置から退避位置に変化させる。
【0049】
次いで、続くステップS20において、用紙処理制御部505は、小口保持部370の小口挟持部材372、373を僅かに離間させ、挟持を解放する。
なお、かかる動作により、後続の工程において、クランプ部340の挟持部材341、342による中綴じ冊子の保持位置(第2位置b)がずれることがなく、また、小口保持部370の小口挟持部材372、373により中綴じ冊子に傷がつくのを防止することができる。
【0050】
次いで、続くステップS21において、用紙処理制御部505は、クランプ部340により中綴じ冊子を上方に搬送し、続くステップS22において、用紙処理制御部505は、小口挟持部材372、373から中綴じ冊子を引き抜く。
次いで、続くステップS23において、用紙処理制御部505は、クランプ部340により中綴じ冊子を排出部380に搬送する。そして、クランプ340から排出部380に中綴じ冊子を受け渡した後に、続くステップS24において、用紙処理制御部505は、クランプ部340の挟持部材341、342による第2位置bの挟持を解放する。
【0051】
なお、上記実施形態においては、用紙条件として、中綴じ冊子の剛性によって支持部344の動作を制御する構成を例示したが、用紙条件としては、剛性の他に、中綴じ冊子の枚数、サイズ等により制御する構成であっても良いのは勿論である。
【0052】
以上のように、本実施形態によれば、中綴じ冊子(用紙)を挟持して搬送する用紙処理装置300において、中綴じ冊子を挟持して保持するクランプ部340と、クランプ部340より下方に配され、中綴じ冊子を保持する小口保持部370と、中綴じ冊子の両面を支持する一対の支持部344、345と、一対の支持部344、345のうち一方に備えられ、中綴じ冊子の両面を支持することの可能な支持位置と、支持位置から退避した退避位置との切り替え可能な板状部材344a、344bと、これらの動作を制御する用紙処理制御部505と、を備え、用紙処理制御部505は、クランプ部340に中綴じ冊子を保持させた状態で小口保持部370に中綴じ冊子を保持させた後、クランプ部340の保持を解除させ、クランプ部340を移動させて再度保持させると共に、クランプ部340が中綴じ冊子の保持を解除する前に、板状部材344a、344bを支持位置とする。
このため、中綴じ冊子の横倒れが防止され、安定した姿勢で中綴じ冊子を維持しつつ、当該中綴じ冊子の保持位置を変更することができる。
【0053】
また、本実施形態によれば、支持部344は、クランプ部340に備えられている。
このため、クランプ部340がX方向又はZ方向に移動するのと同時に、支持部344をX方向又はZ方向に移動させることができ、装置構成を簡単にすることができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、一方の支持部344は、板状部材344a、344bを備え、他方の支持部345は、支持位置に対応した位置に固定されたワイヤー345aを備え、板状部材344a、344bが支持位置に位置することで、板状部材344a、344bとワイヤー345aとにより中綴じ冊子の両面を支持する。
このため、中綴じ冊子が後方から前方に搬送され、クランプ部340及び断裁部350の上下方向の間隙に搬送されてくる際の搬送経路を確保することができる。
【0055】
また、本実施形態によれば、支持部344、345は、クランプ部340が中綴じ冊子を保持する幅より広い幅にて中綴じ冊子を支持する。
このため、クランプ部340が中綴じ冊子を保持する際に、支持部344、345が中綴じ冊子に過度に接触して傷をつけるのを防止することができる。また、クランプ部340が中綴じ冊子を保持したり、保持位置を切り替えたりする際に、支持部344、345により中綴じ冊子の横倒れを防止しつつも、当該中綴じ冊子に傷をつけるのを防止することができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、支持部344、345は、中綴じ冊子を挟んで互いに対向する位置に設けられている。
このため、中綴じ冊子を確実に支持することができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、用紙処理制御部505は、中綴じ冊子のサイズ、剛性、枚数を含む用紙条件に応じて、支持部344を退避位置から支持位置に切り替える。
このため、各々の中綴じ冊子毎に、支持部344を適切に動作させることができる。例えば、中綴じ冊子の横倒れが発生しやすい用紙条件の場合には支持部344を退避位置から支持位置に切り替えることにより、確実に横倒れを抑制しつつ、中綴じ冊子の横倒れが発生しにくい用紙条件の場合には支持部344を退避位置から支持位置に切り替えないことで、駆動部材の耐久性を確保し、中綴じ冊子と支持部344との接触により中綴じ冊子が損傷することを抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、クランプ部340より上流側に配され、複数の中綴じ冊子を製本する製本部(中折り部310及び中綴じ部320)と、クランプ部340より下方に配され、製本部により製本された中綴じ冊子の小口を水平方向に断裁する断裁部350と、をさらに有し、用紙処理制御部505は、中綴じ冊子の小口側が下方を向いた状態でクランプ部340に中綴じ冊子の背表紙側を保持させて断裁部350に中綴じ冊子の小口を断裁させ、その後、小口保持部370に中綴じ冊子の小口側を保持させる。
このため、クランプ部340に狭持されて冊子が垂直姿勢となった状態で小口が断裁されるため、断裁された後の小口部は水平に揃えられ、より高品位な小口断裁が可能である。
【0059】
また、本実施形態によれば、中綴じ冊子を搬送する排出部380をさらに有し、用紙処理制御部505は、小口保持部370に中綴じ冊子を保持させた後、クランプ部340を下方に移動させて中綴じ冊子を再度保持した後に、クランプ部340を上方に移動させて中綴じ冊子を上方に搬送させ、排出部380にクランプ部340により搬送された中綴じ冊子を排出させる。
このため、クランプ部340による中綴じ冊子の保持位置を変更することで、クランプ部340から排出部380へ中綴じ冊子を受け渡す際に搬送不良となることなく、確実に排紙部380へ冊子を受け渡すことができる。
【0060】
なお、上記実施の形態は本発明の好適な一例でありこれに限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0061】
例えば、上記実施形態においては、可動部及び固定部をそれぞれ備えた支持部344、345において中綴じ冊子を支持する構成を例示して説明したが、可動部を備えた2つの支持部344により用紙を支持する構成であっても良い。
また、かかる2つの支持部344が、両者ともクランプ部340の挟持部材341,342に備えられ、クランプ部340と同時に移動する構成であっても良い。
【0062】
また、上記実施形態においては、中綴じ冊子の用紙条件に応じて支持部344の板状部材344a、344を回動させる構成を例示して説明したが、この際、中綴じ冊子の用紙条件に応じて、支持部344の回動角度を変更させる構成としても良い。例えば、
図11(a)に示すように、中綴じ冊子のサイズが大きい(A3等)場合、回動角度を大きくし、
図11(b)に示すように、中綴じ冊子のサイズが小さい(A4等)場合、回動角度を小さくする等の構成とすることができる。
かかる構成であれば、サイズが大きい中綴じ冊子であっても、横倒れを確実に防ぐことができる。
【0063】
また、上記実施形態においては、支持部344が板状部材344a、344bを備え、これを回動して支持位置となる構成を例示して説明したが、
図12に示すように、支持部344が、垂直方向(Z方向)に沿って移動する一つの板状部材344cを備えた構成としても良い。
この場合、支持部344の板状部材344cの中綴じ冊子との接触面に、滑り易い樹脂や、ローラー等を備えた構成とすることで、中綴じ冊子に傷がつくのを防止することができる。
【0064】
また、中綴じ冊子の厚みに応じて、支持部344、345が中綴じ冊子を支持する際のX方向の幅を変更する構成としても良い。
例えば、上記実施形態においては、支持部344、345がクランプ部340に備えられているため、クランプ部340の保持を解除させて移動させる際の挟持部材341,342の間隔を中綴じ冊子の厚みに応じて変更することによって、支持部344、345が中綴じ冊子を支持する際の挟み込むX方向の幅を変更することができる。他にも、支持部344、345のX方向の位置を変更する幅変更部材をクランプ部340に設けることによって、支持部344、345が中綴じ冊子を支持する際の挟み込むX方向の幅を変更することができる。
かかる構成であれば、中綴じ冊子が薄い場合に確実に横倒れを防ぐと共に、中綴じ冊子が厚い場合に傷がつくのを防止することができる。
【0065】
また、
図13(a)(b)に示すように、小口保持部370において、小口挟持部材372、373を用紙を保持した際に互いに対向しない位置に配し、支持部344を、中綴じ冊子を挟んだ際に小口挟持部材372、373と対向しない位置となるよう設ける構成とすることも好ましい。
かかる構成であれば、以下に説明するように、支持部344、345で中綴じ冊子を支持しつつ、小口挟持部材372、373にて中綴じ冊子にコルゲーションを付与できるので、横倒れをより確実に防止することができる。
ここで、コルゲーションとは、中綴じ冊子が湾曲している状態を指す。小口保持部370において、小口挟持部材372、373を中綴じ冊子を保持した際に互いに対向しない位置に配することで、小口挟持部材372、373が中綴じ冊子を保持する際に中綴じ冊子を湾曲させてコルゲーションを付与することができる。
【0066】
図13(a)では、中綴じ冊子を構成する用紙が湾曲してXY平面での断面が曲線となるようにコルゲーションが付与されている。このような向きにコルゲーションを付与することで、中綴じ冊子が横倒れする方向(用紙のXZ平面での断面が曲線となる方向)に対する剛性が大きくなり、中綴じ冊子が横倒れすることを抑制することができる。
さらに、支持部344を、中綴じ冊子を挟んだ際に小口挟持部材372、373と対向しない位置となるよう設けることによって、中綴じ冊子に付与されたコルゲーションを崩すことなく中綴じ冊子を支持することができる。
このように構成することによって、上述のように、支持部344、345で中綴じ冊子を支持しつつ、小口挟持部材372、373にて中綴じ冊子にコルゲーションを付与できるので、横倒れをより確実に防止することができる。
【0067】
また、上記実施形態においては、複数の用紙を製本する製本部として、中折り部310や中綴じ部320を有する構成を例示して説明したが、他にも、製本部として、複数の用紙を束ねた用紙束の背部に糊を塗布して冊子を作成する糊付け製本部を有し、糊付け製本部により製本された冊子をクランプ部340により狭持して搬送する構成であっても良い。さらに、製本部を有さず、互いに結合されていない複数の用紙からなる用紙束をクランプ部340により狭持して搬送する構成であっても良い。