(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記取付部は、前記エアガイド本体の幅方向の両端から上方に突設され前記第1の取付孔および前記第2の取付孔が形成された平板部と、前記平板部から前記第2の面側に起立する起立板部とを有し、
前記第1の熱交換器の熱交換器側取付部は、前記第1の熱交換器本体から突出した取付突出部を備え、
前記第2の面を取付面とし前記第2の取付孔を用いて前記第1の熱交換器へ前記エアガイドパネルを取付ける場合、前記起立板部が前記取付突出部と干渉して前記エアガイドパネルの前記第1の熱交換器への取付けを阻止する、
ことを特徴とする請求項1記載のエアガイドパネル。
前記第2の面を取付面として前記第2の熱交換器へ前記エアガイドパネルを取付ける場合、前記起立板部が前記第2の熱交換器本体と干渉して前記エアガイドパネルの前記第2の熱交換器への取付けを阻止する、
ことを特徴とする請求項2記載のエアガイドパネル。
前記第1の面を取付面とし前記第1の取付孔を用いて前記第2の熱交換器に前記エアガイドパネルを取付ける場合、前記突出部が前記第2の熱交換器と干渉して前記エアガイドパネルの前記第2の熱交換器への取付けを阻止する、
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載のエアガイドパネル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の熱交換器には様々な仕様のものが存在するが、同一車種の車両に対して複数種類の熱交換器が使用する場合、それぞれの熱交換器の仕様に合わせて異なる寸法のエアガイドを用意する必要がある。
しかしながら、生産ライン上の部品点数が増えると、異品組み付けのリスクやラインサイドにおける部品の置き場所の確保、部品調達コストなどの観点で不利となる可能性がある。
一方、複数種類の熱交換器に単一のエアガイドを用いるようにすると、誤組み付けの問題が生じ、誤組み付けが生じると生産効率を高める上で不利となる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、2種類の熱交換器に取付け可能かつ誤組み付けの可能性が少ないエアガイドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、請求項1の発明にかかるエアガイドパネルは、車室前方の前部空間に配置される熱交換器より下部に位置し、車両幅方向に延在して車体下部との隙間を塞ぐエアガイドパネルであって、前記エアガイドパネルは、前記熱交換器への取付面となる第1の面および第2の面を有するエアガイド本体を備え、前記熱交換器への取付面を前記第1の面と前記第2の面との間で変更することによって形状が異なる第1の熱交換器と第2の熱交換器に対して取付可能であり、前記エアガイドパネルの取付部には、前記エアガイドパネルを前記第2の面を取付面として前記第1の熱交換器の熱交換器側取付部に取付ける際に用いる第1の取付孔と、前記第1の取付孔の上方に位置し前記エアガイドパネルを前記第1の面を取付面として前記第2の熱交換器の熱交換器側取付部に取付ける際に用いる第2の取付孔とが形成され、前記第1の面には、前記第1の面から突出する突出部が設けられ、前記第1の面を取付面とし前記第1の取付孔を用いて前記第1の熱交換器へ前記エアガイドパネルを取付ける場合、前記突出部が前記第1の熱交換器と干渉して前記エアガイドパネルの前記第1の熱交換器への取付けを阻止し、前記第1の面を取付面とし前記第2の取付孔を用いて前記第1の熱交換器へ前記エアガイドパネルを取付ける場合、前記エアガイドパネルが前記車体下部と接触して前記エアガイドパネルの前記第1の熱交換器への取付けを阻止する、ことを特徴とする。
請求項2の発明にかかるエアガイドパネルは、前記取付部は、前記エアガイド本体の幅方向の両端から上方に突設され前記第1の取付孔および前記第2の取付孔が形成された平板部と、前記平板部から前記第2の面側に起立する起立板部とを有し、前記第1の熱交換器の熱交換器側取付部は、前記第1の熱交換器本体から突出した取付突出部を備え、前記第2の面を取付面とし前記第2の取付孔を用いて前記第1の熱交換器へ前記エアガイドパネルを取付ける場合、前記起立板部が前記取付突出部と干渉して前記エアガイドパネルの前記第1の熱交換器への取付けを阻止する、ことを特徴とする。
請求項3の発明にかかるエアガイドパネルは、前記第2の面を取付面として前記第2の熱交換器へ前記エアガイドパネルを取付ける場合、前記起立板部が前記第2の熱交換器本体と干渉して前記エアガイドパネルの前記第2の熱交換器への取付けを阻止する、ことを特徴とする。
請求項4の発明にかかるエアガイドパネルは、前記第1の面を取付面とし前記第1の取付孔を用いて前記第2の熱交換器に前記エアガイドパネルを取付ける場合、前記突出部が前記第2の熱交換器と干渉して前記エアガイドパネルの前記第2の熱交換器への取付けを阻止する、ことを特徴とする。
請求項5の発明にかかるエアガイドパネルは、前記突出部は、前記エアガイド本体の上端で前記エアガイド本体の幅方向に沿って延在する上端板部として設けられ、前記エアガイドが前記第1の面を取付面とし前記第2の取付孔を用いて前記第2の熱交換器に取付けられる際に前記第2の熱交換器の底面と前記上端板部との間に隙間が形成され、前記隙間を閉塞する閉塞部材が設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、エアガイドパネルの2つの面および2つの取付孔を用いることにより、形状の異なる2種類の熱交換器に取付け可能なエアガイドパネルを形成することができる。よって、それぞれ単一の熱交換器に対応した2種類のエアガイドパネルを使用するのと比較して、部品調達コストおよび管理コストの低減や、ライン周辺の部品置き場所の縮小等を図ることができる。また、請求項1の発明によれば、第1の熱交換器に対して誤った面を取付面としてエアガイドパネルを取付けようとする際に、第1の熱交換器と干渉して取付けを阻止する突出部を設けたので、誤組み付けを防止して車両の生産効率を向上させることができる。また、請求項1の発明によれば、第1の熱交換器に対して誤った取付面および誤った取付孔を用いてエアガイドパネルを取付けようとした際に、エアガイドパネル自体が車体下部と接触して取付けを阻止するようにしたので、誤組み付けを防止して車両の生産性を向上させることができる。
請求項2の発明によれば、第1の熱交換器に対して誤った取付孔を用いてエアガイドパネルを取付けようとした際に、第1の熱交換器の取付突出部と干渉して取付けを阻止する起立板部を設けたので、誤組み付けを防止して車両の生産効率を向上させることができる。
請求項3の発明によれば、第2の熱交換器に対して誤った面を取付面としてエアガイドパネルを取付けようとした際に、起立板部が取付けを阻止するようにしたので、誤組み付けを防止して車両の生産効率を向上させることができる。
請求項4の発明によれば、第2の熱交換器に対して誤った取付孔を用いてエアガイドパネルを取付けようとした際に、突出部が第2の熱交換器と干渉してエアガイドパネルの取付けを阻止するようにしたので、誤組み付けを防止して車両の生産性を向上させることができる。
請求項5の発明によれば、第2の熱交換器の正規の取付状態において第2の熱交換器の底面とエアガイドパネルの上端板部との間に生じる隙間を閉塞する閉塞部材が設けられているので、隙間に空気が流れてエアガイドパネルの整流効果が低減するのを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかるエアガイドの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
(実施の形態)
図1は、実施の形態にかかるエアガイドパネル10の構成を示す説明図であり、
図1Aはエアガイドパネル10の正面図、
図1Bはエアガイドパネル10のA−A断面図を示している。
また、
図2は、エアガイドパネル10が取付けられる熱交換器20の側部の斜視図である。
エアガイドパネル10は、車室前方の前部空間に配置される熱交換器20に取付けられる部材であり、熱交換器20より下部に位置し、車両幅方向に延在して車体下部との隙間を塞ぐ。エアガイドパネル10を設けることによって、熱交換器20での熱交換後の空気が熱交換器20前方に回り込んでショートサーキット現象(熱交換器の効率低下)が発生するのを防止できる他、前部空間内に流れる気流を整え、熱交換器20に風が当たりやすいようにすることができる。
【0011】
熱交換器20(20A,20B)は、図示しないエンジンを冷却するエンジン用冷却液を走行風により冷却するための装置(ラジエータ)であり、車室前方の前部空間のうち、フロントグリルから走行風が流入する経路上に配置されている。
図2に示すように、熱交換器20は、エンジン用冷却液が走行風との間で熱交換を行うラジエータコア22と、ラジエータコア22の両側に設けられエンジン用冷却液が貯留される左右一対のラジエータタンク24を含んで構成される。ラジエータコア22と左右のラジエータタンク24との間にはそれぞれ鉛直方向に高さを有するフランジ26が設けられている。
ラジエータコア22は、走行風が流れ込む前面部2202と、前面部2202の上下に設けられた上板2204および下板2206と、前面部2202の車両後方側に設けられ走行風が流れ出す後面部(図示なし)によって形成されている。
また、ラジエータタンク24は、ラジエータコア22の前面部2202と後面部とに渡って断面を略半円状に形成された側壁2402と、側壁2402の上下にそれぞれ設けられた上板2404および下板2406によって形成されている。
【0012】
ラジエータタンク24の両側の側壁2402のうち、車両前部側には、エアガイドパネル10が取付けられる熱交換器側取付部28が設けられている。熱交換器側取付部28は、ラジエータタンク24から起立する2つの起立壁部2802と、2つの起立壁部2802間に跨って配置され熱交換器側取付孔2806が形成される取付孔形成部2804とによって形成されている。取付孔形成部2804の裏面の熱交換器側取付孔2806に対応する部分には、熱交換器側取付孔2806に挿入されるボルトBを受けるナットが挿入されている。
【0013】
ここで、本実施の形態にかかるエアガイドパネル10は、2種類の熱交換器20(第1の熱交換器20Aおよび第2の熱交換器20B)に取付け可能となっている。
すなわち、エアガイドパネル10は、後述するように熱交換器20への取付面となる第1の面F1および第2の面F2を有するエアガイド本体102を備え、熱交換器20への取付面を第1の面F1と第2の面F2との間で変更することによって、形状が異なる第1の熱交換器20Aと第2の熱交換器20Bに対して取付可能である。
第1の面F1と第2の面F2とはエアガイド本体102の表裏を成しており、エアガイドパネル10を第1の熱交換器20Aに取付ける場合と、第2の熱交換器20Bに取付ける場合とではエアガイドパネル10の表裏を逆にして取付ける。
第1の熱交換器20Aは、
図2Aに示すように、ラジエータタンク24の側壁2402から熱交換器側取付孔2806までの距離がHAであり、熱交換器側取付孔2806が、ラジエータコア22の前面部2202がなす平面よりも側面視で前側に位置に配置されている。
よって、第1の熱交換器20Aの熱交換器側取付部28は、第1の熱交換器本体20Aから突出した取付突出部を形成している。
一方、第2の熱交換器20Bは、
図2Bに示すようにラジエータタンク24の側壁2402から熱交換器側取付孔2806までの距離がHB(<HA)であり、熱交換器側取付孔2806が、ラジエータコア22の前面部2202がなす平面と側面視で略同一平面上に配置されている。
また、第1の熱交換器20Aにおいて、ラジエータタンク24の下板2206から熱交換器側取付孔2806までの高さはWAであり、第2の熱交換器20Bにおいて、ラジエータタンク24の下板2406から熱交換器側取付孔2806までの距離はWB(>WA)である。
すなわち、第1の熱交換器20Aと第2の熱交換器20Bとでは、ラジエータタンク24の側壁2402から熱交換器側取付孔2806までの距離、およびラジエータタンク24の下板2406から熱交換器側取付孔2806までの距離が、それぞれ異なっている。なお、本実施の形態では、第1、第2の熱交換器の両側の熱交換器側取付孔2806間の距離は等しい寸法で形成されている。
言い換えると、第1の熱交換器20Aと第2の熱交換器20Bとが車両の前部空間に配置された状態で、第1の熱交換器20Aの熱交換器側取付部28と、第2の熱交換器20Bの熱交換器側取付部28とは、車幅方向の位置が同一であり、上下方向の位置と、車両前後方向の位置とが異なっている。
【0014】
図1を用いてエアガイドパネル10の構成について説明する。
エアガイドパネル10は、エアガイド本体102と、一対のエアガイド側取付部104とを備える。
エアガイド本体102は、車室前方の前部空間に配置された熱交換器20の下部または下方で熱交換器20の幅方向に延在し、車両の前方に向けられた面と車両の後方に向けられた面を有し前部空間に導入される走行風を熱交換器に導く。
エアガイドパネル10の取付部であるエアガイド側取付部104は、エアガイド本体102の幅方向の両端から上方に突設され熱交換器20の幅方向の両側の熱交換器側取付部28に取付けられる。
エアガイドパネル10は、エアガイドパネル10が第1の熱交換器20Aに取付けられた際に車両の前方側を向く第1の面(一方の面)F1と、エアガイドパネル10が第2の熱交換器20Bに取付けられた際に車両の前方側を向く第2の面(他方の面)F2とを有する。
言い換えると、エアガイドパネル10が第1の熱交換器20Aに取付けられる際の取付面は第2の面F1であり、エアガイドパネル10が第2の熱交換器20Bに取付けられる際の取付面は第1の面F1である。
図1Aは、第1の面F1を前面にした場合の正面図であり、
図1Bでは紙面向かって左側が第1の面F1、紙面向かって右側が第2の面F2となる。
ここで、エアガイドパネル10の第1の熱交換器20Aへの正規の取付状態(第1の正規取付状態)は、2つの面(F1,F2)のうちの一方の面(第1の面F1)を車両の前方に向け、後述する第1の取付孔1046Aと熱交換器側取付部28を介してエアガイドパネル10が第1の熱交換器20Aに取付けられた状態である。
また、エアガイドの第2の正規の取付状態は、2つの面(F1,F2)のうちの他方の面(第2の面F2)を車両の前方に向け後述する第2の取付孔1046Bと熱交換器側取付部28を介してエアガイドパネル10が第2の熱交換器20Bに取付けられた状態である。
【0015】
エアガイド本体102は、平板状の平板部1022と、平板部1022から起立する横リブ1024、縦リブ1026、下端部リブ1028とを備える。
平板部1022は、エアガイドパネル10が熱交換器20に取付けられた状態で、上下方向の高さを有して車幅方向に延在する。横リブ1024は、平板部1022の高さ方向中間部で幅方向に延在する。縦リブ1026は、平板部1022の幅方向に間隔を置いて複数個設けられそれぞれ高さ方向に延在している。また、下端部リブ1028は平板部1022の下端部に沿って延在する。横リブ1024、縦リブ1026、下端部リブ1028は、平板部1022の両面に形成され、平板部1022を補強する。
【0016】
また、平板部1022の上端には、平板部1022の上端から第1の面F1側に突出する突出部106が設けられている。すなわち、エアガイドパネル10の第1の面には、第1の面F1から突出する突出部106が設けられている。突出部106は、エアガイド本体102の上端でエアガイド本体102の幅方向に沿って延在する上端板部として設けられる。
なお、本実施の形態では、突出部106は平板部1022の上端から第2の面F2側にも若干突出している。
突出部106のうち、第1の面F1側に設けられた部分は、エアガイド側取付部104に挟まれた平板部1022の上端全域に渡って設けられており、縦リブ1026の上部の補強リブ1062によって支持されている。
また、突出部106のうち、第2の面F2側に設けられた部分には、
図3に示すようにエアガイド側取付部104の根本付近に切欠き部108が設けられている。切欠き部108は、突出部106から下方に延びる2つの側壁1082と、突出部106の下方で突出部106と平行な面を形成する底部1084とを有し、第1の面F1から離れる方向および幅方向の外側に開放状に設けられている。
この切欠き部108は、
図3Bに示すように、エアガイドパネル10が第1の熱交換器20Aに取付けられた際に、第1の熱交換器20Aのフランジ26が入り込むようになっている。
【0017】
エアガイド側取付部104は、エアガイド本体102の幅方向の両端から上方に突設され、後述する第1の取付孔1046Aおよび第2の取付孔1046Bが形成された平板部1042と、平板部1042から第2の面F2側に起立しエアガイド側取付部104が突設された方向に沿って延在する起立板部1044とを有する。
平板部1042には、上下方向に距離を置いて2つの取付孔(第1の取付孔1046A、第2の取付孔1046B)が設けられている。本実施の形態では、相対的に下方に位置する第1の取付孔1046Aはエアガイドパネル10を第2の面F2を取付面として第1の熱交換器20Aの熱交換器側取付部28に取付ける際に用い、相対的に上方に位置する第2の取付孔1046Bはエアガイドパネル10を第1の面F1を取付面として第2の熱交換器20Bの熱交換器側取付部28に取付ける際に用いる。
また、エアガイド側取付部104の起立板部1044のうち、エアガイド側取付部104の先端部にあたる部分は、エアガイドパネル10の熱交換器20への誤組み付けを阻止する当接壁部1048として機能する。
【0018】
なお、第1の取付孔1046Aおよび第2の取付孔1046Bの位置や、エアガイド本体102の車両上下方向の長さは、エアガイドパネル10を第1の熱交換器20Aまたは第2の熱交換器20Bに正規の状態で取付けた場合に、熱交換器20の下方に配設されたスキッドプレートS(
図4B参照)と干渉しないように適宜寸法が決定される。
【0019】
図4は、第1の熱交換器20Aに対するエアガイドパネル10の正規の取付状態を示す説明図であり、
図4Aは正面図、
図4Bは断面図を示している。
第1の熱交換器20Aにエアガイドパネル10を取付ける際には、第1の面F1を車両前方に向け、第2の面F2を取付面として、第1の取付孔1046Aを用いてエアガイドパネル10を取付けた状態が正規の取付状態となる。
このとき、エアガイド本体102の上部から一方の面(第1の面F1)側に突出部106が突出する。
なお、第1の取付孔1046Aの熱交換器側取付部28への取付けは、ボルト締めによって行う。
【0020】
また、
図4に示す正規の取付状態では、第1の熱交換器20Aのフランジ26が、エアガイドパネル10の突出部106の第2の面F2側に設けられた切欠き部108に入り込むようになっている。これにより、ラジエータタンク24の側壁2402の前面と、エアガイド側取付部104の起立板部1044とが当接し、エアガイドパネル10の車両前後方向の位置が規制される。また、左右のフランジ26が切欠き部108内に収容されることから、エアガイドパネル10の左右方向の位置が規制される。よって、第1の熱交換器20Aに対するエアガイドパネル10の位置決めを容易に行うことができる。
【0021】
また、一般に車両の熱交換器の下方には、アンダーカバーの一部であるスキッドプレートSが設けられているが、
図4に示す正規の取付状態では、エアガイド本体102の下端部1029がスキッドプレートSよりも上方に位置しており、これらが干渉することがないようになっている。
【0022】
つづいて、第1の熱交換器20Aに対して誤った方法でエアガイドパネル10を取付る場合(非正規の取付状態)について説明する。
図5は、第1の非正規取付状態を示すものであり、第2の面F2を車両の前方に向け、第1の面F1を取付面として第1の取付孔1046Aを用いて第1の熱交換器20Aへエアガイドパネル10を取付けようとする状態を示している。
第1の非正規取付状態では、突出部106が第1の熱交換器20Aと干渉してエアガイドパネル10の第1の熱交換器20Aへの取付けを阻止する。
すなわち、第1の非正規取付状態で第1の熱交換器20Aに対向する第1の面F1には、エアガイド側取付部104に挟まれた平板部1022の上端全域に渡って突出部106が設けられている。このため、突出部106が第1の熱交換器20Aのフランジ26と干渉して、第1の熱交換器20Aの熱交換器側取付部28と第1の取付孔1046Aとの間に隙間Xが生じて、ボルト締めを行うことができない。
よって、取付け作業者に非正規の取付状態であることを気づかせやすくするとともに、誤組み付けを阻止することができる。
【0023】
図6は、第2の非正規取付状態を示すものであり、第1の面F1を車両の前方に向け、第2の面F2を取付面として第2の取付孔1046Bを用いて第1の熱交換器10Aへエアガイドパネル10を取付けようとする状態を示している。
第2の非正規状態では、一対のエアガイド側取付部104に設けられた起立板部1044、特に当接壁部1048が、第1の熱交換器20Aの熱交換器側取付部28(取付突出部)と干渉してエアガイドパネル10の第1の熱交換器20Aへの取付けを阻止する。
上述のように、当接壁部1048は、エアガイド側取付部104の起立板部1044のうち、エアガイド側取付部104の先端部にあたる部分である。第2の非正規状態は、
図4に示す第1の正規の取付状態からエアガイドパネル10を下方にずらして、第1の熱交換器20Aの取付部28と第2の取付孔1046Bとの位置を合わせようとする状態であるが、このような状態ではエアガイド側取付部104の当接壁部1048が、第1の熱交換器20Aの取付部28に当たって、位置合わせをすることができず、ボルト締めを行うことができない。
よって、取付け作業者に非正規の取付状態であることを気づかせやすくするとともに、誤組み付けを阻止することができる。
【0024】
図7は、第3の非正規取付状態を示すものであり、第2の面F2を車両の前方に向け、第1の面を取付面F1とし第2の取付孔1046Bを用いて第1の熱交換器20Aへエアガイドパネル10を取付けようとする状態を示している。
第3の非正規状態では、エアガイドパネル10(エアガイド本体102の下端)が車体下部のスキッドプレートSと接触してエアガイドパネル10の第1の熱交換器20Aへの取付けを阻止する。
すなわち、第3の非正規状態では、エアガイド本体102の下端の位置が低くなり過ぎてスキッドプレートSと干渉するため、第1の熱交換器20Aにエアガイドパネル10を取付けることができない。なお、例えばエアガイドパネル10を取付けた第1の熱交換器20Aを車両に組み付けた後でスキッドプレートSを配置する場合、エアガイドパネル10を第1の熱交換器20Aに取付けることは可能であるが、スキッドプレートSの組み付けの際に正規の位置に配設することができないため、誤組み付けに気づくことができる。
よって、取付け作業者に非正規の取付状態であることを気づかせやすくするとともに、誤組み付けを阻止することができる。
【0025】
つぎに、第2の熱交換器20Bへの取付けについて説明する。
図8は、第2の熱交換器20B対するエアガイドパネル10の正規の取付状態を示す説明図であり、
図8Aは正面図、
図8Bは断面図を示している。
第2の熱交換器20Bにエアガイドパネル10を取付ける際には、第2の面F2を車両の前方に向け、第1の面F1を取付面として第2の取付孔1046Bを用いてエアガイドパネル10を取付けた状態が正規の取付状態となる。
図8に示すように、この状態では第2の熱交換器20Bの底面(下板2406)と突出部106(上端板部)との間に隙間が形成され、隙間を閉塞する閉塞部材Pが設けられている。このように閉塞部材Pを設けることによって、熱交換器20とエアガイドパネル10との取付状態における寸法誤差を吸収することができる。
また、閉塞部材Pによって、第2の熱交換器20Bの底面と突出部106(上端板部)との間の隙間に空気が流れるのを阻止して、エアガイドパネル10による整流効果を向上させることができる。
【0026】
また、第2の面F2を車両の前方に向け、第1の面F1を取付面として第1の取付孔1046Aを用いて第2の熱交換器20Bにエアガイドパネル10を取付けようとすると(第4の非正規の取付状態)、突出部106が第2の熱交換器20Bと干渉してエアガイドパネル10の第2の熱交換器20Bへの取付けを阻止する。
すなわち、第1の取付孔1046Aは第2の取付孔1046Bより下の位置にあるため、第4の非正規の状態になるためには、第2の熱交換器20Bを正規の取付状態(
図8)の位置よりも下方に位置させる必要がある。しかし、第2の熱交換器20Bの底面は、突起部106上の閉塞部材Pと当接しており、正規の取付状態の位置よりも下方に移動させることができず、第4の非正規の取付状態になることが阻止される。
よって、取付け作業者が取付け作業の際に、取付孔が正しいか等を逐次確認しなくても、直感的に正しい組み付けを行うことができる。
【0027】
図9は、第5の非正規状態を示すものであり、第1の面F1を車両の前方に向け、第2の面F2を取付面として第2の熱交換器20Bへエアガイドパネル10を取付けようとする状態を示している。
第5の非正規状態では、エアガイド側取付部104の起立板部1044が第2の熱交換器20Bと干渉してエアガイドパネル10の第2の熱交換器20Bへの取付けを阻止する。
すなわち、第2の熱交換器20Bの熱交換器側取付孔2806は、ラジエータコア22の前面部2202がなす平面と側面視で同一平面上に配置されている。また、エアガイド側取付部104には第2の面F2側に起立板部1044が設けられている。よって、起立板部1044の先端とラジエータタンク24の側壁2402とが当接する位置では、熱交換器側取付孔2806と第1の取付孔1046A(または第2の取付孔1046B)との間に隙間が生じる。この隙間は、
図9に示すようにボルトBの長さより長いことから、第5の非正規状態でエアガイドパネル10を第2の熱交換器20Bに取付けることができない。
よって、取付け作業者に非正規の取付状態であることを気づかせやすくするとともに、誤組み付けを阻止することができる。
【0028】
以上説明したように、実施の形態にかかるエアガイドパネル10は、エアガイドパネル10の2つの面(第1の面F1、第2の面F2)および2つの取付孔(第1の取付孔1046A、第2の取付孔1046B)を用いることにより、形状の異なる2種類の熱交換器(第1の熱交換器20A、第2の熱交換器20B)に取付けることが可能である。よって、それぞれ単一の熱交換器に対応した2種類のエアガイドを使用するのと比較して、部品調達コストおよび管理コストの低減や、ライン周辺の部品置き場所の縮小等を図ることができる。
また、エアガイドパネル10は、2種類の熱交換器(第1の熱交換器20A、第2の熱交換器20B)に対する誤った組み付け状態(第1~第5の非正規状態)になる際に、エアガイドパネル10の各部によって取付けを阻止するので、各非正規の取付状態での誤組み付けを防止して、車両の生産効率を向上させることができる。