(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。他の構成を含むようにしてもよい。
【0014】
<インクジェット記録装置>
インクジェット記録装置10について、
図1及び
図2を参照して説明する。インクジェット記録装置10では、記録媒体14が搬送され、記録媒体14の記録面15に画像が記録される。インクジェット記録装置10では、各種の記録媒体14を対象として画像が記録される。記録媒体14としては、例えば、布帛又は建築用資材が挙げられる。本実施形態では、記録媒体14が長尺状の布帛である場合を例に説明する。また、画像の記録に用いられるインク色は、ブラック、マゼンタ、イエロー及びシアンの4色とする。インク色は、これら以外の色であってもよい。インク色数は、3色以下又は5色以上としてもよい。
図1で搬送方向の下流側に図示された記録媒体14の部分に付した網点模様は、記録媒体14に記録された画像に対応する。
【0015】
インクジェット記録装置10は、
図1に示すように、搬送部20と、記録部30と、移動部40と、第一タンク50K,50M,50Y,50Cを備える。搬送部20は、記録媒体14を、記録媒体14の長手方向に沿って搬送する。搬送部20によって搬送される記録媒体14は、記録部30を通過する。本実施形態では、搬送部20によって記録媒体14が搬送される方向を「搬送方向」という。搬送方向は、記録媒体14の長手方向に沿った方向であって、記録媒体14の短手方向に直交する方向である。記録媒体14の短手方向は、記録媒体14の幅方向であって、後述するように記録部30が移動部40により往復移動される方向(主走査方向)に一致する。本実施形態では、搬送方向及びこれと反対方向を、記録媒体14の長手方向に準じ「長手方向」という。なお、搬送方向及びこれと反対方向は、前述した主走査方向に対して「副走査方向」と称されることもある。搬送方向及びこれと反対方向のそれぞれに直交する方向を、記録媒体14の短手方向に準じ「短手方向」という。
【0016】
記録部30は、インクジェットヘッド31K,31M,31Y,31Cと、キャリッジ34を備える。インクジェットヘッド31Kは、ブラックインクを吐出し、ブラックインクにより画像を記録するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド31Kには、ブラックインクを吐出するノズル32が複数形成される。インクジェットヘッド31Mは、マゼンタインクを吐出し、マゼンタインクにより画像を記録するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド31Mには、マゼンタインクを吐出するノズル32が複数形成される。インクジェットヘッド31Yは、イエローインクを吐出し、イエローインクにより画像を記録するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド31Yには、イエローインクを吐出するノズル32が複数形成される。インクジェットヘッド31Cは、シアンインクを吐出し、シアンインクにより画像を記録するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド31Cには、シアンインクを吐出するノズル32が複数形成される。
【0017】
インクジェットヘッド31K,31M,31Y,31Cは、同様の構成を有する。本実施形態では、インクジェットヘッド31K,31M,31Y,31Cを区別せず、又は、これらを総称する場合、「インクジェットヘッド31」という。
【0018】
各色用のインクジェットヘッド31は、複数のヘッドユニット60により形成される(
図2参照)。具体的に、インクジェットヘッド31は、長手方向に配列された一群のヘッドユニット60を、短手方向に複数配列して形成される。短手方向の一方側(例えば、「第一側」
図1参照)で長手方向に配列された複数のヘッドユニット60による第一ユニット列と、短手方向の他方側(例えば、「第二側」
図1参照)で長手方向に配列された複数のヘッドユニット60による第二ユニット列は、
図2に示すように、長手方向に所定量だけずれた状態で配置される。第一ユニット列又は第二ユニット列で、2個のヘッドユニット60が長手方向に隣り合う領域には、ノズル32が存在しない長手方向の領域が形成される。第一ユニット列と第二ユニット列を長手方向にずらして設けることで、一方のユニット列においてノズル32が存在しない長手方向の領域に対応させて、他方のユニット列を構成するヘッドユニット60のノズル32を重畳配置することができる。
【0019】
図2では、長手方向に5個のヘッドユニット60を配列して1列のユニット列とし、このユニット列を短手方向に2列設けた構成としているが、このような構成は、例示である。長手方向に配列させるヘッドユニット60の数と短手方向におけるユニット列の数は、
図2とは異なる数としてもよい。ヘッドユニット60に関するこの他の説明は、後述する。
【0020】
キャリッジ34には、インクジェットヘッド31K,31M,31Y,31Cが所定の位置に位置決めされた状態でそれぞれ搭載される。インクジェットヘッド31K,31M,31Y,31Cは、
図1に示すように、短手方向に隣り合った状態でキャリッジ34に搭載される。各色用のインクジェットヘッド31の配列順序は、
図1とは異なる順序としてもよい。これらの配列順序は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0021】
移動部40は、記録部30を短手方向に往復移動させる。移動部40は、
図1に示すように、2個のプーリ41,42と、タイミングベルト43を含む。2個のプーリ41,42は、搬送部20を基準として、短手方向の両側にそれぞれ設けられる。例えば、プーリ41には、モータ(不図示)が連結され、プーリ42は、回転自在に支持される。プーリ41は、モータの回転に伴い回転する。タイミングベルト43は、張力が作用した状態でプーリ41,42に架け渡される。タイミングベルト43には、キャリッジ34に固定された支持部46を介して記録部30が取り付けられる。
【0022】
インクジェット記録装置10で画像の記録が行われる場合、プーリ41に連結されたモータが時計回りと反時計回りに往復して回転する。そして、モータの回転に伴い、プーリ41が左右両側に往復して回転する(プーリ41の回転方向については、
図1でプーリ41の内側に示す「弧状の矢印」参照)。モータが所定の方向に回転することでプーリ41が左回転すると、タイミングベルト43も左回転する。プーリ42は、左回転するタイミングベルト43に従動して回転する。これに伴い、記録部30は、短手方向の第二側から第一側に移動する。記録部30が短手方向の第一側の移動端に到達すると、モータの回転方向は反転し、プーリ41は、右回転する。プーリ41が右回転すると、タイミングベルト43も右回転する。プーリ42は、右回転するタイミングベルト43に従動して回転する。これに伴い、記録部30は、短手方向の第一側から第二側に移動する。記録部30が短手方向の第二側の移動端に到達すると、モータの回転方向は再度反転し、プーリ41は、再度左回転する。移動部40による記録部30の短手方向への往復移動は、画像の記録が終了するまで繰り返される。
【0023】
第一タンク50Kは、ブラックインクを貯留するメインタンクである。第一タンク50Kは、供給チューブ51Kを介してインクジェットヘッド31Kを構成する複数のヘッドユニット60にそれぞれ接続される。ブラックインクは、第一タンク50Kから流出し、供給チューブ51Kを流れて、インクジェットヘッド31Kを構成する複数のヘッドユニット60にそれぞれ供給される。第一タンク50Mは、マゼンタインクを貯留するメインタンクである。第一タンク50Mは、供給チューブ51Mを介してインクジェットヘッド31Mを構成する複数のヘッドユニット60にそれぞれ接続される。マゼンタインクは、第一タンク50Mから流出し、供給チューブ51Mを流れて、インクジェットヘッド31Mを構成する複数のヘッドユニット60にそれぞれ供給される。
【0024】
第一タンク50Yは、イエローインクを貯留するメインタンクである。第一タンク50Yは、供給チューブ51Yを介してインクジェットヘッド31Yを構成する複数のヘッドユニット60にそれぞれ接続される。イエローインクは、第一タンク50Yから流出し、供給チューブ51Yを流れて、インクジェットヘッド31Yを構成する複数のヘッドユニット60にそれぞれ供給される。第一タンク50Cは、シアンインクを貯留するメインタンクである。第一タンク50Cは、供給チューブ51Cを介してインクジェットヘッド31Cを構成する複数のヘッドユニット60にそれぞれ接続される。シアンインクは、第一タンク50Cから流出し、供給チューブ51Cを流れて、インクジェットヘッド31Cを構成する複数のヘッドユニット60にそれぞれ供給される。
【0025】
図1では、供給チューブ51K,51M,51Y,51Cの図示を簡略化している。供給チューブ51K,51M,51Y,51Cは、記録部30の短手方向への往復移動に対応可能な状態で設けられる。本実施形態では、第一タンク50K,50M,50Y,50Cを区別せず、又は、これらを総称する場合、「第一タンク50」という。供給チューブ51K,51M,51Y,51Cを区別せず、又は、これらを総称する場合、「供給チューブ51」という。
【0026】
インクジェット記録装置10で、記録部30を短手方向に往復移動させて記録媒体14に画像が記録される場合、記録媒体14は、搬送部20によって搬送方向に搬送される。搬送部20による記録媒体14の搬送は、記録部30の短手方向への移動に応じて間欠的に行われる。各色のインクは、記録部30が短手方向に移動している所定のタイミングで、インクジェットヘッド31K,31M,31Y,31Cにそれぞれ形成されたノズル32から、記録媒体14に向けて吐出される。インクジェットヘッド31K,31M,31Y,31Cの各ノズル32から吐出された各色のインクは、記録媒体14の記録面15に着弾する。着弾した各色のインクにより記録媒体14の記録面15に画像が記録される。記録媒体14の記録面15は、記録媒体14が記録部30を通過する際、各色用のインクジェットヘッド31の吐出面35(
図5参照)と対向する面である。吐出面35は、各色用のインクジェットヘッド31でノズル32が形成された面である。
【0027】
<ヘッドユニット>
ヘッドユニット60について、
図2〜
図5を参照して説明する。インクジェットヘッド31K,31M,31Y,31Cは、同じヘッドユニット60を
図2に示すように配置して構成される。従って、以下では、インク色を区別することなく説明する。
【0028】
ヘッドユニット60は、第二タンク62と、接続部63A,63B,63D,63E,63F,63Gと、ノズルプレート70と、流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gと、フレーム90を備える。ヘッドユニット60は、これら各部を適宜組み立てて形成される(
図3及び
図4参照)。
図3では、第二タンク62は2点鎖線で図示され、
図4では、第二タンク62は省略されている。
【0029】
第二タンク62は、供給チューブ51の第一タンク50の側とは反対側となる端部と接続される(
図2参照)。第二タンク62は、供給チューブ51を介して第一タンク50から供給されたインクを貯留するサブタンクである。第二タンク62は、1個のヘッドユニット60に1個設けられる。換言すれば、第二タンク62は、6個の流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gに対して1個設けられる。第二タンク62は、流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gの上方に設けられる。
【0030】
接続部63Aは、第二タンク62と流路モジュール80Aを繋ぐ(
図3参照)。第二タンク62に貯留されたインクは、第二タンク62から接続部63Aを流れて流路モジュール80Aに供給される。接続部63Bは、第二タンク62と流路モジュール80Bを繋ぐ(
図3参照)。第二タンク62に貯留されたインクは、第二タンク62から接続部63Bを流れて流路モジュール80Bに供給される。接続部63Dは、第二タンク62と流路モジュール80Dを繋ぐ(
図3参照)。第二タンク62に貯留されたインクは、第二タンク62から接続部63Dを流れて流路モジュール80Dに供給される。
【0031】
接続部63Eは、第二タンク62と流路モジュール80Eを繋ぐ(
図3参照)。第二タンク62に貯留されたインクは、第二タンク62から接続部63Eを流れて流路モジュール80Eに供給される。接続部63Fは、第二タンク62と流路モジュール80Fを繋ぐ(
図3参照)。第二タンク62に貯留されたインクは、第二タンク62から接続部63Fを流れて流路モジュール80Fに供給される。接続部63Gは、第二タンク62と流路モジュール80Gを繋ぐ(
図3参照)。第二タンク62に貯留されたインクは、第二タンク62から接続部63Gを流れて流路モジュール80Gに供給される。本実施形態では、接続部63A,63B,63D,63E,63F,63Gを区別せず、又は、これらを総称する場合、「接続部63」という。
【0032】
ノズルプレート70は、例えば、0.02mm〜1mm程度の板厚の薄板により形成される。ノズルプレート70には、インクを吐出する複数のノズル32が形成される(
図4参照)。ノズルプレート70に形成された複数のノズル32は、ノズル群33Aを形成する複数のノズル32Aと、ノズル群33Bを形成する複数のノズル32Bと、ノズル群33Dを形成する複数のノズル32Dと、ノズル群33Eを形成する複数のノズル32Eと、ノズル群33Fを形成する複数のノズル32Fと、ノズル群33Gを形成する複数のノズル32Gにそれぞれ分類される。ノズル群33Aは流路モジュール80Aに対応し、ノズル群33Bは流路モジュール80Bに対応し、ノズル群33Dは流路モジュール80Dに対応する。ノズル群33Eは流路モジュール80Eに対応し、ノズル群33Fは流路モジュール80Fに対応し、ノズル群33Gは流路モジュール80Gに対応する。
【0033】
ノズル群33A,33B,33D,33E,33F,33Gのそれぞれにおいて、複数のノズル32A,32B,32D,32E,32F,32Gは、千鳥状に配置される。このようなノズル32A,32B,32D,32E,32F,32Gの配置は例示であり、これとは異なる配置としてもよい。本実施形態において、「ノズル32」は、ノズル32A,32B,32D,32E,32F,32Gの何れかであり、又は、これらを総称するものである。本実施形態では、ノズル群33A,33B,33D,33E,33F,33Gを区別せず、又は、これらを総称する場合、「ノズル群33」という。
【0034】
ノズルプレート70には、位置決め孔71が形成される。位置決め孔71は、例えば、4つの角部のうち、対角位置となる2つの角部の内側にそれぞれ形成される(
図4参照)。
【0035】
流路モジュール80Aは、接続部63Aを介して第二タンク62から供給されるインクをノズル群33Aの複数のノズル32Aにそれぞれ流し、各ノズル32Aからインクを吐出させるモジュールである。流路モジュール80Bは、接続部63Bを介して第二タンク62から供給されるインクをノズル群33Bの複数のノズル32Bにそれぞれ流し、各ノズル32Bからインクを吐出させるモジュールである。流路モジュール80Dは、接続部63Dを介して第二タンク62から供給されるインクをノズル群33Dの複数のノズル32Dにそれぞれ流し、各ノズル32Dからインクを吐出させるモジュールである。流路モジュール80Eは、接続部63Eを介して第二タンク62から供給されるインクをノズル群33Eの複数のノズル32Eにそれぞれ流し、各ノズル32Eからインクを吐出させるモジュールである。流路モジュール80Fは、接続部63Fを介して第二タンク62から供給されるインクをノズル群33Fの複数のノズル32Fにそれぞれ流し、各ノズル32Fからインクを吐出させるモジュールである。流路モジュール80Gは、接続部63Gを介して第二タンク62から供給されるインクをノズル群33Gの複数のノズル32Gにそれぞれ流し、各ノズル32Gからインクを吐出させるモジュールである。流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gは、同様の構成を有する。本実施形態では、流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gを区別せず、又は、これらを総称する場合、「流路モジュール80」という。
【0036】
流路モジュール80には、内部にインク流路81が形成される(
図5参照)。流路モジュール80は、複数の駆動素子83を備える(
図3〜
図5参照)。流路モジュール80の内部に形成されたインク流路81は、ヘッドユニット60として組み立てられた状態(
図3参照)において、対応するノズル群33の複数のノズル32にそれぞれ繋がる。接続部63を介して流路モジュール80に流入したインクは、各ノズル32へと繋がるインク流路81の支流部82を流れて、ノズル32に到達する。複数の駆動素子83は、複数のノズル32へと繋がるインク流路81の支流部82に複数のノズル32のそれぞれに対応して設けられる。各ノズル群33において複数のノズル32を千鳥状に配置した本実施形態では、駆動素子83は、鉛直方向の上側となる流路モジュール80の面で、短手方向の両側にそれぞれ複数設けられる(
図3〜
図5参照)。駆動素子83は、ノズル32からインクを吐出させる駆動部である。駆動素子83としては、ピエゾ素子又はヒータが例示される。ピエゾ素子又はヒータのような駆動素子83の駆動を介したインクの吐出は、公知のインクジェット記録装置と同様に行われる。
【0037】
長手方向の両側となる流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gの各鍔状部分には、位置決め孔84A,84B,84D,84E,84F,84Gと取付孔85A,85B,85D,85E,85F,85Gがそれぞれ形成される(
図4参照)。本実施形態では、2個の位置決め孔84Aと2個の取付孔85Aは、長手方向に整列した状態で形成される。2個の位置決め孔84Bと2個の取付孔85Bは、長手方向に整列した状態で形成される。2個の位置決め孔84Dと2個の取付孔85Dは、長手方向に整列した状態で形成される。2個の位置決め孔84Eと2個の取付孔85Eは、長手方向に整列した状態で形成される。2個の位置決め孔84Fと2個の取付孔85Fは、長手方向に整列した状態で形成される。2個の位置決め孔84Gと2個の取付孔85Gは、長手方向に整列した状態で形成される。
【0038】
フレーム90は、ノズルプレート70と流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gを接続する。フレーム90を介して接続されたノズルプレート70と各流路モジュール80は、
図5に示すような状態となる。ノズルプレート70は、鉛直方向の下側となるフレーム90の端面に取り付けられる(
図3参照)。ノズルプレート70のフレーム90への取り付けには、例えば、接着剤が用いられ、ノズルプレート70は、フレーム90に固定される。鉛直方向の下側となるフレーム90の端面には、位置決めピン91が設けられる。位置決めピン91は、例えば、
図4に示すように、4つの角部のうち、対角位置となる2つの角部の内側にそれぞれ形成される。ノズルプレート70は、2個の位置決め孔71と2本の位置決めピン91が嵌め合わされた状態でフレーム90に取り付けられる。
【0039】
フレーム90には、開口部92,93が形成される(
図4参照)。開口部92,93は、鉛直方向に貫通し、短手方向に隣り合った状態で形成される。開口部92には、流路モジュール80A,80B,80Dが装着され、開口部93には、流路モジュール80E,80F,80Gが装着される。鉛直方向の上側となるフレーム90の端面において、開口部92の開口縁部のうち、長手方向の両側で短手方向に沿った2つの開口縁部には、3本の位置決めピン94A,94B,94D(合計6本)がそれぞれ設けられ、3個のねじ孔95A,95B,95D(合計6個)がそれぞれ形成される(
図4参照)。本実施形態では、2本の位置決めピン94Aと2個のねじ孔95Aは、長手方向に整列した状態で形成される。2本の位置決めピン94Bと2個のねじ孔95Bは、長手方向に整列した状態で形成される。2本の位置決めピン94Dと2個のねじ孔95Dは、長手方向に整列した状態で形成される。前述した短手方向に沿った開口部92の各開口縁部で、位置決めピン94A及びねじ孔95Aと位置決めピン94B及びねじ孔95Bと位置決めピン94D及びねじ孔95Dは、短手方向に一定の間隔で設けられる。
【0040】
鉛直方向の上側となるフレーム90の端面において、開口部93の開口縁部のうち、長手方向の両側で短手方向に沿った2つの開口縁部には、3本の位置決めピン94E,94F,94G(合計6本)がそれぞれ設けられ、3個のねじ孔95E,95F,95G(合計6個)がそれぞれ形成される(
図4参照)。本実施形態では、2本の位置決めピン94Eと2個のねじ孔95Eは、長手方向に整列した状態で形成される。2本の位置決めピン94Fと2個のねじ孔95Fは、長手方向に整列した状態で形成される。2本の位置決めピン94Gと2個のねじ孔95Gは、長手方向に整列した状態で形成される。前述した短手方向に沿った開口部93の各開口縁部で、位置決めピン94E及びねじ孔95Eと位置決めピン94F及びねじ孔95Fと位置決めピン94G及びねじ孔95Gは、短手方向に一定の間隔で設けられる。
【0041】
流路モジュール80Aは、長手方向の各側で位置決め孔84Aと位置決めピン94Aが嵌め合わされた状態で開口部92に装着される(
図3参照)。そして、流路モジュール80Aは、2個の取付孔85Aにそれぞれ挿入されねじ孔95Aにねじ込まれた2本のねじ96によってフレーム90に取り付けられる(
図3参照)。流路モジュール80Bは、長手方向の各側で位置決め孔84Bと位置決めピン94Bが嵌め合わされた状態で開口部92に装着される(
図3参照)。そして、流路モジュール80Bは、2個の取付孔85Bにそれぞれ挿入されねじ孔95Bにねじ込まれた2本のねじ96によってフレーム90に取り付けられる(
図3参照)。流路モジュール80Dは、長手方向の各側で位置決め孔84Dと位置決めピン94Dが嵌め合わされた状態で開口部92に装着される(
図3参照)。そして、流路モジュール80Dは、2個の取付孔85Dにそれぞれ挿入されねじ孔95Dにねじ込まれた2本のねじ96によってフレーム90に取り付けられる(
図3参照)。
【0042】
流路モジュール80Eは、長手方向の各側で位置決め孔84Eと位置決めピン94Eが嵌め合わされた状態で開口部93に装着される(
図3参照)。そして、流路モジュール80Eは、2個の取付孔85Eにそれぞれ挿入されねじ孔95Eにねじ込まれた2本のねじ96によってフレーム90に取り付けられる(
図3参照)。流路モジュール80Fは、長手方向の各側で位置決め孔84Fと位置決めピン94Fが嵌め合わされた状態で開口部93に装着される(
図3参照)。そして、流路モジュール80Fは、2個の取付孔85Fにそれぞれ挿入されねじ孔95Fにねじ込まれた2本のねじ96によってフレーム90に取り付けられる(
図3参照)。流路モジュール80Gは、長手方向の各側で位置決め孔84Gと位置決めピン94Gが嵌め合わされた状態で開口部93に装着される(
図3参照)。そして、流路モジュール80Gは、2個の取付孔85Gにそれぞれ挿入されねじ孔95Gにねじ込まれた2本のねじ96によってフレーム90に取り付けられる(
図3参照)。
【0043】
流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gは、流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gをフレーム90にそれぞれ取り付けるねじ96を取り外すことで、フレーム90から個別に取り外すことができる。
【0044】
<本実施形態の効果>
本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0045】
(1)インクジェットヘッド31を複数のヘッドユニット60で形成することとした(
図2参照)。ヘッドユニット60を、第二タンク62と、ノズルプレート70と、複数の接続部63と、複数の流路モジュール80と、フレーム90により形成することとした(
図3及び
図4参照)。第二タンク62は、複数の流路モジュール80の上方に設けられ、第二タンク62と複数の流路モジュール80は、複数の接続部63を介して接続される(
図3参照)。ノズルプレート70と複数の流路モジュール80は、フレーム90に取り付けられ、フレーム90を介して接続される(
図3〜
図5参照)。その際、複数の流路モジュール80は、ねじ96によりフレーム90に対して着脱自在に取り付けられる(
図3参照)。ノズルプレート70には、複数のノズル群33に分類させた状態で複数のノズル32が形成され(
図4参照)、流路モジュール80には、各ノズル群33の複数のノズル32に、接続部63を介して第二タンク62から供給されたインクが流れるインク流路81が形成される(
図5参照)。また、流路モジュール80では、複数のノズル32にそれぞれ繋がるインク流路81の各支流部82に、複数のノズル32のそれぞれに対応して駆動素子83が設けられる(
図3〜
図5参照)。
【0046】
そのため、複数の流路モジュール80に対して1つの第二タンク62からインクを供給することができる。複数の流路モジュール80のそれぞれに対して第二タンク62に相当するタンクを設けた構成と比較し、シンプルなヘッドユニット60とすることができる。ノズルプレート70と各流路モジュール80はフレーム90を介して接続されるため、ノズルプレート70と各流路モジュール80を、例えば、接着剤又はねじによって直接接続する必要がない。複数の流路モジュール80を個別に取り替えることができる。例えば、流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gのうち、流路モジュール80Aが故障した場合、フレーム90から故障した流路モジュール80Aを取り外し、新たな流路モジュール80Aをフレーム90に取り付けるといった作業により、流路モジュール80Aのみを交換することができる。また、流路モジュール80A,80Fが故障した場合、フレーム90から故障した流路モジュール80A,80Fを取り外し、新たな流路モジュール80A,80Fをフレーム90に取り付けるといった作業により、流路モジュール80A,80Fのみを交換することができる。多量のインク消費にも対応可能で且つ故障の際のメンテナンス性に優れた小型のインクジェットヘッド31を形成するヘッドユニット60を得ることができる。小型のインクジェットヘッド31により、インクジェット記録装置10の小型化を実現することができる。
【0047】
(2)ノズルプレート70に形成された位置決め孔71とフレーム90に設けた位置決めピン91を介してノズルプレート70をフレーム90に取り付けることとした(
図3及び
図4参照)。流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gにそれぞれ形成された位置決め孔84A,84B,84D,84E,84F,84Gとフレーム90に設けた位置決めピン94A,94B,94D,94E,94F,94Gを介して複数の流路モジュール80をフレーム90にそれぞれ取り付けることとした(
図3及び
図4参照)。そのため、フレーム90に対して、ノズルプレート70と複数の流路モジュール80を精度よく取り付けることができる。各流路モジュール80に形成されたインク流路81の各支流部82と、ノズルプレート70に形成されたノズル群33の各ノズル32を連続した状態とすることができる。位置決め孔71と位置決めピン91は、フレーム90に対するノズルプレート70の位置を合わせる位置決め部として機能する。流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gにそれぞれ形成された位置決め孔84A,84B,84D,84E,84F,84Gと、位置決めピン94A,94B,94D,94E,94F,94Gの各組み合わせは、フレーム90に対する流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gの位置を合わせる位置決め部としてそれぞれ機能する。
【0048】
<変形例>
本実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例のうちの幾つかの構成は、適宜組み合わせて採用することもできる。以下では上記とは異なる点を説明することとし、同様の点についての説明は適宜省略する。
【0049】
(1)上記では、複数のヘッドユニット60により形成されるインクジェットヘッド31K,31M,31Y,31Cを含む記録部30を移動部40により短手方向に往復移動させて画像の記録を行うインクジェット記録装置10を例に説明した(
図1及び
図2参照)。ヘッドユニット60(
図3参照)は、インクジェット記録装置の記録部がライン型のインクジェットヘッドを備える場合にも採用することができる。ライン型のインクジェットヘッドでは、短手方向に各色のインクを吐出するノズル32が配列される。例えば、ライン型のインクジェットヘッドでは、ノズル32は、短手方向において、記録媒体14の幅W1(
図1参照)以上の範囲に形成される。
【0050】
例えば、ライン型のインクジェットヘッドは、短手方向に配列された一群のヘッドユニット60を、長手方向に複数配列して形成される。長手方向の一方側(例えば、搬送方向の上流側)で短手方向に配列された複数のヘッドユニット60による第一ユニット列と、長手方向の他方側(例えば、搬送方向の下流側)で短手方向に配列された複数のヘッドユニット60による第二ユニット列は、短手方向に所定量だけずれた状態で配置される。このような配置は、上記同様、ノズル32が存在しない短手方向の領域をなくすためである。ライン型のインクジェットヘッドによる記録部を備えるインクジェット記録装置では、移動部40及び支持部46は省略される。搬送部20による記録媒体14の搬送は、連続的に行われる。
【0051】
(2)上記では、フレーム90に対するノズルプレート70の位置合わせに関し、ノズルプレート70とフレーム90で、対角位置となる2つの角部の内側に位置決め孔71と位置決めピン91をそれぞれ設け、2個の位置決め孔71と2本の位置決めピン91をそれぞれ嵌め合わせることとした(
図3及び
図4参照)。位置決め孔71と位置決めピン91は、
図4とは異なる配置としてもよい。また、位置決め孔71と位置決めピン91の数は、3つ以上としてもよい。位置決め孔71と位置決めピン91の配置及び/又は数は、諸条件を考慮して適宜設定される。位置決め孔71と位置決めピン91は、鉛直方向に垂直な断面形状を円形としたが(
図4参照)、これらの形状は、多角形状としてもよい。この場合、位置決め孔71と位置決めピン91の数は、各1つとすることもできる。位置決め孔84A,84B,84D,84E,84F,84G及び位置決めピン94A,94B,94D,94E,94F,94Gについても、
図4に示すような円形ではなく、多角形状としてもよい。
【0052】
2本の位置決めピン91を省略し、位置決めピン94A,94B,94D,94E,94F,94G(合計12本)のうちの少なくとも2本(多角形状の場合:少なくとも1本)を、鉛直方向の下側となるフレーム90の端面の側にも突出させ、この突出した部分を、位置決めピン91に相当する位置決めピンとするようにしてもよい。この場合、ノズルプレート70では、鉛直方向の下側となるフレーム90の端面の側に突出した位置決めピンに対応した各位置に位置決め孔71が設けられる。
【0053】
フレーム90に対するノズルプレート70の位置合わせは、位置決め孔71及び位置決めピン91とは異なる構造の位置決め部によって行うようにしてもよい。ノズルプレート70に位置決めピン91に対応する位置決めピンを設け、フレーム90に位置決め孔71に対応する位置決め孔を設けるようにしてもよい。フレーム90に対する流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gの各位置合わせについても、位置決め孔84A,84B,84D,84E,84F,84G及び位置決めピン94A,94B,94D,94E,94F,94Gとは異なる構造の位置決め部によって行うようにしてもよい。流路モジュール80A,80B,80D,80E,80F,80Gに位置決めピン94A,94B,94D,94E,94F,94Gに対応する位置決めピンをそれぞれ設け、フレーム90に位置決め孔84A,84B,84D,84E,84F,84Gに対応する位置決め孔をそれぞれ設けるようにしてもよい。
【0054】
(3)上記では、フレーム90に開口部92,93を設け、開口部92に流路モジュール80A,80B,80Dを装着し、開口部93に流路モジュール80E,80F,80Gを装着することとした(
図3及び
図4参照)。フレームに設ける開口部の数は、諸条件を考慮して適宜設定される。例えば、フレームに1つの開口部を設け、1つの開口部に全ての流路モジュール80を装着するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
10 インクジェット記録装置、 14 記録媒体、 15 記録面、 20 搬送部
30 記録部、 31,31K,31M,31Y,31C インクジェットヘッド
32,32A,32B,32D,32E,32F,32G ノズル
33,33A,33B,33D,33E,33F,33G ノズル群
34 キャリッジ、 35 吐出面、 40 移動部、 41,42 プーリ
43 タイミングベルト、 46 支持部
50,50K,50M,50Y,50C 第一タンク
51,51K,51M,51Y,51C 供給チューブ
60 ヘッドユニット、 62 第二タンク
63,63A,63B,63D,63E,63F,63G 接続部
70 ノズルプレート、 71 位置決め孔
80,80A,80B,80D,80E,80F,80G 流路モジュール
81 インク流路、 82 支流部、 83 駆動素子
84A,84B,84D,84E,84F,84G 位置決め孔
85A,85B,85D,85E,85F,85G 取付孔
90 フレーム、 91 位置決めピン、 92,93 開口部
94A,94B,94D,94E,94F,94G 位置決めピン
95A,95B,95D,95E,95F,95G ねじ孔、 96 ねじ
W1 幅