特許第6414910号(P6414910)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6414910
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】ループ状アンテナおよびモバイル端末
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/24 20060101AFI20181022BHJP
   H01Q 7/04 20060101ALI20181022BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20181022BHJP
【FI】
   H01Q1/24 C
   H01Q7/04
   H04M1/02 C
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-541597(P2016-541597)
(86)(22)【出願日】2013年12月31日
(65)【公表番号】特表2017-501634(P2017-501634A)
(43)【公表日】2017年1月12日
(86)【国際出願番号】CN2013091195
(87)【国際公開番号】WO2015100654
(87)【国際公開日】20150709
【審査請求日】2016年10月24日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517332063
【氏名又は名称】華為終端(東莞)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100140534
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲漢▼▲陽▼
(72)【発明者】
【氏名】孟 博
【審査官】 橘 均憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−134605(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0087235(US,A1)
【文献】 特開2008−028734(JP,A)
【文献】 特開2012−060380(JP,A)
【文献】 特開2007−288649(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/024280(WO,A1)
【文献】 特開2000−251972(JP,A)
【文献】 特開2007−013958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q1/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイル端末に配置されたループ状アンテナであって、
前記モバイル端末は金属製の裏カバーを含み、前記金属製の裏カバーは前記ループ状アンテナを覆うかまたは部分的に覆い、
前記ループ状アンテナは、給電整合回路と、接地回路と、放射部とを含み、前記放射部は、前記給電整合回路と前記接地回路との間に接続され、前記放射部は、対称のループ状構造であり、
前記接地回路は、スイッチ部品と第1のインダクタを含み、前記スイッチ部品と前記第1のインダクタは、並列に、接地と前記放射部との間に接続され、
前記給電整合回路は、給電端と可変コンデンサを含み、前記可変コンデンサは、前記給電端と前記放射部との間に接続され、および、
前記給電整合回路は、前記ループ状アンテナのインピーダンス整合を調整するように構成されており、前記接地回路は、前記ループ状アンテナの共振周波数を調整するように構成されており、
ループ状アンテナの最低次モードは、低いLTE周波数帯をカバーし、前記最低次モードに対応する電流が前記放射部を通過するプロセスは、前記電流は前記給電整合回路の端部で比較的大きく、前記電流がゼロになるまで前記電流が徐々に減少し、その後前記電流は徐々に増加することを含み、前記電流が前記放射部から前記接地回路に流れるとき、前記電流は大きくなり、比較的大きな接地電流が得られ
前記放射部が3次元構造であり、第1の放射セクション、第2の放射セクション、第3の放射セクション、第4の放射セクション、および第5の放射セクションを含み、ここで、前記第1の放射セクション、前記第2の放射セクション、前記第3の放射セクション、前記第4の放射セクション、および前記第5の放射セクションは、順番に連続して接続され、
前記モバイル端末が、底面、側面対、および前面を含み、前記モバイル端末は、6面体構造であり、
前記前面は、前記モバイル端末の画面を配置するように構成され、
前記底面は、前記前面と前記金属製の裏カバーとの間に接続され、
前記側面対は、前記底面の両側に別々に配置され、前記前面と前記金属製の裏カバーとの間に接続され、
前記第1の放射セクションと前記第5の放射セクションは、同一の構造を有し、前記モバイル端末の前記底面に配置され、
前記第2の放射セクションと前記第4の放射セクションは、前記側面対に別々に配置され、および、
前記第3の放射セクションは、前記モバイル端末の前記前面に配置されている、ループ状アンテナ。
【請求項2】
前記給電整合回路が、第2のインダクタおよび第3のインダクタをさらに含み、前記第2のインダクタは、前記給電端と前記可変コンデンサとの間に接続され、前記第3のインダクタは、前記可変コンデンサと前記接地との間に接続されている、請求項1に記載のループ状アンテナ。
【請求項3】
前記モバイル端末が、回路基板を含み、前記給電整合回路および前記接地回路は、前記回路基板上に配置されている、請求項1に記載のループ状アンテナ。
【請求項4】
前記給電整合回路および前記接地回路が、前記回路基板の縁部に近い位置に、並んで配置されている、請求項3に記載のループ状アンテナ。
【請求項5】
前記金属製の裏カバーが、前記回路基板の前記接地に電気的に接続されている、請求項3に記載のループ状アンテナ。
【請求項6】
金属製の裏カバーおよびループ状アンテナを備えたモバイル端末であって、
前記金属製の裏カバーは前記ループ状アンテナを覆うかまたは部分的に覆い、前記ループ状アンテナは、給電整合回路と、接地回路と、放射部とを含み、前記放射部は、前記給電整合回路と前記接地回路との間に接続され、前記放射部は、対称のループ状構造であり、
前記接地回路は、スイッチ部品と第1のインダクタを含み、前記スイッチ部品と前記第1のインダクタは、並列に接続された後に、接地と前記放射部との間に接続され、
前記給電整合回路は、給電端と可変コンデンサを含み、前記可変コンデンサは、前記給電端と前記放射部との間に接続され、および、
前記給電整合回路は、前記ループ状アンテナのインピーダンス整合を調整するように構成されており、前記接地回路は、前記ループ状アンテナの共振周波数を調整するように構成されており、
ループ状アンテナの最低次モードは、低いLTE周波数帯をカバーし、前記最低次モードに対応する電流が前記放射部を通過するプロセスは、前記電流は前記給電整合回路の端部で比較的大きく、前記電流がゼロになるまで前記電流が徐々に減少し、その後前記電流は徐々に増加することを含み、前記電流が前記放射部から前記接地回路に流れるとき、前記電流は大きくなり、比較的大きな接地電流が得られ
前記放射部が3次元構造であり、第1の放射セクション、第2の放射セクション、第3の放射セクション、第4の放射セクション、および第5の放射セクションを含み、ここで、前記第1の放射セクション、前記第2の放射セクション、前記第3の放射セクション、前記第4の放射セクション、および前記第5の放射セクションは、順番に連続して接続され、
前記モバイル端末が、底面、側面対、および前面を含み、前記モバイル端末は、6面体構造であり、
前記前面は、前記モバイル端末の画面を配置するように構成され、
前記底面は、前記前面と前記金属製の裏カバーとの間に接続され、
前記側面対は、前記底面の両側に別々に配置され、前記前面と前記金属製の裏カバーとの間に接続され、
前記第1の放射セクションと前記第5の放射セクションは、同一の構造を有し、前記モバイル端末の前記底面に配置され、
前記第2の放射セクションと前記第4の放射セクションは、前記側面対に別々に配置され、および、
前記第3の放射セクションは、前記モバイル端末の前記前面に配置されている、モバイル端末。
【請求項7】
前記給電整合回路が、第2のインダクタおよび第3のインダクタをさらに含み、前記第2のインダクタは、前記給電端と前記可変コンデンサとの間に接続され、前記第3のインダクタは、前記可変コンデンサと前記接地との間に接続されている、請求項に記載のモバイル端末。
【請求項8】
前記モバイル端末が、回路基板をさらに含み、前記給電整合回路および前記接地回路は、前記回路基板上に配置されている、請求項に記載のモバイル端末。
【請求項9】
前記給電整合回路および前記接地回路が、前記回路基板の縁部に近い位置に、並んで配置されている、請求項に記載のモバイル端末。
【請求項10】
前記金属製の裏カバーが、前記回路基板の接地に電気的に接続されている、請求項に記載のモバイル端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信技術の分野に関し、特に、ループ状アンテナやループ状アンテナを含むモバイル端末に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル端末はますます薄くなり、金属は増加し、周波数帯域はより集中的になってきている。すべての傾向は、アンテナ設計上に大きな課題を提起している。一般に、アンテナは、モバイル端末の裏カバーの位置に配置される必要があり、アンテナが金属製カバーで覆われている場合、アンテナの効率が減衰する場合がある。従来技術では、金属−セラミック製の裏カバーが使用され、アンテナの性能は、セラミック材料でアンテナを覆うことによって保証されている。完全に金属から成る裏カバーを有するモバイル端末のためのアンテナの設計は、非常に困難であり、現行ではより良い解決策がない。
【0003】
したがって、完全に金属から成るカバーを含むモバイル端末に適用されるアンテナを設計することが、当該技術の開発の要件である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、ループ状アンテナとモバイル端末を提供し、提供されるループ状アンテナを、完全に金属から成るカバーを含むモバイル端末に適用することができる。
【0005】
一態様によれば、本発明はモバイル端末に配置されたループ状アンテナを提供し、モバイル端末は金属製の裏カバーを含み、金属製の裏カバーはループ状アンテナを覆うかまたは部分的に覆い;ループ状アンテナは、給電整合回路と、接地回路と、放射部とを含み、ここで、放射部は、給電整合回路と接地回路との間に接続され、放射部は、対称または略対称のループ状構造であり;接地回路は、スイッチ部品と第1のインダクタを含み、ここで、スイッチ部品と第1のインダクタは、並列に接続された後に、接地と放射部との間に接続され;給電整合回路は、給電端と可変コンデンサを含み、ここで、可変コンデンサは、給電端と放射部との間に接続され;および、給電整合回路は、ループ状アンテナのインピーダンス整合を調整するように構成されており、接地回路は、ループ状アンテナの共振周波数を調整するように構成されている。
【0006】
給電整合回路は、第2のインダクタおよび第3のインダクタをさらに含み、第2のインダクタは、給電端と可変コンデンサとの間に接続され、第3のインダクタは、可変コンデンサと接地との間に接続されている。
【0007】
モバイル端末は、回路基板を含み、給電整合回路および接地回路は、回路基板上に配置されている。
【0008】
給電整合回路および接地回路は、回路基板の縁部に近い位置に、並んで配置されている。
【0009】
金属製の裏カバーは、回路基板の接地に電気的に接続されている。
【0010】
放射部は3次元構造であり、第1の放射セクション、第2の放射セクション、第3の放射セクション、第4の放射セクション、および第5の放射セクションを含み、ここで、第1の放射セクション、第2の放射セクション、第3の放射セクション、第4の放射セクション、および第5の放射セクションは、順番に連続して接続され;モバイル端末は、底面、側面対、および前面を含み、モバイル端末は、6面体構造であり、ここで、前面は、モバイル端末の画面を配置するように構成され;底面は、前面と金属製の裏カバーとの間に接続され;側面対は、底面の両側に別々に配置され、前面と金属製の裏カバーとの間に接続され;第1の放射セクションと第5の放射セクションは、同一の構造を有し、モバイル端末の底面に配置され;第2の放射セクションと第4の放射セクションは、側面対に別々に配置され;および、第3の放射セクションは、モバイル端末の前面に配置されている。
【0011】
放射部は、絶縁媒体上に形成され、絶縁媒体は、モバイル端末の筐体に固定され、絶縁媒体は、立方体構造または同様の形状の6面体構造であり、放射部は、絶縁媒体の隣接する4つの端面上に延びている。
【0012】
別の態様によれば、本発明は金属製の裏カバーおよびループ状アンテナを含むモバイル端末をさらに提供し、この金属製の裏カバーはループ状アンテナを覆うかまたは部分的に覆い、ループ状アンテナは、給電整合回路と、接地回路と、放射部とを含み、ここで、放射部は、給電整合回路と接地回路との間に接続され、放射部は、対称または略対称のループ状構造であり;接地回路は、スイッチ部品と第1のインダクタを含み、ここで、スイッチ部品と第1のインダクタは、並列に、接地と放射部との間に接続され;給電整合回路は、給電端と可変コンデンサを含み、ここで、可変コンデンサは、給電端と放射部との間に接続され;および、給電整合回路は、ループ状アンテナのインピーダンス整合を調整するように構成されており、接地回路は、ループ状アンテナの共振周波数を調整するように構成されている。
【0013】
給電整合回路は、第2のインダクタおよび第3のインダクタをさらに含み、第2のインダクタは、給電端と可変コンデンサとの間に接続され、第3のインダクタは、可変コンデンサと接地との間に接続されている。
【0014】
モバイル端末は、回路基板をさらに含み、給電整合回路および接地回路は、回路基板上に配置されている。
【0015】
給電整合回路および接地回路は、回路基板の縁部に近い位置に、並んで配置されている。
【0016】
金属製の裏カバーは、回路基板の接地に電気的に接続されている。
【0017】
放射部は3次元構造であり、第1の放射セクション、第2の放射セクション、第3の放射セクション、第4の放射セクション、および第5の放射セクションを含み、ここで、第1の放射セクション、第2の放射セクション、第3の放射セクション、第4の放射セクション、および第5の放射セクションは、順番に連続して接続され;モバイル端末は、底面、側面対、および前面を含み、モバイル端末は、6面体構造であり、ここで、前面は、モバイル端末の画面を配置するように構成され;底面は、前面と金属製の裏カバーとの間に接続され;側面対は、底面の両側に別々に配置され、前面と金属製の裏カバーとの間に接続され;第1の放射セクションと第5の放射セクションは、同一の構造を有し、モバイル端末の底面に配置され;第2の放射セクションと第4の放射セクションは、側面対に別々に配置され;および、第3の放射セクションは、モバイル端末の前面に配置されている。
【0018】
放射部は、絶縁媒体上に形成され、絶縁媒体は、モバイル端末の筐体に固定され、絶縁媒体は、立方体構造または同様の形状の6面体構造であり、放射部は、絶縁媒体の隣接する4つの端面上に延びている。
【0019】
従来技術と比較し、本発明で提供されるループ状アンテナとモバイル端末では、モバイル端末は、金属製の裏カバーを含み、金属製の裏カバーは、ループ状アンテナを覆うかまたは部分的に覆っている。ループ状アンテナの構成を用いることにより、完全に金属から成る裏カバーがモバイル端末によって使用されるという原則で、モバイル端末のループ状アンテナは、LTEの全周波数帯のカバレッジを依然として実現することができ、良好な放射効率を有する。
【0020】
本発明の実施形態または従来技術での技術的解決策をより明確に説明するために、実施形態を説明するために必要な添付図面を以下に簡単に示す。明らかに、以下の説明において添付の図面は、本発明のいくつかの実施形態を単に示すものであり、当業者は、創造的な取り組みをすることなく、これらの添付図面から他の図面をさらに導き出すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施態様に係るモバイル端末の概略図である。
図2】本発明に係る、モバイル端末の回路基板と、ループ状アンテナと、金属製の裏カバーとの間の位置関係を示す概略図である。
図3】本発明の実施態様に係るループ状アンテナの放射部の概略図である。
図4】本発明の実施態様に係るループ状アンテナの放射部の概略図である。
図5】本発明の実施態様に係るループ状アンテナの概略平面図である。
図6】ループ状アンテナの周波数と反射係数との間の関係を示す図である。
図7】ループ状アンテナの周波数と放射効率との間の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態における技術的解決策を、本発明の実施形態の添付の図面を参照して、より明確かつ完全に以下に説明する。明らかに、説明される実施形態は、本発明の実施形態のすべてではなく、単に一部である。創造的な取り組みをすることなく、本発明の実施形態に基づいて当業者によって得られる他のすべての実施形態は、本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
【0023】
図1および図2を参照すると、本発明は、モバイル端末100とループ状アンテナ10を提供し、モバイル端末100は、携帯電話、タブレットコンピュータ、またはパーソナルデジタルアシスタントなどの電子機器であってもよい。本発明のモバイル端末100は、金属製の裏カバー20を含み、この金属製の裏カバー20は完全に金属材料で作られており、集積構造において、モバイル端末100の背面を覆うか、またはモバイル端末100の背面を部分的に覆っている。本発明のループ状アンテナ10は、モバイル端末100の底部の前端面に、すなわち、モバイル端末100の表示画面が配置される面の端部位置に、配置されている。つまり、金属製の裏カバー20は、ループ状アンテナ10を覆うかまたは部分的に覆い、すなわち、ループ状アンテナ10である、金属製の裏カバー20上の垂直突起部は、金属製の裏カバー20の範囲内に含まれ、このため、完全に金属製または部分的に金属製の裏カバー20がモバイル端末100で使用されることが実現される。
【0024】
図3図4、および図5を参照すると、ループ状アンテナ10は、給電整合回路12と、接地回路14と、放射部16とを含み、ここで、放射部16は、給電整合回路12と接地回路14との間に接続され、放射部16は、対称または略対称のループ状構造であり;接地回路14は、スイッチ部品Dと第1のインダクタL3を含み、ここで、スイッチ部品Dと第1のインダクタL3は、並列に、接地と放射部16との間に接続され;給電整合回路12は、給電端122と可変コンデンサC1を含み、ここで、可変コンデンサC1は、給電端122と放射部16との間に接続され;および、給電整合回路12は、ループ状アンテナ10のインピーダンス整合を調整するように構成されており、接地回路14は、ループ状アンテナ10の共振周波数を調整するように構成されている。一実施態様においては、スイッチ部品Dは、ダイオードまたは電気的に制御されるスイッチである。
【0025】
電流は、給電整合回路12の端部からループ状アンテナ10に流れる。したがって、給電整合回路12の端部は、比較的大きな電流を有している。ループ状アンテナ10の最低次モードは、アンテナの低いLTE周波数帯をカバーし、電流が放射部16を通過するプロセスは、次のとおりである:電流がゼロになるまで電流が徐々に減少し、その後電流は徐々に増加する;電流が放射部16から接地回路14に流れるとき、電流は大きくなり、比較的大きな接地電流が得られる。放射部16が対称または略対称のループ状構造であるため、放射部16の中心位置での電流はゼロである。したがって、本発明のループ状アンテナ10の低周波共振の長さが1/2波長であり;比較的一般に使用されるIFA、PIFA、またはモノポールアンテナ(1/4波長でのアンテナ)の放射径は、大きく、低周波放射の効率が高い。ループ状アンテナ10の高次モードは、1波長共振モード、1/2波長共振モード、2波長共振モード、2.5波長共振モード等を含み、これにより、アンテナの高いLTE周波数帯をカバーすることができる。
【0026】
ループ状アンテナ10の周波数帯域幅を向上させることができるように、本発明で提供される給電整合回路12および接地回路14は、ループ状アンテナ10の低周波共振周波数と、高周波数および低周波数のインピーダンス整合を調整することができる。
【0027】
給電整合回路12は、給電端122、可変コンデンサC1、第2のインダクタL2、および第3のインダクタL1を含み、第2のインダクタL2は、給電端122と可変コンデンサC1との間に接続され、第3のインダクタL1は、可変コンデンサC1と接地との間に接続されている。具体的には、可変コンデンサC1は、第1の端部および第2の端部を含み、可変コンデンサC1の第1の端部は第2のインダクタL2に接続され、可変コンデンサC1の第2の端部は放射部16に接続され、第3のインダクタL1は、第2の端部と接地との間に接続されている。給電整合回路12の可変コンデンサC1は、ループ状アンテナ10の周波数を調整し、これにより、調整機能の動作と実施を容易にする。
【0028】
モバイル端末100は、回路基板30を含み、給電整合回路12および接地回路14は、回路基板30上に配置されている。回路基板30上の給電整合回路12および接地回路14の位置は、回路基板30の特定のレイアウト構造に従って構成され、回路基板30の任意の位置に配置されてもよい。給電整合回路12および接地回路14は、回路基板30上で直線を用いて放射部16に接続されている。この実施態様においては、給電整合回路12および接地回路14は、回路基板30の縁部に近い位置に、並んで配置され、このようなレイアウトは、給電整合回路12と放射部16との間の距離、および接地回路14と放射部16との間の距離を短くすることができ、これにより、ループ状アンテナ10の損失を低減する。要するに、本発明において、給電整合回路12および接地回路14は、回路基板30の縁部の領域を用いて設計されており、ループ状アンテナ10の放射部16は、回路基板30の外側にあり(すなわち、放射部16は、回路基板30上に搭載されていない);このような設計は、モバイル端末100の領域を効果的に節約し、軽くて薄い製品の開発を支援することができる。別の実施態様では、放射部16を、回路基板30の絶縁層上に搭載することができ、すなわち、放射部16を搭載した回路基板30の一部は、金属を含まない層である。
【0029】
金属製の裏カバー20は、回路基板30の接地に電気的に接続されている。回路基板30と金属製の裏カバー20との間に隙間が存在し、この間隙は共振空洞を形成し、これは、モバイル端末100の内部のアンテナ(本発明で提供されるループ状アンテナ10を含む)の性能に影響する。本発明では、金属製の裏カバー20を接地することにより、ループ状アンテナ10上の、回路基板30と金属製の裏カバー20との間の隙間に起因する影響を低減することができる。金属製の裏カバー20を接地する方法は:接地ピンが金属製の裏カバー20の内面に追加され、この接地ピンは回路基板30の接地と接触するように延びているか、または接地ばねが金属製の裏カバー20と回路基板30の接地との間に配置されていることを含む。
【0030】
放射部16は、3次元構造であり、第1の放射セクション161、第2の放射セクション162、第3の放射セクション163、第4の放射セクション164、および第5の放射セクション165を含み、ここで、第1の放射セクション161、第2の放射セクション162、第3の放射セクション163、第4の放射セクション164、および第5の放射セクション165は、順番に連続して接続されている。モバイル端末100は、底面、側面対、および前面を含み、モバイル端末100は、6面体構造であり、ここで、前面は、モバイル端末100の画面を配置するために使用され、底面は、前面と金属製の裏カバー20との間に接続され、側面対は、底面の両側に別々に配置され、前面と金属製の裏カバー20との間に接続されている。第1の放射セクション161と第5の放射セクション165は、同一の構造を有し、モバイル端末100の底面に配置され;第2の放射セクション162と第4の放射セクション164は、側面対に別々に配置され;および、第3の放射セクション163は、モバイル端末100の前面に配置されている。放射部16は、4つの異なる面に配置されているため、モバイル端末100の下部領域を有効利用して、ループ状アンテナ10の放射性能を向上させる。モバイル端末100のループ状アンテナ10が配置されている部分が手で保持されているとき、ループ状アンテナ10の放射性能は、左側と右側との間でバランスがとれ一貫している。具体的には、本発明で提供されるループ状アンテナ10は、対称または略対称構造であり、対称位置の電流分布と放射特性は同じである。モバイル端末100のループ状アンテナ10の、左側がモバイル端末100を保持する位置、およびモバイル端末100のループ状アンテナ10の、右側がモバイル端末100を保持する位置は、対称であり、ループ状アンテナ10の性能への影響は一貫しており;したがって、ループ状アンテナ10の放射性能は、左側と右側との間でバランスがとれ一貫している。
【0031】
放射部16は、絶縁媒体40上に形成され;絶縁媒体は、モバイル端末100の筐体に固定されるか、または絶縁媒体は、モバイル端末100内のメインボード上に固定されてもよい。絶縁媒体40は、立方体構造または同様の形状の6面体構造であり、放射部16は、絶縁媒体40の隣接する4つの端面上に延びている。絶縁媒体40は、絶縁されたプラスチックブロックのような、実質的な構造であってもよい。絶縁媒体40は、空気であってもよく、絶縁媒体40が空気である場合、放射部16がオーバーハング状態であることと同等である。
【0032】
本発明で提供されるループ状アンテナ10によれば、図6および図7に示すように、2つの低効率の共振が、700から960MHzをカバーすることができ、3つの高周波共振は、1710から2690MHzをカバーすることができる。
【0033】
曲線A1は:スイッチ部品Dが開いており(すなわちダイオードは伝導しない)、ループ状アンテナ10上の電流は、第1のインダクタL3を通って接地に流れ(第1のインダクタL3の値は6nH)、整合回路の可変コンデンサC1は、C1=2.1pFの状態で動作することを示している。この場合、ループ状アンテナ10の低周波は700Mの周波数帯で動作し、高周波は1500Mの周波数帯をカバーするが、1710Mから2690Mの周波数帯をカバーすることができない。
【0034】
曲線A2は:スイッチ部品Dが閉じている(すなわちダイオードは伝導する)ことを示している。この場合、第1のインダクタL3は短絡され、電流はスイッチ部品Dを通って接地に流れ、整合回路の可変コンデンサはC1=2.1pFの状態で動作し、ループ状アンテナ10の低周波は800Mの周波数帯で動作し、高周波は1710から2690Mの周波数帯をカバーする。
【0035】
曲線A3は:スイッチ部品Dが閉じている(すなわちダイオードは伝導する)ことを示している。この場合、第1のインダクタL3は短絡され、電流はスイッチ部品Dを通って接地に流れ、整合回路の可変コンデンサはC1=3pFの状態で動作し、ループ状アンテナ10の低周波は900Mの周波数帯で動作し、高周波は1710から2690Mの周波数帯をカバーする。
【0036】
スイッチ部品Dの閉状態または開状態と整合回路の可変コンデンサC1の変化を用いることによって、ループ状アンテナ10は、698から960Mの低周波数帯、および1500Mや1710から2690Mの高周波数帯をカバーすることができ、すなわち、LTEの全周波数帯のカバレッジが実現される。
【0037】
本発明の実施形態で提供ループ状アンテナとモバイル端末は、上記に詳細に記載されている。本発明の原理および実施は、特定の例により、本明細書中に記載されている。本発明の実施形態についての説明は、単に本発明の方法および中心となる概念を理解するために提供されている。さらに、当業者は、本発明の概念に係る特定の実施および適用範囲の観点から、本発明の変形および修正を行うことができる。したがって、本明細書の内容は、本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0038】
10 ループ状アンテナ
12 給電整合回路
16 放射部
20 裏カバー
30 回路基板
40 絶縁媒体
100 モバイル端末
122 給電端
161 第1の放射セクション
162 第2の放射セクション
163 第3の放射セクション
164 第4の放射セクション
165 第5の放射セクション
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7