(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6414880
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】開閉蓋のロック装置
(51)【国際特許分類】
H05K 5/03 20060101AFI20181022BHJP
H01M 2/10 20060101ALI20181022BHJP
【FI】
H05K5/03 D
H01M2/10 X
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-231939(P2014-231939)
(22)【出願日】2014年11月14日
(65)【公開番号】特開2016-96268(P2016-96268A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2017年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000128566
【氏名又は名称】株式会社オーディオテクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(72)【発明者】
【氏名】益田 彰
(72)【発明者】
【氏名】松浦 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】内藤 善彦
【審査官】
梅本 章子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−181767(JP,A)
【文献】
特開2011−070485(JP,A)
【文献】
特開2003−257395(JP,A)
【文献】
特開2004−022998(JP,A)
【文献】
特開2004−247218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00 − 5/06
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースの一側面に対して、一端部が支軸によって開閉可能に支持されると共に、前記支軸の長さ方向に直交する方向にスライド可能に取り付けられた開閉蓋と、前記開閉蓋の前面に沿ってそれぞれ対向する方向にスライド可能に配置された一対のロック解除ノブと、前記開閉蓋を閉じた状態において、前記開閉蓋を一方向にスライド動作させることにより、開閉蓋の自由端側を係止して開閉蓋をロック状態にする前記本体ケース側に形成された係止部と、が備えられ、
開閉蓋のロック状態において、前記一対のロック解除ノブをそれぞれスライド操作することで、前記開閉蓋の他方向へのスライド動作を可能にし、開閉蓋がロック解除される開閉蓋のロック装置であって、
前記開閉蓋を閉じた状態における前記一対のロック解除ノブの裏面には、角柱状の突起を備えたノブガイドが、本体ケース側にそれぞれ配置されると共に、前記ロック解除ノブの裏面にそれぞれ突出して形成された突出ピンの側面が、前記各ノブガイドに形成された角柱状の突起の直交する2つの側面のいずれかに沿ってそれぞれ位置するように構成され、前記各突出ピンが、前記角柱状の突起に形成された第1の側面に沿ってそれぞれ位置する時に、前記開閉蓋のスライド動作を可能にし、前記各突出ピンが、前記角柱状の突起に形成された第2の側面に沿ってそれぞれ位置する時に、前記開閉蓋のスライド動作を不可能にすることを特徴とする開閉蓋のロック装置。
【請求項2】
前記開閉蓋を閉じた場合において、前記一対のロック解除ノブの裏面に突出して形成された各突出ピンの先端部が、前記各ノブガイドに備えられた角柱状の突起の先端部にそれぞれ当接されるように構成され、前記各ノブガイドに備えられた角柱状の突起の先端部には、前記ロック解除ノブの突出ピンを、前記角柱状の突起の前記第1の側面に沿って落とし込む傾斜面がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1に記載された開閉蓋のロック装置。
【請求項3】
前記ロック解除ノブのスライド方向と、前記開閉蓋のスライド方向とは、直交する関係に設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載された開閉蓋のロック装置。
【請求項4】
前記ロック解除ノブを、前記開閉蓋の外側に向かって付勢するスプリングが具備されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載された開閉蓋のロック装置。
【請求項5】
前記ロック解除ノブの表面には2つの突起が形成され、第1の突起は前記ロック解除ノブのスライド方向において指が掛かるように配置され、第2の突起は開閉蓋のスライド方向において指が掛かるように配置されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載された開閉蓋のロック装置。
【請求項6】
前記ロック解除ノブの表面には1つの突起が形成され、前記突起は前記本体ケースの中心から外側に向かって傾斜する線状の突起であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載された開閉蓋のロック装置。
【請求項7】
前記第1の突起と第2の突起はそれぞれ端部において直交して配置され、右側に位置するロック解除ノブの第1の突起と第2の突起はL字を形成し、左側に位置するロック解除ノブの第1の突起と第2の突起は左右が反転した逆L字を形成することを特徴とする請求項5に記載された開閉蓋のロック装置。
【請求項8】
開閉蓋の自由端側を係止して開閉蓋をロック状態にする本体ケース側に形成された前記係止部は、本体ケースに形成された開口縁の内側面であることを特徴とする請求項1または2に記載された開閉蓋のロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯用電子機器などにおける例えば電池収容部を覆う開閉蓋のロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯用の電子機器は、ケース本体の一部に電池収容部を備え、この電池収容部に乾電池あるいは蓄電池を収容して機器の動作電源としている。
また前記電池収容部には、収容された乾電池等を覆う開閉蓋が備えられている。この開閉蓋の一端部は、前記ケース本体に対してヒンジ機構により軸支されている。そして、前記開閉蓋の他端部の自由端側には、前記ケース本体に対して開閉蓋が閉じられた状態でロックすることができるロック装置が備えられている。
【0003】
前記した電池開閉蓋のロック装置としては、開閉蓋側にロック爪が形成され、ケース側に前記ロック爪が係合する係合孔を備えた基本的な構成を挙げることができる。これによると、開閉蓋側のロック爪が移動しつつケース本体側の係合孔に嵌まり込むことで、開閉蓋が閉じられた状態でロック装置はロックされる。また前記ロック爪が形成された自由端側を少し力を込めて引き開けることで、前記ロック爪が変形してケース側の係合孔から外れ、ロック状態を解除することができる。
前記した電池開閉蓋のロック装置の構成は、例えば特許文献1に開示されている。
【0004】
前記した開閉蓋のロック装置によると、ケース本体もしくは開閉蓋に対して比較的小さな衝撃や振動等が加わることによっても、開閉蓋のロックが外れ易い。これにより電池収容部から電池が脱落して電子機器の動作不能を招く。
【0005】
そこで、ロック爪を備えたロックレバーを開閉蓋にスライド可能に装着し、前記ロックレバーに対してロック状態を保持するためのコイルバネを備えた電池開閉蓋のロック装置が特許文献2に開示されている。
この特許文献2に開示された開閉蓋のロック装置においては、前記ロックレバーに解除ノブが一体に形成され、前記解除ノブが開閉蓋上に突出して配置されている。
したがって解除ノブを操作することにより、ロックレバーをスライドさせて開閉蓋のロック解除を行うことができ、ロック解除の操作性を向上させることができる。
【0006】
そして、特許文献2に開示された開閉蓋によると、前記したコイルバネによってロックレバーを一方向(ロック爪がキャビネット本体側に当接する方向)に付勢させた構成が採用されている。したがって、前記した特許文献1に開示された開閉蓋のロック装置に比較して、開閉蓋のロック状態が外れ易いという問題を改善することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−45490号公報
【特許文献2】特開平11−25941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、乾電池等で動作する携帯用の電子機器の一つに、ワイヤレスマイクロホンシステムのトランスミッタを例示することができる。このトランスミッタは、例えば舞台やスタジオなどにおける拡声手段として多用されている。これは出演者の腰ベルトに装着して利用されることからベルトパック型トランスミッタと呼ばれることもある。
【0009】
そして、出演者が前記したトランスミッタを、例えば腰ベルトに装着した状態で比較的動きの激しい演劇などを演じた場合には、しばしば予想外の状態で前記トランスミッタの電池蓋が開いて電池が脱落するという課題があった。このような電池の脱落は当然ながら出演者の声の拡声を不能にする。
【0010】
そこで、前記した特許文献2に開示されたロックレバーを二重に設けて、二つのロックレバーがスライドされた時に電池蓋が開放できるような工夫を施した構成も提案されている。しかしながら、特許文献2に開示されているように電池蓋の内側に、電池を保持するコイルばね接点の反力が加わる構造のものにおいては、何らかの原因で一方のロックレバーが解除状態になされたまま、電池蓋が斜めに浮いた状態で保持される場合がある。このような場合には、他方のロックレバーに何らかの力が作用した瞬間に、電池蓋が開放するという問題が発生する。また、前記コイルばね接点の反力が加わる構造以外においても、激しい動きによって電池が揺さぶられる。このとき、電池が前記蓋を押し開ける方向に急激な動きが発生すると、電池に作用する慣性力や電池蓋と電池が衝突するなど様々な原因により、電池蓋が開放し、電池が飛び出す。
したがって、前記したようにロックレバーをたとえ二重に設けても、電池蓋が不用意に開放するという問題が発生し、開閉蓋のロック装置の信頼性を向上させるには、さらなる工夫が必要となる。
【0011】
この発明は、従来の開閉蓋のロック装置における前記した問題点を解消するためになされたものであり、一対のロック解除ノブのスライド動作と共に、開閉蓋全体のスライド動作を組み合わせることにより、開閉蓋のロック解除を可能にしようとするものである。
これにより開閉蓋の不用意な開放を防止することができると共に、開閉蓋のロック操作およびロック解除操作に際しては、良好な操作性を備えた開閉蓋のロック装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記した課題を達成するためになされたこの発明に係る開閉蓋のロック装置は、本体ケースの一側面に対して、一端部が支軸によって開閉可能に支持されると共に、前記支軸の長さ方向に直交する方向にスライド可能に取り付けられた開閉蓋と、前記開閉蓋の前面に沿って
それぞれ対向する方向にスライド可能に配置された
一対のロック解除ノブと、前記開閉蓋を閉じた状態において、前記開閉蓋を一方向にスライド動作させることにより、開閉蓋の自由端側を係止して開閉蓋をロック状態にする前記本体ケース側に形成された係止部とが備えられ、開閉蓋のロック状態において、前記
一対のロック解除ノブを
それぞれスライド操作することで、前記開閉蓋の他方向へのスライド動作を可能にし、開閉蓋がロック解除される
開閉蓋のロック装置であって、前記開閉蓋を閉じた状態における前記一対のロック解除ノブの裏面には、角柱状の突起を備えたノブガイドが、本体ケース側にそれぞれ配置されると共に、前記ロック解除ノブの裏面にそれぞれ突出して形成された突出ピンの側面が、前記各ノブガイドに形成された角柱状の突起の直交する2つの側面のいずれかに沿ってそれぞれ位置するように構成され、前記各突出ピンが、前記角柱状の突起に形成された第1の側面に沿ってそれぞれ位置する時に、前記開閉蓋のスライド動作を可能にし、前記各突出ピンが、前記角柱状の突起に形成された第2の側面に沿ってそれぞれ位置する時に、前記開閉蓋のスライド動作を不可能にすることを特徴とする。
これに加えて、前記開閉蓋を閉じた場合において、前記一対のロック解除ノブの裏面に突出して形成された各突出ピンの先端部が、前記各ノブガイドに備えられた角柱状の突起の先端部にそれぞれ当接されるように構成され、前記各ノブガイドに備えられた角柱状の突起の先端部には、前記ロック解除ノブの突出ピンを、前記角柱状の突起の前記第1の側面に沿って落とし込む傾斜面がそれぞれ形成された構成が採用される。
【0013】
この場合、前記ロック解除ノブのスライド方向と、前記開閉蓋のスライド方向とは、望ましくは直交する関係に設定される。
また、前記開閉蓋は前記ロック解除ノブのスライド方向と前記開閉蓋のスライド方向のそれぞれに対して直交する方向に回動して開閉するように構成される。
そして、前記ロック解除ノブを、前記開閉蓋の外側に向かって付勢するスプリングが具備されていることが望ましい。
【0014】
また好ましくは、前記ロック解除ノブの表面には2つの突起が形成され、第1の突起は前記ロック解除ノブのスライド方向において指が掛かるように配置され、第2の突起は開閉蓋のスライド方向において指が掛かるように配置される。
さらに、前記ロック解除ノブの表面には、1つの突起が形成された構成も採用することができ、前記突起は好ましくは、前記本体ケースの中心から外側に向かって傾斜する線状の突起により構成される。
【0015】
また、好ましい形態においては、前記第1の突起と第2の突起はそれぞれ端部において直交して配置され、右側に位置するロック解除ノブの第1の突起と第2の突起はL字を形成し、左側に位置するロック解除ノブの第1の突起と第2の突起は左右が反転した逆L字が形成される。
また、開閉蓋の自由端側を係止して開閉蓋をロック状態にする本体ケース側に形成された前記係止部として、本体ケースに形成された開口縁の内側面を好適に利用することができる。
【発明の効果】
【0018】
前記した構成の開閉蓋のロック装置によると、開閉蓋が閉じてロック状態にされた場合においては、開閉蓋に配置されたロック解除ノブを内側にスライドさせることで、前記開閉蓋をスライド可能にすることができる。
この状態でロック解除ノブのスライド方向に直交する方向に開閉蓋をスライドさせることで、この開閉蓋の自由端側を本体ケース側の係止部から外すことができ、これにより開閉蓋をロック状態から解除することができる。
【0019】
すなわち、この発明に係る開閉蓋のロック装置によると、ロック解除ノブのスライド動作と共に、開閉蓋全体のスライド動作を組み合わせることで、開閉蓋のロック解除が可能となる。したがって、開閉蓋のロック状態を解除するには、横方向と縦方向の二次元方向のスライド動作が伴われるので、電子機器の利用中において、不用意に開閉蓋のロックが外れ、例えば乾電池等が脱落するという問題を解消することができる。
【0020】
しかも、開閉蓋のロック操作およびロック操作解除は比較的単純である。したがってロック操作およびロック解除操作の一度の習得により、迷いなく同様の操作を繰り返すことができるなど、良好な操作性を備えた開閉蓋のロック装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】この発明に係る開閉蓋のロック装置を備えた電子機器の全体構成を示す分解斜視図である。
【
図2】開閉蓋が開放されている状態を示す電子機器の斜視図である。
【
図3】開閉蓋を閉じて軽く押し付けた状態を示す電子機器の斜視図である。
【
図4】
図3に示す状態において開閉蓋を上に向かってスライドさせた状態を示す電子機器の斜視図である。
【
図5】開閉蓋がロックされた状態を示す電子機器の斜視図である。
【
図6】開閉蓋をロックする第1段階の状態における要部を3つの視点で見た断面図である。
【
図7】同じく第2段階の状態における要部を3つの視点で見た断面図である。
【
図8】同じく第3段階の状態における要部を3つの視点で見た断面図である。
【
図9】開閉蓋がロックされた状態における要部を3つの視点で見た断面図である。
【
図10】ロック解除ノブの他の例を示した電気機器の斜視図である。
【
図11】ロック解除ノブのその他の例を示した電気機器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明に係る開閉蓋のロック装置について、ワイヤレスマイクロホンシステムのトランスミッタに適用した例に基づいて説明する。
図1に示すように、トランスミッタの外郭を構成する本体ケース1は、全体が偏平な直方体状に形成されており、その上端部には音声信号の送信アンテナ2が取り付けられている。また本体ケース1の前面上部にはディスプレイ3が装着されており、このディスプレイ3の下側におけるケース前面の大部分を占めるように開口部4が形成されている。
そして、この開口部4には乾電池Bの収容室と、操作ボタン等を配列した内装部材5が配置されている。
【0023】
前記本体ケース1の前面に形成された開口部4を塞ぐことができる開閉蓋6が備えられている。この開閉蓋6には、その下端部の両側に一対の軸孔7が形成される。この一対の軸孔7に挿入される支軸8によって開閉蓋6は回動可能に支持される。
そして、前記支軸8は、本体ケース1の下端部に沿って形成された支軸ホルダー9に装着されることで本体ケース1に取り付けられている。
【0024】
なお、前記開閉蓋6の下端部に形成された一対の軸孔7は、開閉蓋6の上下方向に沿って軸孔を溝状に広げた長孔状に形成されている。すなわち前記一対の軸孔7はそれぞれ長孔状に形成されているので、開閉蓋6は前記支軸の長さ方向に直交する方向、すなわち開閉蓋6の前面に沿って上下にスライドできるように前記支軸8に取り付けられている。
【0025】
そして、前記開閉蓋6の上端部である自由端側には、薄肉状の段部6aが直線状に形成されている。前記開閉蓋6を閉じた状態で開閉蓋6を上部に向かってスライドさせた時、本体ケース1側に形成された上部開口縁の内側面1aに、前記薄肉状の段部6aが入り込むように構成されている。
すなわち、本体ケース1に形成された上部開口縁の内側面1aは、後述するとおり、開閉蓋6の自由端側を係止して、開閉蓋6をロック状態にする係止部(開口縁内側面1aと同一符号で示す。)として機能することになる。
【0026】
前記開閉蓋6の上端部付近の左右には、四辺形状の一対の凹み部11が形成されており、この一対の凹み部11の中央部には、それぞれ貫通穴12が形成されている。そして、前記一対の凹み部11には、ほぼ正方形状に形成されたロック解除ノブ13が、開閉蓋6の前面側からそれぞれ取り付けられている。
【0027】
また、前記ロック解除ノブ13が位置する前記開閉蓋6を介した裏面側には、ほぼ正方形状に形成されたスライドプレート14がそれぞれ配置されている。そして、各スライドプレート14の裏面側から装着されるねじ15によって、前記スライドプレート14のそれぞれは、ロック解除ノブ13に結合されている。
この構成によって、前記一対のロック解除ノブ13は、前記した四辺形状の一対の凹み部11に沿って、開閉蓋6の幅方向にのみスライドできるように開閉蓋6に取り付けられている。したがって、一対のロック解除ノブ13のスライド方向と、前記した開閉蓋6のスライド方向は、直交する関係に設定されている。
【0028】
また、前記ロック解除ノブ13と、スライドプレート14との間に形成された前記一対の貫通穴12に続いて、開閉蓋6の中央部側に向かってそれぞれ溝孔が形成されている。この溝孔の端部には、小突起16がそれぞれ形成されている。この小突起16には、コイルスプリング17の一端部が取り付けられて、前記溝孔に収容されている。そして、各コイルスプリング17の他端部は、それぞれのロック解除ノブ13の裏面の一部に当接されて、前記一対のロック解除ノブ13に対して、開閉蓋6の両外側に向かう付勢力をそれぞれ与えている。
【0029】
なお、前記した一対のロック解除ノブ13のうち、向かって右側に位置するロック解除ノブの表面には、上下方向に突出する第1の突起と左右方向に突出する第2の突起により、L字状に突出した指を掛ける突起13aが形成され、左側に位置するロック解除ノブの表面には、左右が反転した逆L字状に突出した指を掛ける突起13aが形成されている。
これは、ロック状態になされた開閉蓋6のロック解除を行うに際して、左右一対のロック解除ノブ13の中央部側へのスライド操作と、前記開閉蓋6の下側に向けたスライド操作の操作性を向上させることに寄与できる。
【0030】
一方、前記本体ケース1の開口部4内に配置された内装部材5の両側には、その両外側から中央部に向かって切り込み溝を備えた一対の凹陥部18が形成されている。そして、前記一対の凹陥部18には、ノブガイド19が内装部材5の両側から装着されて取り付けられている。
このノブガイド19は、プレート状部材の前面に角柱状の突起20が一体に形成されることで構成されている。前記プレート状部材が前記切り込み溝内に挿入されることで、前記ノブガイド19が凹陥部18に装着されて固定されている。
なお、前記ノブガイド19は、支軸8を回転中心として前記開閉蓋6を閉じた時に、開閉蓋6に取り付けられたロック解除ノブ13の背面側に位置するように構成されている。
【0031】
図2〜
図5は、前記した構成の開閉蓋のロック装置について、開閉蓋6が開放された状態から開閉蓋6が閉じられてロック状態になされるまでの過程を、順に示したものである。以下ロック装置の主要部を示す
図6〜
図9と共に、開閉蓋のロック装置の作用について説明する。
なお、以下に示す
図2〜
図5においては、図に現れる各部材のうち主要な部材のみに、
図1と同一の符号を付けて示している。
【0032】
また
図6〜
図9の各(A)〜(C)は、いずれも開閉蓋のロック装置の動きを、それぞれ3つの異なる方向から見た断面図で示している。
すなわち
図6(A)は、開閉蓋6を閉じた状態における開閉蓋6の裏面側におけるノブガイド19の直前位置における断面図であり、これは
図6(B)におけるa−a線より矢印方向に見た状態の断面図である。これは
図7(A)、
図8(A)、
図9(A)も同様である。
また
図6(B)は、開閉蓋6を閉じた状態におけるロック解除ノブ13の中央部における縦断面図であり、これは
図6(A)におけるb−b線より矢印方向に見た状態の断面図である。これは
図7(B)、
図8(B)、
図9(B)も同様である。
【0033】
さらに
図6(C)は、開閉蓋6を閉じた状態におけるロック解除ノブ13の中央部の横断面図であり、これは
図6(A)におけるc−c線より矢印方向に見た状態の断面図である。これは
図7(C)、
図8(C)、
図9(C)も同様である。
なお
図6〜
図9は、向かって右側に配置されたロック解除ノブ13に施されたロック装置の動きを示しているが、向かって左側に配置されたロック解除ノブ13に施されたロック装置は、これとは左右が対照的に動作することになり、したがって図示は省略する。
【0034】
先ず、開閉蓋6を閉じる場合には、
図2に示されているように開閉蓋6の自由端側を円弧の矢印で示した方向に回動する。これにより開閉蓋6は
図3に示すように本体ケース1の前面に形成された開口部4を閉塞する。
この時のロック装置の状態が
図6に示されている。なお
図6に示すように前記したロック解除ノブ13の裏面には、先端部が半球状に形成された円柱状の突出ピン13bがロック解除ノブ13と一体に形成されている。
したがって、前記開閉蓋6を閉じることにより、ロック解除ノブ13の裏面に形成された前記突出ピン13bの先端部が、前記したノブガイド19に形成された角柱状突起20の上端部に当接する。
【0035】
前記角柱状突起20の上端部には、
図6(A)および(C)に示すように傾斜面20aが形成されている。前記ロック解除ノブ13に形成された突出ピン13bの半球状先端部は、角柱状突起20の傾斜面20aに当接した状態になされる。
この状態で
図3に示すように閉じられた開閉蓋6の前面を軽く押し込むと、前記突出ピン13bの先端部が前記傾斜面20aを滑りながら、角柱状突起20の第1の側面20bに沿って落ち込む。この様子が
図7(A)および(C)に矢印で示されている。
【0036】
したがって、
図3に示したように開閉蓋6の前面に取り付けられた一対のロック解除ノブ13は、互いに内側に向かってスライドする。
この状態においては、
図7に示すようにロック解除ノブ13の突出ピン13bは、角柱状突起20の第1の側面20bに当接しており、しかも角柱状突起20の第1の側面20bは、本体ケース1の上下方向に沿って形成されている。
これにより、
図4に示したように前記開閉蓋6を、上向きにスライドさせることができる。
【0037】
図4に示したように開閉蓋6を上向きにスライドさせると、例えば
図8(B)に示されているように、開閉蓋6の上端部に直線状に形成された薄肉状の段部6aが、本体ケース1側に形成された上部開口縁の内側面(係止部)1aに入り込む。これにより開閉蓋6の開放は阻止されることになる。
この時、前記開閉蓋6に取り付けられているロック解除ノブ13の突出ピン13bも上向きにスライドして、
図8(A)に矢印で示す位置に移動する。
【0038】
ロック解除ノブ13の突出ピン13bが
図8(A)に示す位置に移動すると、ロック解除ノブ13を外側に向かって付勢する前記したコイルスプリング17は定常状態に戻ろうとする。この作用により、ロック解除ノブ13の突出ピン13bは、
図9(A)および(C)に矢印で示すように角柱状突起20に形成された第2の側面20cに沿って移動する。
すなわち、ロック解除ノブ13の裏面に形成された突出ピン13bは、角柱状突起20の第1と第2の直交する2つの側面20bから20cに沿って移動することになる。
【0039】
この結果、一対のロック解除ノブ13は、前記コイルスプリング17の作用により、
図5に示したように開閉蓋6の両外側の位置に向かって移動する。
これにより、ロック解除ノブ13の裏面に形成された突出ピン13bは、角柱状突起20の第2の側面20cに対峙して位置することになる。
したがって、前記開閉蓋6は下側に向かうスライド動作は不可能となり、前記開閉蓋6はロック状態に保持される。
【0040】
以上説明したとおり、開閉蓋6を閉じてロックする場合には、
図3に示すように開閉蓋6を閉じた状態で開閉蓋6を軽く押しつけ、この状態で
図4に示すように開閉蓋6を上向きにスライドさせることで、開閉蓋6をロック状態にすることができる。
また、ロック状態の開閉蓋6を開くには、開閉蓋6に取り付けられた一対のロック解除ノブ13を互いに内側に向かってスライドさせると共に、この状態で開閉蓋6を下向きにスライドさせることで、開閉蓋6のロック状態が解除される。そして、開閉蓋6の自由端側を支軸8を中心に手前に回動させることで、開閉蓋6を開放させることができる。
【0041】
この実施形態において、突起13aはL字を形成するように配置した構成を説明した。しかし、突起13aはL字形状に限らない。例えば、突起13aは十字を形成していてもよい。さらに、2つの突起によって指賭けとなる部分を構成したが、この突起は例えば
図10に示したようにケース1の中心から外側に向かって傾斜する方向、言い換えれば、ロック解除ノブのスライド方向外側に向かって傾斜する斜め線状の突起1つで構成されてもよい。また、突起13aの形状は、上記の他、
図11に示したように細かい凹凸状の突起を複数用いてもよく、細かい凹凸によって形成された上記L字や十字、斜め線であってもよい。
【0042】
この発明に係る開閉蓋のロック装置によると、開閉蓋のロック操作およびロック解除操作が比較的単純で良好な操作性を備えたものとなる。
そして、開閉蓋のロック状態を解除には、一対のロック解除ノブの横方向のスライド動作と、開閉蓋の縦方向のスライド動作が伴われるので、電子機器の利用中において、不用意に開閉蓋のロックが外れるという問題を解消することができるなど、前記した発明の効果の欄に記載したとおりの作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 本体ケース
1a 係止部
2 送信アンテナ
4 開口部
5 内装部材
6 開閉蓋
6a 薄肉状段部
7 軸孔(長孔)
8 支軸
11 凹み部
12 貫通穴
13 ロック解除ノブ
13a 指掛け突起
13b 突出ピン
14 スライドプレート
16 小突起
17 コイルスプリング
19 ノブガイド
20 角柱状突起
20a 傾斜面
20b 角柱状の第1側面
20c 角柱状の第2側面
B 乾電池