特許第6413883号(P6413883)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6413883文書作成支援装置、プログラムおよび文書作成支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6413883
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】文書作成支援装置、プログラムおよび文書作成支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/27 20060101AFI20181022BHJP
   G06F 17/24 20060101ALI20181022BHJP
   G06F 17/22 20060101ALI20181022BHJP
【FI】
   G06F17/27 660
   G06F17/24 680
   G06F17/22 676
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-67614(P2015-67614)
(22)【出願日】2015年3月27日
(65)【公開番号】特開2016-186775(P2016-186775A)
(43)【公開日】2016年10月27日
【審査請求日】2017年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134707
【氏名又は名称】株式会社ナカヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100104570
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 光弘
(72)【発明者】
【氏名】明石 貴靖
【審査官】 成瀬 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−250407(JP,A)
【文献】 特開2012−048439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/20−17/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
文章中の助詞あるいは助動詞が省略された省略文を用いて、文章中の助詞および助動詞が省略されていない正式文の作成を支援する文書作成支援装置であって、
文章中に登場する所定の品詞種別の品詞が当該品詞種別に紐付けられたワイルドカードで記述された雛形文が、前記省略文中に登場する前記所定の品詞種別を含むマッチング情報に対応付けられて記憶された雛形文記憶手段と、
前記省略文の入力を受け付ける省略文入力手段と、
前記省略文入力手段に入力された前記省略文を形態素解析して、当該省略文を品詞単位に分解する形態素解析手段と、
前記形態素解析手段により品詞単位に分解された前記省略文中に登場する前記所定の品詞種別を含む前記マッチング情報に対応付けられて前記雛形文記憶手段に記憶されている前記雛形文を検索する雛形文検索手段と、
前記雛形文検索手段により検索された前記雛形文中の各ワイルドカードを、前記形態素解析手段により品詞単位に分解された前記省略文中に登場する、当該ワイルドカードに紐付けられた品詞種別の品詞に置換する置換手段と、
前記置換手段により置換された雛形文を、正式文候補として出力する正式文候補出力手段と、を備える
ことを特徴とする文書作成支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の文書作成支援装置であって、
動詞毎に、当該動詞の基本形が当該動詞の活用形に対応付けられて記憶された辞書記憶手段と、
前記辞書記憶手段を用いて、前記形態素解析手段により品詞単位に分解された前記省略文中に登場する動詞の基本形を特定する基本形特定手段と、をさらに備え、
前記マッチング情報は、
前記省略文中に登場する前記所定の品詞種別に加えて、当該省略文中に登場する動詞の基本形を含み、
前記雛形文検索手段は、
前記形態素解析手段により品詞単位に分解された前記省略文中に登場する前記所定の品詞種別、および前記基本形特定手段により特定された当該省略文中に登場する動詞の基本形を含む前記マッチング情報に対応付けられて前記雛形文記憶手段に記憶されている前記雛形文を検索する
ことを特徴とする文章作成支援装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の文書作成支援装置であって、
前記正式文候補出力手段は、
前記形態素解析手段により品詞単位に分解された前記省略文中に同じ前記所定の品詞種別の品詞が複数回登場する場合、前記雛形文検索手段により検索された前記雛形文中において、当該品詞種別に紐付けられた各ワイルドカードを、当該省略文中に登場する当該品詞種別の各品詞に置換する処理を、当該各ワイルドカードと当該各品詞とのすべての組合せについて実施し、当該組合せに応じた数の正式文候補を出力する
ことを特徴とする文書作成支援装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の文書作成支援装置であって、
前記省略文入力手段に入力された前記省略文に対応する前記正式文の入力を受け付ける正式文入力手段と、
前記省略文入力手段に入力された前記省略文および前記正式文入力手段に入力された前記正式文を用いて、前記雛形文および当該雛形文に対応付ける前記マッチング情報を生成する雛形文生成手段と、
前記雛形文生成手段により生成された前記雛形文および前記マッチング情報を互いに対応付けて前記雛形文記憶手段に追加する雛形文登録手段と、をさらに備え、
前記形態素解析手段は、
前記正式文入力手段に入力された前記正式文に形態素解析を実施して、当該正式文を品詞単位に分解し、
前記雛形文生成手段は、
前記形態素解析手段により品詞単位に分解された前記省略文中に登場する前記所定の品詞種別の品詞を、前記形態素解析手段により品詞単位に分解された前記正式文中から特定し、特定した品詞を当該品詞の品詞種別に紐付けられたワイルドカードに置換して、前記雛形文を生成する
ことを特徴とする文書作成支援装置。
【請求項5】
コンピュータで読み取り可能なプログラムであって、
前記プログラムは、前記コンピュータを、文章中の助詞あるいは助動詞が省略された省略文を用いて、文章中の助詞および助動詞が省略されていない正式文の作成を支援する文書作成支援装置として機能させ、
前記文書作成支援装置は、
文章中に登場する所定の品詞種別の品詞が当該品詞種別に紐付けられたワイルドカードで記述された雛形文が、前記省略文中に登場する前記所定の品詞種別を含むマッチング情報に対応付けられて記憶された雛形文記憶手段と、
前記省略文の入力を受け付ける省略文入力手段と、
前記省略文入力手段に入力された前記省略文を形態素解析して、当該省略文を品詞単位に分解する形態素解析手段と、
前記形態素解析手段により品詞単位に分解された前記省略文中に登場する前記所定の品詞種別を含む前記マッチング情報に対応付けられて前記雛形文記憶手段に記憶されている前記雛形文を検索する雛形文検索手段と、
前記雛形文検索手段により検索された前記雛形文中の各ワイルドカードを、前記形態素解析手段により品詞単位に分解された前記省略文中に登場する、当該ワイルドカードに紐付けられた品詞種別の品詞に置換する置換手段と、
前記置換手段により置換された雛形文を、正式文候補として出力する正式文候補出力手段と、を備える
ことを特徴とするプログラム。
【請求項6】
文書作成支援装置を用いて、文章中の助詞あるいは助動詞が省略された省略文を用いて、文章中の助詞および助動詞が省略されていない正式文の作成を支援する文書作成支援方法であって、
前記文書作成支援装置は、
前記省略文の入力を受け付け、
入力された前記省略文に形態素解析を実施して、当該省略文を名詞単位に分解し、
前記省略文中に登場する所定の品詞種別を含むマッチング情報に対応付けられて予め記憶された、前記所定の品詞種別の品詞が当該品詞種別に紐付けられたワイルドカードで記述された雛形文のなかから、前記形態素解析により品詞単位に分解された前記省略文中に登場する前記所定の品詞種別を含む前記マッチング情報に対応付けられている前記雛形文を検索し、
前記雛形文中の各ワイルドカードを、前記形態素解析により品詞単位に分解された前記省略文中に登場する、当該ワイルドカードに紐付けられた品詞種別の品詞に置換して、当該雛形文を正式文候補として出力する
ことを特徴とする文書作成支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書作成支援技術に関し、特に、入力された省略文から正式文の作成を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、既に入力された文字列を検索して、ユーザが現在入力中の文字列の後続文字候補を予測し表示することにより、ユーザの文字入力を支援する文字入力装置が開示されている。この文字入力装置は、ユーザから文字入力を受け付ける文字キー群と、ユーザに後続文字候補を選択させる選択キーと、既に入力された文字列を格納するデータベースと、現在入力中の文字列に後続可能な文字列を予測する予測部と、文字キー群等から入力された文字等を処理する処理部と、予測部により予測された後続可能な文字列を表示する表示部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−114817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
医療業、建設業、製造業等の職場において、関係者間の迅速なコミュニケーションを図るために、文章中の助詞あるいは助動詞を省略した省略文を用いることがある。ここで、第三者による検証等のために、このような省略文をそのまま関係者間のやり取りとして記録したのでは、第三者がその内容を理解できない可能性がある。したがって、関係者間のやり取りは、助詞および助動詞が省略されていない正式文で記録することが望ましい。しかしながら、特許文献1に記載の文字入力装置は、この点について何ら考慮されていない。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、入力された省略文から正式文の作成を支援する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明では、文章中に登場する所定の品詞種別の品詞が当該品詞種別に紐付けられたワイルドカードで記述された雛形文を、文章中の助詞あるいは助動詞が省略された省略文とのマッチング情報に対応付けて、予め登録しておく。ここで、マッチング情報には、雛形文に対応付けられる省略文中に登場する上記所定の品詞種別を含める。そして、省略文が入力されたならば、この省略文に形態素解析を実施して、この省略文を品詞単位に分解し、この省略文中に登場する上記所定の品詞種別を特定する。それから、特定された品詞種別と一致するマッチング情報に対応付けられて登録されている雛形文を検索する。そして、検索された雛形文中の各ワイルドカードを、省略文中に登場する、そのワイルドカードに紐付けられた品詞種別の品詞に置換し、これを正式文候補として出力する。
【0007】
ここで、助詞および助動詞が省略されていない正式文が省略文に対応付けられて入力された場合、正式文に形態素解析を実施し、この正式文を品詞単位に分解して、省略文中に登場する上記所定の品詞種別の品詞をこの正式文から特定し、正式文において、この特定した品詞をその品詞種別に紐付けられたワイルドカードに置換することにより、雛形文を生成してもよい。そして、省略文中に登場する上記所定の品詞種別を含むマッチング情報に対応付けてこの雛形文を登録してもよい。
【0008】
例えば、本発明は、文章中の助詞あるいは助動詞が省略された省略文を用いて、文章中の助詞および助動詞が省略されていない正式文の作成を支援する文書作成支援装置であって、
文章中に登場する所定の品詞種別の品詞が当該品詞種別に紐付けられたワイルドカードで記述された雛形文が、前記省略文中に登場する前記所定の品詞種別を含むマッチング情報に対応付けられて記憶された雛形文記憶手段と、
前記省略文の入力を受け付ける省略文入力手段と、
前記省略文入力手段に入力された前記省略文に形態素解析を実施して、当該省略文を品詞単位に分解する形態素解析手段と、
前記形態素解析手段により品詞単位に分解された前記省略文中に登場する前記所定の品詞種別を含む前記マッチング情報に対応付けられて前記雛形文記憶手段に記憶されている前記雛形文を検索する雛形文検索手段と、
前記雛形文検索手段により検索された前記雛形文中の各ワイルドカードを、前記形態素解析手段により品詞単位に分解された前記省略文中に登場する、当該ワイルドカードに紐付けられた品詞種別の品詞に置換する置換手段と、
前記置換手段により置換された雛形文を、正式文候補として出力する正式文候補出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
ここで、前記省略文入力手段に入力された前記省略文に対応する前記正式文の入力を受け付ける正式文入力手段と、
前記省略文入力手段に入力された前記省略文および前記正式文入力手段に入力された前記正式文を用いて、前記雛形文および当該雛形文に対応付ける前記マッチング情報を生成する雛形文生成手段と、
前記雛形文生成手段により生成された前記雛形文および前記マッチング情報を互いに対応付けて前記雛形文記憶手段に記憶する雛形文登録手段と、をさらに備え、
前記形態素解析手段は、
前記正式文入力手段に入力された前記正式文に形態素解析を実施して、当該正式文を品詞単位に分解し、
前記雛形文生成手段は、
前記形態素解析手段により品詞単位に分解された前記省略文中に登場する前記所定の品詞種別の品詞を、前記形態素解析手段により品詞単位に分解された前記正式文中から特定し、特定した品詞を当該品詞の品詞種別に紐付けられたワイルドカードに置換して、前記雛形文を生成してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、所定の品詞種別の品詞がその品詞種別に紐付けられたワイルドカードで記述された雛形文を、助詞あるいは助動詞が省略された省略文中に登場する所定の品詞種別を含むマッチング情報に対応付けて予め登録している。そして、入力された省略文中に登場する所定の品詞種別を含むマッチング情報に対応する雛形文を検索し、この雛形文中の各ワイルドカードを、入力された省略文中に登場する、そのワイルドカードに紐付けられた品詞種別の品詞に置換し、これを正式文候補として出力する。したがって、本発明によれば、入力された省略文から正式文の作成を支援することができる。
【0011】
また、本発明では、省略文に対応付けられて入力された正式文から、省略文中に登場する所定の品詞種別の品詞を特定し、正式文において、この特定した品詞をその品詞種別に紐付けられたワイルドカードに置換して、雛形文を生成する。そして、省略文中に登場する所定の品詞種別を含むマッチング情報に対応付けて、この雛形文を登録する。したがって、本発明によれば、省略文および正式文を入力するだけで、この省略文から正式文候補を作成可能な雛形文を自動的に作成することができ、雛形文作成の作業負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施の形態に係る文書作成支援装置1の概略構成図である。
図2図2は、雛形文記憶部101の登録内容例を模式的に表した図である。
図3図3は、辞書記憶部102の登録内容例を模式的に表した図である。
図4図4は、文書作成支援装置1の動作を説明するためのフロー図である。
図5図5は、図4に示す正式文候補生成処理S202を説明するためのフロー図である。
図6図6は、図4に示す雛形文登録処理S208を説明するためのフロー図である。
図7図7(A)〜(D)は、図4に示す正式文候補生成処理S202および雛形文登録処理S208を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の一実施の形態について説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態に係る文書作成支援装置1の概略構成図である。
【0015】
本実施の形態に係る文書作成支援装置1は、文章中の助詞あるいは助動詞が省略された省略文を用いて、文章中の助詞および助動詞が省略されていない正式文の作成を支援する装置であり、図示するように、マンマシンインターフェース部100と、雛形文記憶部101と、辞書記憶部102と、形態素解析部103と、基本形特定部104と、雛形文検索部105と、置換処理部106と、正式文候補出力部107と、雛形文生成部108と、雛形文登録部109と、を備えている。
【0016】
マンマシンインターフェース部100は、情報を表示して、ユーザから各種操作を受け付けるためのインターフェースであり、マウス、キーボード、タッチセンサ等の入力装置、およびLCD等の表示装置を有する。
【0017】
雛形文記憶部101には、正式文の作成に利用可能な雛形文に関する情報が記憶されている。図2は、雛形文記憶部101の登録内容例を模式的に表した図である。
【0018】
図示するように、雛形文記憶部101には、雛形文毎にレコード1010が記憶されている。このレコード1010は、雛形文を識別するためのIDが登録されたフィールド1011と、雛形文が登録されたフィールド1012と、雛形文の検索に用いるマッチング情報が登録されたフィールド1013と、を有する。ここで、雛形文においては、文章中に登場する所定の品詞種別の品詞(以下、対象品詞と呼ぶ)が、この品詞種別に紐付けられたワイルドカード「*」で記述されている。本実施の形態では、動詞、助詞、助動詞、接続詞、感嘆詞、および記号(句読点等)以外の品詞を対象品詞としている。また、マッチング情報のフィールド1013は、文章中に登場する対象品詞の配列に関する情報が登録されたサブフィールド1014と、文章中に登場する動詞の基本形が登録されたサブフィールド1015と、を有する。
【0019】
辞書記憶部102は、動詞に関する情報が記憶されている。図3は、辞書記憶部102の登録内容例を模式的に表した図である。
【0020】
図示するように、辞書記憶部102には、動詞毎にレコード1020が記憶されている。このレコード1020は、動詞を識別するためのIDが登録されたフィールド1021と、動詞の基本形が登録されたフィールド1022と、動詞の活用形が登録されたフィールド1023と、を有する。
【0021】
形態素解析部103は、マンマシンインターフェース部100に入力された省略文あるいは正式文に形態素解析を実施して、この入力文を品詞単位に分解する。
【0022】
基本形特定部104は、辞書記憶部102を用いて、形態素解析部103により品詞単位に分解された省略文中に登場する動詞の基本形を特定する。
【0023】
雛形文検索部105は、形態素解析部103により品詞単位に分解された省略文中に登場する対象品詞、および基本形特定部104により特定された省略文中に登場する動詞の基本形を用いて、雛形文記憶部101に対して雛形文の検索処理を実施する。
【0024】
置換処理部106は、雛形文検索部105より検索された雛形文中のワイルドカードを、形態素解析部103により品詞単位に分解された省略文中に登場する品詞であって、そのワイルドカードに紐付けられた品詞種別と同じ品詞種別の品詞に置換する。
【0025】
正式文候補出力部107は、置換処理部106によってワイルドカードが置換処理された雛形文を、正式文候補としてマンマシンインターフェース部100から出力する。
【0026】
雛形文生成部108は、形態素解析部103によりそれぞれ品詞単位に分解された省略文および正式文と、基本形特定部104により特定された省略文中に登場する動詞の基本形と、を用いて、雛形文およびこの雛形文に対応付けるマッチング情報(対象品詞の配列および動詞の基本形)を生成する。
【0027】
雛形文登録部109は、雛形文生成部108により生成された雛形文およびマッチング情報を互いに対応付けて雛形文記憶部101に追加する。
【0028】
図4は、文書作成支援装置1の動作を説明するためのフロー図である。このフローは、ユーザからマンマシンインターフェース部100に省略文が入力されることにより開始される。
【0029】
まず、マンマシンインターフェース部100は、入力された省略文を形態素解析部103に渡す。これを受けて、形態素解析部103は、形態素解析を実施して、この省略文を品詞単位に分解する(S200)。例えば、図7(A)に示すように、省略文「少し副食残した。」が入力された場合、この省略文は、「少し」(副詞)、「副食」(名詞)、「残し」(動詞)、「た」(助動詞)、「。」(記号)に分解される。
【0030】
また、形態素解析部103は、この品詞単位に分解した省略文に登場する動詞を基本形特定部104に渡す。これを受けて、基本形特定部104は、辞書記憶部102を参照し、形態素解析部103より受け取った動詞がフィールド1023に登録されているレコード1020を検索する。そして、このレコード1020のフィールド1022の登録内容からこの動詞の基本形を特定する(S201)。例えば、図7(A)では、省略文中に登場する動詞「残し」の基本形として「残す」が特定される。それから、基本形特定部104は、特定した動詞の基本形を形態素解析部103に渡す。
【0031】
つぎに、形態素解析部103は、形態素解析により品詞単位に分解した省略文および基本形特定部104より受け取った動詞の基本形を雛形文検索部105に渡す。これにより、雛形文検索部105は、置換処理部106と連携して、後述の正式文候補生成処理を実施する(S202)。
【0032】
つぎに、雛形文検索部105は、正式文候補生成処理による正式文候補生成に成功したならば(S203でYES)、生成された正式文候補を正式文候補出力部107に渡す。これを受けて、正式文候補出力部107は、雛形文検索部105から受け取った正式文候補をマンマシンインターフェース部100に表示する(S204)。その後、このフローを終了する。
【0033】
一方、雛形文検索部105は、正式文候補生成処理による正式文候補生成に失敗したならば(S203でNO)、その旨を正式文候補出力部107に通知する。これを受けて、正式文候補出力部107は、ユーザに正式文の入力を促すメッセージをマンマシンインターフェース部100に表示する(S205)。そして、マンマシンインターフェース部100は、ユーザから正式文が入力されるのを待つ(S206)。
【0034】
つぎに、マンマシンインターフェース部100は、ユーザから正式文が入力されると(S206でYES)、この正式文を形態素解析部103に渡す。これを受けて、形態素解析部103は、形態素解析を実施して、この正式文を品詞単位に分解する(S207)。例えば、図7(B)に示すように、図7(A)に示す省略文「少し副食残した。」の正式文として「副食を少し残しました。」が入力された場合、この正式文は、「副食」(名詞)、「を」(助詞)、「少し」(副詞)、「残し」(動詞)、「まし」(助動詞)、「た」(助動詞)、「。」(記号)に分解される。
【0035】
つぎに、形態素解析部103は、形態素解析により品詞単位に分解された省略文および正式文と、基本形特定部104より受け取った省略文中に登場する動詞の基本形とを、雛形文生成部108に渡す。これにより、雛形文生成部108は、雛形文登録部109と連携して、後述の雛形文登録処理を実施する(S208)。その後、このフローを終了する。
【0036】
図5は、図4に示す正式文候補生成処理S202を説明するためのフロー図である。
【0037】
まず、雛形文検索部105は、形態素解析により品詞単位に分解された省略文中に登場する対象品詞の配列(登場順)を特定する(S2020)。例えば、図7(A)において、対象品詞は「少し」(副詞)、「副食」(名詞)であり、その配列は(副詞)、(名詞)の順となる。それから、雛形文検索部105は、雛形文記憶部101を参照し、特定した対象品詞の配列がサブフィールド1014に登録され、かつ形態素解析部103より受け取った動詞の基本形がサブフィールド1015に登録されているマッチング情報のフィールド1013を有する雛形文のレコード1010を検索する(S2021)。例えば、省略文における対象品詞の配列が(副詞)、(名詞)の順であり、動詞の基本形が「残す」である場合、図2に示す例では、フィールド1011にID「002」が登録されているレコード1010が検索されることになる。
【0038】
ここで、雛形文のレコード1010の検索に失敗した場合(S2022でNO)、つまり、特定した対象品詞の配列がサブフィールド1014に登録され、かつ形態素解析部103より受け取った動詞の基本形がサブフィールド1015に登録されているマッチング情報のフィールド1013を有する雛形文のレコード1010が、雛形文記憶部101に登録されていない場合、雛形文検索部105は、正式文候補の生成失敗と判断し(S2027)、図4のS203に進む。
【0039】
一方、雛形文のレコード1010の検索に成功した場合(S2022でYES)、つまり、特定した対象品詞の配列がサブフィールド1014に登録され、かつ形態素解析部103より受け取った動詞の基本形がサブフィールド1015に登録されているマッチング情報のフィールド1013を有する雛形文のレコード1010が、雛形文記憶部101に登録されている場合、雛形文検索部105は、検索されたレコード1010のなかから、後述のS2024、S2025が実施されていない未処理のレコード1010を抽出し、このレコード1010のフィールド1012に登録されている雛形文を処理対象雛形文に決定する(S2023)。
【0040】
つぎに、雛形文検索部105は、処理対象雛形文を、形態素解析により品詞単位に分解された省略文中に登場する対象品詞とともに置換処理部106に渡す。これを受けて、置換処理部106は、処理対象雛形文中の各ワイルドカードを、省略文中に登場する対象品詞のうち、そのワイルドカードに紐付けられた品詞種別の品詞に置換して、正式文候補を生成する(S2024)。例えば、処理対象雛形文が「*[名詞]を*[副詞]残しました。」であり、省略文中に登場する対象品詞が「少し」(副詞)、「副食」(名詞)である場合、処理対象雛形文に最初に登場するワイルドカード「*」がそれに紐付けられた品詞種別(名詞)の品詞「副食」に置換され、二番目に登場するワイルドカード「*」がそれに紐付けられた品詞種別(副詞)の品詞「少し」に置換される。その結果、正式文候補「副食を少し残しました。」が生成される。
【0041】
なお、省略文中に同一品詞種別の対象品詞が複数回登場する場合、つまり、この品詞種別に紐付けられたワイルドカード「*」が処理対象雛形文中に複数回登場する場合、省略文中に複数回登場する同一品詞種別の品詞と、処理対象雛形文中に複数回登場する、この品詞種別に紐付けられたワイルドカード「*」とのすべての組合せに対して正式文候補が生成されるように、省略文中に登場する同一品詞種別の品詞とこれらの品詞の置換対象となるワイルドカードとの組合せを変更しながら、処理対象雛形文の各ワイルドカードをそれに紐付けられた品種種別の品詞に置換する処理を行う。したがって、この場合、一つの処理対象雛形文に対して複数の正式文候補が生成されることになる。
【0042】
つぎに、雛形文検索部105は、S2021において検索されたすべてのレコード1010に対してS2024を実施したか否かを調べる(S2025)。S2024が実施されていない未処理のレコード1010があるならば(S2025でNO)、S2023に戻る。一方、S2021において検索されたすべてのレコード1010に対してS2024を実施したならば(S2025でYES)、正式文候補の生成成功と判断し(S2026)、図4のS203に進む。
【0043】
図6は、図4に示す雛形文登録処理S208を説明するためのフロー図である。
【0044】
まず、雛形文生成部108は、形態素解析により品詞単位に分解された省略文中に登場する対象品詞の配列(登場順)を特定する(S2080)。例えば、図7(A)において、対象品詞は「少し」(副詞)、「副食」(名詞)であり、その配列は(副詞)、(名詞)の順となる。また、雛形文生成部108は、形態素解析により品詞単位に分解された正式文から、省略文中に登場する対象品詞と共通の品詞を特定し、この特定した対象品詞を共通形態素に設定する(S2081)。例えば、図7(A)および図7(B)に示す省略文および正式文の場合、図7(C)に示すように、正式文において、省略文と共通する対象品詞「少し」(副食)、「副食」(名詞)が共通形態素に設定される。
【0045】
つぎに、雛形文生成部108は、正式文中において、共通形態素に設定された品詞をその品詞種別に紐付けられたワイルドカード「*」に置換して、雛形文を生成する(S2082)。例えば、図7(C)において、正式文に最初に登場する共通形態素「副食」がその品詞(名詞)に紐付けられたワイルドカード「*」に置換され、二番目に登場する共通形態素「少し」がその品詞(副詞)に紐付けられたワイルドカード「*」に置換される。その結果、図7(D)に示すように、雛形文「*[名詞]を*[副詞]残しました。」が生成される。
【0046】
つぎに、雛形文生成部108は、以上のようにして生成した雛形文を、S2080で特定した対象品詞の配列および形態素解析部103より受け取った動詞の基本形とともに雛形文登録部109に渡す。これを受けて、雛形文登録部109は、雛形文記憶部101に新たなレコード1010を追加する。そして、このレコード1010のフィールド1011にユニークなIDを登録し、フィールド1012に雛形文を登録する。また、フィールド1013のサブフィールド1014、1015に、それぞれ、雛形文生成部108より受け取った対象品詞の配列および動詞の基本形を登録する(S2083)。以上により、ユーザから受け付けた省略文に対応付けられた雛形文が新たに登録される。
【0047】
以上、本発明の一実施の形態を説明した。
【0048】
本実施の形態では、文章中に登場する対象品詞がその品詞種別に紐付けられたワイルドカード「*」で記述された雛形文を、この雛形文に対応付ける省略文中に登場する対象品詞の配列を含むマッチング情報に対応付けて雛形文記憶部101に記憶している。そして、入力された省略文中に登場する対象品詞の配列を特定し、この対象品詞の配列を含むマッチング情報に対応付けられている雛形文を雛形文記憶部101から検索する。つぎに、検索された雛形文中の各ワイルドカード「*」を、入力された省略文中に登場する対象品詞であって、そのワイルドカード「*」に紐付けられた品詞種別の対象品詞に置換する。そして、この置換処理された雛形文を正式文候補として出力する。したがって、本実施の形態によれば、入力された省略文から正式文の作成を支援することができる。
【0049】
また、本実施の形態において、入力された省略文中に同一品詞種別の対象品詞が複数回登場する場合(この品詞種別に紐付けられたワイルドカード「*」が雛形文中に複数回登場する場合)、省略文中に複数回登場する同一品詞種別の対象品詞と、雛形文の文章中に複数回登場する、この品詞種別に紐付けられたワイルドカード「*」とのすべての組合せに対してそれぞれ正式文候補が生成されるように、省略文中に登場する同一品詞種別の品詞とこれらの品詞の置換対象となるワイルドカードとの組合せを変更しながら、処理対象雛形文の各ワイルドカードをそれに紐付けられた品種種別の対象品詞に置換する処理を行う。これにより、一つの雛形文から複数の正式文候補を生成することができ、ユーザ自ら、複数回登場する同一品詞種別の対象品詞の順番を入れ替えて、正式文候補を編集する必要がない。このため、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【0050】
また、本実施の形態では、雛形文に対応付けるマッチング情報に、この雛形文に対応付ける省略文中に登場する動詞の基本形を含めている。そして、入力された省略文中に登場する対象品詞の配列および動詞の基本形を含むマッチング情報に対応付けられて登録されている雛形文を検索する。このため、ユーザが入力した省略文に対する雛形文の検索精度を向上させることができ、ユーザが意図していない正式候補文が出力される可能性を低減することができる。これにより、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【0051】
また、本実施の形態では、省略文に対応付けられて入力された正式文から、省略文中に登場する対象品詞と同じ品詞種別の品詞を特定し、正式文において、これを共通形態素に設定している。そして、正式文中において、共通形態素に設定された品詞をその品詞種別に紐付けられたワイルドカードに置換して雛形文を生成し、この雛形文を、省略文中に登場する対象品詞の配列を含むマッチング情報に対応付けて登録している。したがって、本実施の形態によれば、省略文および正式文を入力するだけで、この省略文から正式文候補を作成可能な雛形文を自動的に作成することができ、雛形文作成の作業負担を軽減することができる。
【0052】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0053】
例えば、上記の実施の形態では、動詞、助詞、助動詞、接続詞、感嘆詞、および記号(句読点等)以外の品詞を対象品詞としているが、本発明はこれに限定されない。動詞、助詞、助動詞、接続詞、感嘆詞、および記号以外の所望の品詞を対象品詞に設定することができる。
【0054】
また、上記の実施の形態において、文書作成支援装置1は、マンマシンインターフェース部100を介してユーザから省略文および正式文を受け付けているが、本発明はこれに限定されない。文書作成支援装置1をネットワークに接続し、このネットワークに接続された通信端末を介してユーザから省略文および正式文を受け付けるようにしてもよい。
【0055】
また、上記の実施の形態において、図1に示した文書作成支援装置1の機能構成は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいはDSP(Digital Signal Processor)などの計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。または、CPU、メモリ、HDD、DVD−ROM等の補助記憶装置、およびNIC(Network Interface Card)、無線LANアダプタ等の通信装置を備えたPC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assistant)、スマートホン等の汎用コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することにより実現されるものでもよい。
【符号の説明】
【0056】
1:文書作成支援装置、 100:マンマシンインターフェース部、 101:雛形文記憶部、 102:辞書記憶部、 103:形態素解析部、 104:基本形特定部、 105:雛形文検索部、 106:置換処理部、 107:正式文候補出力部、 108:雛形文生成部、 109:雛形文登録部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7