(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の運転席用エアバッグ装置では、エアバッグの膨張完了時、排気用ストラップの運転者側壁部との結合部位が、運転者側壁部の中央付近でなく、ベントホールの配置位置からステアリングホイールを装着するステアリングシャフトに沿ってずれた位置としていた。そのため、膨張完了後におけるエアバッグが運転者を受け止めた際の排気用ストラップの連結帯部の緩み量が、車両の直進操舵時と、その状態からステアリングホイールのリング部を半回転操舵している時と、において、異なる事態を招き易かった。すなわち、ステアリングホイールのリング部は、コラム角度を有して傾斜しているステアリングシャフトと直交するように、その上面側のリング面を配置させている。そのため、リング部の直進操舵時には、ベントホールが、車体側壁部の前部側に配置されて運転者から離れて配置されていれば、リング部の半回転操舵時には、運転者に接近する車体側壁部の後部側に配置されることとなる。この場合のエアバッグの運転者受け止め時では、排気用ストラップの連結帯部の緩み量が、直進操舵時より、リング部を半回転操舵した時に、多くなる。すなわち、リング部の操舵角度が変われば、開口させたベントホールから排気する膨張用ガスの排気量に差が生じ易くなって、ベントホールの排気性能を安定させる点に課題が生じていた。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、ベントホールの排気性能を安定させることができる運転席用エアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る運転席用エアバッグ装置は、エアバッグが、
ステアリングホイールの操舵時に把持するリング部の略中央付近のボス部に、折り畳まれて収納され、
膨張用ガスを流入させて、前記リング部側の車体側壁部と運転者側の運転者側壁部とを離隔させるように膨張する構成として、
前記車体側壁部と前記運転者側壁部との膨張時の離隔距離を規制するように、前記車体側壁部と前記運転者側壁部とを連結する複数のテザーを配設させ、
前記車体側壁部の略中央に、膨張用ガスを流入させるために開口する流入用開口を配置させるとともに、前記車体側壁部の前記流入用開口の周囲に、膨張用ガスを排気可能に開口するベントホールを配置させ、
前記ベントホールが、前記車体側壁部における外周側の外側部に開口させた外側開口と、前記車体側壁部における前記外側部の内周側に配置された内側部に、前記外側開口と重なるように開口させた内側開口と、を備えて構成され、
前記テザーの内の一対のテザーが、
前記外側開口を塞ぎ可能として、前記車体側壁部への連結部位を構成可能に前記外側部と前記内側部との間に保持されるカバー部と、
該カバー部の両側から延びて前記運転者側壁部に結合される一対の連結帯部と、
を備えて、排気用ストラップとして構成され、
前記外側部と前記内側部とが、
一対の前記連結帯部を、前記エアバッグの膨張完了時の前記運転者側壁部の側から見て、前記流入用開口と前記ベントホールとを結ぶ直線を間にした両側で対称的に、前記外側部と前記内側部との間で保持した前記カバー部から延設させるように、
前記流入用開口側の内縁側と前記流入用開口から離れた外縁側とで、相互に結合され、
前記カバー部が、前記流入用開口に接近する接近縁側を前記車体側壁部に結合させて配設され、
膨張を完了させた前記エアバッグの運転者受止時における前記運転者側壁部の前記車体側壁部への接近時に、一対の前記連結帯部が緩んで、前記カバー部が、前記流入用開口から離れた離隔縁側を、前記外側開口を潜らせることにより、前記外側部の外側開口と前記内側部の内側開口とを連通させて、前記ベントホールを開口させる構成とした運転席用エアバッグ装置であって、
前記エアバッグの前記排気用ストラップを構成する一対の前記連結帯部が、前記運転者側壁部への結合部位を、前記エアバッグの膨張完了時の前記運転者側壁部の側から見て、前記ベントホールの配置位置より、前記運転者側壁部の中央側に接近し、かつ、中央側を間にした対称的な両側に、配置させ、
前記排気用ストラップが、
一対の前記連結帯部における前記運転者側壁部との結合部位から延びた部位と前記カバー部との連なった前記流入用開口に接近する接近縁と前記流入用開口から離れた離隔縁との長さ寸法に関し、前記エアバッグの膨張完了時の前記カバー部による前記ベントホールの閉塞状態を確保可能で、かつ、運転者受止時の前記カバー部による前記ベントホールの開口状態を確保可能として、
前記離隔縁の長さ寸法を、前記接近縁の長さ寸法より、短くして、
配設されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る運転席用エアバッグ装置では、エアバッグが膨張して、運転者側壁部が運転者を受け止めて車体側壁部側に接近すれば、排気用ストラップの一対の連結帯部が緩み、内側部の内側開口を利用して、エアバッグの内圧を受けたカバー部が、離隔縁側を、外側開口を潜らせて外側部の外周面側に繰り出させることにより、外側部の外側開口と内側部の内側開口とを連通させて、ベントホールを開口させることから、エアバッグは、開口したベントホールから膨張用ガスを排気し、所定の内圧で、運転者をクッション性良く受け止めることができる。
【0009】
そして、排気用ストラップは、一対の連結帯部の運転者側壁部への結合部位を、エアバッグの膨張完了時の運転者側壁部の側から見て、ベントホールの配置位置より、運転者側壁部の中央側に接近し、かつ、中央側を間にした対称的な両側に、配置させている。そのため、コラム角度を有したステアリングホイールのリング部の操舵時において、膨張完了状態のエアバッグにおける車体側壁部を支持するリング部の下端側に対して運転者が前進移動し、そして、エアバッグが前方側に運転者に押圧される際、運転者側壁部の中央付近の前進移動量は、ステアリングホイールの回転中心と運転者側壁部の中心とが略一致していることから、直進操舵していたり、あるいは、180°の半回転操舵をしていても、略均一となる。そのため、エアバッグ装置の作動時、運転者がリング部を操舵して操舵角度を種々変化させていても、運転者受止時には、一対の連結帯部の緩み量を略均一にできて、運転者の前進移動量に対応してベントホールを開口でき、ベントホールの排気性能を安定して確保できる。
【0010】
さらに、エアバッグの膨張完了時、車体側壁部における流入用開口とベントホールとの配置方向と直交する側方から見ると、外側開口と内側開口とは、開口面が、共に、流入用開口側の中央側縁より流入用開口から離れた外周側縁を、流入用開口の開口面より、立ち上がらせるような配置状態となって、外周側縁が、運転者側壁部の中央付近に接近する状態となる。特に、テザーの長さを長くして、車体側壁部と運転者側壁部との離隔距離を長くし、エアバッグを厚く膨張させるような場合、側方から見るエアバッグが、より球状に膨張することから、ベントホールの開口面における外周側縁が、一層、運転者側壁部の中央付近に接近する状態となる。
【0011】
しかし、本発明に係るエアバッグ装置では、排気用ストラップが、一対の連結帯部における運転者側壁部との結合部位から延びた部位とカバー部との連なった流入用開口に接近する接近縁と流入用開口から離れた離隔縁との長さ寸法に関し、離隔縁の長さ寸法を、接近縁の長さ寸法より、短くしていることから、ベントホールの開口面、特に、外側開口の開口面における外周側縁が、運転者側壁部の中央付近に接近しても、離隔縁の長さ寸法を接近縁の長さ寸法より短くした分、エアバッグの膨張完了時において、カバー部の離隔縁側が外側開口を潜るような挙動を抑制できる。すなわち、エアバッグが膨張を完了させただけでは、ベントホールを開口させるように、カバー部の離隔縁側が撓むことを防止できる。ちなみに、離隔縁の長さ寸法が接近縁の長さ寸法と同等としていれば、外側開口の開口面における外周側縁が運転者側壁部の中央付近に接近するように、エアバッグが膨張すれば、外側開口の開口面の外周側縁が運転者側壁部の中央側に接近した分、テザーの離隔縁側に、接近縁側より、たるむような余裕ができて、エアバッグが運転者を受け止める前に、ベントホールを開口させるように、カバー部の離隔縁側が撓んで外側開口を潜る事態を招く虞れが生ずる。
【0012】
勿論、離隔縁の長さ寸法を接近縁の長さ寸法より短くする寸法差は、膨張完了時のエアバッグの厚さ寸法(テザーで規制する車体側壁部と運転者側壁部との離隔距離、換言すれば、排気用ストラップにおけるカバー部から運転者側壁部の中央側に結合させた部位までの長さ)に対応させて、エアバッグの膨張完了時のカバー部によるベントホールの閉塞状態を確保可能で、かつ、運転者受止時のカバー部によるベントホールの開口状態を確保できる範囲内で、設定すればよい。
【0013】
したがって、本発明に係る運転席用エアバッグ装置では、ベントホールの排気性能を安定させることができる。換言すれば、排気用ストラップの一対の連結帯部を運転者側壁部の中央側に結合させて、リング部を操舵して操舵角度を種々変化させていても、ベントホールの開口性能を安定させることができ、さらに、排気用ストラップの所定の離隔縁の長さ寸法を、所定寸法差を設けて、接近縁の長さ寸法より短くしたことから、排気用ストラップの一対の連結帯部を運転者側壁部の中央側に結合させたことによるエアバッグの運転者受止前のベントホールの開口、を防止できる。
【0014】
そして、本発明に係る運転席用エアバッグ装置では、前記排気用ストラップが、
一対の前記連結帯部における前記運転者側壁部の結合部位と前記カバー部との間で、相互に結合可能に2分割される構成として、
前記カバー部、及び、前記カバー部の両側から延びて一対の前記連結帯部の前記カバー部側の部位とした車体側連結片部、を具備してなる車体側構成部と、
一対の前記車体側連結片部にそれぞれ結合される一対の運転者側連結片部、及び、一対の前記運転者側連結片部を前記運転者側壁部に結合させる結合部、を具備してなる運転者側構成部と、
から構成されていることが望ましい。
【0015】
このような構成では、排気用ストラップが、運転者側壁部側に結合させる運転者側構成部と車体側構成部とに分割されており、それぞれ、運転者側壁部と車体側壁部とに連結させた状態で、運転者側壁部と車体側壁部との外周縁相互を結合し、そして、運転者側構成部と車体側構成部との対応する連結片部相互を結合させれば、排気用ストラップを容易に形成できる。
【0016】
そしてその際、前記離隔縁の長さ寸法を前記接近縁の長さ寸法より短くする長さ調整(寸法差調整)としては、前記車体側構成部の前記車体側連結片部、若しくは、前記運転者側構成部の前記運転者側連結片部の少なくとも一方において、
屈曲部を設け、該屈曲部を設けた形状の内外周の周長差により、前記離隔縁側若しくは前記接近縁側を対応する長さ寸法に調整すれば、容易に行なえる。あるいは、その寸法差調整は、前記車体側構成部の前記車体側連結片部と前記運転者側構成部の前記運転者側連結片部との相互の結合角度を調整することによっても、容易に行なえる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、第1実施形態の運転席用エアバッグ装置M1は、
図1,2に示すように、ステアリングホイールWに搭載され、ステアリングホイールWは、ステアリングホイール本体1と、ステアリングホイール本体1の中央のボス部Bの上部に配置されるエアバッグ装置M1と、を備えて構成される。ステアリングホイール本体1は、操舵時に把持する円環状のリング部Rと、リング部Rの中央に配置されてステアリングシャフトSSに締結されるボス部Bと、ボス部Bとリング部Rとを連結する4本のスポーク部Sと、を備えて構成される。
【0019】
なお、本明細書では、特に断らない限り、上下方向は、ステアリングシャフトSSの軸方向に沿った上下方向が対応し、前後方向は、車両の直進操舵時のステアリングシャフトSSの軸方向と直交した前後方向が対応し、左右方向は、車両の直進操舵時のステアリングシャフトSSの軸方向と直交した左右方向が対応するものである。
【0020】
ステアリングホイール本体1は、
図1,2に示すように、リング部R、ボス部B、スポーク部Sの各部を連結するように配置されて、アルミニウム合金等の金属製の芯金2を備えて構成される。芯金2のリング部Rの部位と各スポーク部Sのリング部R側の部位とには、合成樹脂製の被覆層5が被覆されている。芯金2のボス部Bの部位には、ステアリングシャフトSSを挿入させてナットN止めするための鋼製のボス3が配設されている。また、ステアリングホイール本体1の下部には、ボス部Bの下方を覆う合成樹脂製のロアカバー7が配設されている。
【0021】
なお、実施形態では、ステアリングホイールWのコラム角度θcを22.5°とするように、ステアリングシャフトSSが傾斜している。
【0022】
第1実施形態の運転席用エアバッグ装置M1は、
図2に示すように、折り畳まれて収納されるエアバッグ10、エアバッグ10に膨張用ガスを供給するインフレーター87、折り畳んだエアバッグ10の上方を覆うエアバッグカバー93、エアバッグ10とインフレーター87とを収納保持するとともにエアバッグカバー93を保持するケース89、及び、インフレーター87とともにエアバッグ10をケース89に取り付けるためのリテーナ85、を備えて構成される。
【0023】
リテーナ85は、四角環状の板金製として、エアバッグ10の流入用開口13の周縁を押えて、エアバッグ10をケース89に取り付けるとともに、インフレーター87をケース89に取り付けるように、四隅に、ケース89にナット止めされる図示しないボルトを備えて構成されている。
【0024】
インフレーター87は、上部に複数のガス吐出口87bを備えた円柱状の本体部87aと、本体部87aの外周面から突出するフランジ部87cと、を備えて構成される。フランジ部87cには、リテーナ85の図示しない各ボルトを貫通させる図示しない貫通孔が形成されている。
【0025】
ケース89は、
図1,2に示すように、略直方体形状の板金製とし、ステアリングホイールWのボス部Bの上部に配置されて、折り畳まれたエアバッグ10を収納する収納部位を構成し、長方形状の底壁部89aには、インフレーター87の本体部87aを下方から挿入可能な円形に開口した挿通孔89bが形成されるとともに、その周囲に、リテーナ85の図示しないボルトを貫通させる4つの貫通孔89cが形成されている。底壁部89aの外周縁から上方に延びる側壁部89dの上端には、外方へ延びる取付片89eが形成され、取付片89eには、図示しないホーンスイッチ機構の取付基板が取り付けられ、図示しない取付基板を利用して、ケース89がステアリングホイールWの芯金2に取付固定され、エアバッグ装置M1が、ステアリングシャフトSSに装着済みのステアリングホイール本体1のボス部Bの上部に搭載されることとなる。また、ケース89の側壁部89dには、リベット91等を利用してエアバッグカバー93の側壁部95が取り付けられている。
【0026】
エアバッグカバー93は、合成樹脂製として、収納したエアバッグ10の上方を覆う天井壁部94と、天井壁部94の外周縁付近から下方へ延びる略四角筒形状の側壁部95と、を備えて構成されている。天井壁部94には、膨張するエアバッグ10に押されて前後両側に開く2枚の扉部94a,94aが形成されている。
【0027】
エアバッグ10は、ポリアミドやポリエステル等の織糸を織った布材から形成され、
図1,2の二点鎖線に示すように、膨張完了形状を、上方から見て円形として、側方から見て球状に近い略楕円球状とするように構成されて、
図2〜7,9に示すように、外周壁11が、ステアリングホイール本体1側(リング部R側)の車体側壁部12と、運転者D側の運転者側壁部16と、を備えて構成されている。
【0028】
車体側壁部12と運転者側壁部16とは、相互に、同一の外形の円形として構成され、車体側壁部12の中央には、膨張用ガスを流入させるように円形に開口する流入用開口13が配設されている。外周壁11は、車体側壁部12と運転者側壁部16との外周縁12b,16a相互を縫合して形成されている。また、流入用開口13の周縁には、エアバッグ10をケース89の底壁部89aに取り付けるためのリテーナ85の図示しない各ボルトを貫通させる取付孔14が、形成されている(
図3,15参照)。
【0029】
なお、流入用開口13の周縁には、補強布70、整流布72、及び、共用車体側構成部76、が縫合され(
図4,15参照)、これらの部位にも、流入用開口13と取付孔14とが形成されている。
【0030】
また、エアバッグ10には、車体側壁部12と運転者側壁部16との膨張時の離隔距離を規制するように、車体側壁部12と運転者側壁部16とを連結する四本のテザー30(301,302,303,304)が配設されている(
図3,4,7,15参照)。
【0031】
さらに、エアバッグ10の車体側壁部12における流入用開口13の周囲の前方側には、膨張用ガスを排気可能に開口するベントホール19が開口されている(
図3〜5,9〜11,14,15参照)。ベントホール19は、車体側壁部12における外周側の外側部20に開口させた外側開口21と、車体側壁部12における外側部20の内周側に配置された内側部22に、外側開口21と重なるように開口させた内側開口23と、を備えて構成されている。外側開口21と内側開口23とは、共に、円形に開口されているが、内側開口23が僅かに大きく開口されている。
【0032】
なお、第1実施形態では、外側部20が、運転者側壁部16の円形状に対応した車体側壁部12の本体部12aを構成しており、その外周縁12bを運転者側壁部16の外周縁16aに縫合させて、エアバッグ10の外周壁11を形成している。そして、内側部22は、外側開口21とその周縁とを覆うように、左右方向に延びた長方形板状として、外側部20の内周面側に縫合して配設されている。
【0033】
外側部20と内側部22とは、内側部22における流入用開口13側の内縁24側と、流入用開口13から離れた外縁26側とに、縫合部25,27を設けて、外側部20に対して縫合されている(
図3〜5参照)。これらの縫合部25,27は、流入用開口13とベントホール19とを結ぶ直線(中心線)CL(
図3参照)と直交方向とした直線状に、配設されている。実施形態では、直線CLは前後方向に沿って配設されているため、外側部20と内側部22とは、内縁24側と外縁26側とに、左右方向に延びるように縫合部25,27を設けることとなり、左右方向に挿通孔28aを貫通させた筒状のガイド部28を形成している。
【0034】
なお、車両搭載状態でのエアバッグ10の膨張完了状態の運転者側壁部16側から見て、運転者側壁部16の中央17は、ステアリングシャフトSSと略一致するように、換言すれば、ステアリングホイールWの操作時のリング部Rの回転中心Scと略一致するように、配設されている。詳しくは、
図1,2に示すように、運転者側壁部16の中央17は、ステアリングホイールWの操作時の回転中心Scより、僅かに後方にずれて配置されている。
【0035】
そして、テザー30の内の前側の一対のテザー301,302が、ベントホール19を開閉させる排気用ストラップ32として、構成され、後側の一対のテザー303,304が、運転者側壁部16の車体側壁部12からの離隔距離を規制するためだけに機能する規制用ストラップ52として、構成されている(
図4〜7,14,15参照)。
【0036】
排気用ストラップ32は、長方形板状のカバー部33と、カバー部33の両側から延びて運転者側壁部16に結合される一対の連結帯部36(36L,36R)と、を備えて構成される。
【0037】
カバー部33は、ベントホール19を構成する外側開口21を塞ぎ可能で、かつ、ベントホール19を開口可能とするものであり、外側部20と内側部22との間のガイド部28に挿通させるように、配設されている。また、カバー部33は、流入用開口13から離れた離隔縁33bを車体側壁部12側に結合させずに、流入用開口13に接近する接近縁33a側を、車体側壁部12としての内側部22の内縁24側の縫合部25に、共縫いしている。
【0038】
一対の連結帯部36L,36Rは、それぞれ、カバー部33の左右両側から延びる帯本体部38と、帯本体部38の先端側の運転者側壁部16に結合される運転者側結合部37と、を備えて構成される。左右の帯本体部38(38L,38R)は、ベントホール19から左右両側に離れた内側部22の左右の縁22a,22bから突出し(
図5参照)、先端側の運転者側結合部37(37L,37R)は、エアバッグ10の膨張完了時の運転者側壁部16の側から見て、ベントホール19の配置位置より、運転者側壁部16の中央17側に接近し、かつ、中央17側を間にした対称的な左右両側に、配置されている(
図7参照)。なお、運転者側結合部37L,37Rは、運転者側壁部16の中央17を中心とした二重の円環状に縫合した縫合部80により、運転者側壁部16に結合されている。そして、具体的には、運転者側結合部37Lは、円環状の縫合部80における中央17を基準とした前方側でかつ左側の略1/4の円弧状の部位から構成され、運転者側結合部37Rは、円環状の縫合部80における中央17を基準とした前方側でかつ右側の略1/4の円弧状の部位から構成されている。
【0039】
この排気用ストラップ32では、エアバッグ10の膨張完了時、カバー部33がガイド部28の内側部22により運転者側壁部16側への移動を規制されるため、車体側壁部12側に保持されたカバー部33と、運転者側壁部16に結合される連結帯部36と、によって、車体側壁部12と運転者側壁部16との離隔距離を規制することとなる。また、エアバッグ10の膨張完了後において、運転者側壁部16が前進移動する運転者Dを受け止めると、
図9,10に示すように、運転者側壁部16が車体側壁部12に接近して、一対の連結帯部36L,36Rが緩むことから、内側開口23を経てエアバッグ10の内圧を受けていたカバー部33が、車体側壁部12に結合されていない離隔縁33b側を、外側開口21を潜らせて、外側部20の外周面20a側に繰り出させることとなり、外側部20の外側開口21と内側部22の内側開口23とを連通させる。そのため、ベントホール19が開口して、ベントホール19から余剰の膨張用ガスGが排気されることとなる。
【0040】
但し、この排気用ストラップ32では、一対の連結帯部36L,36Rにおける運転者側壁部16との結合部位37から延びた帯本体部38とカバー部33との連なった流入用開口13に接近する接近縁39と、流入用開口13から離れた離隔縁40との長さ寸法EC0,ES0に関し、離隔縁40の長さ寸法ES0を、接近縁39の長さ寸法EC0より、短くしている。勿論、この寸法EC0,ES0の寸法差は、エアバッグ10の膨張完了時のカバー部33によるベントホール19の閉塞状態を確保可能で、かつ、運転者受止時のカバー部33によるベントホール19の開口状態を確保可能として、設定されている。
【0041】
なお、実施形態の場合、連結帯部36L,36Rの帯本体部38L,38Rが、後述する車体側構成部42の車体側連結片部43L,43Rと、運転者側構成部45の運転者側連結片部46L,46Rと、を相互に結合させて構成されている。そのため、接近縁39の長さ寸法EC0は、カバー部33の接近縁33aの長さ寸法EC1(この部位は内側部22で覆われて内側部22(ガイド部28)で保持される部位の長さ寸法となる)と、車体側連結片部43L,43Rのそれぞれの合計の長さ寸法EC2(EC43+EC43)と、運転者側連結片部46L,46Rのそれぞれの合計の長さ寸法CL3(EC46+EC46)と、を合計した寸法となる。また、離隔縁40の長さ寸法ES0は、カバー部33の離隔縁33bの長さ寸法ES1と、車体側連結片部43L,43Rのそれぞれの合計の長さ寸法ES2(ES43+ES43)と、運転者側連結片部46L,46Rのそれぞれの合計の長さ寸法ES3(ES46+ES46)と、を合計した寸法となる。
【0042】
また、運転者側連結片部46L,46Rにおける運転者側壁部16側からの長さ寸法EC46,ES46の起算点39a,40aは、
図6に示すように、連結片部46L,46Rの接近縁39側と離隔縁40側とが、共に、連結片部46L,46Rの所定の幅寸法を維持して運転者側結合部37に接近する近傍位置で、かつ、連結片部46L,46Rの幅方向に沿う直線WDが、運転者側壁部16の中央17を中心とした円CRの接線TLとなる箇所でのそれぞれの縁39,49との交点としている。
【0043】
ちなみに、第1実施形態の場合、カバー部33の部位とその両側の帯本体部38L,38Rとを含めた接近縁39の全体の長さ寸法EC0は、6
80mmとし、カバー部33の部位とその両側の帯本体部38L,38Rとを含めた離隔縁40の長さ寸法ES0は、6
00mmとして、接近縁39と離隔縁40とは、左右の片側で40mmずつとして、全体として80mmの寸法差が設けられている。
【0044】
さらに付言すると、第1実施形態の場合には、帯本体部38L,38Rにおけるカバー部33の近傍部位で、流入用開口13から離れるように屈曲させた形状として、接近縁39と離隔縁40とに寸法差を設けている。この屈曲形状は、帯本体部38L,38Rにおけるカバー部33の近傍部位において、摘まむ前に直線状としていた状態から、左右両側の離隔縁40側で、40mmずつ摘まむようなタック部位を設け、接近縁39側にはタック部位を設けないようにして、両端部43a,43b側を、屈曲部43c(
図8参照)を設けて、流入用開口13から離れるように屈曲させた形状としており、第1実施形態では、摘まんだタック部自体を設けずに、その屈曲形状に裁断して、排気用ストラップ32が形成されている。
【0045】
さらに、カバー部33は、ベントホール19の開口時における離隔縁33bの外側開口21を潜る曲げ変形を許容し、離隔縁33bの接近縁33a側へ接近するずれ移動を抑制する補強部としての補強布34、を備えて構成されている。第1実施形態では、補強部としての補強布34は、カバー部33と同様な織布から、カバー部33より僅かに小さい略長方形状に形成されて、縫合により、カバー部33に結合されている(
図4,8,10,15参照)。補強布34は、第1実施形態の場合、三枚使用されており、それぞれ、略長方形状の外周縁を、カバー部33における外側部20と内側部22との間の領域内に配置させつつ、縫合して、カバー部33における内側部22の側の面(エアバッグ10の内部側の面)に、結合されている。
【0046】
各補強布34のカバー部33への縫合部35は、カバー部33の連結帯部36L,36R側の左右の両縁34b,34cに、それぞれ、流入用開口13とベントホール19とを結ぶ直線CLと略平行に設けた直線部35b,35cと、カバー部33の離隔縁33b側の外縁34aで、両側の直線部35b,35cを連ならせるように直線状に配置させた直線部35aと、を備えた逆U字状としている。
【0047】
なお、補強布34は、略長方形板状としているが、流入用開口13側(接近縁33a側)の内縁34dに、流入用開口13側に左右方向の幅寸法を狭めた小片部34eを突設させており、内縁34d側では、縫合部25により、カバー部33とともに、車体側壁部12に共縫いされている。
【0048】
規制用ストラップ52は、略長方形板状の車体側結合部53と、車体側結合部53の両側から延びて運転者側壁部16に結合される一対の連結帯部55(55L,55R)と、を備えて構成される(
図4〜7,15参照)。
【0049】
車体側結合部53は、車体側壁部12の流入用開口13を通る前後方向に沿った中心線CLに一致して、左右対称形の長方形状に、車体側壁部12に縫合されて形成されるとともに、流入用開口13を中心として、内側部22と点対称的な位置に、配設されている。
【0050】
一対の連結帯部55L,55Rは、それぞれ、車体側結合部53の左右両縁53a,53bから延びる帯本体部57と、帯本体部57の先端側の運転者側壁部16に結合される運転者側結合部56と、を備えて構成される。運転者側結合部56(56L,56R)は、エアバッグ10の膨張完了時の運転者側壁部16の側から見て、車体側結合部53の配置位置より、運転者側壁部16の中央17側に接近し、かつ、中央17側を間にした対称的な左右両側に、配置されている。具体的には、運転者側結合部56Lは、円環状の縫合部80における中央17を基準とした後方側でかつ左側の略1/4の円弧状の部位から構成され、運転者側結合部56Rは、円環状の縫合部80における中央17を基準とした後方側でかつ右側の略1/4の円弧状の部位から構成されている。
【0051】
なお、排気用ストラップ32と規制用ストラップ52の車体側壁部12への結合部位、すなわち、カバー部33と車体側結合部53とは、それらから離れた運転者側壁部16への結合部(運転者側結合部)37L,37R,56L,56Rが、運転者側壁部16の中央17付近に、相互に前後左右に対称的(換言すれば、中央17に対して均等な放射状)に結合されることから、排気用ストラップ32と規制用ストラップ52とが、テザー30として、バランスよく、膨張完了時の車体側壁部12と運転者側壁部16との離隔距離を規制できるように、左右方向の幅寸法を広く確保する必要がある。そのため、
図5に示すように、内側部22の左右の縁22a,22b間で保持されるカバー部33は、内側部22の左右の縁22a,22bとともに、流入用開口13より左右に突出する寸法(ES1)とされ、また、車体側結合部53も、左右の縁53a,53bが流入用開口13より左右に突出する寸法(WF)と設定されて、排気用ストラップ32と規制用ストラップ52とが、テザー30として、バランスよく、膨張完了時の車体側壁部12と運転者側壁部16との離隔距離を規制できるように、構成されている。
【0052】
そして、第1実施形態の場合、排気用ストラップ32は、一対の連結帯部3
6L,3
6Rにおける運転者側壁部16の結合部位37とカバー部33との間で、相互に結合可能に2分割される構成として、車体側構成部42と運転者側構成部45とから構成されている。車体側構成部42は、カバー部33と、カバー部33の両側から延びた一対の連結帯部3
6L,3
6Rのカバー部33側の部位とした車体側連結片部43(43L,43R)と、を具備して構成されている。運転者側構成部45は、一対の車体側連結片部43(43L,43R)にそれぞれ結合される一対の運転者側連結片部46(46L,46R)と、一対の運転者側連結片部46L,46Rを運転者側壁部16に結合させる運転者側結合部37(37L,37R)と、を具備して構成されている。
【0053】
同様に、規制用ストラップ52も、一対の連結帯部55(55L,55R)における運転者側壁部16の結合部位56と車体側結合部53との間で、相互に結合可能に2分割される構成として、車体側構成部62と運転者側構成部65とから構成されている。
【0054】
車体側構成部62は、車体側結合部53と、車体側結合部53の左右両縁53a,53bから延びて一対の連結帯部55L,55Rの車体側結合部53の側の部位とした車体側連結片部63(63L,63R)と、を具備して構成される。運転者側構成部65は、一対の車体側連結片部63L,63Rにそれぞれ結合される一対の運転者側連結片部66(66L,66R)と、一対の運転者側連結片部66L,66Rを運転者側壁部16に結合させる運転者側結合部56(56L,56R)と、を具備して構成されている。
【0055】
さらに、第1実施形態では、排気用ストラップ32の車体側構成部42と、規制用ストラップ52の車体側構成部62と、が、車体側壁部12の流入用開口13の周縁に縫合される略円板状の補強部76aを間にして、相互に連結された一枚のシート状の共用車体側構成部76により、形成されている。補強部76aには、車体側壁部12と同様に、流入用開口13と取付孔14とが形成されている。
【0056】
また、排気用ストラップ32の運転者側構成部45と、規制用ストラップ52の運転者側構成部65と、が、運転者側壁部16の中央17に縫合される運転者側結合部37L,37R,56L,56Rを、一枚の円板状の結合基部79aとして形成して、相互に連結された一枚のシート状の共用運転者側構成部79により、形成されている。
【0057】
共用車体側構成部76は、流入用開口13や取付孔14が設けられた補強部76aが、縫合部77により、補強布70とともに、車体側壁部12に共縫いされ、また、車体側結合部53の部位で、車体側壁部12に縫合され、さらに、カバー部33の内縁33aの部位で、内側部22とともに、車体側壁部12に共縫いされている。
【0058】
共用運転者側構成部79は、結合基部79aが、円環状に縫合する縫合部80により、円形状の補強布74に挟持される状態として、運転者側壁部16の中央17に共縫いされている。なお、結合基部79aでは、第1実施形態の場合、エアバッグ10の膨張完了時に、排気用ストラップ32の帯本体部38L,38Rの離隔縁40側に、接近縁39側より強い張力が作用するため、より強固に運転者側壁部16に結合されるように、三角環状の補助縫合部81を設けて、運転者側壁部16に結合されている(
図7参照)。
【0059】
そして、共用車体側構成部76と共用運転者側構成部79とは、対応する排気用ストラップ32側の車体側連結片部43L,43Rと運転者側連結片部46L,46Rとの相互が、四角環状に縫合した縫合部48により、縫合され、対応する規制用ストラップ52側の車体側連結片部63L,63Rと運転者側連結片部66L,66Rとの相互が、四角環状に縫合した縫合部68により、縫合されて、テザー30(301,302,303,304)を形成している。
【0060】
また、第1実施形態のエアバッグ10では、流入用開口13を覆うように、整流布72が、配設されている。整流布72は、インフレーター87から吐出される膨張用ガスをエアバッグ10内で左右両側に流すように整流するものであり、整流布用布材73を車体側壁部12内の流入用開口13の周縁に結合させ、整流布用布材73における流入用開口13の前後の縁から延びる両端部73a,73bを縫合させて形成されている。
【0061】
なお、エアバッグ10を構成する車体側壁部12としての外側部20、内側部22、補強布34,70,74、整流布用布材73、共用車体側構成部76、及び、共用運転者側構成部79は、ポリアミドやポリエステル等の合成繊維を平織りしてなる可撓性を有した布材からなり、さらに、適宜、シリコンコートされて構成されている。
【0062】
また、排気用ストラップ32における接近縁39と離隔縁40とに長さ寸法EC0,ES0に寸法差を設ける構成として、共用車体側構成部76における排気用ストラップ32側の車体側構成部42の車体側連結片部43L,43Rが、両端部43a,43b側を、屈曲部43cを設けて、流入用開口13から離れるように屈曲させた形状として、接近縁39側を屈曲部43cの外周側の縁とし、離隔縁40側を屈曲部43cの内周側の縁として、内外周の周長差により、構成している。
【0063】
このエアバッグ10の製造は、流入用開口13や取付孔14を設けない状態として、車体側壁部12としての外側部20におけるエアバッグ10の内周面側の部位に、補強布70,70、共用車体側構成部76、及び、整流布用布材73を重ねて、縫合部77を設けて、流入用開口13の部位の周縁に、それらを共縫いし、また、共用車体側構成部76の車体側結合部53を外側部20に縫合し、そして、孔開け加工により、流入用開口13と取付孔14とを形成する。なお、外側部20には、予め、外側開口21を開口させておくとともに、共用車体側構成部76のカバー部33の部位にも、三枚の補強布34を縫合部35を設けて縫合させておく(
図8参照)。
【0064】
そして、内側開口23を設けた内側部22を、カバー部33の上に載せて、縫合部25,27を設けて、補強布34とカバー部33とを縫合部25の部位で共縫いしつつ、外側部20に対して縫合する。また、整流布用布材73の端部73a,73b相互も縫合すれば、
図5に示す状態となる。
【0065】
一方、運転者側壁部16側では、補強布74,74の間に、共用運転者側構成部79の結合基部79aを配置させて、縫合部80と補助縫合部81とを設けて、補強布74,74とともに、結合基部79aをエアバッグ10の内周面側となる運転者側壁部16の中央17に縫合すれば、
図6,7に示す状態となる。
【0066】
その後、車体側壁部12と運転者側壁部16との外周面側を合わせて、車体側壁部12と運転者側壁部16との外周縁12b,16a相互を縫合し、流入用開口13を利用して、裏返し、そして、流入用開口13から引き出して、対応する排気用ストラップ32側の車体側連結片部43L,43Rと運転者側連結片部46L,46Rとの相互を、縫合部48を設けて縫合し、また、対応する規制用ストラップ52側の車体側連結片部63L,63Rと運転者側連結片部66L,66Rとの相互を、縫合部68を設けて縫合し、それらの縫合部48,68を流入用開口13からエアバッグ10内に入れれば、エアバッグ10の製造を完了することができる。
【0067】
エアバッグ装置M1を組み立てて車両に搭載する場合には、リテーナ85の図
示しない各ボルトを取付孔14から突出させるようにエアバッグ10内にリテーナ85を入れ、ついで、エアバッグ10を折り畳んで、折り崩れしないように、エアバッグ10を所定の折り崩れ防止材によって包む。ついで、リテーナ85の図示しない各ボルトを貫通孔89cから突出させるように、ケース89内の底壁部89a上にエアバッグ10を収納し、さらに、インフレーター87の本体部87aを下方から底壁部89aの挿通孔89bに挿入させて、フランジ部87cにリテーナ85の図示しない各ボルトを貫通させて、各ボルトに図示しないナットを締結すれば、収納部位としてのケース89に、エアバッグ10とインフレーター87とを収納し、かつ、リテーナ85を利用して、エアバッグ10とインフレーター87とを取り付けることができる。さらに、ケース89にエアバッグカバー93を被せて、リベット91等を利用して側壁部89d,65相互を連結して、ケース89にエアバッグカバー93を取り付け、さらに、ケース89の取付片89eに、図示しないホーンスイッチ機構を組み付ければ、エアバッグ装置M1を組み立てることができる。そして、エアバッグ装置M1の車両への搭載は、予め、ステアリングシャフトSSに締結したステアリングホイール本体1に対して、ホーンスイッチ機構の図示しない取付基板を利用して、エアバッグ装置M1を取り付ければ、エアバッグ装置M1を車両に搭載することができる。
【0068】
そして、第1実施形態の運転席用エアバッグ装置M1では、膨張用ガスGが流入用開口13を経てエアバッグ10に流入するように作動すると、膨張用ガスGにより、エアバッグ10が膨張し、エアバッグカバー93の扉部94a,94aを押し開いて、エアバッグ10が、
図2の二点鎖線に示すように、収納部位としてのケース89から突出して、リング部Rの上面PR側を覆うように、膨張を完了させる。
【0069】
そして、第1実施形態では、エアバッグ10が膨張して、運転者側壁部16が運転者Dを受け止めて、ステアリングホイール本体1のリング部Rの上面PRに支持された車体側壁部12側に接近すれば、排気用ストラップ32の一対の連結帯部36L,36Rが緩み、内側部22の内側開口23を利用して、エアバッグ10の内圧を受けたカバー部33が、離隔縁33b側を、外側開口21を潜らせて外側部20の外周面20a側に繰り出させることにより、外側部20の外側開口21と内側部22の内側開口23とを連通させて、ベントホール19を開口させることから、エアバッグ10は、開口したベントホール19から膨張用ガスGを排気し、所定の内圧で、運転者Dをクッション性良く受け止めることができる(
図9,14参照)。
【0070】
そして、排気用ストラップ32は、一対の連結帯部36L,36Rの運転者側壁部16への結合部位37L,37Rを、エアバッグ10の膨張完了時の運転者側壁部16の側から見て、ベントホール19の配置位置より、運転者側壁部16の中央17側に接近し、かつ、中央17側を間にした対称的な左右両側に、配置させている(
図4,7,9,10参照)。そのため、コラム角度θcを有したステアリングホイールWのリング部Rの操舵時において、膨張完了状態のエアバッグ10における車体側壁部12を支持するリング部Rの下端Rb側に対して運転者Dが前進移動し、そして、エアバッグ10が前方側に運転者Dに押圧される際、運転者側壁部16の中央17付近の前進移動量FLは、ステアリングホイールWの回転中心Scと運転者側壁部16の中央(中心)17とが略一致していることから、
図14のAに示すように、直進操舵していたり、あるいは、
図14のBに示すように、180°の回転操舵をしていても、略均一となる。そのため、エアバッグ装置M1の作動時、運転者Dがリング部Rを操舵して操舵角度を種々変化させていても、運転者受止時には、一対の連結帯部36L,36Rの緩み量を略均一にできて、運転者Dの前進移動量FLに対応してベントホール19を開口でき、ベントホール19の排気性能を安定して確保できることとなる。
【0071】
さらに、エアバッグ10の膨張完了時、車体側壁部12における流入用開口13とベントホール19との配置方向と直交する側方から見ると、外側開口21と内側開口23とは、開口面が、共に、流入用開口13側の中央側縁19aより、流入用開口13から離れた外周側縁19bを、立ち上がらせるような配置状態となって、外周側縁19bが、運転者側壁部16の中央17付近に接近する状態となる。特に、テザー301,302の長さを長くして、車体側壁部12と運転者側壁部16との離隔距離を長くし、エアバッグ10を厚く膨張させるような場合、側方から見るエアバッグ10が、より球状に膨張することから、ベントホール19の開口面における外周側縁19bが、一層、運転者側壁部16の中央17付近に接近する状態となる。
【0072】
しかし、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、排気用ストラップ32が、一対の連結帯部36L,36Rにおける運転者側壁部16との結合部位37L,37Rから延びた部位38L,38Rとカバー部33との連なった流入用開口13に接近する接近縁39と流入用開口13から離れた離隔縁40との長さ寸法EC0,ES0に関し、離隔縁40の長さ寸法ES0を、接近縁39の長さ寸法EC0より、短くしていることから、ベントホール19の開口面、特に、外側開口21の開口面における外周側縁19bが、運転者側壁部16の中央17付近に接近しても、離隔縁40の長さ寸法ES0を接近縁39の長さ寸法EC0より短くした分、エアバッグ10の膨張完了時において、カバー部33の離隔縁40側が外側開口21を潜るような挙動を抑制できる。すなわち、エアバッグ10が単に膨張を完了させただけでは、ベントホール19を開口させるように、カバー部33の離隔縁40側が撓むことを防止できる。
【0073】
ちなみに、離隔縁40の長さ寸法ES0が接近縁39の長さ寸法EC0と同等としていれば、外側開口21の開口面における外周側縁19bが運転者側壁部16の中央17付近に接近するように、そのエアバッグが膨張すれば、外側開口21の開口面の外周側縁19bが運転者側壁部16の中央17側に接近した分、テザーの離隔縁40側に、接近縁39側より、たるむような余裕ができて、そのエアバッグが運転者を受け止める前に、
図12に示すように、カバー部33の離隔縁33b側が撓んで外側開口21を潜る事態を招き、ベントホール19を開口させる虞れが生ずる。
【0074】
勿論、離隔縁40の長さ寸法ES0を接近縁39の長さ寸法EC0より短くする寸法差は、膨張完了時のエアバッグ10の厚さ寸法(テザー30で規制する車体側壁部12と運転者側壁部16との離隔距離、換言すれば、排気用ストラップ32におけるカバー部33から運転者側壁部16の中央17側に結合させた部位37までの長さ)に対応させて、エアバッグ10の膨張完了時のカバー部33によるベントホール19の閉塞状態を確保可能で、かつ、運転者Dの受止時のカバー部33によるベントホール19の開口状態を確保できる範囲内で、設定すればよい。
【0075】
したがって、第1実施形態の運転席用エアバッグ装置M1では、ベントホール19の排気性能を安定させることができる。換言すれば、排気用ストラップ32の一対の連結帯部36L,36Rを運転者側壁部16の中央17側に結合させて、リング部Rを操舵して操舵角度を種々変化させていても、ベントホール19の開口性能を安定させることができ、さらに、排気用ストラップ32の所定の離隔縁40の長さ寸法ES0を、所定寸法差を設けて、接近縁39の長さ寸法EC0より短くしたことから、排気用ストラップ32の一対の連結帯部36L,36Rを運転者側壁部16の中央17側に結合させたことによるエアバッグ10の運転者Dの受止前のベントホール19の開口、を防止できる。
【0076】
また、第1実施形態の運転席用エアバッグ装置M1では、排気用ストラップ32が、一対の連結帯部36L,36Rにおける運転者側壁部16の結合部位37L,37Rとカバー部33との間で、相互に結合可能に、車体側構成部42と運転者側構成部45とに2分割される構成としている。車体側構成部42は、カバー部33と、カバー部33の左右両側から延びて一対の連結帯部36L,36Rのカバー部33側の部位とした車体側連結片部43L,43Rと、を具備して構成されている。運転者側構成部45は、一対の車体側連結片部43L,43Rにそれぞれ結合される一対の運転者側連結片部46L,46Rと、一対の運転者側連結片部46L,46Rを運転者側壁部16に結合させる運転者側結合部37L,37Rと、を具備して構成されている。
【0077】
そのため、第1実施形態では、排気用ストラップ32が、運転者側壁部16側に結合させる運転者側構成部45と車体側構成部42とに分割されており、それぞれ、運転者側壁部16と車体側壁部12とに連結させた状態で、運転者側壁部16と車体側壁部12との外周縁16a,12b相互を結合し、そして、運転者側構成部45と車体側構成部42との対応する連結片部46,43相互を結合させれば、排気用ストラップ32を容易に形成できる。
【0078】
そしてその際、第1実施形態では、離隔縁40の長さ寸法ES0を接近縁39の長さ寸法EC0より短くする長さ調整(寸法差調整)として、車体側構成部42の車体側連結片部43L,43Rに、屈曲部43cを設けて、内外周の周長差により、調整しており、容易に調整することができる。
【0079】
なお、離隔縁40の長さ寸法ES0を接近縁39の長さ寸法EC0より短くする長さ調整(寸法差調整)としては、
図16に示すように、運転者側構成部45の運転者側連結片部46L,46Rに屈曲部46aを設けて、内外周の周長差により、調整しても良い。
【0080】
勿論、この長さ調整は、車体側連結片部43(43L,43R)と運転者側連結片部46(46L,46R)との両方に、周長差を設けたり、車体側連結片部43L,43Rの左右の片側と、運転者側連結片部46L,46Rの左右の片側と、に周長差を設けて、調整しても良い。
【0081】
さらに、その寸法差調整は、
図17に示すように、車体側構成部42の車体側連結片部43L,43Rと運転者側構成部45の運転者側連結片部46L,46Rとの相互の結合部位としての縫合部48,48の結合角度θYにより、容易に調整することもできる。図例の場合には、縫合部48,48の部位において、内外周の周長差を設けるように、車体側連結片部43L,43Rから外縁側(前方側)に傾斜する結合角度θYを設けるような屈曲部50を設けて、車体側連結片部43L,43Rに対して、運転者側連結片部46L,46Rを結合させるように縫合し、離隔縁40の長さ寸法ES0を接近縁39の長さ寸法EC0より短く調整している。
【0082】
また、離隔縁40と接近縁39との長さ調整に関し、離隔縁40と接近縁39とに周長差を設ける場合、屈曲部43c,46a,50を設けずに、緩やかに連なるように円弧状に、帯本体部38(38L,38R)や連結片部43(43L,43R),46(46L,46R)の接近縁39と離隔縁40とを、形成してもよい。
【0083】
なお、第1実施形態では、補強部76aを設けて、排気用ストラップ32側の車体側構成部42と規制用ストラップ52側の車体側構成部62とを一枚のシート状の共用車体側構成部76としたが、排気用ストラップ32側の車体側構成部42と規制用ストラップ52側の車体側構成部62とを、別体としてもよい。
【0084】
また、第1実施形態では、排気用ストラップ32を、帯本体部38の部位で分割して、車体側構成部42と運転者側構成部45とに、2分割したが、さらに分割した構成としてもよく、逆に、排気用ストラップ32を、分割せずに配設しても良い。
【0085】
さらに、第1実施形態では、エアバッグ10の膨張完了時、車体側壁部12における流入用開口13とベントホール19との配置方向と直交する側方から見ると、
図9に示すように、排気用ストラップ32のベントホール19を塞ぐカバー部33が、運転者側壁部16の中央17側に結合させた連結帯部36L,36Rの結合部37L,37Rから、遠ざかるようなエアバッグ10の外周縁10a側に離れた状態となり、張力を受けて、運転者側壁部16の中央17側に近い流入用開口13側へずれ移動しようとする。そして、車体側壁部12に共縫いされた接近縁33a側と相違して、車体側壁部12に縫われていないカバー部33の離隔縁33b側では、接近縁33a側に移動しようとする。
【0086】
しかし、第1実施形態では、エアバッグ10のカバー部33が、ベントホール19の開口時における離隔縁33bの外側開口21を潜る曲げ変形を許容し、離隔縁33bの接近縁33a側へ接近するずれ移動を抑制する補強部としての補強布34、を備えていることから、エアバッグ10の膨張完了時、排気用ストラップ32のカバー部33の離隔縁33b側が、外側開口21と内側開口23とを連通させるような接近縁33a側へのずれ移動を抑制できる。すなわち、エアバッグ10が膨張を完了させただけでは、ベントホール19を開口させるように、カバー部33の離隔縁33b側が接近縁33a側にずれ移動することを防止できる。
【0087】
ちなみに、離隔縁33b側の接近縁33a側へのずれ移動を抑制する補強部としての補強布34を備えていない場合、排気用ストラップ32のベントホール19(外側開口21)を塞ぐカバー部33が、運転者側壁部16の中央17側に結合させた連結帯部36L,36Rの結合部37L,37Rから、遠ざかるようなエアバッグ10の外周縁10a側に離れた配置状態として、エアバッグの膨張完了時、排気用ストラップ32の連結帯部36L,36Rに大きな張力が作用すれば、エアバッグが運転者を受け止める前に、
図13に示すように、カバー部33の離隔縁33b側が、運転者側壁部16の中央17側に近い接近縁33a側へずれ移動して、外側開口21のエリア内に進入し、外側開口21と内側開口23とを連通させる虞れが生ずる。
【0088】
そして、第1実施形態の運転席用エアバッグ装置M1では、補強部が、カバー部33に結合させた補強布34、によって構成されている。
【0089】
そのため、第1実施形態では、カバー部33に単に補強布34を縫合,接着,溶着等により結合させるだけで、簡便に補強部を形成できる。そしてまた、使用する補強布34の枚数を調整してカバー部33に結合させることが可能となり、エアバッグ10の膨張完了時におけるカバー部33の離隔縁33b側に対して、接近縁33a側に移動させるように作用する張力の大きさに応じて、所定枚数の補強布34を使用すれば、容易に対処することもできる。
【0090】
この場合、第1実施形態では、補強布34が、外周縁を、カバー部33における外側部20と内側部22との間の領域内に配置させつつ、縫合して、カバー部33に、結合される構成とするとともに、補強布34のカバー部33への縫合部35が、カバー部33の連結帯部36L,36R側の両縁34b,34cに、それぞれ、流入用開口13とベントホール19とを結ぶ直線CLと平行に設けた直線部35b,35cと、カバー部33の離隔縁33b側の外縁34aで、両側の直線部35b、35cを連ならせるように直線状に配置させた直線部35aと、を備えて構成されている。
【0091】
そのため、第1実施形態では、補強布34を縫合によりカバー部33に結合させており、エアバッグ10自体が縫合作業で形成されており、その製造工程中に、容易に、補強布34をカバー部33に縫合させて結合させることができる。ま
た、補強布34のカバー部33への縫合部35が、カバー部33における外側部20と内側部22との間の領域内であるため、内側部22の左右の縁22a,22bに縫合部35が当らず、膨張完了後のエアバッグ10における運転者Dの受け止め時におけるベントホール19の開口時、カバー部33が外側部20と内側部22との間、すなわち、ガイド部28内を摺動する挙動を阻害せず、カバー部33が、円滑に、外側開口21を経て外側部20の外周面20a側に繰り出されて、ベントホール19を開口させることができる。さらに、補強布34のカバー部33への縫合部35が、カバー部33の両縁33c,33d側の一対の直線部35b,35cと、これらの一対の直線部35b,35c相互を連結する離隔縁33b側の直線部35aと、を連続的に連ならせている。そのため、離隔縁33b側からの補強布34とカバー部33との間への膨張用ガスGの進入を防止できる。ちなみに、離隔縁33b側から、補強布34とカバー部33との間に、膨張用ガスGが進入し、その部位が膨らむと、その膨張部位が外側開口21を塞ぎ、ベントホール19の開口を阻害する虞れが生ずる。なお、カバー部33の接近縁33a側では、外側部20や内側部22に共縫いされており、接近縁33a側からの補強布34とカバー部33との間への膨張用ガスGの進入は、抑制されていることから、その接近縁33a側の補強布34の縫合は、任意であり、必ずしも必要ない。ちなみに、第1実施形態では、補強布34の接近縁33a側の内縁34dは、縫合部25により、車体側壁部12に対し、共縫いされている。
【0092】
なお、第1実施形態の補強布34は、運転者Dの受け止め時におけるベントホール19の開口、すなわち、
図9,10に示すように、カバー部33の離隔縁33b側を、外側開口21を潜らせて、離隔縁33bの中央33bc付近を、左右方向の横断面で外膨らみで湾曲させるように撓ませる挙動(曲げ変形させる挙動)を、抑制しないように、左右の両縁34b,34cに、前後方向の直線CLに沿う直線部35b,35cを設けて、カバー部33に縫合されている。すなわち、これらの前後方向に沿った直線部35b,35cによって、カバー部33における離隔縁33bの中央33bc付近の接近縁33aへ接近するずれ移動(撓み)に対抗する剛性、が確保されている。
【0093】
また、補強布34は、一枚でも良いが、カバー部33の離隔縁33bのずれ移動を的確に抑制できれば、第1実施形態のように、複数枚(三枚)使用する構成としても良い。
【0094】
さらに、エアバッグ10の膨張完了後における運転者Dの受け止め前のカバー部33の離隔縁33bのずれ移動を抑制でき、かつ、運転者Dの受け止め時におけるベントホール19の開口、すなわち、カバー部33の離隔縁33b側の中央33bc付近を、外側開口21を潜らせるように、撓ませる挙動を、抑制しなければ、カバー部33に、補強布と異なる補強部を設けても良い。例えば、カバー部33の左右の縁33c,33d側に、前後方向に沿って、棒状や線状の補強材を設けて、補強部を形成してもよい。このような補強材は、合成樹脂材や金属材等のワイヤー、棒材、シート材を、縁33c,33d側等の所定部位に配設したり、あるいは、接着剤を縁33c,33d側に含浸固化させて、接着剤を補強材として、配設することができる。また、補強材としては、縫合部35のような、単に、カバー部33に縫合する縫合糸により、構成することもできる。
【0095】
さらにまた、第1実施形態では、ベントホール19の外側開口21を、車体側壁部12の本体部12aを構成する外側部20に設けた場合を示したが、
図18〜20に示す第2実施形態のエアバッグ10Aのように、ベントホール19の外側開口21を、車体側壁部12の本体部12aに結合させる外側部20Aに設け、車体側壁部12の本体部12aを内側部22Aの構成部位として、その内側部22Aに内側開口23を設けても良い。また、内側部22Aの内側開口23の左右両側の縁22a,22bに、排気用ストラップ32におけるカバー部33から延びる一対の連結帯部36(36L,36R)を挿通させる挿通孔28a、を設けて構成されている。
【0096】
この第2実施形態のエアバッグ10Aは、上記のように、外側部20Aが、車体側壁部12の本体部12aに対し、流入用開口13側の内縁24と流入用開口13から離れた外縁26を縫合させ、残りの前後の縁も本体部12aに縫合するとともに、排気用ストラップ32のカバー部33を、外側部20Aと内側部22Aとで構成されるガイド部28A内に配置させ、カバー部33の左右両側から延びる一対の連結帯部36を、ガイド部28Aの両側の車体側壁部12の本体部12a、換言すれば、内側部22A、の左右の縁22a,22bに設けた挿通孔28aから、運転者側壁部16の中央17側に延ばしている点が、第1実施形態と大きく異ならせている。そして、他の構成は、第1実施形態と略同様である。
【0097】
すなわち、排気用ストラップ32は、カバー部33の接近縁33aが、外側部20Aの縫合部25により、車体側壁部12に共縫いされている。また、排気用ストラップ32は、屈曲部43cが設けられて、離隔縁40の長さ寸法ES0が接近縁39の長さ寸法EC0より短く設定され、カバー部33に補強布34を縫合して構成され、運転者側結合部37が運転者側壁部16の中央17付近に結合されている。さらに、エアバッグ10Aは、規制用ストラップ52を備えている。なお、これらの排気用ストラップ32と規制用ストラップ52は、車体側構成部42,62と共用運転者側構成部79とに、分割されて構成されている。
【0098】
そして、このエアバッグ10Aも、第1実施形態と同様に、図示しないが、所定のリテーナ85を組み付けられて折り畳まれ、ケース89に対し、インフレーター87とともに取り付けられ、そして、ケース89にエアバッグカバー93が締結されて、エアバッグ装置M2として組み立てられ、ステアリングシャフトSSに装着されたステアリングホイール本体1に組み付けられて、車両に搭載される。車両への搭載後、エアバッグ装置M2が作動すれば、第1実施形態と同様な作用・効果を得ることができる。
【0099】
なお、各実施形態では、内側部22,22Aの内側開口23として、円形に開口した一つのものを例示したが、例えば小径の円形等の開口を複数配設して、内側開口としても良い。