(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
[実施形態1]
【0014】
図1から
図21は本発明の実施形態1を示したものであり、
図1はデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【0015】
撮像装置であるデジタルカメラは、交換式レンズ1とカメラ本体2とをインタフェース(I/F)3を介して通信可能に接続して構成されている。
【0016】
交換式レンズ1は、例えばレンズマウントを介してカメラ本体2に対して着脱自在に装着されるようになっており、レンズマウントに形成した電気接点(交換式レンズ1側に設けられた電気接点およびカメラ本体2側に設けられた電気接点)等によりインタフェース3が構成されている。こうして、交換式レンズ1は、インタフェース3を介してカメラ本体2と通信可能となっている。
【0017】
交換式レンズ1は、レンズ11と、絞り12と、ドライバ13と、フラッシュメモリ14と、マイクロコンピュータ15と、を備えている。
【0018】
レンズ11は、被写体の光学像をカメラ本体2の後述する撮像素子22上に結像するための撮影光学系である。
【0019】
絞り12は、レンズ11を通過する光束の通過範囲を制御する光学絞りである。
【0020】
ドライバ13は、マイクロコンピュータ15からの指令に基づき、レンズ11を駆動してフォーカス位置の調整を行い、レンズ11が電動ズームレンズ等である場合にはさらに焦点距離の変更も行う。加えて、ドライバ13は、マイクロコンピュータ15からの指令に基づき、絞り12を駆動して開口径を変化させる。この絞り12の駆動により、被写体の光学像の明るさが変化し、ボケの大きさなども変化する。
【0021】
フラッシュメモリ14は、マイクロコンピュータ15により実行される制御プログラムや、交換式レンズ1に関する各種の情報を記憶する記憶媒体である。
【0022】
マイクロコンピュータ15は、いわゆるレンズ側コンピュータであり、ドライバ13、フラッシュメモリ14、およびインタフェース3と接続されている。そして、マイクロコンピュータ15は、インタフェース3を介して後述する本体側コンピュータであるマイクロコンピュータ45と通信し、マイクロコンピュータ45からの指令を受けて、フラッシュメモリ14に記憶されている情報の読出/書込を行い、ドライバ13を制御する。さらに、マイクロコンピュータ15は、この交換式レンズ1に関する各種の情報をマイクロコンピュータ45へ送信する。
【0023】
インタフェース3は、交換式レンズ1のマイクロコンピュータ15と、カメラ本体2のマイクロコンピュータ45とを、双方向に通信可能に接続する。
【0024】
次に、カメラ本体2は、メカニカルシャッタ(メカシャッタ)21と、撮像素子22と、シフト機構23と、アナログ処理部24と、アナログ/デジタル変換部(A/D変換部)25と、バス26と、SDRAM27と、AF処理部28と、AE処理部29と、合成処理部31と、画像処理部32と、JPEG処理部36と、モニタドライバ37と、モニタ38と、メモリインタフェース(メモリI/F)41と、記録媒体42と、操作部43と、フラッシュメモリ44と、マイクロコンピュータ45と、を備えている。
【0025】
メカシャッタ21は、レンズ11からの光束が撮像素子22へ到達する時間を制御するものであり、例えばシャッタ幕を走行させる構成のメカシャッタとなっている。このメカシャッタ21は、マイクロコンピュータ45の指令により駆動されて、光束の撮像素子22への到達時間、つまり撮像素子22による被写体の露光時間を制御する。
【0026】
撮像素子22は、所定の画素ピッチ(
図4に示す画素ピッチPを参照)で2次元状に配列された複数の画素を有し、レンズ11および絞り12を介して結像された被写体の光学像を光電変換してアナログ画像信号を生成するものである。この撮像素子22は、輝度相当色(例えば緑色)を含む複数色の色フィルタを1画素に1色が対応するように配置して構成され、具体的に、垂直方向および水平方向に配列された複数の画素の前面に原色ベイヤー配列のカラーフィルタを配置した単板式の撮像素子として構成されている(
図6参照)。なお、撮像素子22は、単板式の撮像素子に限らないことは勿論であり、例えば基板厚み方向に色成分を分離するような積層式の撮像素子であっても良い。
【0027】
シフト機構23は、撮像素子22と、この撮像素子22により受光される光束と、の上述した2次元状配列方向の相対位置が、画素ピッチの非整数倍の移動量の相対位置を含む、移動量が異なる複数の相対位置となるように画素ずらしを行う画素ずらし部である。具体的に、シフト機構23は、ボイスコイルモータ(VCM)や圧電素子等の駆動源を用いて、レンズ11の光軸に垂直な面内で撮像素子22を移動させるものとなっている。本実施形態において、このシフト機構23は、撮像素子22から得られる画像データよりも高解像度の合成画像を得るべく複数枚の画像を撮像する際に、例えば半画素ピッチ単位で撮像素子22を移動させるのに用いられる。
【0028】
なお、ここではシフト機構23により撮像素子22を移動させているが、これに代えてレンズ11を移動させるようにしても良いし、撮像素子22とレンズ11との両方を移動させても構わないし、要は、撮像素子22と受光光束との相対位置を変化させることができれば良い。
【0029】
アナログ処理部24は、撮像素子22から読み出されたアナログ画像信号に対して、リセットノイズ等を低減した上で波形整形を行い、さらに目的の明るさとなるようにゲインアップを行う。
【0030】
A/D変換部25は、アナログ処理部24から出力されたアナログ画像信号をデジタル画像信号(以後、画像データなどという)に変換する。
【0031】
バス26は、デジタルカメラ内のある場所で発生した各種のデータや制御信号を、デジタルカメラ内の他の場所へ転送するための転送路である。本実施形態におけるバス26は、シフト機構23と、A/D変換部25と、SDRAM27と、AF処理部28と、AE処理部29と、合成処理部31と、画像処理部32と、JPEG処理部36と、モニタドライバ37と、メモリI/F41と、マイクロコンピュータ45と、に接続されている。
【0032】
A/D変換部25から出力された画像データ(以下では適宜、RAW画像データという)は、バス26を介して転送され、SDRAM27に一旦記憶される。
【0033】
SDRAM27は、上述したRAW画像データ、あるいは合成処理部31、画像処理部32、JPEG処理部36等において処理された画像データ等の各種データを一時的に記憶する記憶部である。
【0034】
AF処理部28は、RAW画像データから高周波成分の信号を抽出して、AF(オートフォーカス)積算処理により、合焦評価値を取得する。ここで取得された合焦評価値は、レンズ11のAF駆動に用いられる。なお、AFがこのようなコントラストAFに限定されないことは勿論であり、例えば専用のAFセンサ(あるいは撮像素子22上のAF用画素)を用いて位相差AFを行う構成であっても構わない。
【0035】
AE処理部29は、RAW画像データに基づき、被写体輝度を算出する。ここで算出された被写体輝度は、自動露出(AE)制御、すなわち、絞り12の制御やメカシャッタ21の制御、撮像素子22の露光タイミング制御(あるいは、いわゆる素子シャッタの制御)等に用いられる。なお、被写体輝度を算出するためのデータとして、ここではRAW画像データを利用したが、これに代えて、デジタルカメラに専用の測光センサを設けて得られたデータを利用するようにしても構わない。
【0036】
合成処理部31は、撮像制御部であるマイクロコンピュータ45の制御により取得された複数の画像データ(シフト機構23により撮像素子22を移動させて撮像された複数の画像データ)を合成することにより、撮像素子22から得られる画像データよりも高解像度の合成画像データ(以下では適宜、超解像画像などという)を生成する画像合成部である。
【0037】
画像処理部32は、撮像素子22から得られたRAW画像データ(通常画像データ)、または合成処理部31により合成された合成画像データに対して種々の画像処理を行うものであり、同時化処理部33、エッジ強調処理部34、ノイズ低減処理部35を含んでいる。
【0038】
同時化処理部33は、1画素につきRGB成分の内の1色成分のみが存在するベイヤー配列の画像データから、着目画素に存在しない色成分を周辺画素から補間して求めることにより、全画素がRGBの3色成分を全て備える画像データに変換する同時化処理を行う。
【0039】
エッジ強調処理部34は、画像データ(通常画像データまたは合成画像データ)の画素開口に関する特性(後述するように、例えば画素開口率、あるいは画素開口MTF(Modulation Transfer Function)特性など)に基づきエッジ強調パラメータを決定し、決定したエッジ強調パラメータにより画像データ(通常画像データまたは合成画像データ)にエッジ強調処理を行うものとなっている。このエッジ強調処理部34が行うエッジ強調処理については、後で
図14を参照して具体的に説明する。
【0040】
ノイズ低減処理部35は、周波数に応じたコアリング処理などを画像データに行うことによりノイズ低減処理を行う。
【0041】
こうして画像処理部32によって各種の処理が行われた後の画像データは、SDRAM27に再び記憶される。
【0042】
JPEG処理部36は、画像データを記録する際には、SDRAM27から画像データを読み出して、読み出した画像データをJPEG圧縮方式に従って圧縮し、圧縮した画像データをSDRAM27に一旦記憶させる。こうしてSDRAM27に記憶された圧縮した画像データは、マイクロコンピュータ45により、ファイルを構成するために必要なヘッダが付加されて記録用のデータとして整えられる。そして、マイクロコンピュータ45の制御に基づき、整えられた記録用のデータが、メモリI/F41を介して記録媒体42に記録される。
【0043】
また、JPEG処理部36は、読み出された画像データの伸張も行う。すなわち、記録済み画像の再生を行う場合には、マイクロコンピュータ45の制御に基づき、例えばJPEGファイルがメモリI/F41を介して記録媒体42から読み出され、SDRAM27に一旦記憶される。JPEG処理部36は、SDRAM27に記憶されたJPEG画像データを読み出して、読み出したJPEG画像データをJPEG伸張方式に従って伸張し、伸張した画像データをSDRAM27に記憶させる。
【0044】
モニタドライバ37は、SDRAM27に記憶されている画像データを読み出して、読み出した画像データを映像信号へ変換し、モニタ38を駆動制御して映像信号に基づく画像をモニタ38に表示させる。このモニタドライバ37により行われる画像表示には、撮影直後の画像データを短時間だけ表示するレックビュー表示、記録媒体42に記録されたJPEGファイルの再生表示、およびライブビュー表示などが含まれる。
【0045】
モニタ38は、上述したようなモニタドライバ37の駆動制御により、画像を表示すると共に、このデジタルカメラに係る各種の情報を表示する。
【0046】
メモリI/F41は、上述したように、画像データの記録媒体42への書き込み、および記録媒体42からの画像データの読み出しを行う。
【0047】
記録媒体42は、画像データを不揮発に記憶するものであり、例えばカメラ本体2に着脱可能なメモリカード等により構成されている。ただし、記録媒体42は、メモリカードに限定されるものではなく、ディスク状の記録媒体でも構わないし、その他の任意の記録媒体であっても良い。こうして記録媒体42は、デジタルカメラに固有の構成である必要はない。
【0048】
操作部43は、このデジタルカメラに対する各種の操作入力を行うためのものであり、デジタルカメラの電源をオン/オフするめの電源ボタン、画像の撮影開始を指示するための例えば1st(ファースト)レリーズスイッチおよび2nd(セカンド)レリーズスイッチを有して構成されている2段式操作ボタンでなるレリーズボタン、記録画像の再生を行うための再生ボタン、デジタルカメラの設定等を行うためのメニューボタン、項目の選択操作に用いられる十字キーや選択項目の確定操作に用いられるOKボタン等の操作ボタンなどを含んでいる。ここに、メニューボタンや十字キー、OKボタン等を用いて設定可能な項目には、撮影モード(通常撮影モード、画素ずらし超解像撮影モード等)、記録モード(JPEG記録モード、RAW+JPEG記録モード等)などが含まれている。この操作部43に対して操作が行われると、操作内容に応じた信号がマイクロコンピュータ45へ出力される。
【0049】
フラッシュメモリ44は、マイクロコンピュータ45により実行される処理プログラムや、このデジタルカメラに係る各種の情報を不揮発に記憶する記憶媒体である。ここに、フラッシュメモリ44が記憶する情報としては、例えば、画像データの画素開口に関する特性に応じたエッジ強調パラメータ等のデジタルカメラの動作に必要な各種パラメータ、画素ずらし超解像撮影モードにおける画素ずらしの大きさ、方向、順序等の情報、およびデジタルカメラを特定するための製造番号などが幾つかの例として挙げられる。このフラッシュメモリ44が記憶する情報は、マイクロコンピュータ45により読み取られる。
【0050】
マイクロコンピュータ45は、カメラ本体2内の各部を制御すると共に、インタフェース3を介してマイクロコンピュータ15に指令を送信し交換式レンズ1を制御するものであり、このデジタルカメラを統括的に制御する制御部である。マイクロコンピュータ45は、ユーザにより操作部43から操作入力が行われると、フラッシュメモリ44に記憶されている処理プログラムに従って、フラッシュメモリ44から処理に必要なパラメータを読み込んで、操作内容に応じた各種シーケンスを実行する。そして、マイクロコンピュータ45は、上述したシフト機構23により画素ずらしを行った複数の相対位置のそれぞれにおいて撮像素子22に撮像動作を行わせ、複数の画像データを取得する撮像制御部としても機能するようになっている。さらに、マイクロコンピュータ45は、メモリI/F41を介して、合成画像データの画素開口に関する特性(後述するように、例えば画素開口率、または画素開口MTF特性など)を、合成画像データに関連付けて記録する画像記録部としても機能する。
【0051】
次に、
図2はデジタルカメラにおけるメイン処理の流れを示すフローチャートである。この
図2に示す処理は、マイクロコンピュータ45の制御に基づき行われる。
【0052】
操作部43の電源ボタンがオン操作されてデジタルカメラの電源がオンになると、このメイン処理が開始され、まずデジタルカメラの初期化を行う(ステップS1)。
【0053】
次に、マイクロコンピュータ45は、操作部43の再生ボタンが操作されたか否かを判定する(ステップS2)。
【0054】
ここで再生ボタンが操作された場合には、再生・編集処理を行う(ステップS3)。この再生・編集処理は、記録媒体42に記録されているファイルの一覧を表示して、ユーザーからの選択操作を待ち、選択決定されたファイルを再生したり、選択されている画像を編集したりする処理である。
【0055】
ステップS2において再生ボタンが操作されていないか、あるいはステップS3の処理が行われた場合には、操作部43のメニューボタンが操作されて、デジタルカメラに関するカメラ設定が選択されたか否かを判定する(ステップS4)。
【0056】
ここでカメラ設定が選択された場合には、カメラ設定を変更するメニューをモニタ38に表示して、カメラ設定を変更するユーザ操作が操作部43からなされるのを待機する。ここに、カメラ設定の幾つかの例としては、上述したような
撮影モード:通常撮影モード、画素ずらし超解像撮影モード
記録モード:JPEG記録モード、RAW+JPEG記録モード
などが挙げられるが、これらに限るものではない。
【0057】
そして、ユーザ操作がなされた場合には、操作内容に応じてカメラ設定を行う(ステップS5)。
【0058】
ステップS4においてカメラ設定が選択されていないか、あるいはステップS5の処理が行われた場合には、レリーズボタンがオフから1段階目の押圧状態(いわゆる半押状態)である1stレリーズオンの状態へ遷移したか否かを判定する(ステップS6)。
【0059】
ここで1stレリーズオンの状態へ遷移した場合には、この遷移したタイミングにおいて、画像を撮影するための自動露出(AE)制御をAE処理部29により行うと共に、自動焦点制御(AF)をAF処理部28により行う(ステップS7)。これにより、1stレリーズボタンが押圧された以降は、いわゆるAEロックおよびAFロックが行われる。
【0060】
そして、電源ボタンがオフ操作されたか否かを判定し(ステップS8)、オフ操作されていない場合には、ステップS2へ戻って上述したような処理を繰り返して行う。
【0061】
また、上述したステップS6において1stレリーズオンの状態へ遷移していない場合には、レリーズボタンが2段階目の押圧状態である2ndレリーズオンの状態(いわゆる全押状態)となっているか否かを判定する(ステップS9)。
【0062】
ここで、2ndレリーズオンの状態となっていない場合には、メカシャッタ21を開放状態にして、ライブビュー用の自動露出(AE)制御をAE処理部29により行い、電子シャッタによる1フレーム(あるいは1フィールド等)の画像撮影を行う(ステップS10)。
【0063】
こうして撮影された画像に対して、記録画像に対して行う画像処理の幾つかを例えば省略した基本画像処理を行い(ステップS11)、基本画像処理されたフレーム画像をモニタ38にライブビューの1フレームとして表示する(ステップS12)。
【0064】
その後、上述したステップS8の処理へ移行して電源ボタンがオフ操作されたか否かを判定し、オフ操作されていない場合には、ステップS2へ戻って上述したような処理を繰り返して行う。
【0065】
一方、上述したステップS9において、2ndレリーズオンの状態となっている場合には、後で
図3を参照して説明する撮影処理を実行する(ステップS13)。
【0066】
続いて、RAW記録モードが設定されているか否かを判定して(ステップS14)、設定されている場合にはRAW画像を記録媒体42に記録する(ステップS15)。
【0067】
ステップS14においてRAW記録モードが設定されていないか、あるいはステップS15の処理が行われた場合には、撮影により得られた画像に対して、後で
図12を参照して説明するような画像処理を行う(ステップS16)。
【0068】
その後、画像処理された画像をJPEG圧縮して、Exif情報を含むヘッダを付加し、JPEGファイルとして記録媒体42に記録する(ステップS17)。
【0069】
このステップS17の処理が行われたら、上述したステップS8の処理へ移行して電源ボタンがオフ操作されたか否かを判定する。
【0070】
こうして、ステップS8において、電源ボタンがオフ操作された場合には、このメイン処理を終了する。
【0071】
図3は、デジタルカメラにおける撮影処理の流れを示すフローチャートである。
【0072】
この処理を開始すると、撮影モードが画素ずらし超解像撮影モードに設定されているか否かを判定する(ステップS21)。
【0073】
ここで、画素ずらし超解像撮影モードに設定されていない場合には、絞り12を駆動しメカシャッタ21を開いて撮像素子22により露光を行い、画像を1枚撮影する通常の撮影処理を行う(ステップS22)。
【0074】
また、画素ずらし超解像撮影モードに設定されている場合には、レンズ11の光軸に垂直な面内(撮像素子22における複数の画素の2次元状配列面の方向)における撮像素子22のセンタリング位置を設定して(ステップS23)、シフト機構23により撮像素子22を設定したセンタリング位置へ移動する(ステップS24)。
【0075】
ここに、
図4はシフト機構23により移動される撮像素子22のセンタリング位置の例を示す図である。
【0076】
本実施形態においては、あるセンタリング位置に対して画素ピッチの非整数倍で位置が異なるセンタリング位置を含む、例えば8つの異なるセンタリング位置に撮像素子22を移動して、各センタリング位置において画像を撮像し、撮像して得られた8枚の画像を合成することにより1枚の超解像画像を取得するようになっている。
【0077】
そして、画素ピッチをPとすると、
図4に示す例では、センタリング位置A1に対して、センタリング位置A2は右方向に1Pだけずれた位置、センタリング位置A3は右方向に(1/2)Pかつ下方向に(1/2)Pだけずれた位置、センタリング位置A4は左方向に(1/2)Pかつ下方向に(1/2)Pだけずれた位置、センタリング位置A5は下方向に1Pだけずれた位置、センタリング位置A6は右方向に1Pかつ下方向に1Pだけずれた位置、センタリング位置A7は右方向に(1/2)Pかつ下方向に(3/2)Pだけずれた位置、センタリング位置A8は左方向に(1/2)Pかつ下方向に(3/2)Pだけずれた位置となっている。
【0078】
従って、センタリング位置A1に対して、センタリング位置A3,A4,A7,A8は画素ピッチの1/2倍または3/2倍(つまり非整数倍)の移動量の相対位置であるが、センタリング位置A2,A5,A6は画素ピッチの1倍(つまり整数倍)の移動量の相対位置となる。このように、センタリング位置は、画素ピッチの非整数倍の移動量の相対位置を少なくとも1つ含む必要があるが、この条件を満たせば、画素ピッチの整数倍の移動量の相対位置をさらに含んでいても構わない。
【0079】
原色ベイヤー配列の撮像素子22に対してシフト機構23がこの
図4に示すような画素ずらしを行うと、複数の相対位置の内の少なくとも2つの相対位置において、輝度相当色(ここでは緑色)の色フィルタに対応する画素であって、異なる画素の位置が重複するように(つまり、あるセンタリング位置におけるある輝度相当色画素と、他のセンタリング位置における他の輝度相当色画素と、が位置的に重複するように)、複数の相対位置が設定される(
図8および
図9参照)。
【0080】
ただし、
図4に示したセンタリング位置は一例であり、その他の配置や、8以外のセンタリング位置数を採用しても勿論構わない。
【0081】
そして、移動したセンタリング位置において、絞り12を駆動しメカシャッタ21を開いて撮像素子22により露光を行い、画像を1枚撮影する(ステップS25)。
【0082】
続いて、
図4に示したような8つのセンタリング位置A1〜A8での処理が全て終了したか否かを判定し(ステップS26)、まだ終了していない場合にはステップS23へ戻って、次のセンタリング位置の処理を行う。
【0083】
こうして、ステップS26において、全てのセンタリング位置の処理が終了した場合には、撮影により得られた8枚の画像を、合成処理部31により合成処理し、1枚の超解像画像を生成する(ステップS27)。
【0084】
ステップS27または上述したステップS22の処理が終了したら、ステップS27で得られた超解像画像に対しては超解像画像である旨の画像処理識別情報を設定し、ステップS22で得られた画像に対しては通常画像である旨の画像処理識別情報を設定して(ステップS28)、設定した画像処理識別情報をExif情報に付加して(ステップS29)、この処理から
図2に示す処理へリターンする。
【0085】
なお、画像処理識別情報の例としては、画素ずらし超解像撮影モードで撮影された画像であるか否かの情報、画素開口率とサンプリングピッチの相対関係の情報、画素開口MTFに基づき決定されたエッジ強調度、などが挙げられる。また、Exif情報は、上述した
図2のステップS17の処理において、画像ファイルのヘッダに組み込まれて記録媒体42へ記録されることになる。
【0086】
次に、
図5は、合成処理部31の構成を示すブロック図である。
【0087】
合成処理部31は、画素配置部51と、画素補間部52と、加算部53と、半値化部54と、ベイヤ画像抽出部55と、を備えている。
【0088】
画素配置部51は、画素ずらし超解像撮影モードにおいて取得された8枚のベイヤ画像(RAW画像)を、R成分、Gr成分、Gb成分、B成分にそれぞれ分離して、センタリング位置A1〜A8に応じて配置するものである。
【0089】
ここに、
図6は撮影で撮像素子22から得られたベイヤ画像におけるR,Gr,Gb,B画素の基本的な画素配置を示す図、
図7は8枚分の
図6に示す画素配置から画素配置部51により得られたR画素配置を示す図、
図8は8枚分の
図6に示す画素配置から画素配置部51により得られたGr画素配置を示す図、
図9は8枚分の
図6に示す画素配置から画素配置部51により得られたGb画素配置を示す図、
図10は8枚分の
図6に示す画素配置から画素配置部51により得られたB画素配置を示す図である。
【0090】
画素配置部51は、
図6に示すような基本的な画素配置を繰り返して構成されている8枚のベイヤ画像から、R成分を抽出して
図4に示したセンタリング位置A1〜A8に応じて再配置し、
図7に示すような4×4画素配列中にR1〜R8画素が配列された画素配置のR合成画像を生成する。同様に、画素配置部51は、8枚のベイヤ画像から、Gr,Gb,B成分を各抽出して、センタリング位置A1〜A8に応じて再配置し、
図8,
図9,
図10に各示すような画素配置のGr合成画像,Gb合成画像,B合成画像をそれぞれ生成する。
【0091】
画素補間部52は、周辺のR画素に基づき、
図7に示すx1〜x4画素位置の画素を補間して、R’1〜R’4画素とする。同様に、画素補間部52は、周辺のB画素に基づき、
図10に示すy1〜y4画素位置の画素を補間して、B’1〜B’4画素とする。
【0092】
この画素補間部52による画素補間は、例えば周辺4画素補間を行う場合には、次の数式1,2に示すように表すことができる。
[数1]
R’1=(R1+R4+(上R8)+(左R2))/4
R’2=(R1+R2+R3+(上R7))/4
R’3=(R4+R5+R8+(左R6))/4
R’4=(R3+R5+R6+R7)/4
[数2]
B’1=(B6+B7+B8+B2)/4
B’2=(B5+B8+B1+(右B7))/4
B’3=(B2+B3+B4+(下B6))/4
B’4=(B1+B4+(右B3)+(下B5))/4
ここに、数式1,2中の「上」、「左」、「右」、「下」は、
図7または
図10に示す4×4画素配列の、上側に位置する4×4画素配列、左側に位置する4×4画素配列、右側に位置する4×4画素配列、下側に位置する4×4画素配列をそれぞれ表している。
【0093】
加算部53は、
図8に示すGr合成画像と、
図9に示すGb合成画像とを、対応する画素位置同士で加算する。
【0094】
半値化部54は、加算部53により加算されたGrGb合成画像を2で割る。
【0095】
つまり、加算部53および半値化部54により、
図8に示すGr合成画像と、
図9に示すGb合成画像とが、平均化される。この平均化の処理は、次の数式3に示すように表すことができる。
[数3]
G’1=(Gr2+Gb5)/2
G’2=(Gr1+Gb6)/2
G’3=(Gr3+Gb8)/2
G’4=(Gr4+Gb7)/2
G’5=(Gr6+Gb1)/2
G’6=(Gr5+Gb2)/2
G’7=(Gr7+Gb4)/2
G’8=(Gr8+Gb3)/2
【0096】
こうして、合成処理部31は、重複する位置において取得した輝度相当色(ここでは緑色)の複数の画素データを平均して、この重複する位置における合成後の画素データとすることにより、ノイズを低減して高画質化を図るようにしている。
【0097】
ベイヤ画像抽出部55は、画素補間部52により補間されたR’1〜R’4画素、およびB’1〜B’4画素と、半値化部54から出力された平均化されたGrGb合成画像とを、1枚の高解像度のベイヤ画像として合成し、出力する。
【0098】
ここに、
図11は合成処理部31により合成された高解像度のベイヤ画像の画素配置を示す図である。
【0099】
図11と
図6を比較すれば分かるように、画素ずらし超解像撮影モードにおいては、水平方向に2倍かつ垂直方向に2倍の解像度の超解像画像が得られるようになっている。
【0100】
次に
図12は、デジタルカメラにおける画像処理の流れを示すフローチャートである。
【0101】
この処理に入ると、マイクロコンピュータ45が画像処理に用いるパラメータをフラッシュメモリ44から読み出して、画像処理部32に設定する(ステップS31)。このステップS31において設定されるパラメータとしては、上述したような、画像データの画素開口に関する特性(画素開口率、画素開口MTF特性など)に応じたエッジ強調パラメータが含まれている。なお、画素開口率、あるいは画素開口MTF特性は、撮影モードが通常撮影モードと画素ずらし超解像撮影モードとの何れであるかに応じて値が定まってくるために、実用上は、撮影モードに応じてエッジ強調パラメータを設定しても構わない(
図13参照)。
【0102】
そして、画像処理部32により、設定されたパラメータに基づく画像処理を行う(ステップS32)。
【0103】
この画像処理は、以下の処理を含んでいる。
【0104】
まず、同時化処理部33が、1画素につきRGB成分の内の1色成分のみが存在するベイヤー配列の画像データから、着目画素に存在しない色成分を周辺画素から補間して求めることにより、全画素がRGBの3色成分を全て備える画像データに変換する同時化処理を行う。
【0105】
続いて、エッジ強調処理部34が、バンドパスフィルタにより画像データからエッジ成分を抽出して、抽出したエッジ成分にエッジ強調度に応じた係数(エッジ強調パラメータ)を乗算し、元の画像データに加算することにより、エッジ強調処理を行う。
【0106】
さらに、ノイズ低減処理部35が、画像データを周波数分解して、周波数に応じてコアリング処理などを行うことによりノイズ低減処理を行う。
【0107】
こうしてステップS32の画像処理を行ったら、この処理から
図2に示す処理へリターンする。
【0108】
図14は、エッジ強調処理部34の構成を示すブロック図である。
【0109】
この
図14に示す構成例では、エッジ強調処理部34は、フィルタ演算部61と、乗算部62と、加算部63と、を備えている。
【0110】
フィルタ演算部61は、同時化処理部33から入力される同時化後のR画像、G画像、B画像のそれぞれに対して、注目画素位置を中心とした例えば3×3画素の画素ブロックを抽出し、抽出した3×3画素に対して、例えば
図14に示すような3行3列の行列でなるエッジ抽出フィルタfeを作用させて、注目画素位置のエッジ成分を抽出する。
【0111】
乗算部62は、フィルタ演算部61により抽出された注目画素位置のエッジ成分に対して、エッジ強調パラメータαを乗算することにより、エッジ強調度を調整する。
【0112】
加算部63は、乗算部62から出力された調整後の注目画素位置のエッジ成分を、元の注目画素の画素データに加算することでエッジ強調を行い、エッジ強調結果を出力する。
【0113】
このような処理を例えばラスタスキャンの順序で注目画素位置を移動させながら全ての画素位置について行うことにより、エッジ強調処理が完了する。
【0114】
なお、ここでは同時化後のR画像、G画像、B画像のそれぞれに対してエッジ強調処理を行ったが、例えば画像データが輝度−色差データに変換された後であれば、輝度データのみに対してエッジ強調処理を行うようにしても構わない。
【0115】
ここで、
図13は、合成画像データの画素開口に関する特性に応じてエッジ強調パラメータαを決定する例を示す図表である。
【0116】
画像処理部32のエッジ強調処理部34は、合成処理部31により生成された合成画像データの画素開口に関する特性に基づきエッジ強調パラメータαを決定するようになっている。
【0117】
まず、通常の1枚撮影により得られる通常画像と、
図4に示したような画素ずらしにより得られる超解像画像とは、
図15および
図16に示すように画素ピッチ(サンプリングピッチ)が変化する。ここに、
図15は通常の1枚撮影により得られる通常画像の画素ピッチPおよび画素開口幅Aを示す図、
図16は画素ずらしにより得られる超解像画像の画素ピッチP’および画素開口幅Aを示す図である。
【0118】
図15に示す例においては、画素ピッチPが3.85μm、画素開口幅Aが2.89μmである。従って、通常画像の画素開口率は、
A/P=2.89/3.85=75%
となる。
【0119】
なお、ここでは画素開口率を、1次元方向の画素開口率、つまりサンプリングピッチに対する1次元方向の画素開口長さの比率で表しているが、一般的な画素開口率の定義と同様に2次元における画素開口率、つまり撮像面の面積を画素数で割って得られる1画素分の面積に対する画素開口の面積の比率で表しても勿論構わない。
【0120】
一方、
図15に示すような画素構成の撮像素子22に対して
図4に示したような画素ずらしを行うと、
図16に示すように画素ピッチP’が
図15に示した画素ピッチPの半分の1.92μmとなるために、超解像画像の画素開口率は、
A/P’=2.89/1.92=150%
となる。従って、超解像画像では画素開口率が100%を超えてしまうことになる。
【0121】
このような場合には、
図17に示すように、同一の画像空間周波数における画素開口MTFが、超解像画像Sでは通常画像Nに比べて大幅に低下してしまうことになる。ここに、
図17は、超解像画像Sおよび通常画像Nの、画像空間周波数に対する画素開口MTFの例を示す線図である。
【0122】
画素開口によるMTFは、画像空間周波数をu、画素開口率をaとすると、次の数式4に示すように表される。
[数4]
MTF(u)={sin(a×u×π)}/(a×u×π)
【0123】
そして、
図17に示すように、超解像画像SのMTFは、通常画像NのMTFに比べて、画像空間周波数が増加するに従って大きく低下し、画像のコントラストが下がっていることが分かる。具体例として、0.3(本/水平または垂直画素数)の画像空間周波数における画素開口MTFは、通常画像Nが約0.9(90%)であるのに対して、超解像画像Sは約0.7(70%)となり、超解像画像Sの方が大幅に低下している。
【0124】
そこで、本実施形態においては、
図13に一例を示すように、エッジ強調パラメータαを、合成画像データの画素開口に関する特性に応じて変化させている。
【0125】
すなわち、エッジ強調処理部34は、画素開口率が75%(あるいは0.3(本/水平または垂直画素数)の画像空間周波数における画素開口MTFが0.9)である場合には、エッジ強調パラメータαを0.1に決定し、一方、画素開口率が150%(あるいは0.3(本/水平または垂直画素数)の画像空間周波数における画素開口MTFが0.7)である場合には、エッジ強調パラメータαを0.45に決定する。
【0126】
なお、
図13においては、合成画像データの画素開口に関する特性の例として、画素開口率、あるいは画素開口MTF特性を挙げているが、これらに限定されるものではない。そして、上述したように、撮影モードに応じてエッジ強調パラメータαを決定しても構わない。
【0127】
こうして、エッジ強調処理部34は、決定したエッジ強調パラメータαにより画像データ(通常画像データまたは合成画像データ)にエッジ強調処理を行うようになっている。
【0128】
図18は、画像空間周波数に対するエッジ強調処理MTFの例を示す線図である。
【0129】
エッジ強調パラメータαを用いてエッジ強調処理を行うと、エッジ強調処理MTFは、画像空間周波数が増加するに従って増加するが、エッジ強調パラメータαの値が大きいと、より高い増加率を示す。具体的に
図18に示す例では、画像空間周波数が0である場合にはα=0.45とα=0.1との何れもエッジ強調処理MTFが1.0であるが、画像空間周波数が増加するに従って、α=0.45のエッジ強調処理MTFの方がα=0.1のエッジ強調処理MTFよりも高い値となる。
【0130】
システム全体のMTFは、システムを構成する各部のMTFの乗算により表されるために、
図17に示すような画素開口MTFに、
図18に示すようなエッジ強調処理MTFを乗算すると、
図19に示すようなMTFが得られる。ここに
図19は、画像空間周波数に対する画素開口MTF×エッジ強調処理MTFの例を示す線図である。
【0131】
α=0.1のエッジ強調処理を行うと、
図17と
図19とを見比べれば分かるように、通常画像Nおよび超解像画像Sの何れも、MTFが幾らか改善する(ひいては、鮮鋭度も幾らか改善する)。ただし、通常画像Nについてはαを0.1よりも大きくすると、MTFが1を超える可能性があり、過剰なエッジ強調になると考えられる。これに対して、超解像画像SについてはMTFに更なる改善の余地がある。
【0132】
そこで、超解像画像Sについてはα=0.45のエッジ強調処理(つまり、通常画像Nよりも強めのエッジ強調処理)を行うようにしている。この場合には、超解像画像SのMTFは、0〜0.2(本/水平または垂直画素数)の画像空間周波数までは、通常画像NのMTFにほぼ遜色のない1の値をとり、0.2(本/水平または垂直画素数)の画像空間周波数を超えても、α=0.1のエッジ強調処理の場合よりはMTFの大幅な改善を示している。従って、より好ましい解像感が得られることが分かる。
【0133】
ただし、エッジ強調度を強くするとノイズも増幅されてしまうが、上述したように、G成分についてはGr成分とGb成分との平均値を用いてS/Nを向上しているために、エッジ強調によるノイズ増幅分をある程度キャンセルすることが可能である。
【0134】
エッジ強調パラメータαとして、どの程度の値をとれば良いかは、合成画像データの画素開口に関する特性に応じて異なる。そこで、エッジ強調処理部34は、例えば
図20または
図21に示すようにエッジ強調パラメータαを決定するようになっている。
【0135】
まず、
図20は画素開口率に応じてエッジ強調パラメータαを決定する例を示す線図である。
【0136】
合成画像データの画素開口に関する特性として画素開口率を用いる場合には、エッジ強調処理部34は、エッジ強調パラメータαを、画素開口率が初期値A0から増加するに従って単調増加するように決定する。
【0137】
また、
図21は画素開口MTFに応じてエッジ強調パラメータαを決定する例を示す線図である。
【0138】
合成画像データの画素開口に関する特性として画素開口MTF特性を用いる場合には、エッジ強調処理部34は、エッジ強調パラメータαを、画素開口MTF特性が初期値MTF0から増加するに従って単調減少するように決定する。
【0139】
なお、上述では、撮像装置であるデジタルカメラ内においてエッジ強調処理を行ったが、これに限るものではない。例えば、合成画像データの画素開口に関する特性を合成画像データに関連付けて記録媒体42に記録し、記録媒体42に記録された合成画像データ、および合成画像データの画素開口に関する特性をパーソナルコンピュータ等の外部装置で読み込んで、パーソナルコンピュータ上で画像処理プログラムを実行することにより、上述したようなエッジ強調処理を行うようにしても良い。あるいは、合成画像および画素開口に関する特性を記録するのに代えて、合成画像を生成する元となった複数枚(上記例では8枚)のRAW画像データと画素ずらしにおける移動量と画素開口に関する特性とを記録して、外部装置で画像合成処理およびエッジ強調処理を行うようにしても構わない。
【0140】
このような実施形態1によれば、合成画像データの画素開口に関する特性に基づきエッジ強調パラメータを決定し、決定したエッジ強調パラメータにより合成画像データにエッジ強調処理を行うようにしたために、画素ずらしした複数の画像から合成画像を得る際に、画素開口の影響による解像度劣化を軽減して、鮮鋭度が高い合成画像を生成することが可能となる。
【0141】
また、合成画像データの画素開口に関する特性を合成画像データに関連付けて記録媒体42等に記録する場合には、コンピュータ等の外部装置において、合成画像データの画素開口に関する特性に基づきエッジ強調パラメータを決定し、決定したエッジ強調パラメータにより合成画像データにエッジ強調処理を行うことができる。そして、この場合にも、デジタルカメラ内でエッジ強調処理を行う場合と同様に、画素開口の影響による解像度劣化を軽減して、鮮鋭度が高い合成画像を生成することが可能となる。
【0142】
さらに、画素開口に関する特性として画素開口率を用い、エッジ強調パラメータαを画素開口率の増加に従って単調増加するように決定することで、画素開口率の値に応じた、より鮮鋭度が高い合成画像を得ることができる。
【0143】
一方、画素開口に関する特性として画素開口MTF特性を用い、エッジ強調パラメータαを画素開口MTF特性の増加に従って単調減少するように決定するで、画素開口MTF特性の値に応じた、より鮮鋭度が高い合成画像を得ることができる。
【0144】
そして、シフト機構23が、複数の相対位置の内の少なくとも2つの相対位置において、輝度相当色の色フィルタに対応する画素であって、異なる画素の位置が重複するように、複数の相対位置を設定するようにしたために、重複する複数の画素の内の何れかの画素を適切に用いて(つまり、不適切であると考えられる画素値は除外して、適切な画素値のみを用いて)高画質化を図ること、または重複する複数の画素の内の2つ以上の画素を用いて(例えば、平均値や中央値などの値をとることにより)画素値の適正化を図りひいては高画質化を図ることが可能となる。
【0145】
このとき、合成処理部31が、重複する位置において取得した輝度相当色の複数の画素データを平均して、重複する位置における合成後の画素データとすることで、簡単な演算でS/Nを向上することができ、エッジ強調処理によるノイズの増大を相殺して、より高画質化された合成画像を確実に得ることができる。
[実施形態2]
【0146】
図22から
図24は本発明の実施形態2を示したものであり、
図22は空間周波数に対するレンズMTFの例を示す線図である。ここに、
図22においては、空間周波数の単位として(本/mm)を用いている。
【0147】
この実施形態2において、上述の実施形態1と同様である部分については同一の符号を付すなどして説明を適宜省略し、主として異なる点についてのみ説明する。
【0148】
上述した実施形態1では、エッジ強調処理部34は、エッジ強調パラメータαを合成画像データの画素開口MTF特性に基づいて決定していた。これに対して、この実施形態2においては、エッジ強調処理部34は、エッジ強調パラメータαを、合成画像データの画素開口MTF特性だけでなく、さらに、撮像に用いたレンズ11のMTF特性にも基づいて決定するようにしている。
【0149】
図22に示すレンズMTFは、空間周波数0において100%をとり、空間周波数が増加するに従って単調減少する。そして、通常画像のナイキスト周波数NF0(
図22に示す例では、空間周波数は約130(本/mm))において約35%、超解像画像のナイキスト周波数NF1(
図22に示す例では、空間周波数は約260(本/mm))において約15%をとる。
【0150】
レンズ11の光学特性に
図22に示したようなMTF劣化がある場合、通常画像Nと超解像画像Sとでは、サンプリング周波数の違いにより画像に表れるMTF特性が異なる。
【0151】
ここに、
図23は、横軸が画像空間周波数となるように
図22のレンズMTFを変換した線図である。
【0152】
画像空間周波数が0であるときを除いて、同一の画像空間周波数においては、超解像画像SのレンズMTFよりも、通常画像NのレンズMTFが大きい値となる。このような場合には、画素開口MTFだけでなく、さらにレンズMTFを考慮する必要がある。
【0153】
図24は、画像空間周波数に対するレンズMTF×画素開口MTF×エッジ強調処理MTFの例を示す線図である。
【0154】
この
図24に示す例においては、レンズMTF×画素開口MTF×エッジ強調処理MTFが最適化されるように(つまり、なるべく広い範囲の画像空間周波数において100%に近いMTFが得られるように)エッジ強調パラメータαを選択しており、具体的には、エッジ強調処理部34は、通常画像Nに対してα=1.35を決定し、超解像画像Sに対してα=4.9を決定している。
【0155】
このように、撮像して得られた複数枚の画像から合成される合成画像は、撮像に用いられるレンズ11の影響も受けるために、レンズMTFをさらに考慮することで、鮮鋭度をより適切に高めることができる。
【0156】
なお、レンズMTF特性は、固定式レンズでなく
図1に示したような交換式レンズ1を用いる場合には、レンズ型番毎に(あるいはさらにレンズ個体毎に)異なることになる。加えて、レンズMTF特性は、撮影条件(ズーム位置、絞り12の絞り値など)によっても異なる。このために、エッジ強調パラメータαを決定する際には、これら全ての条件を考慮することが好ましい。すなわち、フラッシュメモリ44に記憶するエッジ強調パラメータαは、例えば、画素の開口に関する特性、レンズMTF、ズーム位置、絞り値などをパラメータとするテーブル、あるいは数式などとして記憶すると良い。
【0157】
また、本実施形態において、パーソナルコンピュータ等の外部装置でエッジ強調処理を行う場合には、さらにレンズMTF特性を、合成画像データあるいは複数枚のRAW画像データに関連付けて記録媒体42に記録することになる。
【0158】
このような実施形態2によれば、上述した実施形態1とほぼ同様の効果を奏するとともに、エッジ強調処理部34が、エッジ強調パラメータαを、合成画像データの画素開口に関する特性に加えて、さらに撮像に用いたレンズのMTF特性に基づき決定するようにしたために、より一層鮮鋭度を高めた高画質の合成画像を得ることが可能となる。
【0159】
なお、上述では主として撮像装置について説明したが、上述した撮像装置と同様の処理を行う画像処理方法であっても良いし、該画像処理方法をコンピュータに実行させるための画像処理プログラム、該画像処理プログラムを記録するコンピュータにより読み取り可能な一時的でない記録媒体、等であっても構わない。
【0160】
また、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明の態様を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。このように、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることは勿論である。