特許第6414911号(P6414911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6414911
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20181022BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20181022BHJP
   G01R 31/302 20060101ALI20181022BHJP
   G01R 31/28 20060101ALI20181022BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20181022BHJP
【FI】
   H01L27/04 L
   H01L27/04 T
   H01L27/04 E
   G01R31/28 L
   G01R31/28 U
   H01L21/66 E
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-36606(P2017-36606)
(22)【出願日】2017年2月28日
(62)【分割の表示】特願2015-224952(P2015-224952)の分割
【原出願日】2009年12月7日
(65)【公開番号】特開2017-143274(P2017-143274A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2017年2月28日
(31)【優先権主張番号】特願2008-313316(P2008-313316)
(32)【優先日】2008年12月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】冨留宮 正之
(72)【発明者】
【氏名】中柴 康隆
【審査官】 岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−228785(JP,A)
【文献】 特開平09−186291(JP,A)
【文献】 特開平06−181289(JP,A)
【文献】 特開平05−129419(JP,A)
【文献】 特開2000−323656(JP,A)
【文献】 特開2007−158151(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0173532(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0263727(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0001823(US,A1)
【文献】 米国特許第05834825(US,A)
【文献】 特開2009−076483(JP,A)
【文献】 特開2009−085720(JP,A)
【文献】 特表2007−520722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/04
H01L 21/822
G01R 31/302
G01R 31/28
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有する第1基板と、
前記第1基板の前記主面に対向する第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有する第1絶縁層と、
前記第1絶縁層内又は前記第1絶縁層の前記第2面上に配置された第1インダクタと、
前記第1絶縁層の前記第2面上にあって、前記第1インダクタを覆っており、かつ強磁性体からなる粒子を含む強磁性体膜と、
前記強磁性体膜を挟んで前記第1インダクタと対向するように配置されている第2インダクタと、
前記第2インダクタを覆うように前記強磁性体膜上に配置されている第2絶縁層と、
前記第2絶縁層上に配置されている第2基板と、
を備
前記第1インダクタの平面視形状は、渦巻き形状である半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1絶縁層の前記第2面から露出した第1ボンディングパッドを備え、
前記強磁性体膜は、前記第1ボンディングパッドを露出する開口部を有する、半導体装置。
【請求項3】
請求項に記載の半導体装置において、
前記第1基板の前記主面は、第1辺と、第1領域と、第2領域と、を有し、
前記第1領域及び前記第2領域は、前記第1辺に垂直な方向に並び、
前記第2領域は、前記第1領域よりも、前記第1辺に近く位置し、
前記第1インダクタは、前記第1領域上にあり、
前記第1ボンディングパッドは、前記第2領域上にある、半導体装置。
【請求項4】
請求項に記載の半導体装置において、
前記第1絶縁層の前記第2面から露出した複数のボンディングパッドを備え、
前記複数のボンディングパッドは、前記第1ボンディングパッドを含み、
前記複数のボンディングパッドは、前記第2領域上にあり、
前記強磁性体膜は、前記複数のボンディングパッドを露出している半導体装置。
【請求項5】
請求項に記載の半導体装置において、
前記第1絶縁層内又は前記第1絶縁層の前記第2面上の複数のインダクタを備え、
前記複数のインダクタは、前記第1インダクタを含み、
前記複数のインダクタは、前記第1領域上にあり、
前記強磁性体膜は、前記複数のインダクタを覆っている半導体装置。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記強磁性体膜の膜厚は、20μm以上0.25mm以下である半導体装置。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記強磁性体は、Feである半導体装置。
【請求項8】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記強磁性体は、Coである半導体装置。
【請求項9】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記強磁性体は、Niである半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号送受信方法、半導体装置の製造方法、半導体装置、およびテスタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信によりデータの交信を行う半導体装置が知られている。
特許文献1(特開2005−30877号公報)には、半導体集積回路装置内に内蔵テスト回路および無線通信回路を搭載し、無線信号により内蔵テスト回路を制御しテストを実施する技術が記載されている。
【0003】
ところで、従来、半導体装置のウェハレベルでの内部回路を試験するために、半導体装置のチップ表面のパッドにプローブを用いて探針して電源を与えたり、信号を送受信して観測したりすることが行われている。しかし、プローブテスト中にプローブの針によりパッドに傷がつき、後にパッドをボンディングする際の接続が不良になったり、パッドが削られてくずが発生して汚染が生じる等の問題があった。また、チップサイズの縮小および1チップ当たりのパッド数の増加とともに、パッドサイズおよびパッド間ピッチも小さくなってきており、多数のパッドに対応する多数のプローブ針を当てて良好に電気的な接続をすることが困難になってきている。このような問題を避けるべく、内部回路への信号の送受信をプローブ針を用いることなく行うことが望まれる。
【0004】
特許文献2(特開2003−344448号公報)には、半導体チップ上のモニタしようとする信号線に、相対向するように配置可能に構成され、信号線の電圧変化を静電誘導による誘起電圧として検出するセンサ電極を具備した電圧プローブチップが記載されている。また、電圧プローブチップのセンサ電極表面、および半導体チップの表面に比誘電率4のシリケートガラス層が形成された構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−30877号公報
【特許文献2】特開2003−344448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来、電磁誘導で信号の送受信を行う際に、充分な強度の信号を得るためには、インダクタを大きくする必要があり、インダクタを配置するための必要面積が大きくなってしまう。とくに、多数のパッドに対応する多数のインダクタを設ける場合、インダクタを配置するための必要面積が非常に大きくなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、
一面にインダクタが形成された半導体装置に、前記半導体装置の前記インダクタに対応する位置に設けられた外部インダクタを含む外部装置から信号の送受信を行う信号送受信方法であって、
少なくとも前記半導体装置の前記インダクタと前記外部装置の前記外部インダクタとの間に強磁性体の微粒子を含む強磁性体膜を配置し、当該強磁性体膜を介して前記インダクタと前記外部インダクタとを対向配置させる工程と、
前記インダクタと前記外部インダクタとを対向配置させた状態で、前記インダクタと前記外部インダクタとの間で電磁誘導で前記信号の送受信を行う工程と、
を含む信号送受信方法が提供される。
【0008】
本発明によれば、
基板、前記基板上に設けられた絶縁膜、および前記絶縁膜の前記基板と対向する面と反対側の一面に設けられたインダクタを含む半導体装置と、前記半導体装置の前記インダクタに対応する位置に設けられた外部インダクタを含む外部装置とを対向配置し、少なくとも前記半導体装置の前記インダクタと前記外部装置の前記外部インダクタとの間に強磁性体の微粒子を含む強磁性体膜を配置し、当該強磁性体膜を介して前記インダクタと前記外部インダクタとを対向配置させる工程と、
前記インダクタと前記外部インダクタとを対向配置させた状態で、前記インダクタと前記外部インダクタとの間で電磁誘導で信号の送受信を行う工程と、
を含む半導体装置の製造方法が提供される。
【0009】
本発明によれば、
基板と、
前記基板上に設けられた絶縁膜と、
前記絶縁膜の前記基板と対向する面と反対側の一面に設けられたインダクタと、
前記絶縁膜上において、少なくとも前記インダクタ上に形成され、強磁性体の微粒子を含む強磁性体膜と、
を含む半導体装置が提供される。
【0010】
本発明によれば、
一面にインダクタが設けられた半導体装置をテストするためのテスタ装置であって、
基体と、
前記基体の一面に形成され、前記半導体装置の前記インダクタに対応する位置に設けられた外部インダクタと、
少なくとも前記外部インダクタ上に形成され、強磁性体の微粒子を含む強磁性体膜と、
を含むテスタ装置が提供される。
【0011】
この構成によれば、インダクタを配置するための必要面積を小さく保ちつつ、電磁誘導で信号の送受信を良好に行うことができる。
【0012】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、半導体装置に形成されたインダクタと外部インダクタとの間で電磁誘導で信号の送受信を行う際に、両者の間に強磁性体膜が介在するため、インダクタ結合係数を向上させることができる。これにより、インダクタを小さくしても、電磁誘導で信号の送受信を良好に行うことができる。そのため、インダクタを配置するための必要面積を小さく保ちつつ、電磁誘導で信号の送受信を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
図2】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
図3図1に示した基板の平面図である。
図4図3の拡大図である。
図5図2(a)の拡大断面図である。
図6図2(b)の拡大断面図である。
図7】本発明の実施の形態における半導体装置の半導体チップ形成領域の一例を示す平面図である。
図8】本発明の実施の形態における半導体装置の半導体チップ形成領域の他の例を示す平面図である。
図9】本発明の実施の形態におけるテスタ装置の構成を示す断面図である。
図10】本発明の実施の形態における半導体装置の他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。本実施の形態において、外部装置がテスタ装置で、ウェハレベルで半導体装置のチップ内部回路のテストを行う際に、テスタ装置から、電磁誘導で種々のテスト信号を送受信する場合を例として説明する。
【0016】
図1および図2は、本実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
半導体装置100は、基板102(ウェハ)を含む。本実施の形態において、基板102の一面には、複数のインダクタが形成されたインダクタ形成領域110が設けられている。このような構成の半導体装置100に、半導体装置100の各インダクタに対応する位置に設けられ、電磁誘導で信号の送受信を行う複数の外部インダクタを含むテスタ装置200から信号の送受信を行う。
【0017】
図3は、図1に示した基板102の平面図、図4は、図3の拡大図である。図3では、基板102の外縁のみを示す。図4に示すように、基板102の一面には、複数の半導体チップ形成領域104と、半導体チップ形成領域104の外周に設けられたスクライブライン領域106とが形成されている。図4では、4つの半導体チップ形成領域104を示しており、スクライブライン領域106において、これらの間にはアライメント用のマーク108が設けられている。
【0018】
半導体装置100の各半導体チップ形成領域104内には、チップ内部回路118、複数のインダクタ114、複数のボンディングパッド116および複数の配線(不図示)が設けられる。ボンディングパッド116は、後にワイヤボンディングが行われるパッドである。ここで、各ボンディングパッド116はチップ内部回路118と各配線で接続され、この配線にインダクタ114が接続される。インダクタ114は、従来の半導体装置において、ウェハレベルで内部回路のテストを行う際にプローブを用いて探針するために設けられていたパッドの代替として設けることができる。インダクタ114は、各ボンディングパッド116と各チップ内部回路118とを接続する複数の配線すべてに設けられていてもよく、また一部の配線には設けられていなくてもよい。また、図示していないが、半導体装置100は、各インダクタ114に対応して設けられた複数の変換回路を含む。また、図示していないが、半導体装置100は、電源回路を含むことができる。
【0019】
なお、インダクタ114は、外部の装置と信号を送受信するため、半導体装置100の表面に設けられる。また、ボンディングパッド116も、後にワイヤボンディングを行うために、半導体装置100の表面に設けられる。なお、インダクタ114の表面には、たとえばパッシベーション膜等の電磁誘導での信号の送受信に影響を与えない程度の膜が形成されていてもよい。ボンディングパッド116は、インダクタ114と外部の装置との通信を遮断しない領域に形成される。本実施の形態において、図4に示すとおり、ボンディングパッド116は、インダクタ114とは、互いに重ならないように配置されている。インダクタ114とボンディングパッド116とのわずかな重なりは外部の装置との通信を遮断しない範囲で許容される。
【0020】
一方、変換回路は、インダクタ114が外部の装置と送受信する信号を変換するだけなので、半導体装置100の表面に設けられる必要はない。そのため、変換回路は、たとえばインダクタ114と半導体基板の積層方向に重なるように設けることができ、半導体装置100のサイズの増大を抑えることができる。たとえば、変換回路は、各インダクタ114に対応してインダクタ114の下層に設けられる。各インダクタ114は、対応する変換回路を介してチップ内部回路118と電気的に接続されている。変換回路は、チップ内部回路118と外部との間で送受信される信号の変復調を行う。また、各ボンディングパッド116もチップ内部回路118と電気的に接続されている。
【0021】
ここでは図示していないが、チップ内部回路118は、複数のインダクタ114に対応する複数のトランジスタを含むことができる。各トランジスタのソース・ドレインの一端は接地されており、他端は電源供給線を介して電源回路に接続される。また、各トランジスタのゲートは、各変換回路を介して各インダクタ114に接続される。さらに、各トランジスタのゲートは、各ボンディングパッド116にも接続されている。なお、トランジスタと、ボンディングパッド116および変換回路との間には、入出力バッファ回路が挿入された構成とすることもできる。
【0022】
図1および図2に戻り、本実施の形態における半導体装置の製造手順を説明する。
図1(a)に示すように、まず、以上で説明した半導体装置100の基板102の一面に形成されたインダクタ形成領域110上に強磁性体膜130を形成する。強磁性体膜130は、たとえばポリエステル等の絶縁膜(ポリマー)中に、強磁性体の微粒子が含まれたテープとすることができる。ここで、強磁性体は、Fe、Co、Ni等の金属やその合金等とすることができる。強磁性体膜130の膜厚は、たとえば、20μmから0.25mm程度とすることができる。強磁性体膜130は、たとえば以下の手順で半導体装置100上に形成することができる。まず、強磁性体膜130の一面に水溶性の糊等の接着剤を塗布し、接着剤が塗布された一面が基板102のインダクタ形成領域110が形成された一面と接するように強磁性体膜130を配置する。そして、図示しないローラ等で強磁性体膜130をインダクタ形成領域110上に圧接・接着させる。
【0023】
つづいて、たとえば円周用カッターであるカッター150を基板102の端に接触させながら、強磁性体膜130を基板102の円周部に沿って切断する。これにより、基板102上に基板102と同じ大きさの強磁性体膜130を形成することができる(図1(b))。
【0024】
次に、バックグラインダ等の装置で基板102の一面と反対側の裏面を研磨して、基板102を所定の厚さにする。たとえば、基板102の厚さは、200μm〜400μm程度とすることができる(図1(c))。
【0025】
この後、テスタ装置200の外部インダクタと半導体装置100のインダクタ形成領域110のインダクタとの間で信号の送受信を行う。本実施の形態において、テスタ装置200は、複数のテストチップ(テストを行うためのチップ)201を含む。各テストチップ201は、半導体装置100の各半導体チップ形成領域104に対応する大きさに形成されている。
【0026】
まず、半導体装置100を載置台152上に載置し、テスタ装置200を半導体装置100に近づける。次いで、テスタ装置200の外部インダクタと半導体装置100のインダクタ形成領域110のインダクタとの間で信号の送受信を行う(図2(a)、図2(b))。
【0027】
図5および図6は、それぞれ、図2(a)および図2(b)の拡大断面図である。ここでは、半導体装置100の一の半導体チップ形成領域104(図4参照)およびテスタ装置200の一のテストチップ201を部分的に示す。
【0028】
半導体装置100のインダクタ形成領域110は、基板102上に設けられた絶縁膜112と、絶縁膜112の基板102と対向する面と反対側の一面に設けられた複数のインダクタ114を有している。また、図示していないが、ボンディングパッド116も絶縁膜112の一面に設けられる。つまり、本実施の形態において、強磁性体膜130は、ボンディングパッド116上にも設けられている。テスタ装置200のテストチップ201は、基体202と、半導体装置100の複数のインダクタ114に対応する位置にそれぞれ設けられた複数の外部インダクタ204とを含む。
ここで、絶縁膜112は内部回路、変換回路、電源回路など回路を構成するトランジスタ168を含む絶縁層165と、主に配線を含む絶縁層166とを含む。絶縁層165および絶縁層166はともにたとえば複数の絶縁層の積層膜等、複数の絶縁膜で形成されていてもよく、それぞれ回路構成上必要な配線を絶縁層中に有している。インダクタ114は絶縁層166の最表層に、ボンディングパッド116は絶縁層166の最表層または絶縁層166上に形成される。
【0029】
まず、テスタ装置200の外部インダクタ204がそれぞれ半導体装置100のインダクタ114に対向するように、テスタ装置200を半導体装置100に近づける。このとき、半導体装置100のインダクタ114とテスタ装置200の外部インダクタ204との間に強磁性体膜130が配置され、強磁性体膜130を介して各インダクタ114と各外部インダクタ204とが対向配置される。また、ここで、各インダクタ114と各外部インダクタ204とは、それぞれ強磁性体膜130に接して対向配置させることができる。ここで、強磁性体膜130は、緩衝材としても機能させることができる。また、強磁性体膜130は、全面にわたって、略均等な膜厚を有する構成とすることができる。これにより、各インダクタ114と各外部インダクタ204との間隔を安定的に一定にすることができる。
【0030】
この状態で、テスタ装置200の外部インダクタ204からそれぞれ所定の周波数を有する電波を半導体装置100に出力する。ここで、外部インダクタ204からはテスト信号等が出力される。
【0031】
半導体装置100のインダクタ114は、外部インダクタ204から出力された信号を交流の電気信号に変換する。変換回路は、インダクタ114が変換した交流の電気信号を復調し、チップ内部回路118に供給する。また、半導体装置100からテスタ装置200へ信号を出力する際は、チップ内部回路118から供給される電気信号を変換回路が変調し、インダクタ114に供給する。インダクタ114は、変調された信号を電波としてテスタ装置200の対応する外部インダクタ204に出力する。これにより、半導体装置100とテスタ装置200との間で信号の送受信が行われる。
【0032】
半導体装置100とテスタ装置200との間で信号の送受信が終了した後、強磁性体膜130を除去する。強磁性体膜130の除去は、以下の手順で行うことができる。まず、テープ剥離装置(不図示)において、半導体装置100の基板102を真空チャックで固定した状態で、強磁性体膜130上に、強磁性体膜130を剥離させるための剥離テープ140を接着させる(図2(c))。つづいて、剥離テープ140を強磁性体膜130とともに半導体装置100から剥離する(図2(d))。この後、純水または有機溶剤等で半導体装置100を洗浄して乾燥させる。以上により、ウェハテストが終了する。
【0033】
この後、たとえば、スクライブライン領域106に沿って半導体装置100を切断して、半導体チップ形成領域104をチップ化する。次いで、各半導体チップ形成領域104の各ボンディングパッド116と外部の端子とをボンディングワイヤにより接続する等して半導体チップを形成することができる。
【0034】
本実施の形態において、テスタ装置200の外部インダクタ204と半導体装置100のインダクタ114との間で電磁誘導で信号の送受信を行う際に、外部装置との通信を遮断しない領域にボンディングパッド116を有するため、両者の間のインダクタ結合係数を向上させることができる。また、外部インダクタ204と半導体装置100のインダクタ114との間に強磁性体膜130を介在させることにより、さらにインダクタ結合係数を向上することができる。これにより、インダクタを小さくしても、電磁誘導で信号の送受信を良好に行うことができる。そのため、インダクタを配置するための必要面積を小さく保ちつつ、電磁誘導で信号の送受信を良好に行うことができる。
【0035】
また、強磁性体膜130を緩衝材として機能させることもできる。そのため、テスタ装置200の外部インダクタ204と半導体装置100のインダクタ114とが強磁性体膜130と接するようにすることができる。これにより、各インダクタ114と各外部インダクタ204との間隔を安定的に一定にすることができる。
【0036】
(第2の実施の形態)
本実施の形態においては、信号の送受信終了後も、強磁性体膜130が半導体装置100上に部分的に残った構成とすることができる。
【0037】
図7は、本実施の形態における半導体装置100の半導体チップ形成領域104(図4参照)の一例を示す平面図である。この例では、強磁性体膜130は、半導体装置100上のボンディングパッド116が形成された領域にのみ選択的に形成されていない。たとえば、強磁性体膜130は、ボンディングパッド116を露出させる開口部132を有する構成とすることができる。これにより、強磁性体膜130を残したまま、ボンディングパッド116と外部の端子とをボンディングワイヤにより接続することができる。
【0038】
このような構成の強磁性体膜130は、たとえば、半導体装置100上の全面に強磁性体膜130を形成した後に、強磁性体膜130を選択的に除去して、開口部132を形成して得ることができる。強磁性体膜130の選択的な除去は、たとえば、フォトレジストをマスクとしたウェットエッチングにより行うことができる。ここで、たとえば、強磁性体膜130は、半導体装置の多層配線構造を形成した後に、その上面に形成するパッシベーション膜に強磁性体を混合して形成することができる。この場合も、強磁性体膜130の選択的な除去は、たとえば、フォトレジストをマスクとしたウェットエッチングにより行うことができる。強磁性体膜130の選択的な除去は、テスタ装置200の外部インダクタ204と半導体装置100のインダクタ114との間の信号の送受信の前または後のいずれで行ってもよい。
【0039】
図8は、本実施の形態における半導体装置100の半導体チップ形成領域104(図4参照)の他の例を示す平面図である。この例では、強磁性体膜130は、半導体装置100上のインダクタ114が形成された領域にのみ選択的に形成されている。なお、ここでは、説明のためにインダクタ114も図示しているが、実際は、インダクタ114は強磁性体膜130で覆われている。このような構成においても、ボンディングパッド116が露出しているので、強磁性体膜130を残したまま、ボンディングパッド116と外部の端子とをボンディングワイヤにより接続することができる。
【0040】
このような構成の強磁性体膜130は、たとえば、半導体装置100上の全面に強磁性体膜130を形成した後に、強磁性体膜130を選択的に除去して得ることができる。この場合も強磁性体膜130の選択的な除去は、たとえば、フォトレジストをマスクとしたウェットエッチングにより行うことができる。ここで、たとえば、強磁性体膜130は、半導体装置の多層配線構造を形成した後に、その上面に形成するパッシベーション膜に強磁性体を混合して形成することができる。この場合も、強磁性体膜130の選択的な除去は、たとえば、フォトレジストをマスクとしたウェットエッチングにより行うことができる。強磁性体膜130の選択的な除去は、テスタ装置200の外部インダクタ204と半導体装置100のインダクタ114との間の信号の送受信の前または後のいずれで行ってもよい。
【0041】
本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0042】
(第3の実施の形態)
本実施の形態においては、テスタ装置200側に強磁性体膜130が設けられた構成とすることができる。
図9は、本実施の形態におけるテスタ装置200の構成を示す断面図である。ここでは、テスタ装置200は、外部インダクタ204の表面に形成された強磁性体膜130を含む。このような構成としても、第1の実施の形態および第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、強磁性体膜130は、テスタ装置200側と半導体装置100側の両方にそれぞれ設けられた構成とすることもできる。
【0043】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0044】
以上の実施の形態において、図1(c)を参照して説明した基板102の裏面を研磨する手順は、省略することもできる。この場合の図2(b)に対応する半導体装置100の断面図を図10に示す。この場合も、図2に示したのと同様にして、半導体装置100とテスタ装置200との間の信号の送受信を行うことができる。
【0045】
さらに、以上の実施の形態においては、テスタ装置200が、半導体装置100の半導体チップ形成領域104に対応する複数のテストチップ201を有する例を示したが、テスタ装置200は、半導体装置100の一部の半導体チップ形成領域104にのみ対応する数のテストチップ201を含む構成とすることもできる。この場合、テスタ装置200をずらして、半導体装置100の各半導体チップ形成領域104のテストを順に行うようにすることができる。
【0046】
また、以上の実施の形態においては、ウェハレベルで半導体装置のチップ内部回路のテストを行う例を示した。しかし、チップ化後に、各半導体チップのチップ内部回路のテストを行う例に適用することもできる。
【0047】
さらに、強磁性体膜130は、半導体装置100およびテスタ装置200のいずれにも形成せず、独立したシートとすることもできる。この場合、半導体装置100とテスタ装置200との間で電磁誘導で信号の送受信を行う際に、強磁性体膜130を半導体装置100のインダクタ114とテスタ装置200の外部インダクタ204との間に配置するようにすることができる。
【符号の説明】
【0048】
100 半導体装置
102 基板
104 半導体チップ形成領域
106 スクライブライン領域
108 マーク
110 インダクタ形成領域
112 絶縁膜
114 インダクタ
116 ボンディングパッド
118 チップ内部回路
130 強磁性体膜
132 開口部
140 剥離テープ
150 カッター
152 載置台
166 絶縁層
165 絶縁層
168 トランジスタ
200 テスタ装置
201 テストチップ
202 基体
204 外部インダクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10