(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記押しボタン部が押込み操作された場合、前記第1光源から前記第2光源へ点灯を切り替えることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載の押しボタンスイッチ。
前記導光体は、前記第1光源からの光を前記第1発光領域へ向けて反射する複数の第1反射構造体と、前記第2光源からの光を前記第2発光領域へ向けて反射する複数の第2反射構造体とを含むことを特徴とする請求項1から5までのいずれか一項に記載の押しボタンスイッチ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の押しボタンスイッチでは、押しボタン部の操作に応じて押しボタン部の全面を照光することはできるが、押しボタン部の任意の領域を選択的に照光することができないという課題がある。
【0006】
また、近年、エレベータの押しボタンスイッチは、壁面に埋め込む方式と、壁面に取り付けられる壁面パネルに取り付けられる壁掛け方式とがあり、壁掛け方式においては、操作パネルの張り出し量を小さくする上で、押しボタンスイッチをできるだけ薄型化することが望まれる。しかしながら、従来の押しボタンスイッチでは、薄型化が困難であり、壁掛け方式の操作パネルへの取り付けに適さないという課題がある。
【0007】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、任意の領域を選択的に照光可能な薄型の押しボタンスイッチを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係る押しボタンスイッチは、押しボタン部の押込み操作に応じて該押しボタン部を照光する押しボタンスイッチであって、導光した光を光出射面から前記押しボタン部へ向けて出射する導光体と、前記光出射面に対して側方から前記導光体へ光を入射させる、第1光源および該第1光源とは光軸方向が異なる第2光源と、前記導光体を支持し、前記押しボタン部の押込み操作に伴って押込み方向へ移動するプランジャと、前記プランジャに摺接する一対のリンク部材が連結部材によって回動可能に連結され、前記プランジャの移動に伴って各リンク部材が互いに連動して揺動するリンク機構部と、前記一対のリンク部材の間に架設され、該一対のリンク部材の揺動に連動して押込み方向へ移動し内蔵スイッチを操作する可動バネ部とを備え、前記導光体は、前記第1光源からの光を前記光出射面に設定された第1発光領域から出射し、かつ前記第2光源からの光を前記光出射面に設定された第2発光領域から出射することを特徴としている。
【0009】
上記の構成では、光出射面に対して側方(エッジ)から導光体へ光を入射させるように第1光源および第2光源が配置される。そのため、押しボタンスイッチの厚み方向(すなわち、押しボタン部の押込み方向)において、第1光源および第2光源を配置するためのスペースが不要となる。
【0010】
また、上記の構成では、内蔵スイッチを操作する可動バネ部が架設された一対のリンク部材が、プランジャの移動に伴って互いに連動して揺動する。そのため、押しボタン部の押込み操作に伴って押込み方向へ移動するプランジャを一対のリンク部材によって平行に保つことができる。このように、内蔵スイッチを操作する可動バネ部が架設された一対のリンク部材を有するリンク機構部によってプランジャを平行移動させることにより、プランジャの平行移動機構および内蔵スイッチの操作機構を薄型化することができる。
【0011】
さらに、上記の構成では、導光体は、第1光源からの光を第1発光領域から出射し、かつ第2光源からの光を第2発光領域から出射する。そのため、第1光源および第2光源の点灯を制御することにより、導光体の光出射面の異なる領域を発光させることができる。これにより、第1発光領域および第2発光領域に応じた押しボタン部の任意の領域を選択的に照光することができる。
【0012】
したがって、上記の構成によれば、任意の領域を選択的に照光可能な薄型の押しボタンスイッチを実現することができる。
【0013】
また、本発明に係る押しボタンスイッチでは、前記内蔵スイッチを実装する基板をさらに備え、前記内蔵スイッチは、前記基板に設けられた切欠部に配置されていてもよい。
【0014】
上記の構成では、基板に設けられた切欠部に内蔵スイッチが配置されているため、基板の表面から突出する内蔵スイッチの高さ(厚み)を基板の厚み分だけ低減することができる。
【0015】
したがって、上記の構成によれば、押しボタンスイッチの薄型化を図ることができる。
【0016】
また、本発明に係る押しボタンスイッチでは、前記第1発光領域は、前記光出射面の中央に設定されており、前記第2発光領域は、前記光出射面の全面に設定されていてもよい。
【0017】
上記の構成では、第1光源を点灯させた場合に導光体の光出射面の中央を発光させ、第2光源を点灯させた場合に導光体の光出射面の全面を発光させることができる。
【0018】
したがって、上記の構成によれば、押しボタン部の押込み操作に応じて、押しボタン部の中央または全面を照光することができる。
【0019】
また、本発明に係る押しボタンスイッチでは、前記押しボタン部が押込み操作された場合、前記第1光源から前記第2光源へ点灯を切り替えてもよい。
【0020】
上記の構成では、押しボタン部が押込み操作された場合、導光体の光出射面の発光領域を第1発光領域から第2発光領域へ切り替えることができる。
【0021】
したがって、上記の構成によれば、押しボタン部の押込み操作に応じて、第1光源から第2光源へ点灯を切り替えることにより、押しボタン部の任意の領域を選択的に照光することができる。
【0022】
また、本発明に係る押しボタンスイッチでは、前記内蔵スイッチは、マイクロスイッチであってもよい。
【0023】
マイクロスイッチは、小型であり、かつ可動バネ部の僅かな動きで操作することが可能である。また、マイクロスイッチは、スナップアクション機構によってオン・オフするため、押しボタン部を押込んだ際に好適なクリック感を得ることができる。
【0024】
したがって、上記の構成によれば、好適なクリック感を実現しつつ、押しボタンスイッチの薄型化を図ることができる。
【0025】
また、本発明に係る押しボタンスイッチでは、前記可動バネ部は、該可動バネ部の両端部に設けられた係合爪部を、前記一対のリンク部材にそれぞれ係合させて、該一対のリンク部材の間に架設されていてもよい。
【0026】
上記の構成では、一対のリンク部材の間に架設された可動バネ部によって、該一対のリンク部材を互いに引き寄せ付勢することが可能となる。
【0027】
したがって、上記の構成によれば、一対のリンク部材を互いに引き寄せ付勢する部材を追加する必要がないため、押しボタンスイッチの薄型化を図ることができる。
【0028】
また、本発明に係る押しボタンスイッチでは、前記可動バネ部は、前記一対のリンク部材を互いに引き寄せ付勢するコイルバネを含み、該コイルバネを介して、該一対のリンク部材の間に架設されていてもよい。
【0029】
上記の構成では、可動バネ部に取り付けられたコイルバネによって、該一対のリンク部材を互いに引き寄せ付勢することが可能となる。
【0030】
したがって、上記の構成によれば、内蔵スイッチを操作する可動バネ部と、一対のリンク部材を互いに引き寄せ付勢するコイルバネとが一体化されているため、押しボタンスイッチの薄型化を図ることができる。
【0031】
また、本発明に係る押しボタンスイッチでは、前記導光体は、前記第1光源からの光を前記第1発光領域へ向けて反射する複数の第1反射構造体と、前記第2光源からの光を前記第2発光領域へ向けて反射する複数の第2反射構造体とを含んでいてもよい。
【0032】
上記の構成では、第1光源からの光を複数の第1反射構造体が反射することにより第1発光領域が発光し、第2光源からの光を複数の第2反射構造体が反射することにより第2発光領域が発光する。
【0033】
したがって、上記の構成によれば、第1反射構造体および第2反射構造体により、第1光源からの光を光出射面に設定された第1発光領域から出射し、かつ第2光源からの光を光出射面に設定された第2発光領域から出射する導光体を好適に実現することができる。
【0034】
また、第1反射構造体および第2反射構造体の配置を変更することにより、第1発光領域および第2発光領域の位置や形状を容易に変更することができる。
【0035】
また、本発明に係る押しボタンスイッチでは、前記第1反射構造体および第2反射構造体は、前記光出射面の鉛直方向から見たときの形状が、紡錘形状であってもよい。
【0036】
上記の構成では、紡錘形状の第1反射パターンの端部(尖端部)において第2光源からの光が反射することを抑制することが可能となる。また、紡錘形状の第2反射パターンの端部(尖端部)において第1光源からの光が反射することを抑制することが可能となる。
【0037】
したがって、上記の構成によれば、第1発光領域と第2発光領域との光分けを好適に行うことができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、任意の領域を選択的に照光可能な薄型の押しボタンスイッチを提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の一実施の形態について、
図1〜
図10を参照して説明すれば以下の通りである。本実施の形態では、本発明を、エレベータの操作パネルに取り付けられる照光式の押しボタンスイッチに適用した場合を例にして説明する。
【0041】
ただし、本発明に係る押しボタンスイッチは、エレベータに限定されず、その他の機器の操作パネルや他の様々な用途に使用することができる。
【0042】
〔押しボタンスイッチ100の構成〕
図1の(a)は、本実施の形態に係る押しボタンスイッチ100の外観を示す平面斜視図であり、
図1の(b)は、
図1の(a)に示される押しボタンスイッチ100の外観を示す背面斜視図である。
【0043】
図1の(a)および(b)に示す押しボタンスイッチ100は、押しボタン部12の操作前後において、押しボタン部12の照光状態を切り替える可変照光式の押しボタンスイッチである。本実施の形態では、押しボタンスイッチ100は、押しボタン部12が操作される前の状態では押しボタン部12の一部が照光し、操作者が指で押しボタン部12の操作面121を押込み操作することより、押しボタン部12が下方へと移動してオン状態となることにより押しボタン部12の全面が照光するように照光状態を切り替える。
【0044】
図2は、
図1の(a)および(b)に示される押しボタンスイッチ100を示す分解図である。
図2に示すように、押しボタンスイッチ100は、ベース1、プリント基板2、リンク機構部3、可動バネ部4、接続ケーブル5、プランジャ6、帯状プリント基板7、反射シート8、導光板(導光体)9、拡散シート10、文字シート11、および押しボタン部12を備えている。
【0045】
(ベース1)
ベース1は、押しボタンスイッチ100の底部および側部を構成する矩形の筐体部材である。ベース1の底面には、プリント基板2を固定するための4本のカシメ突起13が突設されている。また、ベース1には、対向する2つの内向面にリンク部材31・32を支持する一対の支持部14・15がそれぞれ突設されている。また、支持部14・15が突設された内向面とは異なるベース1の対向する2つの内向面の両側には、プランジャ6を係合させる係合受部16がそれぞれ設けられている。さらに、係合受部16が設けられた一方の内向面には、コネクタ受部22を取り付けための取付孔17が突設されている。
【0046】
(プリント基板2)
プリント基板2は、マイクロスイッチ(内蔵スイッチ)21を実装する基板である。プリント基板2には、ベース1の取付孔17に取り付けられるコネクタ受部22、および内部配線用接続部23が設けられている。
【0047】
プリント基板2には、プリント基板2を貫通する切欠部24が設けられており、この切欠部24の内側にマイクロスイッチ21が配置される。このように、マイクロスイッチ21を切欠部24の内部に配置することにより、プリント基板2の表面から突出するマイクロスイッチ21の高さ(厚み)を低減することができるため、押しボタンスイッチ100の薄型化を図ることができる。
【0048】
マイクロスイッチ21は、小型であり、かつ僅かな動きで操作することが可能である。また、マイクロスイッチ21は、スナップアクション機構によってオン・オフするため、押しボタン部12を押込んだ際に好適なクリック感を得ることができる。したがって、内蔵スイッチとして、マイクロスイッチ21を用いることが好ましい。ただし、マイクロスイッチ21に代えて、タクタイルスイッチまたはリーフスイッチなどを内蔵スイッチとして用いてもよい。
【0049】
プリント基板2は、マイクロスイッチ21がベース1の略中央に位置するように、ベース1の底面に取り付けられる。
【0050】
(リンク機構部3)
リンク機構部3は、押しボタン部12の押込み方向へプランジャ6を平行移動させるための機構である。リンク機構部3は、金属線材を略コの字型に屈曲してなる一対のリンク部材31・32と、各リンク部材31・32を回動可能に連結する一対の連結部材33とを備える。各リンク部材31・32は、両端部が内向きに屈折しており、屈折した両端部が連結部材33に差し込まれた状態で連結されている。
【0051】
各リンク部材31・32は、後述するコイルバネ41・42によって互いに引き寄せ付勢される。
【0052】
(可動バネ部4)
可動バネ部4は、一対のリンク部材31・32の揺動に連動して押込み方向へ移動して、マイクロスイッチ21を操作する板バネ部材(操作片)である。可動バネ部4は、導電性板材から打ち抜いてプレス加工され、その中央にマイクロスイッチ21と接触する接触片43が形成されている。
【0053】
また、可動バネ部4には、コイルバネ41・42が取り付けられており、コイルバネ41・42を介して、一対のリンク部材31・32の間に架設されている。これにより、各リンク部材31・32がコイルバネ41・42によって互いに引き寄せ付勢される。
【0054】
(接続ケーブル5)
接続ケーブル5は、略J字形状に屈曲したケーブルである。接続ケーブル5は、一端51がプリント基板2の内部配線用接続部23に接続されるとともに、他端52が後述する帯状プリント基板7の内部配線用接続部73に接続される。これにより、プリント基板2と帯状プリント基板7とが、接続ケーブル5によって電気的に接続される。
【0055】
(プランジャ6)
プランジャ6は、ベース1の内向面に勘合可能な板状の部材である。プランジャ6は、押しボタン部12の押込み操作に伴って押込み方向へ移動可能にベース1に取り付けられる。プランジャ6には、可動バネ部4がマイクロスイッチ21を操作する際に接触片43が収容可能な矩形の開口部61がその中央に設けられている。
【0056】
また、プランジャ6には、対向する2つの内向面に、押しボタン部12を係止する係止突起62が突設されている。さらに、プランジャ6には、対向する2つの外向面に、ベース1の係合受部16に係合する係合爪部63が突設されている。
【0057】
(帯状プリント基板7)
帯状プリント基板7は、第1光源71および第2光源72を実装する略コの字型の基板である。帯状プリント基板7は、互いに対向して略平行に延在する2つの部分に第1光源71が互いに対向するようにそれぞれ1つ実装されている。また、第1光源71が配置された各向部を連結し、各対向部に対して約90度の角度をなして延在する部分に沿って複数の第2光源72が等間隔で実装されている。
【0058】
第1光源71および第2光源72は、導光板9の側方から光を入射させる発光素子である。第1光源71と第2光源72とは、それぞれの光軸が略直交する向きで帯状プリント基板7に実装されている。第1光源71には、第1光源71からの光を導光板9へ反射する第1反射板74が個別に設けられている。また、第2光源72には、各第2光源72からの光を導光板9へ反射する第2反射板75が第2光源72の配列方向に沿って設けられている。
【0059】
第1光源71および第2光源72の種類は特に限定されるものではないが、例えばLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)などを好適に用いることができる。
【0060】
また、第1光源71および第2光源72が実装された実装面とは反対側の帯状プリント基板7の裏面には、内部配線用接続部73が設けられており、この内部配線用接続部73には、接続ケーブル5の他端52に接続される。
【0061】
(反射シート8)
反射シート8は、導光板9の裏面91から漏れ出した光を、導光板9へ向けて反射させる反射部材である。反射シート8は、導光板9の裏面91に対して略平行に設けられている。導光板9の裏面91側に反射シート8を設けることによって、導光板9の裏面91から漏れ出した光を、導光板9へ向かわせて光出射面92から出射することができる。したがって、押しボタンスイッチ100の光の利用効率を向上させることができる。
【0062】
(導光板9)
導光板9は、光出射面92に対して側方から入射した第1光源71および第2光源72からの光を導光して、光出射面92から出射する導光部材である。導光板9は、光を全反射する材料(例えばポリカーボネート、アクリル樹脂など)が板状に成形された透明性を有する材料から構成されている。なお、導光板9の詳細については後述する。
【0063】
(拡散シート10)
拡散シート10は、導光板9の光出射面92から出射された光を拡散する拡散部材である。拡散シート10は、導光板9と文字シート11との間に、光出射面92に対して略平行に設けられている。
【0064】
拡散シート10は、導光板9の光出射面92から出射された光を透過させ、文字シート11へ拡散光として出射する。このように、導光板9の光出射面92から出射された光を、拡散シート10を介して文字シート11へ照射することにより、文字シート11を透過する光の均一性を向上させることができる。
【0065】
この拡散シート10は、ポリカーボネート、ガラスまたはアクリルなどの光透過性を有する材料から構成される。例えば、拡散シート10は、導光板9の光出射面92から出射された光を入射させる光入射面、および文字シート11へ向けて光を出射させる光出射面の少なくとも一方に微小な凹凸を形成する、または、内部に光散乱粒子を分散させることで実現することができる。
【0066】
なお、複数の拡散シート10を重ね合わせて配置してもよい。複数の拡散シート10を重ね合わせて配置することにより、文字シート11を照光する光の均一性をさらに向上させることができる。また、導光板9の光出射面92から出射された光を拡散する拡散部材はシート状のものに限られず、例えば板状の拡散板であってもよい。
【0067】
ただし、拡散部材は必要に応じて導光板9と文字シート11との間に配置すればよく、拡散部材を省略することも可能である。
【0068】
(文字シート11)
文字シート11は、透明シートからなり、その中央には、上下方向または扉の開閉を示す図柄、または階番号を示す数字部分を光が透過可能なように遮光性の材料が印刷されている。
【0069】
(押しボタン部12)
押しボタン部12は、透光性を有する板状部材である。押しボタン部12の表面は、操作者によって操作される操作面121として機能する。押しボタン部12の下端部にはフランジ122が形成されている。フランジ122には、プランジャ6の係止突起62を係止可能な切欠部123が設けられている。
【0070】
図3は、押しボタンスイッチ100が備える照光部100aおよび機構部100bを示す斜視図である。なお、
図3では、拡散シート10、文字シート11、および押しボタン部12を省略している。
【0071】
図3に示すように、押しボタンスイッチ100は、プランジャ6、帯状プリント基板7、反射シート8および導光板9を備える照光部100aと、ベース1、プリント基板2、リンク機構部3、可動バネ部4および接続ケーブル5を備える機構部100bとを含んでいる。
【0072】
照光部100aは、文字シート11および押しボタン部12を照光させる機能を有するものである。具体的には、照光部100aは、図示しない外部回路の制御により、押しボタン部12の押込み操作に応じて押しボタン部12の照光状態を切り替える。
【0073】
機構部100bは、プランジャ6を平行移動させる機能、およびマイクロスイッチ21を操作する機能を有するのである。具体的には、機構部100bは、押しボタン部12の操作面121の端部が押込み操作された場合であっても、押しボタン部12が傾かずに平行な状態を保つように、リンク機構部3によってプランジャ6を平行移動させる。また、機構部100bは、一対のリンク部材31・32の揺動に連動した可動バネ部4の移動に伴ってマイクロスイッチ21を操作する。
【0074】
〔照光部100aの詳細〕
図4の(a)および(b)は、照光部100aが備える導光板9の発光状態を示す平面図であり、
図4の(a)は、第1光源71を点灯させた場合の発光状態を示し、
図4の(b)は、第2光源72を点灯させた場合の発光状態を示している。
【0075】
図4の(a)に示すように、第1光源71は、導光板9の互いに対向する2つの側面93・94の中央に各1つ配置されており、第1光源71から出射された光L1は、側面93・94から導光板9へ入射する。
【0076】
また、
図4の(b)に示すように、第2光源72は、第1光源71が配置される2つの側面93・94と直交する導光板9の側面95に沿って配置されており、各第2光源72から出射された光L2は、側面95から導光板9へ入射する。
【0077】
第1光源71が配置される導光板9の2つの側面93・94と、第2光源72が配置される導光板9の側面95とは、約90度の角度をなして互いに隣り合っている。第1光源71は、側面93・94に対して光軸が直交する向きで配置されており、第2光源72は、側面95に対して光軸が直交する向きで配置されている。そのため、第1光源71から出射される光L1と第2光源72から出射される光L2とは、導光板9に対して略直行する方向からそれぞれ入射する。
【0078】
なお、配置される第1光源71および第2光源72の数および位置は特に限定されない。例えば、導光板9の側面93・94に対して複数の第1光源71が配置されていてもよい。また、側面95と対向する導光板9の側面96に沿って複数の第2光源72がさらに配置されていてもよい。
【0079】
第1光源71のみを点灯させた場合、導光板9の対向する2つの側面93・94から入射した光L1は、導光板9の裏面91および光出射面92で全反射しながら導光板9内を伝播して、導光板9の光出射面92の中央に設定された矩形の第1発光領域Aから出射する。
【0080】
また、第2光源72のみを点灯させた場合、導光板9の側面95から入射した光L2は、導光板9の裏面91および光出射面92で全反射しながら導光板9内を伝播して、導光板9の光出射面92の全面に設定された第2発光領域Bから出射する。
【0081】
したがって、第1光源71および第2光源72の点灯を切り替えることによって、光出射面92に設定された第1発光領域Aと第2発光領域Bとを選択的に発光させることができる。
【0082】
図5は、
図4の(a)および(b)に示される破線枠Sの内部における第1反射パターン97および第2反射パターン98の配置例を示す上面図である。
図5に示すように、光出射面92に設定された第1発光領域Aに対向する導光板9の裏面91には、第1光源71からの光L1を第1発光領域Aへ向けて反射する第1反射パターン(第1反射構造体)97が複数配置されている。
【0083】
この第1反射パターン97は、導光板9の光出射面92の鉛直方向から見たときの形状が紡錘形状であり、第1光源71からの光L1を第1発光領域Aへ向けて反射する、裏面91に対して傾斜した反射面99aを有している。
【0084】
また、光出射面92に設定された第2発光領域Bに対向する導光板9の裏面91には、第2光源72からの光L2を第2発光領域Bへ向けて反射させる第2反射パターン(第2反射構造体)98が複数配置されている。
【0085】
この第2反射パターン98は、導光板9の光出射面92の鉛直方向から見たときの形状が紡錘形状であり、第2光源72からの光L2を第2発光領域Bへ向けて反射する、裏面91に対して傾斜した反射面99aを有している。
【0086】
このように第1発光領域Aと第2発光領域Bとが重なる領域に対向する導光板9の裏面91には、第1反射パターン97および第2反射パターン98の双方が配置されている。第1反射パターン97および第2反射パターン98は、例えば導光板9の裏面91を切り欠いくことによって形成可能である。
【0087】
図6の(a)は、第1反射パターン97の斜視図であり、
図6の(b)は、第1反射パターン97の平面図であり、
図6の(c)は、第1反射パターン97の側面図である。なお、第1反射パターン97と第2反射パターン98とは同一形状である。そのため、以下では第1反射パターン97についてのみ説明する。
【0088】
図6の(a)〜(c)に示すように、第1反射パターン97は、導光板9の光出射面92の鉛直方向から見たとき、反射面99aの両端に位置する尖端部99bを結ぶ線分の中心に対して、該線分の中心と第1光源71と結ぶ直線D1が略直交するように配置されている。また、第1反射パターン97は、直線D1と、尖端部99bにおける反射面99aの法線方向D2とのなす角度αが−38.327x
2+152.3x−94.014(xは導光板9の屈折率)以下であることが好ましい。
【0089】
前述のような形状の反射パターンを第1反射パターン97として導光板9に配置することにより、一般的な三画プリズム型の反射パターンを配置した場合に比べて、第1反射パターン97の尖端部99bにおいて第2光源72からの光L2が反射することを抑制することが可能となる。同様に、前述のような形状の反射パターンを第2反射パターン98として導光板9に配置することにより、第2反射パターン98の尖端部99bにおいて第1光源71からの光L1が反射することを抑制することが可能となる。そのため、第1発光領域Aと第2発光領域Bとの光分けを好適に行うことができる。
【0090】
〔機構部100bの詳細〕
図7は、押しボタンスイッチ100の機構部100bを示す斜視図である。
図7に示すように、ベース1には、プリント基板2、リンク機構部3、可動バネ部4および接続ケーブル5が向き付けられている。
【0091】
マイクロスイッチ21が実装されたプリント基板2は、ベース1の底面に取り付けられる。このマイクロスイッチ21は、プリント基板2の裏面から切欠部24の内部に挿入されプリント基板2の裏面において半田付けされている。
【0092】
リンク部材31は、ベース1の内向面に突設された支持部14を支点(揺動軸)として揺動可能なように、対向する2辺が支持部14によってそれぞれ支持されている。また、リンク部材32は、ベース1の内向面に突設された支持部15を支点(揺動軸)として揺動可能なように、対向する2辺が支持部15によってそれぞれ支持されている。
【0093】
可動バネ部4は、支持部14・15によって揺動可能に支持された一対のリンク部材31・32の間に架設される。可動バネ部4には、コイルバネ41を収容可能な切欠部44、およびコイルバネ42を収容可能な切欠部45が形成されており、一対のリンク部材31・32を互いに引き寄せ付勢するコイルバネ41・42が切欠部44・45に収容された状態で取り付けられている。
【0094】
具体的には、コイルバネ41の一端がリンク部材31に係止され、他端は可動バネ部4に係止されることにより、コイルバネ41が切欠部44に取り付けられている。また、コイルバネ42の一端がリンク部材32に係止され、他端が可動バネ部4に係止されることにより、コイルバネ42が切欠部45に取り付けられている。これにより、マイクロスイッチ21を操作する可動バネ部4と、一対のリンク部材31・32を互いに引き寄せ付勢するコイルバネ41・42とが一体化することができるため、押しボタンスイッチ100の薄型化を図ることができる。
【0095】
ただし、コイルバネ41・42を省略することも可能である。この場合、可動バネ部4の両端部に係合爪部を設け、一対のリンク部材31・32に可動バネ部4を直接架設することができる。これにより、可動バネ部4によって、一対のリンク部材31・32を互いに引き寄せ付勢することが可能となる。
【0096】
接続ケーブル5は、一端51がプリント基板2の内部配線用接続部23に接続されている。また、接続ケーブル5は、機構部100bに照光部100aを組み込んだ際、他端52が帯状プリント基板7の内部配線用接続部73に接触するように位置決めされている。接続されている。
【0097】
〔押しボタンスイッチ100の動作〕
図8の(a)は、押しボタンスイッチ100の平面図であり、
図8の(b)は、
図8の(a)に示される押しボタンスイッチ100のA−A断面図である。なお、
図8の(b)は、押しボタン部12が押込み操作される前の状態、すなわち、押しボタンスイッチ100が待機状態にあるときの構成を示している。
【0098】
図8の(a)および(b)に示すように、押しボタンスイッチ100は、押しボタン部12が押込み操作される前の状態では、マイクロスイッチ21のボタン部21aは操作されておらず、マイクロスイッチ21はオフ状態である。このとき、押しボタンスイッチ100では、図示しない外部回路によって第1光源71のみを点灯させる。このため、第1光源71からの光L1が、光出射面92の中央に設定された矩形の第1発光領域Aから出射されるため、光出射面92の中央のみが発光している。
【0099】
図9の(a)および(b)は、押しボタンスイッチ100の動作原理を説明するための概念図であり、
図9の(a)は、押しボタン部12が押込み操作される前の状態を示し、
図9の(b)は、押しボタン部12が押込み操作された後の状態を示している。
【0100】
図9の(a)に示すように、押しボタン部12が押込み操作される前の状態では、コイルバネ41・42の引張力によってリンク機構部3の一対のリンク部材31・32は、谷折り状態にある。そのため、一対のリンク部材31・32の間に架設された可動バネ部4は、マイクロスイッチ21のボタン部21aに接触片43を対向させた状態を維持する。
【0101】
そして、操作者によって押しボタン部12が押込み操作に伴い、プランジャ6が押込み方向へ移動する。このプランジャ6の押込み方向への移動に伴って、プランジャ6に摺接する一対のリンク部材31・32は矢印D3へ押し込まれ、押込み方向とは反対方向へ連結部材33が移動するように、一対のリンク部材31・32が互いに連動して支持部14・15を支点として揺動する。これにより、一対のリンク部材31・32によってプランジャ6を平行移動させる。このとき、一対のリンク部材31・32の間に架設された可動バネ部4がマイクロスイッチ21の方向へ移動し、可動バネ部4の接触片43がマイクロスイッチ21のボタン部21aに押込むことにより、マイクロスイッチ21はオン状態となる。
【0102】
押しボタンスイッチ100では、マイクロスイッチ21がオン状態になったとき、図示しない外部回路によって第1光源71から第2光源72へ点灯を切り替えられる。これにより、第2光源72からの光L2が光出射面92の全面に設定された第2発光領域Bから出射されるため、光出射面92の全面が発光する。
【0103】
操作者が押しボタン部12の押込みを解除すると、コイルバネ41・42の引張力によってリンク機構部3の一対のリンク部材31・32が引張され、元の谷折り状態に戻る。これにより、プランジャ6が押し戻されて、押しボタン部12は押込み操作前の位置に戻る。
【0104】
〔押しボタンスイッチ100の発光状態〕
図10の(a)および(b)は、押しボタンスイッチ100の照光状態を示す平面図であり、
図10の(a)は、第1光源71を点灯させた場合の照光状態を示し、
図9の(b)は、第2光源72を点灯させた場合の照光状態を示している。
【0105】
前述のとおり、押しボタンスイッチ100は、待機状態では第1光源71を点灯させ、光出射面92の中央に設定された第1発光領域Aを発光させる。これにより、光出射面92の中央から出射された光L1は、拡散シート10および文字シート11に印刷された文字部分を通過して押しボタン部12に照射される。
【0106】
したがって、
図10の(a)に示すように、押しボタン部12の中央に位置する階数文字「8」を部分的に照光することができる。
【0107】
また、押しボタンスイッチ100は、押しボタン部12が押込み操作されると第1光源71から第2光源72へ点灯が切り替わり、光出射面92の全面に設定された第2発光領域Bを発光させる。これにより、光出射面92の全面から出射された光L2は、拡散シート10および文字シート11に印刷された文字部分および縁部分を通過して押しボタン部12に照射される。
【0108】
これにより、
図10の(b)に示すように、押しボタン部12の中央に位置する階数文字「8」およびその周囲を照光することができる。
【0109】
このように、押しボタン部12の操作に応じて第1光源71および第2光源72の点灯を切り替えることにより、押しボタン部12の操作前後のいずれの場合であっても視認性に優れるため、操作者による誤操作を生じ難くすることができる。
【0110】
なお、本実施の形態では、押しボタン部12が押込み操作された場合、第1光源71から第2光源72へ点灯を切り替える構成であるが、本発明はこれに限定されない。例えば、押しボタン部12が押込み操作された場合、第1光源71に加えて第2光源72をさらに点灯させる構成であってもよい。
【0111】
また、本実施の形態では、第1発光領域Aを光出射面92の中央に設定し、第2発光領域Bを光出射面92の全面に設定した構成であるが、本発明はこれに限定されない。第1発光領域Aおよび第2発光領域Bの位置、範囲および形状は、文字シート11に印刷される文字や図形、押しボタンスイッチ100の用途などに応じて適宜変更可能である。
【0112】
〔押しボタンスイッチ100のまとめ〕
以上のように、本実施の形態に係る押しボタンスイッチ100は、押しボタン部12の押込み操作に応じて、該押しボタン部12の照光を切り替えるものである。
【0113】
押しボタンスイッチ100は、導光した光を光出射面92から押しボタン部12へ向けて出射する導光板9と、光出射面92に対して側方から導光板9へ光L1・L2を入射させる、第1光源71および該第1光源71とは光軸方向が異なる第2光源72と、導光板9を支持し、押しボタン部12の押込み操作に伴って押込み方向へ移動するプランジャ6と、プランジャ6に摺接する一対のリンク部材31・32が連結部材33によって回動可能に連結され、プランジャ6の移動に伴って各リンク部材31・32が互いに連動して揺動するリンク機構部3と、一対のリンク部材31・32の間に架設され、該一対のリンク部材31・32の揺動に連動して押込み方向へ移動しマイクロスイッチ21を操作する可動バネ部4とを備えている。
【0114】
導光板9は、第1光源71からの光L1を光出射面92に設定された第1発光領域Aから出射し、かつ第2光源72からの光L2を光出射面92に設定された第2発光領域Bから出射する。
【0115】
押しボタンスイッチ100では、光出射面92に対して側方(エッジ)から導光板9へ光L1・L2を入射させるように第1光源71および第2光源72が配置される。そのため、押しボタンスイッチ100の厚み方向(すなわち、押しボタン部12の押込み方向)において、第1光源71および第2光源72を配置するスペースが不要となる。
【0116】
また、押しボタンスイッチ100では、マイクロスイッチ21を操作する可動バネ部4が架設された一対のリンク部材31・32が、プランジャ6の移動に伴って互いに連動して揺動する。そのため、押しボタン部12の押込み操作に伴って押込み方向へ移動するプランジャ6を一対のリンク部材31・32によって平行に保つことができる。このように、マイクロスイッチ21を操作する可動バネ部4が架設された一対のリンク部材31・32を有するリンク機構部3によって押しボタン部12を平行移動させることにより、プランジャ6の平行移動機構およびマイクロスイッチ21の操作機構を薄型化することができる。
【0117】
さらに、押しボタンスイッチ100では、導光板9は、第1光源71からの光L1を第1発光領域Aから出射し、かつ第2光源72からの光L2を第2発光領域Bから出射する。そのため、第1光源71および第2光源72の点灯を制御することにより、導光板9の光出射面92の異なる領域を発光させることができる。これにより、第1発光領域Aおよび第2発光領域Bに応じた押しボタン部12の任意の領域を選択的に照光することができる。
【0118】
したがって、本実施の形態によれば、任意の領域を選択的に照光可能な薄型の押しボタンスイッチ100を実現することができる。
【0119】
本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。