特許第6414947号(P6414947)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6414947
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】パワーインダクタおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/00 20060101AFI20181022BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20181022BHJP
   H01F 5/00 20060101ALI20181022BHJP
   H01F 27/32 20060101ALI20181022BHJP
   H01F 5/06 20060101ALI20181022BHJP
【FI】
   H01F17/00 B
   H01F41/04 C
   H01F5/00 M
   H01F27/32 130
   H01F5/06 H
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-6472(P2014-6472)
(22)【出願日】2014年1月17日
(65)【公開番号】特開2014-170924(P2014-170924A)
(43)【公開日】2014年9月18日
【審査請求日】2016年12月2日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0022706
(32)【優先日】2013年3月4日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チャ・ヘ・ヨン
(72)【発明者】
【氏名】クォン・ヨン・ド
(72)【発明者】
【氏名】ユ・ヨン・スク
(72)【発明者】
【氏名】イ・ファン・スー
(72)【発明者】
【氏名】チェ・ウン・チョル
【審査官】 右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−067214(JP,A)
【文献】 特開2005−210010(JP,A)
【文献】 特開昭60−161606(JP,A)
【文献】 特開昭54−039876(JP,A)
【文献】 特開昭54−039875(JP,A)
【文献】 特開平10−241983(JP,A)
【文献】 特表2013−535107(JP,A)
【文献】 特開2005−243806(JP,A)
【文献】 特開平05−251852(JP,A)
【文献】 特開2007−335470(JP,A)
【文献】 特開2001−267166(JP,A)
【文献】 特開2008−166391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/32
H01F 17/00
H01F 5/00
H01F 5/06
H01F 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア絶縁層の一面または両面に形成されたコイルパターンと、
前記コイルパターンの最内側パターンと最外側パターンのうち少なくともいずれか一つと接合する絶縁パターンと、
前記コイルパターンの表面にメッキされた金属層、および
前記金属層を含む前記コイルパターンと前記絶縁パターンの一部とを覆う絶縁体を含む、
パワーインダクタ。
【請求項2】
前記最内側パターンと接合する前記絶縁パターンは前記最内側パターンの内側表面に形成され、前記最外側パターンと接合する前記絶縁パターンは前記最外側パターンの外側表面に形成される、請求項1に記載のパワーインダクタ。
【請求項3】
前記最内側パターンの内側表面と接合する前記絶縁パターンは、前記最内側パターンの上部表面まで延長形成される、請求項2に記載のパワーインダクタ。
【請求項4】
前記最外側パターンの外側表面と接合する前記絶縁パターンは、前記最外側パターンの上部表面まで延長形成される、請求項2に記載のパワーインダクタ。
【請求項5】
前記金属層は、前記コイルパターンを引込線にしたメッキ工程によって異方性メッキされる、請求項1に記載のパワーインダクタ。
【請求項6】
コア絶縁層の一面または両面に形成されたコイルパターンと、
前記コイルパターンの最内側パターンと最外側パターンのうち少なくともいずれか一つと接合する第1絶縁パターンと、
前記コイルパターンの表面にメッキされた第1金属層と、
前記最内側パターンと最外側パターンの表面にメッキされた第1金属層のうち少なくともいずれか一つと接合する第2絶縁パターンと、
前記第1金属層の表面にメッキされた第2金属層、および
前記第1金属層および前記2金属層を含む前記コイルパターンと前記第2絶縁パターンの一部とを覆う絶縁体を含む、
パワーインダクタ。
【請求項7】
前記最内側パターンと接合する前記第1絶縁パターンは、前記最内側パターンの内側表面に形成され、前記最内側パターンの表面にメッキされた第1金属層と接合する前記第2絶縁パターンは、前記最内側パターンの表面にメッキされた第1金属層の内側表面に形成される、請求項6に記載のパワーインダクタ。
【請求項8】
前記最外側パターンと接合する前記第1絶縁パターンは、前記最外側パターンの外側表面に形成され、前記最外側パターンの表面にメッキされた第1金属層と接合する前記第2絶縁パターンは、前記最外側パターンの表面にメッキされた第1金属層の外側表面に形成される、請求項6に記載のパワーインダクタ。
【請求項9】
コア絶縁層の一面または両面にコイルパターンを形成するステップと、
前記コイルパターンの最内側パターンと最外側パターンのうち少なくともいずれか一つと接合する絶縁パターンを形成するステップと、
前記コイルパターンの表面に金属層をメッキするステップ、および
前記金属層を含む前記コイルパターンを覆う絶縁体を形成するステップを含む、
パワーインダクタ製造方法。
【請求項10】
前記最内側パターンと接合する前記絶縁パターンの形成時に前記最内側パターンの内側表面に前記絶縁パターンを形成し、前記最外側パターンと接合する前記絶縁パターンの形成時に前記最外側パターンの外側表面に前記絶縁パターンを形成する、請求項9に記載のパワーインダクタ製造方法。
【請求項11】
前記最内側パターンの内側表面と接合する前記絶縁パターンを前記最内側パターンの上面一部まで延びるように形成する、請求項10に記載のパワーインダクタ製造方法。
【請求項12】
前記最外側パターンの外側表面と接合する前記絶縁パターンを前記最外側パターンの上面一部まで延びるように形成する、請求項10に記載のパワーインダクタ製造方法。
【請求項13】
前記金属層をメッキするステップは、前記コイルパターンを引込線にしたメッキ工程で行われる、請求項9に記載のパワーインダクタ製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーインダクタおよびその製造方法に関し、より詳しくは、パワーインダクタの内部に含まれたコイルパターン構造に関する。
【背景技術】
【0002】
IT技術の発展に伴って装置の小型化および薄膜化が加速化しており、それと共に小型、薄型の素子に対する市場の要求も増加している。これにより、表面実装型素子(SMD;Surface Mounted Device)の一種であるパワーインダクタ(Power Inductor)に対しても薄膜型構造を有する製品が開発されている。
【0003】
図1は、一般的な薄膜型パワーインダクタの縦断面図であり、図2は、一般的な薄膜型パワーインダクタの横断面および縦断面を示す写真である。
【0004】
図1を参照すれば、一般的な薄膜型パワーインダクタ1は内部の金属コイルパターンからなる電極2を絶縁体3が囲んでおり、その周囲には金属−ポリマー(polymer)複合体4で充填されているため、磁束流れを円滑にしている。内部の金属コイルパターンからなる電極2は、外部電極5に連結されている構造を有する。
【0005】
図2の(a)は一般的な薄膜型パワーインダクタの縦断面を示し、(b)は横断面を示す。図2の(a)および(b)を参照すれば、一般的に内部コイル2を形成するにおいて、コイルの最内部側と最外部側はメッキ進行方向に制限を受けないため、中間のコイルパターンに比べて縦横比(Aspect Ratio)(=メッキ高さ/メッキ幅)が低い形態を有するという限界がある。
【0006】
特許文献1には、磁気ヘッド上に第1導電層を積層した後、レジストパターンを接合し、電解メッキを施して、開口部に導体パターンを形成し、レジストを剥離して、導体パターンが一定の縦横比を有するようにする導体パターン形成方法が開示されている。しかし、これは1次電解メッキに関するものであり、パワーインダクタ用に2次電解メッキを施す時に発生するコイルの最内部側と最外部側のメッキ進行方向に制限をおくことができないことは依然として問題点として残っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−257747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、パワーインダクタのコイルパターン形成時に、従来のコイルパターンとは異なり、最内部側と最外部側のコイルパターンも中間に位置したコイルパターンと類似する形態を有するようにして、コイルパターンの内側と外側に充填される金属−ポリマーの面積を増加させることにより、最終的にパワーインダクタの性能(インダクタンス)値が向上し、且つ、低い直流抵抗を実現することができる高インダクタンスを有するパワーインダクタおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面によれば、コア絶縁層の一面または両面に形成されたコイルパターンと、前記コイルパターンの最内側パターンと最外側パターンのうち少なくともいずれか一つと接合する絶縁パターンと、前記コイルパターンの表面にメッキされた金属層、および前記金属層を含む前記コイルパターンを覆う絶縁体を含む、パワーインダクタを提供する。
【0010】
また、前記最内側パターンと接合する前記絶縁パターンは前記最内側パターンの内側表面に形成され、前記最外側パターンと接合する前記絶縁パターンは前記最外側パターンの外側表面に形成される、パワーインダクタを提供する。
【0011】
また、前記最内側パターンの内側表面と接合する前記絶縁パターンは、前記最内側パターンの上部表面まで延長形成される、パワーインダクタを提供する。
【0012】
また、前記最外側パターンの外側表面と接合する前記絶縁パターンは、前記最外側パターンの上部表面まで延長形成される、パワーインダクタを提供する。
【0013】
また、前記金属層は、前記コイルパターンを引込線にしたメッキ工程によって異方性メッキされる、パワーインダクタを提供する。
【0014】
本発明の他の側面によれば、コア絶縁層の一面または両面に形成されたコイルパターンと、前記コイルパターンの最内側パターンと最外側パターンのうち少なくともいずれか一つと接合する第1絶縁パターンと、前記コイルパターンの表面にメッキされた第1金属層と、前記最内側パターンと最外側パターンの表面にメッキされた第1金属層のうち少なくともいずれか一つと接合する第2絶縁パターンと、前記第1金属層の表面にメッキされた第2金属層、および前記第1、2金属層を含む前記コイルパターンを覆う絶縁体を含む、パワーインダクタを提供する。
【0015】
また、前記最内側パターンと接合する前記第1絶縁パターンは、前記最内側パターンの内側表面に形成され、前記最内側パターンの表面にメッキされた第1金属層と接合する前記第2絶縁パターンは、前記最内側パターンの表面にメッキされた第1金属層の内側表面に形成される、パワーインダクタを提供する。
【0016】
また、前記最外側パターンと接合する前記第1絶縁パターンは、前記最外側パターンの外側表面に形成され、前記最外側パターンの表面にメッキされた第1金属層と接合する前記第2絶縁パターンは、前記最外側パターンの表面にメッキされた第1金属層の外側表面に形成される、パワーインダクタを提供する。
【0017】
本発明のまた他の側面によれば、コア絶縁層の一面または両面にコイルパターンを形成するステップと、前記コイルパターンの最内側パターンと最外側パターンのうち少なくともいずれか一つと接合する絶縁パターンを形成するステップと、前記コイルパターンの表面に金属層をメッキするステップ、および前記金属層を含む前記コイルパターンを覆う絶縁体を形成するステップを含む、パワーインダクタ製造方法を提供する。
【0018】
また、前記最内側パターンと接合する前記絶縁パターンの形成時に前記最内側パターンの内側表面に前記絶縁パターンを形成し、前記最外側パターンと接合する前記絶縁パターンの形成時に前記最外側パターンの外側表面に前記絶縁パターンを形成する、パワーインダクタ製造方法を提供する。
【0019】
また、前記最内側パターンの内側表面と接合する前記絶縁パターンを前記最内側パターンの上面一部まで延びるように形成する、パワーインダクタ製造方法を提供する。
【0020】
また、前記最外側パターンの外側表面と接合する前記絶縁パターンを前記最外側パターンの上面一部まで延びるように形成する、パワーインダクタ製造方法を提供する。
【0021】
また、前記金属層をメッキするステップは、前記コイルパターンを引込線にしたメッキ工程で行われる、パワーインダクタ製造方法を提供する。
【0022】
前述した以外の他の側面、特徴、利点は、以下の図面、特許請求の範囲、および発明の詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明の効果】
【0023】
パワーインダクタのコイルパターン形成時に、従来のコイルパターンとは異なり、最内部側と最外部側のコイルパターンも中間に位置したコイルパターンと類似する形態を有するようにして、コイルパターンの内側と外側に充填される金属−ポリマーの面積を増加させることにより、最終的にパワーインダクタの性能(インダクタンス)値が向上し、且つ、低い直流抵抗を実現することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】一般的な薄膜型パワーインダクタの縦断面図である。
図2】一般的な薄膜型パワーインダクタの横断面および縦断面を示す写真である。
図3】本発明のパワーインダクタに含まれたコイルパターン構造を示すためのチップ断面図である。
図4】本発明の他の実施形態に含まれたコイルパターン構造を示すためのチップ断面図である。
図5】本発明によるパワーインダクタの製造方法を順次示す工程図である。
図6】本発明によるパワーインダクタの製造方法を順次示す工程図である。
図7】本発明によるパワーインダクタの製造方法を順次示す工程図である。
図8】本発明によるパワーインダクタの製造方法を順次示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する技術などは、添付図面と共に詳細に後述している実施形態を参照すれば明らかになるであろう。但し、本発明は、以下にて開示される実施形態に限定されるものではなく、相違する様々な形態に実現されてもよい。本実施形態は、本発明の開示が完全になるようにすると共に、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されてもよい。
【0026】
本明細書に用いられた用語は、実施形態を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数型は文脈上で特に言及しない限り複数型も含む。明細書に用いられる、「含む(comprise)」および/または「含んでいる(comprising)」に言及された構成要素、ステップ、動作、および/または素子は、一つの他の構成要素、ステップ、動作、および/または素子の存在または追加を排除するものではない。
【0027】
図3は、本発明のパワーインダクタに含まれたコイルパターン構造を示すためのチップ断面図である。尚、図面の構成要素は必ずしも縮尺に応じて描かれたものではなく、例えば、本発明の理解を助けるために図面の一部の構成要素の大きさは他の構成要素に比べて誇張されてもよい。
【0028】
本発明のパワーインダクタ素子100はコア絶縁層110の一面または両面にコイルパターン120が形成され、その表面には金属層130がメッキされ、前記金属層130を含む前記コイルパターン120を絶縁体150が覆っている。
【0029】
前記コイルパターン120は前記コア絶縁層110の表面上にコイル形状に印刷されたメッキ線であり、図3に示されたコイルパターン120はコイル中心を基準に左側の方に位置したパターンを示す図面である。したがって、以下で言及する「最内側パターン120a」はコイル中心に最も近いパターンであって、図面上で最も右側に位置するパターンとなり、「最外側パターン120b」はコイル中心から最も遠く離れたパターンであって、図面上で最も左側に位置するパターンとなる。
【0030】
勿論、図3に示されたコイルパターン120がコイル中心を基準に右側の方に位置したパターンを示すものであるとすると、前記最内側パターン120aと最外側パターン120bの位置は逆になり得るということは明らかである。
【0031】
絶縁パターン140は、前記最内側パターン120aと最外側パターン120bのうち少なくともいずれか一つと接合することができる。より具体的には、前記最内側パターン120aと接合する前記絶縁パターン140は前記最内側パターン120aの内側表面に形成されることができ、前記最外側パターン120bと接合する前記絶縁パターン140は前記最外側パターン120bの外側表面に形成されることができる。
【0032】
ここで、前記最内側パターン120aの内側表面は前記最内側パターン120aの両側面のうちコイル中心に向かっている側面を意味し、前記最外側パターン120bの外側表面は前記最外側パターン120bの両側面のうちチップ外部に向かっている側面を意味する。すなわち、前記絶縁パターン140は、前記最内側パターン120aまたは前記最外側パターン120bの両側面のうち、周囲に中間に位置したパターン120c(以下、中間パターン)がない側面と接合されている。
【0033】
前記金属層130は前記コイルパターン120を引込線にしたメッキ工程によって形成されるが、前記中間パターン120cの表面に形成される金属層130cは両横の隣接したパターンによって幅方向へのメッキが抑制され、その結果、高さ方向を主として異方性メッキされる。
【0034】
また、前記最内側パターン120aの表面に形成される金属層130aは、最内側パターン120aの左側表面に対しては隣接した中間パターン120cによって幅方向へのメッキが抑制され、右側表面、すなわち内側表面に対しては内側表面と接合された前記絶縁パターン140によって幅方向へのメッキが抑制され、その結果、高さ方向を主として異方性メッキされる。
【0035】
同様に、前記最外側パターン120bの表面に形成される金属層130bは、最外側パターン120bの右側表面に対しては隣接した中間パターン120cによって幅方向へのメッキが抑制され、左側表面、すなわち外側表面に対しては外側表面と接合された前記絶縁パターン140によって幅方向へのメッキが抑制され、その結果、高さ方向を主として異方性メッキされる。
【0036】
このように本発明のパワーインダクタ100は、中間パターン120cだけでなく、最内側パターン120aと最外側パターン120bに対しても異方性に進行するメッキ工程に前記金属層130が形成されるため、パターンの縦横比(メッキ高さ/メッキ幅)を所定値以上に実現することができるので、パワーインダクタの特性を大幅に向上させることができる。
【0037】
一方、過度にメッキされることで前記金属層130a,130bが絶縁パターン140の側面にまでメッキされることを防止するために、前記最内側パターン120aの内側表面と接合する前記絶縁パターン140は、前記最内側パターン120aの上部表面まで延長形成されることができる。同様に、前記最外側パターン120bの外側表面と接合する絶縁パターン140は、前記最外側パターン120bの上部表面まで延長形成されることができる。
【0038】
前記最内側パターン120aまたは最外側パターン120bの上部表面に形成された絶縁パターン140はメッキ流れを妨害するため、上部表面に形成される絶縁パターン140の長さを適切に設定して前記金属層130a,130bが過度にメッキされることを防ぐことができる。
【0039】
今まで前記コイルパターン120上に一層の金属層130だけが表面メッキされた構造を説明したが、パターンの縦横比をより高めるために前記金属層130を何回も繰り返しメッキすることができる。この場合、前記絶縁パターン140も繰り返し形成されることができる。
【0040】
例えば、図4は、本発明の他の実施形態に含まれたコイルパターン構造を示すためのチップ断面図であり、図3とは異なり、図4のパワーインダクタ200において、金属層は第1金属層231と第2金属層232とから構成されることができ、絶縁パターンは第1絶縁パターン241と第2絶縁パターン242とから構成されることができる。
【0041】
具体的には、本発明の他の実施形態によるパワーインダクタ200は、コア絶縁層210の一面または両面にコイルパターン220が形成され、その表面には前記第1金属層231、前記第1金属層231の表面には前記第2金属層232がメッキされ、前記第1、2金属層231,232を含む前記コイルパターン220を絶縁体250が覆っている。
【0042】
前記第1絶縁パターン241は、前記コイルパターン220の最内側パターン220aと最外側パターン220bのうち少なくともいずれか一つと接合することができる。
【0043】
より具体的には、前記最内側パターン220aと接合する前記第1絶縁パターン241は前記最内側パターン220aの内側表面に形成されることができ、前記最外側パターン220bと接合する前記第1絶縁パターン241は前記最外側パターン220bの外側表面に形成されることができる。
【0044】
また、前記第2絶縁パターン242は、前記最内側パターン220aの表面にメッキされた第1金属層231a、前記最外側パターン220bの表面にメッキされた第1金属層231bのうち少なくともいずれか一つと接合することができる。
【0045】
より具体的には、前記第1金属層231aと接合する前記第2絶縁パターン242は前記第1金属層231aの内側表面に形成され、その下部の第1絶縁パターン241と連結されることができる。同様に、前記第1金属層231bと接合する前記第2絶縁パターン242は前記第1金属層231bの外側表面に形成され、その下部の第1絶縁パターン241と連結されることができる。
【0046】
図4のパワーインダクタ200において、前記第1金属層231は前記コイルパターン220を引込線にしたメッキ工程によってメッキされ、前記第2金属層232は前記第1金属層231を引込線にしたメッキ工程によって形成される。
【0047】
この時、前記第1金属層231aは、最内側パターン220aの左側表面に対しては隣接した中間パターン220cによって幅方向へのメッキが抑制され、右側表面、すなわち内側表面に対しては内側表面と接合された前記第1絶縁パターン241によって幅方向へのメッキが抑制され、その結果、高さ方向を主として異方性メッキされて形成される。
【0048】
また、前記第1金属層231aの表面に形成される第2金属層232aは、第1金属層231aの左側表面に対しては隣接した第1金属層パターン231cによって幅方向へのメッキが抑制され、右側表面、すなわち内側表面に対しては内側表面と接合された前記第2絶縁パターン242によって幅方向へのメッキが抑制され、その結果、高さ方向を主として異方性メッキされる。
【0049】
同様に、前記第1金属層231bは、最外側パターン220bの右側表面に対しては隣接した中間パターン220cによって幅方向へのメッキが抑制され、左側表面、すなわち外側表面に対しては外側表面と接合された前記第1絶縁パターン241によって幅方向へのメッキが抑制され、その結果、高さ方向を主として異方性メッキされる。
【0050】
また、前記第1金属層231bの表面に形成される第2金属層232bは、第1金属層231bの右側表面に対しては隣接した第1金属層パターン231cによって幅方向へのメッキが抑制され、左側表面、すなわち外側表面に対しては外側表面と接合された前記第2絶縁パターン242によって幅方向へのメッキが抑制され、その結果、高さ方向を主として異方性メッキされる。
【0051】
このように、本発明のパワーインダクタは、コイルパターン上に金属層を繰り返しメッキしても、繰り返しメッキされる金属層の両側に絶縁パターンを形成することによって中間パターンと類似する縦横比を有する最内側パターンと最外側パターンを実現することができ、その結果、パワーインダクタの特性を大幅に向上させることができる。
【0052】
さて、本発明によるパワーインダクタの製造方法について説明する。
図5図8は、本発明によるパワーインダクタの製造方法を順次示す工程図であり、先ず、図5のように、コア絶縁層110の一面または両面にコイルパターン120を形成するステップを行う。これは、サブトラクティブ(Subtractive)工法、アディティブ(Additive)工法、セミ−アディティブ(Semi−Additive)工法および修正されたセミ−アディティブ(Modified semi−additive)工法のうちいずれか一つの工法を通じて行われてもよい。したがって、図面上には表示されていないが、メッキ工法に応じて電解メッキの前処理のためのシード層が前記コイルパターン120の下部に存在してもよい。
【0053】
その次に、図6のように、前記コイルパターン120の最内側パターン120aと最外側パターン120bのうち少なくともいずれか一つと接合する絶縁パターン140を形成するステップを行う。
【0054】
具体的には、前記最内側パターン120aと接合する絶縁パターン140の形成時に前記最内側パターン120aの内側表面に前記絶縁パターン140を形成し、前記最外側パターン120bと接合する絶縁パターン140の形成時に前記最外側パターン120bの外側表面に前記絶縁パターン140を形成する。
【0055】
また、後続工程である金属層のメッキ時、金属層が前記絶縁パターン140の側面に過度にメッキされることを防止するために、前記最内側パターン120aの内側表面に形成される絶縁パターン140を前記最内側パターン120aの上部表面まで延びるように形成するか、同様に、前記最外側パターン120bの外側表面に形成される絶縁パターン140を前記最外側パターン120bの上部表面まで延びるように形成することが好ましい。
【0056】
その次に、図7のように、前記コイルパターン120の表面に金属層130をメッキするステップを行う。これは、前記コイルパターン120を引込線にしたメッキ工程を通じて行われることができる。
【0057】
具体的には、前記コイルパターン120を引込線にした電解メッキを行うと、中間パターン120cに対しては両横の隣接したパターンによって幅方向へのメッキが抑制され、したがって、高さ方向を主として前記金属層130cが異方性メッキされる。
【0058】
また、前記最内側パターン120aの左側表面に対しては隣接した中間パターン120cによって幅方向へのメッキが抑制され、右側表面、すなわち内側表面に対しては内側表面と接合された前記絶縁パターン140によって幅方向へのメッキが抑制され、その結果、高さ方向を主として前記金属層130aが異方性メッキされる。
【0059】
同様に、前記最外側パターン120bの右側表面に対しては隣接した中間パターン120cによって幅方向へのメッキが抑制され、左側表面、すなわち外側表面に対しては外側表面と接合された前記絶縁パターン140によって幅方向へのメッキが抑制され、その結果、高さ方向を主として前記金属層130bが異方性メッキされる。
【0060】
前記金属層130がメッキされると、最後に、図8のように、前記金属層130を含む前記コイルパターン120を覆う絶縁体150を形成するステップを行うことにより、本発明のパワーインダクタを最終的に完成することができる。
【0061】
以上の詳細な説明は本発明を例示するためのものである。また、前述した内容は、本発明の好ましい実施形態を示し説明するものに過ぎず、本発明は、様々な他の組み合わせ、変更、および環境において用いてもよい。すなわち、本明細書に開示された発明の概念の範囲、記述した開示内容と均等な範囲および/または当業界の技術または知識の範囲内で変更または修正が可能である。前述した実施形態は、本発明を実施するための最善の状態を説明するためのものであり、本発明と同様な他の発明を利用するのに当業界で知られた他の状態への実施、そして発明の具体的な適用分野および用途に求められる様々な変更も可能である。したがって、以上の発明の詳細な説明は、開示された実施状態に本発明を制限しようとする意図ではない。また、添付された特許請求の範囲は他の実施状態も含むものとして解釈しなければならない。
【符号の説明】
【0062】
100、200 パワーインダクタ
110、210 コア絶縁層
120、220 コイルパターン
130 金属層
231 第1金属層
232 第2金属層
140 絶縁パターン
241 第1絶縁パターン
242 第2絶縁パターン
150、250 絶縁体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8