(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態に係る磁性素子10について、図面に基づいて説明する。以下の説明では、XYZ直交座標系を用いて説明することがあるものとし、接続端子60が突出する側を下方側(Z2側)、それとは逆のボビン20の上方係止部25側を上方側(Z1側)として説明する。また、巻枠部の軸線方向をX方向とし、
図1において右側をX1側、それとは逆の左側をX2側として説明する。また、Z方向およびX方向に直交する方向をY方向とし、
図1において右側かつ手前側をY1側、それとは逆の左側かつ奥側をY2側として説明する。
【0018】
<1.磁性素子の全体構成について>
図1は、磁性素子10の全体構成を示す斜視図である。また、
図2は、磁性素子10の構成を示す断面図であり、XZ平面で切断した状態を示す図である。
【0019】
図1および
図2に示すように、磁性素子10は、ボビン20と、コイル部分30,40と、コア体50と、接続端子60と、を主要な構成要素としている。なお、コイル部分は、巻枠部23に少なくとも1つ以上配置されている。以下の説明では、磁性素子10としてトランスを例に挙げて説明し、一次側のコイル部分30と、二次側のコイル部分40とが存在する場合について説明する(
図2参照)。これらのコイル部分30,40は、導線を巻回することにより構成されている。
【0020】
なお、
図2では、後述する接続端子60に絡げられる導線の端末は、短絡可能な部分である必要がある。そのようなものとしては、たとえばプッシュプル回路の1次側のセンタータップ部分(この場合、一次巻線が2つ以上存在し、それらが接続端子60に絡げられる)があり、またGND配線部のような他の回路間で短絡可能な部分がある。かかる短絡可能な部分であれば、接続端子60の第1端子部61と第2端子部62に絡げられる導線の端末は、一次側のコイル部分30を構成するものであっても良く、二次側のコイル部分40を構成するものであっても良い。ただし、異なる導線の端末同士を短絡可能な部分については、上述の例示と同様に、本発明に包含される。
【0021】
以下の説明では、後述する第1端子部61に絡げられる端末を端末T1とし、その端末T1を有する導線を導線D1とする。同様に、第2端子部62に絡げられる端末を端末T2とし、その端末T2を有する導線を導線D2とする。
【0022】
ただし、コイル部分30,40は、たとえばリッツ線のような小径かつ被覆を有する小径の導線を複数撚り合わせたものを巻回して構成されたものであっても良い。この場合、同一のリッツ線を構成する小径の導線を少なくとも2グループに分けて、2グループのうちの一方の端末(この場合も導線D1の端末T1とする)を第1端子部61に絡げ、また2グループのうちの他方の端末(この場合も導線D2の端末T2とする)を第2端子部62に絡げる構成としても良い。なお、リッツ線を用いて形成されるコイル部分は、1つであっても良いが、2つ以上のコイル部分が形成されても良い。
【0023】
これらのコイル部分30,40は、後述する巻枠部23に配置される部分である。
図2に示すように、本実施の形態では、コイル部分30が2層設けられていて、コイル部分40は1層設けられている。これらコイル部分30,40は、それぞれ、導線Dを巻回することにより構成され、本実施の形態では、コイル部分30とコイル部分40とは、重なるように配置されている。
【0024】
なお、巻枠部23におけるコイル部分30とコイル部分40の配置形態は、どのような形態であっても良い。
図2では、その一例として、巻枠部23に先ずコイル部分30を配置し、その次に絶縁部材P1等を介在させる状態でコイル部分40を配置する。さらにその次に絶縁部材P2を介在させる状態でコイル部分30を配置している。ただし、このような2つ(2層)のコイル部分30によってコイル部分40を挟む構成を採用しなくても良い。また、コイル部分30およびコイル部分40の個数は、適宜変更可能である。
【0025】
なお、コイル部分30,40を構成する導線Dは、導体部分がエナメル線等の絶縁被膜で覆われたものであるが、丸線、平角線等、その形態は問わない。また、コイル部分30,40が小径の導線Dを複数撚り合わせたリッツ線を巻回して構成されるものであっても良い。
【0026】
図3は、ボビン20の構成を示す斜視図である。
図3に示すように、ボビン20は、たとえば樹脂を材質として形成されている。ボビン20は、一対の鍔部21A,21Bと、筒状部22と、端子台部24A,24Bと、上方係止部25とを備えていて、一対の鍔部21A,21Bの間であって筒状部22の外周側は、巻枠部23となっている。巻枠部23には、コイル部分30,40が配置されている。
【0027】
なお、一対の鍔部21A,21Bは、筒状部22の外周側よりも外径側に突出していて、コイル部分30が巻枠部23から外れるのを防止している。また、筒状部22は、円筒状に設けられている部分であり、その両端側がそれぞれ一対の鍔部21A,21Bに接続されている。この筒状部22の内径側には、挿通孔221が設けられていて、その挿通孔221は、一対の鍔部21A,21Bも貫いている。それにより、挿通孔221には、後述するコア中脚部512を挿入可能としている。
【0028】
端子台部24A,24Bは、複数の接続端子60が取り付けられている部分である。
図3に示すように、端子台部24A,24Bは、Y方向を長手とするブロック状に設けられている。なお、この端子台部24A,24Bの構成の詳細については、後述する。
【0029】
また、この端子台部24A,24Bの下面246側(Z2側の面側)からは、さらに下方側に向かいスタンドオフ26が突出している。スタンドオフ26は、実装基板へ磁性素子10を実装する際に、その実装基板に当接する部分であり、
図3に示すように、柱状に設けられている。スタンドオフ26は、それぞれの端子台部24A,24BのY方向の両端側に設けられていて、合計4つ設けられている。また、端子台部24A,24Bにおいては、スタンドオフ26は、X方向における中央側に位置している。このようなスタンドオフ26の存在により、磁性素子10を実装基板へ実装する際に、磁性素子10が実装基板に対して傾斜しない状態で取り付けることが可能となっている。
【0030】
また、ボビン20には、上方係止部25が設けられている。上方係止部25は、コア体50の上方側(Z1側)を係止する部分である。すなわち、コア体50の下面側は、端子台部24A,24Bに載置される一方で、上方係止部25は、コア体50の上面側の一部を係止している。それにより、コア体50がボビン20から外れるのを防止している。なお、上方係止部25には、ガイドスリット251が設けられている。ガイドスリット251は、導線Dを一時的に(またはそれよりも長く)挿通させておくことが可能な部分である。
【0031】
続いて、コア体50について説明する。
図2に示すように、コア体50は、2つのE形コア51が突き合わされて構成されている。この突き合わせによってコア体50が構成され、そのコア体50は、コイル部分30とコイル部分40における電磁誘導に際しての磁路を構成する。
図4は、コア体50を構成するE形コア51を示す斜視図である。
図4に示すように、E形コア51は、コア底部511と、コア中脚部512と、コア端脚部513とを有していて、側面視したときの形状がE形となるように設けられている。
【0032】
これらの各部分のうち、コア底部511は、最も大面積の部分であり、また長手方向の寸法が最も長く設けられている。このコア底部511の長手方向の中央部分には、コア中脚部512が設けられている。コア中脚部512は、コア底部511の表面511aから離れる方向に向かい突出している。本実施の形態では、コア中脚部512は円柱状に設けられていて、その円柱状のコア中脚部512は挿通孔221に差し込むことが可能となっている。
【0033】
また、
図4に示すように、コア端脚部513は、E形コア51の長手方向の両端側にそれぞれ設けられている。このコア端脚部513も、コア底部511の表面511aから離れる方向(コア中脚部512が突出するのと同じ方向)に向かい突出している。ただし、コア端脚部513の内周壁部は平面状には設けられておらず、コア中脚部512と対向するような円弧を描くような形状に設けられている。そのため、コア中脚部512の外周とコア端脚部513の内壁との間の寸法は、概ね同一径の隙間が設けられている。そして、この隙間には、一対の鍔部21A,21Bが位置することが可能となっている。そのため、コア中脚部512を挿通孔221に差し込んで、ボビン20にE形コア51へ取り付けるのが容易となっている。
【0034】
なお、2つのE形コア51を突き合わせる場合、コア中脚部512の端面512a同士が突き合わされる。かかる突き合わせにおいては、端面512a同士が直接突き合わされても良く、また電気的な絶縁性を有しかつ非磁性部材のスペーサを介して端面512a同士が突き合わされても良い。また、非常に狭い隙間を介して端面512a同士が対向しても良い。
【0035】
また、コア体50の外周側には、電気的な絶縁性を備えるテープ部材が巻回される構成としても良い。同様に、コイル部分30の外周側にも、電気的な絶縁性を備えるテープ部材P3を巻回する構成としても良い(
図2ではコア体50の外周側にテープ部材が巻回されていないもののコイル部分30の外周側にテープ部材P3が巻回された構成を図示)。
【0036】
続いて、接続端子60について説明する。
図5は、接続端子60の構成を示す斜視図である。この
図5に示すように、接続端子60は、その外観が略L字形状となるように設けられている。すなわち、所定の長さの線状の金属部材を略90度折り曲げることにより、接続端子60は略L字状の外観に設けられている。以下の説明では、略90度をなすように折り曲げられている接続端子60のうち、
図2においてX方向に沿って延伸する部分を側方端子部61とし、Z方向に沿って延伸する部分を下方端子部62とする。側方端子部61は第1端子部に対応し、下方端子部62は第2端子部に対応する。
【0037】
また、下方端子部62には、抜止部62aが設けられている。抜止部62aは、下方端子部62の一部をたとえば潰す等により、その下方端子部62よりも幅広に設けられている部分である。この抜止部62aは、後述する差込孔244に差し込まれた場合に、下方端子部62が差込孔244から抜けるのを阻止する部分である。すなわち、差込孔244の内壁に抜止部62aが引っ掛かる等により、差込孔244から下方端子部62が抜けるのが阻止される構成となっている。
【0038】
<端子台部24A,24Bの構成の詳細について>
次に、端子台部24A,24Bの構成の詳細について説明する。端子台部24A,24Bは、それぞれの鍔部21A,21Bの下方側(Z2側)に取り付けられているが、その鍔部21A,21Bに対する取付位置は、挿通孔221を挟んで、上下方向で上方係止部25と対向する位置となっている。このため、E形コア51をボビン20に取り付けた場合には、端子台部24A,24Bと上方係止部25との間にコア底部511を位置させて、E形コア51が回転したり上下方向に移動するのを防止することが可能となっている。
【0039】
図6は、磁性素子10における端子台部24Aの構成を示す斜視図である。
図7は、
図3に示す下方ガイドスリット241をXZ平面で切断した状態を示すボビン20の側断面図である。
図8は、端子台部24Aを上方側から見た状態を示す平面図である。
図9は、端子台部24Aを正面側から見た状態を示す正面図である。
図10は、端子台部24Aを下方側から見た状態を示す底面図である。
【0040】
なお、
図6、
図8、
図9および
図10では、端子台部24Aのみを示しているが、端子台部24Bにおいても同様の構成となっているので、端子台部24Bについての図示は省略している。ただし、以下の説明では、端子台部24Aのみの図示であっても、端子台部24Bについての説明があったものと扱うことがある。
【0041】
図3、
図6、
図7、
図9および
図10に示すように、端子台部24A,24Bの下面246側には、下方ガイドスリット241が設けられている。下方ガイドスリット241は、接続端子60の側方端子部61に向けて、巻枠部23に巻回されている導線D1の端末T1を導くための溝部分である。下方ガイドスリット241はそれぞれの端子台部24A,24Bに複数(
図2では6つずつ)設けられているが、それらの下方ガイドスリット241は、Y方向に沿って均等な間隔で配置されている。
【0042】
図5、
図9および
図10に示すように、下方ガイドスリット241は、端子台部24A,24BをX方向において貫くように設けられている。この下方ガイドスリット241は、X方向における外側(側面245側;接続端子60の側方端子部61が突出する側)から中央側に向かうにつれて、上方に向かうように傾斜している。そのため、端末T1を接続端子60に向けてガイドし易い構成となっている。
【0043】
また、
図2、
図3、
図7から
図9に示すように、端子台部24A,24Bの上面側には、上方ガイドスリット242が設けられている。上方ガイドスリット242も、それぞれの端子台部24A,24Bに複数(
図2では7つずつ)設けられているが、それらの上方ガイドスリット242は、Y方向に沿って均等な間隔で配置されている。
【0044】
図2に示すように、上方ガイドスリット242は、矩形の断面形状に設けられている。詳述すると、上方ガイドスリット242は、端子台部24A,24Bの外側(側方端子部61が突出する側)からX方向の中央側に向かい、所定の寸法となるように設けられている。そのため、端子台部24A,24BのX方向の外側の側面245には、上方ガイドスリット242の開口部分が存在しているが、X方向における中央側には開放していない。加えて、上方ガイドスリット242の底面242aは、X方向に沿う線に対して平行となるように設けられている。
【0045】
なお、端子台部24A,24Bの側面245と下面246のそれぞれは、端子台部24A,24Bのそれぞれ異なる面部に対応する。
【0046】
また、
図2および
図10に示すように、端子台部24A,24Bには、傾斜溝243が設けられている。傾斜溝243は、導線D2の端末T2を導くための溝部分である。すなわち、傾斜溝243は、接続端子60の下方端子部62に端末T2を絡げるために、その下方端子部62に向けて端末T2をガイドするための溝部分となっている。
【0047】
また、端子台部24A,24Bには、上述した下方端子部62を差し込むための差込孔244が設けられていて、この差込孔244を介して下方端子部62が下方側に向かって突出している。
図2に示すように、この差込孔244の位置は、傾斜溝243が端子台部24A,24Bの下面246の端部における位置に隣接している。また、
図10に示すように、差込孔244と傾斜溝243とは、X方向において同一直線上に設けられている。そのため、端末T2を下方端子部62に絡げ易くなっている。なお、差込孔244と傾斜溝243とがX方向において同一直線上に位置することにより、上方ガイドスリット242も、X方向において差込孔244および傾斜溝243と同一直線上に配置されている。
【0048】
ところで、
図7および
図9に示すように、下方ガイドスリット241と上方ガイドスリット242とは、千鳥状の配置となっている。すなわち、Y方向に進行する場合、下方側の下方ガイドスリット241と上方側の上方ガイドスリット242とに交互に差し掛かるように構成されている。換言すれば、Y方向において隣り合う下方ガイドスリット241の間には、上方ガイドスリット242が位置している。
【0049】
加えて、下方ガイドスリット241の底面241aと上方ガイドスリット242の底面242aとは面一か、または上方ガイドスリット242の底面242aの方が下方ガイドスリット241の底面241aよりも低い位置にある。このように、下方ガイドスリット241と上方ガイドスリット242の間で千鳥状の配置を採用しつつ、底面242aが底面241aと面一の位置か、それよりも低い位置関係を採用することにより、下方ガイドスリット241に入り込んでいる端末T1は、接続端子60の側方端子部61に絡げ易くなっている。
【0050】
なお、上述のように、端子台部24A,24Bの下方側からは、スタンドオフ26が突出している。
【0051】
<磁性素子10の組み立て方法について>
以上のような構成の磁性素子10の組み立て方法について説明する。
図1に示すような構成の磁性素子10を組み立てる場合、まず接続端子60をボビン20に取り付ける。この取り付けは、L字状に折り曲げられた接続端子60のうち、下方端子部62を差込孔244に差し込むことにより行われる。それにより、
図6および
図9に示すように、下方端子部62は端子台部24A,24Bの下面246側から下方側に突出する。
【0052】
また、側方端子部61は、上方ガイドスリット242からX方向における外側に向かって突出する。すなわち、側方端子部61は、端子台部24A,24Bの外側の側面245よりも外側に向かって突出する。なお、この差し込みでは、抜止部62aが差込孔244に引っ掛かることにより、下方端子部62は差込孔244から容易に抜けない状態となっている。
【0053】
次に、巻枠部23に導線D1および導線D2を巻回して、コイル部分30およびコイル部分40を形成する。このとき、端末T1は、
図8から
図10に示すように、下方ガイドスリット241を介して端子台部24A,24BのうちX方向の外側(側面245側)に導かれる。そして、端末T1は、側方端子部61に絡げられる。なお、この絡げる回数は、たとえば1.5ターン程度とするものがあるが、それよりも多くても少なくても良い。
【0054】
また、端末T2は、傾斜溝243を介して下方端子部62へと導かれる。そして、端末T2は、下方端子部62に絡げられる。なお、この絡げる回数も、たとえば1.5ターン程度とするものがあるが、それよりも多くても少なくても良い。
【0055】
以上のように、端末T1を側方端子部61に絡げ、端末T2を下方端子部62に絡げた後に、それらの絡げた部分の半田付けを行う。それにより、絡げた部分が解けるのが防止される状態となる。なお、絡げた部分の固定は、半田付けには限られず、半田付けに代えて、抵抗溶接、またはレーザ溶接等のような他の手法を用いるようにしても良い。
【0056】
また、上述した半田付けの後に、ボビン20に対して2つのE形コア51を取り付けて、コア体50が形成される。このE形コア51の取り付けは、たとえばテープを用いても良く、接着剤等の他の固定手段を用いても良い。以上のようにして、磁性素子10が組み立てられる。
【0057】
<効果について>
以上のような構成の磁性素子10によると、同一の接続端子60に、導線D1の端末T1と導線D2の端末T2とを絡げる場合であっても、スタンドオフ26の突出長さを短くすることが可能となる。それにより、磁性素子10の低背化が可能となる。
【0058】
すなわち、従来構成のように、たとえば、端末T1を下方端子部62に1.5ターン以上絡げ、さらに端末T2を下方端子部62に1.5ターン以上絡げた場合、最小の1.5ターンを絡げた場合であっても、下方端子部62においては2ターン分のスペースが必要となり、そのため同一のピン端子(接続端子)においては、合計4ターン程度のスペースが必要となる。それにより、スタンドオフ26の突出長さが長くなってしまい、短くすることが困難となっている。
【0059】
これに対して、本実施の形態では、接続端子60は、側方端子部61と下方端子部62とを備えていて、これらは同一直線上には存在していない。このため、端末T1は下方端子部62に絡げることができる一方で、端末T2は側方端子部61に絡げることができる。それにより、下方端子部62に端末T1と端末T2の両方を絡げる場合と比較して、その絡げ部分の長さを短くすることができる。それにより、スタンドオフ26の突出長さを短くすることができる。
【0060】
また、側方端子部61と下方端子部62のいずれか一方には端末T1が絡げられ、いずれか他方には端末T2が絡げられる。このため、特に端末T1と端末T2の両方を下方端子部62に絡げる場合と比較して、下方端子部62における絡げ部分の長さは半分程度となる。それにより、半田処理に際して、端末T2を覆う被膜の飛散に要する時間を短縮することができる。このため、ボビン20が熱によって変形する等の不具合を防止可能となる。
【0061】
また、本実施の形態では、側方端子部61と下方端子部62とは直交する状態に設けられている。しかも、側方端子部61には導線D1の端末T1が絡げられ、下方端子部62には端末T1とは異なる導線D2の端末T2が絡げられる。このため、一次巻線30の端末と、二次巻線40の端末とは、別々の位置に絡げることができる。それにより、たとえば端末T1を側方端子部61に絡げる際に端末T2が邪魔になったり、その逆の端末T2を下方端子部62に絡げる際に端末T1が邪魔になるのを防止可能となり、端末T1および端末T2を絡げる作業を容易に行うことが可能となる。
【0062】
さらに、本実施の形態では、端子台部24A,24Bには、下方ガイドスリット241および上方ガイドスリット242が設けられている。このうち、上方ガイドスリット242は、端子台部24A,24Bのうち上方側から下方側に向かい所定深さだけ窪んでいると共に、上方ガイドスリット242は端子台部24A,24Bの側面に開口している。そして、この上方ガイドスリット242に側方端子部61を位置させることで、側方端子部61を上方ガイドスリット242の側面の開口から突出させることができ、その突出部分に端末T1を絡げることができる。
【0063】
また、下方ガイドスリット241は、端子台部24A,24Bのうち下方側から上方側に向かい所定の深さだけ窪んでいる。さらに、下方ガイドスリット241は、巻枠部23から端子台部24A,24Bの側面に向かい突っ切るように設けられていて、端末T1を側方端子部61にガイドすることが可能となる。それにより、端末T1の位置決めが可能となり、端末T1に位置ずれが生じる等するのを防止可能となる。
【0064】
さらに、Y方向に沿って進行する場合、下方ガイドスリット241は、隣接する上方ガイドスリット242の間に設けられている。このため、下方ガイドスリット241と上方ガイドスリット242とは、Y方向において千鳥状の配置となる。それにより、端末T1と端末T2とを離間させつつも、端末T1が側方端子部61に導出される長さを短くすることが可能となり、側方端子部61へ端末T1を絡げるのが容易となる。
【0065】
さらに、本実施の形態では、下方ガイドスリット241の上方側に位置する底面は、上方ガイドスリット242の下方側に位置する底面と面一か、またはそれよりも高い位置に設けられている。このため、側方端子部61に向かう端末T1の長さを一層短くすることが可能となり、端末T1の導出長さの最短化を図ることが可能となる。
【0066】
また、本実施の形態では、隣り合う下方ガイドスリット241の間には、傾斜溝243が設けられていて、この傾斜溝243は巻枠部23から下方端子部62に向かうにつれて下方に向かうように傾斜している。このため、傾斜溝243に端末T2を入り込ませることで、端末T2を巻枠部23から下方端子部62に向かって良好にガイドさせることができる。それにより、端末T2の位置決めが可能となり、端末T2に位置ずれが生じるのを防止可能となる。
【0067】
<変形例>
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
【0068】
上述の実施の形態では、下方端子部62を差込孔244に差し込むことによって、接続端子60が端子台部24A,24Bに取り付けられている。しかしながら、接続端子60は、インサート成型を行う等により、端子台部24A,24Bに取り付けられる構成を採用しても良い。
【0069】
また、上方ガイドスリット242を用いて、端末T1または端末T2をガイドする構成を採用しても良い。
【0070】
また、上述の実施の形態では、ボビン20には、2つのE形コア51が取り付けられて、コア体50が構成されている。しかしながら、2つのE形コア51を用いずに、空芯状態としても良い。また、コア体50を構成するコアとしては、E形コア51を用いる場合について説明している。しかしながら、コアとしては、E形コア51以外のものを用いても良い。たとえば、2分割したリングコアをコアとして用いても良く、またいずれか一方のコアにI形コアを用いても良く、その他、種々のタイプのコアを用いることが可能である。
【0071】
また、上述の実施の形態では、磁性素子として磁性素子10について説明している。しかしながら、磁性素子は、磁性素子10に限られるものではない。たとえば、チョークコイルやリアクトルのようなインダクタとしても良い。
【0072】
また、上述の実施の形態では、導線D1と導線D2は、異なるものとなっていて、それらの端末T1,T2を側方端子部61と下方端子部62にそれぞれ絡げている。しかしながら、このような端末の絡げ方以外の手法を採用しても良い。たとえば、同一の導線の端末について、その一部を側方端子部61に絡げ、他の一部を下方端子部62に絡げる構成を採用しても良い。このような場合でも、下方端子部62へ絡げるターン数を少なくできるので、スタンドオフ26の突出長さを短くすることができ、磁性素子の低背化を図ることができる。
【0073】
また、上述の実施の形態では、側方端子部61と下方端子部62には、1つの導線の端末のみを絡げている。しかしながら、スタンドオフ26の突出長さや、導線の直径に基づいて、下方端子部62に絡げる導線の本数を2本以上としても良い。そして、この下方端子部62に絡げる導線の本数に応じて、側方端子部61に絡げる同数の本数を決定しても良い。
【0074】
また、上述の実施の形態では、端子台部24A,24BはX方向における中心を挟んで対称形状に設けられている。しかしながら、端子台部は異なる形状であっても良い。
【0075】
また、上述の実施の形態における接続端子60では、側方端子部61の延伸方向と、下方端子部62の延伸方向とが直交する状態に設けられている。しかしながら、側方端子部61の延伸方向と下方端子部62の延伸方向とは直交せずに、斜めに交差していても良い。また、上述の実施の形態では、側方端子部61は第1端子部に対応し、下方端子部62は第2端子部に対応するものとしている。しかしながら、複数の折り曲げ部分を有する接続端子や、複数の枝分かれ部分を有する別途の接続端子を用いて、これらの接続端子の一部を第1端子部とし、別の一部を第2端子部としても良い。