(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プロファイルデータを解析し、外周端近傍の表面において前記文字が存在しない無地領域の高さHo、及び前記表面の中心側において前記文字が存在しない無地領域の高さHiを抽出し、Ho及びHiの関係から前記表面の基準高さを算出し、前記プロファイルデータから前記基準高さに応じた相対高さプロファイルデータを取得する相対高さプロファイルデータ取得手段を備え、
前記データ変換手段では、前記相対高さプロファイルデータを画像濃淡データに変換することを特徴とする請求項3または4に記載の文字読み取り装置。
前記三次元計測手段が測定する前記表面に対し可視光を照射して前記表面を撮像し、前記表面のイメージを撮像記憶する撮像記憶手段を備えることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の文字読み取り装置。
前記測定対象物に形成される文字のイメージ及び並び規則を予め記憶し、前記記憶したイメージ及び並び規則に基づいて前記文字の判別を行う文字判別手段を備えることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の文字読み取り装置。
前記表面の前記文字領域のうち前記読み取り対象外の文字領域を検知する代わりに、前記読み取り対象の文字程度の高さの文字を除去して、前記文字が存在しない無地領域を検知し、この検知した無地領域の位置から測定対象の文字が形成される文字形成予定領域の周方向位置を特定することを特徴とする請求項12に記載の文字読み取り装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の文字読み取り装置では、鋳物に形成された鋳出し文字に対して、三次元計測手段を用いて表面凹凸高さのデータを計測し、画像イメージに変換して文字の判別を行っているが、以下の理由により、円柱状である鋳物(測定対象物)を軸芯方向から見たときの表面に適用するのは困難である。
【0007】
特許文献1に記載の文字読み取り装置は、ベルトコンベアによって鋳物を搬送して鋳物に形成された鋳出し文字を読み取る構成であり、鋳鉄管のフランジ面の円周に沿って形成された鋳出し文字を読み取ることは困難である。
【0008】
また、前述の文字読み取り装置は、文字を判別するために、二次元画像データを二値化して文字数字イメージを単純化しているが、二次元画像データが不明瞭な画像データである場合、二値化処理を行うと画像データの劣化が大きくなるため、文字の読み取りが困難となる。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、円柱状である測定対象物を軸芯方向から見たときの表面において外周円に沿い表面に対する凹凸により形成された文字を読み取ることが可能な文字読み取り装置、及び文字読み取り方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の文字読み取り装置は、円柱状である測定対象物を軸芯方向から見たときの表面において外周円に沿うように表面に対する凹凸により形成された文字を光切断法により計測する三次元計測手段と、該三次元計測手段により前記測定対象物の前記表面の高さデータを測定可能な位置に前記測定対象物を配置するとともに、前記測定対象物を軸芯周りに一定方向に回転させる測定台と、該測定台に載置された前記測定対象物の前記表面の外周側から中心側までの所定の区間を、前記三次元計測手段により走査することにより、前記表面の外周側から中心側までの凹凸の高さを測定し、高さのプロファイルデータを形成する高さ測定手段と、該高さ測定手段を用いて、前記表面の中心側の点を中心点として一定微小変位角ごとに前記プロファイルデータを取得するプロファイルデータ取得手段と、該プロファイルデータ取得手段により得られたプロファイルデータを画像濃淡データに変換するデータ変換手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の文字読み取り装置の一態様は、前記プロファイルデータ取得手段において、前記プロファイルデータの取得を前記表面の周方向に一周行い、取得した前記画像濃淡データをマッピングし、前記表面のプロファイルデータから生成した二次元処理画像を取得する二次元処理画像取得手段を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の文字読み取り装置の一態様は、前記プロファイルデータを解析し、高さデータの値が急激に変化した点を、背景から前記表面を示す高さに変化した外周端として検出する外周端検出手段を備え、前記データ変換手段では、前記プロファイルデータを直交座標変換した後に画像濃淡データに変換し、前記二次元処理画像取得手段では、前記外周端の前記プロファイルデータを予め割り付けられた位置に割り付けし、前記表面の二次元処理画像を取得することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の文字読み取り装置の一態様は、前記プロファイルデータを解析し、高さデータの値が急激に変化した点を、背景から前記表面を示す高さに変化した外周端として検出する外周端検出手段を備え、前記データ変換手段では、前記プロファイルデータまたは前記画像濃淡データを直交座標変換し、前記二次元処理画像取得手段では、前記プロファイルデータで検出した外周端を基準に前記画像濃淡データを予め割り付けられた位置にマッピングし、前記表面の二次元処理画像を取得することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の文字読み取り装置の一態様は、前記プロファイルデータを解析し、外周端近傍の表面において前記文字が存在しない無地領域の高さHo、及び前記表面の中心側において前記文字が存在しない無地領域の高さHiを抽出し、Ho及びHiの関係から前記表面の基準高さを算出し、前記プロファイルデータから前記基準高さに応じた相対高さプロファイルデータを取得する相対高さプロファイルデータ取得手段を備え、前記データ変換手段では、前記相対高さプロファイルデータを画像濃淡データに変換することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の文字読み取り装置の一態様は、前記プロファイルデータ取得手段において、前記プロファイルデータの取得を前記表面の周方向に一周行い、さらに周方向に取得を継続し、前記表面において前記文字が存在しない無地領域が所定の範囲以上継続したときに前記プロファイルデータの収集を終了することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の文字読み取り装置の一態様は、前記測定台により前記測定対象物の回転が所定回転速度に達したときに、前記プロファイルデータの収集を開始する測定開始手段を備えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の文字読み取り装置の一態様は、前記測定対象物の周速を測定するエンコーダを備え、該エンコーダの測定結果に基づいて、前記一定微小変位角に対応する、前記測定対象物の回転量ごとに前記プロファイルデータを取得することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の文字読み取り装置の一態様は、前記三次元計測手段を前記軸芯方向に対して垂直方向に移動可能な移動手段を備え、該移動手段は、前記測定対象物の表面の径の大きさに応じて前記三次元計測手段を所定の位置に移動させることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の文字読み取り装置の一態様は、前記三次元計測手段が測定する前記表面に対し可視光を照射して前記表面を撮像し、前記表面のイメージを撮像記憶する撮像記憶手段を備えることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の文字読み取り装置の一態様は、前記撮像記憶手段により撮像された画像と前記二次元処理画像に対し、同時刻のタイムスタンプを背景に挿入することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の文字読み取り装置の一態様は、前記測定対象物に形成される文字のイメージ及び並び規則を予め記憶し、前記記憶したイメージ及び並び規則に基づいて前記文字の判別を行う文字判別手段を備えることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の文字読み取り装置の一態様は、前記文字判別手段において、前記二次元処理画像に対し、前記表面の前記文字領域のうち読み取り対象外の文字領域を検知することにより、測定対象の文字が形成される文字形成予定領域の周方向位置を特定し、該文字形成予定領域に対して文字の膨張処理を行い、測定対象の文字領域における文字高さに基づいて二値化処理を行い、前記測定対象の文字領域における、文字列の中心位置と前記文字列の方向とを検知して文字切り出しを行い、文字読み取りを行うことを特徴とする。
【0023】
また、本発明の文字読み取り装置の一態様は、前記表面の前記文字領域のうち前記読み取り対象外の文字領域を検知する代わりに、前記読み取り対象の文字程度の高さの文字を除去して、前記文字が存在しない無地領域を検知し、この検知した無地領域の位置から測定対象の文字が形成される文字形成予定領域の周方向位置を特定することを特徴とする。
【0024】
また、本発明の文字読み取り装置の一態様は、読み取り対象の前記文字の読み取りができないときに、読み取り対象の文字領域を含む他の文字形成予定領域に対して文字の読み取りを行うことを特徴とする。
【0025】
また、本発明の文字読み取り装置の一態様は、前記文字切り出しを行うときに、行方向の高さを示す行累積プロファイルデータを生成し、行累積プロファイルデータに所定の閾値を設定することにより列方向の位置を特定するとともに、列方向の高さを示す列累積プロファイルデータを生成し、列累積プロファイルデータに所定の閾値を設定することにより行方向の位置を特定することにより、文字1文字ごとに文字を切り出すことを特徴とする。
【0026】
本発明の文字読み取り方法は、円柱状である測定対象物を軸芯方向から見たときの表面において外周円に沿うように表面に対する凹凸により形成された文字を読み取る文字読み取り方法であって、光切断法を用いた三次元計測手段により前記測定対象物の表面の高さデータを測定可能な位置になるように、前記測定対象物を一定方向に定周速度で回転可能な測定台に配置し、前記測定台に載置された前記測定対象物の表面の外周側から中心側までの所定の区間を、前記三次元計測手段を用いて走査することにより、前記表面の外周側から中心側までの表面の凹凸の高さを測定し、高さのプロファイルデータを形成し、さらに、前記表面の中心側の点を中心点として一定微小変位角ごとに前記プロファイルデータを取得し、この得られたプロファイルデータを画像濃淡データに変換することを特徴とする。
【0027】
また、本発明の文字読み取り方法の一態様は、前記プロファイルデータを解析し、高さデータの値が急激に変化した点を、背景から前記表面を示す高さに変化した外周端として検出し、前記プロファイルデータを解析し、前記表面の外周端近傍において前記文字が存在しない無地領域の高さHo、及び前記表面の中心側において前記文字が存在しない無地領域における無地高さHiを抽出し、Ho及びHiの関係から前記表面の基準高さを算出し、前記プロファイルデータから前記基準高さに応じた相対高さプロファイルデータを取得することを特徴とする。
【0028】
また、本発明の本発明の文字読み取り方法の一態様は、前記プロファイルデータを取得するときに、前記プロファイルデータの取得を前記表面の周方向に一周行い、取得した前記画像濃淡データをマッピングし、前記表面の二次元画像処理を取得することを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、円柱状である測定対象物を軸芯方向から見たときの表面において外周円に沿い表面に対する凹凸により形成された文字を読み取ることが可能な文字読み取り装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態である文字読み取り装置、及び文字読み取り方法について説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一又は対応する要素には適宜同一の符号を付し、重複した説明を適宜省略する。さらに、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0032】
本発明の実施形態に係る文字読み取り装置、及び文字読み取り方法は、例えば鋳鉄管のフランジ面に記載されている管理番号などの鋳出し文字を読み取るためのものである。なお、本明細書において文字とは、記号や数字なども含むものとする。
図1(a)に本発明の実施形態に係る文字読み取り装置が測定の対象とする鋳鉄管10の概略図を示す。鋳鉄管10は、
図1(a)に示すように、一方向に円筒状に延在する直管部11を備え、この直管部11の一端に受け口12が形成され、直管部11の他端に挿し口13が形成されている。
【0033】
受け口12は、フランジ部20を有しており、このフランジ部20のフランジ面20aには、
図1(b)に2種類のフランジ部20について示すように、鋳鉄管10の管理番号である鋳出し文字が、表面に対して凸状に形成されている。なお、
図1(c)は、
図1(b)の模式図である。
図1(c)において、破線部で示す領域に記載されている文字が、鋳鉄管10の各個体を示す管理番号である。
フランジ面20aには、管理番号の他に、鋳鉄管10の種類を示す文字など、管理番号以外の文字も記載されている。本実施形態では、管理番号を示す文字を読み取りの対象としている。鋳鉄管10(フランジ面20a)の表面は、表面処理が施されることがあり、
図1(b)の左のフランジは、黒塗料を塗布したものを示し、
図1(b)の右側のフランジは、グレー塗料を塗布したものを示している。
【0034】
なお、鋳出し文字のフォントは鋳鉄管10の種類によらず一定である。ただし、鋳鉄管10の種類により、位置や記載フォーマットが異なっている。例えば、
図1(b)の左側のK100は、2行3列の文字で管理番号が記載されており、
図1(b)の右側のNS100は、1行6列の文字で管理番号が記載されている。
【0035】
次に、本発明の実施形態に係る文字読み取り装置1について説明する。文字読み取り装置1は、三次元計測手段40を用いて高さのプロファイルデータを形成し、このプロファイルデータを画像濃淡データに変換し、画像濃淡データによる二次元処理画像を得る。そして、この高さのプロファイルデータから生成した二次元処理画像から文字を読み取るものである。
【0036】
文字読み取り装置1は、例えば、測定台30(検査台)と、三次元計測手段40(三次元計測装置)と、CCDカメラ及びCCDカメラコントローラ51と、端末画像取込装置52と、OCRサーバ53と、二次元処理画像NAS54と、CCD画像NAS55と、ネットワーク56と、高さ測定手段と、プロファイルデータ取得手段と、データ変換手段と、を備えている(
図2、3参照)。また、文字読み取り装置1は、外周端検出手段、相対高さプロファイルデータ取得手段、二次元処理画像取得手段、測定開始手段、エンコーダ34、移動手段60、及び文字判別手段のうち一つ以上を有していても良い。
【0037】
図2は、本発明の実施形態に係る文字読み取り装置1が備える測定台30の概略説明図である。なお、
図2の上側の図は、測定台30に鋳鉄管10を配置した状態を示す平面図、
図2の下側の図は、測定台30に鋳鉄管10を配置した状態を示す側面図である。
測定台30は、
図2に示すように、鋳鉄管寄せ機構31と、鋳鉄管回転機構32と、寄せ位置確認センサー33と、エンコーダ34とを備えている。
【0038】
鋳鉄管寄せ機構31は、少なくとも鋳鉄管10の長手方向の2か所をリフトするリフト機能を有しており、鋳鉄管10を三次元計測手段40の計測範囲内に寄せることができるようになっている。
鋳鉄管回転機構32は、少なくとも2つの回転部を有しており、この回転部により鋳鉄管10が軸芯回りに回転するようになっている。また、この回転部は、鋳鉄管10を所定の位置に保持する機能も有している。
【0039】
寄せ位置確認センサー33は、鋳鉄管10を三次元計測手段40側に寄せる際に、鋳鉄管10の位置を確認するためのものであり、予め所定の位置に配置されている。
エンコーダ34は、鋳鉄管10が鋳鉄管回転機構32により回転するときに、鋳鉄管10の回転速度を測定するためのものである。
【0040】
図3は、本発明の実施形態に係る文字読み取り装置1の構成の一部を示す概略図である。
三次元計測手段40は、円柱状である測定対象物を軸芯方向から見たときの表面において外周円に沿うように表面に対する凹凸により形成された文字を光切断法により計測するためのものである。この三次元計測手段40を用いて測定対象物の表面上を走査することにより、測定面の高さのデータを取得することができる。本実施形態においては、鋳鉄管10のフランジ面20aの凹凸の高さプロファイルデータ(測定データ)を取得している。三次元計測手段40は、例えば3Dカメラと3Dカメラコントローラとを有している。
測定開始手段は、例えば3Dカメラコントローラの機能により実現されており、測定台30により鋳鉄管10の回転が所定回転速度に達したときに、測定台30から信号を受信し、前述のプロファイルデータの収集を開始する。
【0041】
例えば、鋳鉄管10を三次元計測手段40に寄せる(近づける)場合、鋳鉄管寄せ機構31を動作させてリフトにより鋳鉄管10を持ち上げて三次元計測手段40側に寄せる。次いで、予め所定の位置に配置した寄せ位置確認センサー33により、計測範囲内に鋳鉄管10のフランジ面20aが位置しているかどうかを確認し、鋳鉄管10が所定の位置まで寄せられたときに鋳鉄管寄せ機構31の動作を停止する。その後、鋳鉄管10を下降させて、鋳鉄管回転機構32に配置する。
【0042】
鋳鉄管回転機構32は、例えば、回転部により鋳鉄管10を一定方向(例えば反時計方向)に一定速度で回転させる。鋳鉄管回転機構32の回転部の回転速度が一定速度になると、三次元計測手段40に対し、フランジ表面の凹凸高さのプロファイルの読み取り開始信号を発信する。
三次元計測手段40は、フランジ面20aが一定微小変位角を回転する毎に、フランジ面20aの凹凸を示す高さのプロファイルを計測する。ここで、鋳鉄管10が一定速度で回転する場合、鋳鉄管10が一定微小変位角の回転をする時間ごとに、フランジ面20aの高さのプロファイルを計測しても良い。また、鋳鉄管回転機構32による鋳鉄管10の回転速度が安定しないときは、鋳鉄管10の直部管側面の周速を測定できるように配置されたエンコーダ34を設置し、エンコーダ34の測定結果を三次元計測手段40に送り、一定微小変位角ごとにフランジ面20aの凹凸高さのプロファイルを計測する。本実施形態においては、少なくとも1周回転後に、さらに半周程度回転させた後、鋳鉄管回転機構32は回転を停止し、鋳鉄管寄せ機構31は鋳鉄管10を持ち上げ、寄せ戻しを行い下流に排出する。
【0043】
図4は、三次元計測手段40が、測定台30に配置された鋳鉄管10を走査するときの走査位置及び方向を示す図である。
図4の左側の図は、鋳鉄管10の径が小さい場合の走査位置を示す図であり、
図4の右側の図は、鋳鉄管10の径が大きい場合の走査位置を示す図である。なお、
図4において、Aで示す領域は走査領域を示している。三次元計測手段40は、鋳鉄管10のフランジ面20aの幅を測定可能な走査長さ(
図4においてLで示す区間)を有している。三次元計測手段40が走査する長さとしては、少なくとも外周端から「管理番号」を示す鋳出し文字が記載されている位置までの範囲を走査可能とすれば良い。
【0044】
図4においては、径が144mmの鋳鉄管10Aと、径が394mmの鋳鉄管10Bとを、同じ測定台30(検査台)で読み取るときの三次元計測手段40の走査位置の関係を示している。なお、
図4において、鎖線aで示す位置が、鋳鉄管回転機構32によって支持されるとともに、回転力を付与される高さ位置である。測定台30の鋳鉄管回転機構32に鋳鉄管10A、10Bの直管部11が載るため、フランジ面20aの下側の高さ位置は、上側の高さ位置に比べてあまり変わらない。三次元計測手段40は、走査位置をフランジ面20a下端にしているため、径の大きさが250mmも変わる場合であっても、走査位置を23.7mmだけ移動するのみで、鋳鉄管のフランジ面20aの表面を走査できるようになっている。このように、径が異なる場合でも走査位置の変化量を小さくできるので、装置を小型化することが可能である。
【0045】
図5は、鋳鉄管10のフランジ面20aに対する三次元計測手段40が走査する走査線の配置を示す概略図である。
走査の開始は、フランジ面20aの任意角度位置から開始される。例えば、
図5に示す角度θ毎に走査線を決定し、反時計回りに順次走査をしても良い。「管理番号」の鋳出し文字は文字の線幅は、1.0mm程度である。三次元計測手段40により走査し画像化するためには、文字の線幅1.0mmに対し、3〜10本の走査が必要である。具体的には100〜300μm間隔で、一定間隔で走査する。例えば鋳鉄管10の種類が、NS100の場合、100μm間隔でフランジ面20aの一周分を走査すると約5300回の走査を行うことになる。
【0046】
なお、三次元計測手段40の高さの位置合わせをする際には、三次元計測手段40を鋳鉄管10の軸芯方向に対して垂直方向に移動可能な移動手段60を用いることができる。
図6は、移動手段60を示す概略斜視図である。移動手段60は、
図6に示すように、三次元計測手段40を固定する取り付け台61と、サーボ機構により一軸方向(高さ方向)に取り付け台61を移動させる移動部62とを備えている。この移動手段60は、鋳鉄管10(フランジ面20a)の径の大きさに応じて三次元計測手段40を所定の位置に移動させることができるようになっている。例えば、三次元計測手段40に測定する際に、鋳鉄管10の径を変えた場合、端末画像取込装置52等より鋳鉄管10の径の高さの情報を受信し、移動部62により三次元計測手段40の高さを調節する(段替えをする)。移動部62により三次元計測手段40を所定の位置に移動させた後に、移動部62の微振動が三次元計測手段40に影響を与えないように、移動部62をブレーキで固定するとともに、サーボ機構をOFFにする。
【0047】
CCDカメラ及びCCDカメラコントローラ51は、三次元計測手段40とほぼ同時刻に、鋳鉄管10のフランジ面20aに可視光を照射し、フランジ面20aを撮像するためのものである。このCCDカメラ及びCCDカメラコントローラ51は、端末画像取込装置52と同時刻の時計を装備し、鋳鉄管10のCCD画像に対し、タイムスタンプを挿入した画像を生成する。これは、二次元処理画像での管理番号読取ができないときのバックアップとして、人間が読取できる画像を撮像するためである。この画像データは、CCD画像NAS55に保存される。すなわち、これらのCCDカメラ及びCCDカメラコントローラ51、CCD画像NAS55によって、フランジ面のイメージを撮像記憶する撮像記憶手段を構成しているのである。
【0048】
端末画像取込装置52は、パーソナルコンピュータ等により実現されており、三次元計測手段40からの高さプロファイルデータを取得し、二次元処理画像を生成する。二次元処理画像には、生成時のタイムスタンプを挿入し、視覚的に視認できるようにしても良い。この端末画像取込装置52は、OCRサーバ53に対し、前述の二次元処理画像を送信し、管理番号の読取を依頼する。また、端末画像取込装置52は、この読取の結果を受信し、表示することもできる。また、端末画像取込装置52は、鋳鉄管10の管種が変わったとき、段替えを三次元計測手段40に指示をする。
【0049】
OCRサーバ53は、パーソナルコンピュータ等により実現されており、端末画像取込装置52からの依頼により、受信した二次元処理画像を解析し、「管理番号」の読み取りを実施する。そして、この読み取りの結果を保存し、端末画像取込装置52にも読み取りの結果を送信する。管理番号の読取結果は、管理番号の規則性に照合され、誤読を検出する。誤読文字は、例えば「?」に置き換わる。この「?」の文字が表示された時は、該当するCCD画像と二次元処理画像とのリンクをとり、両画像を操作者が見て、読取結果を修正できる。このOCRサーバ53は、図示した端末画像取込装置52以外にも複数の端末画像取込装置52を接続することができる。
【0050】
二次元処理画像NAS54は、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置を備えており、鋳鉄管10をトレーサビリティするためのデータとして、二次元処理画像を保存する。
CCD画像NAS55は、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置を備えており、CCD画像を保存する。
ネットワーク56は、複数の端末画像取込装置52と、OCRサーバ53と、複数の二次元処理画像NAS54、複数のCCD画像NAS55を互いに通信できるように接続する。
【0051】
図7は、可視光を照射し、表面をCCDカメラで撮像したフランジ面20aの画像例を示す図である。このCCD画像は、CCD画像NAS54に保存される。この画像は、OCRサーバ53で二次元処理画像の読取結果とリンクして参照できる。
【0052】
高さ測定手段は、端末画像取込装置52のソフトウェア又はハードウェアの機能により実現されており、測定台30に載置された鋳鉄管10のフランジ面20aの外周側から内周側(中心側)までの所定の区間を、三次元計測手段40により走査することにより、フランジ面20aの外周側から内周側までの凹凸の高さを測定し、高さのプロファイルデータを形成する。
【0053】
プロファイルデータ取得手段は、端末画像取込装置52のソフトウェア又はハードウェアの機能により実現されており、三次元計測手段40を用いて、フランジ面20aの中心側の点を中心点として一定微小変位角ごとにプロファイルデータを取得する。ここで、一定微小変位角ごとにプロファイルデータを取得した場合は、そのデータは極座標形式のデータとして取得される。
外周端検出手段は、プロファイルデータを解析し、高さデータの値が急激に変化した点を、背景からフランジ面20aを示す高さに変化した外周端として検出する。外周端の検出方法については後に詳述する。
【0054】
相対高さプロファイルデータ取得手段は、端末画像取込装置52のソフトウェア又はハードウェアの機能により実現されており、プロファイルデータを解析し、外周端近傍のフランジ面20aにおいて管理番号(文字)が存在しない無地領域の高さHo、及びフランジ面20aの内周側において管理番号が存在しない無地領域の高さHiを抽出する。そして、Ho及びHiの関係からフランジ面20aの基準高さを算出し、プロファイルデータから基準高さに応じた相対高さプロファイルデータを取得する。基準高さは、フランジ面の管中心方向の基準面が平坦であれば一次関数で算出する。また、基準高さは、基準面が曲面であれば二次関数で算出したり、既知曲線に当てはめて算出したりする。
データ変換手段は、相対高さプロファイルデータ取得手段により得られた相対高さプロファイルデータを画像濃淡データに変換する。データ変換手段では、相対高さプロファイルデータを直交座標変換した後に画像濃淡データに変換しても良い。また、データ変換手段では、極座標形式の画像濃淡データを直交座標変換する構成としても良い。
なお、相対高さプロファイルデータ取得手段を省略し、プロファイルデータから直接的に画像濃淡データに変換してもよい。例えば、フランジ面の無地領域の高さが一定である場合(フランジ面が振れない時)には、プロファイルデータから無地領域の高さを基準高さとして、画像濃淡データに変換できる。
【0055】
二次元処理画像取得手段は、端末画像取込装置52のソフトウェア又はハードウェアの機能により実現されており、取得した画像濃淡データをマッピングし、フランジ面20aの二次元処理画像を取得する。ここで、外周端のプロファイルデータを予め割り付けられた位置に割り付けし、その後画像濃淡データをマッピングし、フランジ面20aの二次元処理画像を取得しても良い。また、プロファイルデータで検出した外周端を基準に画像濃淡データを予め割り付けられた位置にマッピングし、フランジ面20aの二次元処理画像を取得しても良い。
【0056】
文字判別手段は、OCRサーバ53のソフトウェア又はハードウェアの機能により実現されており、フランジ面20aに形成される鋳出し文字のイメージ及び並び規則を予め記憶し、記憶したイメージ及び並び規則に基づいて文字の判別を行う。この文字判別手段では、高さのプロファイルデータから生成した二次元処理画像に対し、フランジ面20aの文字領域のうち読み取り対象外の文字領域を検知することにより、フランジ面20aにおいて文字が形成される文字形成予定領域の周方向位置を特定する。そして、文字形成予定領域に対して文字列の膨張処理を行い、測定対象(管理番号)の文字領域における文字高さに基づいて二値化処理を行い、文字領域における、文字列の中心位置と文字列の方向とを検知して文字切り出しを行い、文字読み取りを行う。例えば、二値化処理する際には、既定文字高さの50%の高さを基準として二値化処理を行えばよい。
【0057】
次に、本発明の実施形態に係る文字読み取り装置1を用いた文字読み取り方法について説明する。
本実施形態に係る文字読み取り方法では、まず、光切断法を用いた三次元計測手段40により鋳鉄管10のフランジ面20aの高さデータを測定可能な位置になるように、測定台30に鋳鉄管10を配置する。測定台30に配置された鋳鉄管10は、鋳鉄管回転機構32により一定速度で軸芯回りに回転する。
そして、フランジ面20aの外周側から内周側(中心側)までの所定の区間を、三次元計測手段40を用いて走査する。これにより、フランジ面20aの外周側から内周側までの表面の凹凸の高さを測定し、高さのプロファイルデータを形成する。
【0058】
次いで、一定速度で軸芯回りに回転する鋳鉄管10のフランジ面20aに対して、鋳鉄管10が一定の回転量を回転するごとに前述のプロファイルデータを取得する。すなわち、鋳鉄管10の回転中心を中心点として、一定微小変位角ごとにプロファイルデータを取得する。このプロファイルデータの取得は、鋳鉄管10の回転が所定速度に達した時に、測定開始手段により開始される。また、鋳鉄管10の回転速度を測定するエンコーダ34により回転速度を測定し、このエンコーダ34の測定結果に基づいて、一定微小変位角に対応する、鋳鉄管10の回転量ごとにプロファイルデータを取得する構成としても良い。本実施形態では、プロファイルデータの取得をフランジ面20aの周方向に一周以上継続し、フランジ面20aにおいて文字が存在しない無地領域が所定の回転量以上継続したときにプロファイルデータの測定を終了する。
【0059】
ここで、プロファイルデータを解析し、高さデータの値が急激に変化した点を、背景からフランジ面20aを示す高さに変化した外周端として検出する。外周側背景は、一般に三次元計測手段40からの距離が大きい計測不能の領域であり、背景からフランジ面20aへ高さが変わる位置では、高さが急激に変化するため、この高さが急激に変化する位置を外周端とみなすことができる。
図8に、プロファイルデータの一例を示す。例えば、外周点は、
図8に示すプロファイルデータのうち、外周側から中心側にかけて急激に変化し、高さ変化のプロファイルが閾値以上の値となる点Xを外周端とすれば良い。なお、鋳鉄管は、フランジの外周端面形状がきれいな円形ではないために外周端の位置が安定しないことがある。そのため、外周端とする点Xを求める際には、隣接する複数の外周点位置(X点位置)の平均値、またはモード値を使用するのがよい。
【0060】
また、さらにプロファイルデータを解析し、フランジ面20aの外周端近傍において文字が存在しない無地領域の高さHo、及びフランジ面20aの内周側において文字が存在しない無地領域における無地高さHiを抽出し、Ho及びHiの関係からフランジ面20aの基準高さを算出し、プロファイルデータから基準高さに応じた相対高さプロファイルデータを取得する。具体的には、無地領域においては高さが平坦化し、管理番号などの鋳出し文字が形成された文字領域においては高さが高くなるため、
図8に示すように、フランジ面において外周側及び内周側から高さが平坦になる領域に外周近傍点及び内周近傍点を設定し、その高さをそれぞれHo、Hiとして決めることができる。この外周近傍点及び内周近傍点を結ぶ高さをフランジ基準高さとする。このフランジ基準高さに基づいて、相対高さプロファイルデータを取得する。これらのプロファイルデータは、例えば端末画像取込装置52によって蓄積される。
【0061】
次いで、前述のようにして得られた相対高さプロファイルデータを画像濃淡データに変換する。本実施形態においては、データ変換するときに、相対高さプロファイルデータを直交座標変換した後に画像濃淡データに変換する。なお、極座標形式の画像濃淡データを直交座標変換する構成としても良い。
図9は、相対高さプロファイルデータを画像濃淡データに変換する例を示す図である。本発明の実施形態に係る文字読み取り装置1においては、高さデータである相対高さプロファイルデータを二次元画像処理のデータタイプに変換する。具体的には、相対高さプロファイルデータを255階調データに変換する。本実施形態において、管理番号を示す鋳出し文字の高さは、1.0mmである。管理番号以外の記号やマークを示す鋳出し文字の高さは、2.0mm程度である。本実施形態では、高さ10μmを濃淡画像の1階調に割り当て、フランジ基準高さ(フランジの地面)を55として、0階調を−0.55mm、155階調を管理番号である鋳出し文字の高さ1.0mm、255階調を2.00mmに割り当てている。端末画像取込装置52では、相対高さプロファイルデータを上述したように255階調に変換した画像濃淡データを保存する。
【0062】
図10は、相対高さプロファイルデータをフランジ面20aの周方向に1周以上保存したときの相対高さプロファイルデータを示す図である。このデータは外周端を左端に揃えており、外周から中心に向かうプロファイルデータを示している。
画像濃淡データの縦軸を半径方向(R方向)、横軸を角度方向(θ方向)と定め、マッピングして画像を生成すると、後に
図12(a)に示す展開処理画像のように、外周側に対し内周側が拡大されたイメージになる。後述する文字読み取りを安定的に実施するために、フランジ面20aと相似な二次元画像に変換する必要がある。本実施形態では、プロファイルデータから生成した画像濃淡データを二次元画像処理する際に、予めどの位置にマップすべきかを、回転変位角すなわち走査線順に予め決めておいて、それに従い、画像濃淡データが二次元画像空間に順次マッピングされる。
【0063】
図11(a)は、極座標形式の相対高さプロファイルデータを直交座標変換した後に画像濃淡データに変換し、この画像濃淡データをマッピングして得た二次元処理画像である。なお、極座標形式の画像濃淡データを直交座標変換し、マッピングしても同様の二次元処理画像を得ることができる。
この二次元処理画像では、鋳鉄管10の外周点を二次元処理画像の中心からの規定外周距離に配置し、フランジ幅に対応する区間の画像濃淡データをマッピングする。画像中心はフランジ面20aの中心となるように補正(正規化)している。このように配置することにより、後述する文字読み取りを単純化できる。
なお、本実施形態においては、この画像の左上には、本画像を三次元計測手段40によりフランジ面20aを走査した際のタイムスタンプを挿入し、視認により鋳鉄管10をトレーサビリティできるようにしている。
図11(b)については、後に詳述する。
【0064】
図12は、フランジ面20aの高さのプロファイルデータの収集を終了するための方法を説明するための図である。
図12(a)は三次元計測手段40を用いて得られた高さのプロファイルデータ(補正前)を二次元処理画像化した展開処理画像の図である。
図12(b)は、高さのプロファイルデータごとに1走査データの累積値を1周以上グラフ化したR方向累積プロファイルデータである(右側に傾いているのは、フランジ面20が回転中に三次元計測手段40より僅かずつ遠ざかる様子を示している。)。面ブレ等の影響で無地領域が緩やかに脈動しており、記号、マーク、管理番号部分が細かな山として表現される。
図12(c)は、
図12(b)のR方向累積プロファイルデータに対し、着目点累積値と前後50点(区間100点)平均累積値平均の移動平均差分(絶対値)プロファイルデータである。
図12(b)での緩やかな脈動や傾きを除去し、記号、マーク、管理番号記載箇所は細かな山で表現されている。なお、平坦な領域は無地領域を表している。
【0065】
高さのプロファイルデータから生成した二次元処理画像を得る場合に、管理番号記載箇所で文字が切れる「文字切れ」が発生すると文字を読み取ることが困難であるため、記号、マーク、管理番号記載箇所で文字切れがないことが、文字を読み取る上で重要である。検査台の鋳鉄管回転機構32ではすべりが発生し、鋳鉄管10が一周回転したことが回転時間やエンコーダのパルス数では完全に保証できない。そのため、本実施形態では、高さプロファイルデータをフランジ面20aの一周分を取得した後に、さらに取得を継続し、管理番号の1文字幅以上の無地領域を測定したときに、データプロファイルの取得を終了させるようにしている。
【0066】
なお、上述した測定台30は、鋳鉄管10のフランジ面20aを面ブレ(フランジ面20aの位置ずれ)なく回転することが難しい場合があり、面ブレが発生することがある。
図12(a)は、縦軸を半径方向(R方向)、横軸を角度方向(θ方向)と定め、フランジ面20aを一周以上測定した際の画像濃淡データをマッピングして生成した展開処理画像である。この展開処理画像から、外周端及び内周端が直線(
図12(a)において実線で示している。)でなく蛇行していることがわかる。この外周端の蛇行を補正する手段として、各高さプロファイルの外周端側を検知し、二次元処理画像を得る際に、この外周端を規定の位置に割り付けることにより、
図11(a)に示すような、周方向において画像に蛇行がない良好なフランジ面20aの画像を得ることができる。具体的には、
図11(b)に示すように、一つのプロファイルデータD1の外周端を、予め決められたフランジ面20aの形状に合わせたマッピング用の同心円20b、20cの外周端の割り付け点Y1を起点に割り付けてプロファイルデータD1における画像濃淡データのマッピングを行い、プロファイルデータD1に続くプロファイルデータD2における画像濃淡データは、外周端において割り付け点Y1に続いて一定微小変位角だけ隔てて設けられた割り付け点Y2を起点に順次割り付けていけばよい。同様にして、プロファイルデータD2に続く、プロファイルデータD3における画像濃淡データ、プロファイルデータD4における画像濃淡データも、順次、点Y3、点Y4を起点に割り付けていけばよい。
なお、各プロファイルデータにおける外周端と画像濃淡データにおける外周端の関連付はなされている。
【0067】
なお面ブレは、三次元計測手段40でフランジ面20aを測定する際に、三次元計測手段40の走査方向とフランジ面20aとの傾きのズレによっても生じる。この面ブレは、プロファイルデータにおいて、無地領域の高さデータの傾きとして現れる。鋳鉄管10のフランジ面20aでは、外周近傍点及び内周近傍点に無地領域が存在する。本実施形態では、検索された外周点を基準に該当鋳鉄管10のフランジ面20aの構成寸法に従い、外周近傍点及び内周近傍点を特定し、両二点の高さデータと二点間の距離から該当フランジ基準高さを算出し、元のプロファイルデータからフランジ基準高さを差し引き、相対高さプロファイルデータを生成し、走査方向とフランジ面20aとのブレを補正するようにした。また、
図12(a)に示す回転中のフランジ面の奥行方向への引きによる影響も同時に補正している。端末画像取込装置52では、該当管種寸法のフランジ外周位置に外周点を一致させて保存される(
図11(b)参照)。
【0068】
次いで、鋳鉄管10に形成される文字のイメージ及び並び規則を予め記憶し、記憶したイメージ及び並び規則に基づいて文字の判別を行う。具体的には、
図13に示すように、予め登録された文字数字イメージによって文字の判別を行う。本実施形態では、0〜9、ACDEFHJKLMNOPRSTUVWXYZのイメージを予め登録している。0は「0」と「−」の2つのイメージをもつ。BGIQは他の文字と類似であり未使用としている。
【0069】
鋳出し文字を判別する際には、二次元処理画像に対し、表面の文字領域のうち読み取り対象外の文字領域を検知することにより、測定亭対象(管理番号)の文字が形成される文字形成予定領域の周方向位置を特定し、この文字形成予定領域に対して少なくとも二次元処理画像の膨張処理を行う。そして、文字形成予定領域における文字高さに基づいて二値化処理を行い、文字形成予定領域における、文字列の中心位置と文字列の方向とを検知して文字切り出しを行い、文字読み取りを行う。
【0070】
図14は、鋳出し文字の管理番号の位置を特定する方法の説明図である。なお、
図14(b)は、
図14(a)の模式図である。
OCRサーバ53は、二次元処理画像を端末画像取込装置52から受信し、「管理番号」の読み取りを実施する。この読み取り方法について説明する。本実施形態では、フランジ面20aに記載された固定な管種記号の位置を特定し、この位置情報から「管理番号」が記載される無地領域(文字形成予定領域)を特定する。さらに、この無地領域内で「管理番号」文字列の詳細な位置方向(文字列の方向)を算出し、該当領域に文字切り出しを実施し、文字読み取りを行う。
【0071】
例えば、
図14に示すフランジ面において、明瞭な管種記号「75GX」を探索し、その位置を見つける。「75GX」のイメージとフランジ面20aでの位置関係は管種ごとに事前に登録しておく。
図14(b)において、破線Bで囲まれる領域が明瞭な管種記号である「75GX」の文字が形成されている領域である。実線Cで囲まれる領域は、管理番号が記載される無地領域(文字形成予定領域)である。管理番号は文字形成予定領域中の任意の場所に記載が可能であり、管理番号の記載を失敗した場合は、失敗箇所を研磨し、まだ文字の書かれていない空き無地領域に管理番号が記載されることがある。
図14(b)において、実線Dで囲まれる領域(文字切り出し枠D)が、管理番号(測定対象)の文字が記載された文字領域である。
【0072】
図15は、鋳出し文字の管理番号の位置を特定する方法を示す説明図である。
図15(a)は、端末画像取込装置52に保存された二次元処理画像である。
図15(d)は、
図15(a)の模式図である。まず、管理番号が記載される無地領域(文字形成予定領域)に対して、画像処理として、記号、マーク、管理番号のイメージが膨張するような画像処理を実施する。この膨張処理を行った画像の例が
図15(b)である。なお、
図15(e)は、
図15(b)の模式図である。このとき、管理番号の各文字が連結する程度の膨張を行う。膨張処理は少なくとも管理番号を記載可能な無地領域(文字形成可能領域)に対し実施する。
次に、管理番号を記載可能な無地領域(文字形成領域)で、二値化処理を行い、
図15(c)のような明瞭な管理番号の文字列の塊を生成する。そして、この文字列イメージに対し、位置及び方向を算出する。この算出は一般的な手法であり、このイメージに対する二次モーメントを算出し、慣性楕円に等価することにより求められる。なお、
図15(f)は、
図15(c)の模式図である。
【0073】
図16は、文字読み取りのため、管理番号の各文字に対して文字切り出しする方法を示す説明図である。
図16(a)は、高さのプロファイルデータから生成した二次元処理画像から文字切り出しする方法を示す説明図であり、
図16(b)は、
図16(a)の模式図である。管理番号の文字列は、管種毎に登録してある文字列フォーマットに従い文字切り出しが行われる。本実施形態では、1行6列の文字の文字切り出しが行われる。まず、管理番号を示す文字列の位置及び方向に、文字切り出し枠Dを設定する。次に、文字切り出し枠D内で、行方向(文字列が並ぶ方向)にプロファイルデータを累積し、行累積プロファイルデータを生成する。次いで、この行累積プロファイルデータに対して所定の閾値を設定することにより、文字列の列方向(文字列が並ぶ方向と直交する方向)における位置を特定する。次に、文字切り出し枠D内で、列方向(文字列が並ぶ方向と直交する方向)にプロファイルデータを累積し、列累積プロファイルデータを生成する。次いで、この列累積プロファイルデータに対して所定の閾値を設定することにより、文字列の行方向(文字列が並ぶ方向)における位置を特定する。これにより、
図16に示すように、「管理番号」のイメージが1文字毎に切り出される。次に1文字毎に、公知の文字読取手段により、前述した文字読み取り手段の辞書と照合し、文字コードを決定する。
【0074】
なお、フランジ面20aの文字領域のうち管種記号(読み取り対象外の文字領域)を検知する代わりに、フランジ面20aに記載された管理番号程度の高さの文字を除去して、文字が存在しない無地領域を検知し、この検知した無地領域の位置から読み取り対象の文字が形成される無地領域(文字形成予定領域)の周方向位置を特定しても良い。本実施形態においては、例えば、管種記号と、管理番号との高さが異なっているため、管種記号と管理番号との文字を高さによって区別し、管理番号のみを除去することができる。
また、管理番号の文字の読み取りができないときに、管理番号の文字領域を含む他の文字形成予定領域に対して上述の文字の読み取りを行っても良い。
【0075】
以上のような構成とされた本実施形態に係る文字読み取り装置1、及び文字読み取り方法においては、光切断法を用いた三次元計測手段40によって高さのプロファイルデータを取得し、このプロファイルデータを画像濃淡データに変換する構成とされているので、この画像濃淡データから二次元処理画像を取得することにより、無地領域と文字領域とが同じ材料色であっても、文字を安定的に読みとることができる。例えば、フランジ面20aの表面が、塗料や溶射等金属表面処理でコートされている場合であっても安定的に読み取ることができる。
【0076】
なお、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0077】
上記実施の形態において、文字読み取り装置が、鋳出し文字を読み取る場合について説明したが、打刻文字も安定に読み取ることができる。すなわち、文字読み取り装置は、表面に凹凸により形成された文字を読むことができる。
【0078】
また、上記実施の形態においては、鋳鉄管のフランジ面の鋳出し文字を読み取る場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、タイヤの側面(サイドウォール)に記載された文字や、軸心方向から見たときのガスボンベの表面に記載された打刻文字なども読み取ることができる。
また、上記実施の形態においては、文字読み取り装置が、CCDカメラ及びCCDカメラコントローラ、CCD画像NASを備える場合について説明したが、これらを備えていなくても良い。また、上記実施の形態においては、端末画像取込装置とOCRサーバとを分離した構成で説明したが、一体構成でもよい。