(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施形態]
以下、本発明に係るアンテナ装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係るアンテナ装置50を搭載した携帯端末10を概略的に例示する図であり、
図1(A)は携帯端末10の平面図であり、
図1(B)は携帯端末10の側面図である。
【0023】
図1(A),(B)に示す携帯端末10は、ユーザによって携帯されて様々な場所で用いられて、外部機器と非接触通信するための非接触通信機能を有する携帯型の情報端末として構成されている。この携帯端末10は、アンテナ装置を介して送受信される電波を媒介としてRFIDタグ(無線タグ)に記憶されている情報を読み取る無線タグリーダとしての機能に加えて、バーコードや二次元コードなどの情報コードを読み取る情報コードリーダとしての機能を兼ね備え、読み取りを二方式で行いうる構成となっている。
【0024】
図1(A),(B)に示すように、携帯端末10は、ABS樹脂等の合成樹脂材料により形成される上側ケース11aおよび下側ケース11bが組み付けられて構成される長手状の筐体11によって外郭が形成されている。また、上側ケース11aには、所定の情報を入力する際に操作されるファンクションキーおよびテンキー等のキー操作部25や、所定の情報を表示するための表示部24等が配置されている。また、下側ケース11bには、下方に向けて開口する読取口12が形成されている。
【0025】
図2(A)は、
図1の携帯端末10の電気的構成を例示するブロック図であり、
図2(B)は、その携帯端末10の無線タグ処理部30を概略的に例示するブロックであり、
図2(C)は、その携帯端末10の情報コード読取部40を概略的に例示するブロック図である。
図2(A)に示すように、携帯端末10の筐体11内には、携帯端末10全体を制御する制御部21が設けられている。この制御部21は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、メモリ22とともに情報処理装置を構成している。また、制御部21には、LED23、表示部24、キー操作部25、バイブレータ26、ブザー27、外部インタフェース28などが接続されている。
【0026】
キー操作部25は、制御部21に対して操作信号を与える構成をなしており、制御部21は、この操作信号を受けて操作信号の内容に応じた動作を行う。また、LED23、表示部24、バイブレータ26およびブザー27は、制御部21によって制御される構成をなしており、それぞれ、制御部21からの指令を受けて動作する。外部インタフェース28は、外部機器等との間でのデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部21と協働して通信処理を行う構成をなしている。また、筐体11内には、電源部29が設けられており、この電源部29やバッテリ29aによって制御部21や各種電気部品に電力が供給されるようになっている。
【0027】
また、制御部21には、無線タグ処理部30および情報コード読取部40が接続されている。
無線タグ処理部30は、後述するアンテナ装置50および制御部21と協働してRFIDタグ(無線タグ)Tとの間で電磁波による通信を行ない、RFIDタグTに記憶されるデータの読取り、或いはRFIDタグTに対するデータの書込みを行なうように機能するものである。この無線タグ処理部30は、公知の電波方式で伝送を行う回路として構成されており、
図2(B)にて概略的に示すように、送信回路31、受信回路32、整合回路33などを有している。
【0028】
送信回路31は、キャリア発振器、符号化部、増幅器、送信部フィルタ、変調部などによって構成されており、キャリア発振器から所定の周波数のキャリア(搬送波)が出力される構成をなしている。また、符号化部は、制御部21に接続されており、当該制御部21より出力される送信データを符号化して変調部に出力している。変調部は、キャリア発振器からのキャリア(搬送波)、及び符号化部からの送信データが入力される部分であり、キャリア発振器より出力されるキャリア(搬送波)に対し、通信対象へのコマンド送信時に符号化部より出力される符号化された送信符号(変調信号)によってASK(Amplitude Shift Keying)変調された被変調信号を生成し、増幅器に出力している。増幅器は、入力信号(変調部によって変調された被変調信号)を所定のゲインで増幅し、その増幅信号を送信部フィルタに出力しており、送信部フィルタは、増幅器からの増幅信号をフィルタリングした送信信号を、整合回路33を介してアンテナ装置50に出力している。このようにしてアンテナ装置50に送信信号が出力されると、その送信信号が送信電波として当該アンテナ装置50より外部に放射される。
【0029】
一方、アンテナ装置50によって受信された応答信号は、整合回路33を介して受信回路32に入力される。この受信回路32は、受信部フィルタ、増幅器、復調部、二値化処理部、複号化部などによって構成されており、アンテナ装置50を介して受信された応答信号を受信部フィルタによってフィルタリングした後、増幅器によって増幅し、その増幅信号を復調部によって復調する。そして、その復調された信号波形を二値化処理部によって二値化し、復号化部にて復号化した後、その復号化された信号を受信データとして制御部21に出力している。
【0030】
情報コード読取部40は、情報コードを光学的に読み取るように機能するもので、
図2(C)に示すように、CCDエリアセンサからなる受光センサ43、結像レンズ42、複数個のLEDやレンズ等から構成される照明部41などを備えた構成をなしており、制御部21と協働して読取対象Rに付された情報コードC(バーコードや二次元コード)を読み取るように機能する。
【0031】
この情報コード読取部40によって読み取りを行う場合、まず、制御部21によって指令を受けた照明部41から照明光Lfが出射され、この照明光Lfが読取口12を通って読取対象Rに照射される。そして、照明光Lfが情報コードCにて反射した反射光Lrは読取口12を通って装置内に取り込まれ、結像レンズ42を通って受光センサ43に受光される。読取口12と受光センサ43との間に配される結像レンズ42は、情報コードCの像を受光センサ43上に結像させる構成をなしており、受光センサ43はこの情報コードCの像に応じた受光信号を出力する。受光センサ43から出力された受光信号は、画像データとしてメモリ22(
図2(A))に記憶され、情報コードCに含まれる情報を取得するためのデコード処理に用いられるようになっている。なお、情報コード読取部40には、受光センサ43からの信号を増幅する増幅回路や、その増幅された信号をデジタル信号に変換するAD変換回路等が設けられているがこれらの回路については図示を省略している。
【0032】
次に、アンテナ装置50について、
図3〜
図5を参照して詳述する。なお、
図3は、第1実施形態に係るアンテナ装置50の斜視図である。
図4は、
図3のアンテナ装置50をアンテナエレメント60側からみた平面図である。
図5は、
図4のX1−X1線相当の切断面による断面図である。
図3〜
図5に示すように、アンテナ装置50は、パッチアンテナとして構成されるもので、導電性の材料によって構成されたアンテナエレメント60およびアンテナグランド70を備えている。
【0033】
図5に示すように、アンテナグランド70は、アンテナ基板51の内層に設けられるベタパターン等の導体層から構成されている。なお、アンテナグランド70は、アンテナ基板51の表面または裏面に設けられるベタパターン等の導体層から構成されてもよい。
【0034】
アンテナエレメント60は、本体部61と4つの連結部62a〜62dとを備えている。本体部61は、一辺の長さがLoの正方形状に形成されており、アンテナ基板51の基板面に組み付けられる台座52に固定されることで、アンテナグランド70に対して所定の距離を介して対向するように配置されている。台座52は、本体部61の下面と各連結部62a〜62dの内側面とに接触した状態で嵌合するように形成されている。本体部61には、アンテナ基板51に立設される給電用ピン53が接続されている。なお、
図5では、垂直偏波用の給電用ピンおよび水平偏波用の給電用ピンの一方を図示している。
【0035】
各連結部62a〜62dは、本体部61の四辺61a〜61dの中央部に対して、当該本体部61となす角度θ(
図5参照)が90°となるようにそれぞれ一体に連結されている。本実施形態では、本体部61および各連結部62a〜62dは、例えば、厚さ0.2mm程度の銅板の成形により、各連結部62a〜62dが本体部61に対してアンテナグランド70の方向に直角に折り曲げられるようにして形成されている。
【0036】
連結部62aは、長辺の長さがL2a、短辺の長さがL2bの長方形状であって、本体部61が台座52に固定される際に延出側の長辺を構成する縁部にて所定の隙間を介してアンテナ基板51に対向するように形成されている。すなわち、連結部62aの長辺の長さL2aと、本体部61の一辺のうちの連結部62aとの連結部位を除く縁部(以下、第1縁部E1ともいう)の長さL1との和が、本体部61の一辺の長さLoに等しくなる。他の連結部62b〜62dも連結部62aと同様に長辺の長さがL2a、短辺の長さがL2bの長方形状に形成されている。
【0037】
そして、連結部62a〜62dの外縁のうち本体部61との連結部位を除く縁部(以下、第2縁部E2ともいう)の長さは、L2a+2×L2bとなる。これにより、アンテナエレメント60の一辺を構成する縁部の長さ(以下、単に一縁長さともいう)は、第1縁部E1の長さと第2縁部E2の長さとの和であるL1+L2a+2×L2bとなり、本体部61の一辺の長さLoよりも2×L2b分だけ長くなる。
【0038】
アンテナエレメント60の一縁長さは、使用する電波の波長をλとするとき、λ/2に等しくなるように設定する必要がある。本実施形態では、900MHz帯の周波数を利用するため、アンテナエレメント60の一縁長さは、約150mmに設定される。
【0039】
アンテナエレメント60の一縁長さは、本体部61に対して直交する方向からの平面視において(
図4に相当)、アンテナエレメント60と同じ面積での平板方形状のアンテナエレメント(本体部61単体と同じ形状となるアンテナエレメント)の一辺を構成する縁部の長さよりも長くなる。
【0040】
すなわち、本実施形態に係るアンテナ装置50のアンテナエレメント60に関して、一辺を構成する縁部の長さを等しくした平板方形状のアンテナエレメントに対して、平面視での面積を小さくすることができる。アンテナエレメント60に供給された電流はアンテナエレメント60の縁部E1,E2を電流経路として流れるので、必要な長さの電流経路を確保しつつアンテナエレメント60に関して平面視での面積を小さくすることができる。
【0041】
例えば、本体部61の長さLo(=L1+L2a)が100mm、連結部62a〜62dの長さL2bが25mmとなるアンテナエレメント60の一縁長さは、150mmとなり、アンテナエレメント60の平面視での面積は、100cm
2となる。一方で、平板方形状のアンテナエレメントにて一辺を構成する縁部の長さを150mmとすると、このアンテナエレメントの平面視での面積は、225cm
2となる。これにより、本実施形態に係る構成のアンテナエレメント60を採用することで、必要な長さ(例えば、150mm)の電流経路を確保しつつ、アンテナエレメント60に関して平面視での面積を小さくすることができることがわかる。
【0042】
以下、本発明を採用したアンテナ装置と誘電体を利用したパッチアンテナとを比較したアンテナ利得の解析結果について
図6〜
図8を参照して説明する。なお、以下に示す解析結果では、それぞれ形状を簡素化した基本形状のアンテナ装置について、平面視したアンテナエレメントの一辺を構成する縁部の長さをエレメントサイズLeとするとき、このエレメントサイズLeを変化させた際のアンテナ利得の変化について比較する。
【0043】
なお、
図6は、アンテナ装置の基本形状を示す斜視図であり、
図6(A)は、本発明を採用したアンテナ装置50の基本形状に相当するものであり、
図6(B)は、誘電体103を利用した誘電体パッチアンテナ装置100に相当するものである。
図7は、エレメントサイズLeとアンテナ利得との関係を示す図表であり、
図7(A)は、本発明を採用したアンテナ装置50の解析結果を示し、
図7(B)は、誘電体パッチアンテナ装置100の解析結果を示す。
図8は、
図7の解析結果をまとめたグラフである。なお、
図8では、エレメントサイズLeとアンテナ利得との関係について、本発明を採用したアンテナ装置50の解析結果を実線S1にて示し、誘電体103を利用した誘電体パッチアンテナ装置100の解析結果を破線S2にて示す。
【0044】
図6(A)に示すように、本解析におけるアンテナエレメント60は、エレメントサイズLeが本体部61の長さLoとなり、曲げ長さが連結部62a〜62dの長さL2bとなるように構成される。また、
図6(B)に示すように、比較対象である誘電体パッチアンテナ装置100は、一辺の長さがLeの正方形にて平板状に形成されるアンテナエレメント101とアンテナグランド102との間に誘電率εの誘電体103が配置されるように構成される。また、アンテナグランドは、アンテナ装置50および誘電体パッチアンテナ装置100ともに、一辺が200mmの正方形にて平板状に形成される。
【0045】
図7(A)(B)および
図8からわかるように、同じエレメントサイズLeであれば、本発明を採用したアンテナ装置50のアンテナ利得(
図8の実線S1参照)が誘電体パッチアンテナ装置100のアンテナ利得(
図8の破線S2参照)よりも高くなっている。アンテナエレメントに関して平面視での面積が同じであっても、アンテナエレメント60の一縁長さがアンテナエレメント101の一辺の長さよりも長くなるからである。なお、
図8では、エレメントサイズLeが140mmの正方形にて平板状に形成されるアンテナエレメントを採用し誘電体を採用しないアンテナ装置のアンテナ利得(8.577dBi)を符号S3にて示している。
【0046】
以上説明したように、本実施形態に係るアンテナ装置50では、アンテナエレメント60は、アンテナグランド70に対向するように配置される方形の本体部61と、本体部61の四辺に対してアンテナグランド70に向かうようにそれぞれ連結する連結部62a〜62dと、を有している。そして、本体部61および連結部62a〜62dは、本体部61の一辺のうち連結部62a〜62dとの連結部位を除く縁部を第1縁部E1、連結部62a〜62dの外縁のうち本体部61との連結部位を除く縁部を第2縁部E2とするとき、第1縁部E1の長さL1と第2縁部Eの長さL2a+2×L2bとの和が、使用する電波の波長λの1/2に等しくなるようにそれぞれ形成される。
【0047】
これにより、本発明に係るアンテナエレメント60は、一辺を構成する縁部の長さを等しくした平板方形状のアンテナエレメントに対して、平面視での面積が小さくなるので、必要な長さの電流経路を確保しつつアンテナエレメント60に関して平面視での面積を小さくすることができる。したがって、軽量化を阻害することなく更なる小型化を図り得るアンテナ装置を実現することができる。
【0048】
特に、携帯端末10のように携帯されて使用される機器では、アンテナエレメントの平面視での面積が大きくなると把持しにくくなるが、本発明に係るアンテナ装置50が採用される携帯端末10では、アンテナエレメント60の平面視での面積を小さくできるので、携帯端末10の操作性や携帯性を向上させることができる。
【0049】
また、本体部61と連結部62a〜62dとのなす角度θが90°であるため、アンテナエレメント60の平面視での面積が本体部61の平面視での面積となるので、本体部61と連結部62a〜62dとのなす角度θが90°を超える場合と比較して、さらに平面視での面積を小さくすることができる。特に、本体部61と連結部62a〜62dとのなす角度θが90°未満である場合には、連結部62a〜62dが本体部61に覆われて放射に寄与しなくなる可能性があるので、本体部61と連結部62a〜62dとのなす角度θを90°とすることで、アンテナエレメント60に関して平面視での面積を小さくしつつ、アンテナ利得の低下を抑制することができる。
【0050】
なお、連結部62a〜62dによる放射を優先等させる場合には、連結部62a〜62dは、要求される平面視での面積を満足することを前提に、角度θが90°を超えるように本体部61に連結されてもよい。また、連結部62a〜62dによる放射の寄与よりも本体部61とアンテナグランド70との距離を短くした小型化を優先する場合には、連結部62a〜62dは、角度θが90°未満となるように本体部61に連結されてもよい。
【0051】
また、アンテナグランド70は、アンテナ基板51に設けられるベタパターン等の導体層から構成されることに限らず、アンテナ基板51を廃止して、アンテナエレメント60の本体部61に対して所定の距離を介して対向するように配置される金属板等から構成されてもよい。
【0052】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るアンテナ装置について、
図9を用いて説明する。なお、
図9は、第2実施形態におけるアンテナ装置50aの要部を示す断面図である。なお、
図9では、台座52の図示を省略している。
本第2実施形態では、各連結部のアンテナグランド側の端部が内側に折り曲げられる点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0053】
図9に示すように、本実施形態に係るアンテナ装置50aは、上述したアンテナ装置50に対して、アンテナエレメント60に代えてアンテナエレメント60aを備えるように形成されている。アンテナエレメント60aは、各連結部62a〜62dのアンテナグランド側の端部63がそれぞれ内側に向けて折り曲げられるように形成されている。なお、台座52は、各端部63を避けて本体部61の下面の四隅等に嵌合するように形成される。
【0054】
このような構成では、端部63の内側への延出長さをL2cとするとき(
図9参照)、第2縁部E2の長さは、L2a+2×(L2b+L2c)となる。これにより、アンテナエレメントに関して平面視での面積が上記アンテナ装置50のアンテナエレメント60と同じであっても、アンテナエレメント60aの一縁長さを、延出長さL2cだけさらに長くすることができる。
【0055】
すなわち、アンテナエレメント60aは、一縁長さを等しくしたアンテナエレメント60に対して、平面視での面積が小さくなる。これにより、本実施形態に係るアンテナ装置50aは、上記アンテナ装置50に対して、必要な長さの電流経路を確保しつつアンテナエレメント60aに関して平面視での面積をさらに小さくすることができる。
【0056】
図10は、第2実施形態の第1変形例におけるアンテナ装置50aの要部を示す断面図である。なお、
図10では、台座52の図示を省略している。
各連結部62a〜62dのアンテナグランド側の端部は、上述した端部63のように内側に向けて1回折り曲げされるように形成されることに限らず、複数回折り曲げされるように形成されてもよい。例えば、
図10に示す端部63aのように、アンテナグランド側の端部を2回折り曲げてもよい。このように、折り曲げ回数に応じてアンテナエレメントの一辺を構成する縁部の長さを容易に長くできるので、アンテナエレメント60aに関してさらに平面視での面積を小さくすることができる。
【0057】
図11は、第2実施形態の第2変形例におけるアンテナ装置50aの要部を示す断面図である。
図12は、
図11のアンテナ基板51の平面図である。なお、
図11では、台座52の図示を省略している。また、
図12では、各第1連結部用部材64aや本体部61を二点鎖線にて図示している。
各連結部62a〜62dは、本体部61に一体に連結される第1連結部用部材64aと、アンテナ基板51の基板面に導体層として形成される第2連結部用部材64bとを電気的に接続することで構成されてもよい。
【0058】
具体的には、例えば、
図11に示すように、各第1連結部用部材64aは、本体部61の四辺61a〜61dの中央部に対して、当該本体部61となす角度θが90°となるようにそれぞれ一体に連結される。そして、第1連結部用部材64aのアンテナ基板側の端部は、第2連結部用部材64bの外側の縁部にはんだ等を介してそれぞれ電気的に接続される。
【0059】
このように、アンテナ基板51の基板面に形成される導体層を連結部の一部として形成できるため、上記導体層の形状に応じてアンテナエレメント60aの一縁長さを長くすることができる。これにより、アンテナエレメント60aに関して平面視での面積をさらに小さくすることができる。なお、本実施形態におけるアンテナ基板51は、「グランド用基板」の一例に相当し得る。
【0060】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係るアンテナ装置について、
図13を用いて説明する。なお、
図13は、第3実施形態におけるアンテナ装置50bの要部を示す斜視図である。
本第3実施形態では、各連結部の縁部に切り欠きが形成される点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0061】
図13に示すように、本実施形態に係るアンテナ装置50bは、上述したアンテナ装置50に対して、アンテナエレメント60に代えてアンテナエレメント60bを備えるように形成されている。アンテナエレメント60bの各連結部62a〜62dの延出側の長辺を構成する縁部の中央には、それぞれ切り欠き(スリット)65が設けられている。各切り欠き65は、幅値が一定となる凹状に形成されている。
【0062】
このような構成では、切り欠き65の幅をL2d、深さをL2eとするとき(
図13参照)、第2縁部E2の長さは、L2a+2×(L2b+L2e)となる。なお、本実施形態では、切り欠き65を除く連結部の延出側の端部の長さと切り欠き65の幅L2dとの和が、L2aに等しくなる。これにより、アンテナエレメントに関して平面視での面積が上記アンテナ装置50と同じであっても、アンテナエレメント60bの一縁長さを、切り欠き65の深さL2eに応じてさらに長くすることができる。
【0063】
すなわち、アンテナエレメント60bは、一縁長さを等しくしたアンテナエレメント60に対して、平面視での面積が小さくなる。これにより、本実施形態に係るアンテナ装置50bは、上記アンテナ装置50に対して、必要な長さの電流経路を確保しつつアンテナエレメント60bに関して平面視での面積をさらに小さくすることができる。
【0064】
なお、各連結部62a〜62dに切り欠き65を形成する本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態等にも適用することができる。
【0065】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係るアンテナ装置について、
図14を用いて説明する。なお、
図14は、第4実施形態におけるアンテナ装置50cの要部を示す斜視図である。
本第4実施形態では、アンテナエレメントの本体部の中央に開口が形成される点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0066】
図14に示すように、本実施形態に係るアンテナ装置50cは、上述したアンテナ装置50に対して、アンテナエレメント60に代えてアンテナエレメント60cを備えるように形成されている。アンテナエレメント60cの本体部61の中央には、方形状の開口66が形成されている。そして、台座52にも開口66に連なる開口52aが形成されている。
【0067】
このように本体部61の中央に開口66が形成されるため、アンテナエレメント60cの軽量化を図ることができる。アンテナエレメントに供給された電流はアンテナエレメントの縁部を電流経路として流れるので、電流経路を構成しない中央の部位を開口66の形成により除去してもアンテナ性能に影響しないからである。
【0068】
特に、携帯端末10にて使用される他の部品、例えば、受光センサ43等を上記開口66内に配置することで、上記携帯端末10の小型化を図ることができる。
【0069】
なお、本体部61の中央に開口66を形成する本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態等にも適用することができる。
【0070】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係るアンテナ装置について、
図15〜
図17を用いて説明する。なお、
図15は、第5実施形態におけるアンテナ装置50dの要部を示す斜視図である。
図16は、
図15のアンテナ装置50dの平面図である。
図17は、
図16のX2−X2線相当の切断面による断面図である。
本第5実施形態では、アンテナグランドの外縁部がアンテナエレメント側に折り曲げるように形成される点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0071】
図15〜
図17に示すように、本実施形態に係るアンテナ装置50dは、上述したアンテナ装置50に対して、アンテナグランド70に代えてアンテナグランド70aを備えるように形成されている。アンテナグランド70aは、方形のグランド本体部71と4つのグランド連結部72a〜72dとを備えている。
【0072】
グランド本体部71は、アンテナ基板51aの内層に設けられるベタパターン等の導体層から構成されている(
図17参照)。このため、グランド本体部71は、アンテナエレメント60の本体部61に対向するように配置される。なお、グランド本体部71は、アンテナ基板51aの表面または裏面に設けられるベタパターン等の導体層から構成されてもよい。なお、本実施形態におけるアンテナ基板51aは、「グランド本体部用基板」の一例に相当し得る。
【0073】
各グランド連結部72a〜72dは、アンテナ基板51aに対して立設するように設けられる金属板により構成されている。アンテナ基板51aの表面には、各グランド連結部72a〜72dを支持するための支持部材54が設けられている。支持部材54は、台座52に支持されたアンテナエレメント60を囲うように、四角筒状に形成されている。各グランド連結部72a〜72dは、支持部材54に支持された状態で、グランド本体部71の四辺の複数箇所にビア(図示略)を介して接続されるパッド等に対してはんだ接合されている。
【0074】
これにより、各グランド連結部72a〜72dは、グランド本体部71の四辺に対してアンテナエレメント60の本体部61に向かうようにそれぞれ連結され、対応するアンテナエレメント60の連結部62a〜62dに対してそれぞれ平行となるように配置される。
【0075】
以上説明したように、本実施形態に係るアンテナ装置50dでは、アンテナグランド70aは、アンテナエレメント60の本体部61に対向するように配置される方形のグランド本体部71と、このグランド本体部71の四辺に対してアンテナエレメント60の本体部61に向かうようにそれぞれ連結するグランド連結部72a〜72dと、を有するように形成される。
【0076】
これにより、背面側(
図17の下側)への放射を増加させることなくアンテナグランド70aの平面視での面積を小さくすることができる。特に、グランド連結部72a〜72dとアンテナエレメント60の連結部62a〜62dとの間で容量成分が構成されやすくなり、この容量成分が大きくなるほど共振周波数が低くなる。このため、上記容量成分が共振周波数を低下させる分に応じてアンテナエレメント60の一縁長さを短くしても共振周波数が変化しないので、上記容量成分に応じてアンテナ装置50dの小型化を図ることができる。
【0077】
特に、各グランド連結部72a〜72dは、対応するアンテナエレメント60の連結部62a〜62dに対してそれぞれ平行となるように形成されるため、グランド連結部72a〜72dとアンテナエレメント60の連結部62a〜62dとの間で構成される容量成分が大きくなる。このため、大きくなった容量成分に応じてアンテナ装置50dの更なる小型化を図ることができる。
【0078】
また、グランド本体部71が導体層の一部として形成されるアンテナ基板(グランド本体部用基板)51aが設けられ、このアンテナ基板51aに対して立設するように設けられる金属板により各グランド連結部72a〜72dが構成される。これにより、グランド本体部71とこのグランド本体部71の四辺に対してアンテナエレメント60の本体部61に向かうようにそれぞれ連結するグランド連結部72a〜72dとを有するアンテナグランド70aを、容易に形成することができる。
【0079】
なお、グランド本体部71は、アンテナ基板51aに設けられるベタパターン等の導体層から構成されることに限らず、アンテナ基板51aを廃止して、アンテナエレメント60の本体部61に対して所定の距離を介して対向するように配置される金属板等から構成されてもよい。この場合、各グランド連結部72a〜72dは、上記金属板等の端部を本体部61に向かうように折り曲げることで形成することができる。
【0080】
なお、アンテナグランド70aのグランド連結部(外縁部)72a〜72dがアンテナエレメント側に折り曲げるように形成される本実施形態の特徴的構成は、他の実施形態等にも適用することができる。
【0081】
[他の実施形態]
なお、本発明は上記各実施形態および変形例に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)本発明に係るアンテナ装置50,50a〜50dは、RFIDタグ(非接触通信媒体)Tを読み取る無線タグリーダとしての機能に加えて情報コードを光学的に読み取る情報コードリーダとしての機能を兼ね備える携帯端末に適用されることに限らず、無線タグリーダとしての機能のみを有する携帯端末に適用されてもよいし、さらに他の機能を有する携帯端末に適用されてもよい。また、本発明に係るアンテナ装置50,50a〜50dは、上述のような携帯端末に採用されることに限らず、無線通信機能を有する据え置き型の端末に採用されてもよい。