特許第6413757号(P6413757)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧

<>
  • 特許6413757-蓄電装置 図000002
  • 特許6413757-蓄電装置 図000003
  • 特許6413757-蓄電装置 図000004
  • 特許6413757-蓄電装置 図000005
  • 特許6413757-蓄電装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6413757
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20181022BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20181022BHJP
   H01M 2/34 20060101ALI20181022BHJP
   H01G 11/82 20130101ALI20181022BHJP
【FI】
   H01M10/04 Z
   H01M10/0585
   H01M2/34 B
   H01G11/82
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-260971(P2014-260971)
(22)【出願日】2014年12月24日
(65)【公開番号】特開2016-122532(P2016-122532A)
(43)【公開日】2016年7月7日
【審査請求日】2017年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】南形 厚志
(72)【発明者】
【氏名】中村 知広
(72)【発明者】
【氏名】岡本 亮太
【審査官】 冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−107147(JP,A)
【文献】 特開2013−254628(JP,A)
【文献】 特開2014−075187(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0233474(US,A1)
【文献】 特開2012−004141(JP,A)
【文献】 特開2014−209415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01G 11/82
H01M 2/34
H01M 10/0585
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる極性の電極が互いに絶縁された状態で交互に積層された電極組立体と、
ケース本体と前記ケース本体に接合されている蓋とを有し、前記電極組立体が収容されたケースと、
前記電極の端部から突出したタブと電気的に接続された導電部材と、
前記導電部材と電気的に接続された電極端子と、
前記タブと前記導電部材との接続部分と前記ケースとを絶縁する絶縁カバーと、
前記電極組立体の積層方向と直交する方向に沿って延びる一方の面から他方の面に亘って貼り付けられた保持テープと、を備え、
記絶縁カバーは、前記ケース本体と前記蓋との接合部側に位置し、
前記絶縁カバーが対向する前記電極組立体の面には、前記絶縁カバーに対向するカバー対向領域が投影され、当該カバー対向領域と重ならない部分に前記保持テープが位置している蓄電装置。
【請求項2】
前記電極組立体の面には、前記電極端子に対向する端子対向領域が投影され、当該端子対向領域と重なる部分に、前記保持テープの少なくとも一部が位置している請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記電極組立体の面において前記保持テープは、当該面の端に位置している請求項1又は請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記保持テープは、前記電極の積層方向に掛けて貼り付けられており、
前記保持テープの前記積層方向に沿う端部は、前記絶縁カバーの端部よりも外側に位置している請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記蓄電装置は、二次電池である請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持テープが貼り付けられた電極組立体を有する蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
EV(Electric Vehicle)やPHV(Plug in Hybrid Vehicle)などの車両には、原動機となる電動機への供給電力を蓄える蓄電装置としてリチウムイオン電池などの二次電池が搭載されている。二次電池は、正極電極及び負極電極を有する電極組立体と、この電極組立体を収容したケースと、正極及び負極の電極端子と、を有し、各極性の電極端子と電極組立体とが電気的に接続されている。そして、シート状の正極電極と負極電極とを積層した電極組立体には、電極の積層方向に電極組立体を保持する複数の保持テープが貼り付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−48054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電極組立体を収容するケースは、一方に開口した有底箱状のケース本体と、ケース本体の開口部分を塞ぐ平板状の蓋とを備えている。そして、電極組立体をケースに収容する際には、ケース本体の開口部分から電極組立体を挿入し、その後に開口部分を閉塞するように蓋を閉じる。この際、ケースは、ケース本体と蓋とが溶接によって接合されることにより、密閉された状態となる。
【0005】
このため、ケース内には、接合時などに発生した異物が残存している可能性があり、その異物が例えば振動などによって落下すると、電極組立体の内部に入り込むことが考えられる。電極組立体に入り込んだ異物は、極性の異なる電極を短絡させる要因となり得る。
【0006】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、電極組立体への異物の入り込みを抑制し得る蓄電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するための蓄電装置は、異なる極性の電極が互いに絶縁された状態で交互に積層された電極組立体と、ケース本体と前記ケース本体に接合されている蓋とを有し、前記電極組立体が収容されたケースと、前記電極の端部から突出したタブと電気的に接続された導電部材と、前記導電部材と電気的に接続された電極端子と、前記タブと前記導電部材との接続部分と前記ケースとを絶縁する絶縁カバーと、前記電極組立体の積層方向と直交する方向に沿って延びる一方の面から他方の面に亘って貼り付けられた保持テープと、を備え、前記絶縁カバーは、前記ケース本体と前記蓋との接合部側に位置し、前記絶縁カバーが対向する前記電極組立体の面には、前記絶縁カバーに対向するカバー対向領域が投影され、当該カバー対向領域と重ならない部分に前記保持テープが位置している。これによれば、ケース本体と蓋とを接合する際に発生し、ケース内に残存した異物が落下した場合でも、その異物は絶縁カバーや保持テープに落下することになる。このため、タブが突出した電極組立体の面に異物が入り込むことを抑制できる。
【0008】
上記蓄電装置において、前記電極組立体の面には、前記電極端子に対向する端子対向領域が投影され、当該端子対向領域と重なる部分に、前記保持テープの少なくとも一部が位置していることが好ましい。これによれば、電極端子の直下に位置する隙間などからの異物の入り込みを抑制できる。
【0009】
上記蓄電装置において、前記保持テープは、前記電極組立体の面の端に位置していることが好ましい。これによれば、保持テープによって異物の入り込みを抑制しつつ、電極組立体を良好に保持できる。
【0010】
上記蓄電装置において、前記保持テープは、前記電極の積層方向に掛けて貼り付けられており、前記保持テープの前記積層方向に沿う端部は、前記絶縁カバーの端部よりも外側に位置していることが好ましい。これによれば、絶縁カバーと保持テープの重なりをなくし、電極組立体の面において露出している部分を保持テープによって効率的に覆うことができる。
【0011】
上記蓄電装置において、前記蓄電装置の好適な例としては、二次電池を挙げることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電極組立体への異物の入り込みを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】二次電池を示す斜視図。
図2】電極組立体の分解斜視図。
図3】二次電池の分解斜視図。
図4】二次電池の内部を示す一部断面図。
図5】電極組立体の上面を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、蓄電装置を二次電池に具体化した実施形態について図1図5を用いて説明する。
図1に示すように、蓄電装置としての二次電池10は、ケース11を備えている。ケース11は、一方に開口した有底箱状のケース本体12と、ケース本体12の開口部分を塞ぐ平板状の蓋13とを備えている。ケース本体12と蓋13とは、接合部Sによって接合されている。ケース本体12と蓋13とは、溶接によって接合されている。
【0015】
ケース11は、四角箱状であり、長辺と短辺を有する矩形平板状の底壁12aと、底壁12aの四辺から立設された複数の側壁と、を有する。底壁12aは、ケース本体12の開口部分を塞ぐ蓋13と対向する。複数の側壁は、底壁12aの四辺において短辺に立設されるとともに対向する2つの短側壁12b,12cと、底壁12aの四辺において長辺に立設されるとともに対向する2つの長側壁12d,12eと、からなる。長側壁12d,12eは、短側壁12b,12cよりも面積が大きい。この実施形態の二次電池10は、その外観が角型をなす角型電池である。
【0016】
二次電池10のケース11には、電極組立体14及び電解液(図示略)が収容されている。また、二次電池10は、電極端子としての正極端子15及び負極端子16を備える。正極端子15及び負極端子16は、ケース11の壁部としての蓋13に締結され、固定されている。また、正極端子15及び負極端子16は、一部がケース11の内部に位置し、一部がケース11から外部に突出している。なお、本実施形態の二次電池10は、例えばリチウムイオン電池である。
【0017】
図2に示すように、電極組立体14は、異なる極性の電極としての正極電極21と負極電極22とを、間にセパレータ23を介在させて交互に積層した構造である。負極電極22と正極電極21との間は、セパレータ23によって絶縁されている。なお、正極電極21と、負極電極22と、セパレータ23とを積層した方向を電極組立体14の積層方向とする。
【0018】
正極電極21、負極電極22、及びセパレータ23は、短辺及び長辺を有する長方形状のシートである。正極電極21は、長方形状の正極金属箔(例えばアルミニウム箔)21aと、当該正極金属箔21aの両面にある正極活物質層21bと、を有する。負極電極22は、長方形状の負極金属箔(例えば銅箔)22aと、当該負極金属箔22aの両面にある負極活物質層22bと、を有する。
【0019】
正極電極21は、当該正極電極21の端部21cから突出した形状の正極タブ31を有する。同様に、負極電極22は、当該負極電極22の端部22cから突出した形状の負極タブ32を有する。正極電極21と負極電極22は、各タブ31,32の同一極性同士が列状に配置されるように積層されている。
【0020】
図3及び図4に示すように、この実施形態の電極組立体14は、正極電極21と、負極電極22と、セパレータ23と、を積層することにより、直方体状に構成されている。電極組立体14は、積層方向の両端に第1平面14aと第1平面14aに対向する第2平面14bを有する。第1平面14aと第2平面14bには、積層方向から見て正極活物質層21bと負極活物質層22bとが対向する対向領域が投影される。また、電極組立体14は、第1平面14aと第2平面14bを囲む四つの面のうち、その一つの面にタブ側端面14cを備える。また、電極組立体14は、前記四つの面のうち、その一つの面に底面14d(図4に示す)を備え、底面14dはタブ側端面14cに対向する。また、電極組立体14は、前記四つの面のうち、残りの二つの面に側面14e,14fを備える。
【0021】
電極組立体14の各面は、電極組立体14をケース11に収容した状態においてケース11を構成する各壁に面する。具体的に言えば、第1平面14a及び第2平面14bは、ケース本体12の長側壁12d,12eに面する。タブ側端面14cは、蓋13に面する。底面14dは、ケース本体12の底壁12aに面する。側面14e,14fは、ケース本体12の短側壁12b,12cに面する。
【0022】
図3に示すように、各負極タブ32は、電極組立体14における積層方向の一方に寄せて集められた状態で他方に折り返されている。同様に、各正極タブ31は、電極組立体14における積層方向の一方に寄せて集められた状態で他方に折り返されている。各正極タブ31及び各負極タブ32は、電極組立体14のタブ側端面14cから突出し、電極組立体14のタブ側端面14cから蓋13に向けて突出している。
【0023】
図3及び図4に示すように、二次電池10は、正極タブ31と正極端子15とを電気的に接続する導電部材としての正極導電部材40を備える。正極導電部材40は、一枚の金属板(本実施形態ではアルミニウム板)で構成されている。アルミニウム板は、箔状であることが望ましい。正極導電部材40は、ケース11の蓋13と電極組立体14との間に存在し、正極タブ31及び正極端子15の双方に接合されている。
【0024】
正極導電部材40は、相対的に蓋13寄りに配置された正極第1接合部41と、正極第1接合部41よりも電極組立体14に近い位置に配置された正極第2接合部42と、正極第1接合部41と正極第2接合部42とを繋ぐ湾曲状の正極第3接合部43と、を有する。正極第1接合部41において、電極組立体14のタブ側端面14cと対向した面(下面)には各正極タブ31が溶接され、正極第1接合部41と各正極タブ31とが電気的に接続されている。正極導電部材40の正極第1接合部41は、正極タブ31との接続部分となる。
【0025】
正極端子15は、角柱状の正極頭部51と、正極頭部51の座面から突出し、かつ外周面にねじ溝を有する正極軸部52とを備えている。正極軸部52は、蓋13に有る貫通孔13bを介してケース11外に突出している。正極軸部52は、絶縁性のOリング53に挿通されている。また、正極軸部52はフランジ付きリング54に挿通されている。フランジ付きリング54は、貫通孔13bに嵌合する筒状である。
【0026】
正極軸部52には、フランジ付きリング54の上からナット55が螺合されており、正極端子15と蓋13とはユニット化されている。なお、フランジ付きリング54は、正極軸部52と蓋13の貫通孔13bの周縁部との間、及びナット55と蓋13との間に介在している。
【0027】
正極頭部51は、ケース11内に配置されている。正極頭部51における電極組立体14側の面には正極導電部材40の正極第2接合部42が溶接されている。これにより、正極導電部材40と正極端子15とが電気的に接続されている。
【0028】
二次電池10は、正極頭部51の一部を覆う絶縁性の第1正極絶縁部材57と、正極導電部材40と電極組立体14との間に介在する絶縁性の第2正極絶縁部材58とを備えている。第1正極絶縁部材57は、蓋13と正極頭部51との接触を規制するものであり、正極頭部51に対して蓋13側から取り付けられている。第1正極絶縁部材57は、正極頭部51の座面及び外周面の一部を覆っている。第2正極絶縁部材58は、正極導電部材40と電極組立体14との接触を規制するものである。
【0029】
図3及び図4に示すように、二次電池10は、負極タブ32と負極端子16とを電気的に接続する導電部材としての負極導電部材60を備える。負極導電部材60は、一枚の金属板(本実施形態では銅板)で構成されている。銅板は、箔状であることが望ましい。負極導電部材60は、ケース11の蓋13と電極組立体14との間に存在する。
【0030】
負極導電部材60は、相対的に蓋13寄りに配置された負極第1接合部61を有する。また、図4に示すように、負極導電部材60は、負極第1接合部61よりも電極組立体14に近い位置に配置された負極第2接合部62と、負極第1接合部61と負極第2接合部62とを繋ぐ湾曲状の負極第3接合部63と、を有する。負極第1接合部61において、電極組立体14のタブ側端面14cと対向した面(下面)には各負極タブ32が溶接され、負極第1接合部61と各負極タブ32とが電気的に接続されている。負極導電部材60の負極第1接合部61は、負極タブ32との接続部分となる。
【0031】
負極端子16は、角柱状の負極頭部71と、負極頭部71の座面から突出し、かつ外周面にねじ溝を有する負極軸部72を備える。負極軸部72は、蓋13に有る貫通孔13bを介してケース11外に突出している。負極軸部72は、絶縁性のOリング73に挿通されている。また、負極軸部72は、絶縁性のフランジ付きリング74に挿通されている。フランジ付きリング74は、貫通孔13bに嵌合する筒状である。
【0032】
負極軸部72には、フランジ付きリング74の上からナット75が螺合されており、負極端子16と蓋13とがユニット化されている。なお、フランジ付きリング74は、負極軸部72と蓋13の貫通孔13bの周縁部との間、及びナット75と蓋13との間に介在している。
【0033】
二次電池10は、一方の極性の電極端子である負極端子16と電極組立体14との通電経路上に設けられた電流遮断部材80を備える。なお、一方の極性の電極端子(負極端子16)と接続された導電部材は負極導電部材60である。電流遮断部材80は、ケース内に発生したガスによって作動する作動部材である。
【0034】
また、二次電池10は、負極頭部71の座面及び外周面を覆う絶縁性の負極絶縁部材87と、負極頭部71と、電流遮断部材80と、をユニット化するカシメ部材88を備えている。負極絶縁部材87は、蓋13と負極頭部71との接触を規制するものであり、負極頭部71に対して蓋13側から取り付けられている。
【0035】
また、二次電池10のケース11には、図1図3及び図5に示すように圧力開放弁90が設けられている。この実施形態の圧力開放弁90は、ケース11の蓋13に位置している。圧力開放弁90は、蓋13の板厚よりも薄い薄板状の弁体91を有する。弁体91は、蓋13の上面に凹設された凹部の底に位置しており、蓋13と一体的に成形されている。また、弁体91の表面には、交差状の開裂溝92を有する。圧力開放弁90は、ケース11内に発生したガスからの圧力を受圧する。そして、圧力開放弁90は、ケース11内の圧力が設定圧力を超えたときに開裂溝92の交差部を起点として開裂することにより、ケース11内の圧力をケース外に開放させる。
【0036】
また、図1図3及び図5に示すように、二次電池10は、正極第1接合部41及び負極第1接合部61と、蓋13との間に配置される絶縁カバー100を備えている。絶縁カバー100は、ケース本体12に電極組立体14を収容し、蓋13を接合した状態において、接合部S側に位置する。また、絶縁カバー100は、配置した状態において、電極組立体14の面であるタブ側端面14cに対向する。絶縁カバー100は、例えば樹脂などで構成されている。絶縁カバー100は、長方形の板状の本体部101と、当該本体部101の短手方向の端部から下方に起立した起立部102と、を有している。また、絶縁カバー100の本体部101には、圧力開放弁90と対向する部位に連通孔103が穿設されている。図4に示すように、圧力開放弁90と連通孔103は、正極タブ31と負極タブ32との間に位置することで、ケース11内に発生したガスは連通孔103を介して圧力開放弁90へ流れる。
【0037】
また、電極組立体14には、図3及び図4に示すように、複数の保持テープt1,t2,t3,t4,t5,t6が貼り付けられている。各保持テープt1〜t6は、正極電極21及び負極電極22の積層方向に電極組立体14を保持する。保持テープt1,t2は、第1平面14a、タブ側端面14c、第2平面14bに掛けて貼り付けられている。保持テープt1,t2は、第1平面14a及び第2平面14bの各長辺に沿う方向に、所定の間隔をおいて貼り付けられている。なお、第1平面14a及び第2平面14bの各長辺に沿う方向は、タブ側端面14cの長辺に沿う方向と一致する。また、保持テープt3,t4は、第1平面14a、側面14e、第2平面14bに掛けて貼り付けられている。保持テープt5,t6は、第1平面14a、側面14f、第2平面14bに掛けて貼り付けられている。保持テープt3〜t6は、第1平面14a及び第2平面14bの各短辺に沿う方向に、所定の間隔をおいて貼り付けられている。保持テープt1〜t6は、電極組立体14の積層方向と直交する方向に沿って延びる一方の面(第1平面14a)から他方の面(第2平面14b)に亘って貼り付けられている。
【0038】
図5に示すように、電極組立体14がケース11に収容され、かつ絶縁カバー100が配置された状態において電極組立体14のタブ側端面14cには、絶縁カバー100に対向するカバー対向領域d1を投影できる。また、図5に示すように、電極組立体14がケース11に収容された状態において電極組立体14のタブ側端面14cには、正極端子15や負極端子16に対向する端子対向領域d2,d3を投影できる。このため、この実施形態では、電極組立体14のタブ側端面14cが、絶縁カバー100、正極端子15並びに負極端子16と対向する部分を有する面となる。
【0039】
この実施形態では、タブ側端面14cにおいて上記したカバー対向領域d1と重ならない部分を、保持テープt1,t2の貼り付け位置としている。また、この実施形態において保持テープt1,t2は、上記した端子対向領域d2,d3に重なる部分をそれぞれの貼り付け位置としている。これにより、保持テープt1は、正極端子15の直下に位置するように貼り付けられている。また、保持テープt2は、負極端子16の直下に位置するように貼り付けられている。
【0040】
保持テープt1は、電極組立体14の積層方向に掛けて貼り付けられている。そして、保持テープt1は、積層方向に沿う一方の端部t1aがタブ側端面14cの端に沿うように位置し、積層方向に沿う他方の端部t1bが絶縁カバー100の一方の端部101aよりも外側に位置するように貼り付けられている。タブ側端面14cの端は、タブ側端面14cと側面14fとが交差する角部に位置する部位である。また、絶縁カバー100の端部101aよりも外側は、タブ側端面14cと側面14fとが交差する角部寄り、すなわちケース本体12の短側壁12c寄りに位置する部位である。これにより、保持テープt1は、タブ側端面14cの端に寄って位置している。
【0041】
また、保持テープt2は、電極組立体14の積層方向に掛けて貼り付けられている。そして、保持テープt2は、積層方向に沿う一方の端部t2aがタブ側端面14cの端に沿うように位置し、積層方向に沿う他方の端部t2bが絶縁カバー100の他方の端部101bよりも外側に位置するように貼り付けられている。タブ側端面14cの端は、タブ側端面14cと側面14eとが交差する角部に位置する部位である。また、絶縁カバー100の端部101bよりも外側は、タブ側端面14cと側面14eとが交差する角部寄り、すなわちケース本体12の短側壁12b寄りに位置する部位である。これにより、保持テープt2は、タブ側端面14cの端に寄って位置している。
【0042】
保持テープt1,t2は、同一若しくはほぼ同一の幅のテープである。保持テープt1,t2の幅は、図4及び図5に示すように、第1平面14a並びに第2平面14bの長辺方向に沿う方向の長さである。また、保持テープt1,t2は、第1平面14a、タブ側端面14c、第2平面14bに掛かる方向(幅に直交する方向)に沿う方向の長さは、同一若しくはほぼ同一である。
【0043】
なお、タブ側端面14cには、圧力開放弁90に対向する弁対向領域d4も投影できる。この実施形態においては、弁対向領域d4に重なる部分にも保持テープが貼り付けられていない。つまり、弁対向領域d4が投影されるタブ側端面14cの部分は、露出した状態である。このため、例えば異常時に発生したガスは、保持テープによって流通路が遮断されることなく、連通孔103を介して圧力開放弁90へ流れる。
【0044】
次に、この実施形態の二次電池10の作用を説明する。
二次電池10を製造する際には、蓋13に固定された正極端子15並びに負極端子16に接合された電極組立体14を、ケース本体12に挿入し、その挿入後にケース本体12と蓋13とを、溶接によって接合する。この実施形態の二次電池10は、ケース本体12と蓋13との接合部Sの近くに電極組立体14のタブ側端面14cが位置している。このため、ケース本体12と蓋13との接合時などに異物が発生し、当該異物がケース11内に残存している場合には、例えば振動などによって異物がタブ側端面14cに落下する可能性がある。
【0045】
しかしながら、この実施形態の二次電池10では、タブ側端面14cに対向して絶縁カバー100が配置されているとともに、タブ側端面14cに投影されるカバー対向領域d1と重ならない部分に保持テープt1,t2が位置している。つまり、タブ側端面14cは、図5に示すように、絶縁カバー100や保持テープt1,t2により、タブ側端面14cを平面視した時に露出している部分が少ない。これにより、仮にケース11内に残存する異物が落下したとしても、その異物は接合部S側に位置する絶縁カバー100や保持テープt1,t2に向けて落下することになる。
【0046】
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)ケース11の異物が絶縁カバー100や保持テープt1,t2に落下することで、電極組立体14のタブ側端面14cに直接、落下することが抑制される。したがって、電極組立体14に異物が入り込むことを抑制できる。
【0047】
(2)保持テープt1,t2は、正極端子15や負極端子16の直下に位置している。このため、正極端子15や負極端子16と電極組立体14との間にある隙間などからの異物の入り込みを抑制できる。
【0048】
(3)保持テープt1,t2を電極組立体14のタブ側端面14cの端に位置していることにより、異物の入り込みを抑制しつつ、電極組立体14を良好に保持することができる。これにより、電極組立体14を構成する電極の短絡などを回避することができる。
【0049】
(4)保持テープt1,t2は、絶縁カバー100と重ならない部分に位置している。保持テープt1,t2は、ある程度の幅を有するものである。このため、絶縁カバー100と保持テープt1,t2の重なりをなくすことで、タブ側端面14cにおいて露出している部分を、保持テープt1,t2の幅分を利用して効率的に覆うことができる。
【0050】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 電極組立体14のタブ側端面14cにおいて保持テープt1,t2の配置(個数を含む)は変更しても良い。保持テープt1,t2は、カバー対向領域d1に重ならない部分に位置していれば良い。また、この場合、弁対向領域d4にも保持テープが位置していない方が良い。
【0051】
○ また、保持テープt1,t2は、その全体が端子対向領域d2,d3に重なっていなくても良い。すなわち、保持テープt1,t2の一部が端子対向領域d2,d3に重なっていれば良い。
【0052】
○ また、保持テープt1,t2は、タブ側端面14cの端に対して間隔をおいて貼り付けても良い。
○ 絶縁カバー100の構成を変更しても良い。実施形態では、正極導電部材40と負極導電部材60の両方を覆うように一体化された構成であるが、正極導電部材40を覆う絶縁カバー、並びに負極導電部材60を覆う絶縁カバーというように分離した構成でも良い。
【0053】
○ 電極組立体14において側面14e,14f側の保持テープt3〜t6の配置(個数を含む)は変更しても良い。また、底面14d側に保持テープを貼り付けても良い。
○ また、電流遮断部材80の具体的な構成は変更しても良い。
【0054】
○ 電流遮断部材80は、電極端子に一体化されたものでなくても良い。例えば、負極第1接合部61と負極第2接合部62との間に位置して通電経路を構成し、ガスの圧力を受けることで通電経路を遮断しても良い。
【0055】
○ 電流遮断部材80を設ける一方の極性の電極端子を正極端子15としても良い。このとき、一方の極性の電極端子である正極端子15と接続される導電部材は正極導電部材40となる。
【0056】
○ 圧力開放弁90の具体的な構成は変更しても良い。例えば、弁体91の形状や開裂溝92の形状を変更しても良い。
○ 電極組立体14の具体的な構成は変更しても良い。例えば、正極電極21、負極電極22、セパレータ23の形状を変更しても良い。例えば、正面視正方形でも良い。
【0057】
○ 二次電池10は、作動部材として電流遮断部材80若しくは圧力開放弁90のいずれか一方を備えていても良い。
○ 実施形態は、例えばキャパシタなど、二次電池以外の蓄電装置にも適用可能である。
【0058】
○ 実施形態は、電流遮断部材80を搭載していない二次電池10に具体化しても良い。
○ 二次電池10は、車載用に限らず、住宅などに用いる定置用でも良い。
【0059】
○ 積層型の二次電池10に限らず、実施形態と同様の条件を満たすように構成された捲回型の二次電池に適用しても良い。捲回型の二次電池は、帯状の正極電極と帯状の負極電極を捲回して層状に積層した構造である。そして、上記条件は、ケース本体12と蓋13との接合部S側に、正極タブ31並びに負極タブ32とそれぞれ接続される正極導電部材40や負極導電部材60が位置し、これらの正極導電部材40や負極導電部材60を覆う絶縁カバー100が位置していることである。
【符号の説明】
【0060】
10…蓄電装置としての二次電池、11…ケース、12…ケース本体、13…蓋、14…電極組立体、14c…電極組立体の面としてのタブ側端面、15…電極端子としての正極端子、16…電極端子としての負極端子、31…正極タブ、32…負極タブ、40…導電部材としての正極導電部材、60…導電部材としての負極導電部材、100…絶縁カバー、d1…カバー対向領域、d2,d3…端子対向領域、t1〜t6…保持テープ、S…接合部、t1a,t1b,t2a,t2b…端部、101a,101b…端部。
図1
図2
図3
図4
図5