特許第6414978号(P6414978)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社IHIエアロスペースの特許一覧

特許6414978レクテナ装置及びレクテナ装置の故障検出方法
<>
  • 特許6414978-レクテナ装置及びレクテナ装置の故障検出方法 図000002
  • 特許6414978-レクテナ装置及びレクテナ装置の故障検出方法 図000003
  • 特許6414978-レクテナ装置及びレクテナ装置の故障検出方法 図000004
  • 特許6414978-レクテナ装置及びレクテナ装置の故障検出方法 図000005
  • 特許6414978-レクテナ装置及びレクテナ装置の故障検出方法 図000006
  • 特許6414978-レクテナ装置及びレクテナ装置の故障検出方法 図000007
  • 特許6414978-レクテナ装置及びレクテナ装置の故障検出方法 図000008
  • 特許6414978-レクテナ装置及びレクテナ装置の故障検出方法 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6414978
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】レクテナ装置及びレクテナ装置の故障検出方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/27 20160101AFI20181022BHJP
【FI】
   H02J50/27
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-24130(P2015-24130)
(22)【出願日】2015年2月10日
(65)【公開番号】特開2016-149824(P2016-149824A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2017年12月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】500302552
【氏名又は名称】株式会社IHIエアロスペース
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】小澤 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤原 暉雄
【審査官】 坂本 聡生
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−033243(JP,A)
【文献】 特開2014−175468(JP,A)
【文献】 特開平05−122760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00− 7/12
7/34− 7/36
50/00−50/90
H02S50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波を受信して該マイクロ波のエネルギを直流電流に整流変換するレクテナを多数具備したレクテナ装置であって、
前記多数のレクテナは互いに並列に接続されて複数のブロックに区分けされ、
区分けされて互いに並列に接続された複数のレクテナを含むブロック同士は互いに直列に接続され、
前記複数のブロックには、該ブロック毎の電圧を計測する電圧計がそれぞれ配置され、
前記複数のブロックの中でオープン故障が生じているレクテナを含む異常ブロックが存在する場合において、前記電圧計で計測される前記異常ブロックの電圧と、前記複数のブロックの各正常な電圧との間に生じる電圧差から前記異常ブロックが検出されるレクテナ装置。
【請求項2】
前記複数のブロック毎に配置された前記電圧計は、計測値を遠隔モニタ可能な表示部にそれぞれ接続され、前記複数のブロックの中でオープン故障が生じているレクテナを含む異常ブロックが存在する場合の前記電圧差が前記表示部に表示されて前記異常ブロックが検出される請求項1に記載のレクテナ装置。
【請求項3】
前記複数のブロックの中でオープン故障が生じているレクテナを含む異常ブロックが存在する場合の前記電圧差に基づいてオープン故障検出閾値が設定され、前記電圧差が前記オープン故障検出閾値を超える場合に前記異常ブロックが検出される請求項1又は2に記載のレクテナ装置。
【請求項4】
前記複数のブロック毎で互いに並列に接続された前記複数のレクテナは、前記複数のブロック毎の前記電圧計でそれぞれ計測される電圧を互いに同等とするべく配置されている請求項1又は2に記載のレクテナ装置。
【請求項5】
マイクロ波を受信して該マイクロ波のエネルギを直流電流に整流変換するレクテナを多数具備したレクテナ装置の故障検出方法であって、
前記多数のレクテナを互いに並列に接続して複数のブロックに区分けすると共に、区分して互いに並列に接続した複数のレクテナを含むブロック同士を互いに直列に接続して、前記複数のブロックに、該ブロック毎の電圧を計測する電圧計をそれぞれ配置し、
前記複数のブロックの中でオープン故障が生じているレクテナを含む異常ブロックが存在する場合には、前記電圧計で計測される前記異常ブロックの電圧と、前記複数のブロックの各正常な電圧との間に生じる電圧差から前記異常ブロックを検出するレクテナ装置の故障検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波を受信してこのマイクロ波のエネルギを直流電流に整流変換するレクテナを多数具備したレクテナ装置及びこのレクテナ装置のレクテナに関わる故障を検出するのに好適なレクテナ装置の故障検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記したような多数のレクテナを具備したレクテナ装置としては、例えば、特許文献1に記載されたものがあり、このレクテナ装置では、レクテナを構成するマイクロ波を受信するアンテナと、マイクロ波を整流する整流回路との間にハイブリッド回路及びモニタ回路を設け、整流回路に故障が生じた場合には、その反射波をモニタ回路でモニタすることで、レクテナに関わる故障の有無を検出するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-023857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記した従来のレクテナ装置において、多数のレクテナの各整流回路にモニタ回路をそれぞれ設ける必要があることから、例えば、数千万個〜数億個のレクテナを使用する宇宙太陽光発電システムのレクテナ装置では、モニタ回路の数が非現実的なものになってしまうという問題があり、この問題を解決することが従来の課題となっていた。
【0005】
本発明は、上記した従来の課題に着目してなされたもので、レクテナの個数が莫大な数であったとしても、故障を検出するためのハイブリッド回路やモニタ回路等の検出手段を少なく抑えたうえで、レクテナに関わる故障を確実に検出することができるレクテナ装置及びレクテナ装置の故障検出方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、マイクロ波を受信して該マイクロ波のエネルギを直流電流に整流変換するレクテナを多数具備したレクテナ装置であって、前記多数のレクテナは互いに並列に接続されて複数のブロックに区分けされ、区分けされて互いに並列に接続された複数のレクテナを含むブロック同士は互いに直列に接続され、前記複数のブロックには、該ブロック毎の電圧を計測する電圧計がそれぞれ配置され、前記複数のブロックの中でオープン故障が生じているレクテナを含む異常ブロックが存在する場合において、前記電圧計で計測される前記異常ブロックの電圧と、前記複数のブロックの各正常な電圧との間に生じる電圧差から前記異常ブロックが検出される構成としている。
【0007】
また、本発明の第2の態様において、前記複数のブロック毎に配置された前記電圧計は、計測値を遠隔モニタ可能な表示部にそれぞれ接続され、前記複数のブロックの中でオープン故障が生じているレクテナを含む異常ブロックが存在する場合の前記電圧差が前記表示部に表示されて前記異常ブロックが検出される構成としている。
【0008】
さらに、本発明の第3の態様は、前記複数のブロックの中でオープン故障が生じているレクテナを含む異常ブロックが存在する場合の前記電圧差に基づいてオープン故障検出閾値が設定され、前記電圧差が前記オープン故障検出閾値を超える場合に前記異常ブロックが検出される構成としている。
【0009】
さらにまた、本発明の第4の態様において、前記複数のブロック毎で互いに並列に接続された前記複数のレクテナは、前記複数のブロック毎の前記電圧計でそれぞれ計測される電圧を互いに同等とするべく配置されている構成としている。
【0010】
さらにまた、本発明の第5の態様は、マイクロ波を受信して該マイクロ波のエネルギを直流電流に整流変換するレクテナを多数具備したレクテナ装置の故障検出方法であって、前記多数のレクテナを互いに並列に接続して複数のブロックに区分けすると共に、区分して互いに並列に接続した複数のレクテナを含むブロック同士を互いに直列に接続して、前記複数のブロックに、該ブロック毎の電圧を計測する電圧計をそれぞれ配置し、前記複数のブロックの中でオープン故障が生じているレクテナを含む異常ブロックが存在する場合には、前記電圧計で計測される前記異常ブロックの電圧と、前記複数のブロックの各正常な電圧との間に生じる電圧差から前記異常ブロックを検出する構成としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の態様に係るレクテナ装置及び第5の態様に係るレクテナ装置の故障検出方法では、レクテナの個数が莫大な数であったとしても、故障を検出するためのハイブリッド回路やモニタ回路等の検出手段を少なく抑えたうえで、レクテナに関わる故障を確実に検出することが可能であるという非常に優れた効果がもたらされる。
【0012】
また、本発明の第2の態様に係るレクテナ装置では、複数のブロックの中にオープン故障が生じているレクテナを含む異常ブロックが存在することを遠隔でモニタすることができる。
さらに、本発明の第3の態様に係るレクテナ装置では、電圧の計測誤差による故障の誤検出を防ぐことができる。
さらにまた、本発明の第4の態様に係るレクテナ装置では、マイクロ波を直流電力に変換するRF/DC変換効率の低下を防いだうえで、故障検出の際の判定を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施例によるレクテナ装置の概略構成説明図である。
図2図1に示したレクテナ装置の作用を説明するためのレクテナアレイを示す概略構成説明図(a)及び図2(a)のレクテナアレイ内のレクテナの一配置例を示すレイアウト説明図(b)である。
図3図2におけるレクテナアレイのインピーダンス制御時における正常動作の際の電流電圧特性を示すグラフである。
図4図2におけるレクテナアレイのブロックのインピーダンス制御時における正常動作の際の電流電圧特性を示すグラフである。
図5図2におけるレクテナアレイのブロックのインピーダンス制御時における異常動作の際の電流電圧特性を示すグラフである。
図6図2におけるレクテナアレイの定電圧制御時における正常動作の際の電流電圧特性を示すグラフである。
図7図2におけるレクテナアレイのブロックの定電圧制御時における正常動作の際の電流電圧特性を示すグラフである。
図8図2におけるレクテナアレイのブロックの定電圧制御時における異常動作の際の電流電圧特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るレクテナ装置を図面に基づいて説明する。
図1図8は、本発明の一実施例に係るレクテナ装置を示しており、この実施例では、本発明に係るレクテナ装置を宇宙太陽光発電システムに採用した場合を例に挙げて説明する。
【0015】
宇宙太陽光発電システムは、例えば、静止軌道上に投入した少なくとも1機の発電衛星で太陽光を集めて電気エネルギを生成し、この生成した電気エネルギをマイクロ波に変換して発電衛星の送信アンテナを介して地上の電力基地へ送信する。
【0016】
電力基地には、発電衛星から送信されたRF電力であるマイクロ波を受信するレクテナ装置が備えられている。図1に示すように、このレクテナ装置1は、受信したマイクロ波のエネルギを直流電流に整流変換する多数のレクテナ3で構成されるレクテナアレイ2を備えており、このレクテナアレイ2には集電回路4が接続されている。この集電回路4には直流電流から交流電流に変換するDC−AC変換部5が接続されており、直流電流から変換された交流電流は送電ケーブル6を介して図外の商用電力網に送電される。
【0017】
この宇宙太陽光発電システムにおいて、発電衛星から電力基地までの距離が非常に長いことから、発電衛星の送信アンテナの直径は数kmにおよぶ場合があり、一方、電力基地に配置されるレクテナ装置1の直径も数kmにおよぶ場合がある。
【0018】
この場合、レクテナ装置1の多数のレクテナ3で構成されるレクテナアレイ2では、レクテナ3をm個ずつn個のブロック10〜10に区分けして互いに並列に接続し、区分けして並列に接続したレクテナ3〜3を含むn個のブロック10〜10同士を互いに直列に接続して、多数のレクテナ3のグループ分けを行っている。
【0019】
複数のブロック10〜10には、これらのブロック10〜10毎の電圧を計測する電圧計11〜11がそれぞれ配置されており、複数のブロック10〜10毎に配置された電圧計11〜11には、装置全体の動作状況を表示する表示部8が接続されている。
【0020】
この表示部8では、電圧計11〜11で計測される複数のブロック10〜10の各計測値を遠隔でモニタ可能となっている。この表示部8では、複数のブロック10〜10の中でオープン故障が生じているレクテナ3を含む異常なブロック、例えば、ブロック10が存在する場合において、電圧計11〜11で計測される異常なブロック10の電圧と、複数のブロック10の各正常な電圧との間に生じる電圧差を表示することで、異常なブロック10の検出が成されるようになっている。
【0021】
この際、異常なブロック10が存在する場合の電圧差に基づくオープン故障検出閾値を表示部8に設定して、電圧差がこのオープン故障検出閾値を超える場合にその電圧差を表示することで、異常なブロック10を検出するようにしてもよい。
【0022】
このレクテナ装置1における複数のブロック10〜10中のレクテナ3が短絡故障ないし短絡に近い状態で故障(ショート故障)している場合には、その故障があるブロック10の電圧が著しく低下するので、この電圧の著しい低下を表示部8で読み取ることで、故障があるブロック10の検出が容易に成されることとなる。
【0023】
次に、このレクテナ装置1における複数のブロック10〜10の中で並列に接続されているレクテナ3が開放状態になったりレクテナ3自体が破損したりする故障(オープン故障)を起こしている場合の故障の検出要領を説明する。
【0024】
説明を簡単にするために、図2(a)に示すように、並列に接続した16個のレクテナ3〜316を含む2つのブロック10,10を直列に接続して成るレクテナアレイ2ABを例に挙げて、オープン故障の検出要領を説明する。
【0025】
この際、図2(b)に示すように、2つのブロック10,10における各16個のレクテナ3〜316は、マイクロ波の照射電力密度分布が均一になるように、すなわち、2つのブロック10,10毎の電圧計11,11でそれぞれ計測される電圧が互いに同等になるように配置されている。
【0026】
まず、2つのブロック10,10における各16個のレクテナ3〜316の出力電圧が飽和しない不飽和領域において、負荷抵抗を一定(24Ω)に保つインピーダンス制御を行う場合、図3に示すように、レクテナアレイ2ABの正常動作時には、レクテナアレイ2ABの電流電圧特性ライン(以下、動作ライン)P1とインピーダンス制御ラインQ1とが交差する動作点O1の電流は0.58Aであり、制御電圧は13.9Vである。
【0027】
このとき、説明を簡単にするために2つのブロック10,10の各特性が同一であると仮定すると、図4に示すように、正常動作時のブロック10,10の動作ラインP2とインピーダンス制御ラインQ2とが交差する動作点O2の電流は0.58Aになり、電圧は6.95Vになる。
【0028】
ここで、2つのブロック10,10のうちのいずれか一方のブロック10(或いはブロック10)の1個のレクテナ3にオープン故障が生じた場合、故障が生じたブロック10には変化が生じ、ブロック10の動作ラインは、図5に示すように、正常なブロック10の動作ラインP2との間に差異がある動作ラインP3となる。
【0029】
この故障が生じたブロック10の動作ラインP3が出力電流一定の直線Lと交差する点が動作点O3であり、正常なブロック10の動作ラインP2が出力電流一定の直線Lと交差する点が動作点O2’である。この際、故障が生じたブロック10の動作点O3と正常なブロック10の動作点O2’とを結ぶ直線Lの出力電流は、動作点O3,O2’の各電圧の和がインピーダンス制御の制御電圧13.9Vとほぼ一致するように約0.57Aに決定される。
【0030】
つまり、故障が生じたブロック10の動作ラインP3上における動作点O3の電圧は6.62Vであり、正常なブロック10の動作ラインP2上における動作点O2’の電圧は7.07Vとなり、両動作点O3,O2’間に0.45Vの電圧差が生じる。
【0031】
そして、レクテナ装置1における表示部8では、上記した異常なブロック10の動作ラインP3上における動作点O3の電圧と、正常なブロック10の動作ラインP2上における動作点O2’の電圧との間に生じる電圧差を表示する。これにより、オープン故障の発生が告知されると共に、低い値の電圧を示したブロックが異常ブロック10として検出されることとなる。
【0032】
次に、2つのブロック10,10における各16個のレクテナ3〜316の出力電圧が飽和する飽和領域において、出力電圧を飽和領域で一定電圧(19.2V)に保つ定電圧制御を行う場合、図6に示すように、レクテナアレイ2ABの正常動作時には、レクテナアレイ2ABの動作ラインR1と定電圧制御ラインS1とが交差する動作点T1の電流は0.84Aであり、制御電圧は19.2Vである。
【0033】
このとき、説明を簡単にするために2つのブロック10,10の各特性が同一であると仮定すると、図7に示すように、正常動作時のブロック10,10の動作ラインR2と定電圧制御ラインS2とが交差する動作点T2の電流は0.84Aになり、電圧は9.6Vになる。
【0034】
ここで、2つのブロック10,10のうちのいずれか一方のブロック10(或いはブロック10)の1個のレクテナ3にオープン故障が生じた場合、故障が生じたブロック10には変化が生じ、ブロック10の動作ラインは、図8に示すように、正常なブロック10の動作ラインR2との間に差異がある動作ラインR3となる。
【0035】
この故障が生じたブロック10の動作ラインR3が出力電流一定の直線Uと交差する点が動作点T3であり、正常なブロック10の動作ラインR2が出力電流一定の直線Uと交差する点が動作点T2’である。この際、故障が生じたブロック10の動作点T3と正常なブロック10の動作点T2’とを結ぶ直線Uの出力電流は、動作点T3,T2’の各電圧の和が定電圧制御の制御電圧19.2Vとほぼ一致するように約0.81Aに決定される。
【0036】
つまり、故障が生じたブロック10の動作ラインR3上における動作点T3の電圧は9.30Vであり、正常なブロック10の動作ラインR2上における動作点T2’の電圧は9.90Vとなり、両動作点T3,T2’間に0.6Vの電圧差が生じる。
【0037】
そして、レクテナ装置1における表示部8では、上記した異常なブロック10の動作ラインR3上における動作点T3の電圧と、正常なブロック10の動作ラインR2上における動作点T2’の電圧との間に生じる電圧差を表示する。これにより、オープン故障の発生が告知されると共に、低い値の電圧を示したブロックが異常ブロック10として検出されることとなる。
【0038】
ここまで、簡単のため、並列に接続した16個のレクテナ3〜316を含む2つのブロック10,10を直列に接続して成るレクテナアレイ2ABを例に挙げて、オープン故障の検出要領を説明したが、故障したレクテナの数が増加すれば上記電圧差はさらに増加する。
【0039】
また、レクテナアレイ2ABにおけるブロック10,10内のレクテナ3の並列数が増加すれば、上記電圧差が縮小し、レクテナ3の並列数が減少すれば、上記電圧差が増加する。
【0040】
さらに、直列に接続するブロック10が多数ある場合には、複数のレクテナ3の各特性が同一であれば、正常な状態においてすべてのブロック10の各電圧が同一になる。
一方、複数のレクテナ3のうちのいずれかのレクテナ3に故障が生じている異常な状態では、故障が生じたレクテナ3を含むブロック10の電圧が下がるので、互いに同じ電圧を示す他の正常なブロック10中において低い電圧を示しているブロック10を故障が生じたレクテナ3を含む異常なブロック10として検出する。
【0041】
そして、故障が生じたレクテナ3を含む異常なブロック10が複数存在する状態では、これらの異常なブロック10の各電圧が他の正常なブロック10の電圧と比べて一様に下がるので、異常なブロック10が一つ存在する場合と同様に、多数の正常なブロック10中において低い電圧を示しているブロック10の全てを故障が生じたレクテナ3を含む異常なブロック10として検出する。
【0042】
上記したように、この実施例に係るレクテナ装置1では、多数のレクテナ3で構成されるレクテナアレイ2において、レクテナ3をm個ずつn個のブロック10〜10に区分けして互いに並列に接続し、区分けして並列に接続したレクテナ3〜3を含むn個のブロック10〜10同士を互いに直列に接続して、多数のレクテナ3のグループ分けを行っている。
【0043】
そして、複数のブロック10〜10に電圧計11〜11をそれぞれ配置して、これらの電圧計11〜11の測定値に基づく装置全体の動作状況を表示部8に表示するようにしているので、故障を検出するためのハイブリッド回路やモニタ回路等の検出手段を少なく抑えたうえで、レクテナ3に関わる故障を確実に検出し得ることとなる。
【0044】
また、この実施例に係るレクテナ装置1では、電圧計11〜11で計測される複数のブロック10〜10の各計測値を表示部8で遠隔でモニタすることができる。
さらに、この実施例に係るレクテナ装置1では、異常なブロック10が存在する場合の電圧差に基づくオープン故障検出閾値を表示部8に設定することで、電圧の計測誤差による故障の誤検出を防ぐことができる。
さらにまた、この実施例に係るレクテナ装置1では、マイクロ波の照射電力密度分布が均一になるようにレクテナ3を配置することで、マイクロ波を直流電力に変換するRF/DC変換効率の低下を防ぎつつ、故障検出の際の判定を容易に行うことができる。
【0045】
上記した実施例では、レクテナ装置1を宇宙太陽光発電システムに採用した場合を例に挙げて説明したが、これに限られるものではない。
【0046】
本発明に係るレクテナ装置及びレクテナ装置の故障検出方法の構成は、上記した実施例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0047】
1 レクテナ装置
3(3〜316,3) レクテナ
8 表示部
10(10〜10,10,10) ブロック
11(11〜11,11,11) 電圧計
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8