(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示す超音波式物体検出装置1は、超音波センサ10A〜10Lと、ソナーECU20を備えている。この超音波式物体検出装置1は、
図2に示す車両Cに搭載されている。
【0012】
(超音波センサ10の構成)
超音波センサ10A〜10Lは同じ構成である。以下、超音波センサ10A〜10Lを区別しないときは、単に超音波センサ10と記載する。超音波センサ10は、
図1に示すように、送受信部11、送信回路部12、感度補正部13、受信回路部14、送受信制御部15、距離算出部16、センサ部温度検出部17、通信部18を備える。
【0013】
送受信部11は、超音波である送信波を発生させ、その送信波を送信するとともに、外部から入ってくる超音波を受信する。そして、受信した超音波(以下、受信波)の大きさを示す信号を受信回路部14に出力する。
【0014】
送信回路部12は、送受信制御部15から送信指示信号が入力された場合にパルス信号を生成し、そのパルス信号を送受信部11に出力する。送受信部11は、このパルス信号により駆動させられて、パルス状の送信波を送信する。
【0015】
感度補正部13は、受信回路部14が受信波を検出する際の感度を補正する。具体的には、感度補正部13は、記憶部を備えた構成であり、その記憶部に
図3に例示する感度補正テーブルが記憶されている。
【0016】
この感度補正テーブルは、複数種類の温度(Temp(1)〜Temp(n))別に、受信時間と受信ゲインの関係を定めている。感度補正テーブルで定められている温度別の関係は、いずれも、ある時間までは、受信時間が長くなるほど受信ゲインが高くなっている。受信時間と受信ゲインの関係がこのような傾向になっている理由は、受信時間が長いほど、物体までの距離が遠いことになり、距離が遠いほど、超音波の減衰が大きくなるからである。そして、受信時間と受信ゲインの関係を、複数種類の温度別に定めている理由は、超音波は、減衰量に温度依存性があるからである。
【0017】
感度補正部13は、
図3に例示した感度補正テーブルから、感度補正に用いる温度(以下、感度補正温度)に基づいて、受信波を受信する際に用いる1つの受信時間と受信ゲインの関係を選択する。この感度補正温度は、ソナーECU20から、通信部18、送受信制御部15を介して供給される。なお、感度補正温度は連続的に変化する数値であるのに対して、感度補正テーブルで受信時間と受信ゲインの関係が定められている温度は離散的である。そこで、たとえば、感度補正テーブルで受信時間と受信ゲインの関係が定められている温度から、感度補正温度に最も近い温度を選択して、受信時間と受信ゲインの関係を決定する。
【0018】
また、感度補正部13には、送受信制御部15から送信指示信号を送信したことも通知される。感度補正部13は、この通知を取得すると、感度補正テーブルから選択した1つの受信時間と受信ゲインの関係に基づいて、受信回路部14の受信ゲイン、すなわち、受信感度を制御する。受信回路部14の受信ゲインを制御することは、請求項の検出感度調整に相当する。
【0019】
受信回路部14は、送受信部11から入力された受信波の大きさを示す信号に対して、増幅およびA/D変換を行い、増幅およびA/D変換後の信号(以下、受信信号)を、距離算出部16に出力する。なお、受信回路部14は、受信ゲインを変化させることができるように、可変増幅器を備えている。感度補正部13により受信ゲインが制御されているので、受信ゲインが制御されている間は、物体までの距離によらず、物体で反射した反射波を送受信部11が受信した場合、受信回路部14は、略同じ大きさの受信信号を出力する。また、受信ゲインは、感度補正温度に基づいて選択された受信時間と受信ゲインの関係を用いて制御されているので、物体で反射した反射波を送受信部11が受信した場合、外気温度によらず、受信回路部14は、略同じ大きさの受信信号を出力する。
【0020】
送受信制御部15は、ソナーECU20から送信された送信指示信号を通信部18から取得した場合に、送信指示信号を送信回路部12に出力する。また、送信指示信号を出力したことを感度補正部13、距離算出部16に通知する。また、ソナーECU20から送信された感度補正温度を通信部18から取得した場合に、その感度補正温度を感度補正部13に出力する。
【0021】
距離算出部16は、送受信部11が送信波を送信してから、物体検出閾値以上の受信波を受信するまでの時間差から、物体までの距離を算出する。送受信部11が送信波を送信する時点は、送受信制御部15から、送信指示信号を出力したことの通知を受けた時点とする。物体検出閾値以上の受信波を受信した時点は、送信波を送信した時点の所定時間以降において、最初に、受信信号が物体検出閾値を超えた時点とする。所定時間以降としているのは、送信波を送信した残響が存在している期間を除くためである。この時間差に音速を乗じた値の1/2が物体までの距離である。距離算出部16が算出した物体までの距離を、以下、検知距離という。また、距離算出部16は、物体を検出していることにもなるので、請求項の物体検出部に相当する。
【0022】
センサ部温度検出部17は、超音波センサ10に内蔵されている温度検出部である。したがって、送受信部11の周囲の雰囲気温度を検出する。以下、センサ部温度検出部17が検出した温度をセンサ部温度とする。このセンサ部温度検出部17は、たとえば、サーミスタなどの温度変化に対して特性変化の大きい電子部品で構成されている。
【0023】
通信部18は、距離算出部16が算出した検知距離や、センサ部温度検出部17が検出したセンサ部温度を、LINバス50を介して、ソナーECU20の通信部21に送信する。また、通信部18は、ソナーECU20の通信部21が送信した送信指示信号を受信して、その送信指示信号を送受信制御部15に出力する。
【0024】
(ソナーECU20の構成)
ソナーECU20は、通信部21、感度補正値決定部22、距離取得部23、送信タイミング制御部24を備える。このソナーECU20は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェースなどを備えた公知の回路構成である。ソナーECU20は、ROMに記憶されているプログラムをCPUが実行することで、感度補正値決定部22、距離取得部23、送信タイミング制御部24として機能する。なお、ソナーECU20が実行する機能の一部または全部を、一つあるいは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。
【0025】
通信部21は、通信インターフェースであり、LINバス50を介して、超音波センサ10と通信する。感度補正値決定部22は、超音波センサ10の感度補正部13において受信時間と受信ゲインの関係を選択するために用いる感度補正温度を決定する。この感度補正温度は、後述する送信指示信号とともに、超音波センサ10に送信する。超音波センサ10の感度補正部13が感度補正温度を取得すると、前述したように、感度補正温度に基づいて受信ゲインを調整する。したがって、この感度補正値決定部22と、超音波センサ10の感度補正部13が請求項の検出感度調整部に相当する。
【0026】
距離取得部23は、通信部21およびLINバス50を介して、超音波センサ10の距離算出部16が算出した検知距離を取得する。そして、この検知距離に基づいて、障害物が存在することを報知するなどの所定の運転支援制御を行う。
【0027】
送信タイミング制御部24は、超音波センサ10から送信波を送信させるタイミングを制御するために、送信指示信号を超音波センサ10に出力する。前述したように、この送信指示信号とともに、感度補正温度も、超音波センサ10に出力される。感度補正値決定部22、距離取得部23、送信タイミング制御部24の処理は、後に
図3、4を用いてさらに説明する。
【0028】
(超音波センサ10の配置)
図2に示すように、超音波センサ10A〜10Dは車両Cの前端面に配置され、超音波センサ10E〜10Hは車両Cの後端面に配置され、超音波センサ10I〜10Lは車両Cの側面に配置されている。なお、車両Cは、駆動力源として、エンジンルーム60の中に内燃機関(以下、エンジン)を備えている。
【0029】
(超音波センサ10が行う処理)
次に、
図4を用いて、超音波センサ10が実行する処理の流れを説明する。超音波センサ10は、たとえば、通電時、この
図4に示す処理を繰り返し実行する。
図4において、ステップS2〜S6は送受信制御部15が行い、ステップS8は感度補正部13、受信回路部14が行い、ステップS10、S12は距離算出部16が行う。
【0030】
ステップS2では、ソナーECU20の送信タイミング制御部24が出力した送信指示信号を、通信部18を介して取得したか否かを判断する。この判断がNOであればステップS2を繰り返し、YESであればステップS4に進む。
【0031】
ステップS4では、送受信部11から送信波を送信させる。すなわち、送信指示信号を送信回路部12に出力する。送信指示信号が入力されると、送信回路部12はパルス信号を生成し、そのパルス信号を送受信部11に出力する。これにより、パルス状の送信波が送受信部11から送信される。
【0032】
ステップS6では、感度補正温度を感度補正部13に通知するとともに、送信指示信号を出力したことを、感度補正部13と距離算出部16に通知する。
【0033】
ステップS8では、感度補正部13は、感度補正温度に基づいて定まる受信時間と受信ゲインの関係を用いて受信回路部14の受信ゲインを制御する。受信回路部14は、予め設定された送受信期間の間、受信信号を検出する。この送受信期間の開始時点は送信波を送信した時点である。ステップS10では、送信波を送信した時点と、受信信号の信号レベルが物体検知閾値を超えた時点との時間差を算出し、この時間差に音速を乗じた値の1/2を検知距離として算出する。ステップS12では、ステップS10で算出した検知距離をソナーECU20に出力する。
【0034】
(ソナーECU20が行う処理)
次に、
図5を用いて、ソナーECU20の感度補正値決定部22、距離取得部23、送信タイミング制御部24が実行する処理を説明する。
図5に示す処理は、所定の物体検出条件が成立している場合に繰り返し実行する。物体検出条件は、たとえば、イグニッションがオンであって、車速が一定車速未満であるという条件である。一定車速は、たとえば、30km/hである。
【0035】
図5において、ステップS20は送信タイミング制御部24が実行し、ステップS22は、感度補正値決定部22、距離取得部23が実行する。ステップS24、S26は、感度補正値決定部22、距離取得部23が実行し、ステップS28〜S32は感度補正値決定部22が実行する。
【0036】
ステップS20では、超音波センサ10A〜10Lから送信波を送信させる送信タイミングになったか否かを判断する。この送信タイミングは、たとえば、超音波センサ10A〜10Lのうち、一つまたは複数の超音波センサ10が、順番に送信波を送信するように、予め設定されている。このステップS20の判断がNOであればステップS20を繰り返す。一方、ステップS20の判断がYESであれば、ステップS22に進む。
【0037】
ステップS22では、送信タイミングとなった超音波センサ10に対して、送信指示信号および感度補正温度を、通信部21、LINバス50を介して出力する。感度補正温度は、前回のこの
図5の処理において、後述するステップS32で決定されている。
【0038】
ステップS24では、送信指示信号を出力した超音波センサ10から、検知距離とセンサ部温度を取得する。そして、検知距離に基づいて、所定の運転支援実行条件が成立したと判断した場合には、所定の運転支援制御を行う。
【0039】
ステップS26では、全部の超音波センサ10A〜10Lから、検知距離とセンサ部温度を取得したか否かを判断する。この判断がNOであればステップS20に戻り、YESであればステップS28に進む。
【0040】
ステップS28では、全部の超音波センサ10A〜10Lから取得したセンサ部温度を比較する。ステップS30では、ステップS28で比較したうちの最低温度を決定する。ただし、異常値と判断できるセンサ部温度を除外して最低温度を決定する。異常値の判断は、たとえば、最低温度となったセンサ部温度と、2番目に低いセンサ部温度との差が所定温度以上であるか否かに基づいて行う。ステップS32では、ステップS30で決定した最低温度を、感度補正温度に決定する。
【0041】
(第1実施形態の効果)
以上、説明した本実施形態によれば、超音波センサ10がセンサ部温度検出部17を備えており、このセンサ部温度検出部17が検出したセンサ部温度に基づいて、感度補正温度を決定する(S28〜S32)。超音波センサ10A〜10Lは、車両Cの前端面、後端面、側面のいずれかに配置されているため、超音波センサ10A〜10Lに備えられているセンサ部温度検出部17が検出するセンサ部温度はエンジン排熱による影響が少ない。
【0042】
このセンサ部温度を用いて感度補正温度を決定することから、実際の外気温度に近い感度補正温度に基づいて、感度補正テーブルから受信時間と受信ゲインの関係を選択することができる。よって、受信ゲインが適切なゲインとなるので、精度よく物体を検出することができる。
【0043】
また、本実施形態では、超音波センサ10A〜10Lにそれぞれ備えられているセンサ部温度検出部17が検出したセンサ部温度から最低温度を決定する。センサ部温度は、車両内の熱により、外気温度よりも高くなる可能性がある一方、外気温度よりも低くなる可能性は少ない。したがって、最低温度は、外気温度に近い可能性が高い。この最低温度を感度補正温度にしているので、実際の外気温度に近い感度補正温度に基づいて、感度補正テーブルから受信時間と受信ゲインの関係を選択することができる。さらに、複数の超音波センサ10A〜10Lでそれぞれ検出したセンサ部温度を用いるため、全て同時に故障する可能性は低いので、精度よく物体を検出できる。
【0044】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態を説明する。この第2実施形態以下の説明において、それまでに使用した符号と同一の番号の符号を有する要素は、特に言及する場合を除き、それ以前の実施形態における同一符号の要素と同一である。また、構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分については先に説明した実施形態を適用できる。
【0045】
第2実施形態は、ソナーECU20の処理が第1実施形態と異なる。第2実施形態では、
図5に示した処理に代えて、
図6に示す処理を実行する。
図6に示す処理は、
図5のステップS28、S30に代えて、ステップS29を実行する。その他の処理は
図5と同じである。
【0046】
ステップS29では、全部の超音波センサ10A〜10Lから取得したセンサ部温度を加重平均する。加重平均の際の重みは、超音波センサ10A〜10Lの取り付け位置に基づいて定められている。具体的には、車両Cにおける熱源に近い位置に配置されている超音波センサ10の重みは、熱源から遠い位置に配置されている超音波センサ10の重みよりも小さくなっている。例示すると、エンジン排熱の影響を受けやすい超音波センサ10A、10Bの重み係数は小さくなっている。また、マフラーが車両Cの右後角にある場合、そのマフラーからの熱の影響を受けやすい超音波センサ10Hの重み係数も小さくなっている。
【0047】
この第2実施形態のように、超音波センサ10A〜10Lの設置場所に基づいて定められている重みで、全部の超音波センサ10A〜10Lから取得したセンサ部温度を加重平均しても、実際の外気温度に近い感度補正温度を決定することができる。
【0048】
<変形例1>
なお、第2実施形態においても、異常値を排除して加重平均を行ってもよい。最低温度に対する異常値の判断方法は第1実施形態と同じでよい。最高温度についても、同様に、最高温度となったセンサ部温度と、2番目に高いセンサ部温度との差が所定温度以上である場合、最高温度となったセンサ部温度を異常値とする。
【0049】
<第3実施形態>
第3実施形態の超音波式物体検出装置100は、
図7に示すように、ソナーECU120が、車内LAN70を介して、エアコンECU80と通信可能である。車内LAN70は、たとえば、CAN(Controller Area Network)である。なお、CANは登録商標である。エアコンECU80は、車両Cに搭載されている外気温度センサ90から外気温度を取得することができる。外気温度センサ90は、たとえば、車両Cのエンジンルーム内に配置される。
【0050】
また、第3実施形態では、感度補正値決定部122の処理が、第1実施形態の感度補正値決定部22の処理と相違する。なお、感度補正値決定部122と感度補正部13により、検出感度調整部が構成される。また、ソナーECU120は外気温度取得部125を備える。
【0051】
感度補正値決定部122、外気温度取得部125の処理は
図8を用いて説明する。
図8は、ソナーECU120が実行する処理であり、
図8において、ステップS30までは、第1実施形態の
図5の処理と同じであり、ステップS34以降が
図5と相違する。ステップS34は外気温度取得部125が行い、ステップS36〜S40は感度補正値決定部122が行う。
【0052】
ステップS34では、車内LAN70を介して、エアコンECU80から、外気温度センサ90が検出した外気温度を取得する。
【0053】
ステップS36では、ステップS30で決定した最低温度と、ステップS34で取得した外気温度との温度差が小さいかを判断する。この判断は、温度差が予め設定された温度差閾値以下であるか否かにより判断する。温度差が温度差閾値以下であれば(S36:YES)、ステップS38に進む。ステップS38では、外気温度を感度補正温度に決定する。
【0054】
ステップS36の判断において、温度差が温度差閾値よりも大きければ(S36:NO)、ステップS40に進む。ステップS40では、ステップS30においてセンサ部温度から決定した最低温度を、感度補正温度に決定する。
【0055】
(第3実施形態の効果)
外気温度センサ90は、高価ではあるが比較的高い精度で温度が検出できるように構成されている場合が多い。この外気温度センサ90が検出する外気温度が異常値になってしまうのは、エンジン排熱の影響等、高い熱源の影響を受ける場合がほとんどであると考えられる。一方、センサ部温度の最低温度は、エンジン排熱の影響等、高い熱源の影響を受けにくい。したがって、外気温度センサ90が検出する外気温度が異常値になっている場合、この外気温度とセンサ部温度の最低温度との温度差が大きい可能性が高い。
【0056】
そこで、この第3実施形態では、センサ部温度検出部17が検出したセンサ部温度を、外気温度センサ90が検出する外気温度の異常判定に利用している。そして、外気温度センサ90が検出する外気温度が異常である可能性が高いときに、センサ部温度の最低温度を感度補正温度に決定する。
【0057】
すなわち、外気温度センサ90が検出した外気温度とセンサ部温度の最低温度との温度差が小さいと判断した場合(S36:YES)には、外気温度センサ90が検出した外気温度は正常値であると考え、その外気温度を感度補正温度に決定する(S38)。一方、温度差が大きいと判断した場合(S36:NO)には、外気温度が異常値であると考えて、センサ部温度の最低温度を感度補正温度に決定する(S40)。このようにすることで、各超音波センサ10が備えるセンサ部温度検出部17に高価な温度センサを用いなくても、精度よく外気温度を表している感度補正温度を決定できる。
【0058】
<第4実施形態>
第4実施形態では、ソナーECU120は、
図8に代えて、
図9に示す処理を実行する。
図9に示す処理は、
図8の処理に対して、ステップS27、S35が加えられている。
【0059】
ステップS27では、途絶後保持期間であるか否かを判断する。この途絶後保持期間とは、後述するステップS35で外気温度の取得が途絶したと判断したことにより始まる期間であり、数秒〜10秒程度に予め設定されている。途絶後保持期間の間であれば、ステップS27の判断がYESとなる。この場合には、ステップS28以下を実行せずに、ステップS20に戻る。したがって、感度補正温度は変更されない。すなわち、途絶後保持期間は、感度補正温度が保持されることになる。
【0060】
ステップS35で外気温度の取得が途絶したと判断されていない場合や、一度は外気温度の取得が途絶したと判断したが、途絶後保持期間が経過した場合には、ステップS27の判断がNOになる。この場合には、ステップS28に進む。
【0061】
ステップS35では、外気温度が途絶したか否かを判断する。具体的には、ステップS34でエアコンECU80に外気温度を送信することを要求したが、車内LAN70を介して、外気温度が送信されてこなかった場合に外気温度が途絶したと判断する。外気温度が途絶したと判断した(S35:YES)には、ステップS20に戻る。したがって、この場合には、感度補正温度は更新されない。
【0062】
外気温度が途絶していないと判断した場合(S35:NO)には、前述したステップS36〜S40を実行して、外気温度あるいはセンサ部温度の最低温度を感度補正温度に決定する。
【0063】
(第4実施形態の効果)
第4実施形態では、外気温度が途絶したと判断した場合には(S35:NO)、途絶後保持期間が経過したと判断するまで(S27:NO)、感度補正温度を更新しない。すなわち、外気温度が途絶したと判断した場合には、一定時間の間、感度補正温度を、外気温度が途絶したと判断する前の最後の感度補正温度を保持する。したがって、この感度補正温度によって調整される調整結果である受信ゲインも、外気温度が途絶したと判断する前の最後の受信ゲインに保持される。
【0064】
外気温度が途絶した場合に、即座に、感度補正温度をセンサ部温度に切り替えてしまうと、検知距離の検出精度が短時間に変動してしまう恐れがある。自動ブレーキ制御など、検知距離に基づいた運転支援制御が作動中に、検知距離の検出精度が短時間のうちに変化してしまうと、その運転支援制御が誤動作してしまう恐れが生じる。
【0065】
しかし、この第4実施形態では、外気温が途絶したと判断した場合に、途絶後保持期間の間は、外気温度が途絶したと判断する直前の感度補正温度を保持する。この途絶後保持期間の間に、検知距離に基づいた運転支援制御は終了する場合が多い。したがって、検知距離に基づいた運転支援制御が、制御実施中に誤動作してしまうことを抑制できる。
【0066】
<第5実施形態>
第5実施形態の超音波式物体検出装置200は、
図10に示すように、ソナーECU220が、停止判断部225を備える。また、感度補正値決定部222の処理が、これまでの実施形態と異なる。
【0067】
停止判断部225、感度補正値決定部222の処理を
図11を用いて説明する。
図11はソナーECU220が実行する処理であり、
図11において、ステップS33は停止判断部225が実行し、ステップS37〜S40は感度補正値決定部222が実行する。
【0068】
ステップS33では、車内LAN70を介して車速を取得し、取得した車速が0であれば、車両Cは停止中であると決定し、車速が0よりも大きい値であれば車両Cは走行中であるとする。
【0069】
ステップS37では、ステップS33での決定結果に基づいて、車両Cが停止中であるか否かを判断する。車両Cが停止中であると判断した場合(S37:YES)にはステップS40に進み、停止中ではない、すなわち、走行中であると判断した場合(S37:NO)には、ステップS40に進む。
【0070】
(第5実施形態の効果)
車両Cが走行中であれば、外気温度センサ90が検出した外気温度は、エンジンルーム内の熱源の影響を受けて高くなってしまっている可能性は低い。すなわち、正しい外気温度を検出している可能性が高い。そこで、この第5実施形態では、車両Cが走行中であると判断した場合には(S37:NO)、外気温度を感度補正温度に決定する(S38)。これにより、車両Cが走行中に、精度よく外気温度を表している感度補正温度を決定できる。また、車両Cが停止中であると判断した場合には(S37:YES)、センサ部温度の最低温度を、感度補正温度に決定する。センサ部温度は、車両Cが停止しているときにも、外気温度より異常に高い値になりにくい。したがって、車両Cが停止していることによって、外気温度センサ90が検出している温度が外気温度より異常に高い温度になっているとしても、感度補正温度を、外気温度から異常に離れた温度に決定してしまうことを抑制できる。
【0071】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の変形例も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
【0072】
<変形例2>
第3実施形態〜第5実施形態において、最低温度に代えて、第2実施形態で説明した加重平均温度を用いてもよい。
【0073】
<変形例3>
図2に示したように、車両Cの側面に超音波センサ10I〜10Lを備えている場合、それらの超音波センサ10I〜10Lに備えられているセンサ部温度検出部17のみを用いて、感度補正温度を決定してもよい。したがって、前端面に配置されている超音波センサ10A〜10Dや、後端面に配置されている超音波センサ10E〜10Hのセンサ部温度検出部17は用いずに、感度補正温度を決定することになる。
【0074】
感度補正温度の決定方法は、超音波センサ10I〜10Lに備えられているセンサ部温度検出部17のみを用いる以外は、第1実施形態、第2実施形態と同様でよい。すなわち、最低温度や、加重平均温度を感度補正温度に決定する。また、超音波センサ10I〜10Lに備えられているセンサ部温度検出部17のみを用いて決定した最低温度や加重平均温度を用いて、第3実施形態〜第5実施形態のように、外気温度と、最低温度あるいは加重平均温度のいずれを用いるかを決定してもよい。
【0075】
<変形例4>
前述の実施形態では、感度補正温度に基づいて、受信回路部14の受信ゲインを制御しており、これにより、物体で反射した反射波を送受信部11が受信した場合、外気温度によらず、受信回路部14は、略同じ大きさの受信信号を出力していた。したがって、物体検出閾値は、外気温度によらず、同じ閾値を使うことができた。
【0076】
しかし、物体検出閾値と受信信号の大きさを比較して物体を検出するのであるから、受信信号を補正することに代えて、感度補正温度に基づいて物体検出閾値を補正してもよい。
【0077】
また、受信回路部14の受信ゲインに対する補正の程度と、物体検出閾値に対する補正の程度を調整すれば、感度補正温度に基づいて、受信回路部14の受信ゲインと物体検出閾値の両方を補正することもできる。
【0078】
<変形例5>
超音波センサ10の数および配置場所は前述の実施形態で示した数および配置場所に限られない。たとえば、超音波センサ10の数は1つのみでもよい。
【0079】
<変形例6>
前述の実施形態では、超音波センサ10が距離算出部15を備えていたが、距離算出部15をECU20が備えていてもよい。すなわち、検知距離をECU20が算出してもよい。
【0080】
検知距離をECU20が算出する場合、超音波センサ10は、前述の時間差までを算出し、この時間差をECU20に送信する。そして、ECU20が、時間差に音速を乗じた値の1/2を計算して検知距離とする。
【0081】
あるいは、時間差もECU20が算出してもよい。この場合、超音波センサ10は、物体検出閾値以上の反射波を受信したことをECU20に送信する。超音波センサ10の送受信部11が送信波を送信した時点は、その超音波センサ10から送信波を送信したことを取得してもよいし、ECU20が超音波センサ10に送信指示信号を出力した時点としてもよい。