特許第6415064号(P6415064)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6415064
(24)【登録日】2018年10月12日
(45)【発行日】2018年10月31日
(54)【発明の名称】キャスター出入り式机
(51)【国際特許分類】
   A47B 17/00 20060101AFI20181022BHJP
   A47B 91/06 20060101ALI20181022BHJP
【FI】
   A47B17/00 Z
   A47B91/06
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-33175(P2014-33175)
(22)【出願日】2014年2月24日
(65)【公開番号】特開2015-156954(P2015-156954A)
(43)【公開日】2015年9月3日
【審査請求日】2017年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】510274430
【氏名又は名称】コトブキシーティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】特許業務法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 康
【審査官】 大谷 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−103333(JP,A)
【文献】 特開2003−259918(JP,A)
【文献】 特開平09−313258(JP,A)
【文献】 米国特許第02655387(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 3/08、17/00、91/06、97/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と、
前記天板の下面に固定されるブラケット部と、そのブラケット部に上端部を固定されて上下方向へ延在する柱部と、前記柱部の下端部に固定されて前後方向に延在する足部とを有する脚と、
前記柱部内でその柱部の内面との平行を維持するように昇降移動を案内される被駆動部と、その被駆動部の下端部に固定されて前記足部内で前後方向に延在するキャスター支持部と、そのキャスター支持部で支持されて前後方向に並んだ複数のキャスターとを有するキャスターフレームと、
前記ブラケット部に揺動可能に支持されて前記天板の下側の側部に位置するキャスター昇降レバーと、
前記被駆動部の上端部と係合するとともにシャフトを介して前記キャスター昇降レバーに結合され、そのキャスター昇降レバーと一体に揺動して前記キャスターフレームを前記脚に対し前記柱部に沿って直線的に昇降させ、前記キャスターフレームの上昇位置で前記キャスターを前記足部の下面と同一高さもしくはそれより上まで上昇させるとともに、前記キャスターフレームの下降位置で前記キャスターを前記足部の下面より下方に突出させるキャスターフレーム駆動部材と、
を具え
前記キャスター昇降レバーの後端部を、天板の後端部と近接させて配置するとともに、持ち上げると天板の下面に当接するように天板の下面に近接させて配置したことを特徴とするキャスター出入り式机。
【請求項2】
前記キャスターフレーム駆動部材は、前記キャスターフレームの前記被駆動部の上端部に摺接するカム部材であることを特徴とする、請求項記載のキャスター出入り式机。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、移動の際にはキャスターを出して机を容易に移動でき、使用の際にはキャスターを収納して机をしっかり固定できるキャスター出入り式机に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上述の如きキャスター出入り式机としては従来、例えば特許文献1にて開示されたものが知られており、このキャスター出入り式机は、天板を跳ね上げてコンパクトに収納可能にするために、天板を跳ね上げ状態と水平な使用状態とにそれぞれロックするロック機構と、そのロックを解除して天板を跳ね上げ状態と水平な使用状態との間で揺動可能にするロック解除レバーとを具え、また、その机の収納の際にキャスターを出して移動を容易にするために、天板の上げ下げとキャスターの出し入れを連動させる構成を具えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−244845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記キャスター出入り式机では、天板を跳ね上げて収納可能にするために、天板をロックするロック機構と、そのロックを解除するロック解除レバーとを具えることから、構造が複雑になり、組立に手間と時間がかかるという不都合があった。また、本願発明者が、学生等の、このような机の使用者の要求を調べたところ、机の使用者は必ずしも天板を跳ね上げて収納可能にすることを必要としていないということが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、発明者の上述した知見に鑑みて上記従来のキャスター出入り式机の課題を有利に解決するものであり、この発明のキャスター出入り式机は、
天板と、
前記天板の下面に固定されるブラケット部と、そのブラケット部に上端部を固定されて上下方向へ延在する柱部と、前記柱部の下端部に固定されて前後方向に延在する足部とを有する脚と、
前記柱部内でその柱部の内面との平行を維持するように昇降移動を案内される被駆動部と、その被駆動部の下端部に固定されて前記足部内で前後方向に延在するキャスター支持部と、そのキャスター支持部で支持されて前後方向に並んだ複数のキャスターとを有するキャスターフレームと、
前記ブラケット部に揺動可能に支持されて前記天板の下側の側部に位置するキャスター昇降レバーと、
前記被駆動部の上端部と係合するとともにシャフトを介して前記キャスター昇降レバーに結合され、そのキャスター昇降レバーと一体に揺動して前記キャスターフレームを前記脚に対し前記柱部に沿って直線的に昇降させ、前記キャスターフレームの上昇位置で前記キャスターを前記足部の下面と同一高さもしくはそれより上まで上昇させるとともに、前記キャスターフレームの下降位置で前記キャスターを前記足部の下面より下方に突出させるキャスターフレーム駆動部材と、
を具えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
上述したこの発明のキャスター出入り式机にあっては、机を移動させる際にキャスター昇降レバーの後端部を持ち上げると、キャスターフレームの被駆動部の上端部と係合するキャスターフレーム駆動部材が、キャスター昇降レバーと一体に揺動してキャスターフレームを脚に対し下降させ、キャスターフレームの下降位置で、キャスター支持部で支持されて前後方向に並んだ複数のキャスターを脚の足部の下面より下方に突出させる。
【0007】
また、机を固定する際にキャスター昇降レバーの後端部を解放して下がれるようにすると、天板と脚とが自重で下降して相対的にキャスターフレームが上昇することで、キャスターフレームの被駆動部の上端部と係合するキャスターフレーム駆動部材がキャスター昇降レバーと一体に揺動して脚に対するキャスターフレームの上昇を許容し、キャスターフレームの上昇位置で、キャスター支持部で支持されて前後方向に並んだ複数のキャスターが脚の足部の下面と同一高さまで上昇する。
【0008】
あるいは、机を固定する際にキャスター昇降レバーの後端部を解放して下がれるようにすると、キャスター昇降レバーが弾性的に揺動附勢されるとともに、キャスターフレームの被駆動部の上端部と係合するキャスターフレーム駆動部材がキャスター昇降レバーと一体に揺動して脚に対しキャスターフレームを上昇させ、あるいはキャスターフレームが弾性的に上昇附勢されるとともに、キャスターフレームの被駆動部の上端部と係合するキャスターフレーム駆動部材がキャスター昇降レバーと一体に揺動して脚に対するキャスターフレームの上昇を許容することにより、キャスターフレームの上昇位置で、キャスター支持部で支持されて前後方向に並んだ複数のキャスターが脚の足部の下面と同一高さもしくはそれより上まで上昇する。
【0009】
従って、この発明のキャスター出入り式机によれば、天板が脚に固定された机に組み合わせ得る簡易なキャスター出し入れ構造を提供し、机の組立の手間と時間を省くことができる。しかも、従来品は天板が揺動するので、天板上にものを置いたままの移動ができなかったのに対し、この発明のキャスター出入り式机によれば、天板上にものを置いたままでのキャスターでの移動によるレイアウト変更が可能であり、また、清掃時の机の移動の際に、天板の下側の側部に位置するキャスター昇降レバーを天板と一緒に掴むことでキャスターを容易に出して机を移動させ得るので、机を持ち上げて移動することによる転倒事故を防止することもでき、そのキャスター昇降レバーは、天板の下側の側部に位置するので、机の使用者の脚との干渉を避けることができる。
【0010】
なお、この発明のキャスター出入り式机においては、前記キャスター昇降レバーの後端部を、天板の後端部と近接させて配置するとともに、持ち上げると天板の下面に当接するように天板の下面に近接させて配置してもよく、このようにすれば、机を移動させる際にキャスター昇降レバーの後端部を天板の後端部と一緒に掴んで天板の後端部に当接させておくことで、特にキャスター昇降レバーのロック機構を設けなくてもキャスターフレームを容易に下降位置に維持して、キャスターを出しておくことができ、このことは特に、机をある程度長い距離移動させる場合に好適である。
【0011】
また、この発明のキャスター出入り式机においては、前記キャスターフレーム駆動部材は、前記キャスターフレームの前記被駆動部の上端部に摺接するカム部材であってもよく、このようにすれば、脚の柱部の下端からキャスターフレームの被駆動部を差し込んでその被駆動部の上端部をカム部材に当接させるだけでその被駆動部の上端部とカム部材とを係合させることができるので、天板が脚に固定された机に組み合わせ得るキャスター出し入れ構造を、さらに組立が容易で手間と時間のかからないものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明のキャスター出入り式机の一実施例を、キャスターを上昇させた状態で示す正面図である。
図2】上記実施例のキャスター出入り式机を、キャスターを上昇させた状態で示す背面図である。
図3】上記実施例のキャスター出入り式机を、キャスターを上昇させた状態で示す側面図である。
図4】上記実施例のキャスター出入り式机を、キャスターを上昇させた状態で示す底面図である。
図5】上記実施例のキャスター出入り式机を、キャスターを上昇させた状態で示す、図1のA−A線に沿う断面図である。
図6】上記実施例のキャスター出入り式机を、キャスターを上昇させた状態で示す、図1のB−B線に沿う断面図である。
図7】上記実施例のキャスター出入り式机を、キャスターを下降させた状態で示す、図5と同様の位置での断面図である。
図8】上記実施例のキャスター出入り式机を、キャスターを上昇させた状態で示す、図6と同様の位置での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づく実施例によって詳細に説明する。ここに、図1は、この発明のキャスター出入り式机の一実施例を、キャスターを上昇させた状態で示す正面図、図2は、上記実施例のキャスター出入り式机を、キャスターを上昇させた状態で示す背面図、図3は、上記実施例のキャスター出入り式机を、キャスターを上昇させた状態で示す側面図、図4は、上記実施例のキャスター出入り式机を、キャスターを上昇させた状態で示す底面図、図5は、上記実施例のキャスター出入り式机を、キャスターを上昇させた状態で示す、図1のA−A線に沿う断面図、そして図6は、上記実施例のキャスター出入り式机を、キャスターを上昇させた状態で示す、図1のB−B線に沿う断面図である。なお、以下の説明では、前後左右というときは当該机の手前に位置する使用者から見ての方向を示す。
【0014】
この実施例のキャスター出入り式机は、天板1を具えるとともに、その天板1の下面の側部に固定されて前後方向に延在する上向きに開いたコ字状断面で一部に天板1への取付け用フランジを持つブラケット部2と、そのブラケット部2に上端部を固定されて上下方向へ延在するパイプ状の柱部3と、その柱部3の下端部に前端部を固定されて前後方向に延在する下向きに開いたコ字状断面の足部4とを有する、左右2本の脚5を具えており、左右の脚5は、それらの脚5の柱部3の間に配置されて左右方向へ延在するとともに柱部3の内側面に掛合あるいはボルト固定される幕板6を介して互いに一体に結合され、幕板6の上端部は天板1の下面に固定されている。この左右の脚5の下面が床面Fに当接して固定支持されることで、この実施例のキャスター出入り式机は天板が脚に固定された通常の机として使用することができる。
【0015】
この実施例のキャスター出入り式机はまた、左右の脚5の各々の柱部3内で昇降移動を案内されるパイプ状の被駆動部7と、その被駆動部7の下端部に固定されて左右の脚5の各々の足部4内で前後方向に延在する下向きに開いたコ字状断面のキャスター支持部8と、そのキャスター支持部8で支持されて前後方向に並んだ2コのキャスター9とを有する、左右2本のキャスターフレーム10を具えており、各被駆動部7の上端部には、その上端部の開口を塞ぐとともに柱部3の内面と摺接してその内面に沿った昇降を案内される上端キャップ11が固定され、また各柱部3の下端部には、その下端部の開口を塞ぐとともに被駆動部7の下端部と摺接して柱部3の内面と被駆動部7との平行を維持しつつ被駆動部7の昇降を案内する下端キャップ12が固定され、各脚5の足部4の後端部には、その後端部の開口を塞ぐ後端キャップ13が固定されるとともに下部に厚板状の雌ねじ部材14が固定され、その雌ねじ部材14には、ボルトの頭部に樹脂を被せた樹脂足15が高さ調整可能に下方から螺合され、それら下端キャップ12の下面と樹脂足15の下面とが、後述の如くしてキャスター9が上昇している際に床面Fに当接する脚5の下面をなす。
【0016】
この実施例のキャスター出入り式机はさらに、左右の脚5のブラケット部2に両端部を挿通されたシャフト16を介して左右のブラケット部2に前部を揺動可能に支持されて、天板1の下側で机の使用者の脚と干渉しないように右側のブラケット部2の近くに位置するキャスター昇降レバー17と、左右の脚5のブラケット部2内に配置されてシャフト16の両端部と一体的に結合されるとともに被駆動部7の上端部の上端キャップ11の上面と係合すなわち摺接し、シャフト16を介してキャスター昇降レバー17と一体に揺動して各キャスターフレーム10を各脚5に対し昇降させるキャスターフレーム駆動部材としてのカム部材であるキャスターフレーム駆動カム18とを具えており、ここではキャスター昇降レバー17の後端部を前後方向位置に関して天板1の後端部と近接させて配置するとともに、キャスター昇降レバー17の非操作時にシャフト16より前側の前端部を天板1の下面に当接させることで、キャスター昇降レバー17の後端部を、持ち上げ操作時に容易に天板1の下面に当接するように、上下方向位置に関して非操作時に天板1の下面に近接させて配置している。なお、左右の脚5のブラケット部2の後端部には、その後端部の開口を塞ぐ後端キャップ19が固定されている。
【0017】
図7は、上記実施例のキャスター出入り式机を、キャスターを下降させた状態で示す、図5と同様の位置での断面図であり、図8は、上記実施例のキャスター出入り式机を、キャスターを上昇させた状態で示す、図6と同様の位置での断面図である。この実施例のキャスター出入り式机にあっては、机を移動させる際に、図7に示すように、キャスター昇降レバー17の後端部を手で持ち上げると、各脚5内のキャスターフレーム10の被駆動部7の上端部の上端キャップ11と摺接するキャスターフレーム駆動カム18が、図8に示すように、キャスター昇降レバー10と一体に図では反時計回りに揺動して被駆動部7の上端部の上端キャップ11を押し下げて、摺動抵抗の少ない樹脂製の上端キャップ11の外面と金属製の柱部3の平滑な内面との摺接および、金属製の被駆動部7の下端部の平滑な外面と摺動抵抗の少ない樹脂製の下端キャップ12の内面との摺接により、キャスターフレーム10を脚5に対し柱部3の内面に沿って案内して下降させ、そのキャスターフレーム10の下降位置で、キャスター支持部8で支持されて前後方向に並んだ2個のキャスター9を脚5の足部4の下面すなわち下端キャップ12と樹脂足15との下面より下方に突出させ、相対的に脚5の足部4の下面を床面Fから持ち上げて、床面F上でのキャスター9の転動による机の容易な移動を可能にする。
【0018】
また、机を固定する際に、図5に示すように、キャスター昇降レバー17の後端部を解放して下がれるようにすると、天板1と左右の脚5と幕板6とが自重で、脚5の足部4の下面すなわち下端キャップ12と樹脂足15との下面が下降して、キャスターフレーム10が相対的に脚5に対し上昇し、その際、キャスターフレーム10の被駆動部7の上端部の上端キャップ11と摺接するキャスターフレーム駆動カム18は、キャスター昇降レバー17と一体に図では時計回りに揺動して脚5に対するキャスターフレーム10の上昇を許容し、そのキャスターフレーム10の上昇位置で、図6に示すように、キャスター支持部8で支持されて前後方向に並んだ2個のキャスター9が、脚5の足部4の下面すなわち下端キャップ12と樹脂足15との下面と同一高さまで上昇して、下端キャップ12と樹脂足15との下面と床面Fとの当接による机の固定を可能にする。
【0019】
従って、この実施例のキャスター出入り式机によれば、天板1が脚5に固定された机に組み合わせ得る簡易なキャスター出し入れ構造を提供し、机の組立の手間と時間を省くことができる。
【0020】
また、この実施例のキャスター出入り式机によれば、キャスター昇降レバー17の後端部を、天板1の後端部と近接させて配置するとともに、持ち上げると天板1の下面に当接するように天板1の下面に近接させて配置したので、机を移動させる際にキャスター昇降レバー17の後端部を天板1の後端部と一緒に手で掴んで図7に示すように天板1の後端部に当接させておくことで、特にキャスター昇降レバー17のロック機構を設けなくてもキャスターフレーム10を容易に下降位置に維持して、キャスター9を出しておくことができ、このことは特に、机をある程度長い距離移動させる場合に好適である。
【0021】
また、この実施例のキャスター出入り式机によれば、キャスターフレーム駆動部材は、キャスターフレーム10の被駆動部7の上端部の上端キャップ11に摺接するキャスターフレーム駆動カム18であるので、脚5の柱部3の下端からキャスターフレーム10の被駆動部7を差し込んでその被駆動部7の上端部の上端キャップ11をキャスターフレーム駆動カム18に当接させるだけでその被駆動部7の上端部とャスターフレーム駆動カム18とを係合すなわち摺接させることができるので、天板1が脚5に固定された机に組み合わせ得るキャスター出し入れ構造を、さらに組立が容易で手間と時間のかからないものにすることができる。
【0022】
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更し得るものであり、例えば、キャスター昇降レバー17を図5,6に示す解放位置に向けて弾性的に常時附勢する捻りスプリングや、キャスターフレーム10を図5,6に示す脚5の足部4の下面と同一高さもしくはそれより上の上昇位置に向けて弾性的に常時附勢する引張りあるいは圧縮スプリングを設けてもよく、このようにすれば、机を固定する際にキャスター昇降レバー17の後端部を解放して下がれるようにすると、キャスター昇降レバー17が弾性的に揺動附勢されるとともに、キャスターフレーム10の被駆動部の上端部と係合するキャスターフレーム駆動カム18がキャスター昇降レバー17と一体に揺動して脚5に対しキャスターフレーム10を上昇させ、あるいはキャスターフレーム10が弾性的に上昇附勢されるとともに、キャスターフレーム駆動カム18がキャスター昇降レバー17と一体に揺動して脚に対するキャスターフレーム10の上昇を許容することにより、キャスターフレーム10の上昇位置で、キャスター支持部8で支持されて前後方向に並んだ2個のキャスター9が脚5の足部4の下面と同一高さもしくはそれより上まで確実に上昇させることができる。
【0023】
また、上記実施例では、キャスター昇降レバー17を天板1の下面の右側部の下に1本だけ設けたが、この発明においては、キャスター昇降レバーを天板の下面の左側部の下に1本あるいは左右両側部の下にそれぞれ設けても良い。さらに、上記実施例では、被駆動部7の上端部と係合し、キャスター昇降レバー17と一体に揺動してキャスターフレーム10を脚5に対し昇降させるキャスターフレーム駆動部材としてキャスターフレーム駆動カム18を用いたが、代わりに被駆動部7の上端部と先端部が掛合し、キャスター昇降レバー17と一体に揺動してキャスターフレーム10を脚5に対し昇降させるアーム部材を用いても良く、あるいは、キャスター昇降レバー17を各ブラケット部2内に揺動可能に配置して、そのキャスター昇降レバー17の、支持軸より前方に位置する前端部をキャスターフレーム駆動部材として用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0024】
かくしてこの発明のキャスター出入り式机によれば、天板が脚に固定された机に組み合わせ得る簡易なキャスター出し入れ構造を提供し、机の組立の手間と時間を省くことができる。しかも、従来品は天板が揺動するので、天板上にものを置いたままの移動ができなかったのに対し、この発明のキャスター出入り式机によれば、天板上にものを置いたままでのキャスターでの移動によるレイアウト変更が可能であり、また、清掃時の机の移動の際に、天板の下側の側部に位置するキャスター昇降レバーを天板と一緒に掴むことでキャスターを容易に出して机を移動させ得るので、机を持ち上げて移動することによる転倒事故を防止することもでき、そのキャスター昇降レバーは、天板の下側の側部に位置するので、机の使用者の脚との干渉を避けることができる。
【符号の説明】
【0025】
1 天板
2 ブラケット部
3 柱部
4 足部
5 脚
6 幕板
7 被駆動部
8 キャスター支持部
9 キャスター
10 キャスターフレーム
11 上端キャップ
12 下端キャップ
13,19 後端キャップ
14 雌ねじ部材
15 樹脂足
16 シャフト
17 キャスター昇降レバー
18 キャスターフレーム駆動カム
F 床面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8