(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照しながら、本技術の実施形態を説明する。
【0035】
本技術に係る受精卵品質評価システムは、高精度に評価された受精卵の品質評価情報をインターネット等のネットワークを介して、受精卵管理者と、受精卵品質評価者と、受精卵移植者との間で相互に取得可能なネットワークシステムである。
【0036】
ここで、本技術において、受精卵管理者とは、例えば牛等の家畜の受精卵を扱う場合はこの受精卵を培養・管理する生産事業者であり、ヒトの受精卵を扱う場合はこの受精卵を培養・管理する不妊治療クリニックや病院等に相当する。
【0037】
生産事業者とは、例えば受精卵を培養する上での培養環境等を管理する国内外の企業や協同組合等の団体、あるいは、大学等の各種研究機関に相当する。
【0038】
受精卵品質評価者とは、例えば胚培養士又は胚培養士を補助するスタッフ、生産事業者に所属し、受精卵を生産する生産者、あるいは、不妊治療クリニックや病院に所属する医師やスタッフ等に相当する。
【0039】
受精卵移植者とは、例えば牛等の家畜の受精卵を扱う場合はこの受精卵を成体にまで成育させ、当該成体を市場に販売する農業者や、複数の農業者の集合体(例えば農協等)などの繁殖事業者であり、ヒトの受精卵を扱う場合は不妊治療のために当該受精卵を移植するクリニックや病院等に相当する。以下、牛等の家畜の受精卵を対象とした受精卵品質評価システムの詳細について説明する。
【0040】
<<第1の実施形態>>
<受精卵品質評価システムの概要>
図1は、本実施形態に係る受精卵品質評価システム100の構成例を概略的に示す模式図である。受精卵品質評価システム100は、
図1に示すように、端末装置10と、情報処理装置20と、第1端末30と、第2端末40と、を有する。
【0041】
本実施形態では、端末装置10、情報処理装置20、第1端末30及び第2端末40が、ネットワークNを介して、相互に通信可能に接続される。ネットワークNは、例えばインターネットや移動体通信網、あるいはローカルエリアネットワーク等であってもよく、これら複数種類のネットワークが組み合わされたネットワークであってもよい。
【0042】
[端末装置]
端末装置10は、
図1に示すように、複数のゲートウェイ端末10aから構成され、これらのゲートウェイ端末10aがそれぞれ制御記録PC205(
図2参照)を介して観察装置202(受精卵管理者)と無線又は有線により接続される。本実施形態の観察装置202は、受精卵管理者により扱われる。
【0043】
なお、本実施形態の受精卵品質評価システム100では、典型的には
図1に示すように、複数の観察装置202(受精卵管理者)が端末装置10を介して情報処理装置20に接続される構成であるがこれに限られず、単一の観察装置202(受精卵管理者)が端末装置10を介して情報処理装置20に接続される構成であってもよい。
【0044】
(観察システム)
図2は、本実施形態の観察装置202を有する観察システム200の構成例を模式図である。なお、
図2に示すX,Y及びZ軸は相互に直交する3軸方向であり、以下の図においても共通である。
【0045】
観察システム200は、
図2に示すように、インキュベータ201と、観察装置202と、湿度・温度・ガス制御部203と、検出部204と、制御記録PC205と、表示装置206と、入力部207と、を有する。
【0046】
インキュベータ201は、観察装置202と、湿度・温度・ガス制御部203と、検出部204とを収容する培養装置であり、その内部の温度や湿度等を一定に保つ機能を有する。インキュベータ201は、任意のガスが流入可能に構成される。当該ガスの種類は特に限定されないが、例えば窒素、酸素又は二酸化炭素等である。
【0047】
観察装置202は、撮像部2021と、光源2022と、培養容器群2023と、を有する。撮像部2021は、培養容器2023a(ディッシュ)に収容されている受精卵F(
図4参照)を時系列に撮像し、受精卵Fの観察画像を生成可能に構成される。
【0048】
撮像部2021は、光軸方向(Z軸方向)に移動可能なレンズ群を含む鏡筒と、当該鏡筒を通過する被写体光を撮像するCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)、CCD(Charge Coupled Device)等の固体撮像素子と、これらを駆動する駆動回路等を有する。
【0049】
撮像部2021は、光軸方向(Z軸方向)及び水平方向(Z軸方向に直交する方向)に移動可能に構成され、水平方向に移動しながら培養容器2023aに収容されている受精卵Fを撮像する。また、撮像部2021は、静止画だけではなく、動画を撮影可能に構成されてもよい。
【0050】
本実施形態に係る撮像部2021は、典型的には可視光カメラであるが、これに限定されず、赤外線(IR)カメラや、偏光カメラ等であってもよい。
【0051】
光源2022は、培養容器2023a内の受精卵Fを撮像部2021で撮像する際に、培養容器2023aに対して光を照射する。光源2022には、例えば、特定の波長の光を照射するLED(Light Emitting Diode)等が採用される。光源2022がLEDである場合は、例えば、波長が640nmの光を照射する赤色LEDが採用される。
【0052】
培養容器群2023は複数の培養容器2023aから構成され、撮像部2021と光源2022との間において、観察ステージS上に設置される。観察ステージSは光源2022が照射する光を透過可能に構成される。
【0053】
図3は、観察装置202の観察ステージS上に設置された培養容器群2023を光源2022側から見た模式図である。培養容器2023aは、
図3に示すように、例えば観察ステージS上において行列状に6つ設置され、X軸方向に3つ、Y軸方向2つ設置される。
【0054】
図4は、培養容器2023aの断面を模式的に示す図である。培養容器2023aには、
図4に示すように、ウェルWが複数設けられている。ウェルWは、培養容器2023aに行列状(
図6参照)に設けられ、1個の受精卵Fを収容可能に構成されている。
【0055】
培養容器2023aにはウェルWが設けられる以外に、培養液CとオイルOが注入されている。オイルOは、培養液Cをコーティングすることにより、培養液Cの蒸発を抑制する機能を有する。
【0056】
図5は、光源2022側から見た培養容器2023aの模式図(平面図)である。培養容器2023aは、複数のウェルWが形成されているウェル領域E1を有する。培養容器23aの直径D1とウェル領域E1の直径D2は特に限定されず、例えば直径D1は35mm程度であり、直径D2は20mm程度である。
【0057】
ウェル領域E1は、撮像部2021の撮影対象となる撮影領域E2を有する。撮影領域E2は、
図2に示すように、4つの撮影エリアL1〜L4に4等分されている。各撮影エリアL1〜L4の一辺の長さD3は、例えば、5mm程度である。
【0058】
図6は、光源2022側から見た撮影エリアL1を拡大して示す模式図である。撮影エリアL1は、ウェル領域E1に設けられた複数のウェルWのうち72個のウェルWを含み、POS(Position)領域毎に12等分されている。
【0059】
POS領域P1〜P12は、それぞれ、ウェルWがX軸方向に3つ、Y軸方向に2つ並んだ6つのウェルWを含む。本実施形態に係る撮像部2021は、後述する「観察画像・識別情報取得」工程(
図9参照)において、POS領域毎にウェルWに収容されている受精卵Fを時系列に撮像する。なお、
図6は撮影エリアL1を拡大して示す模式図であるが、撮影エリアL2〜L4も撮影エリアL1と同様の構成である。
【0060】
培養容器2023aを構成する材料は、特に限定されないが、例えばガラス又はシリコン等の無機材料や、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ナイロン、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、メチルペンテン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂又は塩化ビニル樹脂等の有機材料等からなり、光源2022が照射する光が透過する透明体である。あるいは、培養容器23aは、光源2022が照射する光が透過する箇所以外が上記で列挙した材料からなるものであってもよく、金属材料からなるものであってもよい。
【0061】
湿度・温度・ガス制御部203は、インキュベータ201内の温度及び湿度と、インキュベータ201内に導入されたガスを制御するものであり、受精卵Fの発育に適した環境をつくる。湿度・温度・ガス制御部203は、インキュベータ201内の温度を例えば38℃程度に制御することができる。
【0062】
検出部204は、制御記録PC205と無線又は有線により接続され、インキュベータ201内の温度、気圧、光源2022の照度及び酸素濃度等を検出し、制御記録PC205に出力するように構成される。検出部204は、例えばソーラーパネル式又は電池式のIoT(Internet of Things)センサ等であり、その種類は問わない。
【0063】
制御記録PC205は、撮像部2021、光源2022、湿度・温度・ガス制御部203、検出部204及びゲートウェイ端末10aと接続される。制御記録PC205は、撮像部2021、光源2022、検出部204及び湿度・温度・ガス制御部203の出力に基づき、これらを制御することで、受精卵Fの培養環境を制御可能に構成される。
【0064】
制御記録PC205は、例えば、検出部204から出力された培養環境情報を記憶し、この培養環境情報をゲートウェイ端末10aに送信可能に構成される。ここで、本実施形態の培養環境情報とは、例えば、培養液CのpHや、インキュベータ201内の温度、湿度及び酸素濃度に関する情報であり、以下の説明においても同義である。
【0065】
培養環境情報を受信したゲートウェイ端末10aはネットワークNを介して、培養環境情報として、培養液CのpHと、インキュベータ201内の温度、湿度及び酸素濃度の少なくとも1つに関する情報を取得部24(
図7参照)に送信する。取得部24は、取得した培養環境情報を記憶部28(
図7参照)に出力し、当該培養環境情報が記憶部28に記憶される。
【0066】
また、制御記録PC205は、受精卵Fとなる精子及び卵子に関する情報や受精卵Fに関する交配情報、あるいは培養容器2023aに関する情報等を、複数のウェルWに個々に収容されている受精卵Fをそれぞれ識別する識別情報として記憶する。制御記録PC205は、この識別情報をゲートウェイ端末10aに送信可能に構成される。識別情報については後述する。
【0067】
表示装置206は、撮像部2021が撮影した観察画像や、培養環境情報及び識別情報等を表示可能に構成される。表示装置206は、例えば、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を用いた表示デバイスである。
【0068】
入力部207は、受精卵管理者の操作を入力するためのキーボードやマウス等の操作デバイスである。本実施形態に係る入力部207は、表示装置206と一体的に構成されたタッチパネル等であってもよい。
【0069】
本実施形態の端末装置10は、
図1に示すように、情報処理装置50の解析精度を向上させる観点から、複数のゲートウェイ端末10aから構成されることが好ましいが、単一のゲートウェイ端末10aから構成されてもよい。この場合、単一のゲートウェイ端末10aは、制御記録PC205を介して、複数の観察装置202(受精卵管理者)と無線又は有線により接続されてもよい。
【0070】
また、ゲートウェイ端末10aは、典型的には異なるプロトコルやアドレス体系を相互に変換可能に構成された汎用のゲートウェイであるがこれに限られず、ゲートウェイの役割をするように設定されたPC(Personal Computer)等であってもよい。
【0071】
[情報処理装置]
情報処理装置20は、CPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23等のコンピュータに必要なハードウェアを有する。
【0072】
CPU21は、ROM22に格納された本技術に係るプログラムをRAM23にロードして実行する。これにより、後述する情報処理装置20の各ブロック動作が制御される。
【0073】
ROM22は、情報処理装置20において用いられる各種のデータやプログラムなどが固定的に格納されたメモリデバイスである。
【0074】
RAM23は、CPU21のための作業領域および履歴データの一時保存空間などとして用いられる、SRAM(Static Random Access Memory)などのメモリ素子である。
【0075】
プログラムは、例えば種々の記憶媒体(内部メモリ)を介して情報処理装置20にインストールされる。あるいは、インターネット等を介してプログラムのインストールが実行されてもよい。本実施形態の情報処理装置20は、クラウドコンピューティングによる受精卵Fの品質評価を行うためのウェブサーバであるがこれに限られず、例えば、PC等の他の任意のコンピュータが用いられてもよい。
【0076】
図7は、本実施形態に係る受精卵品質評価システム100のブロック図である。情報処理装置20は、
図7に示すように、取得部24と、解析部25と、出力部26と、画像処理部27と、記憶部28と、I/Oインターフェース29と、バス210とを有する。
【0077】
取得部24は、固有の識別情報に紐づけられた受精卵Fが時系列に撮像された複数の観察画像を、複数のゲートウェイ端末10a(端末装置10)からネットワークNを介して取得する。
【0078】
解析部25は、受精卵Fが時系列に撮像された複数の観察画像に基づき、受精卵解析情報を生成する。本実施形態の解析部25は、複数の受精卵管理者から集めた受精卵のタイムラプス画像を学習データとするアルゴリズムに基づいて生成された識別器を有する。識別器については後述する。
【0079】
出力部26は、受精卵F固有の識別情報と、受精卵解析情報とを含む評価支援情報を、この評価支援情報に基づく受精卵評価情報の入力を受け付けるコンピュータにネットワークNを介して出力する。
【0080】
画像処理部27は、受精卵Fが時系列に撮像された複数の観察画像に対して所定の画像処理を施す。例えば、培養容器2023aでウェル毎に受精卵Fを培養しながら撮像する場合、画像処理部27は、画像解析前に複数の観察画像に対して画像の切り出し処理(トリミング処理)等を行う(ステップS02参照)。これにより、受精卵Fが一つずつ切り分けられた拡大画像を解析に用いることが可能となり、解析精度の向上が図られる。
【0081】
記憶部28は、例えばCPU21により実行されるプログラムが格納されたROM22と、CPU21が処理を実行する際のワークメモリ等として利用されるRAM23とを有する。さらに記憶部28は、HDD(Hard Disc Drive)及びフラッシュメモリ(SSD:Solid State Drive)等の不揮発性メモリを有していてもよい。これにより、端末装置10、第1端末30及び第2端末40から入力された入力情報や、解析部25の解析結果等を記憶することができる。
【0082】
I/Oインターフェース29は、ネットワークNを介して、端末装置10と第1及び第2端末30,40と通信可能に接続され、取得部24及び出力部26を有する。I/Oインターフェース29は、端末装置10と第1及び第2端末30,40との入出力インターフェースとして機能する。
【0083】
バス210は、情報処理装置20の各部の間で各種の信号を入出力するための信号伝送路である。上記のCPU21、ROM22、RAM23及びI/Oインターフェース29は相互にバス210を通じて互いに接続される。
【0084】
なお、情報処理装置50が有する取得部24、解析部25、出力部26、画像処理部27及び記憶部28の機能は上述したものに限定されず、後述する受精卵品質評価方法でこれらの詳細な機能ついて述べる。
【0085】
[第1端末]
第1端末30は、受精卵品質評価者により扱われる。第1端末30は、ネットワークNを介して、出力部26又は第2端末40から出力された情報を受信する受信部30aと、受精卵品質評価者からの入力を受け付ける入力部30bと、入力部30bを介して入力された情報や、受信部30aが受信した情報を送信する送信部30cと、を有する。
【0086】
第1端末30は、典型的にはラップトップPCやデスクトップPC等のコンピュータであるが、これに限られず、例えばスマートデバイスやタブレット端末等であってもよい。
【0087】
[第2端末]
第2端末40は、受精卵移植者により扱われる。第2端末40は、ネットワークNを介して、出力部26又は第1端末30から出力された情報を受信する受信部40aと、受精卵移植者からの入力を受け付ける入力部40bと、入力部40bを介して入力された情報や、受信部40aが受信した情報を送信する送信部40cと、を有する。
【0088】
第2端末40は、典型的にはスマートデバイスやタブレット端末等であるが、これに限られず、例えばラップトップPCやデスクトップPC等の他の任意なコンピュータであってもよい。
【0089】
<受精卵品質評価方法>
図8は本実施形態に係る受精卵品質評価システム100の事業モデルを示す図であり、受精卵Fの品質を解析し、この受精卵Fに関する経過情報を得るまでの流れを示す図である。
図9は受精卵品質評価システム100の受精卵Fの品質を評価する方法を示すフローチャートである。以下、受精卵Fの品質評価方法について、
図9を適宜参照しながら説明する。
【0090】
[ステップS01:観察画像・識別情報取得]
先ず、受精卵品質評価者が受精卵Fに関する識別情報を、入力部207を介して制御記録PC205に入力する。制御記録PC205に入力された識別情報は制御記録PC205に記憶され、ゲートウェイ端末10aに送信される。識別情報を受信したゲートウェイ端末10aは、ネットワークNを介してこの識別情報を取得部24に送信し、取得部24がこれを取得する。
【0091】
ここで、本実施形態の識別情報とは、例えば、受精卵Fとなる精子及び卵子に関する情報と、受精卵Fに関する交配情報と、培養容器2023aに関する情報であり、以下の説明においても同義である。取得部24は、これら情報の少なくとも1つを識別情報として取得する。
【0092】
受精卵Fとなる精子及び卵子に関する情報とは、精子に関して述べれば、例えば精液量、総精子数、総運動精子数、粘調度、精子濃度、前進運動率、非前進運動率、正常形態率、運動精子濃度(MSC)、高速前進運動精子濃度(PMSC−a)、低速前進運動精子濃度(PMSC−b)、機能性運動精子濃度(FSC)、精子自動性指数(SMI)、平均精子速度等である。
【0093】
一方、卵子に関して述べれば、例えば卵子量、総卵子数、卵子年齢、AMH(抗ミュラー管ホルモン)値、LH(黄体刺激ホルモン)値、FSH(卵胞刺激ホルモン)値、E2(エラストラジオール)値、P4(プロゲステロン)値、卵胞ホルモン(エストロジェン)値等である。
【0094】
受精卵Fに関する交配情報とは、例えば、精子を採取されたオス(男性)に関する情報(体重、体高(身長)、年齢、血統、病歴、健康状態等)や、卵子を採取されたメス(女性)に関する情報(体重、体高(身長)、年齢、血統、病歴、卵巣年齢、総出産回数、健康状態、出産実績等)などである。
【0095】
培養容器2023aに関する情報とは、例えば、観察ステージS上の6つの培養容器2023aのうち、評価対象となる受精卵Fがどの培養容器2023aに収容されているか(
図3参照)等の培養容器2023aの位置に関する情報や、4つの撮影エリアL1〜L4のうち、評価対象となる受精卵Fがどのエリアにいるのか(
図5参照)等の受精卵Fの位置に関する情報などである。
【0096】
続いて、取得部24がネットワークNを介してゲートウェイ端末10aから識別情報を取得したことを受けて、この識別情報に紐づく受精卵Fを撮像する撮像指令を出力部26がネットワークNを介してゲートウェイ端末10aに出力する。撮像指令を受信したゲートウェイ端末10aは、この撮像指令を制御記録PC205に送信する。
【0097】
図10は、撮像部2021が複数の受精卵Fを撮像する様子を示す模式図であり、撮像部2021の移動ルートを示す図である。撮像指令を受信した制御記録PC205は、撮像指令に従って、撮像部2021を制御する。
【0098】
これにより、複数のウェルWに個々に収容されている複数の受精卵FがPOS(Position)領域毎に時系列に撮像される。この際、
図10に示すように、撮像部2021の視野範囲2021aが移動ルートRに従って、POS領域P1からPOS領域P12の順に約3秒間隔で移動する。
【0099】
そして、この作業が観察ステージSに設置された全ての培養容器2023aに対して行われ、規定回数繰り返される。これにより、受精卵Fを6つ含む画像(以下、第1タイムラプス画像G1)が生成され、第1タイムラプス画像G1が制御記録PC205に送信される。
【0100】
第1タイムラプス画像G1が入力された制御記録PC205は、ゲートウェイ端末10aに第1タイムラプス画像G1を送信する。第1タイムラプス画像G1を受信したゲートウェイ端末10aは、ネットワークNを介して第1タイムラプス画像G1を取得部24に送信し、取得部24がこれを取得する。
【0101】
図11は、第1タイムラプス画像G1を仮想的に示す概念図である。本実施形態の第1タイムラプス画像G1は、POS領域P1〜P12のそれぞれについて、
図11に示すように、時間軸Tに沿って時系列に生成される。本明細書では、
図11に示す時系列に沿った複数の観察画像データを第1タイムラプス画像G1と称す。
【0102】
観察システム200における撮像部2021の撮像間隔や撮像枚数は任意に設定可能である。例えば、撮像期間が1週間であるとして、撮像間隔が15分であり、深さ方向(Z軸方向)に焦点距離を変えて9スタック撮像する場合、一つのPOS領域について6つの受精卵Fを含む積層画像が約6000枚得られる。これにより、受精卵Fの3次元的な画像が取得可能となる。
【0103】
取得部24は、ネットワークNを介してゲートウェイ端末10aから取得した第1タイムラプス画像G1と識別情報を記憶部28に出力し、これらが記憶部28に記憶される。また、取得部24は、取得した第1タイムラプス画像G1を画像処理部27に出力し、識別情報を出力部26にも出力する。
【0104】
[ステップS02:画像処理]
画像処理部27は、取得部24から出力された第1タイムラプス画像G1を受精卵F単位に加工(トリミング)する。これにより、受精卵Fを1つ含む画像(以下、第2タイムラプス画像G2)が生成する。次いで、画像処理部27は、第2タイムラプス画像G2を記憶部28に出力し、第2タイムラプス画像G2が記憶部28に記憶される。
【0105】
図12は、第2タイムラプス画像G2を仮想的に示す概念図である。本実施形態の第2タイムラプス画像G2は、複数のウェルWのそれぞれについて、
図12に示すように、時間軸Tに沿って時系列に生成される。本明細書では、
図12に示す時系列に沿った複数の観察画像データを第2タイムラプス画像G2と称す。
【0106】
次いで、画像処理部27は、第2タイムラプス画像G2に対して所定の画像処理を施す。画像処理部27により画像処理が施された第2タイムラプス画像G2は、解析部25及び記憶部28に出力され、第2タイムラプス画像G2が記憶部28に記憶される。以下、ステップS02のいくつかの適用例について説明する。
【0107】
(適用例1)
画像処理部27は、第2タイムラプス画像G2を構成するそれぞれの画像に対してノーマライゼーションを実行する。これにより、例えば第2タイムラプス画像G2のノイズが除去されるだけではなく、第2タイムラプス画像を解析前に均一化することができる。よって、第2タイムラプス画像の特徴が抽出されやすくなる。
【0108】
本実施形態の画像処理部27が第2タイムラプス画像G2に対して施すノーマライゼーションとは、例えば、第2タイムラプス画像G2を構成する各画像の色味や明度等を統一する正規化処理、あるいは、標準化処理、無相関化処理又は白色化処理等である。
【0109】
(適用例2)
画像処理部27は、第2タイムラプス画像G2に対して、ディープラーニング解析による確率処理、2値化処理及びオーバーレイ処理等を施す。これにより、例えば第2タイムラプス画像G2における受精卵Fの輪郭線が抽出される。
【0110】
(適用例3)
画像処理部27は、第2タイムラプス画像G2を構成する各画像に対して、受精卵Fの形状に沿ったマスク領域を形成する。これにより、第2タイムラプス画像G2における受精卵Fの解析領域(認識領域)が鮮明になり、受精卵Fの形状を正確に認識することができる。この技術により、例えば、受精卵Fの外形を形成する透明帯や、受精卵F内部の胚盤胞、細胞割球及び桑実胚等の形状を正確に認識することができる。
【0111】
[ステップS03:解析処理]
本実施形態の情報処理装置20は、ユーザの知的作業を代替する、所謂特化型AI(Artificial Intelligence)を利用したクラウドサーバである。
図13は、一般的な特化型AIの処理手順を簡略的に示すブロック図である。
【0112】
特化型AIは、大きな枠組みとして、学習用プログラムとして機能するアルゴリズムに学習データを組み込むことより構築された学習済みモデルに対して、任意の入力データを適用することにより結果物が得られる仕組みである。以下、
図13を適宜参照しながらステップS03のいくつかの適用例について説明する。
【0113】
(適用例1)
予め記憶部28に記憶されている、ネットワークNを介して複数の受精卵管理者から集めた受精卵のタイムラプス画像に基づく、形状情報、動き情報、コンパクション情報、収縮情報、拡張情報、活動休止情報、所見による発育情報及び品質情報のうちの少なくとも1つを、解析部25が記憶部28から読み出す。これらの情報は、
図13の「学習データ」に相当する。
【0114】
ここで、品質情報とは、例えば、受精卵Fの発育状態や品質順位、あるいは、受精卵Fの透明帯や受精卵F内部の細胞(胚盤胞、細胞割球、桑実胚等)、前核、極体、割球内の核、フラグメンテーション及び卵細胞辺縁透明領域(Halo)等に関する情報である。
【0115】
形状情報とは、例えば、受精卵Fが発育する過程での、受精卵Fの時系列に沿った径、面積、体積及び真円度等の変化に関する情報である。
【0116】
動き情報とは、例えば、受精卵Fが発育する過程での、受精卵F内部の細胞の時系列に沿った動き量の変化に関する情報である。この動き量の変化は、例えば、受精卵F内部の細胞の動きベクトルの最小速度、最大速度、最大加速度、平均速度、平均加速度、中央値、標準偏差、あるいは、受精卵F内部の細胞の動き速度ベクトルの合計値、又は、受精卵F内部の細胞の動き加速度ベクトルの合計値の時系列に沿った変化などである。
【0117】
コンパクション情報とは、例えば、受精卵Fが16細胞期から桑実胚期に形態変化する際のコンパクション(分割した細胞が融合し1つの塊となった状態)時間などである。
【0118】
収縮情報とは、例えば、受精卵Fが発育する過程での、受精卵Fの収縮回数、収縮直径、収縮速度、収縮時間、収縮間隔、収縮強度及び収縮周波数などである。拡張情報とは、例えば、受精卵Fが発育する過程での、受精卵Fの拡張回数、拡張直径、拡張速度、拡張時間、拡張間隔、拡張強度及び拡張周波数等である。
【0119】
活動休止情報とは、例えば、受精卵Fが発育する過程での、lag-phase(細胞休止期)に関する情報である。
【0120】
所見による発育情報とは、例えば、受精卵が時系列に沿って撮像されたタイムラプス画像に基づき、胚培養士等の専門家が所見により判断した受精卵の品質(発育状態、細胞数、細胞対称性、前核の個数、極体の個数、細胞割球内の核の個数、フラグメント等)に関する情報である。
【0121】
なお、上記で列挙された「形状情報」、「動き情報」、「コンパクション情報」、「収縮情報」、「拡張情報」、「活動休止情報」、「所見による発育情報」及び「品質情報」については、以下の説明においても同義である。
【0122】
次いで、解析部25は、予め設定されている第1アルゴリズムに記憶部28から読み出した学習データを組み込むことによって第1識別器を構築する。これにより、解析部25は、第1識別器を有する構成となる。
【0123】
なお、上記した第1アルゴリズムは、
図13の「アルゴリズム」に相当し、例えば機械学習アルゴリズムとして機能する。また、第1識別器は、
図13の「学習済みモデル」に相当する。本実施形態の第1識別器は典型的には単一の学習済みモデルからなる構成であるが、これに限られず、例えば複数の学習済みモデルが組み合わさった構成であってもよい。
【0124】
機械学習アルゴリズムの種類としては特に限定されず、例えばRNN(Recurrent Neural Network:再帰型ニューラルネットワーク)、CNN(Convolutional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)又はMLP(Multilayer Perceptron:多層パーセプトロン)等のニューラルネットワークを用いたアルゴリズムであってもよく、その他、教師あり学習法、教師なし学習法、半教師あり学習法、強化学習法等を実行する任意のアルゴリズムであってもよい。
【0125】
次いで、解析部25は、上記のようにして構築された第1識別器を、画像処理部27から出力された第2タイムラプス画像G2に適用することで、第1受精卵解析情報を生成する。
【0126】
具体的には、第2タイムラプス画像を第1識別器によりディープラーニング解析することによって、第1受精卵解析情報を生成する。そして、解析部25は、この第1受精卵解析情報を出力部26及び記憶部28に出力し、第1受精卵解析情報が記憶部28に記憶される。
【0127】
ここで、本実施形態の解析部25は、第1受精卵解析情報として、撮像部2021が受精卵Fを撮像した撮像時間、受精卵Fの発育時間(培養時間)、品質情報、形状情報、動き情報、コンパクション情報、収縮情報、拡張情報及び活動休止情報の少なくとも1つを生成する。
【0128】
なお、ステップS03において、上記した第2タイムラプス画像G2は、
図13の「入力データ」に相当し、第1受精卵解析情報は、
図13の「結果物」に相当する。
【0129】
(適用例2)
予め記憶部28に記憶されている、ネットワークNを介して複数の受精卵管理者から集めた受精卵の識別情報と、当該受精卵のタイムラプス画像に基づく、形状情報、動き情報、コンパクション情報、収縮情報、拡張情報、活動休止情報、所見による発育情報及び品質情報のうちの少なくとも1つを、解析部25が記憶部28から読み出す。これらの情報は、
図13の「学習データ」に相当する。
【0130】
次いで、解析部25は、予め設定されているアルゴリズムに記憶部28から読み出した学習データを組み込むことによって識別器を構築する。これにより、解析部25は、識別器を有する構成となる。
【0131】
なお、上記したアルゴリズムは、
図13の「アルゴリズム」に相当し、例えば上記で列挙したような機械学習アルゴリズムとして機能する。また、識別器は、
図13の「学習済みモデル」に相当する。
【0132】
次いで、解析部25は、上記のようにして構築された識別器を、画像処理部27から出力された第2タイムラプス画像G2と、この第2タイムラプス画像G2に紐づく受精卵Fの識別情報に適用することで、第1受精卵解析情報を生成する。
【0133】
具体的には、第2タイムラプス画像と受精卵F固有の識別情報を識別器によりディープラーニング解析することによって、第1受精卵解析情報を生成する。そして、解析部25は、この第1受精卵解析情報を出力部26及び記憶部28に出力し、第1受精卵解析情報が記憶部28に記憶される。
【0134】
なお、上記した第2タイムラプス画像G2と、この画像G2に紐づく受精卵Fに関する識別情報は、
図13の「入力データ」に相当し、第1受精卵解析情報は、
図13の「結果物」に相当する。
【0135】
(適用例3)
予め記憶部28に記憶されている、ネットワークNを介して複数の受精卵管理者から集めた受精卵の培養環境情報と、当該受精卵のタイムラプス画像に基づく、形状情報、動き情報、コンパクション情報、収縮情報、拡張情報、活動休止情報、所見による発育情報及び品質情報のうちの少なくとも1つを、解析部25が記憶部28から読み出す。これらの情報は、
図13の「学習データ」に相当する。
【0136】
次いで、解析部25は、予め設定されているアルゴリズムに記憶部28から読み出した学習データを組み込むことによって識別器を構築する。これにより、解析部25は、識別器を有する構成となる。
【0137】
なお、上記したアルゴリズムは、
図13の「アルゴリズム」に相当し、例えば上記で列挙したような機械学習アルゴリズムとして機能する。また、識別器は、
図13の「学習済みモデル」に相当する。
【0138】
次いで、解析部25は、上記のようにして構築された識別器を、画像処理部27から出力された第2タイムラプスG2と、この第2タイムラプス画像G2に紐づく受精卵Fの培養環境情報に適用することで、第1受精卵解析情報を生成する。
【0139】
具体的には、第2タイムラプス画像G2と培養環境情報を識別器によりディープラーニング解析することによって、第1受精卵解析情報を生成する。そして、解析部25は、この第1受精卵解析情報を出力部26及び記憶部28に出力し、第1受精卵解析情報が記憶部28に記憶される。
【0140】
なお、上記した第2タイムラプス画像G2とこのタイムラプス画像G2に紐づく受精卵Fに関する培養環境情報は、
図13の「入力データ」に相当し、第1受精卵解析情報は、
図13の「結果物」に相当する。
【0141】
(適用例4)
予め記憶部28に記憶されている、ネットワークNを介して複数の受精卵管理者から集めた受精卵のタイムラプス画像に基づく、形状情報、動き情報、コンパクション情報、収縮情報、拡張情報、活動休止情報、所見による発育情報及び品質情報のうちの少なくとも1つを、解析部25が記憶部28から読み出す。これらの情報は、
図13の「学習データ」に相当する。
【0142】
次いで、解析部25は、予め設定されている第1及び第2アルゴリズムに記憶部28から読み出した学習データを組み込むことによって第2識別器を構築する。これにより、解析部25は、第2識別器を有する構成となる。
【0143】
なお、上記した第1及び第2アルゴリズムは、
図13の「アルゴリズム」に相当し、例えば上記で列挙したような機械学習アルゴリズムとして機能する。また、第2識別器は、
図13の「学習済みモデル」に相当する。本実施形態では、第2識別器を構築するために2つのアルゴリズムが利用されるが、これに限られない。例えば、第2識別器を構築するために、第1アルゴリズムとは異なる複数のアルゴリズムが利用されてもよい。
【0144】
次いで、解析部25は、上記のようにして構築された第2識別器を、画像処理部27から出力された第2タイムラプス画像G2に適用することで、第1受精卵解析情報を生成する。具体的には、第2タイムラプス画像G2を第2識別器によりディープラーニング解析することによって、第1受精卵解析情報を生成する。
【0145】
これにより、第1の受精卵解析情報を生成する際の解析部25の解析精度が向上する。そして、解析部25は、この第1受精卵解析情報を出力部26及び記憶部28に出力し、第1受精卵解析情報が記憶部28に記憶される。
【0146】
なお、上記した第2タイムラプス画像G2は、
図13の「入力データ」に相当し、第1受精卵解析情報は、
図13の「結果物」に相当する。
【0147】
[ステップS04:評価支援情報送信]
出力部26は、取得部24から取得した識別情報と、解析部25から取得した第1受精卵解析情報とを少なくとも含む評価支援情報を生成する。そして、出力部26は、ネットワークNを介して、この評価支援情報を受精卵品質評価者に出力する。
【0148】
評価支援情報は、例えば、受精卵品質評価者向けの「受精卵解析レポート」として第1端末30に送信される。「受精卵解析レポート」は、第1端末30にインストールされた受精卵品質評価者向けのアプリケーションソフトを介して第1端末30に表示されてもよい。この際、第1端末30には、第1受精卵解析情報として、撮像部2021が受精卵Fを撮像した撮像時間、受精卵Fの発育時間(培養時間)、品質情報、形状情報、動き情報、コンパクション情報、収縮情報、拡張情報及び活動休止情報の少なくとも1つを含む受精卵解析レポートがウェブブラウザ上に表示される。
【0149】
評価支援情報を受信した第1端末30(受信部30a)は、例えば、WEBダッシュボードとして評価支援情報をウェブブラウザ上に表示する。これにより、受精卵品質評価者による受精卵Fの品質評価が支援される。具体的には、第1端末30に表示された評価支援情報(受精卵解析レポート)を評価・閲覧した受精卵品質評価者により、評価支援情報に基づく受精卵評価情報が入力部30bを介して第1端末30に入力される。
【0150】
ここで、本実施形態の受精卵評価情報とは、例えば、評価支援情報を評価・閲覧した受精卵品質評価者からのコメントや、受精卵Fを凍結保存する凍結保存用ストローのID、あるいは、評価支援情報を閲覧(所見)した受精卵品質評価者によって下された受精卵Fに対する品質評価結果等であり、以下の説明においても同義である。
【0151】
なお、受精卵品質評価者からのコメントとは、例えば、受精卵Fを移植し、繁殖させる上での移植・妊娠・出産・繁殖に関するサポート情報や、移植後に生まれた幼体を育て、市場に販売する上での肥育・飼料・出荷(販売)に関するサポート情報などである。
【0152】
[ステップS05:受精卵譲渡]
ステップS05では、ネットワークNを介して、出力部26から取得した評価支援情報(第1受精卵解析情報及び識別情報)と、受精卵品質評価者により入力された受精卵評価情報とが、第1端末30から受精卵移植者に送信される。以下、ステップS05の幾つかの適用例について説明する。
【0153】
(適用例1)
第2端末40に送信された評価支援情報と受精卵評価情報は、例えば、受精卵移植者向けの「受精卵解析・評価レポート」として第2端末40に送信される。「受精卵解析・評価レポート」は、例えば、第2端末40にインストールされた受精卵移植者向けのアプリケーションソフトを介して第2端末40に表示されてもよい。
【0154】
評価支援情報(第1受精卵解析情報及び識別情報)と受精卵評価情報を取得した第2端末40(受信部40a)は、例えば、WEBダッシュボードとしてこれらの情報をウェブブラウザ上に表示する。これにより、受精卵移植者は、受精卵解析・評価レポート(評価支援情報及び受精卵評価情報)を参考として、所望とする品質の受精卵Fを選定することが可能となり、受精卵移植者による受精卵Fの選定作業が支援される。
【0155】
続いて、受精卵移植者は、第2端末40に表示された評価支援情報(第1受精卵解析情報及び識別情報)と受精卵評価情報に基づいて、受精卵Fを取得する取得要求を、入力部40bを介して第2端末40に入力する。この取得要求とは、例えば、受精卵移植者が受精卵Fを何個取得したいか等の希望取得数や、選定した受精卵Fの出荷・配送先の情報などであり、以下の説明においても同義である。
【0156】
受精卵移植者から取得要求が入力された第2端末40は、ネットワークNを介して、この取得要求を、送信部40cを介して取得部24に送信する。次いで、取得部24が第2端末40から取得要求を取得したことを受けて、ネットワークNを介して、出力部26がこの取得要求に応じた譲渡指令を第1端末30に出力する。この譲渡指令とは、受精卵移植者が受精卵解析・評価レポートに基づき選定した受精卵FをウェルWから取り出して、当該受精卵Fを受精卵移植者に出荷・配送することを促す指令であり、以下の説明においても同義である。
【0157】
次に、第1端末30が出力部26から譲渡指令を受信したことを受けて、受精卵品質評価者がネットワークNを介してこの譲渡指令をゲートウェイ端末10aに送信する。そして、第1端末30から譲渡指令を受信したゲートウェイ端末10aは、譲渡指令を制御記録PC205に出力する。
【0158】
譲渡指令が入力された制御記録PC205はこの譲渡指令に応じた情報を、表示装置206を介して表示する。これにより、受精卵Fを管理する受精卵管理者に受精卵移植者の取得要求に応じた譲渡指令が通知される。そして、譲渡指令が通知された受精卵管理者は、受精卵移植者の取得要求に基づき、受精卵移植者が選定した受精卵Fを出荷・配送する。
【0159】
(適用例2)
第2端末40に送信された評価支援情報と受精卵評価情報は、例えば、受精卵移植者向けの「受精卵販売レポート」として第2端末40に送信される。「受精卵販売レポート」は、例えば、第2端末40にインストールされた受精卵移植者向けのアプリケーションソフトを介して第2端末40に表示されてもよい。
【0160】
評価支援情報(第1受精卵解析情報及び識別情報)と受精卵評価情報を取得した第2端末40(受信部40a)は、例えば、WEBダッシュボードとしてこれらの情報をウェブブラウザ上に表示する。このWEBダッシュボードには、第1受精卵解析情報、識別情報及び受精卵評価情報に基づいて、複数の受精卵F各々に対して付けられた価格が表示される。
【0161】
受精卵移植者は、第2端末40に表示された評価支援情報(第1受精卵解析情報及び識別情報)と受精卵評価情報に基づいて、受精卵Fを購入する購入要求を、入力部40bを介して第2端末40に入力する。この購入要求とは、例えば、受精卵移植者が受精卵Fを何個購入したいか等の希望購入数や、この希望購入数に応じた購入金額等の情報であり、以下の説明においても同義である。
【0162】
受精卵移植者から購入要求が入力された第2端末40は、ネットワークNを介して、この購入要求を、送信部40cを介して取得部24に送信する。次いで、取得部24が第2端末40から購入要求を取得したことを受けて、ネットワークNを介して、出力部26がこの購入要求に応じた販売指令を第1端末30に送信する。この販売指令とは、受精卵移植者が受精卵販売レポートに基づき選定した受精卵FをウェルWから取り出して、当該受精卵Fを受精卵移植者に販売することを促す指令である。
【0163】
次に、第1端末30が出力部26から販売指令を受信したことを受けて、受精卵品質評価者がネットワークNを介してこの販売指令をゲートウェイ端末10aに送信する。そして、第1端末30から販売指令を受信したゲートウェイ端末10aは、販売指令を制御記録PC205に出力する。
【0164】
販売指令が入力された制御記録PC205はこの販売指令に応じた情報を、表示装置206を介して表示する。これにより、受精卵Fを管理する受精卵管理者に受精卵移植者の購入要求に応じた販売指令が通知される。そして、販売指令が通知された受精卵管理者は、受精卵移植者の購入要求に基づき、受精卵移植者が選定した受精卵Fを出荷・配送する。
【0165】
次いで、受精卵移植者は、受精卵管理者から自身が選定した受精卵Fを受け取ると、第2端末40に入力した購入要求に基づいた代金を受精卵品質評価者に支払う。受精卵Fを購入した受精卵移植者からの受精卵品質評価者への支払いは、郵送や銀行振込等により行われてもよく、あるいは、第2端末40にインストールされた受精卵移植者向けの専用のアプリケーションを利用したオンライン決済により実行されてもよい。
【0166】
[ステップS06:経過情報取得]
受精卵移植者は、受精卵管理者から出荷・配送された受精卵Fを家畜に移植し、出産及び繁殖させる。そして、この家畜から生まれた幼体を成体まで成長させ、この成体を市場に販売する。受精卵移植者は、受精卵管理者から譲渡された受精卵Fを、成体まで発育させ販売する過程において、評価支援情報(第1受精卵解析情報及び識別情報)と受精卵評価情報に基づき、自身が選定した受精卵Fに関する経過情報を得る。
【0167】
次いで、受精卵移植者は、上記のようにして得た経過情報を第2端末40に入力する。これにより、ネットワークNを介して、第2端末40から受精卵移植者が選定した受精卵Fに関する経過情報が取得部24に送信される。
【0168】
そして、経過情報を取得した取得部24は、この経過情報を解析部25と、出力部26と記憶部28に出力する。取得部24から経過情報を取得した出力部26はこの経過情報を受精卵品質評価者(第1端末30)に出力する。また、記憶部28に出力された経過情報は、記憶部28に記憶される。
【0169】
ここで、本実施形態の取得部24は、経過情報として、評価支援情報(第1受精卵解析情報及び識別情報)と受精卵評価情報に基づき選定した受精卵Fに関する移植情報、繁殖情報、肥育情報及び精肉情報の少なくとも1つを取得する。
【0170】
移植情報とは、例えば、選定した受精卵Fを家畜に移植することでわかる、う化率、着床率、妊娠率、受胎率、流産率、出生率等に関する情報である。
【0171】
繁殖情報とは、例えば、選定した受精卵Fを成体まで発育させ、この成体を親として同一血統の種を繁殖させることでわかる、繁殖率、生存率、奇形率、平均生存年齢、有病率、羅漢率等に関する情報である。
【0172】
肥育情報とは、例えば、選定した受精卵Fを幼体まで発育させ、この幼体を人工的に成体まで肥育させることでわかる、当該成体の体重、体高、健康状態に関する情報や、肥育された幼体又は成体を競売にかけたときについた価格に関する情報などである。
【0173】
精肉情報とは、例えば、選定した受精卵Fを成体まで発育させ、この成体を精肉加工することでわかる、上記精肉の肉質等級、歩留等級及び旨味に関する情報や、上記精肉を市場に販売する際についた価格に関する情報などである。
【0174】
なお、上記で列挙された「移植情報」、「繁殖情報」、「肥育情報」及び「精肉情報」については、以下の説明においても同義である。
【0175】
続いて、取得部24から経過情報を取得した解析部25は、記憶部28に記憶されている、この経過情報に紐づく受精卵Fに関する形状情報、動き情報、コンパクション情報、収縮情報、拡張情報、活動休止情報、所見による発育情報、品質情報、識別情報及び培養環境情報のうちの少なくとも1つを記憶部28から読み出す。
【0176】
次いで、解析部25は予め設定されているアルゴリズムに、経過情報と記憶部28から読み出した情報を学習データとして組み込むことによって識別器を再構築する。これにより、識別器が更新される。
【0177】
一方、出力部26から経過情報を取得した第1端末30には、この経過情報が表示される。即ち、評価支援情報(第1受精卵解析情報及び識別情報)と受精卵評価情報に基づき選定された受精卵Fに関する経過情報が受精卵品質評価者に通知される。これにより、受精卵品質評価者が評価支援情報(受精卵解析レポート)に基づき受精卵Fの品質を評価する際に、経過情報も考慮した品質評価を行うことができる。
【0178】
<作用>
近年、不妊治療や畜産等の現場において、移植する受精卵の品質は移植成績を左右する重要な因子となっている。移植する受精卵の選別は、光学顕微鏡や画像処理装置等を用いた形態学的な所見により受精卵の発育状態や品質を判定するのが一般的である。
【0179】
しかしながら、移植前の受精卵の品質評価において、上記したような形態学的な評価方法では、熟練を要するだけでなく、主観的になりやすい傾向がある。このため、最近では優良な受精卵を選定する上で、形態学的な所見よりもより高精度に評価された受精卵の品質評価結果を取得することが望まれている。
【0180】
特に、雌牛の子宮内から多数の受精卵を回収し、多数の受精卵の中から優良な受精卵を選別してこの受精卵を、受精卵を回収した雌牛とは別の雌牛の子宮内に移植することが度々行われる畜産業界においては、雌牛の生涯出産回数は制限されるため、形態学的な所見により選定された受精卵由来の成体が所望とする品質ではなかった場合の弊害は大きい。
【0181】
ゆえに、昨今の畜産業界では、家畜を商品として扱う上で、その生産性を向上させる観点から、移植前の受精卵が移植後にどの程度の発生能を呈するのかより高精度に解析された品質評価結果が切望されている。
【0182】
しかし、現状の畜産業界では、移植前の受精卵が高精度に解析された品質評価結果を得るためには、専門機関に依頼するか、あるいは、熟練の胚培養士等の専門家に依頼するより手立てがなく、依頼する場合には解析結果を得るまでに必要以上に時間がかかるばかりか、所望とする品質の受精卵を得るまでにコストがかかりすぎてしまう課題がある。
【0183】
このような事情に鑑み、本実施形態に係る受精卵品質評価システム100では、受精卵Fが培養時間に沿って時系列に撮像された複数の観察画像が特化型AIにより高精度に解析された解析情報と、さらに、この解析情報が受精卵品質評価者に評価された評価情報とが受精卵移植者の第2端末40に送信可能に構成される。
【0184】
これにより、受精卵移植者は、形態学的な所見による品質評価方法よりもはるかに高精度に解析・評価された受精卵Fに関する品質評価結果を、場所を選ばずに容易に取得することができる。従って、従来のように、受精卵の品質評価のために専門機関や胚培養士に依頼する手間が省けるたけではなく、コストカットが可能となる。
【0185】
また、受精卵品質評価システム100では、受精卵移植者によって、評価支援情報(第1受精卵解析情報及び識別情報)と受精卵評価情報に基づく取得要求や購入要求が第2端末40に入力される。
【0186】
これにより、受精卵移植者は、特化型AIにより高精度に解析された解析結果と、この解析結果が受精卵品質評価者によってさらに評価された評価情報を参考に、所望とする品質の受精卵、例えば、移植後に高品質な家畜に成体する確率が高い受精卵のみを選定し、入手することができる。
【0187】
従って、移植後に発生能が高いと予想される受精卵を選定する選定作業の効率性がはるかに向上するだけではなく、所望とする品質ではない成体となる受精卵を選定するリスクが極力抑えられる。
【0188】
さらに、本実施形態に係る受精卵品質評価システム100では、受精卵Fの観察画像の解析から、受精卵移植者から経過情報が情報処理装置20及び第1端末30に送信されるまでのプロセスが1つのシステムで完結している。これにより、受精卵移植者は場所及び時間に依存せずに、いつでも好きな時に取得又は購入要求を、第2端末40を介して情報処理装置20に送信することができる。従って、受精卵Fを選定する上での選定作業の利便性が向上する。
【0189】
<<第2の実施形態>>
図14は、本技術の第2の実施形態に係る受精卵品質評価システム300のブロック図である。以下、第1の実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0190】
本実施形態に係る受精卵品質評価システム300は、
図13に示すように、情報処理装置20が判定部220をさらに有し、複数の第2端末40とネットワークNを介して相互に通信可能に接続される点で、第1の実施形態と異なる。
【0191】
本実施形態の判定部220は、複数の第2端末40各々から取得した購入要求のうちどの購入要求に応じるか否かを判定する。判定部220の詳細な機能については後述する。
【0192】
<受精卵品質評価方法>
図15は、本実施形態に係る受精卵品質評価システム300の受精卵Fの品質を評価する方法を示すフローチャートである。以下、受精卵Fの品質評価方法について、
図15を適宜参照しながら説明する。なお、第1の実施形態と同様のステップについては、その説明を省略する。
【0193】
本実施形態に係る受精卵品質評価システム300は、受精卵Fに関する評価支援情報(第1受精卵解析情報及び識別情報)と受精卵評価情報に基づいて、最も良い購入条件を提示した受精卵移植者に受精卵Fを販売する競売(オークション)システムである。以下、その詳細について説明する。
【0194】
[ステップS21:販売判定]
受精卵品質評価者は、第1端末30を介して、受精卵Fに関する評価支援情報(第1受精卵解析情法及び識別情報)と受精卵評価情報を複数の第2端末40各々に送信する。
【0195】
各受精卵移植者は、第2端末40に表示された評価支援情報と受精卵評価情報に基づき、受精卵Fを購入する購入要求を第2端末40に入力する。本実施形態では、この購入要求として、例えば受精卵Fを何個購入したいか等の希望購入数や、評価支援情報と受精卵評価情報に基づいて受精卵移植者により設定された買値などが第2端末40に入力される。
【0196】
受精卵移植者から購入要求が入力された複数の第2端末40は、ネットワークNを介して、購入要求を取得部24に送信する。取得部24は、複数の第2端末40各々から取得した購入要求を判定部220に出力する。
【0197】
判定部220は、取得部24から出力された複数の第2端末40各々の購入要求のうち、どの購入要求に応じるか否かを判定する。この際、判定部220は、典型的には、複数の第2端末40から送信された購入要求のうち、最も高い買値を付けた受精卵移植者の第2端末40からの購入要求のみを受け付け、この購入要求を出力部26に出力する。
【0198】
[ステップS22:受精卵販売]
続いて、出力部26は、ネットワークNを介して、購入が許可された受精卵移植者の第2端末40からの購入要求に応じた販売指令を、競売にかけられた受精卵Fを生産する受精卵品質評価者の第1端末30に送信する。この販売指令とは、受精卵移植者が落札した受精卵FをウェルWから取り出して、当該受精卵Fを受精卵移植者に販売することを促す指令である。
【0199】
次に、第1端末30が出力部26から販売指令を受信したことを受けて、受精卵品質評価者がネットワークNを介してこの販売指令をゲートウェイ端末10aに送信する。そして、第1端末30から販売指令を受信したゲートウェイ端末10aは、販売指令を制御記録PC205に出力する。
【0200】
販売指令が入力された制御記録PC205は、この販売指令に応じた情報を、表示部206を介して表示する。これにより、受精卵Fを管理する受精卵管理者に対して、受精卵移植者の購入要求に応じた販売指令が通知される。そして、販売指令が通知された受精卵管理者は、購入が許可された受精卵移植者の購入要求に基づき、受精卵移植者が落札した受精卵Fを出荷・配送する。
【0201】
次いで、受精卵移植者は、受精卵管理者から自身が落札した受精卵Fを受け取ると、第2端末40に入力した自身が設定した買値に基づいた代金を受精卵品質評価者に支払う。受精卵Fを落札した受精卵移植者からの受精卵品質評価者への支払いは、郵送や銀行振込等により行われてもよく、あるいは、第2端末40にインストールされた受精卵移植者向けの専用のアプリケーションを利用したオンライン決済により実行されてもよい。
【0202】
<作用>
本実施形態の受精卵品質評価システム300は、受精卵Fに関する評価支援情報(第1受精卵解析情報及び識別情報)と受精卵評価情報に基づいて、最も高い値を付けた受精卵移植者により受精卵Fが落札される。これにより、受精卵品質評価者が受精卵Fをビジネスとして生産する上での収益性が飛躍的に向上する。
【0203】
<変形例>
本実施形態の受精卵品質評価システム300は、
図13に示すように、単一の第1端末30がネットワークNを介して、複数の第2端末40と接続される構成であるが、これに限られない。
【0204】
例えば、複数の第1及び第2端末30,40がネットワークNを介して接続されてもよく、複数の第1端末30がネットワークNを介して単一の第2端末40と接続されてもよい。あるいは、それぞれ単一の第1及び第2端末30,40がネットワークNを介して接続されてもよい。
【0205】
<<第3の実施形態>>
図16は、本技術の第3の実施形態に係る受精卵品質評価システム500のブロック図である。以下、第1の実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0206】
本実施形態の受精卵品質評価システム500は、
図16に示すように、受精卵管理者が観察装置202だけではなく、遺伝子解析装置400をさらに扱う点で第1の実施形態と異なる。
【0207】
遺伝子解析装置400は、制御記録PC205に接続され、この制御記録PC205を介してゲートウェイ端末10aに接続される。即ち、遺伝子解析装置400は、制御記録PC205とゲートウェイ端末10aを介して、情報処理装置20と、第1及び第2端末30,40と相互に通信可能に接続される。
【0208】
本実施形態の遺伝子解析装置400は、例えばDNA(deoxyribonucleic acid)チップ、あるいは、DNAシークエンシング法やPCR(Polymerase Chain Reaction)法等を利用する遺伝子解析装置であるが、この限りではない。
【0209】
また、遺伝子解析装置400が受精卵Fの遺伝子を解析することにより得られる遺伝子解析情報とは、例えば、SNP(Single Nucleotide Polymorphism)タイピングによって得られたA(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)の4種類の塩基の配列に関する情報であり、以下の説明においても同義である。
【0210】
<受精卵品質評価方法>
図17は、本実施形態に係る受精卵品質評価システム500の受精卵Fの品質を評価する方法を示すフローチャートである。以下、受精卵Fの品質評価方法について、
図17を適宜参照しながら説明する。なお、第1の実施形態と同様のステップについては、その説明を省略する。
【0211】
[ステップS31:観察画像・識別情報・遺伝子解析情報取得]
先ず、受精卵Fに関する識別情報と、遺伝子解析装置400が受精卵Fの遺伝子を解析することにより得られた遺伝子解析情報とが制御記録PC205に入力される。制御記録PC205に入力された識別情報及び遺伝子解析情報は制御記録PC205に記憶され、ゲートウェイ端末10aに送信される。識別情報及び遺伝子解析情報を受信したゲートウェイ端末10aは、ネットワークNを介してこれらの情報を取得部24に送信し、取得部24がこれらを取得する。
【0212】
続いて、取得部24がネットワークNを介してゲートウェイ端末10aから識別情報及び遺伝子解析情報を取得したことを受けて、受精卵Fを撮像する撮像指令を出力部26がネットワークNを介してゲートウェイ端末10aに送信する。撮像指令を受信したゲートウェイ端末10aは、この撮像指令を制御記録PC205に送信する。
【0213】
撮像指令を受信した制御記録PC205は、撮像指令に従って、撮像部2021を制御する。これにより、第1実施形態で説明したように、受精卵Fを6つ含む第1タイムラプス画像G1が生成され、この第1タイムラプス画像G1が制御記録PC205に送信される。
【0214】
第1タイムラプス画像G1が入力された制御記録PC205は、ゲートウェイ端末10aに第1タイムラプス画像G1を送信する。第1タイムラプス画像G1を受信したゲートウェイ端末10aは、ネットワークNを介して第1タイムラプス画像G1を取得部24に送信し、取得部24がこれを取得する。
【0215】
取得部24は、ネットワークNを介してゲートウェイ端末10aから取得した第1タイムラプス画像G1、識別情報及び遺伝子解析情報を記憶部28に出力し、これらが記憶部28に記憶される。また、取得部24は、取得した第1タイムラプス画像G1を画像処理部27に出力し、識別情報及び遺伝子解析情報を出力部26にも出力する。
【0216】
[ステップS33:解析処理]
予め記憶部28に記憶されている、ネットワークNを介して複数の受精卵管理者から集めた受精卵の遺伝子解析情報と、当該受精卵のタイムラプス画像に基づく、形状情報、動き情報、コンパクション情報、収縮情報、拡張情報、活動休止情報、所見による発育情報及び品質情報のうちの少なくとも1つを、解析部25が記憶部28から読み出す。これらの情報は、
図13の「学習データ」に相当する。
【0217】
次いで、解析部25は、予め設定されているアルゴリズムに記憶部28から読み出した学習データを組み込むことによって識別器を構築する。これにより、解析部25は、識別器を有する構成となる。
【0218】
なお、上記したアルゴリズムは、
図13の「アルゴリズム」に相当し、例えば第1の実施形態で列挙したような機械学習アルゴリズムとして機能する。また、識別器は、
図13の「学習済みモデル」に相当する。
【0219】
次いで、解析部25は、上記のようにして構築された識別器を、画像処理部27から出力された第2タイムラプス画像G2と、この第2タイムラプス画像G2に紐づく受精卵Fに関する遺伝子解析情報に適用することで、第2受精卵解析情報を生成する。
【0220】
具体的には、第2タイムラプス画像と遺伝子解析情報を識別器によりディープラーニング解析することによって、第2受精卵解析情報を生成する。そして、解析部25は、この第2受精卵解析情報を出力部26及び記憶部28に出力し、第2受精卵解析情報が記憶部28に記憶される。
【0221】
なお、上記した第2タイムラプス画像G2と、この第2タイムラプス画像G2に紐づく受精卵Fに関する遺伝子解析情報は、
図13の「入力データ」に相当し、第2受精卵解析情報は、
図13の「結果物」に相当する。
【0222】
[ステップS34:評価支援情報送信]
出力部26は、取得部24から取得した識別情報及び遺伝子解析情報と、解析部25から取得した第2受精卵解析情報とを少なくとも含む評価支援情報を生成する。そして、出力部26は、ネットワークNを介して、この評価支援情報を受精卵品質評価者に出力する。
【0223】
評価支援情報は、例えば、受精卵品質評価者向けの「受精卵解析レポート」として第1端末30に送信される。「受精卵解析レポート」は、例えば、第1端末30にインストールされた受精卵品質評価者向けのアプリケーションソフトを介して第1端末30に表示されてもよい。
【0224】
評価支援情報を受信した第1端末30は、例えば、WEBダッシュボードとして評価支援情報をウェブブラウザ上に表示する。これにより、受精卵品質評価者による受精卵Fの品質評価が支援される。具体的には、第1端末30に表示された評価支援情報(受精卵解析レポート)を評価・閲覧した受精卵品質評価者により、評価支援情報に基づく受精卵評価情報が第1端末30に入力される。
【0225】
[ステップS35:受精卵譲渡]
第1端末30は、ネットワークNを介して、出力部26から取得した評価支援情報(第2受精卵解析情報、識別情報及び遺伝子解析情報)と、受精卵品質評価者により入力された受精卵評価情報を第2端末40に送信する。
【0226】
第2端末40に送信されたこれらの情報は、例えば、受精卵移植者向けの「受精卵解析・評価レポート」として第2端末40に送信される。「受精卵解析・評価レポート」は、例えば、第2端末40にインストールされた受精卵移植者向けのアプリケーションソフトを介して第2端末40に表示されてもよい。
【0227】
評価支援情報(第2受精卵解析情報、識別情報及び遺伝子解析情報)と受精卵評価情報を取得した第2端末40は、例えば、WEBダッシュボードとしてこれらの情報をウェブブラウザ上に表示する。これにより、受精卵移植者は、受精卵解析・評価レポート(評価支援情報及び受精卵評価情報)を参考として、所望とする品質の受精卵Fを選定することが可能となり、受精卵移植者による受精卵Fの選定作業が支援される。
【0228】
続いて、受精卵移植者は、第2端末40に表示された評価支援情報(第2受精卵解析情報、識別情報及び遺伝子解析情報)と受精卵評価情報に基づいて、受精卵Fを取得する取得要求を、入力部40bを介して第2端末40に入力する。
【0229】
受精卵移植者から取得要求が入力された第2端末40は、ネットワークNを介して、この取得要求を、送信部40cを介して取得部24に送信する。次いで、取得部24が第2端末40から取得要求を取得したことを受けて、ネットワークNを介して、出力部26がこの取得要求に応じた譲渡指令を第1端末30に出力する。
【0230】
次に、第1端末30が出力部26から譲渡指令を受信したことを受けて、受精卵品質評価者がネットワークNを介してこの譲渡指令をゲートウェイ端末10aに送信する。そして、第1端末30から譲渡指令を受信したゲートウェイ端末10aは、譲渡指令を制御記録PC205に出力する。
【0231】
譲渡指令が入力された制御記録PC205はこの譲渡指令に応じた情報を、表示部206を介して表示する。これにより、受精卵Fを管理する受精卵管理者に受精卵移植者の取得要求に応じた譲渡指令が通知される。そして、譲渡指令が通知された受精卵管理者は、受精卵移植者の取得要求に基づき、受精卵移植者が選定した受精卵Fを出荷・配送する。
【0232】
[ステップS36:経過情報取得]
受精卵移植者は、受精卵管理者から出荷・配送された受精卵Fを家畜に移植し、出産及び繁殖させる。そして、この家畜から生まれた幼体を成体まで成長させ、この成体を市場に販売する。受精卵移植者は、受精卵管理者から譲渡された受精卵Fを、成体まで発育させ販売する過程において、評価支援情報(第2受精卵解析情報、識別情報及び遺伝子解析情報)と受精卵評価情報に基づき、自身が選定した受精卵Fに関する経過情報を得る。
【0233】
次いで、受精卵移植者は、上記のようにして得た経過情報を第2端末40に入力する。これにより、ネットワークNを介して、第2端末40から受精卵移植者が選定した受精卵Fに関する経過情報が取得部24に送信される。
【0234】
そして、経過情報を取得した取得部24は、この経過情報を解析部25と、出力部26と記憶部28に出力する。取得部24から経過情報を取得した出力部26はこの経過情報を受精卵品質評価者(第1端末30)に出力する。また、記憶部28に出力された経過情報は、記憶部28に記憶される。
【0235】
ここで、本実施形態の取得部24は、経過情報として、評価支援情報(第2受精卵解析情報、識別情報及び遺伝子解析情報)と受精卵評価情報に基づき選定された受精卵Fに関する移植情報、繁殖情報、肥育情報、精肉情報の少なくとも1つを取得する。
【0236】
続いて、取得部24から経過情報を取得した解析部25は、記憶部28に記憶されている、この経過情報に紐づく受精卵Fに関する形状情報、動き情報、コンパクション情報、収縮情報、拡張情報、活動休止情報、所見による発育情報、品質情報、遺伝子解析情報及び培養環境情報のうちの少なくとも1つを記憶部28から読み出す。
【0237】
次いで、解析部25は予め設定されているアルゴリズムに、経過情報と記憶部28から読み出した情報を学習データとして組み込むことによって識別器を再構築する。これにより、識別器が更新される。
【0238】
一方、取得部24から経過情報を取得した第1端末30には、この経過情報が表示される。即ち、評価支援情報(第2受精卵解析情報、識別情報及び遺伝子解析情報)と受精卵評価情報に基づき選定された受精卵Fに関する経過情報が受精卵品質評価者に通知される。これにより、受精卵品質評価者が評価支援情報(受精卵解析レポート)に基づき受精卵Fの品質を評価する際に、経過情報も考慮した品質評価を行うことができる。
【0239】
<作用>
本実施形態に係る受精卵品質評価システム500では、受精卵移植者によって、評価支援情報(第2受精卵解析情報、識別情報及び遺伝子解析情報)と受精卵評価情報に基づく取得要求が第2端末40に入力される。
【0240】
これにより、受精卵移植者は、第2タイムラプス画像G2とこの第2タイムラプス画像G2に紐づく受精卵Fに関する遺伝子解析情報とが、特化型AIによって高精度に解析された解析結果と、この解析結果が受精卵品質評価者によってさらに評価された評価情報と、上記受精卵Fに関する識別情報とを参考に、所望とする品質の受精卵Fを選定し入手することができる。
【0241】
<<第4の実施形態>>
図18は、本技術の第4の実施形態に係る受精卵品質評価システム700のブロック図である。以下、第1及び第3の実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0242】
本実施形態の受精卵品質評価システム700は、
図18に示すように、受精卵管理者が観察装置202だけではなく、遺伝子編集装置600をさらに扱う点で第1及び第3実施形態と異なる。
【0243】
遺伝子編集装置600は、制御記録PC205に接続され、この制御記録PC205を介してゲートウェイ端末10aに接続される。即ち、遺伝子編集装置600は、制御記録PC205とゲートウェイ端末10aを介して、情報処理装置20と、第1及び第2端末30,40と相互に通信可能に接続される。
【0244】
遺伝子編集装置600は、受精卵Fのゲノム情報を編集する任意の遺伝子編集ツールであり、このような遺伝子編集ツールとしては、例えば、CRISPER/Cas9(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats/CRISPR-associated protein 9)等が挙げられる。
【0245】
また、遺伝子編集装置600が受精卵Fの遺伝子を編集することにより得られる遺伝子編集情報とは、例えば、受精卵FのDNA配列を変更することにより得られるゲノム編集情報であり、以下の説明においても同義である。
【0246】
<受精卵品質評価方法>
図19は、本実施形態に係る受精卵品質評価システム700の受精卵Fの品質を評価する方法を示すフローチャートである。以下、受精卵Fの品質評価方法について、
図19を適宜参照しながら説明する。なお、第1の実施形態と同様のステップについては、その説明を省略する。
【0247】
[ステップS41:観察画像・識別情報・遺伝子解析情報・遺伝子編集情報取得]
先ず、受精卵Fに関する識別情報及び遺伝子解析情報と、遺伝子編集装置600が受精卵Fの遺伝子を編集することにより得られた遺伝子編集情報とが制御記録PC205に入力される。制御記録PC205に入力された識別情報、遺伝子解析情報及び遺伝子編集情報は制御記録PC205に記憶され、ゲートウェイ端末10aに送信される。識別情報、遺伝子解析情報及び遺伝子編集情報を受信したゲートウェイ端末10aは、ネットワークNを介してこれらの情報を取得部24に送信し、取得部24がこれらを取得する。
【0248】
続いて、取得部24がネットワークNを介してゲートウェイ端末10aから識別情報、遺伝子解析情報及び遺伝子編集情報を取得したことを受けて、受精卵Fを撮像する撮像指令を出力部26がネットワークNを介してゲートウェイ端末10aに送信する。撮像指令を受信したゲートウェイ端末10aは、この撮像指令を制御記録PC205に出力する。
【0249】
撮像指令を受信した制御記録PC205は、撮像指令に従って、撮像部2021を制御する。これにより、第1実施形態で説明したように、受精卵Fを6つ含む第1タイムラプス画像G1が生成され、この第1タイムラプス画像G1が制御記録PC205に送信される。
【0250】
第1タイムラプス画像G1が入力された制御記録PC205は、ゲートウェイ端末10aに第1タイムラプス画像G1を送信する。第1タイムラプス画像G1を受信したゲートウェイ端末10aは、ネットワークNを介して第1タイムラプス画像G1を取得部24に送信し、取得部24がこれを取得する。
【0251】
取得部24は、ネットワークNを介してゲートウェイ端末10aから取得した第1時タイムラプス画像G1、識別情報、遺伝子解析情報及び遺伝子編集情報を記憶部28に出力し、これらが記憶部28に記憶される。また、取得部24は、取得した第1タイムラプス画像G1を画像処理部27に出力し、識別情報、遺伝子解析情報及び遺伝子編集情報を出力部26にも出力する。
【0252】
[ステップS43:解析処理]
予め記憶部28に記憶されている、ネットワークNを介して複数の受精卵管理者から集めた受精卵の遺伝子解析情報及び遺伝子編集情報と、当該受精卵のタイムラプス画像に基づく、形状情報、動き情報、コンパクション情報、収縮情報、拡張情報、活動休止情報、所見による発育情報及び品質情報のうちの少なくとも1つを、解析部25が記憶部28から読み出す。これらの情報は、
図13の「学習データ」に相当する。
【0253】
次いで、解析部25は、予め設定されているアルゴリズムに記憶部28から読み出した学習データを組み込むことによって識別器を構築する。これにより、解析部25は、識別器を有する構成となる。
【0254】
なお、上記したアルゴリズムは、
図13の「アルゴリズム」に相当し、例えば第1の実施形態で列挙したような機械学習アルゴリズムとして機能する。また、識別器は、
図13の「学習済みモデル」に相当する。
【0255】
次いで、解析部25は、上記のようにして構築された識別器を、画像処理部27から出力された第2タイムラプス画像G2と、この第2タイムラプス画像G2に紐づく受精卵Fに関する遺伝子解析情報及び遺伝子編集情報に適用することで、第3受精卵解析情報を生成する。そして、解析部25は、この第3受精卵解析情報を出力部26及び記憶部28に出力し、第3受精卵解析情報が記憶部28に記憶される。
【0256】
なお、上記した第2タイムラプス画像G2と、この第2タイムラプス画像G2に紐づく受精卵Fに関する遺伝子解析情報及び遺伝子編集情報は、
図13の「入力データ」に相当し、第3受精卵解析情報は、
図13の「結果物」に相当する。
【0257】
[ステップS44:評価支援情報送信]
出力部26は、取得部24から取得した識別情報、遺伝子解析情報及び遺伝子編集情報と、解析部25から取得した第3受精卵解析情報とを少なくとも含む評価支援情報を生成する。そして、出力部26は、ネットワークNを介して、この評価支援情報を受精卵品質評価者に送信する。
【0258】
評価支援情報は、例えば、受精卵品質評価者向けの「受精卵解析レポート」として第1端末30に送信される。「受精卵解析レポート」は、例えば、第1端末30にインストールされた受精卵品質評価者向けのアプリケーションソフトを介して第1端末30に表示されてもよい。
【0259】
評価支援情報を受信した第1端末30は、例えば、WEBダッシュボードとして評価支援情報をウェブブラウザ上に表示する。これにより、受精卵品質評価者による受精卵Fの品質評価が支援される。具体的には、第1端末30に表示された評価支援情報(受精卵解析レポート)を評価・閲覧した受精卵品質評価者により、評価支援情報に基づく受精卵評価情報が第1端末30に入力される。
【0260】
[ステップS45:受精卵譲渡]
第1端末30は、ネットワークNを介して、出力部26から取得した評価支援情報(第3受精卵解析情報、識別情報、遺伝子解析情報及び遺伝子編集情報)と、受精卵品質評価者により入力された受精卵評価情報を第2端末40に送信する。
【0261】
第2端末40に送信されたこれらの情報は、例えば、受精卵移植者向けの「受精卵解析・評価レポート」として第2端末40に送信される。「受精卵解析・評価レポート」は、例えば、第2端末40にインストールされた受精卵移植者向けのアプリケーションソフトを介して第2端末40に表示されてもよい。
【0262】
評価支援情報(第3受精卵解析情報、識別情報、遺伝子解析情報及び遺伝子編集情報)と受精卵評価情報を取得した第2端末40は、例えば、WEBダッシュボードとしてこれらの情報をウェブブラウザ上に表示する。これにより、受精卵移植者は、受精卵解析・評価レポート(評価支援情報及び受精卵評価情報)を参考として、所望とする品質の受精卵を選定することが可能となり、受精卵移植者による受精卵の選定作業が支援される。
【0263】
続いて、受精卵移植者は、第2端末40に表示された評価支援情報(第3受精卵解析情報、識別情報、遺伝子解析情報及び受精卵編集情報)と受精卵評価情報に基づいて、受精卵Fを取得する取得要求を、入力部40bを介して第2端末40に入力する。
【0264】
受精卵移植者から取得要求が入力された第2端末40は、ネットワークNを介して、この取得要求を取得部24に送信する。次いで、取得部24が第2端末40から取得要求を取得したことを受けて、ネットワークNを介して、出力部26がこの取得要求に応じた譲渡指令を第1端末30に送信する。
【0265】
次に、第1端末30が出力部26から譲渡指令を受信したことを受けて、受精卵品質評価者がネットワークNを介してこの譲渡指令をゲートウェイ端末10aに送信する。そして、第1端末30から譲渡指令を受信したゲートウェイ端末10aは、譲渡指令を制御記録PC205に出力する。
【0266】
譲渡指令が入力された制御記録PC205はこの譲渡指令に応じた情報を、表示部206を介して表示する。これにより、受精卵Fを管理する受精卵管理者に受精卵移植者の取得要求に応じた譲渡指令が通知される。そして、譲渡指令が通知された受精卵管理者は、受精卵移植者の取得要求に基づき、受精卵移植者が選定した受精卵Fを出荷・配送する。
【0267】
[ステップS46:経過情報取得]
受精卵移植者は、受精卵管理者から出荷・配送された受精卵Fを家畜に移植し、出産及び繁殖させる。そして、この家畜から生まれた幼体を成体まで成長させ、この成体を市場に販売する。受精卵移植者は、受精卵管理者から譲渡された受精卵Fを、成体まで発育させ販売する過程において、評価支援情報(第3受精卵解析情報、識別情報、遺伝子解析情報及び遺伝子編集情報)と受精卵評価情報に基づき、自身が選定した受精卵Fに関する経過情報を得る。
【0268】
次いで、受精卵移植者は、上記のようにして得た経過情報を第2端末40に入力する。これにより、ネットワークNを介して、第2端末40から受精卵移植者が選定した受精卵Fに関する経過情報が取得部24に送信される。
【0269】
そして、経過情報を取得した取得部24は、この経過情報を解析部25と、出力部26と記憶部28に出力する。取得部24から経過情報を取得した出力部26はこの経過情報を受精卵品質評価者(第1端末30)に送信する。また、記憶部28に出力された経過情報は、記憶部28に記憶される。
【0270】
ここで、本実施形態の取得部24は、経過情報として、評価支援情報(第3受精卵解析情報、識別情報、遺伝子解析情報及び遺伝子編集情報)と受精卵評価情報に基づき選定した受精卵Fに関する移植情報、繁殖情報、肥育情報、精肉情報の少なくとも1つを取得する。
【0271】
続いて、取得部24から経過情報を取得した解析部25は、記憶部28に記憶されている、この経過情報に紐づく受精卵Fに関する形状情報、動き情報、コンパクション情報、収縮情報、拡張情報、活動休止情報、所見による発育情報、品質情報、遺伝子解析情報、遺伝子編集情報及び培養環境情報のうちの少なくとも1つを記憶部28から読み出す。
【0272】
次いで、解析部25は予め設定されているアルゴリズムに、経過情報と記憶部28から読み出した情報を学習データとして組み込むことによって識別器を再構築する。これにより、識別器が更新される。
【0273】
一方、取得部24から経過情報を取得した第1端末30には、この経過情報が表示される。即ち、評価支援情報(第3受精卵解析情報、識別情報、遺伝子解析情報及び遺伝子編集情報)と受精卵評価情報に基づき選定された受精卵Fに関する経過情報が受精卵品質評価者に通知される。これにより、受精卵品質評価者が評価支援情報(受精卵解析レポート)に基づき受精卵Fの品質を評価する際に、経過情報も考慮した品質評価を行うことができる。
【0274】
<作用>
本実施形態に係る受精卵品質評価システム700では、受精卵移植者によって、評価支援情報(第3受精卵解析情報、識別情報、遺伝子解析情報及び遺伝子編集情報)と受精卵評価情報に基づく取得要求が第2端末40に入力される。
【0275】
これにより、受精卵移植者は、第2タイムラプス画像G2とこの第2タイムラプス画像G2に紐づく受精卵Fに関する遺伝子解析情報及び遺伝子編集情報とが、特化型AIによって高精度に解析された解析結果と、この解析結果が受精卵品質評価者によってさらに評価された評価情報と、上記受精卵Fに関する識別情報とを参考に、所望とする品質の受精卵Fを選定し入手することができる。
【0276】
<<第5の実施形態>>
図20は本技術の第5の実施形態に係る受精卵品質評価システム800のブロック図である。
図21は受精卵品質評価システム800の受精卵解析支援の概要を示す図であり、受精卵Fの品質を解析し、この受精卵に関する経過情報を得るまでの流れを示す図である。以下、第1の実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0277】
本実施形態に係る受精卵品質評価システム800は、ヒトの受精卵を培養・管理する不妊治療クリニックや病院(受精卵管理者)と、不妊治療クリニックや病院に所属する医師、胚培養士又はスタッフ(受精卵品質評価者)と、不妊治療のために品質が評価されたヒトの受精卵を移植する不妊治療クリニックや病院(受精卵移植者)との間で、高精度に解析されたヒト受精卵の品質評価情報をインターネット等のネットワークを介して相互に取得可能なネットワークシステムである。以下、ヒトの受精卵を対象とした受精卵の品質評価方法について説明する。
【0278】
<受精卵品質評価方法>
図22は、本実施形態に係る受精卵品質評価システム800の受精卵Fの品質を評価する方法を示すフローチャートである。以下、受精卵Fの品質評価方法について、
図22を適宜参照しながら説明する。なお、第1の実施形態と同様のステップについては、その説明を省略する。
【0279】
[ステップS51:観察画像・所見情報取得]
先ず、受精卵品質評価者が受精卵Fに関する所見情報を、入力部207を介して制御記録PC205に入力する。制御記録PC205に入力された所見情報は制御記録PC205に記憶され、ゲートウェイ端末10aに送信される。所見情報を受信したゲートウェイ端末10aは、ネットワークNを介してこの所見情報を取得部24に送信し、取得部24がこれを取得する。
【0280】
ここで、本実施形態の所見情報とは、例えば、受精卵Fが時系列に沿って撮像されたタイムラプス画像に基づき、医師や胚培養士等の専門家が所見により判断した受精卵Fの品質(発育状態、細胞数、細胞対称性、前核の個数、極体の個数、細胞割球内の核の個数、フラグメント等)に関する情報である。
【0281】
続いて、取得部24がネットワークNを介してゲートウェイ端末10aから所見情報を取得したことを受けて、受精卵Fを撮像する撮像指令を出力部26がネットワークNを介してゲートウェイ端末10aに送信する。撮像指令を受信したゲートウェイ端末10aは、この撮像指令を制御記録PC205に送信する。
【0282】
撮像指令を受信した制御記録PC205は、撮像指令に従って、撮像部2021を制御する。これにより、第1の実施形態で説明したように、受精卵Fを6つ含む第1タイムラプス画像G1が生成され、この第1タイムラプス画像G1が制御記録PC205に送信される。
【0283】
第1タイムラプス画像G1が入力された制御記録PC205は、ゲートウェイ端末10aに第1タイムラプス画像G1を送信する。第1タイムラプス画像G1を受信したゲートウェイ端末10aは、ネットワークNを介して第1タイムラプス画像G1を取得部24に送信し、取得部24がこれを取得する。
【0284】
取得部24は、ネットワークNを介してゲートウェイ端末10aから取得した第1タイムラプス画像G1と所見情報を記憶部28に出力し、これらが記憶部28に記憶される。また、取得部24は、取得した第1タイムラプス画像G1を画像処理部27に出力し、所見情報を出力部26にも出力する。
【0285】
[ステップS54:評価支援情報送信]
出力部26は、取得部24から取得した所見情報と、解析部25から取得した第1受精卵解析情報とを少なくとも含む評価支援情報を生成する。そして、出力部26は、ネットワークNを介して、この評価支援情報を受精卵品質評価者に出力する。
【0286】
評価支援情報は、例えば、受精卵品質評価者向けの「受精卵解析レポート」として第1端末30に送信される。「受精卵解析レポート」は、例えば、第1端末30にインストールされた受精卵品質評価者向けのアプリケーションソフトを介して第1端末30に表示されてもよい。
【0287】
評価支援情報を受信した第1端末30は、例えば、WEBダッシュボードとして評価支援情報をウェブブラウザ上に表示する。これにより、受精卵品質評価者による受精卵Fの品質評価が支援される。具体的には、第1端末30に表示された評価支援情報を評価・閲覧した受精卵品質評価者により、評価支援情報に基づく受精卵評価情報が第1端末30に入力される。
【0288】
なお、本実施形態に係る受精卵品質評価システム800は、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(所謂3省4ガイドライン)を順守するネットワークシステムである。従って、受精卵品質評価者が評価支援情報に基づき、第1端末30に受精卵評価情報を入力する行為は、患者を診察する「診断行為」には該当しない。
【0289】
[ステップS55:受精卵移植]
第1端末30は、ネットワークNを介して、出力部26から取得した評価支援情報(第1受精卵解析情報及び所見情報)と、受精卵品質評価者により入力された受精卵評価情報を第2端末40に送信する。
【0290】
第2端末40に送信されたこれらの情報は、例えば、受精卵移植者向けに提供される「受精卵解析・評価レポート」として第2端末40に送信される。「受精卵解析・評価レポート」は、例えば、第2端末40にインストールされた受精卵移植者向けのアプリケーションソフトを介して第2端末40に表示されてもよい。
【0291】
評価支援情報(第1受精卵解析情報及び所見情報)と受精卵評価情報を取得した第2端末40は、例えば、WEBダッシュボードとしてこれらの情報をウェブブラウザ上に表示する。これにより、例えば受精卵移植者(不妊治療クリニックや病院等)に通院する不妊患者に受精卵解析・評価レポートが報告されることで、不妊患者の診断予約や通院管理、さらには、不妊患者の通院スケジュールや投薬スケジュールの立案、管理に役立てられる。
【0292】
続いて、受精卵移植者に所属する医師等が第2端末40に表示された評価支援情報(第1受精卵解析情報及び所見情報)と受精卵評価情報を参照して、不妊患者に対して受精卵Fを移植する上での診断・カウンセリングを行う。この際例えば、受精卵管理者に管理されている、不妊患者の卵子とパートナーの精子又はパートナーの卵子と不妊患者の精子とが体外で受精することにより生じた複数の受精卵Fのうち、受精卵解析・評価レポート(評価支援情報及び受精卵評価情報)を参考として、不妊患者が望む品質の受精卵Fが選定される。
【0293】
次いで、不妊患者との診断・カウンセリングの結果選定された受精卵Fを取得する取得要求を受精卵移植者に所属する医師等が第2端末40に入力する。取得要求が入力された第2端末40は、ネットワークNを介してこの取得要求をゲートウェイ端末10aに送信する。そして、第2端末40から取得要求を受信したゲートウェイ端末10aは、取得要求を制御記録PC205に出力する。
【0294】
取得要求が入力された制御記録PC205はこの取得要求に応じた情報を、表示装置206を介して表示する。これにより、受精卵Fを管理する受精卵管理者に受精卵移植者の取得要求が通知される。そして、取得要求が通知された受精卵管理者は、受精卵移植者の取得要求に基づき、受精卵移植者が選定した受精卵Fを出荷・搬送する。
【0295】
次に、受精卵移植者は、受精卵解析・評価レポートに基づいた診断・カウンセリングの結果選定された受精卵Fを受精卵管理者から受け取り、この受精卵Fを不妊患者の子宮に移植する。
【0296】
[ステップS56:経過情報取得]
受精卵移植者は、不妊患者の子宮に移植された受精卵Fが発育し、出産するまでの過程において、受精卵解析・評価レポート(評価支援情報及び受精卵評価情報)に基づき選定された受精卵Fに関する経過情報を得る。
【0297】
次いで、受精卵移植者に所属する医師等が、上記のようにして得た経過情報を第2端末40に入力する。これにより、ネットワークNを介して、第2端末40から受精卵移植者が選定した受精卵Fに関する経過情報が取得部24に送信される。
【0298】
そして、経過情報を取得した取得部24は、この経過情報を解析部25と、出力部26と記憶部28に出力する。取得部24から経過情報を取得した出力部26はこの経過情報を受精卵品質評価者(第1端末30)に送信する。また、記憶部28に出力された経過情報は、記憶部28に記憶される。
【0299】
ここで、本実施形態の取得部24は、経過情報として、評価支援情報(第1受精卵解析情報及び所見情報)と受精卵評価情報に基づき選定された受精卵Fに関する移植情報を少なくとも取得する。
【0300】
続いて、取得部24から経過情報を取得した解析部25は、記憶部28に記憶されている、この経過情報に紐づく受精卵Fに関する形状情報、動き情報、コンパクション情報、収縮情報、拡張情報、活動休止情報、所見による発育情報、品質情報、遺伝子解析情報及び培養環境情報のうちの少なくとも1つを記憶部28から読み出す。
【0301】
次いで、解析部25は予め設定されているアルゴリズムに、経過情報と記憶部28から読み出した情報を学習データとして組み込むことによって識別器を再構築する。これにより、識別器が更新される。
【0302】
一方、取得部24から経過情報を取得した第1端末30には、この経過情報が表示される。即ち、評価支援情報(第1受精卵解析情報及び所見情報)と受精卵評価情報に基づき選定された受精卵Fに関する経過情報が受精卵品質評価者に通知される。これにより、受精卵品質評価者が評価支援情報(受精卵解析レポート)に基づき受精卵Fの品質を評価する際に、経過情報も考慮した品質評価を行うことができる。
【0303】
<作用>
本実施形態の受精卵品質評価システム800では、第2タイムラプス画像G2が特化型AIによって高精度に解析された解析結果と、この解析結果が受精卵品質評価者によってさらに評価された評価情報と、第2タイムラプス画像G2に紐づく受精卵Fに関する所見情報とを参考として、不妊患者が望む品質の受精卵Fを選定し、この受精卵Fを不妊患者に移植することが可能となる。
【0304】
<補足>
図23は、受精卵品質評価システム800の受精卵解析支援の他の概要を示す図であり、受精卵Fの品質を解析し、この受精卵に関する経過情報を得るまでの流れを示す図である。
【0305】
本実施形態の受精卵品質評価システム800は、
図23に示すように、受精卵Fの品質を評価する受精卵品質評価者と、受精卵Fを移植する受精卵移植者が同一の機関(病院又は不妊治療クリニック等)であってもよい。即ち、受精卵品質評価システム800では、受精卵Fの管理と不妊患者への移植が同じ機関(病院又は不妊治療クリニック等)で行われてもよい。これにより、受精卵移植者に受精卵Fが出荷・搬送される工程が省略されるため、不妊患者に迅速に受精卵Fを移植することが可能となる。
【0306】
<変形例>
本実施形態の受精卵品質評価システム800のステップS51では、入力部207を介して、制御記録PC205に所見情報が入力されるが、これに限られず、第1の実施形態で説明した識別情報がさらに入力されてもよい。即ち、第1受精卵解析情報と、受精卵評価情報と、所見情報と、識別情報とを少なくとも含む評価支援情報を、第2端末40を介して受精卵移植者やその患者に提示してもよい。
【0307】
以上、本技術の実施形態について説明したが、本技術は上述の実施形態に限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。
【0308】
例えば、受精卵品質評価システム100,300,500,700,800では、任意の時期毎、例えば15分間隔や1日おきといった所定の間毎、もしくは連続的に受精卵Fを撮像する撮像工程が繰り返され、この工程により取得した画像を利用して受精卵Fの品質が評価されるが、これに限られない。
【0309】
本実施形態に係る受精卵品質評価システム100,300,500,700,800では、必要に応じてリアルタイムに画像を取得してもよく、表示装置206や第1及び第2端末30,40に受精卵Fの画像を表示させて随時観察、評価するようにしてもよい。
【0310】
また、上記第1,第3及び第4の実施形態では、取得部24が受精卵移植者から取得要求(購入要求)を取得したことを受けて、この取得要求(購入要求)に応じた譲渡指令(販売指令)が第1端末30に送信されるが、これに限られない。
【0311】
例えば、取得部24が第2端末40から取得要求(購入要求)を取得したことを受けて、出力部26がこの取得要求(購入要求)に応じた譲渡指令(販売指令)を、端末装置10を介して受精卵管理者に出力することによって、受精卵Fの出荷・配送が実行されてもよい。
【0312】
さらに、上記第1,第3及び第4の実施形態では、第2端末40に入力された取得要求(購入要求)が情報処理装置20に出力されるがこれに限られず、取得要求(購入要求)が端末装置10を介して受精卵管理者に直接出力されることによって、受精卵Fの出荷・配送が実行されてもよい。
【0313】
加えて、本技術に係る受精卵品質評価システム100,300,500,700が対象とする受精卵Fは典型的にはウシ由来のものであるが、これに限られず、例えばマウス、ブタ、イヌ又はネコ等から採取されたものであってもよい。
【0314】
また、本明細書において、「受精卵」とは、単一の細胞と、複数の細胞の集合体とを少なくとも概念的に含む。また、この単一または複数の細胞の集合体は、卵母細胞(oocyte)、卵子(egg /ovum)、受精卵(fertile ovum/zygote)、胚盤胞(blastocyst)、胚(embryo)を含む、胚発生(embryonic development)における一または複数のステージで観察される細胞に関連するものである。
【0315】
さらに、本技術は、畜産分野等における生物の未受精の卵細胞(卵子)や胚等、再生医療、病理生物学及び遺伝子編集技術等の分野における幹細胞、免疫細胞、癌細胞等の生体から取り出された生体試料等、任意の細胞に対しても適用可能である。
【0316】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
【0317】
(1)
ネットワークを介して、生産事業者から受精卵のタイムラプス画像を取得し、
上記受精卵のタイムラプス画像を、複数の生産事業者から集めた受精卵のタイムラプス画像を用いて生成された学習済みモデルに適用することによって、第1の受精卵解析情報を生成し、
上記第1の受精卵解析情報を含む受精卵解析レポートを用いて受精卵を評価する胚培養士又は生産者に、上記ネットワークを介して、上記受精卵解析レポートを出力する
受精卵品質評価方法。
(2)
上記(1)に記載の受精卵品質評価方法であって、
上記第1の受精卵解析情報を生成する工程は、受精卵のタイムラプス画像を、上記学習済みモデルによりディープラーニング解析することで、上記第1の受精卵解析情報を生成する
受精卵品質評価方法。
(3)
上記(1)又は(2)に記載の受精卵品質評価方法であって、さらに、
繁殖事業者に受精卵販売レポートを送信する
受精卵品質評価方法。
(4)
上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の受精卵品質評価方法であって、
上記受精卵解析レポートを出力する工程は、受精卵を撮像した撮像時間と、受精卵の発育時間と、品質情報と、形状情報と、動き情報と、コンパクション情報と、収縮情報と、拡張情報と、活動休止情報の少なくとも1つを上記第1の受精卵解析情報として含む上記受精卵解析レポートを出力する
受精卵品質評価方法。
(5)
上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の受精卵品質評価方法であって、
上記第1の受精卵解析情報を生成する工程は、上記複数の生産事業者から集めた受精卵のタイムラプス画像を学習データとする第1のアルゴリズムに基づき生成された第1の識別器に、受精卵のタイムラプス画像を適用することよって、上記第1の受精卵解析情報を生成する
受精卵品質評価方法。
(6)
上記(5)に記載の受精卵品質評価方法であって、さらに、
上記第1の受精卵解析情報を生成する前に、受精卵のタイムラプス画像をノーマライゼーションし、
上記第1の受精卵解析情報を生成する工程は、ノーマライゼーションされた受精卵のタイムラプス画像を上記第1の識別器に適用することによって、上記第1の受精卵解析情報を生成する
受精卵品質評価方法。
(7)
上記(5)又は(6)に記載の受精卵品質評価方法であって、
上記第1の受精卵解析情報を生成する工程は、上記複数の生産事業者から集めた受精卵のタイムラプス画像を学習データとする第2のアルゴリズムと上記第1のアルゴリズムとに基づき生成された第2の識別器に、受精卵のタイムラプス画像を適用することによって、上記第1の受精卵解析情報を生成することを含む
受精卵品質評価方法。
(8)
上記(1)から(7)のいずれか1つに記載の受精卵品質評価方法であって、
上記第1の受精卵解析情報を生成する工程は、上記複数の生産事業者から集めた受精卵のタイムラプス画像及び識別情報を学習データとするアルゴリズムに基づき生成された識別器に、受精卵のタイムラプス画像と識別情報を適用することによって、上記第1の受精卵解析情報を生成することを含む
受精卵品質評価方法。
(9)
上記(1)から(8)のいずれか1つに記載の受精卵品質評価方法であって、
上記第1の受精卵解析情報を生成する工程は、上記複数の生産事業者から集めた受精卵のタイムラプス画像及び培養環境情報を学習データとするアルゴリズムに基づき生成された識別器に、受精卵のタイムラプス画像と培養環境情報を適用することによって、上記第1の受精卵解析情報を生成することを含む
受精卵品質評価方法。
(10)
上記(1)から(9)のいずれか1つに記載の受精卵品質評価方法であって、
上記第1の受精卵解析情報を生成する工程では、上記第1の受精卵解析情報として、受精卵を撮像した撮像時間と、受精卵の発育時間と、品質情報と、形状情報と、動き情報と、コンパクション情報と、収縮情報と、拡張情報と、活動休止情報の少なくとも1つが生成される
受精卵品質評価方法。
(11)
上記(3)から(10)のいずれか1つに記載の受精卵品質評価方法であって、
上記受精卵販売レポートを送信する工程は、上記第1の受精卵解析情報を含み受精卵の品質評価を支援する評価支援情報と、上記評価支援情報に基づく受精卵評価情報とを含む上記受精卵販売レポートを上記繁殖事業者に送信する
受精卵品質評価方法。
(12)
上記(3)から(11)のいずれか1つに記載の受精卵品質評価方法であって、さらに、
上記ネットワークを介して、受精卵を取得する取得要求を上記繁殖事業者から取得し、
上記取得要求に応じた指令を上記生産者又は上記胚培養士に出力する
受精卵品質評価方法。
(13)
上記(3)から(11)のいずれか1つに記載の受精卵品質評価方法であって、さらに、
上記ネットワークを介して、受精卵を購入する購入要求を上記繁殖事業者から取得し、
上記購入要求に応じた指令を上記生産者又は上記胚培養士に出力する
受精卵品質評価方法。
(14)
上記(13)に記載の受精卵品質評価方法であって、さらに、
上記繁殖事業者からの上記購入要求に応じるか否かを判定する
受精卵品質評価方法。
(15)
上記(3)から(14)のいずれか1つに記載の受精卵品質評価方法であって、さらに、
受精卵の遺伝子を解析する遺伝子解析装置により取得された遺伝子解析情報を、上記生産事業者から上記ネットワークを介して取得し、
受精卵のタイムラプス画像と上記遺伝子解析情報とに基づき、第2の受精卵解析情報を生成し、
上記ネットワークを介して、上記第2の受精卵解析情報を上記胚培養士又は上記生産者に出力する
受精卵品質評価方法。
(16)
上記(15)に記載の受精卵品質評価方法であって、さらに、
受精卵の遺伝子を編集する遺伝子編集装置により取得された遺伝子編集情報を、上記生産事業者から上記ネットワークを介して取得し、
受精卵のタイムラプス画像と、上記遺伝子解析情報と、上記遺伝子編集情報とに基づき、第3の受精卵解析情報を生成し、
上記ネットワークを介して、上記第3の受精卵解析情報を上記胚培養士又は上記生産者に出力する
受精卵品質評価方法。
(17)
上記(3)から(16)のいずれか1つに記載の受精卵品質評価方法であって、さらに、
上記ネットワークを介して、上記繁殖事業者から受精卵に関する経過情報を取得し、
上記ネットワークを介して、上記経過情報を上記生産者又は上記胚培養士に出力する
受精卵品質評価方法。
(18)
上記(17)に記載の受精卵品質評価方法であって、
上記経過情報を取得する工程は、上記経過情報として、受精卵に関する移植情報と、繁殖情報と、肥育情報と、精肉情報の少なくとも1つを取得する
受精卵品質評価方法。
(19)
クラウドコンピューティングによる受精卵の品質評価を行うための情報処理装置を備える受精卵品質評価システムであって、
固有の識別情報に紐づけられた受精卵が時系列に撮像された複数の観察画像を、端末装置からネットワークを介して取得する取得部と、
上記複数の観察画像に基づき、受精卵解析情報を生成する解析部と、
上記識別情報と上記受精卵解析情報とを含む評価支援情報を、上記評価支援情報に基づく受精卵評価情報の入力を受け付けるコンピュータに上記ネットワークを介して出力する出力部と
を有する上記情報処理装置
を具備する受精卵品質評価システム。
(20)
上記(19)に記載の受精卵品質評価システムであって、
上記ネットワークを介して、上記複数の観察画像を送信可能に構成された上記端末装置をさらに具備する
受精卵品質評価システム。
(21)
上記(19)又は(20)に記載の受精卵品質評価システムであって、
上記取得部は、上記識別情報として、受精卵となる精子及び卵子に関する情報と、受精卵に関する交配情報と、受精卵を培養する培養容器に関する情報の少なくとも1つを上記端末装置から上記ネットワークを介してさらに取得する
受精卵品質評価システム。
(22)
上記(19)から(21)のいずれか1つに記載の受精卵品質評価システムであって、
上記情報処理装置は、ウェブサーバである
受精卵品質評価システム。
(23)
ネットワークを介して、複数の端末と接続可能なクラウドサーバを備える受精卵品質評価システムであって、
固有の識別情報に紐づけられた受精卵が時系列に撮像された複数の観察画像を、前記ネットワークを介して前記端末から取得する取得部と、
上記複数の観察画像に基づき、受精卵解析情報を生成する解析部と、
上記識別情報と上記受精卵解析情報とを含む評価支援情報を、上記評価支援情報に基づく受精卵評価情報の入力を受け付けるコンピュータに上記ネットワークを介して出力する出力部と
を有する前記クラウドサーバ
を具備する受精卵品質評価システム。
(24)
ネットワークを介して、生産事業者から受精卵のタイムラプス画像を取得するステップと、
上記受精卵のタイムラプス画像を、複数の生産事業者から集めた受精卵のタイムラプス画像を用いて生成された学習済みモデルに適用することによって、受精卵解析情報を生成するステップと、
上記受精卵解析情報を含む受精卵解析レポートを用いて受精卵を評価する胚培養士又は生産者に、上記ネットワークを介して、上記受精卵解析レポートを出力するステップと
を情報処理装置に実行させるプログラム。
(25)
ネットワークを介して、生産事業者から受精卵のタイムラプス画像を取得する取得部と、
上記受精卵のタイムラプス画像を、複数の生産事業者から集めた受精卵のタイムラプス画像を用いて生成された学習済みモデルに適用することによって、受精卵解析情報を生成する解析部と、
上記受精卵解析情報を含む受精卵解析レポートを用いて受精卵を評価する胚培養士又は生産者に、上記ネットワークを介して、上記受精卵解析レポートを出力する出力部と
を具備する情報処理装置。
【解決手段】本技術に係る受精卵品質評価方法は、ネットワークを介して、生産事業者から受精卵のタイムラプス画像が取得される。上記受精卵のタイムラプス画像を、複数の生産事業者から集めた受精卵のタイムラプス画像を用いて生成された学習済みモデルに適用することによって、第1の受精卵解析情報が生成される。上記第1の受精卵解析情報を含む受精卵解析レポートを用いて受精卵を評価する胚培養士又は生産者に、上記ネットワークを介して、上記受精卵解析レポートが出力される。