特許第6413870号(P6413870)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6413870
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】天井埋込型空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/20 20060101AFI20181022BHJP
   F24F 13/32 20060101ALI20181022BHJP
【FI】
   F24F1/00 401E
   F24F1/00 426
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-60279(P2015-60279)
(22)【出願日】2015年3月24日
(65)【公開番号】特開2016-180525(P2016-180525A)
(43)【公開日】2016年10月13日
【審査請求日】2017年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100083194
【弁理士】
【氏名又は名称】長尾 常明
(72)【発明者】
【氏名】小森 隆行
【審査官】 田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−211136(JP,A)
【文献】 特開平08−330781(JP,A)
【文献】 特開平07−239134(JP,A)
【文献】 特開2000−018635(JP,A)
【文献】 特開2011−133190(JP,A)
【文献】 特開2004−085003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/20
F24F 13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が天板で閉じられ側面が側板で閉じられ下面が開口した筐体と、中央に空気吸込口が設けられ該空気吸込口の周囲に空気吹出口が設けられ前記筐体の前記下面に取り付けられる化粧パネルと、前記筐体の前記天板に取り付けられるモータと、該モータによって回転駆動される送風装置と、前記空気吸込口から吸い込まれる空気を前記送風装置にガイドするベルマウスと、前記送風装置によって前記空気吸込口から吸い込まれ前記空気吹出口に吹き出される途中の空気に対して冷媒との間で熱交換を行う熱交換器と、該熱交換器で生じた結露水を集めるドレンパンと、前記モータを含む各種電装品を制御する電装品箱と、を備えた天井埋込型空気調和機において、
前記電装品箱と前記モータとを接続するケーブルが前記ドレンパンの下面に沿って配線されるとともに、前記ドレンパンの前記下面の一部に、前記ケーブルを挟んで装着したEMIフィルタが収納されるフィルタ収納凹部が形成され、
前記ドレンパンの前記下面には、前記フィルタ収納凹部に連続するように、前記ケーブルの一方の引出部が嵌め込まれる第1ケーブル押付溝と前記ケーブルの他方の引出部が嵌め込まれる第2ケーブル押付溝がそれぞれ形成されている、
ことを特徴とする天井埋込型空気調和機。
【請求項2】
請求項1に記載の天井埋込型空気調和機において、
前記ドレンパンの下面の一部は、前記ドレンパンの内周縁部の下面であることを特徴とする天井埋込型空気調和機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の天井埋込型空気調和機において、
前記ドレンパンの前記フィルタ収納凹部に収納した前記EMIフィルタは、前記ベルマウスで押さえ付けられることを特徴とする天井埋込型空気調和機。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載の天井埋込型空気調和機において、
前記EMIフィルタは、前記フィルタ収納凹部に隙間シール材とともに嵌め込まれていることを特徴とする天井埋込型空気調和機。
【請求項5】
請求項2、3又は4に記載の天井埋込型空気調和機において、
前記ドレンパンの前記内周縁部の内周壁の上下方向にケーブルガイド溝が形成され、前記ケーブルの前記EMIフィルタと前記モータとの間の部分が前記ケーブルガイド溝に嵌め込められていることを特徴とする天井埋込型空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の天井に埋め込んで設置される天井埋込型空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
天井埋込型空気調和機は、一般的に、図5図7に示すように構成されている(例えば、特許文献1)。10は板金製の略直方体形状の筐体であり、上面が天板11で閉じられ側面が側板12で閉じられ下面が開口している。この筐体10は、内壁に断熱材20が貼付され、側板12の角部分12aの外側に取り付けられたフック30が吊り金具によって天井の梁等に吊り下げられる。
【0003】
この筐体10の天板11の裏面の中央にはモータ40が取り付けられ、このモータ40の出力軸41に送付装置としてのターボファン50が結合している。60は下面部からみた形状が四角筒形状の熱交換器である。70は発泡樹脂製のドレンパンであり、熱交換器60で生じる結露水を回収溝74に集める。このドレンパン70の中央部分には、内周縁部71が形成されることにより開口部74が形成されている。
【0004】
80は中央部分に空気吸込口81が設けられその空気吸込口81の周囲の4か所に空気吹出口82が設けられた化粧パネルである。90は化粧パネル80の空気吸込口81から吸い込まれる空気をターボファン50にガイドするベルマウスであり、ドレンパン70の内周縁部71の下面に肩部分91が押し付けられるように組み込まれる。
【0005】
100は熱交換器60を通過した空気を空気吹出口82にガイドする送風ガイド、110は化粧パネル80の空気吸込口81の内側に配置される除塵用のフィルタである。120はモータ40、風向弁260等を制御する電装品箱であり、ドレンパン70の下面と化粧パネル80の上面との間に組み込まれている。130は天井埋込型空気調和機が配置される室内天井板である。
【0006】
このような天井埋込型空気調和機において、モータ40の回転動作によりノイズが発生することを防止するために、その電装品箱120とモータ40とを接続するケーブルに、EMI(Electromagnetic Inrerference:電磁妨害)フィルタを装着することが要請されている。
【0007】
このEMIフィルタは、電装品箱120内に収納することが望ましいが、天井埋込型空気調和機のサイズの制約上から電装品箱120のサイズが制限される場合は、その電装品箱120内にスペースを確保することができず、そこに収納することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−064394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、このEMIフィルタを電装品箱120以外の場所に配置しなければならないが、空気吸込口81から熱交換器60を経由して空気吹出口82に至る送風路の中に配置すると、そのEMIフィルタが送風抵抗となって、空気調和機の性能劣化を招くおそれや異音発生のおそれがある。
【0010】
本発明の目的は、EMIフィルタをドレンパンの下面に収納できるようにして、異音発生等の問題が生じないようにした天井埋込型空気調和機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、上面が天板で閉じられ側面が側板で閉じられ下面が開口した筐体と、中央に空気吸込口が設けられ該空気吸込口の周囲に空気吹出口が設けられ前記筐体の前記下面に取り付けられる化粧パネルと、前記筐体の前記天板に取り付けられるモータと、該モータによって回転駆動される送風装置と、前記空気吸込口から吸い込まれる空気を前記送風装置にガイドするベルマウスと、前記送風装置によって前記空気吸込口から吸い込まれ前記空気吹出口に吹き出される途中の空気に対して冷媒との間で熱交換を行う熱交換器と、該熱交換器で生じた結露水を集めるドレンパンと、前記モータを含む各種電装品を制御する電装品箱と、を備えた天井埋込型空気調和機において、前記電装品箱と前記モータとを接続するケーブルが前記ドレンパンの下面に沿って配線されるとともに、前記ドレンパンの前記下面の一部に、前記ケーブルを挟んで装着したEMIフィルタが収納されるフィルタ収納凹部が形成され、前記ドレンパンの前記下面には、前記フィルタ収納凹部に連続するように、前記ケーブルの一方の引出部が嵌め込まれる第1ケーブル押付溝と前記ケーブルの他方の引出部が嵌め込まれる第2ケーブル押付溝がそれぞれ形成されている、ことを特徴とする。
【0012】
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の天井埋込型空気調和機において、前記ドレンパンの下面の一部は、前記ドレンパンの内周縁部の下面であることを特徴とする。
【0013】
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載の天井埋込型空気調和機において、前記ドレンパンの前記フィルタ収納凹部に収納した前記EMIフィルタは、前記ベルマウスで押さえ付けられることを特徴とする。
【0014】
請求項4にかかる発明は、請求項1、2又は3に記載の天井埋込型空気調和機において、前記EMIフィルタは、前記フィルタ収納凹部に隙間シール材とともに嵌め込まれていることを特徴とする。
【0015】
請求項5にかかる発明は、請求項2、3又は4に記載の天井埋込型空気調和機において、前記ドレンパンの前記内周縁部の内周壁の上下方向にケーブルガイド溝が形成され、前記ケーブルの前記EMIフィルタと前記モータとの間の部分が前記ケーブルガイド溝に嵌め込められていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、電装品箱とモータとを接続するケーブルの途中に装着したEMIフィルタが、ドレンパンの下面の一部に形成されたフィルタ収納凹部に収納される。このフィルタ収納凹部の位置は送風路から外れており、EMIフィルタが送風抵抗となって空気調和機の性能劣化や異音発生を招くおそれはない。また、下面からそのEMIフィルタにベルマウスを押し付けたり、EMIフィルタを隙間シール材とともにフィルタ収納凹部に嵌め込むことによって、そのEMIフィルタにガタツキが発生することを防止でき、異音の発生をより効果的に防止することができる。さらに、ケーブルについても、それをケーブルガイド溝に嵌め込むことにより、送風抵抗発生や異音発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のEMIフィルタ取付部分の周辺を表すために化粧パネルとベルマウスと電装品箱を取り外した状態の天井埋込型空気調和機の下面を上に向けた斜視図である。
図2図1におけるEMIフィルタ取付部分の周辺の拡大説明図である。
図3】(a)は本発明のEMIフィルタとケーブルを取り付けたドレンパンの内周縁部の下面図、(b)は本発明のEMIフィルタとケーブルを取り外したドレンパンの内周縁部の下面図である。
図4】本発明のEMIフィルタの組み込み位置を示した天井埋込型空気調和機の化粧パネルを取り外した下面図である。
図5】従来の天井埋込型空気調和機の下面からみた斜視図である。
図6】従来の天井埋込型空気調和機の化粧パネルを取り外した下面図である。
図7図6のVII−VII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1図4に本発明の実施例の天井埋込型空気調和機の電装品箱120とモータ40とを接続するケーブル210の配線部分を示す。発泡樹脂製のドレンパン70の内側の開口部74は内周縁部71によって形成されており、その内周縁部71の下面71aにおける電装品箱120の近傍(ただし、図1図3では電装品箱120は取り外している)には、フィルタ収納凹部72が形成されている。そして、内周縁部71の内周壁71bにおいて、フィルタ収納凹部72における電装品箱120から遠い側、つまりモータ40に近い側には、上下方向に抜けるように切除して形成したケーブルガイド溝73が設けられている。
【0019】
図3の(b)に示すように、フィルタ収納凹部72における電装品箱120の側のドレンパン70の内周縁部71の下面71aには、ケーブル押付溝72aが形成され、ケーブルガイド溝73の側の下面71aには、ケーブルガイド溝73に連続するケーブル押付溝72bに連続している。
【0020】
220はEMIフィルタであり、ケーブル210を挟んで装着し、断熱シート等の隙間シール材250と共にフィルタ収納凹部72に嵌め込まれている。EMIフィルタ220がフィルタ収納凹部72に嵌め込まれた状態では、ケーブル210の内の、EMIフィルタ220から電装品箱120の方向に伸びる引出部211はケーブル押付溝72aに嵌め込まれ、EMIフィルタ220からモータ40の方向に伸びる引出部212はケーブル押付溝72bに嵌め込まれる。
【0021】
ケーブル210の引出部212は、さらに、ケーブルガイド溝73に嵌め込まれてから上方向(図1図2では下方向)に伸びる。そして、このケーブル210の引出部212は、図1図2に示すように、ドレンパン70の内周縁部71の上面71cで下方向(化粧板80の方向)に折り返され、さらに上方向(天板11の方向)に折り返される。
【0022】
つまり、ケーブル210のモータ40の方向に伸びる引出部212には、互いに反対方向に2度折り返されることでトラップ部213が形成され、そのトラップ部213からモータ40に向かう側は、熱交換器60の内側近傍に沿って上方のケーブル固定具240に伸びる。
【0023】
ケーブル210のトラップ部213のモータ40側の折返し部分213aは、クランプ230によって、ドレンパン70の内周縁部71の上面71cに設けられた係止具71dに対して係止されている。
【0024】
ケーブル固定具240は、筐体10の天板11にねじ止めされる横板241と、その横板241の熱交換器60の内側に臨む側から下方向に伸びる縦板242とで構成され、側面視がL字形状である。そして、横板241の上面にはケーブル210をガイドするケーブルガイド溝241aが形成され、縦板242の外側(熱交換器60を向く側にもケーブル210をガイドするケーブルガイド溝242aが形成されている。
【0025】
このようにEMIフィルタ220は、ドレンパン70の内周縁部71の下面71aのフィルタ収納凹部72に隙間シール材250と共に収納される。そして、ベルマウス90を組み込むことで、そのベルマウス90の上面の周囲方向に形成されている肩部91(図7参照)がドレンパン70の内周縁部71の下面71aに押し付けられるので、そのときEMIフィルタ220も同様に押し付けられる。このため、そのEMIフィルタ220にガタツキが発生することはなく、運転中に異音が発生することを防止できる。
【0026】
また、ケーブル210の、EMIフィルタ220の装着部分からモータ40に向かう引出部212は、ドレンパン70の内周縁部71の内周壁71bに形成されたケーブルガイド溝73内に嵌め込まれるので、ケーブル210のこの引出部212について、送風による振動発生が防止されて異音が発生することがなく、送風抵抗も生じない。
【0027】
また、ケーブルガイド溝73からモータ40に向かうケーブル210の引出部212は、ドレンパン70の内周縁部71の上面71cに位置する部分においてクランプ230によって保持されたトラップ部213を有する。このため、ケーブル固定具240の側からケーブル210を伝わって流れてきた結露水は、トラップ部213の折返し部分213aからEMIフィルタ220に向かう方向は上方向となるのでその方向には流れることができず、ドレンパン70の回収溝74(図7参照)に落下して溜まる。よって、その結露水がドレンパン70を迂回して下方へ落下すること、つまり室内に落下することが防止される。
【0028】
また、モータ40直近のケーブル210は、ケーブル固定具240によって、天板11の裏面に沿って押し付けられるので、ケーブル210にぐらつきは発生せずその固定が確実になり、ターボファン50の回転の際の振動の影響を受けることもない。また天板11の裏面におけるケーブル210の取り付けにおいて多数のクリップを使用する必要がなくなり、作業が容易となる。
【符号の説明】
【0029】
10:筐体、11:天板、12:側板
20:断熱材
30:フック
40:モータ、41:出力軸
50:ターボファン
60:熱交換器
70:ドレンパン、71:内周縁部、71a:下面、71b:内周壁、71c:上面、71d:係止具、72:フィルタ収納凹部、72a,72b:ケーブル押付溝、73:ケーブルガイド溝、74:開口部
80:化粧パネル、81:空気吸込口、82:空気吹出口
90:ベルマウス、91:肩部
100:送風ガイド
110:フィルタ
120:電装品箱
130:室内天井板
210:ケーブル、211,212:引出部、213:トラップ部、213a:折返し部分
220:EMIフィルタ
230:クランプ
240:ケーブル固定具、241:横板、241a:ケーブルガイド溝、242:縦板、242a:ケーブルガイド溝
250:隙間シール材
260:風向弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7