特許第6413804号(P6413804)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6413804
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】シート搬送装置、及び画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/38 20060101AFI20181022BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20181022BHJP
【FI】
   B65H5/38
   B65H5/06 P
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-15891(P2015-15891)
(22)【出願日】2015年1月29日
(65)【公開番号】特開2016-141483(P2016-141483A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2017年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】秋松 孝幸
【審査官】 佐々木 一浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−225237(JP,A)
【文献】 特開平09−234922(JP,A)
【文献】 特開2013−050698(JP,A)
【文献】 特開2014−118243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/36
B65H 5/38
B65H29/52
B65H 5/02
B65H 5/06
B65H 5/22
B65H29/12−29/24
B65H29/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の搬送経路に沿ってシートを搬送する搬送部と、
前記搬送部を覆う位置に配設されて、装置の外装面の一部を構成するカバー部と
を備え、
前記カバー部は、
前記外装面の一部を構成する第一ベース部と、
前記第一ベース部との間に間隔を空けて前記第一ベース部に対向する第二ベース部と
を有し、
前記第一ベース部と前記第二ベース部との間には、前記第一ベース部、及び前記第二ベース部の双方に連続する連設部が設けられて、前記第一ベース部、前記第二ベース部、及び前記連設部が、樹脂材料によって一体成形された構造とされており、
前記第二ベース部における前記第一ベース部に対向する側とは反対側となる箇所には、当該箇所から突出するリブが形成され
前記搬送部は、シートを一枚ずつに分離して搬送方向下流側へと送り出す分離部を有し、
前記カバー部は、前記分離部を覆う位置に配設され、
前記第二ベース部は、前記分離部を挟んで、シートの搬送方向に直交するシートの幅方向の両側に形成され、
前記第一ベース部と前記第二ベース部との間の空間を四方から取り囲む箇所のうち、三方の箇所には前記連設部が設けられ、残る一方の箇所には前記連設部が設けられていない構造とされて、前記第一ベース部、前記第二ベース部、及び前記連設部は、前記連設部が設けられていない箇所に開口を有する箱状部を形成し、前記第一ベース部と前記第二ベース部との間の空間が前記箱状部の内側の空間となっており、
前記連設部が設けられた三方の箇所は、前記シートの搬送方向の両側となる箇所と、前記シートの幅方向の一方側となる箇所であって他方側となる箇所よりも前記分離部に近い位置にある箇所であり、前記開口は、前記分離部とは反対側に向けられており、
前記第二ベース部、及び前記連設部のうち、前記箱状部の内面を形成する部分には、前記箱状部の内側の空間が前記開口側に近づくほど拡大するような傾斜が付与されている
シート搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシート搬送装置であって、
前記第一ベース部は、前記外装面の一部となる外面と、当該外面の裏側にある内面とを有し、前記内面には当該内面から突出するリブが形成されている
シート搬送装置。
【請求項3】
請求項2に記載のシート搬送装置であって、
前記第一ベース部に形成されたリブと前記第二ベース部に形成されたリブは、双方が連続する形状に形成されている
シート搬送装置。
【請求項4】
請求項1から請求項までのいずれか一項に記載のシート搬送装置であって、
前記第一ベース部は、第一の板状部分を有し、
前記連設部は、前記第一の板状部分から延出する第二の板状部分を有し、
前記第二の板状部分の板厚は、前記第一の板状部分の板厚よりも薄く形成されている
シート搬送装置。
【請求項5】
請求項に記載のシート搬送装置であって、
前記第二ベース部は、第三の板状部分を有し、
前記連設部は、前記第三の板状部分から延出する第四の板状部分を有し、
前記第二の板状部分の板厚は、前記第四の板状部分の板厚よりも薄く形成されている
シート搬送装置。
【請求項6】
請求項1から請求項までのいずれか一項に記載のシート搬送装置であって、
前記リブは、前記搬送部よるシートの搬送経路となる空間を画定している
シート搬送装置。
【請求項7】
請求項1から請求項までのいずれか一項に記載のシート搬送装置であって、
前記第二ベース部は、前記第一ベース部との間隔方向へ部分的に湾曲する形状とされることにより、一部において他の一部よりも前記第一ベース部との間隔が狭まる形状とされている
シート搬送装置。
【請求項8】
請求項1から請求項までのいずれか一項に記載のシート搬送装置であって、
前記第二ベース部は、一部において他の一部よりもシートの搬送方向に直交するシートの幅方向の寸法が大きい形状とされている
シート搬送装置。
【請求項9】
所定の搬送経路に沿ってシートを搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送されるシートの画像を読み取る読取部と、
前記搬送部を覆う位置に配設されて、装置の外装面の一部を構成するカバー部と
を備え、
前記カバー部は、
前記外装面の一部を構成する第一ベース部と、
前記第一ベース部との間に間隔を空けて前記第一ベース部に対向する第二ベース部と
を有し、
前記第一ベース部と前記第二ベース部との間には、前記第一ベース部、及び前記第二ベース部の双方に連続する連設部が設けられて、前記第一ベース部、前記第二ベース部、及び前記連設部が、樹脂材料によって一体成形された構造とされており、
前記第二ベース部における前記第一ベース部に対向する側とは反対側となる箇所には、当該箇所から突出するリブが形成され
前記搬送部は、シートを一枚ずつに分離して搬送方向下流側へと送り出す分離部を有し、
前記カバー部は、前記分離部を覆う位置に配設され、
前記第二ベース部は、前記分離部を挟んで、シートの搬送方向に直交するシートの幅方向の両側に形成され、
前記第一ベース部と前記第二ベース部との間の空間を四方から取り囲む箇所のうち、三方の箇所には前記連設部が設けられ、残る一方の箇所には前記連設部が設けられていない構造とされて、前記第一ベース部、前記第二ベース部、及び前記連設部は、前記連設部が設けられていない箇所に開口を有する箱状部を形成し、前記第一ベース部と前記第二ベース部との間の空間が前記箱状部の内側の空間となっており、
前記連設部が設けられた三方の箇所は、前記シートの搬送方向の両側となる箇所と、前記シートの幅方向の一方側となる箇所であって他方側となる箇所よりも前記分離部に近い位置にある箇所であり、前記開口は、前記分離部とは反対側に向けられており、
前記第二ベース部、及び前記連設部のうち、前記箱状部の内面を形成する部分には、前記箱状部の内側の空間が前記開口側に近づくほど拡大するような傾斜が付与されている
画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート搬送装置、及び画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置が備えるADF(Automatic Document Feeder;自動原稿送り装置)においては、ローラ等の構成部品を覆うカバー部を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。下記特許文献1に記載のカバー部の場合、カバー部の外面は装置の外装面の一部を構成する。また、カバー部の内面には、当該内面から突出する複数のリブが形成されている。
【0003】
これら複数のリブのうち、一部のリブはシートの搬送方向に沿って延在する通紙リブとして機能し、それら通紙リブの下端でシートの搬送経路となる空間を画定し、シートの搬送時には、シートが通紙リブの下端に沿って搬送経路となる空間内を案内される。
【0004】
また、通紙リブとは別の一部のリブは、通紙リブに対して直交する方向に延在する補強リブとして機能し、通紙リブの曲げ剛性を高めるとともに、通紙リブと協働してカバー部全体の曲げ剛性や捻り剛性を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−236707公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述のような通紙リブ、及び補強リブを設けてもカバー部に十分な剛性感を持たせることは難しく、カバー部の質感や操作性には未だ改善の余地が残されていた。
以上のような事情から、従来品以上に剛性が高くて質感や操作性に優れたカバー部を有するシート搬送装置、及び画像読取装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に説明するシート搬送装置は、所定の搬送経路に沿ってシートを搬送する搬送部と、搬送部を覆う位置に配設されて、装置の外装面の一部を構成するカバー部とを備え、カバー部は、外装面の一部を構成する第一ベース部と、第一ベース部との間に間隔を空けて第一ベース部に対向する第二ベース部とを有し、第一ベース部と第二ベース部との間には、第一ベース部、及び第二ベース部の双方に連続する連設部が設けられて、第一ベース部、第二ベース部、及び連設部が、樹脂材料によって一体成形された構造とされており、第二ベース部における第一ベース部に対向する側とは反対側となる箇所には、当該箇所から突出するリブが形成されている。
【0008】
このように構成されたシート搬送装置によれば、カバー部は、上述のような第一ベース部、第二ベース部、及び連設部が、樹脂材料によって一体成形された構造とされている。そのため、第一ベース部を撓ませるような向きに力が作用した場合でも、第二ベース部が引き伸ばされたり押し縮められたりしない限り、第一ベース部に大きな撓みが生じることはない。
【0009】
したがって、例えば、第一ベース部に複数のリブを並列に突設して補強した場合に比べ、カバー部全体としての剛性を向上させることができる。すなわち、第一ベース部に複数のリブを並列に突設しても、第一ベース部を撓ませるような向きに力が作用した場合、リブ間の間隔が拡大又は縮小する方向へは第一ベース部が大きく撓み得る。これに対し、上述のような第二ベース部であれば、リブ間の間隔と同様に拡大又は縮小することはなく、第一ベース部は撓みにくくなるので、カバー部の剛性は向上することになる。
【0010】
しかも、上記カバー部の場合、第二ベース部に設けられたリブは、第二ベース部の剛性を向上させるので、これも第一ベース部の撓み抑制に寄与し、カバー部の剛性をより一層向上させることができる。
【0011】
また、以下に説明する画像読取装置は、所定の搬送経路に沿ってシートを搬送する搬送部と、搬送部によって搬送されるシートの画像を読み取る読取部と、搬送部を覆う位置に配設されて、装置の外装面の一部を構成するカバー部とを備え、カバー部は、外装面の一部を構成する第一ベース部と、第一ベース部との間に間隔を空けて第一ベース部に対向する第二ベース部とを有し、第一ベース部と第二ベース部との間には、第一ベース部、及び第二ベース部の双方に連続する連設部が設けられて、第一ベース部、第二ベース部、及び連設部が、樹脂材料によって一体成形された構造とされており、第二ベース部における第一ベース部に対向する側とは反対側となる箇所には、当該箇所から突出するリブが形成されている。
【0012】
このように構成された画像読取装置によれば、上述のシート搬送装置と同等な構成を備えている。したがって、上述のシート搬送装置について述べた通りの作用、効果を奏し、カバー部の剛性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は複合機の構成を示すブロック図である。
図2図2は読取ユニットの縦断面図である。
図3図3図2中に示したIII部の拡大図である。
図4図4はカバー部の斜視図である。
図5図5(A)はカバー部の左側面図である。図5(B)はカバー部の底面図である。
図6図6図5(A)中にVI−VI線で示した切断面におけるカバー部の断面図である。
図7図7(A)は図5(B)中にVIIA−VIIA線で示した切断面におけるカバー部の断面図である。図7(B)は図5(A)中にVIIB−VIIB線で示した切断面におけるカバー部の断面図である。
図8図8(A)は図7(A)に示したカバー部とは細部の形状が異なるカバー部の図7(A)相当の切断面における断面図である。図8(B)は図7(B)に示したカバー部とは細部の形状が異なるカバー部の図7(B)相当の切断面における断面図である。
図9図9(A)は図8(A)中に示したIXA部の拡大図である。図9(B)は図8(A)中に示したIXB部の拡大図である。図9(C)は図8(B)中に示したIXC部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、上述のシート搬送装置、及び画像読取装置について、例示的な実施形態を挙げて説明する。
[複合機の構成]
図1に示す複合機1は、上述のシート搬送装置、及び画像読取装置の一例に相当する構成を備えるものである。複合機1は、図1に示すように、本体ユニット2と、読取ユニット3(本明細書でいう画像読取装置の一例に相当。)とを備える。読取ユニット3は、FB部5と、ADF部6(本明細書でいうシート搬送装置の一例に相当。)とを備える。読取ユニット3の詳細については後述する。
【0015】
本体ユニット2には、図1に示すように、制御部11が設けられている。制御部11は、周知のCPU11A、ROM11B、RAM11C、NVRAM11D、及びインターフェース部11Eなどを備える。CPU11Aは、ROM11BやRAM11Cに記憶された制御プログラムに従って所定の処理を実行し、これにより、複合機1の各部に対する制御が実行される。
【0016】
制御部11による制御対象としては、画像形成部12、LAN通信部13、操作パネル14、第一イメージセンサ15、第二イメージセンサ16、モータ17、モータ18、及びシート検知センサ19などが設けられている。これらのうち、画像形成部12、LAN通信部13、及び操作パネル14は、本体ユニット2に設けられている。第一イメージセンサ15、及びモータ17は、FB部5に設けられている。第二イメージセンサ16、モータ18、及びシート検知センサ19は、ADF部6に設けられている。
【0017】
画像形成部12は、被記録媒体に対してインクジェット方式で画像を形成可能に構成されている。より詳しくは、画像形成部12は、被記録媒体を搬送するための搬送機構、インクを噴射する記録ヘッド、及び記録ヘッドを往復移動させるための駆動機構等を備える。ただし、これらは周知の構成なので、これ以上の説明、及び図示を省略する。なお、画像形成部12は、電子写真方式で被記録媒体に画像を形成可能に構成されていてもよい。
【0018】
LAN通信部13は、無線LANに対応した通信インターフェース装置、及び有線LANに対応した通信インターフェース装置によって構成されている。操作パネル14は、利用者が複合機1に対して各種指令を与える際に操作する入力装置(例えば、タッチパネル、各種ボタン類、及びスイッチ類。)と、複合機1の動作状態などを利用者に通知するための出力装置(例えば、液晶ディスプレイ装置、及び各種ランプ類。)を有する。
【0019】
第一イメージセンサ15、及び第二イメージセンサ16は、本実施形態の場合、双方とも密着イメージセンサ(CIS;Contact Image Sensor)である。モータ18は、第一イメージセンサ15を作動させるための動力源である。モータ18は、ADF部6においてシートを搬送するための動力源である。シート検知センサ19は、ADF部6において搬送されるシートの搬送方向先端や搬送方向後端が、所定の検出位置を通過したことを検出するセンサである。
【0020】
シート検知センサ19としては、本実施形態の場合、搬送中のシートが接触する状態にあるか否かに応じてオンとオフが切り替わる接触式センサが採用されている。ただし、接触式センサを利用するか否かは任意であり、シートの搬送方向先端や搬送方向後端が所定の検出位置を通過したことを非接触で検出可能なセンサを用いてもよい。例えば、搬送中のシートが光路を遮る状態にあるか否かを検出可能な光学式センサや、搬送中のシートによって光が反射されるか否かを検出可能な光学式センサなどを利用し得る。
【0021】
[読取ユニットの詳細]
読取ユニット3において、ADF部6は、図2、及び図3に示すように、所定の搬送経路(図3中に破線で示す経路参照。)に沿ってシートを搬送する搬送部20を備える。搬送部20の搬送方向上流側には、搬送部20へ供給されるシートを支持する供給部21が設けられている。搬送部20の搬送方向下流側には、搬送部20から排出されたシートを支持する排出部22が設けられている。
【0022】
搬送部20は、吸入ローラ25、分離ローラ26A、分離片26B、第一搬送ローラ27A、第一ピンチローラ27B、第二搬送ローラ28A、第二ピンチローラ28B、排出ローラ29A、及び排出ピンチローラ29Bなどを備える(これらのうち、分離ローラ26A、及び分離片26Bは、本明細書でいう分離部の一例に相当。)。
【0023】
供給部21に載置されるシートは、吸入ローラ25によって供給部21から搬送方向下流側へと送り出され、分離ローラ26A、及び分離片26Bによって1枚ずつに分離される。そして、更に第一搬送ローラ27Aや第二搬送ローラ28Aによって搬送方向下流側へと搬送されて、排出ローラ29Aによって排出部22上へと排出される。
【0024】
上記搬送経路に沿った位置で、当該搬送経路が最も下側に位置する箇所には、第一ADFプラテン31が設けられ、搬送経路を挟んで第一ADFプラテン31と対向する位置には、第一シート押さえ部33が設けられている。第一シート押さえ部33は、第一ADFプラテン31に対して上側から対向している。また、上記搬送経路に沿った位置で、第二搬送ローラ28Aから第一ADFプラテン31に向かって斜め下方へと延びる搬送経路の上方には、第二ADFプラテン32が設けられ、搬送経路を挟んで第二ADFプラテン32と対向する位置には、第二シート押さえ部34が設けられている。第二シート押さえ部34は、第二ADFプラテン32に対して斜め下側から対向している。
【0025】
これらのうち、第一ADFプラテン31は、FB部5側に配設され、第二ADFプラテン32、第一シート押さえ部33、及び第二シート押さえ部34は、ADF部6側に配設されている。第一ADFプラテン31、及び第二ADFプラテン32は、本実施形態の場合、ガラス板によって構成されている。第一シート押さえ部33、及び第二シート押さえ部34は、金属製の部材(板金部品)である。
【0026】
第一シート押さえ部33は、ばね35によって第一ADFプラテン31側に向かって付勢され、第一ADFプラテン31の上面に接触しつつ通過するシートを第一ADFプラテン31側へ押圧する。ただし、第一シート押さえ部33は、第一ADFプラテン31に対向する側、かつ本実施形態でいう前後方向両端となる箇所に凸部(図示略。)を有し、これらの凸部で第一ADFプラテン31に当接している。そのため、第一シート押さえ部33における第一ADFプラテン31に対向する面と第一ADFプラテン31との間には、上述した凸部の突出高さに相当する微小な隙間が形成されている。
【0027】
シートが第一ADFプラテン31と第一シート押さえ部33との間を搬送される際、第一シート押さえ部33は、上述の微小な隙間が維持される範囲内で、シートを第一ADFプラテン31側へ押圧する。ばね35は、シートの搬送を妨げない程度の付勢力で第一シート押さえ部33を第一ADFプラテン31側へ押圧し、これにより、シートが第一ADFプラテン31側から浮き上がるのを抑制する。
【0028】
第二シート押さえ部34は、ばね36によって第二ADFプラテン32側に向かって付勢され、第二ADFプラテン32の上面に接触しつつ通過するシートを第二ADFプラテン32側へ押圧する。ただし、第二シート押さえ部34も、第二ADFプラテン32に対向する側、かつ本実施形態でいう前後方向両端となる箇所に凸部(図示略。)を有し、これらの凸部で第二ADFプラテン32に当接している。そのため、第二シート押さえ部34における第二ADFプラテン32に対向する面と第二ADFプラテン32との間には、上述した凸部の突出高さに相当する微小な隙間が形成されている。
【0029】
シートが第二ADFプラテン32と第二シート押さえ部34との間を搬送される際、第二シート押さえ部34は、上述の微小な隙間が維持される範囲内で、シートを第二ADFプラテン32側へ押圧する。ばね36は、シートの搬送を妨げない程度の付勢力で第二シート押さえ部34を第二ADFプラテン32側へ押圧し、これにより、シートが第二ADFプラテン32側から浮き上がるのを抑制する。
【0030】
また、FB部5には、FBプラテン37が設けられ、ADF部6には、押圧部38が設けられている。FBプラテン37は、本実施形態の場合、第一ADFプラテン31、及び第二ADFプラテン32と同様に、ガラス板によって構成されている。押圧部38は、発泡樹脂層と硬質樹脂フィルム層の積層体によって構成されている。ADF部6が閉じられた際、押圧部38は、若干の弾性変形を伴ってFBプラテン37側に密接し、FBプラテン37上に載置された読み取り対象物をFBプラテン37側へ押圧する。
【0031】
第二ADFプラテン32及び第二シート押さえ部34は、FBプラテン37の上面(すなわち、読み取り対象物の支持面。)に対して傾斜した状態で配置されている。そのため、第二ADFプラテン32と第二シート押さえ部34との間を通る搬送経路は、本実施形態でいう左上から右下へ傾斜した経路となる。したがって、第二ADFプラテン32と第二シート押さえ部34との間を通る搬送経路が水平に延びる構造とされている場合に比べ、搬送経路が占める領域の水平方向長は短くなる。よって、搬送経路が占める領域付近の構造を水平方向に小型化でき、その分だけ複合機1の設置に必要な面積を小さくすることができる。
【0032】
FB部5には、ガイドレール41、キャリッジ43などが設けられている。ガイドレール41は、第一ADFプラテン31の下方からFBプラテン37の下方にわたる範囲において、第一ADFプラテン31、及びFBプラテン37の下面と平行な状態で、本実施形態でいう左右方向に延在している。
【0033】
キャリッジ43は、ガイドレール41の上側に取り付けられることにより、ガイドレール41に沿って左右方向へ往復移動可能な状態で支持されている。このキャリッジ43は、歯付きベルト(図示略。)に連結され、モータ17から伝達される動力によって歯付きベルトが循環駆動されるのに追従して左右方向へ往復移動する。
【0034】
第一イメージセンサ15は、キャリッジ43に搭載されて、キャリッジ43とともに左右方向へ往復移動する。第二イメージセンサ16は、第二ADFプラテン32を挟んで搬送経路に対向する位置から移動することはない。第一イメージセンサ15、及び第二イメージセンサ16が有する複数の読取素子は、本実施形態でいう前後方向に配列されている。
【0035】
FBプラテン37の上面に載置された読み取り対象物(例えば、シートやブック原稿など)の画像を読み取る場合、第一イメージセンサ15は、読取素子の配列方向(主走査方向)に対して直交する方向(副走査方向)へキャリッジ43とともに移動しながら画像を読み取る。また、搬送部20によって搬送されるシートの画像を読み取る場合、第一イメージセンサ15は、第一シート押さえ部33、及び第一ADFプラテン31の下方で静止し、第一ADFプラテン31の上面に接触しつつ通過するシートの画像を読み取る。第二イメージセンサ16は、第二シート押さえ部34、及び第二ADFプラテン32の下方において、第二ADFプラテン32の上面に接触しつつ通過するシートの画像を読み取る。
【0036】
[カバー部の詳細]
ADF部6は、搬送部20を覆う位置に配設されたカバー部50を備えている。カバー部50は、図4図5(A)、及び図5(B)に示すように、第一ベース部51、第二ベース部52、連設部53、第一通紙リブ56、第二通紙リブ57、補強リブ58、第一側壁部61、第二側壁部62、支軸部64、及びフック部65などを備え、これらが樹脂材料によって一体成形された構造とされている。
【0037】
ADF部6において、カバー部50は支軸部64を中心に回動可能に支持され、図2、及び図3に示した閉位置と図示しない開位置との間で変位可能に構成されている。搬送部20においてジャム(シート詰まり。)が発生した際には、カバー部50を開位置へ変位させることにより、搬送経路内に詰まったシートを除去することができる。
【0038】
第一ベース部51は、外面51A、及び内面51Bを有する平板状に形成されている。カバー部50が閉位置にある場合(図2、及び図3参照。)、第一ベース部51の板厚方向は上下方向に向けられ、その状態で上方に向けられる外面51AによってADF部6の外装面の一部が構成される。
【0039】
第二ベース部52は、第一ベース部51との間に間隔を空けて第一ベース部51に対向する位置に形成されている。第一ベース部51と第二ベース部52との間には、第一ベース部51、及び第二ベース部52の双方に連続する連設部53が設けられている。
【0040】
なお、図5(B)、及び図6において、第二ベース部52、及び連設部53が設けられた範囲には網点による着色を施してある。この着色範囲から理解できるように、第二ベース部52、及び連設部53は、本実施形態でいう前後方向に離間した二箇所に形成されている。以下の説明では、前側にある第二ベース部52のことを第二ベース部52F、後側にある第二ベース部52のことを第二ベース部52Rとも称する。
【0041】
第一通紙リブ56は、第一ベース部51に突設されたリブである。第二通紙リブ57は、第二ベース部52に突設されたリブである。補強リブ58は、第一ベース部51に突設されたリブである。より詳しくは、第一通紙リブ56、及び補強リブ58は、第一ベース部51の内面51Bに形成されている。第二通紙リブ57は、第二ベース部52における第一ベース部51に対向する側とは反対側となる箇所に形成されている。
【0042】
第一通紙リブ56、及び第二通紙リブ57は、図5(B)に示すように、双方が連続する形状に形成され、カバー部50が閉位置にある状態においては、本実施形態でいう左右方向に延在している。補強リブ58は、隣り合う位置にある第一通紙リブ56,54間に形成され、カバー部50が閉位置にある状態においては、本実施形態でいう前後方向に延在している。
【0043】
これら第一通紙リブ56、第二通紙リブ57、及び補強リブ58は、カバー部50が閉位置にある状態においては、本実施形態でいう下側に向かって突出している。カバー部50の直下では、第一通紙リブ56、及び第二通紙リブ57の下端によって、搬送部20よるシートの搬送経路となる空間が画定される。すなわち、搬送部20よってシートが搬送される際、シートは、第一通紙リブ56、及び第二通紙リブ57の下端に接触することで、それ以上上方への変位が規制されつつ、搬送経路に沿って搬送方向下流側へと案内される。
【0044】
カバー部50は、分離ローラ26Aを覆う位置に配設されている。上述の第二ベース部52F,52Rは、分離ローラ26Aを挟んで、シートの搬送方向に直交するシートの幅方向の両側(分離ローラ26Aを挟んで本実施形態でいう前後方向に離れた位置。)に形成されている。第二ベース部52Fと第二ベース部52Rとの間には、図5(B)に表れるように、第一通紙リブ56、及び補強リブ58が設けられていない範囲があり、この範囲に分離ローラ26Aが配設される。
【0045】
第一側壁部61は、カバー部50が閉位置にある場合に(図2、及び図3参照。)、本実施形態でいう左方に向けられる外面によってADF部6の外装面の一部を構成する。第二側壁部62は、カバー部50が閉位置にある状態において第一ベース部51から下向きに突出している。第二側壁部62は、カバー部50を開閉操作する際に、利用者が指先を掛けることができる形状とされている。
【0046】
フック部65は、カバー部50が閉位置にある場合に、ADF部6が有する被係合部(図示略。)に引っ掛かることにより、カバー部50が開位置側へ回動するのを抑制する。
第一ベース部51と第二ベース部52との間の空間を四方から取り囲む箇所のうち、三方の箇所には連設部53が設けられ、残る一方の箇所には連設部53が設けられていない構造とされている。より詳しくは、本実施形態でいう前側にある第二ベース部52Fの場合、図6に示す断面に表れる通り、左方、右方、及び後方の三方には連設部53が設けられ、残る一方である前方には連設部53が設けられていない構造とされている。また、本実施形態でいう後側にある第二ベース部52Rの場合、図6に示す断面に表れる通り、左方、右方、及び前方の三方には連設部53が設けられ、残る一方である後方には連設部53が設けられていない構造とされている。
【0047】
これにより、第一ベース部51、第二ベース部52、及び連設部53は、一方に開口67を有する箱状部68を形成し、第一ベース部51と第二ベース部52との間の空間が箱状部68の内側の空間となっている。より詳しくは、上述の第二ベース部52F側に形成される箱状部68(以下、箱状部68Fとも称する。)の場合、前方に開口67を有する形状となっている。また、上述の第二ベース部52R側に形成される箱状部68(以下、箱状部68Rとも称する。)の場合、後方に開口67を有する形状となっている。
【0048】
図6図7(A)、及び図7(B)に示すように、第二ベース部52、及び連設部53のうち、箱状部68の内面681,682,683,684を形成する部分には、箱状部68の内側の空間が開口67側に近づくほど拡大するような傾斜が付与されている。そのため、例えばスライドコア等の金型部品で箱状部68の内側を成形する際には、その金型部品を開口67側からスムーズに引き抜くことができる。
【0049】
図7(A)に示すように、第二ベース部52から本実施形態でいう下方へと突出する第二通紙リブ57は、カバー部50の前後方向中央寄りの位置にあるものほど、下方への突出量が大とされている。換言すれば、第二通紙リブ57は、カバー部50の中央から前端側又は後端側へ離れるほど、下方への突出量が小となる。また、第二側壁部62についても、第一ベース部51からの突出量は、図4に示すように、第二側壁部62の前端部62F、及び後端部62Rにおいて、中央部62Cよりも小さくされている。
【0050】
そのため、供給部21にシート束をセットする際、シートの搬送方向に平行な曲率中心を持つカール(いわゆる筒カール。)が生じてシートの幅方向両端が中央付近より上方へ持ち上がっていても、シートの幅方向両端が第二通紙リブ57や第二側壁部62に引っ掛かりにくくなる。また、シートの幅方向両端において第二通紙リブ57や第二側壁部62の突出量が小さくしてあれば、上述のようなカールが生じたシートに対して作用する搬送抵抗を低減でき、シートの空送が発生するのを抑制することができる。
【0051】
第一ベース部51は、図7(A)、及び図7(B)に示すように、第一ベース部51の一部に相当する第一の板状部分511を有する。連設部53は、連設部53の一部に相当する第二の板状部分532を有する。カバー部50が閉位置にある状態において、第二の板状部分532は、第一の板状部分511から本実施形態でいう下方へ延出する部分であり、連設部53の上端部分である。第二の板状部分532の板厚(カバー部50が閉位置にある状態における本実施形態でいう前後方向寸法。)は、第一の板状部分511の板厚(カバー部50が閉位置にある状態における本実施形態でいう上下方向寸法。)よりも薄く形成されている。これにより、第一の板状部分511において、外面51Aにヒケなどの成形不良が発生するのを抑制している。
【0052】
第二ベース部52は、図7(B)に示すように、第一ベース部51との間隔方向へ部分的に湾曲する形状とされている。これにより、第二ベース部52は、一部(例えば、図7(B)中に示す間隔G1の箇所。)において他の一部(例えば、図7(B)中に示す間隔G2の箇所。)よりも第一ベース部51との間隔が狭まる形状(すなわち、G1<G2となる形状。)とされている。このように第二ベース部52を立体的に湾曲した形状とすることにより、第二ベース部52が平板状とされている場合に比べ、カバー部50の曲げ剛性や捻り剛性を向上させることができる。
【0053】
また、第二ベース部52は、図5(B)に示すように、一部(例えば、図5(B)に示す幅W1,W2の箇所。)において他の一部(例えば、図5(B)に示す幅W3,W4の箇所。)よりもシートの搬送方向に直交するシートの幅方向の寸法が大きい形状とされている。そのため、第二ベース部52の幅方向寸法が一定とされている場合に比べ、箱状部68F,68Rそれぞれの形状が立体的に複雑になり、カバー部50の曲げ剛性や捻り剛性を向上させることができる。
【0054】
ところで、図7(A)、及び図7(B)に示すように、第二ベース部52は、第二ベース部52の一部に相当する第三の板状部分523を有する。連設部53は、連設部53の一部に相当する第三の板状部分523を有する。カバー部50が閉位置にある状態において、第四の板状部分534は、第三の板状部分523から本実施形態でいう上方へ延出する部分であり、連設部53の下端部分である。図7(A)、及び図7(B)に示す例では、第二の板状部分532の板厚と第四の板状部分534の板厚は同一である。
【0055】
ただし、第一の板状部分511において、外面51Aにヒケなどの成形不良が発生するのを抑制する上では、第二の板状部分532の板厚が薄い方が好ましい。そこで、第二の板状部分532の板厚を薄くするには、図8(A)、図8(B)、図9(A)、図9(B)、及び図9(C)に示すように、第二の板状部分532の板厚を、第四の板状部分534の板厚よりも薄く形成してもよい。
【0056】
図9(A)、及び図9(B)に例示する連設部53の場合、連設部53の大部分は、連設部53の下端部分である第四の板状部分534と同等の板厚(本実施形態でいう前後方向寸法。)とされている。ただし、連設部53の上端部分である第二の板状部分532には、連設部53の板厚方向(図9(A)の場合は前方、図9(B)の場合は後方。)へ凹む溝70が刻設され、この溝70の分だけ連設部53の板厚が薄くされている。
【0057】
図9(C)に例示する連設部53の場合、連設部53の大部分は、連設部53の下端部分である第四の板状部分534と同等の板厚(本実施形態でいう左右方向寸法。)とされている。ただし、連設部53の上端部分である第二の板状部分532には、連設部53の板厚方向(図9(C)の場合は右方。)へ凹む溝70が刻設され、この溝70の分だけ連設部53の板厚が薄くされている。
【0058】
このような構造にすれば、第二の板状部分532の板厚と第四の板状部分534の板厚に差異がない場合に比べ、第一ベース部51にヒケが発生するのを抑制する効果を高めることができる。
【0059】
[効果]
以上説明した複合機1において、カバー部50は、上述のような第一ベース部51、第二ベース部52、及び連設部53が、樹脂材料によって一体成形された構造とされている。そのため、第一ベース部51を撓ませるような向きに力が作用した場合でも、第二ベース部52が引き伸ばされたり押し縮められたりしない限り、第一ベース部51に大きな撓みが生じることはない。
【0060】
したがって、例えば、第一ベース部51に複数のリブを並列に突設して補強した場合に比べ、カバー部50全体としての剛性を向上させることができる。すなわち、第一ベース部51に複数のリブを並列に突設しても、第一ベース部51を撓ませるような向きに力が作用した場合、リブ間の間隔が拡大又は縮小する方向へは第一ベース部51が大きく撓み得る。これに対し、上述のような第二ベース部52が設けてあれば、連設部53,53間がリブ間の間隔と同様に拡大又は縮小することはなく、これにより第一ベース部51が撓みにくくなるので、カバー部50の剛性が向上することになる。
【0061】
また、上記カバー部50の場合、第二ベース部52に設けられた第二通紙リブ57が第二ベース部52の剛性を向上させるので、これも第一ベース部51の撓み抑制に寄与し、カバー部50の剛性をより一層向上させることができる。
【0062】
さらに、第一ベース部51の内面51Bには第一通紙リブ56、及び補強リブ58が形成されている。そのため、このような第一通紙リブ56、及び補強リブ58が設けられていない場合に比べ、第一ベース部51の撓みは抑制され、カバー部50の剛性をより一層向上させることができる。
【0063】
また、上記カバー部50の場合、分離ローラ26Aを挟む両側に第二ベース部52が形成されているので、分離ローラ26Aと第二ベース部52とが高さ方向に重ならない。よって、カバー部50をより低い位置に配設することができ、装置の薄型化を図ることができる。
【0064】
また、上記カバー部50の場合、第一通紙リブ56、及び第二通紙リブ57は、カバー部50の剛性を向上させる機能に加え、搬送部20よるシートの搬送経路となる空間を画定する役割をも果たしている。よって、搬送部20よるシートの搬送経路となる空間を画定するための部材を、カバー部50とは別に設ける場合に比べ、部品点数を削減し、その分だけ組み立て工数の削減や装置の軽量化を図ることができる。
【0065】
また、上記カバー部50の場合、第一ベース部51、第二ベース部52、及び連設部53は、一方に開口67を有する箱状部68を形成している。そのため、このような箱状部68が形成されていない場合に比べ、カバー部50の剛性を高めることができる。
【0066】
[他の実施形態]
以上、シート搬送装置、及び画像読取装置について、例示的な実施形態を挙げて説明したが、上述の実施形態は本発明の一態様として例示されるものに過ぎない。すなわち、本発明は、上述の例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内において、様々な形態で実施することができる。
【0067】
例えば、上記実施形態では、画像読取装置に相当する読取ユニット3、及びシート搬送装置に相当するADF部6が、複合機1に組み込まれる事例を示したが、単機能のイメージスキャナ装置として構成されたものにおいて、上述の構成を採用してもよい。
【0068】
[補足]
なお、以上説明した例示的な実施形態から、本明細書で説明したシート搬送装置、及び画像読取装置は、更に以下に挙げるような構成を備えていてもよいことが把握できる。
【0069】
まず、本明細書で説明したシート搬送装置、及び画像読取装置において、第一ベース部は、外装面の一部となる外面と、当該外面の裏側にある内面とを有し、内面には当該内面から突出するリブが形成されていてもよい。
【0070】
このように構成されたシート搬送装置によれば、第一ベース部の内面にもリブが形成されているので、このようなリブが設けられていない場合に比べ、第一ベース部の撓みが抑制され、カバー部の剛性をより一層向上させることができる。
【0071】
また、本明細書で説明したシート搬送装置、及び画像読取装置において、第一ベース部に形成されたリブと第二ベース部に形成されたリブは、双方が連続する形状に形成されていてもよい。
【0072】
また、本明細書で説明したシート搬送装置、及び画像読取装置において、第一ベース部と第二ベース部との間の空間を四方から取り囲む箇所のうち、三方の箇所には連設部が設けられ、残る一方の箇所には連設部が設けられていない構造とされていてもよい。
【0073】
このように構成されたシート搬送装置によれば、上述のような三方の箇所に連設部が設けられるものの、残る一方の箇所には連設部が設けられていない。そのため、第一ベース部、第二ベース部、及び連設部を樹脂材料によって一体成形する際には、上記一方の箇所を利用して、第一ベース部と第二ベース部との間から金型部品を引き抜くことにより、所期の形状に成形されたカバー部を得ることができる。
【0074】
また、本明細書で説明したシート搬送装置、及び画像読取装置において、搬送部は、シートを一枚ずつに分離して搬送方向下流側へと送り出す分離部を有し、カバー部は、分離部を覆う位置に配設され、第二ベース部は、分離部を挟んで、シートの搬送方向に直交するシートの幅方向の両側に形成されていてもよい。
【0075】
このように構成されたシート搬送装置によれば、分離部を挟む両側に第二ベース部が形成されているので、分離部と第二ベース部とが高さ方向に重ならない。よって、カバー部をより低い位置に配設することができ、装置の薄型化を図ることができる。
【0076】
また、本明細書で説明したシート搬送装置、及び画像読取装置において、第一ベース部は、第一の板状部分を有し、連設部は、第一の板状部分から延出する第二の板状部分を有し、第二の板状部分の板厚は、第一の板状部分の板厚よりも薄く形成されていてもよい。
【0077】
このように構成されたシート搬送装置によれば、第二の板状部分の板厚が第一の板状部分の板厚よりも薄くされている。そのため、第二の板状部分の板厚が第一の板状部分の板厚よりも厚くされている場合に比べ、第一ベース部にヒケが発生するのを抑制することができる。
【0078】
また、本明細書で説明したシート搬送装置、及び画像読取装置において、第二ベース部は、第三の板状部分を有し、連設部は、第三の板状部分から延出する第四の板状部分を有し、第二の板状部分の板厚は、第四の板状部分の板厚よりも薄く形成されていてもよい。
【0079】
このように構成されたシート搬送装置によれば、第二の板状部分の板厚は、第四の板状部分の板厚よりも薄く形成されている。そのため、第二の板状部分の板厚と第四の板状部分の板厚に差異がない場合に比べ、第一ベース部にヒケが発生するのを抑制することができる。
【0080】
また、本明細書で説明したシート搬送装置、及び画像読取装置において、リブは、搬送部よるシートの搬送経路となる空間を画定していてもよい。
このように構成されたシート搬送装置によれば、リブは、カバー部の剛性を向上させる機能に加え、搬送部よるシートの搬送経路となる空間を画定する役割をも果たしている。よって、搬送部よるシートの搬送経路となる空間を画定するための部材を、カバー部とは別に設ける場合に比べ、部品点数を削減し、その分だけ組み立て工数の削減や装置の軽量化を図ることができる。
【0081】
また、本明細書で説明したシート搬送装置、及び画像読取装置において、第二ベース部は、第一ベース部との間隔方向へ部分的に湾曲する形状とされることにより、一部において他の一部よりも第一ベース部との間隔が狭まる形状とされていてもよい。
【0082】
このように構成されたシート搬送装置によれば、第二ベース部が、第一ベース部との間隔方向へ部分的に湾曲する形状とされて、一部において他の一部よりも第一ベース部との間隔が狭まる形状とされている。そのため、第二ベース部が平板状とされている場合に比べ、カバー部の剛性を向上させることができる。
【0083】
また、本明細書で説明したシート搬送装置、及び画像読取装置において、第二ベース部は、一部において他の一部よりもシートの搬送方向に直交するシートの幅方向の寸法が大きい形状とされていてもよい。
【0084】
また、本明細書で説明したシート搬送装置、及び画像読取装置において、第一ベース部、第二ベース部、及び連設部は、一方に開口を有する箱状部を形成していて、第一ベース部と第二ベース部との間の空間が箱状部の内側の空間となっていてもよい。
【0085】
このように構成されたシート搬送装置によれば、第一ベース部、第二ベース部、及び連設部は、一方に開口を有する箱状部を形成している。そのため、このような箱状部が形成されていない場合に比べ、カバー部の剛性を高めることができる。
【0086】
また、本明細書で説明したシート搬送装置、及び画像読取装置において、第二ベース部、及び連設部のうち、箱状部の内面を形成する部分には、箱状部の内側の空間が開口側に近づくほど拡大するような傾斜が付与されていてもよい。
【0087】
このように構成されたシート搬送装置によれば、箱状部の内面を形成する部分に上述のような傾斜が付与されている。そのため、箱状部を樹脂材料によって一体成形する際には、箱状部の内側から金型部品を容易に引き抜くことができ、これにより、箱状に成形された部分を有するカバー部を得ることができる。
【符号の説明】
【0088】
1…複合機、2…本体ユニット、3…読取ユニット、5…FB部、6…ADF部、11…制御部、11A…CPU、11B…ROM、11C…RAM、11D…NVRAM、11E…インターフェース部、12…画像形成部、13…LAN通信部、14…操作パネル、15…第一イメージセンサ、16…第二イメージセンサ、17…モータ、18…モータ、19…シート検知センサ、20…搬送部、21…供給部、22…排出部、25…吸入ローラ、26A…分離ローラ、26B…分離片、27A…第一搬送ローラ、27B…第一ピンチローラ、28A…第二搬送ローラ、28B…第二ピンチローラ、29A…排出ローラ、29B…排出ピンチローラ、31…第一ADFプラテン、32…第二ADFプラテン、33…第一シート押さえ部、34…第二シート押さえ部、35…ばね、36…ばね、37…FBプラテン、38…押圧部、41…ガイドレール、43…キャリッジ、50…カバー部、51…第一ベース部、52…第二ベース部、53…連設部、56…第一通紙リブ、57…第二通紙リブ、58…補強リブ、61…第一側壁部、62…第二側壁部、64…支軸部、65…フック部、67…開口、68…箱状部、681,682,683,684…内面、70…溝。
図1
図2
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図5
図6
図7
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図9