(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記流量調節部として、無通電状態におけるガス漏れ量が0.01%未満のものを、ノーマルクローズ型の予備開閉弁と併設することなく用いている請求項4に記載の保管設備。
前記保管棚は、一対の前記分割支柱体のうち背面側に位置する第一分割支柱体の前面又は正面側に位置する第二分割支柱体の背面に固定された、左右方向に延びる横架部材をさらに含み、
前記載置部が、当該載置部の少なくとも一部が前記横架部材の上端部に当接する状態で前記支柱に固定されている請求項7に記載の保管設備。
前記載置部が、平面視でU字状の載置本体部を有するとともに、前記支柱と前記載置本体部の荷受点となるU字先端部とを結ぶように直線的に延びるリブ部を前記載置本体部と一体的に有する請求項1から8のいずれか一項に記載の保管設備。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
収納容器のそれぞれを不活性ガスでパージ可能に構成された保管設備において、収納効率を向上させることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る保管設備は、
上下方向に複数段かつ左右方向に複数列を有するように整列配置された複数の収納部を有する保管棚と、
前記収納部に収納されている容器のそれぞれに不活性ガスを供給するガス供給部と、を備え、
前記保管棚は、上下方向に沿って立設された複数の支柱と、前記支柱によって支持されて前記容器を載置する載置部と、を含み、
前記ガス供給部は、上下方向に延びる複数の縦配管と、それぞれの前記縦配管から分岐して前記載置部に個別に設けられた給気部に接続される複数の分岐配管と、を含み、
前記支柱が前記保管棚の左右両端部及び互いに隣り合う前記収納部どうしの間のそれぞれの位置に設置され、
前記載置部が互いに隣り合う前記支柱に固定され、
複数の前記縦配管のそれぞれが、当該縦配管による前記不活性ガスの供給先の前記載置部が固定されているいずれか一方の前記支柱に固定されている。
【0008】
この構成によれば、保管棚の左右両端部及び互いに隣り合う収納部どうしの間のそれぞれの位置に支柱が分散して設置されるので、個々の載置部を、互いに隣り合う支柱にそれぞれ固定することができる。これにより、複数の収納部を、複数列に亘ってユニット化することなく列毎に独立して扱うことができる。そして、ガス供給部を構成する複数の縦配管を複数の支柱の配置に応じて分散して配置することで、個々の縦配管を小径化することができる。これにより、載置部に個別に設けられた給気部に不活性ガスを供給するための複数の縦配管を、他物との干渉を回避しつつ、分散配置された複数の支柱のそれぞれの周辺領域に配設することが可能となる。よって、載置部の設置スペースを犠牲にしてまで縦配管の配設スペースを確保する必要がなく、全ての列を収納部として利用することができる。従って、収納容器のそれぞれを不活性ガスでパージ可能に構成された保管設備において、収納効率を向上させることができる。
【0009】
以下、本発明の好適な態様について説明する。但し、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定される訳ではない。
【0010】
1つの態様として、複数の前記縦配管のそれぞれが、前記支柱よりも正面側において、対応する前記支柱と正面視で重なる状態に配置されていると好適である。
【0011】
この構成によれば、縦配管と保管設備に具備される載置部等の他の要素との干渉をほぼ確実に回避することができる。また、現場にてガス供給部の設置作業を行う場合に、保管棚に対面した状態で、支柱の前面に対して縦配管を容易に配設して固定することができる。よって、容易かつ適切に縦配管を配設することができる。
【0012】
1つの態様として、複数の前記縦配管のそれぞれが、複数の前記支柱のいずれか1つと一対一に対応する状態で配置され、それぞれの前記縦配管に対して、前記収納部の段数に応じた本数の前記分岐配管が接続されていると好適である。
【0013】
この構成によれば、それぞれの支柱(左右両端の2本のうちのいずれか1本を除く)に対して個別に縦配管が固定されるので、個々の縦配管をより一層小径化することができ、支柱の周辺領域における縦配管の配置自由度を高めることができる。或いは、縦配管の管径を他物との干渉を回避可能な範囲内である程度大きく維持して流通可能な不活性ガス量を相対的に多く確保することができ、収納部の段数を多くする(収納能力を向上させる)ことができる。
【0014】
1つの態様として、前記ガス供給部は、前記分岐配管に介在されて前記不活性ガスの流量を調節する流量調節部をさらに含み、前記流量調節部が、対応する前記載置部の載置本体部の左右方向の配置領域において、当該載置本体部よりも背面側に配置されていると好適である。
【0015】
この構成によれば、複数の収納部に対して流量調節部が個別に設けられるので、個々の収納容器に対して所望の供給パターンで不活性ガスを供給することができる。よって、保管棚に対する各容器の入庫時期にバラツキがある場合でも、各容器の内容物の状態をそれぞれ適正に維持させることが容易である。また、本発明では、載置部が互いに隣り合う支柱に固定されるので、当該載置部の載置本体部の左右両側に比べて、載置本体部よりも背面側に、他物を配置するためのスペースを確保しやすい。そこで、上記のように載置本体部の左右方向の配置領域において当該載置本体部よりも背面側に流量調節部を配置することで、個々の収納部において載置部と流量調節部とをコンパクトに配置することができる。
【0016】
1つの態様として、前記流量調節部として、無通電状態におけるガス漏れ量が0.01%未満のものを、ノーマルクローズ型の予備開閉弁と併設することなく用いていると好適である。
【0017】
この構成によれば、高密閉度の流量調節部を用いることで、保管設備を含むシステムが仮に不測のエラー等によって緊急停止する場合であっても、流量調節部からの不活性ガスのガス漏れが実質的に生じない。このため、そのような不測の事態に備えてノーマルクローズ型の予備開閉弁を流量調節部に併設する必要がない。よって、流量調節部の近傍のレイアウトを簡素化することができ、載置部と流量調節部とをより一層コンパクトに配置することができる。
【0018】
1つの態様として、前記容器は、背板部と一対の側板部との間の領域に平面状又は曲面状の斜行板部を有する面取り直方体状に形成されており、前記載置部に前記容器が載置された状態で互いに隣り合う前記容器の対向する前記斜行板部と、それら互いに隣り合う前記容器をそれぞれ載置する前記載置部が共通に固定された前記支柱との間に区画形成される柱状空間に、前記縦配管が配置されていると好適である。
【0019】
この構成によれば、互いに隣り合う一対の面取り直方体状の容器の対向する斜行板部どうしの間に区画される空間を利用して、複数の支柱を収納容器との干渉を回避しながら左右方向に適切に分散設置することができる。また、互いに隣り合う一対の容器の対向する斜行板部とそれらの間に配置された支柱との間に区画形成される柱状空間を利用して、それぞれの縦配管を、収納容器との干渉を回避しながら、対応する支柱に対して適切に固定することができる。
【0020】
1つの態様として、前記載置部が背面側で前記支柱に対して片持ち状に固定されているとともに、前記支柱が、前後方向に分割形成された一対の分割支柱体を有すると好適である。
【0021】
この構成によれば、載置部が背面側で片持ち状に固定されて正面側が開放されているので、収納部に対する正面側からの容器の移載を容易に行うことができる。また、支柱が、前後方向に分割形成された一対の分割支柱体を有するので、単一構造物として構成される場合と同程度の強度を確保しながらも、材料費の低減を図ることができる。
【0022】
1つの態様として、前記保管棚は、一対の前記分割支柱体のうち背面側に位置する第一分割支柱体の前面又は正面側に位置する第二分割支柱体の背面に固定された、左右方向に延びる横架部材をさらに含み、前記載置部が、当該載置部の少なくとも一部が前記横架部材の上端部に当接する状態で前記支柱に固定されていると好適である。
【0023】
この構成によれば、載置部の一部を横架部材の上端部に当接させることで、上下方向における載置部の位置決めを高精度に行うことができる。しかも、そのような位置決めのための横架部材を一対の分割支柱体どうしの前後方向の間に設けているので、支柱の正面側に縦配管を配置する場合にも、横架部材や当該横架部材を支柱に固定するための固定部材が縦配管と干渉することがない。また、横架部材を例えば第二分割支柱体の前面に固定する場合に比べて、横架部材のサイズによらずに、容器を収納部のより奥深くまで挿入することが可能であり、前後方向の収納効率を向上させることができる。さらに、載置部が少なくとも第一分割支柱体に固定されている場合には、載置部に容器が載置された状態で、載置部に作用する荷重の一部を横架部材によっても受けることができる。よって、載置部による容器の支持強度を高めることができる。
【0024】
1つの態様として、前記載置部が、平面視でU字状の載置本体部を有するとともに、前記載置本体部の荷受点となるU字先端部と前記支柱とを結ぶように直線的に延びるリブ部を前記載置本体部と一体的に有すると好適である。
【0025】
この構成によれば、平面視でU字状の載置本体部の切欠部を利用して、容器の移載を容易に行うことができる。また、載置部に載置本体部と一体のリブ部が設けられているので、当該載置部自体の強度を高めることができる。この場合において、リブ部が、載置本体部の荷受点となるU字先端部と支柱とを結ぶように直線的に延びているので、支柱と載置部との連結部位に補強用の部材を別途設けずとも、載置部による容器の支持強度を十分に確保することができる。
【0026】
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0028】
保管設備の実施形態について説明する。本実施形態では、一例として、例えば半導体ウェハー等からなる半導体基板を収容する容器7を被保管物として保管する保管設備1について説明する。本実施形態の保管設備1は、例えばクリーンルーム内に設置されて、例えば半導体製品の製造プロセスにおいて工程待ち等の間に原料や中間製品等を一時的に保管するために用いられる。保管設備1による保管機能は、複数の収納部Sを有する保管棚2を中核として実現されている。以下、本実施形態の保管設備1及び保管棚2について、詳細に説明する。
【0029】
なお、以下の説明において、上下方向V、左右方向H、及び前後方向Dの各方向は、保管設備1に定置される保管棚2に対して正対した状態での方向を基準として定義する。すなわち、上下方向Vは保管棚2の高さ方向に一致し、左右方向Hは保管棚2の幅方向に一致し、前後方向Dは保管棚2の奥行方向に一致する。また、以下の説明において「ある方向に沿う」とは、当該方向に平行な状態に限らず、当該方向に対して僅かに(例えば10°未満の角度で)傾斜した状態をも含む概念である。また、以下の説明で用いる方向や寸法等に関する用語(「平行」や「等間隔」等)は、誤差(製造上又は据付上許容され得る程度の誤差)による差異を有する状態をも含む概念である。
【0030】
図1に示すように、保管設備1は、複数の収納部Sを有する保管棚2を備えている。また、保管設備1は、収納部Sに収納されている容器7のそれぞれに不活性ガスを供給するガス供給部5をさらに備えている。保管棚2及びガス供給部5は、床部91と周壁部92と天井部93とで外周が覆われた保管室90内に配設されている。また、保管設備1は、収納部Sとの間で容器7を搬送する搬送部6をさらに備えている。搬送部6は、第一搬送装置61と移動装置62と第二搬送装置63と移載装置67とを主要構成として含む。第一搬送装置61は保管室90の外に配設され、移動装置62は周壁部92を貫通する状態に配設され、第二搬送装置63及び移載装置67は保管室90内に配設されている。ガス供給部5及び搬送部6は、保管設備1に備えられた制御装置(図示せず)からの指令に基づいて、それぞれの動作が制御される。
【0031】
本実施形態では、保管設備1は、対をなす2つの保管棚2を備えている。これら2つの保管棚2は、搬送部6を構成する第二搬送装置63を挟んで対向するように設置されている。なお、本実施形態では、2つの保管棚2のうちの一方が、ガス供給部5が併設された“パージ棚(本発明の対象となる対象保管棚)”であり、他方が、ガス供給部5が非設置の“非パージ棚”である。これらは、ガス供給部5の設置の有無、及び、搬送部6を構成する移動装置62の設置スペースの有無の点を除き、基本的に同一の構造を有している。
【0032】
図2に示すように、保管棚2は、上下左右に整列配置された複数の収納部Sを有する。保管棚2は、上下方向Vにm段(mは2以上の任意の整数であり、本例ではm=12)かつ左右方向Hにn列(nは2以上の任意の整数であり、本例ではn=13)を有するように整列配置された複数(本例では156個)の収納部Sを有する。本実施形態では、各段に属する全ての収納部Sが同じ上下方向Vの位置に配置され、かつ、各列に属する全ての収納部Sが同じ左右方向Hの位置に配置されて、複数の収納部Sが全体として直交格子状に整列配置されている。
【0033】
保管棚2は、上下方向Vに沿って立設された複数の支柱20と、支柱20によって支持されて容器7を載置する載置部30とを含む。本実施形態では、保管棚2は、収納部Sの列数よりも1本だけ多い(n+1)本の支柱20を含んでいる。これら(n+1)本の支柱20は、左右方向Hに等間隔で一列に並ぶように設置されている。そして、載置部30が、互いに隣り合う支柱20に固定されている。本実施形態では、収納部Sの列数に等しいn箇所において、それぞれ収納部Sの段数に等しいm個の載置部30が、互いに隣り合う支柱20に固定されている。それぞれの載置部30の上側空間であって、1段上の載置部30よりも下側に区画される空間として、収納部Sが形成されている。こうして、本実施形態では、(n+1)本の支柱20を構成する1本ずつが、保管棚2の左右方向Hの両端部及び互いに左右方向Hに隣り合う収納部Sどうしの間のそれぞれの位置に設置されている。
【0034】
なお、容器7としては、例えばFOUP(Front Opening Unified Pod)と称される正面開口式の箱型容器を用いることができる。このような容器7は、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials Institute)規格に準拠した合成樹脂製の気密容器とすることができる。
図5及び
図6に示すように、容器7は、開口部を有するケーシング71と、このケーシング71に対して開口部を覆うように着脱自在な蓋体(図示せず)とを備えている。容器7は、蓋体がケーシング71に装着された状態で、内部空間が気密状態に密閉されるように構成されている。また、容器7は、その上面に、第一搬送装置61によって把持されるフランジ76をさらに備えている。
【0035】
容器7を構成するケーシング71は、全体として直方体状に形成されている。「直方体状」とは、多少の異形部分を有していたとしてもその全体としての概略形状が直方体であることを意味する(以下、形状等に関して「状」を付して用いる他の表現に関しても同趣旨である)。容器7は、背板部72と一対の側板部73のそれぞれとの間の領域に平面状又は曲面状の斜行板部74を有する。このように、本実施形態の容器7は、背面側における左右両側に斜行板部74を有する面取り直方体状に形成されている。このような容器7の立体形状も考慮に入れて、隣り合う収納部Sどうしの間に設置される支柱20は、載置部30に載置された状態で互いに左右方向Hに隣り合う2つの容器7の対向する斜行板部74どうしの間に区画される空間に配置されている(
図5を参照)。これにより、保管棚2を構成する複数の支柱20を、被保管物としての容器7との干渉を回避しながら左右方向Hに適切に分散設置することが可能となっている。
【0036】
図3〜
図6に示すように、載置部30は、前後方向Dにおける背面側(奥側)で、支柱20に対して片持ち状に固定されている。載置部30は、前後方向Dにおける正面側(手前側)が開放されており、いかなる部材によっても支持されていない。このような片持ち構造は、収納部Sに対して正面側からの容器7の移載を容易に行うことができる点で有利である。
【0037】
載置部30は、載置される容器7を下方から受け止め支持する載置本体部31と、支柱20にそれぞれ固定される一対の取付板部37とを有する。載置本体部31は、左右方向H及び前後方向Dに沿って延びる平板状に形成されている。載置本体部31は、平面視で五角形状の切欠部31aを正面側に有しており、平面視でU字状を呈するように形成されている。載置本体部31の切欠部31aは、移載装置67に備えられる支持体68が上下に通過する空間となる。
【0038】
載置本体部31の上面には、複数(本例では3つ)の突出ピン32が、上方に向かって突出するように設けられている。複数の突出ピン32は、切欠部31aに沿って設けられている。容器7の底面には溝部や孔部等からなる係合凹部(図示せず)が形成されており、突出ピン32と容器7の係合凹部とが係合する状態で、容器7が載置本体部31に位置決めされる。なお、本実施形態では、1つの突出ピン32が、五角形状の切欠部31aの頂点付近に設けられ、2つの突出ピン32が、U字状の載置本体部31の突出側の先端部(U字先端部)付近に設けられている。U字先端部に設けられた2つの突出ピン32どうしの間の左右方向Hの間隔は、左右方向Hに隣り合う一対の支柱20どうしの間隔よりも狭い。
【0039】
また、載置本体部31の上面には、ガス供給部5から供給される不活性ガスを容器7の内部に供給するための給気部33と、容器7の内部から排出される気体を通流させる排気部34とが設けられている。給気部33には、ガス供給部5を構成する後述する分岐配管53が接続されている。排気部34には、反対側の端部が開放された排気管(図示せず)が接続されている。容器7の底面には、ガス供給部5から供給される不活性ガスを注入するための給気口78(
図6を参照)と、内部空間に存在する気体を排出するための排気口(図示せず)とが形成されている。容器7が載置本体部31に位置決めされた状態で、給気部33と給気口78とが連通し、排気部34と排気口とが連通する。ガス供給部5から所定圧の不活性ガスが供給された際には、容器7の内部の気体を排気口から外部に排出させながら、給気口78から容器7の内部に不活性ガスが注入される。
【0040】
また、載置本体部31の上面には、複数(本例では2つ)の在荷センサ35も設けられている。在荷センサ35は、例えば感圧センサ等により構成することができる。在荷センサ35は、容器7が載置部30に載置されているか否か(言い換えれば、容器7が収納部Sに収納されているか否か)を検出する。
【0041】
一対の取付板部37は、上下方向V及び前後方向Dに沿って延びる平板状に形成されている。これらは、載置部30の左右方向Hの両端部において、左右方向Hに互いに対向して配置されているとともに、それぞれ対応する支柱20の側面に対面する状態に配置されている。取付板部37は、載置本体部31に対して交差(本例では直交)する状態に配置されている。取付板部37は、側面視でL字状を呈するように形成されている。取付板部37は、載置本体部31の背面側において、一部が載置本体部31よりもさらに背面側に位置する状態に配置されている。それぞれの取付板部37には、その厚み方向(本例では左右方向H)に貫通する複数(本例では3つ)の挿通孔37aが形成されている(
図6を参照)。この挿通孔37aは、載置部30を支柱20に固定するための締結部材81を構成するボルトの軸部を挿通するための孔部である。
【0042】
載置部30は、載置本体部31に対して交差(本例では直交)するように設けられた一対のリブ部39をさらに有する。一対のリブ部39は、概ね、上下方向V及び前後方向Dに沿って延びる細長い平板状に形成されている。リブ部39は、平面視で、載置本体部31の荷受点となるU字先端部に設けられた突出ピン32と、支柱20とを結ぶように、直線的に延びている。リブ部39は、支柱20が設置された背面側からU字先端部が位置する正面側に向かうに従って、左右方向Hの内側(収納部Sにおける左右中央側)に向かうように、前後方向Dに対して僅かに(本例では、およそ15°程度)傾斜する状態に配置されている。
【0043】
本実施形態では、載置部30を構成する載置本体部31とリブ部39とが、一体的に形成されている。また、取付板部37も含めて、載置部30を構成する載置本体部31とリブ部39と取付板部37とが、一体的に形成されている。本実施形態では、載置本体部31とリブ部39と取付板部37とは、金属製の平板部材を曲げ加工することによって一体的に形成されている。図示の例では、金属製の平板部材として無孔板を用いる場合の例を示しているが、そのような構成に限定されることなく、例えばメッシュ板やパンチング板等の多孔板を用いても良い。
【0044】
本実施形態では、載置部30に載置本体部31と一体のリブ部39が設けられているので、当該載置部30自体の強度を高めることができる。リブ部39は、支柱20と載置本体部31の荷受点となるU字先端部とを結ぶように直線的に延びているので、載置部30による容器7の支持強度を十分に確保することができる。特に、支柱20と載置部30との連結部位に補強用の部材を別途設けずとも、載置部30による容器7の支持強度を十分に確保することができる。また、金属製の平板部材の曲げ加工によって、軽量でありながらも十分な支持強度を備えた載置部30を、容易に形成することができる。
【0045】
ここで、本実施形態では、上下方向Vに沿って立設された複数の支柱20は、前後方向Dに分割形成された一対の分割支柱体21,22をそれぞれ含む(
図5を参照)。このような分割構造の支柱20(分割支柱体21,22)は、少なくとも、単一構造物として構成される場合と同程度の強度を確保しながらも、材料費の低減を図ることができる点で有利である。複数の支柱20は、第一分割支柱体21と、この第一分割支柱体21に対して平行にかつ前後方向Dに隙間を隔てて配置された第二分割支柱体22とをそれぞれ含む。第一分割支柱体21と第二分割支柱体22とは、上下方向Vの複数箇所において、前後方向Dの間にスペーサを介して連結固定されている。なお、第一分割支柱体21と第二分割支柱体22との間の前後方向Dの隙間は、載置部30の前後方向Dの長さに比べれば十分に小さい(例えば1/15未満である)。一対の分割支柱体21,22は、いずれも、載置部30の背面側の端部に配置されている。第二分割支柱体22は、第一分割支柱体21よりも正面側に配置されている。第二分割支柱体22は、側面視で、載置部30に載置された状態の容器7の背面側の端部と重なって配置されている(
図6を参照)。一方、第一分割支柱体21は、載置部30に載置された状態の容器7とは重なることなく、当該容器7よりも背面側に配置される。
【0046】
保管棚2は、左右方向Hに延びる横架部材40をさらに含む。横架部材40は、左右方向Hに隣り合う支柱20に亘って架け渡されている。本実施形態では、横架部材40は、支柱20を分割構造としたこととの関係で、一対の分割支柱体21,22どうしの前後方向Dの間に設けられている。言い換えれば、横架部材40は、第一分割支柱体21と第二分割支柱体22との間の前後方向Dの隙間を利用して配置されている。より具体的には、本実施形態では、横架部材40は、一対の分割支柱体21,22のうち背面側に位置し、かつ、載置部30に載置された状態の容器7よりも背面側に位置する第一分割支柱体21の、前面21aに固定されている。このような固定位置であれば、横架部材40を追加的に設ける場合であっても、そのサイズ(特に上下方向Vのサイズ)によらずに、載置状態における容器7との干渉が生じない。また、横架部材40を第一分割支柱体21に締結固定するための締結部材82のボルト頭部を、一対の分割支柱体21,22どうしの間の前後方向Dの隙間に収めることができる。こうして、保管棚2の前後方向Dの収納効率を低下させることなく、横架部材40を設けることができている。
【0047】
本実施形態では、横架部材40は、左右方向Hに互いに隣り合う3本以上の第一分割支柱体21に亘って固定されている。横架部材40は、左右方向Hに互いに隣り合う数本の第一分割支柱体21に亘って固定されていることが好ましい。例えば、保管棚2の左右方向Hの長さの約半分の長さを有する横架部材40を用いて、左右方向Hに互いに隣り合う半数(本例では7本)の第一分割支柱体21に亘って横架部材40を固定することができる。このように、複数列の収納部Sに亘って共通の横架部材40が架け渡されるので、横架部材40の設置作業を容易に行うことができる。また、横架部材40を、水平に設置することも容易である。
【0048】
このような横架部材40をも利用して、支柱20を構成する一対の分割支柱体21,22に、載置部30が片持ち状に固定されている。載置部30は、当該載置部30の少なくとも一部が横架部材40の上端部40uに当接する状態で、一対の分割支柱体21,22に固定されている。横架部材40は、その上端部40uが載置部30に当接することで、少なくとも、載置部30の設置位置及び設置姿勢を定める位置決め部材として機能する。よって、個々の載置部30を互いに隣り合う支柱20にそれぞれ固定する場合であっても、上下方向Vにおける載置部30の位置決めを高精度に行うことができる。その結果、個々の載置部30をそれぞれ水平(正面視で水平)に据え付けることができるとともに、各段における載置部30の高さを揃えることができる。また、そのような載置部30の高精度な位置決めを、横架部材40の上端部40uに当接するように載置部30を相対移動させて支柱20に固定するだけで行えるので、据付作業も非常に容易である。
【0049】
さらに本実施形態では、載置部30は、一対の取付板部37と横架部材40とが交差し、且つ、取付板部37のそれぞれの下端部37dが横架部材40の上端部40uに当接する状態で、一対の分割支柱体21,22に固定されている(
図6を参照)。このような構成では、横架部材40の上端部40uに対して、一対の取付板部37の下端部37dを交差状態で安定的に当接させることができるので、上下方向Vにおける載置部30の位置決めをより一層容易かつ高精度に行うことができる。載置部30は、取付板部37と一対の分割支柱体21,22の各側面21c,22cとが面接触する状態で(
図5を参照)、取付板部37の挿通孔37aに挿通された締結部材81によって一対の分割支柱体21,22に固定されている。本例では、載置部30は、第二分割支柱体22に対して上下2箇所で固定されているとともに、第二分割支柱体22に対する上側の固定位置と同じ上下方向Vの位置となる1箇所で、第一分割支柱体21に対して固定されている。締結部材81は、例えば互いに螺合されるボルトとナットとを含む。
【0050】
取付板部37と各側面21c,22cとが面接触する状態で、ボルトとナットとを含む締結部材81を用いて載置部30を支柱20に固定する場合には、その締結時に、載置部30が締結部材81に連れ回りそうになる場合がある。この場合であっても、それに伴う載置部30の回動を、横架部材40の上端部40uと取付板部37の下端部37dとの当接によって規制することができる。横架部材40は、その上端部40uが載置部30(取付板部37の下端部37d)に当接することで、締結部材81による締付固定時における回動規制部材としても機能する。これにより、個々の載置部30を、それぞれ水平(側面視でも水平)に据え付けることができる。
【0051】
本実施形態では、載置部30は、第一分割支柱体21と第二分割支柱体22とに亘って、言い換えれば横架部材40を挟んで前後方向Dの両側で、一対の分割支柱体21,22に固定されている。このような構成では、載置部30に容器7が載置された状態で、載置部30に作用する第一分割支柱体21側の固定位置を支点とする下向きの荷重の一部が、横架部材40によっても下方から支持される。横架部材40は、その上端部40uが載置部30(取付板部37の下端部37d)に当接することで、容器7の保管時における支持補助部材としても機能する。よって、上述したリブ部39を載置部30に設けることとの相乗効果により、載置部30による容器7の支持強度をより一層高めることができる。
【0052】
ガス供給部5は、一対の保管棚2のうち、パージ棚だけに設置されている。ガス供給部5は、保管棚2(ここではパージ棚)の収納部Sに収納されている容器7のそれぞれに不活性ガスを供給する。不活性ガスは、容器7に収容される物品(本例では半導体基板)に対する反応性が低い(問題となる化学反応を実質的に生じさせない)気体である。不活性ガスとしては、例えば窒素ガスや、アルゴンガス及びクリプトンガス等の希ガス等が例示される。
【0053】
図2に示すように、ガス供給部5は、ガスボンベ等の不活性ガス供給源(図示せず)に接続された基幹配管51と、この基幹配管51から分岐する複数の縦配管52と、それぞれの縦配管52から分岐する複数の分岐配管53とを含む。不活性ガスは、不活性ガス供給源→基幹配管51→縦配管52→分岐配管53の順に流通して、各収納部Sの容器7に供給される。基幹配管51は、例えば最下段の収納部Sよりも下方において、左右方向Hに沿って配設されている。基幹配管51は、全ての収納部Sに容器7が収納された状態で、各容器7に所定圧の不活性ガスを供給することが可能な管径を有するように形成されている。基幹配管51の上流側部位には、作業者の人為操作によって開閉自在な手動開閉弁と、制御装置からの指令に基づいて開閉自在な自動制御弁とが介在されている(いずれも図示せず)。
【0054】
複数の縦配管52のそれぞれは、上下方向Vに沿って配設されている。複数の縦配管52のそれぞれは、基幹配管51から上方に向かって延びるように配設されている。複数の縦配管52のそれぞれは、保管棚2の上下方向Vの全域に亘って延びるように配設されている。本実施形態では、収納部Sの列数に等しいn本の縦配管52が、左右方向Hに等間隔で一列に並ぶように設置されている。ここで、上述したように、保管棚2を構成する(n+1)本の支柱20も、左右方向Hに等間隔で一列に並ぶように設置されている。本実施形態では、縦配管52の左右方向Hの配設ピッチが、支柱20の左右方向Hの配設ピッチと等しくなるように設定されている。
【0055】
さらに、複数の縦配管52のそれぞれは、当該縦配管52による不活性ガスの供給先の載置部30が固定されている支柱20に固定されているとともに、複数の支柱20のいずれか1つと一対一に対応する状態で配置されている。言い換えれば、それぞれの支柱20(左右両端の2本のうちのいずれか1本を除く)に対して、個別に縦配管52が配置されている。さらに別の言い方をすれば、収納部Sの各列に対して、縦配管52が1本ずつ配置されている。複数の縦配管52のそれぞれは、対応する支柱20に対して個別に固定されている。
図3〜
図6に示すように、縦配管52は、第一ブラケット84に保持された状態で、ボルトとナットとを含む締結部材85を用いて、対応する支柱20に固定されている。本実施形態では、縦配管52は、支柱20を構成する一対の分割支柱体21,22のうち、正面側に位置する第二分割支柱体22の前面22aに、第一ブラケット84を介して固定されている。
【0056】
こうして、複数の縦配管52のそれぞれは、支柱20(第二分割支柱体22)よりも正面側において、対応する支柱20(第二分割支柱体22)と正面視で重なる状態に配置されている(
図4を参照)。このような構成では、ガス供給部5が未設置の状態の保管棚2に対して新たにガス供給部5の設置作業を行う場合に、作業者が保管棚2に対面した状態で、第二分割支柱体22の前面22aに対して縦配管52を容易に配設して固定することができる。第二分割支柱体22の前面22aには、保管棚2を構成する他の要素が存在しないので、この点からも、縦配管52の設置作業を容易に行うことができる。
【0057】
また、縦配管52は、載置部30に容器7が載置された状態で互いに隣り合う容器7の対向する斜行板部74と、それら互いに隣り合う容器7をそれぞれ載置する載置部30が共通に固定された支柱20との間に区画形成される柱状空間Pに配置されている(
図5を参照)。このような柱状空間Pを利用してそれぞれの縦配管52を配置することで、収納部Sに収納される容器7との干渉を回避しながら、対応する支柱20(第二分割支柱体22)に対して縦配管52を適切に固定することができる。
【0058】
このように、本実施形態では、ガス供給部5を構成する複数の縦配管52を複数の支柱20の配置に応じて分散して配置することで、個々の縦配管52を小径化している。例えば、縦配管52は、対応する列における全て(段数に等しいm個)の収納部Sに容器7が収納された状態で、各容器7に所定圧の不活性ガスを供給することが可能な程度に、小径に形成されている。このため、収納部Sに容器7が収納された場合にも、縦配管52が上記の柱状空間Pに収まり、収納される容器7との干渉が生じない。よって、従来仕様の保管棚とは異なり、載置部30の設置スペースを犠牲にしてまで縦配管52の配設スペースを確保する必要がなく、全ての列を収納部Sとして利用することができる。従って、保管棚2の収納効率を向上させることができる。
【0059】
なお、それぞれの縦配管52における最上流側部位に、作業者の人為操作によって開閉自在な手動開閉弁と、制御装置からの指令に基づいて開閉自在な自動制御弁との少なくとも一方が介在されていても良い。
【0060】
複数の分岐配管53のそれぞれは、対応する縦配管52から分岐して、載置部30に個別に設けられた給気部33に接続されている。本実施形態では、それぞれの縦配管52に対して、収納部Sの段数に等しいm本の分岐配管53が接続されている。これらm本の分岐配管53のそれぞれは、各段の収納部Sを構成する載置部30と一対一に対応する状態で配置されている。また、本実施形態では、全ての分岐配管53が、対応する縦配管52から同一の向きに延びるように配置されている。
【0061】
図3〜
図6に示すように、分岐配管53には、流量調節部56が介在されている。流量調節部56は、その内部の流路を流れる不活性ガスの流量を計測する流量センサ56Aと、不活性ガスの流量を変更調節する流量調節弁56Bと、当該流量調節弁56Bの作動を制御する内部制御部(図示せず)とを含む。内部制御部は、流量センサ56Aによる検出結果の情報に基づいて、単位時間当たりの不活性ガスの流量(言い換えれば、容器7への供給流量)を目標流量に調整するべく、流量調節弁56Bの作動を制御する。これにより、流量調節部56は、容器7への不活性ガスの供給流量を調節する役割を担う。
【0062】
例えば流量調節部56は、収納部Sへの容器7の収納完了時から設定初期供給時間が経過するまでは第一目標流量となり、設定初期供給時間の経過後は第一目標流量よりも小さい値に設定された第二目標流量となるように、不活性ガスの供給流量を調節する。もちろん、流量調節部56は、これ以外の他の供給パターンで不活性ガスの供給流量を調節しても良い。このような流量調節部56を複数の収納部Sに対して個別に設けているので、収納部Sに収納されている個々の容器7に対して、それぞれ所望の供給パターンで不活性ガスを供給することができる。よって、保管棚2に対する各容器7の入庫時期にバラツキがある場合であっても、各容器7の内容物の状態をそれぞれ適正に維持させることが容易である。
【0063】
本実施形態では、流量調節部56として、無通電状態におけるガス漏れ量が0.01%未満のものを用いている。このような高密閉度の流量調節部56であれば、保管設備1を含むシステムが仮に不測のエラー等によって緊急停止したとしても、流量調節部56からの不活性ガスのガス漏れが実質的に生じない。このため、そのような不測の事態に備えてノーマルクローズ型の予備開閉弁を流量調節部56に併設する必要がなく、実際、本実施形態の流量調節部56にはそのような予備開閉弁は併設されていない。すなわち、本実施形態では、流量調節部56として、無通電状態におけるガス漏れ量が0.01%未満のものを、ノーマルクローズ型の予備開閉弁と併設することなく用いている。よって、流量調節部56の近傍のレイアウトを簡素化することができる。
【0064】
なお、従来仕様の保管設備(例えば、特開2015−12039号公報の
図4を参照)では、不活性ガスの供給流量に与える影響を極力小さく抑えるように、予備開閉弁として温度変化の生じにくいエアバルブを用いていた。しかし、当該目的で使用されるエアバルブは大型のものが多く、流量調節部56の近傍のレイアウトが煩雑になる等の不都合があった。本実施形態のバルブレス構造は、エアバルブを用いる従来仕様と比較して、流量調節部56の近傍のレイアウトを大幅に簡素化することができるという点で有利である。
【0065】
なお、ここで言う「ノーマルクローズ型の予備開閉弁」には、作業者の人為操作によって開閉自在な手動開閉弁57は含まれない。手動開閉弁57は、作業者の人為操作によって、不活性ガスが流通可能な閉弁状態と不活性ガスが流通不能な開弁状態とを切替自在に構成されている。手動開閉弁57は、従来仕様の保管設備にもエアバルブに加えて装備されていた上に、エアバルブに比べて十分に小型であり、流量調節部56と併設されても特段の不利益はない。そこで、本実施形態の分岐配管53には、実際、流量調節部56と併設された手動開閉弁57も介在されている。
【0066】
流量調節部56と手動開閉弁57とは、流量調節部56に対して手動開閉弁57が上流側に位置する状態で設けられている。そして、分岐配管53の上流側配管部53aが手動開閉弁57に接続され、手動開閉弁57が流量調節部56の流入側ポートに接続され、流量調節部56の吐出側ポートに分岐配管53の下流側配管部53bが接続され、下流側配管部53bが給気部33に接続されている。本実施形態のように給気部33が複数(本例では3つ)設けられる場合には、下流側配管部53bは、給気部33の個数に応じて分岐されてそれぞれの給気部33に接続される。
【0067】
本実施形態では、載置本体部31は、左右両側の一対の支柱20の間の全域に亘るように配置されている。すなわち、本実施形態の載置本体部31の左右方向Hの配置領域は、左右両側の一対の支柱20の間の全域である。流量調節部56及び手動開閉弁57は、対応する載置部30の載置本体部31の左右方向Hの配置領域に配置されている。流量調節部56及び手動開閉弁57は、同程度の左右方向Hの配置領域において、載置部30よりも上方に流量調節部56が位置し、その流量調節部56よりもさらに上方に手動開閉弁57が位置する状態に配置されている(
図4を参照)。分岐配管53の上流側配管部53aは、縦配管52から、手動開閉弁57よりもさらに上方の位置において、柱状空間Pにおける支柱20と容器7の斜行板部74との間の容器支柱間隙間を通って背面側に向かって斜行するように配置されている(
図5を参照)。なお、上流側配管部53aの斜行部分が配設されやすいように、第二分割支柱体22の前面22aの左右両端部には、角部を落とすように切り欠いて形成された切欠状凹部23が設けられている。上流側配管部53aは、平面視で手動開閉弁57と重なる位置を通って、縦配管52とは反対側において手動開閉弁57に接続されている。
【0068】
流量調節部56と手動開閉弁57とは、平面視で互いに重なるように配置されている(
図5を参照)。そして、同じ前後方向Dの配置領域に配置される流量調節部56及び手動開閉弁57は、載置本体部31よりも背面側に配置されている。本実施形態では、載置本体部31の背面側の端部が支柱20を構成する第二分割支柱体22の背面22bと同程度の位置であるのに対して、流量調節部56及び手動開閉弁57は、側面視で第一分割支柱体21と重なるように配置されている(
図6を参照)。流量調節部56及び手動開閉弁57は、載置部30に載置された状態の容器7の背板部72よりも背面側に配置されている。なお、流量調節部56及び手動開閉弁57は、第二ブラケット87に固定された状態で載置本体部31に固定されている。第二ブラケット87と載置本体部31とは、一体的に形成されていても良いし、別体であっても良い。
【0069】
このような流量調節部56のレイアウト構成を採用したのは、以下の理由による。すなわち、本実施形態の保管棚2では、上述したように、複数の支柱20が左右方向Hに分散して設置され、載置部30が互いに隣り合う支柱20に固定される。このため、載置部30の載置本体部31の左右両側に比べて、載置本体部31よりも背面側に、他物を配置するためのスペースを確保しやすい。そこで、載置本体部31の左右方向Hの配置領域において当該載置本体部31よりも背面側に流量調節部56を配置することで、個々の収納部Sに対して載置部30と流量調節部56とをコンパクトに配置することができる。しかも、ノーマルクローズ型の予備開閉弁が併設されずに全体として薄型の流量調節部56を用いているので、流量調節部56を、第一分割支柱体21と同じ前後方向Dの配置領域に収まるように配置することができる(
図6を参照)。よって、保管棚2の前後方向Dのサイズを拡大させることなく、パージ棚に必要な各要素をコンパクトに配置することができている。
【0070】
図1に示すように、保管棚2の各収納部Sとの間で容器7を搬送するための搬送部6は、第一搬送装置61と移動装置62と第二搬送装置63と移載装置67とを含む。第一搬送装置61は、例えばホイスト式の搬送車である。第一搬送装置61は、保管設備1が設置された施設の天井部97に敷設されたガイドレール98に沿って走行する。第一搬送装置61は、容器7に設けられたフランジ76を把持した状態で、当該容器7を移動装置62に対して搬入及び搬出する。移動装置62は、例えばローラ式やベルト式等のコンベヤである。移動装置62は、保管室90の内部と外部との間で容器7を移動させる。
【0071】
第二搬送装置63は、例えばスタッカークレーンである。第二搬送装置63は、保管室90の床部91に設置された走行レール95に沿って走行移動する走行台車64と、走行台車64に立設されたマスト65と、このマスト65に案内される状態で昇降移動する昇降台66とを有する。昇降台66には、収納部Sとの間で容器7を移載する移載装置67が設置されている。移載装置67は、容器7を下方から支持する板状の支持体68を備えている。支持体68は、収納部Sの内部に突出する突出位置と、昇降台66側に引退した引退位置とに出退可能に構成されている。移載装置67を備えた第二搬送装置63は、収納部S及び移動装置62に対して、降ろし処理及び掬い処理を行い、それぞれに対する移載作業を行う。ここで、降ろし処理は、移載装置67により容器7を受け渡す処理であり、掬い処理は、移載装置67により容器7を掬い上げて受け取る処理である。
【0072】
第一搬送装置61、移動装置62、第二搬送装置63、及び移載装置67は、互いに協働して、容器7を収納部Sに搬入する(収納する)入庫作業を行う。また、これらは、互いに協働して、容器7を収納部Sから搬出する(取り出す)出庫作業を行う。これらの動作は、制御装置により、保管設備1の各部に設けられた各種センサによる検出結果の情報に基づき、常法に従って制御される。
【0073】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、横架部材40が第一分割支柱体21の前面21aに固定されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば
図7に示すように、横架部材40が、一対の分割支柱体21,22のうち正面側に位置する第二分割支柱体22の背面22bに固定されても良い。このような構成であっても、位置決め部材、回動規制部材、及び支持補助部材としての各機能を横架部材40に発揮させることができ、上記の実施形態と同様の効果を得ることができる。或いは、横架部材40が第二分割支柱体22の前面22aに固定されても良いし、場合によってはそのような横架部材40が設けられなくても良い。
【0074】
(2)上記の実施形態では、横架部材40が左右方向Hに互いに隣り合う半数の第一分割支柱体21に亘って固定されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、1つの横架部材40が架設される第一分割支柱体21の本数は任意に設定することができる。この場合において、例えば横架部材40が、左右方向Hに互いに隣り合う2本の第二分割支柱体22のみに亘って個別に固定されても良い。
【0075】
(3)上記の実施形態では、取付板部37の下端部37dが横架部材40の上端部40uに当接する状態で、一対の支柱20に載置部30が固定されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば載置本体部31の背面側の端部の下面が横架部材40の上端部40uに当接する状態で、載置部30が固定されても良い。
【0076】
(4)上記の実施形態では、載置部30を構成する載置本体部31とリブ部39とが一体的に形成されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば載置本体部31とは別体のリブ部39が、載置本体部31に対して固定されていても良い。
【0077】
(5)上記の実施形態では、支柱20が、前後方向Dに二分割された一対の分割支柱体21,22からなる構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば支柱20が、前後方向Dに分割形成された3つ以上の分割支柱体で構成されても良い。或いは、支柱20が、前後方向Dに分割されることなく単一構造物として構成されても良い。
【0078】
(6)上記の実施形態では、容器7が面取り直方体状に形成され、縦配管52が隣り合う容器7の対向する斜行板部74と支柱20との間の柱状空間Pに配置されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、容器7の立体形状は任意に設定されて良い。縦配管52は、容器7の立体形状にも応じて、収納部Sに収納される容器7との干渉を回避可能な位置に配置されると良い。
【0079】
(7)上記の実施形態では、それぞれの支柱20(左右両端の2本のうちのいずれか1本を除く)に対して個別に縦配管52が固定されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、複数の縦配管52のそれぞれは、少なくとも、当該縦配管52による不活性ガスの供給先の載置部30が固定されているいずれか一方の支柱20に固定されれば良い。例えば
図8に示すように、左右方向Hに並んで配置される複数の支柱20に対して1本おきに、縦配管52が固定されても良い。この場合、それぞれの縦配管52に対して、最大、収納部Sの段数の2倍に等しい2m本の分岐配管53が接続される。この場合、それぞれの分岐配管53が対応する縦配管52から延びる向きは、互いに隣り合う列どうしの間で反対向きとなる。このような構成は、収納部Sの段数が比較的少なくても良い場合等に、縦配管52の本数を減ずることによってガス供給部5を簡素化することができるという利点をもたらす。
【0080】
(8)上記の実施形態では、縦配管52が、第二分割支柱体22の前面22aに固定されて当該第二分割支柱体22と正面視で重なる状態に配置されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば縦配管52が、第一分割支柱体21の側面21c又は第二分割支柱体22の側面22cに固定されても良い。この場合において、縦配管52が、第一分割支柱体21又は第二分割支柱体22と側面視で重なる状態に配置されても良い。
【0081】
(9)上記の実施形態では、流量調節部56として、無通電状態におけるガス漏れ量が0.01%未満のものを用いている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば無通電状態における流量調節部56からの不活性ガスのガス漏れ量は0.01%以上であっても良い。
【0082】
(10)上記の実施形態では、流量調節部56を、ノーマルクローズ型の予備開閉弁と併設することなく用いている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、流量調節部56に加え、例えばエアバルブやソレノイドバルブ等からなるノーマルクローズ型の予備開閉弁が分岐配管53に介在されても良い。
【0083】
(11)上記の実施形態では、流量調節部56が、対応する載置部30の載置本体部31の左右方向Hの配置領域において当該載置本体部31よりも背面側に配置されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば支柱20と載置本体部31とが左右方向Hに離間して設けられる場合には、当該支柱20と載置本体部31との間の領域を少なくとも部分的に利用して流量調節部56が配置されても良い。或いは、流量調節部56が、載置本体部31における背面側の領域において、平面視で少なくとも部分的に載置本体部31と重なるように配置されても良い。
【0084】
(12)上記の実施形態では、左右方向Hに分散配置された複数の支柱20に縦配管52を個別に固定し、かつ、流量調節部56を載置本体部31よりも背面側に配置している構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、少なくとも流量調節部56が載置本体部31よりも背面側に配置されているのであれば、複数の支柱20に縦配管52が個別に固定されていない保管設備1も、本明細書によって開示される。より具体的には、保管設備1は以下の構成を備える。すなわち、保管設備1は、
上下に整列配置された複数の収納部Sを有する保管棚2と、
収納部Sに収納されている容器7のそれぞれに不活性ガスを供給するガス供給部5と、を備える。
保管棚2は、上下方向Vに沿って立設された複数の支柱20と、支柱20によって支持されて容器7を載置する載置部30と、を含む。
ガス供給部5は、複数の収納部Sに対して個別に設けられた、不活性ガスの流量を調節する流量調節部56を含む。
支柱20が保管棚2の左右両端部及び互いに隣り合う収納部Sどうしの間のそれぞれの位置に設置され、
載置部30が互いに隣り合う支柱20に固定されている。
流量調節部56のそれぞれが、対応する収納部Sを構成する載置部30の載置本体部31の左右方向Hの配置領域において、当該載置本体部31よりも背面側に配置されている。
【0085】
この構成によれば、載置部30が互いに隣り合う支柱20に固定されるので、当該載置部30の載置本体部31の左右両側に比べて、載置本体部31よりも背面側に、他物を配置するためのスペースを確保しやすい。そこで、上記のように載置本体部31の左右方向Hの配置領域において当該載置本体部31よりも背面側に流量調節部56を配置することで、個々の収納部Sに対して載置部30と流量調節部56とをコンパクトに配置することができる。よって、複数の収納部Sを高い密度で整列配置させることができ、保管棚2の収納効率を向上させることができる。さらに、複数の収納部Sに対して流量調節部56が個別に設けられるので、収納部Sに収納されている個々の容器7に対して所望の供給パターンで不活性ガスを供給することができる。よって、保管棚2に対する各容器7の入庫時期にバラツキがある場合であっても、各容器7の内容物の状態をそれぞれ適正に維持させることが容易である。
【0086】
(13)上記の実施形態では、半導体基板を収容する容器7を被保管物として保管する保管設備1を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、容器7に収容されて保管される物品は、例えばガラス基板や、金属薄膜が積層されたガラス板等からなるレチクル基板等であっても良い。また、容器7に収容されて保管される物品は、工業製品(原料や中間製品を含む)に限定されることなく、例えば食品や医薬品等であっても良い。
【0087】
なお、上述した各実施形態(上記の実施形態及びその他の実施形態を含む;以下同様)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0088】
その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。従って、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。