特許第6414423号(P6414423)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6414423出力処理システム、出力処理装置、及び、出力処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6414423
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】出力処理システム、出力処理装置、及び、出力処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/46 20060101AFI20181022BHJP
   B41J 2/525 20060101ALI20181022BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20181022BHJP
【FI】
   H04N1/46
   B41J2/525
   G06T1/00 510
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-190894(P2014-190894)
(22)【出願日】2014年9月19日
(65)【公開番号】特開2016-63447(P2016-63447A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101948
【弁理士】
【氏名又は名称】柳澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】石塚 隆一
【審査官】 大室 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−074354(JP,A)
【文献】 特開2013−187581(JP,A)
【文献】 特開2012−191459(JP,A)
【文献】 特開2013−232868(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0136016(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/52−2/525
G06T 1/00−1/40
G06T 3/00−5/50
G06T 9/00−9/40
H04N 1/40−1/409
H04N 1/46−1/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標出力装置を想定して作成され前記目標出力装置の特性を示す目標装置特性情報と自装置の出力特性を示す元装置特性情報から作成された元装置色変換情報を用いて色変換し出力すべく蓄積されている色材色を成分とする出力色空間の出力情報とともに、前記目標装置特性情報を転送する転送元装置と、
前記転送元装置から転送された出力情報と前記目標装置特性情報を受け取り、前記目標装置特性情報と自装置の特性を示す実装置特性情報から色変換情報を作成して、前記出力情報の色変換を行う転送先装置を有することを特徴とする出力処理システム。
【請求項2】
前記転送元装置は、前記目標出力装置に対応して備えられ、かつ前記出力色空間で色変換を行う前記元装置色変換情報を作成する際に前記目標装置特性情報とともに用いた付属情報についても前記出力情報とともに転送し、
前記転送先装置は、転送された前記出力情報とともに前記付属情報を参照して前記色変換情報を作成することを特徴とする請求項1に記載の出力処理システム。
【請求項3】
前記転送先装置は、自装置における色変換情報を作成する際に使用する設定情報に従って前記付属情報を変更して前記色変換情報を作成することを特徴とする請求項2に記載の出力処理システム。
【請求項4】
前記転送元装置は、前記目標出力装置に対応して備えられ、かつ前記出力色空間で色変換を行う前記元装置色変換情報をさらに前記出力情報とともに転送し、
前記転送先装置は、受け取った前記元装置色変換情報による色変換特性が自装置に対応しない場合に、前記色変換情報を作成することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の出力処理システム。
【請求項5】
前記転送元装置は、該転送元装置の特性を示す前記元装置特性情報を前記出力情報とともに転送し、
前記転送先装置は、転送された前記元装置特性情報が示す転送元装置の特性と自装置の特性の誤差が予め設定されている範囲を外れる場合に前記色変換情報を作成することを特徴とする請求項4に記載の出力処理システム。
【請求項6】
前記転送元装置は、該転送元装置の特性を示す前記元装置特性情報を前記出力情報とともに転送し、
前記転送先装置は、転送された前記元装置特性情報が示す転送元装置の特性と自装置の特性の誤差の情報を提示し、受け付けた指示に従って前記転送元装置から転送された前記元装置色変換情報を用いるか、あるいは前記色変換情報を作成し直すことを特徴とする請求項4に記載の出力処理システム。
【請求項7】
前記転送先装置は、前記出力情報に付された情報から得られる前記色変換情報の作成条件により作成された色変換情報が既に存在する場合には、当該色変換情報を用いることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の出力処理システム。
【請求項8】
目標出力装置の特性を示す目標装置特性情報を準備する準備手段と、前記目標出力装置を想定して作成され前記目標装置特性情報と自装置の出力特性を示す元装置特性情報から作成された元装置色変換情報を用いて色変換し出力すべく蓄積されている色材色を成分とする出力色空間の出力情報とともに前記目標装置特性情報を転送する転送手段を有する転送元装置と、
前記転送元装置から転送されてきた情報を受理する受理手段と、前記受理手段で受理した情報から前記目標装置特性情報を取得する取得手段と、前記目標装置特性情報と自装置の特性を示す実装置特性情報から、目標出力装置の色再現が自装置で行われるように色変換を行う際に用いる色変換情報を作成する作成手段と、前記作成手段で作成した色変換情報を用いて、前記転送元装置から転送されてきた前記目標出力装置を想定して作成された前記出力情報を、自装置で前記目標出力装置の色再現が行われるように色変換する色変換手段を有する転送先装置からなることを特徴とする出力処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力処理システム、出力処理装置、及び、出力処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ある目標とする出力装置(以下、目標出力装置と呼ぶ)で出力させる情報を作成し、その情報を別の出力装置で出力させる場合がある。一例としては、ある印刷装置を目標出力装置として情報を作成し、印刷前に別の出力装置により出力して仕上がりを確認するなどがある。この場合、実際に出力を行う別の出力装置で再現される色は、目標出力装置で再現される色であることが要求される。
【0003】
このような要求を満たすべく、目標出力装置向けに作成された情報を実際に出力する出力装置の特性に合わせる色変換を行っている。この色変換に用いられる情報は、目標出力装置ごとに、目標出力装置の特性と実際に出力する出力装置の特性を用いて予め作成されており、出力させる情報が想定している目標出力装置の指定に従って、対応する色変換情報が使用されて色変換が行われる。
【0004】
ある出力装置に、目標出力装置向けに作成された出力情報が蓄積されている状態で、例えば当該出力装置が故障して別の出力装置で出力する場合が発生したり、繁忙期に別の出力装置で出力せざるを得ない場合が発生することがある。
【0005】
特許文献1には、メインの出力装置に代えて他の出力装置で出力する場合に、他の出力装置に記憶されているプロファイルの内容がメインの出力装置の内容と異なると、メインの出力装置による出力画質が得られないことから、プロファイルを適用せず、あるいはエラー停止することが記載されている。
【0006】
特許文献2にはKの値を制御したCMYK−CMYKの色変換を行う色変換情報の作成方法が記載されている。
【0007】
特許文献3には色変換情報を作成した際の履歴を保存することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−037230号公報
【特許文献2】特開2002−152543号公報
【特許文献3】特開2002−187314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、出力装置を別の出力装置に変更し、あるいは出力装置の構成を変更した場合でも、元の出力装置で出力した場合と同様に色再現されるよう、色変換情報を作成し直すために利用者が目標出力装置の特性などの必要な情報を探し出し、種々の設定を行って色変換情報の作成を行うという操作を行う場合に比べて簡単に、別の出力装置あるいは構成が変更された出力装置で目標出力装置の出力特性を反映した出力結果を得ることができる出力処理システム、出力処理装置、出力処理プログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願請求項1に記載の発明は、目標出力装置を想定して作成され前記目標出力装置の特性を示す目標装置特性情報と自装置の出力特性を示す元装置特性情報から作成された元装置色変換情報を用いて色変換し出力すべく蓄積されている色材色を成分とする出力色空間の出力情報とともに、前記目標装置特性情報を転送する転送元装置と、前記転送元装置から転送された出力情報と前記目標装置特性情報を受け取り、前記目標装置特性情報と自装置の特性を示す実装置特性情報から色変換情報を作成して、前記出力情報の色変換を行う転送先装置を有することを特徴とする出力処理システムである。
【0011】
本願請求項2に記載の発明は、本願請求項1に記載の発明における前記転送元装置が、前記目標出力装置に対応して備えられ、かつ前記出力色空間で色変換を行う前記元装置色変換情報を作成する際に前記目標装置特性情報とともに用いた付属情報についても前記出力情報とともに転送し、前記転送先装置は、転送された前記出力情報とともに前記付属情報を参照して前記色変換情報を作成することを特徴とする出力処理システムである。
【0012】
本願請求項3に記載の発明は、本願請求項2に記載の発明における前記転送先装置が、自装置における色変換情報を作成する際に使用する設定情報に従って前記付属情報を変更して前記色変換情報を作成することを特徴とする出力処理システムである。
【0013】
本願請求項4に記載の発明は、本願請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明における前記転送元装置が、前記目標出力装置に対応して備えられ、かつ前記出力色空間で色変換を行う前記元装置色変換情報をさらに前記出力情報とともに転送し、前記転送先装置は、受け取った前記元装置色変換情報による色変換特性が自装置に対応しない場合に、前記色変換情報を作成することを特徴とする出力処理システムである。
【0014】
本願請求項5に記載の発明は、本願請求項4に記載の発明における前記転送元装置が、該転送元装置の特性を示す前記元装置特性情報を前記出力情報とともに転送し、前記転送先装置は、転送された前記元装置特性情報が示す転送元装置の特性と自装置の特性の誤差が予め設定されている範囲を外れる場合に前記色変換情報を作成することを特徴とする出力処理システムである。
【0015】
本願請求項6に記載の発明は、本願請求項4に記載の発明における前記転送元装置が、該転送元装置の特性を示す前記元装置特性情報を前記出力情報とともに転送し、前記転送先装置は、転送された前記元装置特性情報が示す転送元装置の特性と自装置の特性の誤差の情報を提示し、受け付けた指示に従って前記転送元装置から転送された前記元装置色変換情報を用いるか、あるいは前記色変換情報を作成し直すことを特徴とする出力処理システムである。
【0016】
本願請求項7に記載の発明は、本願請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の発明における前記転送先装置が、前記出力情報に付された情報から得られる前記色変換情報の作成条件により作成された色変換情報が既に存在する場合には、当該色変換情報を用いることを特徴とする出力処理システムである。
【0017】
本願請求項8に記載の発明は、目標出力装置の特性を示す目標装置特性情報を準備する準備手段と、前記目標出力装置を想定して作成され前記目標装置特性情報と自装置の出力特性を示す元装置特性情報から作成された元装置色変換情報を用いて色変換し出力すべく蓄積されている色材色を成分とする出力色空間の出力情報とともに前記目標装置特性情報を転送する転送手段を有する転送元装置と、前記転送元装置から転送されてきた情報を受理する受理手段と、前記受理手段で受理した情報から前記目標装置特性情報を取得する取得手段と、前記目標装置特性情報と自装置の特性を示す実装置特性情報から、目標出力装置の色再現が自装置で行われるように色変換を行う際に用いる色変換情報を作成する作成手段と、前記作成手段で作成した色変換情報を用いて、前記転送元装置から転送されてきた前記目標出力装置を想定して作成された前記出力情報を、自装置で前記目標出力装置の色再現が行われるように色変換する色変換手段を有する転送先装置からなることを特徴とする出力処理システムである。
【発明の効果】
【0024】
本願請求項1に記載の発明によれば、目標出力装置を想定して作成された色材色を成分とする出力色空間の出力情報の出力先を転送元装置から転送先装置に変更した場合でも、従来のように利用者が目標出力装置の特性などの必要な情報を探し出し、種々の設定を行って色変換情報の作成を行うという操作を行う場合に比べて簡単に、転送先装置で目標出力装置の出力特性を反映した出力結果を得ることができるという効果がある。
【0025】
本願請求項2に記載の発明によれば、色変換情報を作成し直す際に利用者による設定を省略することができる。
【0026】
本願請求項3に記載の発明によれば、転送元装置における設定を、転送先装置に依存する設定に合わせた上で色変換情報を作成し直すことができる。
【0027】
本願請求項4に記載の発明によれば、転送先装置が転送元装置から出力情報の転送を受けるごとに色変換情報を作成し直す場合に比べて、色変換情報の再作成の頻度を減少させることができる。
【0028】
本願請求項5に記載の発明によれば、転送先装置が転送元装置から出力情報の転送を受けるごとに色変換情報を作成し直す場合に比べて、転送元装置と転送先装置の特性の誤差が許容される範囲である場合に色変換情報の作成を減少させることができる。
【0029】
本願請求項6に記載の発明によれば、色変換情報を作成し直すか否かを、利用者が選択することができる。
【0030】
本願請求項7に記載の発明によれば、転送先装置が転送元装置から出力情報の転送を受けるごとに色変換情報を作成し直す場合に比べて、色変換情報の再作成の頻度を減少させることができる。
【0031】
本願請求項8に記載の発明によれば、目標出力装置を想定して作成された色材色を成分とする出力色空間の出力情報の出力先を転送元装置から転送先装置に変更した場合でも、従来のように利用者が目標出力装置の特性などの必要な情報を探し出し、種々の設定を行って色変換情報の作成を行うという操作を行う場合に比べて簡単に、転送先装置で目標出力装置の出力特性を反映した出力結果を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の第1の実施の形態を示す構成図である。
図2】本発明の第1の実施の形態における転送先装置の動作の一例を示す流れ図である。
図3】本発明の第1の実施の形態における転送先装置の動作の別の例を示す流れ図である。
図4】本発明の第1の実施の形態の第2の変形例を示す構成図である。
図5】本発明の第2の実施の形態を示す構成図である。
図6】本発明の第2の実施の形態における実出力装置の動作の一例を示す流れ図である。
図7】本発明の各実施の形態で説明した装置の機能をコンピュータプログラムで実現した場合におけるコンピュータプログラム及びそのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体とコンピュータの一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
一般に、色再現特性はそれぞれの機種や、個別の装置ごとにも異なる場合がある。1台の出力装置でも、例えば当該出力装置向けの拡張基板を購入して装着したことで構成が変更されると色再現特性が異なる場合がある。従って、蓄積されている出力情報を他の出力装置に転送しても、転送先の装置に目標出力装置に対応する色変換情報が存在していないと、目標出力装置の色特性を再現した出力は得られない。また、構成の変更後の色再現特性に応じた色変換情報が存在していなければ、構成の変更後に目標出力装置の色特性を再現した出力は得られない。
【0040】
このように、新たな出力装置や新たな構成において色変換情報が存在していない場合の解決方法として、色変換情報を作成し直すことが考えられる。例えば、出力対象の情報がRGB色空間やCIELAB色空間を用いた情報であれば、通常用いられている色変換方法であるICC(International Color Consortium)の提案するモデルを用いて色変換情報を作成し直せばよい。
【0041】
出力装置で用いる色材色を成分とする出力色空間における色変換情報を作成する際には、例えば特許文献2では目標出力装置の特性を示すCIELABの値とCMYKの値の対からなる素データと、実際に出力する出力装置の特性を示すCIELABの値とCMYKの値の対からなる素データが必要となる。色変換情報を作成する際に必要とされる情報は素データに限らないが、色変換情報を作成する際に使用した情報は、いったん色変換情報を作成してしまえば不要であるから、出力装置に保存されていない。従って、上述のように他の出力装置で出力させようとする場合や出力装置の構成が変更された場合などで色変換情報を作成し直す場合、目標出力装置の特性などの情報を探し出し、種々の設定を行って色変換情報の作成を行うための操作が必要になる。この操作を利用者が行うとなると、その操作は煩雑であり、また誤操作が生じ、さらにそのような操作や試行錯誤によって利用者による操作には時間を要する。本発明はこのような事情に鑑みてなされたものである。
【0042】
図1は、本発明の第1の実施の形態を示す構成図である。図中、1は転送元装置、2は転送先装置、3は目標出力装置、11は情報準備部、12は転送部、13は出力情報、14は色変換情報、15は目標装置特性情報、16は付属情報、17は色変換部、18は画像形成部、21は受理部、22は取得部、23は作成部、24は色変換部、25は画像形成部、26は色変換情報である。
【0043】
転送元装置1には、この転送元装置1で出力が予定されている1または複数の出力情報13が蓄積されている。それぞれの出力情報13は、出力させる目標出力装置3をそれぞれ想定して作成されたものであり、目標出力装置3で用いられる色材色を成分とする出力色空間のカラー情報である。例えば、目標出力装置3がC,M,Y,Kの色材を用いてカラー画像を出力する装置であれば、出力情報13はCMYK色空間のカラー画像として、目標出力装置3で意図した色再現がなされるように作成されている。もちろん、出力色空間はCMYK色空間に限られるものでは無い。一例として、C,M,Y,K以外の4色、あるいは特色を含む5色以上の色材を用いる装置であれば、それらの色材色を成分とする4あるいは5以上の次元の色空間となる。
【0044】
この出力情報13には、想定されている目標出力装置3が指定されており、転送元装置1では、指定されている目標出力装置3に対応する色変換情報14を用いて色変換部17で出力情報13を色変換して画像形成部18で出力し、目標出力装置3の色再現を転送元装置1で実現する。目標出力装置3に対応する色変換情報14は、目標出力装置3と、各種の設定条件などを含めて、対応する色変換情報14が選択されるものであり、以下の説明においてもその意味で用いている。
【0045】
色変換情報14は、目標出力装置3の色再現を転送元装置1で実現するように色変換を行う際に用いる情報であり、目標出力装置3の出力特性の情報である目標装置特性情報15と、転送元装置1の出力特性の情報とから、例えば特許文献2に記載されている方法などの公知の方法を用いて、予め作成される。色変換情報14を用いて行われる色変換処理は、色材色を成分とする出力色空間での色変換となる。例えば出力情報がCMYK色空間の情報であり、転送元装置1がCMYKの色材を用いる装置であれば、CMYK色空間からCMYK色空間への色変換を行うことになる。この変換は、一般に色材量の制御が重要となり、一例としてはKの保存量を制御するなどの各種の手法を盛り込み、色再現とともに質感や光沢感、にじみやぼけの防止などを実現しており、目標出力装置3による出力が転送元装置1で再現されるように色変換を行っている。従って、この色変換情報14は、目標出力装置3と転送元装置1の特性に依存しており、基本的には他の装置で色変換情報13を用いて色変換を行っても目標出力装置3の色再現とはならない。
【0046】
上述したが、色変換情報14は目標装置特性情報15と転送元装置1の出力特性の情報とから作成されるが、時間を要することから、予め作成される。従って、出力情報13を色変換部17で色変換する際には色変換情報14があればよく、目標装置特性情報15や転送元装置1の出力特性の情報などは色変換の時点では不要であり、従来は保存されていない場合がある。この実施の形態では、目標装置特性情報15や、そのほか色変換情報14を作成する際に用いた種々の情報を付属情報16として保存している。これらの情報の保存は、転送元装置1で行う場合に限らず、他の装置に保存されていてもよいし、他のデータベースなどに登録されていてもよいが、これらの情報にアクセスする際に用いる情報、例えば当該これらの情報が格納されている他の装置を特定するURL情報などは転送元装置1に保存されているものとする。
【0047】
転送元装置1に与えられた出力情報13は、その出力情報13が想定している目標出力装置3に対応する色変換情報14が用いられて色変換部17で色変換処理が施され、画像形成部18で出力されることになる。しかし、転送元装置1が故障してしまい、他の装置での出力を行う場合や、出力の順番待ちなどで他の装置での出力に変更する場合など、転送元装置1で出力しない場合が生じることがある。この場合、出力情報13を他の装置に転送して出力させることになる。図1では転送先装置2へ出力情報13を転送して出力させるものとして図示している。
【0048】
出力情報13を転送する際に用いる構成として、転送元装置1は情報準備部11及び転送部12を有している。情報準備部11は、目標出力装置3の特性を示す目標装置特性情報15を準備する。また、色変換情報14を作成する際に目標装置特性情報15とともに用いた種々の付属情報16を準備してもよい。付属情報16としては、例えば紙地色補正方法、Gamut(色域)圧縮方式、トナーやインクなどの色材の総量制限といった各種の設定情報や、出力方式の特性、用紙の特性、さらには転送元装置1の機種情報や固有情報など、種々の情報であってよい。さらに、後述する変形例で説明するが、転送元装置1に備えられている目標出力装置3に対応する色変換情報14を準備してもよい。さらには、色変換情報14を作成する過程で作成された中間データ、例えば目標装置特性情報15から作成した順予測モデルや逆予測モデル、あるいは目標装置特性情報15から作成したICCプロファイルなどを準備してもよい。これらの各情報は、その情報そのものを準備してもよいし、それらの情報をアクセスする際に用いる情報を準備してもよい。
【0049】
転送部12は、出力情報13、及び、情報準備部11で準備した目標装置特性情報15を含む各種の情報や転送元装置1に存在する各種の情報を、転送先装置2に対して転送する。目標装置特性情報15や付属情報16など、出力情報13以外の情報については、その情報そのものを転送してもよいし、それらの情報をアクセスする際に用いる情報を転送してもよい。
【0050】
転送先装置2も、与えられた出力情報に対して、想定されている目標出力装置に対応する色変換情報26を用いて色変換部24で色変換を行い、画像形成部25で出力する機能を有している。転送元装置1から出力情報13が転送されてきた場合、その出力装置13が想定している目標出力装置3に対応する色変換情報26が予め作成されて備えられていれば、その色変換情報26を用いればよい。しかし、転送元装置1から転送されてきた出力装置13が想定している目標出力装置3に対応する色変換情報26が転送先装置2に存在しない場合には、目標出力装置3の色再現は転送先装置2で行われない。従って、目標出力装置3に対応する色変換情報26を転送先装置2で改めて作成することになる。
【0051】
上述したが、色変換情報26の作成には目標出力装置3の出力特性を示す目標装置特性情報15と、転送先装置2の出力特性を示す情報、あるいはさらに各種の設定情報が必要となる。しかし、色変換情報26は予め作成しておくものであるし、目標出力装置3に対応した出力情報13の出力を想定していない場合もあり、目標装置特性情報15や各種の設定情報などは転送先装置2に存在していない場合もある。
【0052】
このような場合に対応すべく、転送元装置1では出力情報13の転送とともに、目標装置特性情報15,あるいはさらに付属情報16を転送する。転送先装置2には、これらを受け付けて色変換情報26を作成し直す構成として、受理部21、取得部22、作成部23を有している。受理部21は、転送元装置1から転送されてくる各種の情報を受け付ける。
【0053】
取得部22は、転送元装置1から転送されてきた出力情報13及び目標装置特性情報15,あるいはさらに付属情報16を取得する。目標装置特性情報15や付属情報16として、その情報そのものが転送されてくる場合には、その情報の転送を受ければよい。また、目標装置特性情報15や付属情報16に対してアクセスする際に用いる情報が転送されてくる場合には、転送されてきた当該情報を用いて、目標装置特性情報15や付属情報16を取得すればよい。これらの情報は、転送元装置1に存在するほか、他の装置に存在していてもよい。例えばデータベース化されており、データベースから検索して取得する構成であってもよい。
【0054】
作成部23は、取得部22で取得した目標装置特性情報と、自装置である転送先装置2の出力特性を示す実装置特性情報、あるいはさらに取得部22で取得した付属情報16を用い、転送先装置2における設定情報などに従って、受理部21で受け付けた出力情報13が想定する目標出力装置3に対応する色変換情報26を作成する。出力情報13は目標出力装置で用いられる色材色を成分とする出力色空間で作成されており、この出力色空間での色変換を行う色変換情報26を作成することになる。また、作成される色変換情報26は、目標出力装置3の色再現が置転送先装置2で行われるように、色変換部24で色変換を行う際に用いられるものである。
【0055】
なお、転送されてきた付属情報16を用いる場合には、そのまま用いるほか、転送先装置2の設定情報に従って付属情報16を変更し、実情に合わせた情報とした上で使用するとよい。また、逆に付属情報16に従って転送先装置2の設定を変更する場合があってもよい。色変換情報26を作成する際には、色再現だけでなく、転送先装置2に依存する色材のにじみの調整や色材の使用量の補正など、様々な設定を反映させて行うことになる。
【0056】
また、転送元装置1で色変換情報14を作成する過程で作成された中間データ、例えば目標装置特性情報15から作成した順予測モデルや逆予測モデル、あるいは目標装置特性情報15から作成したICCプロファイルなどについても転送を受けている場合には、これらの情報を利用してもよい。利用した場合、利用しなかった場合に比べて色変換情報26の作成に要する時間や処理が削減される。
【0057】
色変換情報26の作成方法としては種々の公知の方法を用いてよいが、目標出力装置3の色再現が転送先装置2でも行われるような色変換を行う色変換情報26を作成する方法である必要がある。一例としては、色材の色の色空間がCMYK色空間であれば、Kを制御し、例えばKを保存して、CMYK色空間からCMYK色空間への色変換を行う色変換情報26を作成するとよい。もちろん、付属情報16や設定されている種々の条件のもとで作成される。例えば色材の総量や特定色の制御、にじみ制御など、種々の条件が課せられ、それらの条件に従って色変換情報26が作成されることになる。実際に出力する装置が転送元装置1とは異なる転送先装置2であることから、作成部23で作成された色変換情報26は、転送元装置1に備えられている色変換情報14とは異なるものとなる場合がある。
【0058】
作成部23で色変換情報26が作成されたら、その色変換情報26を用いて、転送されてきた出力情報13に対して色変換部24で色変換を行い、画像形成部25で出力することになる。
【0059】
作成部23で作成した色変換情報26は、目標出力装置3と対応づけて保存しておくとよい。作成後に当該目標出力装置3を想定した出力情報13が転送されてきた場合には、既に作成した色変換情報26を用いて色変換を行えばよい。
【0060】
次に、上述の構成における動作の一例について説明する。ここでは、転送元装置1で出力すべく蓄積されている出力情報13を、転送先装置2から出力させるものとする。転送元装置1では、情報準備部11が目標出力装置3の特性を示す目標装置特性情報15、あるいはさらに色変換情報14を作成する際に目標装置特性情報15とともに用いた設定情報や装置に関する情報などの種々の付属情報16を準備し、出力情報13とともに、これらの目標装置特性情報15あるいはさらに付属情報16などを転送部12から転送先装置2へ転送する。転送は、各情報そのものでもよいし、各情報をアクセスする際に用いる情報であってもよい。
【0061】
図2は、本発明の第1の実施の形態における転送先装置の動作の一例を示す流れ図である。転送元装置1から出力情報13や、目標装置特性情報15、あるいはさらに種々の付属情報16などが転送されてくると、S71において、受理部21はこれらの情報を受け付ける。
【0062】
S72において、受け付けた出力情報13が想定している目標出力装置3に対応する色変換情報26が自装置(転送先装置2)に既に存在するか否かを判定する。もちろん、各種の設定条件によって色変換情報26も異なることから、その設定条件を含めて、既に存在する目標出力装置3に対応する色変換情報26を利用するか否かを判断することになる。
【0063】
設定条件などを含めて目標出力装置3に対応する色変換情報26が既に存在している場合には、S73において、存在している目標出力装置3に対応する色変換情報26を使用して色変換部24による色変換を行い、画像形成部25から出力する。例えば転送先装置2で既に目標出力装置3の色再現を想定している場合や、転送元装置1から先に転送されてきた出力情報13が目標出力装置3を想定していて色変換情報26を既に作成していた場合などでは、色変換情報26を作成する処理が省略される。
【0064】
出力情報13が想定している目標出力装置3に対応する色変換情報26が存在しないとS72で判定された場合には、S74において、取得部22は転送されてきた目標装置特性情報15を取得する。目標装置特性情報15としてアクセスする際に用いる情報が転送されてきている場合には、その情報をもとに目標装置特性情報15を取得する。また、S75において、付属情報16が転送されてきている場合には、さらに付属情報16を取得する。付属情報16についても、アクセスする際に用いる情報が転送されてきている場合には、その情報をもとに付属情報16を取得する。
【0065】
さらに、S76において自装置(転送先装置2)の出力特性を取得するとともに、S77において、例えば色材総量の情報などの各種の設定情報を読み出す。これらの情報が揃ったら、S78において、作成部23は色変換情報26を作成する。作成された色変換情報26は、目標出力装置3の出力特性を自装置(転送先装置2)で再現するように色変換するものである。なお、S78で色変換情報26を作成する際に、転送されてきた付属情報16を用いてもよい。その場合には、S77で読み出した転送先装置2の設定情報に従って付属情報16を変更し、実情に合わせた情報とした上で使用するとよい。
【0066】
S79において、S78で作成された色変換情報26を用いて色変換部24による色変換を行い、画像形成部25から出力すればよい。出力の際には、転送元装置1から転送されてきた付属情報16に従って出力の設定を変更する場合があってもよい。
【0067】
上述の転送元装置1に蓄積された出力情報13を転送先装置2に転送して出力する過程では、利用者は従来のように目標装置特性情報15を用意したり目標出力装置3を設定し直すなどの作業は不要である。また、それらの作業に伴って発生していた誤操作なども生じない。
【0068】
本発明の第1の実施の形態の第1の変形例について説明する。上述の説明では、転送元装置1に備えられていた色変換情報14は転送先装置2では用いないこととしていた。しかし、ある条件の下では転送元装置1に備えられていた色変換情報14を利用してもよい場合もあり、そのような場合には改めて色変換情報26を作成しなくてもよくなる。
【0069】
このような場合に対応するには、まず転送元装置1で出力情報13を転送する際に、その出力情報13が想定している目標出力装置3に対応する色変換情報14についても転送先装置2に転送する。転送先装置2では、出力情報13とともに転送されてきた色変換情報14を受け取り、受け取った色変換情報14が自装置(転送先装置2)に対応しており、利用してもよいのか否かを判断する。
【0070】
例えば、機種が転送元装置1と転送先装置2で共通している場合、転送元装置1の色変換情報14を使用して転送先装置2で出力しても、目標出力装置3の特性が許容される範囲内で再現される場合がある。また、さらに転送元装置1の出力特性を転送先装置2に転送し、転送元装置1の出力特性と転送先装置2の出力特性の誤差が予め決められた範囲内である場合、転送元装置1の色変換情報14を使用して転送先装置2で出力しても、目標出力装置3の特性が許容される範囲内で再現される場合がある。
【0071】
転送元装置1から転送されてきた色変換情報14が自装置(転送先装置2)に対応しており、転送先装置2で利用してもよいと判断される場合には、その色変換情報14を使用して色変換を行い、出力すればよい。自装置(転送先装置2)に対応しておらず、利用しないと判断される場合には、上述したとおり、色変換情報26を作成して色変換を行い、出力すればよい。
【0072】
図3は、本発明の第1の実施の形態における転送先装置の動作の別の例を示す流れ図である。ここでは機種に関する情報が付属情報16として転送され、この機種に関する情報により、転送されてきた色変換情報14を使用するか否かを判断する場合の動作例を示している。なお、図2で説明した処理については図2で使用した符号を付しており、重複する説明を省略することがある。
【0073】
転送元装置1は、出力情報13や目標装置特性情報15、あるいはさらに付属情報16などとともに、出力情報13が想定している目標出力装置3に対応する色変換情報14を、転送先装置2へ転送する。転送先装置2では、S71で受理部21がこれらの情報を受け付ける。S72では、受け付けた出力情報13が想定している目標出力装置3に対応する色変換情報26が自装置(転送先装置2)に既に存在するか否かを判定する。既に存在していれば、S73において、存在している目標出力装置3に対応する色変換情報26を使用して色変換部24による色変換を行い、画像形成部25から出力する。
【0074】
出力情報13が想定している目標出力装置3に対応する色変換情報26が存在しないとS72で判定された場合には、S81において、色変換情報14が転送されてきているか否かを判定する。色変換情報14が転送されてきていない場合にはS74へ進み、S74からS79の処理で、色変換情報26を作成して色変換を行い、出力する。
【0075】
色変換情報14が転送されてきている場合、S82において、転送されてきた付属情報16から転送元装置1の機種を判定する。この機種の判定は、機種名の異同に限らず、装置固有番号から特性が予め決められた範囲のグループか否かで判断したり、異なる機種でも特性が予め決められた範囲であれば特性グループに含まれるか否かで判定してもよい。機種の判定で、転送元装置1と転送先装置2とで異なると判定される場合には、転送されてきた色変換情報14は自装置(転送先装置2)には対応していないものとしてS74へ進み、S74からS79の処理で、色変換情報26を作成して色変換を行い、出力する。
【0076】
機種の判定で転送元装置1と転送先装置2が共通していると判定される場合には、この動作例ではさらにS83において、転送されてきた色変換情報14を利用するか否かを判定する。この判定は、例えば予め行われている設定に従えばよい。転送されてきた色変換情報14を利用しない設定であれば、S74へ進み、S74からS79の処理で、色変換情報26を作成して色変換を行い、出力する。転送されてきた色変換情報14を利用する設定であれば、S84において、転送されてきた色変換情報14を用いて色変換部24で色変換を行い、画像形成部25で出力すればよい。転送されてきた色変換情報14を用いる場合には、転送先装置2で改めて色変換情報26を作成しなくてもよく、作成処理が削減されることになる。
【0077】
ここでは転送元装置1と転送先装置2の機種について比較したが、例えば上述した転送元装置1の出力特性と転送先装置2の出力特性の誤差が予め決められた範囲内であるか否かを判定してもよい。この場合、転送元装置1から、転送元装置1の出力特性を示す元装置特性情報についても転送し、転送先装置2では元装置特性情報も受け付ける。そして、S82では元装置特性情報で示された転送元装置1の出力特性と自装置(転送先装置2)の出力特性の誤差が予め決められた範囲内であるか否かを判定し、出力特性の誤差が予め決められた範囲内であればS83へ進み、色変換情報14を利用する設定であれば転送されてきた色変換情報14を用いて色変換を行い、出力すればよい。また、出力特性の誤差が予め決められた範囲内でない場合、及び、色変換情報14を利用する設定でない場合には、S74からS79の処理で色変換情報14の作成及び色変換、出力を行えばよい。
【0078】
もちろん、機種の比較と出力特性の比較の両方を行ってもよいし、そのほかの条件を加味して判定してもよいことは言うまでもない。
【0079】
本発明の第1の実施の形態の第2の変形例について説明する。図4は、本発明の第1の実施の形態の第2の変形例を示す構成図である。図中、27は提示部、28は受付部である。この第2の変形例では、上述の第1の変形例の動作例である図3に示した動作例のS83で、転送されてきた色変換情報14を利用するか否かの判断を利用者が行う構成を示している。
【0080】
提示部27は、転送されてきた色変換情報14を利用するか、あるいは色変換情報26を改めて作成するかを利用者が判断する際に用いる情報を利用者に提示する。例えば、転送されてきた元装置特性情報が示す転送元装置1の出力特性と自装置(転送先装置2)の出力特性の誤差の情報を利用者に提示する。もちろん、利用者が判断するのに必要な様々な情報を利用者に提示してよい。
【0081】
受付部28は、利用者からの指示を受け付ける。ここでは、転送元装置1から送られてきた色変換情報14を利用するか否かについて利用者が行った指示を受け付ける。転送元装置1から送られてきた色変換情報14を利用する旨の指示を利用者が行った場合には、作成部23による色変換情報26の作成は行わず、転送されてきた色変換情報14を利用して出力情報13に対して色変換部24が色変換を行い、画像形成部25から出力する。また、転送元装置1から送られてきた色変換情報14を利用しない旨の指示を利用者が行った場合には、作成部23で色変換情報26を作成し、その色変換情報26を用いて出力情報13に対して色変換部24で色変換を行い、画像形成部25から出力することになる。
【0082】
この第2の変形例の動作の一例としては、第1の変形例で説明した図3の動作例において、S83で転送されてきた色変換情報14を利用するか否かを判定する際に、提示部27による利用者への情報の提示と受付部28による利用者からの指示の受付を行うことになる。受付部28で受け付けた利用者からの指示が転送元装置1から送られてきた色変換情報14を利用する旨の指示であればS84へ進み、転送されてきた色変換情報14を利用する。また、利用者からの指示が転送元装置1から送られてきた色変換情報14を利用しない旨の指示であればS74へ進み、色変換情報26を作成すればよい。
【0083】
この第2の変形例において提示部27及び受付部28を利用する別の例として、例えば転送元装置1から付属情報16として各種の設定情報が送られてきている場合、それらの設定情報を提示部27から利用者に提示し、利用者による設定情報の変更を受付部28で受け付けるように構成してもよい。さらに、受付部28は色変換情報26を作成する際の精度の指定を受け付けたり、色変換情報26を作成する際の作成方式の指定を受け付けるなど、受付部28では利用者からの種々の指示を受け付けてよく、指示の際に種々の情報を提示部27から提示してもよい。
【0084】
図5は、本発明の第2の実施の形態を示す構成図である。図中、4は実出力装置である。そのほかの図中の符号は図1図4に示したものであり、重複する説明を省略することがある。第1の実施の形態では、ある目標出力装置を想定して作成された出力情報を出力させる装置を変更する場合について、一例として説明した。この第1の実施の形態の場合には、出力する装置が異なることで出力の際の特性が異なることから、色変換情報14の再作成を行う例を示した。色変換特性14の再作成が必要となる別の例として、この第2の実施の形態では、出力装置の構成が変更された場合について説明する。なお、この第2の実施の形態では、目標出力装置3を想定して作成された出力情報13を実際には目標出力装置3とは別の出力装置で出力することから、実際に出力する装置を実出力装置4として示している。
【0085】
実出力装置4の構成が変更される場合としては、例えば、使用している実出力装置4向けの拡張基板を購入して装着された場合などがある。拡張基板が装着されると、それまで使用されていた回路やソフトウェアによる処理が、拡張基板による処理あるいは拡張基板を利用したソフトウェアによる処理が行われるようになり、色処理の方法自体が異なったり、色処理の際の設定、あるいは色処理に関する演算の精度が異なってくる。これらの変更は色再現特性にも影響する。従って、実出力装置4の構成に変更が加えられた場合、それまで使用していた色変換情報14を使用して色変換を行うと、構成が変更される前後の特性の違いにより、再現された色が異なってしまう場合がある。もともと目標出力装置3の出力特性を実出力装置4で再現するものであったことから、再現された色が異なってしまったのでは問題が生じる。従って、構成を変更した後の特性に応じた色変換情報14を作成し直すことが必要となる。
【0086】
この第2の実施の形態では、第1の実施の形態のように情報の転送は不要であることから、第1の実施の形態で説明した転送元装置1及び転送先装置2の構成のうち、転送部12及び受理部21の機能は不要であり、色変換情報14を再作成する構成として取得部22及び作成部23を有している。
【0087】
この第2の実施の形態における取得部22は、第1の実施の形態における取得部22の機能と情報準備部11の機能を合わせたものであり、目標出力装置3の特性を示す目標装置特性情報15を取得する。また、色変換情報14を作成する際に目標装置特性情報15とともに用いた種々の付属情報16を取得してもよい。付属情報16としては、例えば各種の設定情報や、出力方式の特性、用紙の特性、さらには転送元装置1の機種情報や固有情報など、種々の情報であってよい。さらに、色変換情報14を作成する過程で作成された中間データ、例えば目標装置特性情報15から作成した順予測モデルや逆予測モデル、あるいは目標装置特性情報15から作成したICCプロファイルなどを取得してもよい。これらの情報の取得は、自装置(実出力装置4)に記憶されている情報を読み出すほか、他の装置から取得してもよい。例えばデータベース化されており、データベースから検索して取得する構成であってもよい。
【0088】
作成部23は、取得部22で取得した目標装置特性情報と、自装置である実出力装置4の出力特性を示す実装置特性情報、あるいはさらに取得部22で取得した付属情報16を用い、設定情報などに従って、出力情報13が想定する目標出力装置3に対応する色変換情報14を作成する。出力情報13は目標出力装置で用いられる色材色を成分とする出力色空間で作成されており、この出力色空間での色変換を行う色変換情報26を作成することになる。
【0089】
なお、付属情報16を用いる場合には、そのまま用いるほか、実出力装置4の構成変更後の設定情報に従って付属情報16を変更し、実情に合わせた情報とした上で使用するとよい。また、逆に付属情報16に従って、構成変更後の実出力装置4の設定を変更する場合があってもよい。色変換情報14を作成する際には、色再現だけでなく、色材のにじみの調整や色材の使用量の補正など、様々な設定を反映させて行うことになる。
【0090】
また、構成を変更する前の色変換情報14を作成する過程で作成された中間データ、例えば目標装置特性情報15から作成した順予測モデルや逆予測モデル、あるいは目標装置特性情報15から作成したICCプロファイルなどについても利用してもよい。利用した場合、利用しなかった場合に比べて色変換情報14の作成に要する時間や処理が削減される。
【0091】
色変換情報14の作成方法としては種々の公知の方法を用いてよく、構成を変更する前に色変換情報14を作成する際に用いた方法を使用すればよい。例えば特許文献2に記載されている方法などを用いるとよい。一例としては、色材の色の色空間がCMYK色空間の場合、Kを制御し、例えばKを保存して、CMYK色空間からCMYK色空間への色変換を行う色変換情報14を作成するとよい。もちろん、付属情報16や設定されている種々の条件のもとで作成される。例えば色材の総量や特定色の制御、にじみ制御など、種々の条件が課せられ、それらの条件に従って色変換情報14が作成されることになる。
【0092】
作成部23で色変換情報14が再作成されたら、その再作成された色変換情報14を用いて、出力情報13に対して色変換部17で色変換を行い、画像形成部18で出力することになる。
【0093】
作成部23で作成した色変換情報14は、それまで目標出力装置3と対応づけて保存されていた色変換情報14と置き換えて保存しておくとよい。作成後に当該目標出力装置3を想定した出力情報13が転送されてきた場合には、既に再作成した色変換情報14を用いて色変換を行えば、変更された構成に対応した色変換が行われることになる。
【0094】
図6は、本発明の第2の実施の形態における実出力装置の動作の一例を示す流れ図である。図中の各ステップの符号のうち、図2図3に示した符号の処理については、重複する説明を省略することがある。実出力装置4の構成が変更され、出力情報13の出力を行う場合、S71において、取得部22は目標装置特性情報15、あるいはさらに種々の付属情報16など、色変換情報14を使用して色変換を行っているだけでは使用されないが、色変換情報14の再作成に必要な各種の情報を取得する。
【0095】
S72において、受け付けた出力情報13が想定している目標出力装置3に対応する色変換情報14が自装置(実出力装置4)に既に存在するか否かを判定する。もちろん、各種の設定条件によって色変換情報14も異なることから、その設定条件を含めて、既に存在する目標出力装置3に対応する色変換情報14を利用するか否かを判断することになる。例えば、実出力装置4の構成を変更した後に別の出力情報13を先行して出力した際に作成した色変換情報14が存在する場合、その色変換情報14が目標出力装置3に(各種条件を含めて)対応するものであれば、その色変換情報14を利用すればよい。その場合、改めて色変換情報14を再作成する処理が省略される。
【0096】
設定条件などを含めて目標出力装置3に対応する色変換情報14が既に存在している場合には、S73において、存在している目標出力装置3に対応する色変換情報14を使用して色変換部17による色変換を行い、画像形成部18から出力する。
【0097】
出力情報13が想定している目標出力装置3に(各種条件を含めて)対応する色変換情報14が存在しないとS72で判定された場合には、S91において、構成を変更する前に既に存在していた色変換情報14を使用するか否かを判定する。判定は、例えば目標出力装置3に対応するとして備えられた色変換情報14(各種条件については現在とは異なる場合がある)について、その色変換情報14が作成された際の自装置(実出力装置4)の特性と、現在の自装置(実出力装置4)の特性とを比較し、その誤差が予め設定されている範囲にあるか否かを判定すればよい。範囲にあれば既に存在していた色変換情報14を使用し、範囲を外れる場合には、改めて色変換情報14を作成し直すこととすればよい。例えば、拡張基板の装着により構成が変更されたが、装着された拡張基板が出力特性に影響しないことが予め分かっている場合や、構成の変更前後で出力特性の誤差が予め決められている範囲内である場合などでは、実出力装置4の構成を変更する前に既に存在していた色変換情報14を使用すると判定してもよい。
【0098】
あるいは、第1の実施の形態の第2の変形例で説明した提示部27及び受付部28を設け、例えば、実出力装置の構成を変更する前後の出力特性の誤差の情報を利用者に提示し、実出力装置の構成を変更する前の色変換情報14を用いるか、あるいは色変換情報14を作成し直すかについて、利用者から指示を受け付けるように構成してもよい。
【0099】
実出力装置4の構成を変更する前に既に存在していた色変換情報14を使用すると判定した場合には、作成部23による色変換情報14の作成は行わず、S92において、既に存在する目標出力装置3に対応する構成変更前の色変換情報14を用いて出力情報13に対して色変換部17が色変換を行い、画像形成部18から出力する。
【0100】
また、実出力装置4の構成を変更する前に既に存在していた色変換情報14を使用しないと判定した場合には、S74以降の処理により、目標出力装置3に対応する色変換情報14を再作成する。この処理は第1の実施の形態で説明したとおりであり、簡単に説明すると、S74において、取得部22は目標装置特性情報15を取得する。さらにS75において付属情報16を取得する場合もある。さらに、S76において自装置(実出力装置4)の出力特性を取得するとともに、S77において、例えば色材総量の情報などの各種の設定情報を読み出す。
【0101】
これらの情報が揃ったら、S78において、作成部23は目標装置特性情報15及び自装置(実出力装置4)の出力特性、各種の設定情報、さらに付属情報16等を用い、色変換情報14を再作成する。付属情報16として構成を変更する前の設定を用いる場合、変更後の構成に固有の設定により付属情報16を変更して使用するとよい。構成が変更される前の色変換情報14を作成する過程で作成された中間データも取得部22で取得されている場合には、この中間データも用いて色変換情報14を再作成すると、中間データを用いない場合に比べて処理が高速化される。
【0102】
S79において、S78で作成された色変換情報14を用いて色変換部17による色変換を行い、画像形成部18から出力すればよい。S78で作成された色変換情報14は、目標出力装置3の出力特性を、構成が変更された後の実出力装置4で再現するように色変換するものである。従って、S79では、構成が変更された後の実出力装置4で目標出力装置3の特性を再現した出力が得られる。
【0103】
上述の実出力装置4の構成が変更された後に出力情報13を出力する過程では、利用者は従来のように目標装置特性情報15を用意するなどの作業は不要である。また、それらの作業に伴って発生していた誤操作なども生じない。
【0104】
図7は、本発明の各実施の形態で説明した装置の機能をコンピュータプログラムで実現した場合におけるコンピュータプログラム及びそのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体とコンピュータの一例の説明図である。図中、41はプログラム、42はコンピュータ、51は光磁気ディスク、52は光ディスク、53は磁気ディスク、54はメモリ、61はCPU、62は内部メモリ、63は読取部、64はハードディスク、65はインタフェース、66は通信部である。
【0105】
上述の本発明の第1の実施の形態で説明した転送元装置1または転送先装置2、あるいは第2の実施の形態で説明した実出力装置4の機能の全部あるいは部分的に、コンピュータが実行するプログラム41によって実現してもよい。その場合、そのプログラム41およびそのプログラムが用いるデータなどは、コンピュータによって読み取られる記憶媒体に記憶させておけばよい。記憶媒体とは、コンピュータのハードウェア資源に備えられている読取部63に対して、プログラムの記述内容に応じて、磁気、光、電気等のエネルギーの変化状態を引き起こして、それに対応する信号の形式で、読取部63にプログラムの記述内容を伝達するものである。例えば、光磁気ディスク51、光ディスク52(CDやDVDなどを含む)、磁気ディスク53、メモリ54(ICカード、メモリカード、フラッシュメモリなどを含む)等である。もちろんこれらの記憶媒体は、可搬型に限られるものではない。
【0106】
これらの記憶媒体にプログラム41を格納しておき、例えばコンピュータ42の読取部63あるいはインタフェース65にこれらの記憶媒体を装着して、コンピュータからプログラム41を読み出し、内部メモリ62またはハードディスク64(磁気ディスクやシリコンディスクなどを含む)に記憶し、CPU61によってプログラム41を実行し、上述の本発明の第1の実施の形態で説明した転送元装置1または転送先装置2、あるいは第2の実施の形態で説明した実出力装置4の機能が全部又は部分的に実現される。あるいは、通信路を介してプログラム41をコンピュータ42に転送し、コンピュータ42では通信部66でプログラム41を受信して内部メモリ62またはハードディスク64に記憶し、CPU61によってプログラム41を実行して実現してもよい。
【0107】
コンピュータ42には、このほかインタフェース65を介して様々な装置を接続してもよい。例えば、画像形成部18あるいは画像形成部25に対応する画像形成装置が接続されていてもよい。さらに、提示部27により利用者に情報を提示する際に用いられる表示装置や、受付部28が受け付ける利用者からの指示が行われる指示装置などが接続されていてもよい。この他にも種々の装置がインタフェース65を介して接続されていてもよい。なお、各構成が1台のコンピュータにおいて動作する必要はない。
【符号の説明】
【0108】
1…転送元装置、2…転送先装置、3…目標出力装置、4…実出力装置、11…情報準備部、12…転送部、13…出力情報、14…色変換情報、15…目標装置特性情報、16…付属情報、17…色変換部、18…画像形成部、21…受理部、22…取得部、23…作成部、24…色変換部、25…画像形成部、26…色変換情報、27…提示部、28…受付部、41…プログラム、42…コンピュータ、51…光磁気ディスク、52…光ディスク、53…磁気ディスク、54…メモリ、61…CPU、62…内部メモリ、63…読取部、64…ハードディスク、65…インタフェース、66…通信部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7