(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0016】
なお、以下に示す説明において、分布算出部150、選択部160、判定部170、および出力制御部180は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。分布算出部150、選択部160、判定部170、および出力制御部180は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされた本図の構成要素を実現するプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶メディア、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置には様々な変形例がある。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る投射装置10の構成例を示す図である。
本実施形態によれば、投射装置10は、レーザ光源110、投射制御部120、投射部130、測定部140、分布算出部150、選択部160、判定部170、および出力制御部180を有する。レーザ光源110は、レーザ光である光を発する。投射制御部120は、投射する光の強度分布を画像情報に基づいて制御することにより、画像を生成する。投射部130は、投射制御部120によって制御された光を投射する。測定部140は、投射部130から投射された光の強度を測定する。分布算出部150は、画像情報に基づいて、投射部130から投射される光の強度分布を算出する。選択部160は、画像のうち、判定に用いる一部の評価領域を選択する。判定部170は、分布算出部150で算出された光の評価領域の強度分布と、測定部140で測定された光の評価領域の強度とに基づいて、異常な投射が生じたか否かを判定する。出力制御部180は、判定部170の判定結果に基づいて、レーザ光源110および投射制御部120のいずれか一方を制御する。以下で、詳細に説明する。
【0018】
レーザ光源110からはレーザ光である光が発せられる。レーザ光源110から発せられた光は、投射制御部120に入射する。投射制御部120では、投射しようとする画像の情報に基づいて、光の強度分布が制御される。投射制御部120で制御された光は投射部130に入射し、投射部130からスクリーンに対して投射される。このとき、測定部140によって投射部130から投射される光の強度分布が測定される。
【0019】
一方で、分布算出部150は、投射しようとする画像の情報に基づいて、投射部130から投射される画像の強度分布を算出する。分布算出部150で算出された強度分布は、選択部160および出力制御部180に入力される。出力制御部180は、分布算出部150で算出された強度分布に基づいて、レーザ光源110および投射制御部120のいずれか一方、もしくはレーザ光源110および投射制御部120の両方を制御し、投射される光の強度を調整する。
【0020】
選択部160は、分布算出部150で算出された強度分布に基づいて、投射しようとする画像のうち、異常出力が生じていないかどうかの判定のために用いる一部の評価領域を選択する。選択部160は選択した評価領域を示す情報と、分布算出部150で算出された強度分布のうち、選択した評価領域における強度の情報を判定部170へ入力する。
【0021】
判定部170には、選択部160から、評価領域を示す情報と、その評価領域における強度の情報とが入力され、さらに、測定部140から、投射された光の強度分布を示す情報が入力される。判定部170は、選択部160から入力された評価領域を示す情報に基づき、測定部140から入力された強度分布情報のうち、評価領域について、測定された光の強度を算出する。そして判定部170は、選択部160から入力された、評価領域について算出された光の強度と、評価領域について測定された光の強度とを比較する。判定部170は、評価領域について算出された光の強度と、評価領域について測定された光の強度との差に基づき、投射部130から異常な投射が生じたか否かを判定する。判定部170から出力制御部180へは、異常な投射が生じたか否かの判定結果が入力される。
【0022】
出力制御部180は、判定部170の判定結果に基づき、レーザ光源110および投射制御部120のいずれか一方、もしくはレーザ光源110および投射制御部120の両方を制御する。レーザ光源110および投射制御部120は、出力制御部180により、投射部130から投射される光が正常な強度分布を持つよう制御されるか、もしくは、投射を停止するよう制御される。投射制御部120および判定部170の動作を含め、以下で詳細に説明する。
【0023】
図2は、本実施形態に係るレーザ光源110、投射制御部120、投射部130、および測定部140の構成例を示す図である。本実施形態に係る投射装置10はさらに整形光学系112を有する。整形光学系112はレーザ光源110の光出力口の前方に配置され、レーザ光源110から発せられた光を、後の位相変調、フーリエ変換、結像、投射に適する形状に整形する。さらに、整形光学系112は偏光板を含んでおり、整形光学系112を通ることで光の偏光が一様となる、この偏光状態は、光が投射部130から投射されるまで保存される。整形光学系112から出射された光は位相変調型空間変調素子122の受光面へ入射する。
【0024】
投射制御部120は位相変調型空間変調素子122、フーリエ変換レンズ124、および結像光学系126を備える。測定部140は、偏光保存素子142、モニタ素子144、および強度算出部146を備える。位相変調型空間変調素子122は、投射制御部120に入射された光を位相変調する。フーリエ変換レンズ124は、位相変調型空間変調素子122によって位相変調された光をフーリエ変換する。結像光学系126は、フーリエ変換レンズ124を透過した光を結像する。偏光保存素子142は、フーリエ変換レンズ124を透過した光の光路内に置かれ、光の一部を反射する。モニタ素子144は、偏光保存素子142により反射された光の強度分布を測定する。強度算出部146は、モニタ素子144で測定された光の強度に基づいて、投射部130から投射された光の強度分布を算出する。ここで、結像光学系126は、偏光保存素子142を透過した光を結像し、投射部130へ入射させる。投射部130は結像光学系126から入射された光を投射する。
【0025】
位相変調型空間変調素子122はたとえば強誘電性液晶、ホモジーニアス液晶、および垂直配向液晶を含む素子である。投射制御部120はさらに変調制御部121を備え、変調制御部121は、位相変調型空間変調素子122が有する複数の受光領域の屈折率を、それぞれ投射しようとする画像の画素毎の情報に応じて変化させる。このことで、光は位相変調され、画像の情報が光に保持される。
【0026】
もしくは、位相変調型空間変調素子122はたとえばMicro Electro Mechanical System(MEMS)素子である。位相変調型空間変調素子122の受光面に平行な基板に対して設けられた複数の微小ミラーの、基板に対する高さが変わることによって、画素毎に反射光の光路長を変化させることができる。変調制御部121は、位相変調型空間変調素子122が有する複数の微小ミラーの、基板に対する高さを、それぞれ投射しようとする画像の画素毎の情報に応じて変化させる。このことで、光は位相変調され、画像の情報が光に保持される。
【0027】
位相変調型空間変調素子122により位相変調された光は、フーリエ変換レンズ124を透過することにより回折され、また、結像光学系126へ向けて集光される。集光された光は、拡散板などを含む結像光学系126により結像され、投射部130により投射される。
【0028】
フーリエ変換レンズ124と結像光学系126の間の光路内には、偏光保存素子142が配置されている。フーリエ変換レンズ124を透過した光の一部は偏光保存素子142で反射され、モニタ素子144に入射する。偏光保存素子142で反射されなかった残りの光は偏光保存素子142を透過し、結像光学系126に入射する。光の偏光は、偏光保存素子142を透過しても保存されている。モニタ素子144はたとえば複数の受光部が2次元に配列されたフォトダイオードアレイである。モニタ素子144は偏光保存素子142から反射された反射光を受光し、反射光の強度分布を示す信号を強度算出部146へ出力する。強度算出部146は反射光の強度分布と投射部130から投射される光の強度分布との関係を示す換算情報(たとえば係数、式、テーブル)を保持している。そして、投射部130から投射された光の強度分布を算出する。
【0029】
偏光保存素子142はたとえば、ガラス、石英、および光学プラスチックのいずれかからなる。
【0030】
図3および4は、本実施形態に係る分布算出部150により算出される投射光の強度分布について説明するための図である。
図3において、投射装置10から投射された画像はスクリーン210に投射されている。本図のような投射においては、投射装置10の投射口から10cmの距離にある面220における強度分布について、安全上の基準が定められている場合がある。たとえば、実際には面220は平面ではなく、投射源を中心とする球面の一部である。基準では、投射された光が投射口から10cmの距離において、目に入射してしまった場合の安全性が想定されている。面220における波線の円は、一度に目に入射する範囲、すなわち目の大きさに相当するアパーチャー230を示している。投射装置10からの投射は、このアパーチャー230に入射する光の強度が、定められた基準値を超えないように行われなければならない。そして、アパーチャー230が、少なくとも一部に投射領域を含む限り、いずれの位置にある場合でもこの基準が満たされなければならない。
【0031】
図4(a)は、分布算出部150が算出する強度分布について説明するための図である。分布算出部150は、アパーチャー230内に入射する光の強度の積分値である積分強度を算出する。積分強度は、アパーチャー230の位置毎に算出され、それらの分布が強度分布として求められる。分布算出部150が算出する強度分布は、強度の積分を行った領域範囲を示す情報と、その情報に関連づけられた積分強度の値とを含む。ここで、位相変調型空間変調素子122においては、スクリーン210上の1点に全てのエネルギーを集中することも可能であり、アパーチャー230内にわずかでも投射領域が含まれれば、積分強度を算出しなければならない。本図においてアパーチャー230cはアパーチャー230内の全ての領域が投射領域となっている例である。一方、アパーチャー230a,230b,230dは、アパーチャー230内の一部の領域のみが投射領域となっている例である。分布算出部150は、アパーチャー230a,230b,230dなどについても積分強度を算出する。よって、分布算出部150で算出される強度分布は、投射する画像よりも広い領域についての情報となる。
【0032】
安全基準において、アパーチャー230の直径はたとえば7mmであるが、独自の基準であっても構わない、また、円形以外のアパーチャー230を設定しても構わない。
【0033】
図4(b)は、
図4(a)のX−X'断面での積分強度の分布を示した図である。積分強度の最大値と基準値とを比較し、積分強度が基準値より大きくならないように、出力制御部180はレーザ光源110および投射制御部120のいずれか一方、もしくはレーザ光源110および投射制御部120の両方を制御し、投射強度の大きさを調整する。
【0034】
分布算出部150において算出された強度分布情報は選択部160に入力される。選択部160は、算出された強度分布情報に基づき、画像のうち特定の一部を評価領域として選択する。後に詳しく説明するように、実際に投射された評価領域の光の強度が、算出された強度と合うかどうかが、異常な投射が生じたか否かの判断基準となる。
【0035】
本実施形態に係る選択部160は、分布算出部150で算出された強度分布のうち、まず、ピーク点、すなわち最大値をとる位置を抽出する。そして、ピーク点を中心として、予め定められた一定の範囲をピーク領域とする。ここで、ピーク領域は、ひとつのアパーチャー230である。つまり、ピーク点の値はピーク領域としたひとつのアパーチャー230内の強度の積分値を示している。その上で、選択部160はピーク領域を評価領域として選択する。選択部160は、選択した評価領域を示す情報と、評価領域における強度、すなわちピーク点の値の情報を判定部170に入力する。
【0036】
判定部170へは、選択部160から、評価領域を示す情報と、その評価領域における強度の情報とが入力され、さらに、測定部140から、投射された光の強度分布を示す情報が入力される。選択部160から入力された強度を、算出積分強度と呼ぶ。一方、判定部170は、選択部160から入力された評価領域を示す情報と、測定部140から入力された、投射された光の強度分布とから、評価領域について実際に投射された光の強度分布を抽出し、評価領域内の強度の積分値を算出する。この積分値を、測定積分強度と呼ぶ。
【0037】
判定部170は、評価領域の算出積分強度と測定積分強度との差を算出する。そして、この差の大きさに基づいて判定を行う。判定部170は、予め定められた、第1、第2、および第3の基準範囲を記憶している。第1の基準範囲は、算出した差が十分に小さく、想定された通りの投射がされていると判断できる範囲を示す。第3の基準範囲は、算出した差が大きく、想定外の投射が生じていると考えられる範囲を示す。第2の基準範囲は、第1の基準範囲にも第3の基準範囲にも含まれない範囲であり、明確には異常とも正常とも判断できない範囲を示す。
【0038】
判定部170は、評価領域の算出積分強度と測定積分強度との差を算出する。第1に、この差が、予め定められた第1の基準範囲内である場合、異常な投射が生じていない、つまり「正常」と判定する。そして、判定部170は「正常」の判定結果を出力制御部180に入力し、投射装置10は、投射する画像情報が別の画像情報に変化するまで、評価を行った際の画像の投射を続ける。第2に、差が予め定められた第3の基準範囲内である場合、判定部170は異常な投射が生じたと判定する。そして、「異常」の判定結果を出力制御部180に入力する。出力制御部180は、この判定結果に基づき、レーザ光源110および投射制御部120を制御し、投射を停止する。第3に、差が予め定められた第2の基準範囲内である場合、判定部170は「再評価」の判定結果を出力制御部180に入力する。出力制御部180は、算出積分強度と測定積分強度との差を補正するよう、レーザ光源110および投射制御部120のいずれか一方、もしくはレーザ光源110および投射制御部120の両方を制御する。そして、判定部170にて再度同様に算出積分強度と測定積分強度との差を算出する。この差が第1の基準範囲内である場合、異常な投射が生じていない、つまり「正常」と判定する。そして、「正常」の判定結果を出力制御部180に入力する。そして、出力制御部180は、投射する画像情報が別の画像情報に変化するまで、評価を行った際の画像の投射を続けるよう、投射制御部120を制御する。一方、この差がまたしても第2の基準範囲内である場合、あるいは、第3の基準範囲内である場合、判定部170は異常な投射が生じたと判定する。そして、「異常」もしくは、「2度目の再評価」の判定結果を出力制御部180に入力する。出力制御部180は、この判定結果に基づき、レーザ光源110および投射制御部120を制御し、投射を停止する。
【0039】
第1の基準範囲はたとえば算出積分強度の2%未満であり、第2の基準範囲はたとえば算出積分強度の2%以上10%未満であり、第3の基準範囲はたとえば算出積分強度の10%以上である。1度目の「再評価」の判定を許容しているのは、わずかな誤差で異常と判断されるのを防ぐためである。
【0040】
図5は、本実施形態に係る投射装置10の動作フローを示す図である。フローの各ブロックの左側には画像サンプルを示している。画像サンプルの白い部分において、光の強度が高い。先に説明した本実施形態に係る投射装置10の動作を、本図を参照して説明する。分布算出部150において、画像情報に基づき強度分布が算出される。算出された強度分布のピーク値が基準値を超えないよう、出力制御部180により、投射強度が調整される。そして、調整された強度で投射部130から画像が投射される。そのとき、測定部140により、投射された光の強度分布が測定される。評価領域について実際に投射された強度と算出された強度とに基づいて、異常な投射が生じたか否かの判定が判定部170で行われる。「正常」の判定がされた場合には、画像情報が別の画像情報に変化するまで、評価を行った際の画像を続けて投射する。1度目の「再評価」の判定がされた場合には、再度投射強度の調整、画像の投射、投射強度の測定、および判定が行われる。そして、「異常」もしくは2度目の「再評価」の判定がされた場合には、出力制御部180により投射を停止する制御が行われる。
【0041】
投射しようとする画像が変わった場合、分布算出部150は、強度分布を再度算出し、選択部160および出力制御部180に入力する。そして出力制御部180は投射強度を調整し、投射部130から画像が投射される。選択部160は新たに評価領域を選択し、判定部170にて判定が行われる。
【0042】
本実施形態に係る動作のフローでは、「正常」と判定された場合に、画像情報が変化するまで投射を続けるとしたが、画像情報が変化しない場合にも、予め定められた時間毎、たとえば1秒毎もしくは数秒毎に、判定を実施することが望ましい。
【0043】
次に、本実施形態の作用および効果について説明する。本実施形態に係る投射装置10では、判定部170は、実際に投射される光の強度を計測した値に基づいて判定を行う。したがって、想定外の強度の光が投射される異常出力を検出し、投射光の強度を制御したり、投射を停止したりすることができる。
【0044】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態に係る投射装置10の構成例を示す図である。本実施形態に係る投射装置10は、投射制御部120が評価領域を示す情報に基づいて投射する光の強度分布を制御する点、および、モニタ素子144としてフォトダイオードアレイの代わりにひとつの受光部を持つフォトダイオードを用いる点を除いて、第1の実施形態と同様の構成である。ただし、モニタ素子144が異なるために、選択部160および出力制御部180で行われる処理の詳細も異なる。
【0045】
本実施形態に係る投射装置10において、レーザ光源110からはレーザ光である光が発せられる。レーザ光源110から発せられた光は、投射制御部120に入射する。投射制御部120では、投射しようとする画像の情報に基づいて、光の強度分布が制御される。投射制御部120で制御された光は投射部130に入射し、投射部130からスクリーンに対して投射される。このとき、測定部140によって投射部130から投射される光の強度が測定される。
【0046】
投射制御部120は位相変調型空間変調素子122、フーリエ変換レンズ124、および結像光学系126を備える。測定部140は、偏光保存素子142、モニタ素子144、および強度算出部146を備える。位相変調型空間変調素子122は、投射制御部120に入射された光を位相変調する。フーリエ変換レンズ124は、位相変調型空間変調素子122によって位相変調された光をフーリエ変換する。結像光学系126は、フーリエ変換レンズ124を透過した光を結像する。偏光保存素子142は、フーリエ変換レンズ124を透過した光の光路内に置かれ、光の一部を反射する。モニタ素子144は、偏光保存素子142により反射された光の強度を測定する。強度算出部146は、モニタ素子144で測定された光の強度に基づいて、投射部130から投射された光の強度を算出する。ここで、結像光学系126は、偏光保存素子142を透過した光を結像し、投射部130へ入射させる。投射部130は結像光学系126から入射された光を投射する。
【0047】
次に、本実施形態に係る分布算出部150,選択部160,判定部170,および出力制御部180について説明する。分布算出部150は、投射しようとする画像の情報に基づいて、投射部130から投射される画像の強度分布を算出する。分布算出部150で算出された強度分布は、選択部160および出力制御部180に入力される。出力制御部180は、分布算出部150で算出された強度分布に基づいて、レーザ光源110および投射制御部120のいずれか一方、もしくはレーザ光源110および投射制御部120の両方を制御し、投射される光の強度を調整する。
【0048】
選択部160は、分布算出部150で算出された強度分布に基づいて、投射しようとする画像のうち、異常出力が生じていないかどうかの判定のために用いる一部の評価領域を選択する。選択部160は、選択した評価領域を示す情報を、投射制御部120へ入力する。投射制御部120は、選択部160から入力された評価領域を示す情報に基づいて、評価領域のみを投射するよう、投射する光の強度分布を制御する。また、選択部160は分布算出部150で算出された強度分布のうち、選択した評価領域における強度の情報を判定部170へ入力する。
【0049】
判定部170には、選択部160から、評価領域における強度の情報が入力され、さらに、測定部140から、投射された光の強度を示す情報が入力される。判定部170は、選択部160から入力された、評価領域について算出された光の強度と、評価領域のみが投射された際に測定された光の強度とを比較する。判定部170は、評価領域について算出された光の強度と、評価領域について測定された光の強度との差に基づき、投射部130から異常な投射が生じたか否かを判定する。判定部170から出力制御部180へは、異常な投射が生じたか否かの判定結果が入力される。
【0050】
出力制御部180は、判定部170の判定結果に基づき、レーザ光源110および投射制御部120のいずれか一方、もしくはレーザ光源110および投射制御部120の両方を制御する。レーザ光源110および投射制御部120は、出力制御部180により、投射部130から投射される光が正常な強度分布を持つよう制御されるか、もしくは、投射を停止するよう制御される。投射制御部120および判定部170の動作を含め、以下で詳細に説明する。
【0051】
図7は、本実施形態に係る投射装置10の、時間軸におけるフレーム構造の例を示す図である。ここで、本実施形態に係る投射装置10が連続した異なる画像を投射する際の、時間軸におけるフレーム構造について説明する。連続した画像の投射は、時間軸において本図のように複数のフレームで構成される。たとえば1秒間に30フレームの画像が連続して投射され、映像が構成される。ひとつのフレームはさらに複数のサブフレームからなる。ひとつのフレームを構成するサブフレームの数は予め定められた数に統一されている。通常、ひとつのフレーム内において全てのサブフレームでは、同一の画像が投射される。本図の例では、ひとつのフレームは4つのサブフレームで構成されているが、これに限定するものではない。ひとつのサブフレームの時間はたとえば数ミリ秒である。カラー画像やカラー映像を投影する場合には、ひとつのフレーム毎に異なる色の画像を投射してもよい。たとえば、赤、青、緑の画像をひとつのフレーム毎に連続して順に投射し、全体としてカラーの画像に見えるようにすることができる。また、複数フレームにわたって、同一の画像を投射しても良い。
【0052】
分布算出部150は、第1の実施形態の方法と同様にして、投射しようとする画像の強度分布を算出する。また、選択部160は、第1の実施形態の方法と同様にして、評価領域を選択する。
【0053】
投射制御部120には、選択部160から、評価領域を示す情報が入力され、投射制御部120は、ある1つのサブフレームの間、評価領域のみを投射するよう、投射する光の強度分布を制御する。測定部140は、評価領域のみが投射された際の、投射された光の強度を測定し、判定部170に入力する。モニタ素子144はひとつのフォトダイオードであるため、このとき測定される強度は、投射された評価領域の光の積分強度である。この強度を、測定積分強度と呼ぶ。一方、判定部170には、選択部160から、評価領域について算出された強度の情報が入力される。この強度を、算出積分強度と呼ぶ。
【0054】
判定部170は、評価領域の算出積分強度と測定積分強度との差を算出する。そして、この差の大きさに基づいて第1の実施形態に係る方法と同様に判定を行う。
【0055】
判定部170において、「正常」の判定がされた場合、その判定結果が出力制御部180に入力される。そして、出力制御部180は、ある1つのサブフレームの間、投射しようとする画像のうち評価領域以外の領域のみを投射するよう、投射制御部120を制御する。評価領域外の領域のみが投射された後、投射しようとする画像情報が別の画像情報に変化するまで、評価を行った際の画像の投射を続ける。判定部170において、「異常」および「再評価」の判定がされた場合の動作は、第1の実施形態と同様である。1度目の「再評価」の判定がされた後、再度評価領域の投射が行われるまでの間に、評価領域以外の領域が1つのサブフレームの間投射されてもよい。
【0056】
図8は、本実施形態に係る投射装置10の動作フローを示す図である。フローの各ブロックの左側には画像サンプルを示している。画像サンプルの白い部分において、光の強度が高い。先に説明した本実施形態に係る投射装置10の動作を、本図を参照して説明する。分布算出部150において、画像情報に基づき強度分布が算出される。算出された強度分布のピーク値が基準値を超えないよう、出力制御部180により、投射強度が調整される。そして、調整された強度で投射部130から画像が投射される。このとき、投射される画像は、選択部160で選択された評価領域の部分のみである。そして、測定部140により、投射された評価領域の光の強度分布が測定される。評価領域について実際に投射された強度と算出された強度とに基づいて、異常な投射が生じたか否かの判定が判定部170で行われる。「正常」の判定がされた場合には、画像の評価領域以外の領域が1サブフレームの間投射された後、画像情報が別の画像情報に変化するまで、画像の全ての領域が投射される。1度目の「再評価」の判定がされた場合には、再度、投射強度の調整、画像の投射、投射強度の測定、および判定が行われる。そして、「異常」もしくは2度目の「再評価」の判定がされた場合には、出力制御部180により投射を停止する制御が行われる。
【0057】
本実施形態において、画像の評価領域以外の部分を投射するのは、スクリーンに投射された画像を見る人に、投射しようとした画像を自然に認識させるためである。通常、画像の一部のみが投射されることは、見る人に不自然な視覚的影響を与える。そこで、画像の一部のみを投影した後に、連続してその一部分以外の部分を投影する。すると、一部分の画像と、その他の部分の画像は残像によって合成され、自然な画像として認識される。したがって、評価領域のみの投射と、評価領域以外の領域の投射は、連続して行われるのが好ましい。評価領域のみの投射と、評価領域以外の領域の投射とが連続して行われない場合、たとえば色割れのような不自然な状態が生じる。また、評価領域のみの投射と、その評価領域以外の領域の投射は、同一のフレーム内で行われるのが好ましい。映像において、評価領域のみの投射と、その評価領域以外の領域の投射とが、それぞれ異なるフレームで行われると、その場合にもたとえば色割れのような不自然な状態が生じるためである。
【0058】
本実施形態では、評価領域のみの投射を行った後に、その評価領域以外の領域の投射を行っているが、投射装置10の動作が非常に高速で、サブフレームの時間が極めて短い場合には、評価領域以外の領域の投射を行わなくてもよい。
【0059】
投射しようとする画像が変わった場合、分布算出部150は、強度分布を再度算出し、選択部160および出力制御部180に入力する。そして出力制御部180は投射強度を調整する。選択部160は新たに評価領域を選択し、評価領域の投射および判定が行われる。
【0060】
本実施形態に係る動作のフローでは、「正常」と判定された場合に、画像情報が変化するまで投射を続けるとしたが、画像情報が変化しない場合にも、予め定められた時間毎、たとえば1つのフレーム毎に、判定を実施することが望ましい。
【0061】
本実施形態では、モニタ素子144として、ひとつの受光部を持つフォトダイオードを用いる場合について説明したが、第1の実施形態と同様、フォトダイオードアレイを用いても良い。
【0062】
次に、本実施形態の作用および効果について説明する。本実施形態においては、第1の実施形態と同様の作用および効果が得られる。加えて、モニタ素子144としてひとつのフォトダイオードを用いることができるため、設計自由度を高くできる。
【0063】
(第3の実施形態)
図9は、第3の実施形態に係る評価領域について説明するための図である。本実施形態に係る投射装置10は、分布算出部150が画像を複数の領域に分割して分布強度を算出する点、および、選択部160がそれらの領域を順に評価領域として選択する点を除いて、第2の実施形態と同様の構成である。
【0064】
本実施形態に係る分布算出部150は、投射しようとする画像を、複数の領域に分割する。分割されてできた複数の領域をそれぞれ分割領域と呼ぶ。分割の方法は予め一義的に定められていてよく、投射しようとする画像の強度分布に依存しなくてもよい。分割は等分でもよいし、領域によって大きさが異なるようにしてもよい。投射しようとする画像の全ての領域は、いずれかの分割領域に属する。さらに分布算出部150は、各分割領域において投射される光の積分強度を算出する。選択部160は複数の分割領域から1つを評価領域として選択する。そして、評価領域として選択された分割領域のみが投射され、投射された光の強度が測定される。判定部170は、第2の実施形態と同様に、算出積分強度と測定積分強度との比較から、その分割領域において異常な投射が生じたか否かの判定を行う。選択部160は、分割領域をひとつずつ順に評価領域として選択する。つまり、全ての分割領域について順に投射と判定が行われる。本実施形態においては、投射しようとする画像の全ての領域に対して評価を行うため、強度分布からは想定できない異常な投射を見逃さずに検出できる。以下に詳細に説明する。
【0065】
図9は、本実施形態に係る分布算出部150,選択部160,判定部170,出力制御部180について説明するための図である。分布算出部150はたとえば本図のように、投射しようとする画像の全領域を、領域A〜Fに分割する。本図の実線は投射しようとする画像の外周、波線は画像を分割する線を示す。本実施形態では、画像を6つの均等な矩形の領域に分割した例を示すが、これに限定されるものではない。
【0066】
分布算出部150は、各分割領域内の光の強度の積分値である積分強度を算出する。積分強度は分割領域毎に算出され、強度分布として求められる。分布算出部150が算出する強度分布は、強度の積分を行った領域範囲を示す情報と、その情報に関連づけられた積分強度の値とを含む。選択部160は、まず、分割領域のうちのひとつを評価領域として選択する。ここではたとえば領域Aを選択する。そして、選択部160は領域Aの領域範囲を示す情報を投射制御部120に入力し、領域Aについて、分布算出部150で算出された積分強度を判定部170に入力する。そして、第2の実施形態に係る動作と同様にして、評価領域である領域Aのみが投射され、投射された光の強度が測定部140により測定され、異常な投射が行われたか否かの判定が判定部170によって行われる。
【0067】
判定部170において、「正常」の判定がされた場合、その判定結果が出力制御部180に入力される。そして、出力制御部180は、ある1つのサブフレームの間、
図9における「領域A抜」のように、評価領域以外の領域のみを投射するよう、投射制御部120を制御する。評価領域外の領域のみが投射された後、次のフレームに移るまで、画像の全領域の投射を続ける。判定部170において、1度目の「再評価」の判定がされた場合には、再度投射強度の調整、評価領域の投射、投射強度の測定、および判定が行われる。そして、「異常」もしくは2度目の「再評価」の判定がされた場合には、出力制御部180により投射を停止する制御が行われる。1度目の「再評価」の判定がされた後、再度評価領域の投射が行われるまでの間に、評価領域以外の領域が1つのサブフレームの間投射されてもよい。
【0068】
図10は、本実施形態に係る、投射のシークエンスの例を示す図である。選択部160は、判定部170で判定が行われた後、別のフレームへの切り替えが行われた後に、次の分割領域を評価領域として選択する。ここではたとえば領域Bを評価領域として選択する。そして、同様に領域Bのみが投射されて異常な投射が行われたか否かの判定が行われる。このようにして、選択部160は、分割領域を順に評価領域としてフレーム単位で切り替えて選択する。ただし、選択部160は全ての分割領域を選択する限り、どのような順序で評価領域を選択してもよい。そして、最後の分割領域が評価領域として選択された後には、選択部160は再度、最初に選択された分割領域を評価領域として選択し、繰り返して評価を続ける。たとえば、領域AからFまでを順に選択した後には、再度領域Aを選択する。ただし、これに限定されるものではなく、最後の分割領域が評価領域として選択された後、繰り返して評価を続ける代わりに、画像情報が別の画像情報に変化するまで画像全体の投射を続けても良い。
【0069】
本図は、異常なく3つのフレームの投射が行われ、選択部160での判定結果が全て「正常」である場合の例を示している。各サブフレームを示すマスには、投射する領域を記載している。ひとつのフレーム内において、領域A〜Fのいずれかが評価領域として投射されたサブフレームの、次のサブフレームには、その投射された分割領域以外の領域が投射される。たとえば、領域Aが投射されたサブフレームの次のサブフレームでは、領域A抜が投射される。領域Aもしくは領域A抜が投射されるサブフレーム以外のサブフレームでは、全ての領域が投射される。そして、次のフレームに移った後、たとえば評価領域として領域Bが投射され、次のサブフレームで領域B抜が投射される。なお、フレーム中で、評価領域および評価領域以外の領域の投射は何番目のサブフレームで行われても良い。ただし、評価領域および評価領域以外の領域の投射は連続して行われ、異なるフレームにわたらないことが好ましい。また、フレーム内のサブフレームの全てにおいて、画像全体を表示するフレームが存在してもよい。また、ひとつのフレーム内で、評価領域の投射と、評価領域以外の領域の投射が、複数組行われても良い。
【0070】
判定のための投射、つまり評価領域のみの投射および評価領域以外の投射が一定のタイミングで行われると、見る人が、そのパターンを認識してしまう可能性がある。そのため、判定のための投射は短期的には不規則に行われることが好ましい。本図では、領域Aの投射はフレーム中の1番目のサブフレームで行われ、領域Bの投射や領域Cの投射は2番目のサブフレームで行われている。
【0071】
フレームが変わるとともに、投射しようとする画像が変わる場合、分布算出部150は、強度分布を再度算出し、選択部160および出力制御部180に入力する。そして出力制御部180は投射強度を調整する。選択部160は評価領域を選択し、評価領域の投射および判定が行われる。その際、評価領域の選択順序は最初の分割領域(たとえば領域A)に戻っても良いし、以前のフレームから継続しても良い。
【0072】
本実施形態においても、第1および第2の実施形態で行ったように、判定のための画像の投射を行う前に、分布算出部150により算出された強度分布に基づいて、投射強度の調整が行われる。このとき、分割領域による強度分布を用いてもよいし、たとえば別途、分布算出部150においてより細かく領域分けをした強度分布を算出して用いてもよい。ただし、各積分強度に対する基準値は、各積分強度を算出した領域の大きさに応じて設定されるべきである。この領域が大きいほど、基準値は大きくなるよう設定される。
【0073】
次に、本実施形態の作用および効果について説明する。本実施形態においては、第1および第2の実施形態と同様の作用および効果が得られる。加えて、以下の作用および効果が得られる。
【0074】
図11は、本実施形態の作用および効果について説明するための図である。本図は、安全性の評価を行う面220において、想定外のピーク240の位置が計算上のピーク250の位置と異なる位置にある状態を示している。投射装置10、特に位相変調型空間変調素子122に異常があり、このような状態が生じる可能性もある。この想定外のピーク240の位置は、強度分布からは予想できないが、本実施形態に係る投射装置10では、分布算出部150により生成された強度分布情報における分割領域を順に評価領域として判定を行うため、異常を検出できる。このように、本実施形態に係る投射装置10においては、計算上のピーク250の位置に限らず、想定外の強度の光が投射される異常出力を検出し、投射光の強度を制御したり、投射を停止したりすることができる。
【0075】
(第4の実施形態)
図12は、本実施形態に係る分割領域について説明するための図である。本実施形態に係る投射装置10は、分布算出部150による分割領域の設定の方法を除いて、第3の実施形態と同様の構成である。本図では、黒く示した部分において、投射する光の強度が高い。
【0076】
本実施形態に係る分布算出部150は、
図12(b)に例を示すように、投射しようとする画像のうち、分割領域の境界における光の強度が、画像全体の光の強度の平均値よりも小さくなるように分割領域を生成する。たとえば、生成する分割領域の数を予め定めておき、分割領域の境界における光の強度が、画像全体の光の強度の平均値よりも小さくなるように各分割領域の大きさを調整する。分布算出部150は生成した各分割領域について光の積分強度を求め、強度分布を算出する。選択部160は第3の実施形態と同様に、各分割領域を順に評価領域として選択し、異常な投射が行われているか否かの判定が判定部170によって行われる。
【0077】
次に、本実施形態の作用および効果について説明する。本実施形態においては、第1、第2、および第3の実施形態と同様の作用および効果が得られる。加えて、以下の作用および効果が得られる。
【0078】
図12(a)は、画像を均等に分割して生成された分割領域の例を示す図であり、
図12(b)は、本実施形態に係る方法で生成された分割領域の例を示す図である。均等な分割では、光の強度の高い部分に分割領域の境界が位置してしまうことがある。このような分割では、サブフレームの時間幅や、画像の輝度などの条件次第で、分割による切れ目がわずかではあるが見る人に視認されてしまう可能性がある。特に、文字のように高いコントラストがある場合などにこのような問題が生じやすいといえる。本実施形態においては、分割領域の境界を常に光の強度の低い部分に設定することにより、分割領域が視認されることを防ぐことができる。
【0079】
(第5の実施形態)
第5の実施形態に係る投射装置10は、選択部160が複数の分割領域とピーク領域とを順に評価領域として選択する点を除いて、第3の実施形態に係る投射装置10と同様である。
【0080】
本実施形態に係る分布算出部150は、第1の実施形態に係る方法と同様に一定の大きさのアパーチャー230を設定し、強度分布を算出する。また、分布算出部150は、別途、第3の実施形態に係る方法もしくは第4の実施形態に係る方法と同様に、強度分布を算出する。
【0081】
選択部160は、第3または第4の実施形態で定義した複数の分割領域と、第1の実施形態で定義したピーク領域とを順に評価領域として選択する。第2〜第4の実施形態と同様に、評価領域の投射が行われ、異常な投射が行われているか否かの判定が判定部170により行われる。
【0082】
次に、本実施形態の作用および効果について説明する。本実施形態においては、第1〜第4の実施形態と同様の作用および効果が得られる。加えて、以下の作用および効果が得られる。
【0083】
図13は、本実施形態の作用および効果を説明するための図である。本図は、光の強度のピーク領域260が複数の分割領域にわたっている例を示している。この場合に分割領域のみを評価領域とすると、単一のブロックでは基準値の条件を満たす可能性がある。一方で、ピーク領域260の強度は基準値を超える可能性がある。本実施形態に係る選択部160では、複数の分割領域とピーク領域とを順に評価領域として選択するため、このような場合にも想定外の強度の光が投射される異常出力を検出し、投射光の強度を制御したり、投射を停止したりすることができる。
【0084】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. レーザ光である光を発するレーザ光源と、
投射する前記光の強度分布を画像情報に基づいて制御することにより画像を生成する投射制御部と、
前記投射制御部によって制御された前記光を投射する投射部と、
前記投射部から投射された前記光の強度を測定する測定部と、
前記画像情報に基づいて、前記投射部から投射される前記光の強度分布を算出する分布算出部と、
前記画像のうち、判定に用いる一部の評価領域を選択する選択部と、
前記分布算出部で算出された前記光の前記評価領域の強度分布と、前記測定部で測定された前記光の前記評価領域の強度とに基づいて、異常な投射が生じたか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて前記レーザ光源および前記投射制御部のいずれか一方を制御する出力制御部と
を備える投射装置。
2. 1.に記載の投射装置において、
前記投射制御部は前記評価領域を示す情報に基づいて投射する前記光の強度分布を制御する
投射装置。
3. 1.または2.に記載の投射装置において、
前記選択部は、前記分布算出部で算出された前記光の強度分布に基づいて、前記評価領域を選択する
投射装置。
4. 1.から3.のいずれか一つに記載の投射装置において、
前記選択部は、前記分布算出部で算出された前記光の強度分布のピーク点を含む領域をピーク領域とし、前記ピーク領域を前記評価領域として選択する
投射装置。
5. 1.または2.に記載の投射装置において、
前記分布算出部は、前記画像を分割して複数の分割領域とし、
前記選択部は、前記分割領域を順に前記評価領域として選択する
投射装置。
6. 5.に記載の投射装置において、
前記分布算出部は、前記画像情報に基づいて、前記複数の前記分割領域の境界における前記光の強度が、前記画像全体の前記光の強度の平均値よりも小さくなるように前記分割領域を生成する
投射装置。
7. 5.または6.に記載の投射装置において、
前記選択部は、
前記分布算出部で算出された前記光の強度分布のピーク点を含む領域をピーク領域とし、
前記複数の前記分割領域と前記ピーク領域とを順に前記評価領域として選択する
投射装置。
8. 1.から7.のいずれか一つに記載の投射装置において、
前記投射制御部は
前記光を位相変調する位相変調型空間変調素子と、
前記位相変調型空間変調素子によって位相変調された前記光をフーリエ変換するフーリエ変換レンズと、
前記光を結像する結像光学系とを備え、
前記測定部は
前記フーリエ変換レンズを透過した前記光の光路内に置かれ、当該光の一部を反射する偏光保存素子と、
前記偏光保存素子によって反射された前記光の強度を測定するモニタ素子と、
前記モニタ素子で測定された前記光の強度に基づいて、前記投射された前記光の強度を算出する強度算出部と
を備え、
前記結像光学系は、前記偏光保存素子を透過した前記光を結像する
投射装置。
9. レーザ光である光を発するレーザ光源と、
投射する前記光の強度分布を画像情報に基づいて制御することにより画像を生成する投射制御部と、
前記投射制御部によって制御された前記光を投射する投射部と
を備える投射装置を制御する制御方法であって、
前記画像情報に基づいて、前記投射装置から投射される前記光の強度分布を算出し、
投射する前記画像のうち、判定に用いる一部の評価領域を選択し、
前記投射装置から投射された前記光の強度を測定し、
算出された前記光の前記評価領域の強度分布と、測定された前記光の前記評価領域の強度とに基づいて、異常な投射が生じたか否かを判定し、
判定結果に基づいて前記投射装置から投射される前記光の強度分布を制御する
投射装置の制御方法。
10. 9.に記載の投射装置の制御方法において、
前記評価領域を示す情報に基づいて投射する前記光の強度分布を制御する
投射装置の制御方法。
11. 9.または10.に記載の投射装置の制御方法において、
算出された前記光の強度分布に基づいて、前記評価領域を選択する
投射装置の制御方法。
12. 9.から11.のいずれか一つに記載の投射装置の制御方法において、
算出された前記光の強度分布のピーク点を含む領域をピーク領域とし、前記ピーク領域を前記評価領域として選択する
投射装置の制御方法。
13. 9.または10.に記載の投射装置の制御方法において、
前記画像を分割して複数の分割領域とし、
前記分割領域を順に前記評価領域として選択する
投射装置の制御方法。
14. 13.に記載の投射装置の制御方法において、
前記画像情報に基づいて、前記複数の前記分割領域の境界における前記光の強度が、前記画像全体の前記光の強度の平均値よりも小さくなるように前記分割領域を生成する
投射装置の制御方法。
15. 13.または14.に記載の投射装置の制御方法において、
算出された前記光の強度分布のピーク点を含む領域をピーク領域とし、
前記複数の前記分割領域と前記ピーク領域とを順に前記評価領域として選択する
投射装置の制御方法。
16. レーザ光である光を発するレーザ光源と、
投射する前記光の強度分布を画像情報に基づいて制御することにより画像を生成する投射制御部と、
前記投射制御部によって制御された前記光を投射する投射部と
を備える投射装置を制御する制御装置であって、
投射する前記画像の前記画像情報に基づいて、前記投射装置から投射される前記光の強度分布を算出する分布算出部と、
投射する前記画像のうち、判定に用いる一部の評価領域を選択する選択部と、
前記投射装置から投射された前記光の強度を測定する測定部と、
前記分布算出部で算出された前記光の前記評価領域の強度分布と、前記測定部で測定された前記光の前記評価領域の強度とに基づいて、異常な投射が生じたか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて前記投射装置から投射される前記光の強度分布を制御する出力制御部と
を備える投射装置の制御装置。
17. 16.に記載の投射装置の制御装置において、
前記選択部は、前記評価領域を示す情報を前記投射制御部に送信し、
前記投射制御部は、前記選択部から受信した前記評価領域を示す情報に基づいて、前記画像から投射すべき領域を選択し、選択した領域を投射するよう前記光の強度分布を制御する
投射装置の制御装置。
18. 16.または17.に記載の投射装置の制御装置において、
前記選択部は、前記分布算出部で算出された前記光の強度分布に基づいて、前記評価領域を選択する
投射装置の制御装置。
19. 16.から18.のいずれか一つに記載の投射装置の制御装置において、
前記選択部は、前記分布算出部で算出された前記光の強度分布のピーク点を含む領域をピーク領域とし、前記ピーク領域を前記評価領域として選択する
投射装置の制御装置。
20. 16.または17.に記載の投射装置の制御装置において、
前記分布算出部は、前記画像を分割して複数の分割領域とし、
前記選択部は、前記分割領域を順に前記評価領域として選択する
投射装置の制御装置。
21. 20.に記載の投射装置の制御装置において、
前記分布算出部は、前記画像情報に基づいて、前記複数の前記分割領域の境界における前記光の強度が、前記画像全体の前記光の強度の平均値よりも小さくなるように前記分割領域を生成する
投射装置の制御装置。
22. 20.または21.に記載の投射装置の制御装置において、
前記選択部は、
前記分布算出部で算出された前記光の強度分布のピーク点を含む領域をピーク領域とし、
前記複数の前記分割領域と前記ピーク領域とを順に前記評価領域として選択する
投射装置の制御装置。
23. 16.から22.のいずれか一つに記載の投射装置の制御装置において、
前記投射装置の前記投射制御部は
前記光を位相変調する位相変調型空間変調素子と、
前記位相変調型空間変調素子によって位相変調された前記光をフーリエ変換するフーリエ変換レンズと、
前記光を結像する結像光学系とを備え、
前記制御装置の前記測定部は
前記フーリエ変換レンズを透過した前記光の光路内に置かれ、当該光の一部を反射する偏光保存素子と、
前記偏光保存素子によって反射された前記光の強度を測定するモニタ素子と、
前記モニタ素子で測定された前記光の強度に基づいて、前記投射された前記光の強度を算出する強度算出部と
を備え、
前記投射装置の前記結像光学系は、前記偏光保存素子を透過した前記光を結像する
投射装置の制御装置。
24. レーザ光である光を発するレーザ光源と、
投射する前記光の強度分布を画像情報に基づいて制御することにより画像を生成する投射制御部と、
前記投射制御部によって制御された前記光を投射する投射部と
投射された前記光の強度を測定する測定部と
を備える投射装置の制御装置を実現するためのコンピュータプログラムであって、
コンピュータに、
投射する前記画像の前記画像情報に基づいて、前記投射装置から投射される前記光の強度分布を算出する分布算出手段、
投射する前記画像のうち、判定に用いる一部の評価領域を選択する選択手段、
前記分布算出部で算出された前記光の前記評価領域の強度分布と、測定された前記光の前記評価領域の強度とに基づいて、異常な投射が生じたか否かを判定する判定手段、および、
前記判定手段の判定結果に基づいて前記投射装置から投射される前記光の強度分布を制御する出力制御手段
として機能させるためのコンピュータプログラム。
25. 24.に記載のコンピュータプログラムにおいて、
前記選択手段は、前記評価領域を示す情報を前記投射制御部に送信し、
前記投射制御部は、前記選択手段から受信した前記評価領域を示す情報に基づいて、前記画像から表示すべき領域を選択し、選択した領域を投射するよう前記光の強度分布を制御する
コンピュータプログラム。
26. 24.または25.に記載のコンピュータプログラムにおいて、
前記選択手段は、前記分布算出手段で算出された前記光の強度分布に基づいて、前記評価領域を選択する
コンピュータプログラム。
27. 24.から26.のいずれか一つに記載のコンピュータプログラムにおいて、
前記選択手段は、前記分布算出手段で算出された前記光の強度分布のピーク点を含む領域をピーク領域とし、前記ピーク領域を前記評価領域として選択する
コンピュータプログラム。
28. 24.または25.に記載のコンピュータプログラムにおいて、
前記分布算出手段は、前記画像を分割して複数の分割領域とし、
前記選択手段は、前記分割領域を順に前記評価領域として選択する
コンピュータプログラム。
29. 28.に記載のコンピュータプログラムにおいて、
前記分布算出手段は、前記画像情報に基づいて、前記複数の前記分割領域の境界における前記光の強度が、前記画像全体の前記光の強度の平均値よりも小さくなるように前記分割領域を生成する
コンピュータプログラム。
30. 28.または29.に記載のコンピュータプログラムにおいて、
前記選択手段は、
前記分布算出手段で算出された前記光の強度分布のピーク点を含む領域をピーク領域とし、
前記複数の前記分割領域と前記ピーク領域とを順に前記評価領域として選択する
コンピュータプログラム。
【0085】
この出願は、2013年9月4日に出願された日本出願特願2013−182788号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。