【実施例】
【0018】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。尚、本実施例では、自動車等の車両の床面に載置されて使用されるフロアマットを例示する。
【0019】
(1)フロアマットの構成
本実施例に係るフロアマット1は、
図1[(a)は全体図、(b)は部分拡大図]に示すように、立毛繊維11及び基布12を有するマット材10と、マット材10を支持する裏打ち材20と、を備えている。マット材10は、基布12に立毛繊維11を植え込んで形成されている。
【0020】
裏打ち材20は、ウレタン材料からなり、マット材10の裏面及び周縁に一体化されており、裏打ち部21と周縁部22とを有している。ウレタン材料には、顔料を含有させる等により適宜着色を行うことができる。裏打ち部21の厚さは特に限定されないが、例えば5mm程度とすることができる。
【0021】
裏打ち部21は、基布12の裏面に配されている。周縁部22は、裏打ち部21に連続して設けられており、マット材10の周縁における立毛繊維11及び基布12を外縁側から包み込むように配されている。裏打ち材20の外表面20aは、硬化処理されると共に、シボ加工が施されている。尚、マット材10と裏打ち材20とは、マット材10に対してウレタン材料を射出することにより一体成形されている。
【0022】
(2)フロアマットの作用
次に、上記構成のフロアマット1の作用について説明する。車両の床にフロアマット1を載置すると、裏打ち材20の裏面が車両の床に接触する。このとき、裏打ち材20の外表面20aはシボ加工されているので、車両の床に対する滑りが抑制される。
【0023】
また、裏打ち材20の外表面20aは硬化処理されているので、例えば、濡れた靴などをマット材10に乗せた場合に、マット材10側から浸入した水分を、裏打ち材20から車両の床側に漏れ出すことが抑制される。このため、フロアマット1を載置した床面が水分で汚れることがなく、降水時でも床面が保護される。
【0024】
また、裏打ち材20の外表面20aは硬化処理されていることで、表面が滑面になり、意匠性が向上される。
【0025】
(3)フロアマットの製造方法
次に、上記構成のフロアマット1の製造方法について、
図2に示すフローチャートに沿って説明する。フロアマット1は、上述したように、マット材10に対してウレタン材料を射出することにより一体成形されている。
【0026】
まず、金型の下型30を用意する。下型30は、
図3に示すように、裏打ち材20の周縁部22を形成するための周縁部キャビティ31と、マット材10の立毛繊維11を収容する立毛繊維収容部32と、マット材10の基布12の周縁部を支持する周縁支持部33と、を備えている。
【0027】
周縁部キャビティ31の内面は、例えば、鏡面加工されており、一体成形後のフロアマット1を容易に取り出せるようになっている。周縁支持部33は、周縁部キャビティ31と立毛繊維収容部32との間で上側に突出しており、先端は基布12のキャビティ内での移動を防止するために基布12に軽く突き刺さるようになっている。
【0028】
そして、
図4に示すように、下型30にマット材10を裏返して装着する(ステップS1、装着工程)。これにより、周縁支持部33に基布12の周縁部が支持される。
【0029】
次に、
図5に示すように、下型30に上型40を設置する(ステップS2)。ここで、上型40は、
図5に示すように、裏打ち材20の周縁部22を形成するための周縁部キャビティ41と、裏打ち材20の裏打ち部21を形成するための裏打ち部キャビティ42とを備えている。周縁部キャビティ41及び裏打ち部キャビティ42の内面は、例えば、鏡面加工されており、一体成形後のフロアマット1を容易に取り出せるようになっている。更に、裏打ち部キャビティ42の内面には細かい凹凸が形成されており、裏打ち部21の外表面20aにシボ加工をするようになっている。尚、裏打ち部キャビティ42の厚さは、裏打ち材20の最低厚さが5mm以上になることが、ウレタン材料の流通のしやすさの観点から好ましい。
【0030】
また、上型40と下型30とを合わせることにより、マット材10の周縁部及び裏面がウレタン材料に接するようにマット材10の少なくとも端部を支持することでマット材10を装着可能な金型を構成することができる。
【0031】
次に、
図6に示すように、金型にウレタン材料を注入し、ウレタン材料がマット材10の裏側及び周縁部に回りこむ。そして、硬化されたウレタン材料が裏打ち材20として、マット材10の裏面及び周縁に一体成形される(ステップS3、一体成形工程)。このとき、ウレタン材料の射出圧はプラスチックの射出圧に比べて小さく、マット材10への浸襲は小さいので、マット材10の変形などを防止できる。また、ウレタン材料は基布12を透過することなく、基布12の裏面に一体化される。金型に接触したウレタン材料は硬化するので、裏打ち部20の外表面20aは硬化処理されることになる。
【0032】
その後は、上型40を離脱し(ステップS4)、フロアマット1を下型30から離脱する(ステップS5)。これにより、フロアマット1が形成される。
【0033】
(4)実施例の効果
本実施例のフロアマット1は、ウレタン材料からなる裏打ち材20を備えており、この裏打ち材20は、基布12の裏面に配された裏打ち部21と、この裏打ち部21に連続して設けられ、マット材10の周縁における立毛繊維11及び基布12を外縁側から包み込むように配された周縁部22と、を備えている。このように、軽量で柔らかく低コストのウレタン材料を用いているので、着脱時等の取扱い性に優れている。また、使用感の悪化やコスト高を抑制することができる。更には、マット材10に対し、裏打ち部21と周縁部22とを一体成形しているため、生産効率に優れたものとなっている。
更に、本実施例では、裏打ち材20の裏打ち部21の外表面20aが硬化処理されているので、フロアマット1を一体成形の型から取り外しやすくなる。また、離型剤が不要になりコスト削減を図ることができる。しかも、表面が滑面になり、意匠性を向上することができる。更に、マット材10側から浸入した水分を、裏打ち材20から漏れ出すことを抑制できる。特に、裏打ち部21と周縁部22とが一体成形されていることから、防水性を向上することができる。
また、本実施例では、裏打ち材20の裏打ち部21の外表面20aがシボ加工されているので、フロアマット1を載置した床に対する滑りを十分に抑制することができる。
【0034】
<変形例1>
上述した実施例では、周縁部キャビティ31、周縁部キャビティ41、裏打ち部キャビティ42の各内面はいずれも鏡面加工されているものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、テフロン(登録商標)加工であってもよく、この場合も、一体成形後のフロアマット1を容易に取り出すことができる。あるいは、フロアマット1の形状によっては、キャビティの内面の表面処理を不要にすることができる。
【0035】
<変形例2>
上述した実施例では、裏打ち部21の外表面20aがシボ加工されているものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、裏打ち材21の全ての外表面20aにシボ加工を施してもよい。あるいは、裏打ち部21の外表面20aにシボ加工を施さず、裏打ち部21の外表面20aの硬化層を削り取ることでウレタン材料自体の滑りにくさを利用するようにしてもよい。
【0036】
<変形例3>
上述した実施例では、裏打ち材20の周縁部22においては、シボ加工を施していないものとしたが、周縁部キャビティ41の内面形状を適宜設計することにより、周縁部22
のデザインや意匠性を自由に変更することができる。
【0037】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【0038】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。