特許第6414917号(P6414917)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6414917
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】床面エフェクタ
(51)【国際特許分類】
   G10H 1/34 20060101AFI20181022BHJP
   G10H 1/053 20060101ALI20181022BHJP
   G10H 1/00 20060101ALI20181022BHJP
【FI】
   G10H1/34
   G10H1/053 C
   G10H1/00 Z
【請求項の数】17
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-500470(P2017-500470)
(86)(22)【出願日】2015年3月16日
(65)【公表番号】特表2017-513073(P2017-513073A)
(43)【公表日】2017年5月25日
(86)【国際出願番号】IL2015050276
(87)【国際公開番号】WO2015140791
(87)【国際公開日】20150924
【審査請求日】2018年3月13日
(31)【優先権主張番号】61/954,917
(32)【優先日】2014年3月18日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516280509
【氏名又は名称】オー.エム.ビー.ギター リミテッド
【氏名又は名称原語表記】O.M.B.GUITARS LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100108143
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋崎 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】ミズライ,シモン
【審査官】 菊池 智紀
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭52−120697(JP,U)
【文献】 実開昭55−002342(JP,U)
【文献】 特表2013−542473(JP,A)
【文献】 特表2014−501414(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0144981(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0103116(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10H 1/00−7/12
G06F 3/02,3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響効果装置を起動するための床面エフェクタであって、前記床面エフェクタは、
正の電荷を収集するように構成される複数の電極を有する第1の板と、
負の電荷を収集するように構成される複数の対向する電極を有する第2の対向する板であって、前記第2の板は、前記第2の板の前記複数の各電極が、前記第1の板の前記複数の対向する電極の1つと同軸に配置されるように、前記第1の板に対して配置される第2の板と、
前記第1の板と前記第2の板との間に配置されるスペーサであって、誘電ギャップを前記電極と前記対向する電極との間に提供するように構成され、それによって、前記第1の板上の前記電極と前記第2の板上の前記対向する電極が共にコンデンサを画定するスペーサと、
複数の押圧可能な部分であって、前記第1の板又は第2の板上に形成され、それによって、前記押圧可能な部分の1つを押圧すると、前記電極の1つと前記対向する電極の1つとの間の距離が減少し、それによってその間の電気容量が変化する押圧可能な部分と、
前記第1の板上に画定され、前記電極に結合されるプリント基板であって、該プリント基板は、出力信号を生成して、前記電気容量の変化に応じて前記音響効果装置を操作するように構成され、前記プリント基板は、各前記電極の電気容量の変化に応じて一意の出力信号を生成するように構成されるプリント基板と、
を備える、床面エフェクタ。
【請求項2】
前記プリント基板は前記第1の板上に画定され、前記少なくとも第1の電極は前記プリント基板上に画定される、請求項1に記載の床面エフェクタ。
【請求項3】
各前記複数の電極は、前記対向する電極と共にコンデンサを形成するのに十分な量の電荷を収集するように構成される、請求項2に記載の床面エフェクタ。
【請求項4】
前記第2の板は導電板である、請求項1に記載の床面エフェクタ。
【請求項5】
少なくとも1つの前記対向する電極は複数の導電領域を含み、各導電領域は、前記複数の電極の1つと協働し、それによって複数のコンデンサを形成するように構成される、請求項1に記載の床面エフェクタ。
【請求項6】
前記スペーサは電気絶縁素材からなり、複数の穴を備え、各穴は前記電極の1つの上に同軸に配置される、請求項1に記載の床面エフェクタ。
【請求項7】
前記押圧可能な部分は前記第2の板上に形成され、各押圧可能な部分は、前記電極の1つに向かう方向に押圧されるように構成される、請求項1に記載の床面エフェクタ。
【請求項8】
前記プリント基板は、前記押圧可能な部分を押圧することによって生じる前記コンデンサの特性の変化を検出し、それに応じて出力信号を作成するように構成される、請求項1に記載の床面エフェクタ。
【請求項9】
各前記押圧可能な部分は、前記押圧可能な部分の周囲に沿って形成される細長い切れ込みを含み、前記押圧可能な部分を前記第2の板のその他の部分に対して内向きに押圧できるように構成される、請求項7に記載の床面エフェクタ。
【請求項10】
前記細長い切れ込みは4つの部分を含み、各部分は、前記細長い切れ込みの1つの部分が隣接する部分と重なるようにその他の前記部分に対して画定される、請求項9に記載の床面エフェクタ。
【請求項11】
前記押圧可能な部分は、各前記部分と前記隣接する部分との間に画定される帯を含む、請求項10に記載の床面エフェクタ。
【請求項12】
前記帯は、前記押圧可能な部分が様々な角度に押圧されてもよいように構成され、それによって、前記押圧可能な部分は2つ以上の電極と協働してもよい、請求項11に記載の床面エフェクタ。
【請求項13】
前記少なくとも1つの押圧可能な部分を操作するように構成される接合板をさらに備える、請求項1に記載の床面エフェクタ。
【請求項14】
前記接合板は、前記押圧可能な部分と同軸に配置される少なくとも1つの押しボタン要素を含む、請求項13に記載の床面エフェクタ。
【請求項15】
前記押しボタン要素は触覚フィードバックを提供するように構成される、請求項13に記載の床面エフェクタ。
【請求項16】
各前記電極は、オン/オフ表示を提供するように構成される光源を含む、請求項1に記載の床面エフェクタ。
【請求項17】
さらに、弦楽器からの信号を受信するように構成される入力ポートを備え、前記信号は前記弦楽器で演奏される音符を特定するデータを含み、前記出力信号は前記音符に関するデータを含む、請求項1に記載の床面エフェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面エフェクタ全般に関し、特に電子楽器デジタルインターフェース(以下MIDIという)装置を操作するための床面エフェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
床面エフェクタは既知であり、例えばワンマンバンドの音響効果を生成するために広く用いられている形状である。
【0003】
特許文献1は、輪状の可撓性シートの任意の足踏みスイッチが押圧されると、音階が生成されることを開示する。可撓性シート内では、絶縁素材の穴の開いた緩衝部材が薄い電極の複数の対の間に挿入され、足踏みスイッチを形成する。発振器、増幅器及びスピーカを含む外部回路は可撓性シートにケーブルで接続され、任意の電極の対への接触に反応して楽音を生成する。
【0004】
特許文献2は音楽装置を開示する。音楽装置、例えば音楽教育器材は、それぞれが少なくとも1つの音に関連する複数の音生成領域を含む床マットなどのユーザインターフェース装置を含む。各音生成領域は、ユーザが領域に接触するときに感知するセンサ構成を含み、好ましくは2つの導体部品を含む。2つの導体部品は絶縁体によって離間される。絶縁体は穴を有し、圧力をかけると、導体部品が電気接続可能となる。処理構成は双方向にユーザインターフェース装置と関連し、スピーカ構成と関連して、スピーカ構成が、ユーザが接触した音生成領域に関連する音を発することが可能である。処理構成は、テレビ画面又はコンピュータモニタなどの表示構成を通じてユーザに指示を提供するように構成されてもよい。
【0005】
特許文献3は足踏みスイッチを開示する。足踏みスイッチは、上方向に向いた表面を有する底面部材と、表面に配置され、電気的に感知回路と結合する力感知抵抗器と、力感知抵抗器及び底面部材表面に配置される‘Udi Gabrieli’H起動層とを含む。起動層は隆起部分を有し、力感知抵抗器の実質的に中央に配置される。隆起部分は、球面の一部である凸状の上面を有する。感知回路は地面と所定の電圧との間に直列で力感知抵抗器と接続する定電流源を含む。
【0006】
特許文献4は、ユーザの足が行使する力によって、コンビュータで生成された仮想3次元空間の視点及び、その他の目的物を操作するための制御信号を生成する装置を開示する。該装置は、ユーザの足元で用いられる靴、又はパッドを含み、両足内及び両足間の力の均衡を検出するためのセンサ及び回路を含有する。力の均衡の信号はコンピュータシステムに入力され、プログラム制御データを生成するために用いられる。制御データを推進力及びトルクベクトルとして用いて、仮想空間内の視点の位置及び景色の方向性を操作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】英国特許第2033129号
【特許文献2】英国特許第2460496号
【特許文献3】米国特許第5461355号
【特許文献4】米国特許第5864333号
【発明の概要】
【0008】
本開示の主題の一態様による音響効果装置を起動するための床面エフェクタが提供される。床面エフェクタは、正の電荷を収集するように構成される少なくとも1つの部分を有する第1の板と、負の電荷を収集するように構成される少なくとも1つの対向する部分を有する第2の板であって、第2の板は、第2の板の少なくとも1つの対向する部分が、第1の板の少なくとも1つの部分と同軸に配置されるように、第1の板に対して配置される第2の板と、第1の板と第2の板との間に配置されるスペーサであって、誘電ギャップを少なくとも1つの部分と少なくとも1つの対向する部分との間に提供するように構成されるスペーサと、少なくとも1つの押圧可能な部分であって、第1の板又は第2の板上に形成され、それによって、押圧可能な部分を押圧すると、少なくとも1つの部分と少なくとも1つの対向する部分との間の距離が減少し、それによってその間の電気容量が変化する押圧可能な部分と、少なくとも1つの部分に結合されるプリント基板であって、出力信号を生成して、電気容量の変化に応じて音響効果装置を操作するように構成されるプリント基板とを含む。
【0009】
プリント基板は第1の板上に画定されてもよく、少なくとも第1の部分はプリント基板上に画定される電極である。
【0010】
少なくとも1つの部分は複数の電極を含んでいてもよい。複数の電極のそれぞれは、その間にコンデンサが形成されるように対向する部分に対して配置され、少なくとも1つの押圧可能な部分は、複数の押圧可能な部分を含み、複数の押圧可能な部分のそれぞれは、複数の電極の1つと対向する部分との間の電気容量を変更するように構成され、プリント基板は、各電極の電気容量の変化に応じて一意の出力信号を生成するように構成される。
【0011】
複数の電極のそれぞれは、対向する部分と共にコンデンサを形成するのに十分な量の電荷を収集するように構成されてもよい。
【0012】
第2の板は伝導板であってもよい。
【0013】
少なくとも1つの対向する部分は複数の伝導領域を含み、各伝導領域は、複数の電極の1つと協働し、それによって複数のコンデンサを形成するように構成されてもよい。
【0014】
スペーサは電気絶縁素材からなっていてもよく、複数の穴を備え、各穴は電極の1つの上に同軸に配置される。
【0015】
押圧可能な部分は第2の板上に形成されてもよく、各押圧可能な部分は、電極の1つに向かう方向に押圧されるように構成される。
【0016】
プリント基板は、押圧可能な部分を押圧することによって生じるコンデンサの特性の変化を検出し、それに応じて出力信号を作成するように構成されてもよい。各押圧可能な部分は、押圧可能な部分の周囲に沿って形成される細長い切れ込みを含み、押圧可能な部分を第2の板のその他の部分に対して内向きに押圧できるように構成されてもよい。細長い切れ込みは4つの部分を含んでいてもよく、各部分は、細長い切れ込みの1つの部分が隣接する部分と重なるようにその他の部分に対して画定される。
【0017】
押圧可能な部分は、各部分と隣接する部分との間に画定される帯を含んでいてもよい。
【0018】
前記帯は、押圧可能な部分が様々な角度に押圧されてもよいように構成されてもよく、それによって、押圧可能な部分は2つ以上の電極と協働してもよい
【0019】
床面エフェクタはさらに、少なくとも1つの押圧可能な部分を操作するように構成される接合板を含んでいてもよい。
【0020】
前記接合板は押圧可能な部分と同軸に配置される少なくとも1つの押しボタン要素を含んでいてもよい。
【0021】
前記押しボタン要素は触覚フィードバックを提供するように構成されてもよい。
【0022】
各電極はオン/オフ表示を提供するように構成される光源を含んでいてもよい。
【0023】
床面エフェクタはさらに、弦楽器からの信号を受信するように構成される入力ポートを含んでいてもよく、信号は弦楽器で演奏される音符を特定するデータを含み、出力信号は音符に関するデータを含む。
【0024】
本発明の別の態様による音響効果装置を起動するための床面エフェクタが提供される。床面エフェクタは、電荷を収集するように構成される少なくとも1つの電極を有する底板と、電極で収集される電荷の極性と反対の極性を有する電荷を収集するように構成される少なくとも1つの押圧可能な部分を有する伝導板であって、押圧可能な部分は、押圧可能な部分を押圧することによって、少なくとも1つの押圧可能な部分と少なくとも1つの電極との間の距離が低減し、それによってその間の電気容量が変化するように構成される伝導板と、底板と伝導板との間に配置されるスペーサであって、少なくとも1つの電極と少なくとも1つの押圧可能な部分との間に誘電体ギャップを提供するように構成されるスペーサと、少なくとも1つの電極及び伝導板に結合されるプリント基板であって、出力信号を生成して、電気容量の変化に応じて音響効果装置を操作するように構成されるプリント基板とを含む。
【0025】
本発明のさらに別の態様による音響効果装置を起動するための床面エフェクタが提供される。床面エフェクタは、第1の板と、第1の板から離間する少なくとも1つの押圧可能な部分を画定する第2の板と、押圧可能な部分と第1の板との間の距離の変化を感知するように構成される少なくとも1つのセンサと、弦楽器からの信号を受信するように構成される入力ポートであって、信号は弦楽器で演奏される音符を特定するデータを含む入力ポートと、入力ポート及びセンサに結合されるプリント基板であって、データを含む出力信号を生成して、距離の変化に応じて音響効果を起動する出力信号を生成するように構成されるプリント基板とを含む。
【0026】
出力信号はMIDI装置を起動するように構成されてもよい。
【0027】
前記センサは、正の電荷を収集するように構成される第1の板上の少なくとも1つの部分と、負の電荷を収集するように構成される第2の板上の少なくとも1つの対向する部分と、第1の板と第2の板との間に配置されるスペーサであって、少なくとも1つの部分と少なくとも1つの対向する部分との間に誘電体ギャップを提供するように構成されるスペーサとを含んでいてもよい。押圧可能な部分は、押圧可能な部分を押圧すると、少なくとも1つの部分と少なくとも1つの対向する部分との間の距離が減少し、それによってその間の電気容量が変化するように構成される。
【0028】
前記センサは圧電センサであってもよい。
【0029】
押圧可能な部分は、押圧可能な部分の周囲に沿って形成される細長い切れ込みを含んでいてもよく、押圧可能な部分を第2の板のその他の部分に対して内向きに押圧できるように構成される。
【0030】
細長い切れ込みは複数の部分を含んでいてもよく、各部分は、細長い切れ込みの1つの部分が隣接する部分と重なるようにその他の部分に対して画定される。押圧可能な部分は、各部分と隣接する部分との間に画定される帯を含んでいてもよい。該帯は、押圧可能な部分が様々な角度に押圧されてもよいように構成されていてもよく、それによって、押圧可能な部分は2つ以上のセンサと協働してもよい。
【0031】
本発明のさらに別の態様による、プリント基板を有する床面エフェクタを用いて音響効果を生成するための方法が提供される。本方法は、少なくとも1つの音響効果を生成するための出力信号を作成するように構成され、プリント基板に結合される少なくとも1つのボタンは出力信号を起動するように構成される。本方法は、床面エフェクタのプリント基板に弦楽器からの入力信号を提供することであって、入力信号は弦楽器で演奏される音符を特定するデータを含むことと、所望する音響効果に関連するボタンを押圧することと、押圧に応じて、音響効果を起動する出力信号を生成することであって、出力信号は音符に関するデータを含むこととを含む。
【0032】
本出願で用いる音響効果とは、リズム、ビート、速さの調整、様々な楽音の追加、ひずみ効果、音楽信号の周波数を変化させるためのフィルタ効果、変調効果、音程及び周波数効果、時間ベースの効果、音声フィードバックをいう。
【0033】
本開示を理解し、実際に実行する方法を認識するために、非限定的な実施例としてのみ、添付図を参照して以下に実施形態を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1A】本発明の実施形態により構成され、動作する床面エフェクタの斜視図である。
図1B図1Aの床面エフェクタの背面の斜視図である。
図1C図1Aの床面エフェクタの分解組立図を例示する。
図2図1Aの床面エフェクタの底板の上面図である。
図3図1Aの床面エフェクタのスペーサの上面図である。
図4図1Aの床面エフェクタの伝導板の上面図である。
図5図1Aの床面エフェクタの接合板の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
ここで図1Aから1Cを参照すると、床面エフェクタ10は筐体12を含む。筐体12は、それぞれが音響効果を起動するように構成される複数の押しボタン要素28を画定する。筐体12は床面上に配置され、ユーザの足で操作されるように構成される。例えば、筐体12を第1の側面が対向する側面より高くなるように構成することができ、それによって第1の側面と対向する側面との間に延在する筐体の接合面は、筐体が配置される床面に対して傾斜して配置される。それによって、ユーザの足が要素28を押圧する操作を促進する。
【0036】
筐体12はさらに電源に接続するための電気受け口40と、ギターなどの弦楽器から信号を受信するように構成される入力ポート42とを含む。実施例によれば、入力ポート42は検出システムに電気的に接続することができる。検出システムは、弦楽器で演奏される音符を検出する。弦楽器は、PCT/IL2015/050244が開示するように複数の離間した導体を備える指板を有する。したがって、床面エフェクタ10は、弦楽器で演奏される音符を特定するデータを有する信号を受信する。
【0037】
筐体12はさらに、MIDI装置(不図示)などの音響効果装置に結合されるように構成される出力ポート44を含む。出力ポート44を通じて伝達される出力信号は、複数の音響効果を起動し、複数の楽器又はMIDI装置の任意の他の機能を操作してもよい。
【0038】
床面エフェクタ10はさらに、底板15と、伝導板19と、その間に配置され、筐体12に覆われるスペーサ17とを含む。底板15及び伝導板19は一緒に、以下詳細を説明するスイッチとして使用可能な少なくとも1つのコンデンサを形成するように構成される。床面エフェクタ10はさらに、各コンデンサスイッチを操作するように構成される接合板21と、接合板を機械的に保護する剛性板25とを含んでいてもよい。
【0039】
図2を参照すると、底板15はその上に画定されるプリント基板(以下PCBという)20を含む。プリント基板は、例えば電気受け口40を通じて電源に電気的に結合される。このように、底板15はプラスチック素材、又はその上にPCBを形成するのに適切な任意の基板からなっていてもよい。
【0040】
PCB20は、本明細書で電極22として例示し、その上に電荷を収集するように構成される複数の部分と、PCB20の様々な要素を結合する複数の伝導体13とを含む。電極22はその上に電荷を収集するように構成される。例えば、電極は導体素材からなり、伝導体13によって帯電されるように構成されるPCB上の区域であってもよい。伝導体13は電気受け口40又は電池などの任意の他の電源に結合されてもよい。
【0041】
電極22は、それによって、以下に説明するように伝導板19と共にコンデンサを形成するような十分な量の電荷を収集するような大きさであってもよい。
【0042】
PCB20は、電気容量の変化を検出するように構成される電気部品を含む。その目的は以下に説明する。PCB20はさらに、電極22を操作し、電極22からの出力信号を操作するための従来技術で既知のその他の電気部品23を含んでいてもよい。さらに、PCB20は微小制御装置(不図示)を含んでいてもよい。微小制御装置は、電極22から床面エフェクタ10に結合されるその他の装置への電気信号の伝達を制御する。実施例によれば微小制御装置は入力ポート42から弦楽器で演奏されている音符を特定するデータを有する信号を受信するように構成される。微小制御装置はさらに、弦楽器で演奏される音符を含む出力信号を生成するように構成されてもよく、さらに音符に対応する音響効果を起動してもよい。音響効果は人工的に作成された音、又は強化音であってもよく、又は弦楽器で演奏される音楽を強調するために用いられる音処理であってもよい。このように、床面エフェクタ10に結合される弦楽器で演奏される音符に関するデータを含む信号を用いても、用いなくても、微小制御装置は音響効果を駆動するための信号を生成するように構成されてもよい。
【0043】
図4に示すように、伝導板19は電荷を収集するように構成される少なくとも1つの対向する部分を有する。対向する部分は、底板15の電極22で収集される電荷の極性に対して反対の極性を有する。
【0044】
伝導板19は金属板などの導体素材からなっていてもよく、それによって、板全体は、電極22で収集される電荷とは反対の極性を有する電荷を収集するように構成される。伝導板19は底板15上に画定されるPCB20に結合され、底板15上に画定される電極22と協働し、それによって、伝導板19と電極22にわたる電位を形成するように構成される。
【0045】
実施例によれば、伝導板19をPCB20に結合することは、ねじ50などの固定要素によって実施され、底板15、スペーサ17及び伝導板19を一緒に筐体12に固定する。代替的に、伝導板19をPCB20に結合することは、その間に適切な伝導体を提供することによって実施されてもよい。
【0046】
図2に示すように、複数のコンデンサが形成される。各電極22はコンデンサの第1の端子を板15に画定し、伝導板19は第2の端子を画定する。実施例によれば、電極22は、その上に正の電荷を収集するように構成されるが、伝導板19は接地としてPCBに結合され、その上に負の電荷を収集するように構成される。
【0047】
他の実施例によると、電極22はその上に負の電荷を収集するように構成されてもよいが、伝導板19はその上に正の電荷を収集するように構成されることが理解されよう。
【0048】
伝導板19は非導体素材からなっていてもよいが、しかしながらその上に複数の導体領域が画定されていることがさらに理解されよう。各導体領域は底板15のPCB20に結合されてもよく、電極22で収集される電荷に対して反対の極性を持つ電荷をその上に収集するように構成される。このようにして、各導体領域は電極22の1つと協働し、2つの対向する端子を有するコンデンサを一緒に形成する。伝導板19は底板15に対してこのように配置され、それによって、導体領域は電極22に対して同軸に配置され、それによってコンデンサを形成することが理解されよう。コンデンサ内では、各電極22は第1の端子を画定し、各導体領域は第2の端子を画定する。
【0049】
再度図3を参照すると、厚さを有するスペーサ17は底板15と伝導板19との間に配置される。スペーサ17は、各電極22と伝導板19との間、又はその上の導体領域との間に非導電性領域を形成するように構成される。例示実施例によれば、スペーサ17は電気絶縁素材からなり、複数の穴24を備える。それによって、スペーサ17が底板15上に配置されるとき、各穴24は同軸に電極22の1つの上に取り付けられる。このようにして、伝導板19を用いて組み立てると、穴24内の空間は、形成されたコンデンサの2つの端子間で、つまり電荷を収集する伝導板19と電荷を収集する電極22との間で誘電体として機能する。伝導板で収集される電荷は、電極で収集される電荷とは反対の極性を有することが理解されよう。
【0050】
スペーサ17の厚さは、伝導板19と各電極22との間の穴にわたって形成される、必要な電気容量のパラメータにしたがって構成されてもよいことが理解されよう。つまり、スペーサ17の厚さは、コンデンサの第1と第2の端子の間に必要な距離にしたがって、つまり、電極22と伝導板19との間の必要な距離にしたがって構成される。
【0051】
底板15と伝導板19との間に一定した距離を維持するために、底板15と伝導板19は剛性素材からなり、筐体12内部にしっかりと取り付けられることが理解されよう。しかしながら、スペーサ17は任意の素材からなっていてもよく、可撓性であっても、剛性であってもよい。
【0052】
図4を参照すると、伝導板19は、電極22の方向に押圧されるように構成される複数の押圧可能な部分26を含む。押圧可能な部分26は、伝導板19が底板15とスペーサ17を挟んで組み立てられると、各押圧可能な部分26が穴24の1つと電極22の1つとの上に同軸に配置されるように、画定される。このようにして、各押圧可能な部分26は、1つの電極22に関連し、それぞれの電極22に向かって押圧されてもよい。それによってコンデンサの2つの対向する端子間の距離、つまり伝導板19及び電極22のそれぞれの部分間の距離が修正される。結果として、穴24にわたる電気容量が変化し、それによってそれぞれの電極22と伝導板19との間に形成されるコンデンサの特性が修正される。実施例によれば、押圧可能な部分26は伝導板19と一体化した部分として形成されることが理解されよう。つまり、押圧可能な部分26は導体素材からなり、それによって底板15の電極22と協働するように構成される端子を形成する。
【0053】
伝導板19は非導電性素材からなるが、導体領域を備える場合は、導体領域は押圧可能な部分26上に画定され、それによって、押圧可能な部分26を押すことによって、導体領域とそれに関連する電極22との間の距離が修正されることが当業者には理解されよう。
【0054】
実施例によれば、少なくとも底板15の電極22は剛性素材からなり、押圧可能な部分26などの伝導板19の伝導領域は可撓性素材からなり、それによって電極22に向かって押圧することが可能となる。本実施例によると、可撓性素材は形状保持素材であり、それによって、押圧可能な部分26は電極22に向かって押圧されてもよく、押圧されていないときは電極から後退するように構成される。PCB20は、電極22と伝導板19との間に形成されるコンデンサの特性の変化を検出して、それに応じて出力信号を生成するように構成されてもよい。変化は、例えば電極22と伝導板19間の電位の変化、又は電極22の電気容量の変化である。
【0055】
出力信号は、床面エフェクタ10に結合される楽器などの装置を起動するように構成されてもよい。したがって、各電極22は、その他の電極から独立して出力信号を起動するように構成されてもよい。各電極の出力信号は前もって音響効果、楽器などを起動するように設定されてもよく、又は床面エフェクタ10に結合される弦楽器で演奏される音符に関する信号に対する操作指令を設定するように設定されてもよい。
【0056】
例示実施例によれば、押圧可能な部分26は、その周囲に沿って形成される1又は複数の細長い切れ込み30を備えていてもよい。切れ込み30は各押圧可能な部分26に可撓性を与えるように構成され、それによって押圧可能な部分26は伝導板19のその他の部分に対して底板15に向かって内側に押圧されてもよい。このようにして、各押圧可能な部分26は、個別にそれぞれの電極22に向かって押圧される一方、伝導板19上に画定されるその他の押圧可能な部分26は所定の場所に留まる。したがって、電極22の1つによって画定される各スイッチと対応する押圧可能な部分26は、対応する押圧可能な部分26を押圧することによって、個別に起動されてもよい。
【0057】
実施例によれば、細長い切れ込み30は、各押圧可能な部分26の周辺部の回りに画定される4つの部分的に重なる部分32a、32b、32c及び32dを含む。重なる部分32a、32b、32c及び32dのそれぞれは、その他の部分に対して画定され、それによって、その1つの部分は隣接する部分と重なる。例えば、第1の重なる部分32aは、連続する部分、つまり第2の重なる部分32bと切れ込みが重なる部分を含む。第2の重なる部分32bは、連続する部分、つまり第3の重なる部分32cと重なる部分を含む。第3の重なる部分32cは、連続する部分、つまり第4の重なる部分32dと重なる部分を含む。第4の重なる部分32dはまた、第1の重なる部分32aと重なる部分を含む。したがって、各押圧可能な部分26の周囲は、一対の重なる切れ込み30を含む。その間に帯34が画定される。前述したように、重なる部分は連続しておらず、むしろ4つの部分に分割されるため、帯34は押圧可能な部分26の中間部分に、その一端で結合され、他端で伝導板19に結合されている。
【0058】
このようにして、各帯34は、伝導板19に結合される押圧可能な部分26を維持する一方、切れ込み30は押圧可能な部分26にある程度の可撓性を与え、それによって伝導板19に対して内側に押圧されることが可能となる。
【0059】
帯の幅は、押圧可能な部分26の必要な強さ及び/又は可撓性にしたがって決定されてもよいことが理解されよう。さらに、重なる部分の量及び大きさならびに各部分間の距離は、押圧可能な部分26の耐久性を損なわずに、所望する可撓性を実現するように決定されてもよい。
【0060】
さらに、帯34の配置は、押圧可能な部分が様々な角度に押圧できるように構成されてもよい。このようにして、底板は押圧可能な部分の下に配置される2以上の電極を含んでいてもよい。それによって、加圧押圧可能な部分を1つの角度に押圧することによって、押圧可能な部分と電極の1つとの間の電気容量が生じる。各電極はしたがって、出力信号を起動するように構成される。
【0061】
例示実施例では、細長い切れ込み30は、4つの部分的に重なる部分32a、32b、32c及び32dを含む。4つの部分的に重なる部分32a、32b、32c及び32dは一緒に円形の押圧可能な部分26を形成するが、他の実施例によると、細長い切れ込み30は任意の数の重なる部分を任意の所望する形態で含んでいてもよい。それによって、伝導板19のその他の部分に対して可撓性を有する区切られた領域が形成される。
【0062】
押圧可能な部分26に可撓性を与えるために、その他の構成を適応してもよいことが理解されよう。例えば、押圧可能な部分26の耐久性を妥協しないように、押圧可能な部分26はユーザの足、例えばギター演奏者の足によって押圧されてもよい。床面エフェクタ10は、例えば形成されるスイッチの意図する用途にしたがって、様々な大きさ、様々な可撓性の程度及び耐久性を有する押圧可能な部分を含んでいてもよいことがさらに理解されよう。このように、床面エフェクタに機械的スイッチを提供する必要はない。
【0063】
ここで図5を参照すると、床面エフェクタ10はさらに、電極と押圧可能な部分26によって形成される各スイッチを操作するように構成される接合板21を含む。接合板21は、複数の加圧要素28を含んでいてもよい。複数の加圧要素28は、接合板21の表面から上方向に突出し、それによって、接合板21の表面の上に配置される。それによって、伝導板19が底板15と共に間にスペーサ17を挟んで組み立てられるとき、各押しボタン要素28は押圧可能な部分26の1つの上に同軸に配置される。それによって、押しボタン要素28は、押しボタン要素28を押圧すると、対応する押圧可能な部分26が伝導板19に対して内向きに、それぞれの電極22に向かって押圧されるように構成される。押しボタン要素28は非導電性素材からなっていてもよく、それによって、ユーザが押しボタン要素28を押圧しても、伝導板19及びそれぞれの電極22によって形成されるコンデンサの電気容量には影響しない。
【0064】
本発明の実施形態によれば、押しボタン要素28は、触覚フィードバックを提供するように構成されてもよい。それによって、ユーザが押しボタン要素28を押圧すると、ユーザは電極22及び押圧可能な部分26によって形成されるスイッチの位置に関して感覚的な表示を得ることができる。押しボタン要素28はさらに、押しボタン要素28を押圧することに対応して起動される操作に関する注釈を備えていてもよい。
【0065】
例示実施例によれば、接合板21は、ゴム、シリコーンなどの可撓性素材からなる。それによって、押しボタン要素28が押しやすくなる。このように、床面エフェクタ10はさらに、剛性の板25を含む。剛性の板25は、接合板21上に配置され、接合板21に機械的保護を提供するように構成される。
【0066】
剛性の板25は複数の開口29を含む。複数の開口29によって、押しボタン要素28にアクセスして、ユーザが押しボタン要素を押しやすくするように構成される。
【0067】
接合板21は、その上に複数の可撓性要素を取り付けた剛性素材からなっていてもよいことが理解されよう。複数の可撓性要素は押圧され、それによって押圧可能な部分26を関連する電極22に向かうように押すように構成される。可撓性要素は、ばねで付勢される要素、ゴム要素、シリコーン部分などであってもよい。
【0068】
実施例によれば、各電極22は光源を含む。各押圧可能な部分26は穴27を含み、穴27を通じて光源照明することができる。光源をオン/オフ表示として用いてもよく、又はそれぞれの容量スイッチによって起動される音響効果を表示するために用いてもよい。本実施例によれば、押しボタン要素28は、光源からの照明を通過させるように構成される透明又は半透明な部分28aを含んでいてもよい。
【0069】
床面エフェクタ10は出力ポート44を経てMIDI装置(不図示)に結合し、複数の音響効果を起動し、複数の楽器又は任意の他のMIDI装置の機能を操作してもよい。実施例によれば、入力ポート42は検出システムに電気的に結合し、弦楽器で演奏される音符を検出してもよい。弦楽器はPCT/IL2015/050244で開示されるような複数の離間した導体を備える指板を有する。したがって、床面エフェクタ10は、弦楽器で演奏される音符を特定するデータを有する信号を受信する。音符を特定するデータを備える信号は、床面エフェクタによって起動される音響効果と共に、又は音響効果に追加してMIDI装置に送信されてもよい。
【0070】
操作時には、押しボタン要素28の1つを押圧することに対応して、それぞれの押圧可能な部分26は対応する電極22に向かって押され、それによって電極22の電気容量が変化する。PCB20は、電気容量の変化又は電極22及び伝導板19によって形成される任意の他のコンデンサの特性の変化を検出するように構成される。PCB20はさらに、出力信号を作成し、MIDIシンセサイザなどのMIDI装置の機能を起動するように構成される。
【0071】
したがって、床面エフェクタ10によって、ユーザは弦楽器を手で演奏しながら、足で音響効果を起動することができる。床面エフェクタ10によって、さらに、例えば、入力ポート42を通じて弦楽器が備える検出システムから受信するデータにしたがって、弦楽器によって演奏される音符に関連する信号を送信することができる。ユーザはさらに、弦楽器によって演奏される音符の、音量、諧調応答などの特徴を修正することができる。床面エフェクタ10によって、したがって、MIDI装置などの音響装置に、弦楽器によって演奏される音符及び音符に付随する所望する効果に関するデータ含む出力信号を送信することができる。
【0072】
別の実施例によれば、電極を備えるPCBを床面エフェクタの上板に画定し、底板は導体素材からなっていてもよい。本実施例によると、各電極は、例えば細長い切れ込みを電極の周辺部の回りに提供することによって押圧可能な部分となっていてもよい。押圧可能な部分を押圧することによって、それぞれの電極は伝導板に近付き、それによってその間の電気容量が変化する。
【0073】
本発明の別の実施例によれば、床面エフェクタはその上に画定されるPCBを有する底面パネルを含んでいてもよい。PCBはPCBに結合する複数の圧電センサを備える。PCBはさらに、従来技術で既知のように、様々な電気部品を含み、圧電センサを操作し、電気部品からの出力信号を送信してもよい。床面エフェクタはさらに、その上に画定される複数の押圧可能な部分を有する上板を含む。この押圧可能な部分は、前述の実施例の押圧可能な部分26と実質的に同じである。上板は、その上に画定される押圧可能な部分が底板の上に画定される圧電センサに対して同軸に配置されるように、底板に対して配置される。このように、各押圧可能な部分及び対応する圧電センサは一緒にスイッチを形成する。押圧可能な部分の1つを押圧すると、対応する圧電センサによって検出され、それに対応してPCBは出力信号を生成して、押圧可能な部分に関連する楽器又はMIDI装置を起動する。
【0074】
本開示の主題に関連する当業者には、多数の変更、変形、及び修正が本発明の範囲から逸脱せずに、必要な変更を加えて実施可能なことが容易に理解されよう。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5