【実施例】
【0038】
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0039】
なお、トリアルキルガリウムの分析は、プロトン核磁気共鳴スペクトル(
1H−NMR)により以下の手法により行った。
【0040】
実施例1(高純度トリメチルガリウムの合成)
還流冷却器、温度計、滴下漏斗及び攪拌装置を備えた内容積200mLの容器に、ジイソペンチルエーテル27.8g(176mmol)及びトルエン9.8mLを加えて混合した。氷冷下、当該混合液に、液温を9〜15℃に維持しながら、トリメチルアルミニウム12.3g(170mmol)をゆるやかに加え、同温度で20分間攪拌した。
【0041】
次いで、これに、三塩化ガリウム19.3g(113mmol)及びトルエン18mLの混合液をゆるやかに加えた後、100℃で1時間反応させた。
【0042】
反応終了後、反応液を常圧下で蒸留し、トリメチルガリウム11.98gを得た(単離収率;92.6%)。
【0043】
実施例1においては、三塩化ガリウムとトリメチルアルミニウムとのモル比(三塩化ガリウム:トリメチルアルミニウム)は、1:1.50であった。
【0044】
実施例2(高純度トリメチルガリウムの合成)
還流冷却器、温度計、滴下漏斗及び攪拌装置を備えた内容積200mLの容器に、ジイソペンチルエーテル41.5g(262mmol)を加えた。氷冷下、液温を9〜15℃に維持しながら、トリメチルアルミニウム12.3g(171mmol)をゆるやかに加え、同温度で20分間攪拌した。
【0045】
次いで、これに、三塩化ガリウム19.3g(113mmol)及びジイソペンチルエーテル33mLの混合液をゆるやかに加えた後、100℃で1時間反応させた。
【0046】
反応終了後、反応液を常圧下で蒸留し、トリメチルガリウム11.72gを得た(単離収率;91.2%)。
【0047】
実施例2においては、三塩化ガリウムとトリメチルアルミニウムとのモル比(三塩化ガリウム:トリメチルアルミニウム)は、1:1.51であった。
【0048】
実施例3(高純度トリメチルガリウムの合成)
還流冷却器、温度計、滴下漏斗及び攪拌装置を備えた内容積200mLの容器に、ジイソペンチルエーテル27.5g(174mmol)を加えた。氷冷下、液温を9〜15℃に維持しながら、トリメチルアルミニウム12.6g(174mmol)をゆるやかに加え、同温度で20分間攪拌した。
【0049】
次いで、本混合液を80℃まで昇温し、予め120℃で加熱溶融させた三塩化ガリウム19.7g(112mmol)をゆるやかに加えた後、100℃で1時間反応させた。
【0050】
反応終了後、反応液を常圧下で蒸留し、トリメチルガリウム12.53gを得た(単離収率;97.5%)。
【0051】
実施例2においては、三塩化ガリウムとトリメチルアルミニウムとのモル比(三塩化ガリウム:トリメチルアルミニウム)は、1:1.55であった。
【0052】
参考例1(トリメチルガリウムを含む反応液の発熱確認)
還流冷却器、温度計、滴下漏斗及び攪拌装置を備えた内容積200mLの容器に、ジイソペンチルエーテル25.6g(162mmol)を加えた後、液温を15〜20℃に維持しながら、トリメチルアルミニウム11.6g(161mmol)をゆるやかに加え、同温度で15分間攪拌した。
【0053】
次いで、これに、液温を90〜100℃に維持しながら、120℃で加熱溶融させた三塩化ガリウム18.5g(105mmol)をゆるやかに加え、同温度で1時間攪拌した。
【0054】
反応終了後、反応液の示差走査熱量測定(DSC測定)を行ったところ、250℃付近で発熱の開始が確認され、260℃付近において顕著な発熱ピークが観察された。
【0055】
実験例1(トリメチルガリウムを含む反応液の発熱確認)
還流冷却器、温度計、滴下漏斗及び攪拌装置を備えた内容積200mLの容器に、ジイソペンチルエーテル25.6g(162mmol)を加えた後、液温を15〜20℃に維持しながら、トリメチルアルミニウム11.6g(161mmol)をゆるやかに加え、同温度で15分間攪拌した。
【0056】
次いで、これに、液温を90〜100℃に維持しながら、120℃で加熱溶融させた三塩化ガリウム18.5g(105mmol)をゆるやかに加え、同温度で1時間攪拌した。
【0057】
反応終了後、反応液にフッ化カリウム3.67g(63.2mmol)を加えた後、示差走査熱量測定(DSC測定)を行ったところ、発熱の開始及び発熱ピークは観察されなかった。
【0058】
実験例2(トリメチルガリウムを含む反応液の発熱確認)
実験例1において、フッ化カリウムに代えてトリ−n−オクチルアミン22.9g(64.8mmol)を使用したこと以外は、実験例と同様にDSC測定を行った。
【0059】
その結果、発熱の開始及び発熱ピークは観察されなかった。
【0060】
実験例3(トリメチルガリウムを含む反応液の発熱確認)
実験例1において、フッ化カリウムに代えて1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン9.64g(63.3mmol)を使用したこと以外は、実験例と同様にDSC測定を行った。
【0061】
その結果、発熱の開始及び発熱ピークは観察されなかった。
【0062】
実施例4(トリアルキルガリウムの製造及び蒸留による取得)
還流冷却器、温度計、滴下漏斗及び攪拌装置を備えた内容積200mLの容器に、ジイソペンチルエーテル25.6g(162mmol)を加えた後、液温を15〜20℃に維持しながら、トリメチルアルミニウム11.6g(161mmol)をゆるやかに加え、同温度で15分間攪拌した。
【0063】
次いで、これに、液温を90〜100℃に維持しながら、120℃で加熱溶融させた三塩化ガリウム18.5g(105mmol)をゆるやかに加え、同温度で1時間攪拌した。
【0064】
反応終了後、反応液の発熱に留意しながら、170℃以上に加熱することを控えながら、反応液を減圧下で蒸留し、トリメチルガリウム9.81gを得た(単離収率;81.2%)。
【0065】
実施例5(トリアルキルガリウムの製造及び蒸留による取得)
還流冷却器、温度計、滴下漏斗及び攪拌装置を備えた内容積200mLの容器に、ジイソペンチルエーテル25.6g(162mmol)を加えた後、液温を15〜20℃に維持しながら、トリメチルアルミニウム11.7g(162mmol)をゆるやかに加え、同温度で15分間攪拌した。
【0066】
次いで、これに、液温を90℃〜100℃に維持しながら、120℃で加熱溶融させた三塩化ガリウム18.6g(106mmol)をゆるやかに加え、同温度で1時間攪拌した。
【0067】
反応終了後、反応液にフッ化カリウム1.84g(31.7mmol)を加えた後、これを、減圧下で蒸留し、トリメチルガリウム11.38gを得た(単離収率;94.0%)。
【0068】
実施例6(トリアルキルガリウムの製造及び蒸留による取得)
還流冷却器、温度計、滴下漏斗及び攪拌装置を備えた内容積200mLの容器に、ジイソペンチルエーテル25.6g(162mmol)及びフッ化カリウム1.85g(31.8mmol)を加えた後、液温を15〜20℃に維持しながら、トリメチルアルミニウム11.7g(162mmol)をゆるやかに加え、同温度で15分間攪拌した。
【0069】
次いで、これに、液温を90℃〜100℃に維持しながら、120℃で加熱溶融させた三塩化ガリウム18.6g(106mmol)をゆるやかに加え、同温度で1時間攪拌した。
【0070】
反応終了後、反応液を減圧下で蒸留し、トリメチルガリウム11.45gを得た(単離収率;94.4%)。
【0071】
以上の結果より、蒸留によるトリメチルガリウムの取得の際に、無機塩や3級アミンを加えることで、発熱が抑止されることが分かった(実験例1〜3)。
【0072】
また、発熱が抑止されることから、蒸留により十分な量のトリメチルガリウムを取得できることが分かった(実施例5と実施例4との対比)。
【0073】
更に、無機塩や3級アミンをトリメチルガリウムの製造時点から存在させていても、トリメチルガリウムの取得量に差がないことが分かった。