(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基板に実装された発光素子からの光を導光部材を介して被照射体に照射する光源ユニットと、前記光源ユニットが取り付けられる走査基台と、前記走査基台に固定されて該走査基台を主走査方向と直交する副走査方向に移動させる牽引部材と、を備えた画像読取装置であって、
前記基板に当接する放熱部材が前記走査基台に固定され、
前記放熱部材は、前記主走査方向と平行に配置された第1放熱部、及び前記第1放熱部と連続して前記副走査方向と平行に配置された第2放熱部を備え、
前記牽引部材が前記走査基台に固定された固定部から前記走査基台に配置された前記第1放熱部までの距離は、前記固定部から前記走査基台に配置された前記第2放熱部までの距離よりも長く、
前記第1放熱部は、締結部材により前記走査基台に締結固定され、前記第2放熱部は、弾性部材を用いて前記走査基台に接触固定されていることを特徴とする画像読取装置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
図1は本発明が適用される画像形成装置100を示す概略斜視図である。
【0025】
画像形成装置100は、装置本体110及び自動原稿送り装置120を備え、さらに、装置本体110は、原稿の画像を読み取る原稿読取部90と、原稿が載置される原稿載置台92とを備えている。
【0026】
原稿読取部90は、装置本体110の上部に設けられている。原稿載置台92は、透明ガラスで形成され、原稿読取部90の上側に設けられている。自動原稿送り装置120は、原稿載置台92の上側に取り付けられており、原稿載置台92の上に自動で原稿を搬送する。また、自動原稿送り装置120は、装置本体110と自動原稿送り装置120とを連結する軸回りに回動自在に構成され、原稿載置台92の上を開放することにより原稿を手置きで置くことができるようになっている。
【0027】
自動原稿送り装置120、原稿読取部90及び原稿載置台92により、本発明にかかる原稿読取装置(画像読取装置)が構成されている。
【0028】
画像形成装置100は、原稿読取装置により読み取られた原稿の画像又は外部から受信した画像データに応じて、所定の用紙に対して多色及び単色の画像を形成する。
【0029】
装置本体110は、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム3、クリーナユニット4、帯電器5、中間転写ベルトユニット6、定着ユニット7及び2次転写ユニット10を備える構成とされている。本画像形成装置において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。従って、現像器2、感光体ドラム3、帯電器5、クリーナユニット4は、各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローに設定され、これらによって4つの画像ステーションが構成されている。
【0030】
画像形成装置100は、さらに、給紙カセット81、手差し給紙カセット82、排紙トレイ91を備えている。
【0031】
<原稿読取装置の説明>
図2は、
図1に示す原稿読取装置、すなわち自動原稿送り装置120、原稿読取部90及び原稿載置台92の概略縦断面図である。
【0032】
原稿読取部90は、光源部130を含む光源ユニット140、ミラーユニット141、集光レンズ142及び撮像素子(ここではCCD)143を備えている。
【0033】
原稿載置台92は、透明なガラス板からなり、主走査方向の両端部が原稿読取部90の枠体に載置されている。自動原稿送り装置120は、副走査方向(
図2中の矢印Xに沿う方向)に沿った軸線回りに(例えばヒンジによって軸支され)原稿読取部90に対して開閉可能となっている。自動原稿送り装置120の下面は、原稿読取部90の原稿載置台92上に載置された原稿Gを上から押さえる原稿カバーを兼ねている。
【0034】
原稿読取装置は、原稿固定方式により原稿Gを固定して原稿画像を読み取ると共に、原稿移動方式により原稿Gを移動させて原稿画像を読み取るように構成されている。
【0035】
原稿固定方式によって原稿Gの原稿画像を読み取る場合、光源ユニット140は原稿載置台92に載置される原稿Gに対して光を原稿載置台92を介して照射しながら一定の速度で副走査方向Xの一方側に移動して原稿Gの画像を走査する。このとき、光源部130は、原稿載置台92の下から原稿Gが載置される載置面に向けて光を照射する。それと同時にミラーユニット141は光源ユニット140の移動速度の1/2の移動速度で同じく副走査方向Xの一方側に移動する。
【0036】
光源ユニット140にて照明された原稿Gからの反射光(読取光)は、光源ユニット140に設けられた第1ミラーで反射したのち、ミラーユニット141の第2及び第3ミラーによって光路変換され、集光レンズ142を介して撮像素子143に結像し、ここで原稿画像光が読み取られて電気的な画像データに変換される。
【0037】
一方、原稿移動方式によって原稿Gの原稿画像を読み取る場合、光源ユニット140及びミラーユニット141が
図2に示される位置に静止したまま、自動原稿送り装置120によって原稿Gが
図2に示される位置の上部を通過するように副走査方向Xの一方側に搬送される。
【0038】
そして、原稿読取ガラス144上を通過した原稿Gの一方の面に、光源ユニット140からの光が該原稿読取ガラス144を介して照射されて該一方の面で反射される。原稿Gから反射された光は、上述の原稿固定方式と同様に第1ミラーから第2ミラーさらに第3ミラーによって光路変換され、集光レンズ142を介して撮像素子143に結像し、ここで原稿画像が読み取られて電気的な画像データに変換される。
【0039】
本発明の実施形態にかかる光源ユニット140として、一つ又は二つ以上の導光部材を備えたものとして構成することができる。ここでは、二つの導光部材130を備えた光源ユニット140を例にとって以下に説明する。
図3は、本実施形態にかかる光源ユニット140の概略構成を示す概略斜視図であり、
図4は、
図3のA−A線に沿った光源ユニット140の概略断面図である。
【0040】
光源ユニット140は、走査基台145と、第1ミラー146と、基板147と、光源駆動回路基板148と、放熱部材149と、ホルダー部材150と、導光部材130を備えている。
【0041】
走査基台145は、主走査方向に長尺な板状部材の所定箇所を打ち抜き加工や折り曲げ加工により加工して、他の部材を固定支持する部材である。走査基台145に設けられた複数の孔は、他の部材をネジ等によって取り付けるために用いられる。また、折り曲げて底部に対して立設された部分は、各部材の位置決めや固定に用いられる。
【0042】
第1ミラー146は、ガラスの一面に銀蒸着で反射膜を形成したものであり、反射膜が形成された反射面と、反射面に略直交する端面と、反射面に対向する裏面とを有しており、その断面形状は略矩形状で角部が面取り加工されている。また第1ミラー146は、それぞれ図示しないミラーホルダによって走査基台145に固定されており、原稿によって反射された読取光の光路上に所定位置及び所定角度で配置されている。第1ミラー146は、後述するホルダー部材150のスリットを通過してきた読取光が最初に入射するミラーであり、スリットの略直下に位置している。
【0043】
基板147は、プリント配線基板等の表面上に発光素子(図示せず)を搭載した部材である。
図3に示すように、基板147は導光部材130の両端部に対向するようにホルダー部材150に取り付けられている。基板147には、導光部材130の端面に向けて光を出射するための光学系を設けていても良い。発光素子としては、LED(Light Emitting Diode)が装置の小型化や点光源としての特性を有しているため最も適しているが、LEDの代わりに、他の種類の半導体素子や電球等を適用しても構わない。
【0044】
光源駆動回路基板148は、基板147に搭載された発光素子を駆動制御する駆動回路を搭載した基板であり、走査基台145上のホルダー部材150外部に取り付けられている。光源駆動回路基板148には図示しないハーネスの一端が接続されている。ハーネスの他端は、ホルダー部材150の周囲に沿って延伸されて基板に接続され、発光素子を駆動する電力は制御信号を伝達する。
【0045】
放熱部材149は、熱伝導率の高い金属などにより形成された板状部材であり、基板147の裏面に熱的に接触(当接)して配置されている。したがって、発光素子が発光することで生じた熱は、基板147の裏面を経由して放熱部材に伝達され、外部に放散される。なお、本発明の特徴である放熱部材149の取り付け構造については後ほど詳述する。
【0046】
ホルダー部材150は、二本の導光部材130を保持する部材であり、主走査方向に長尺な枠形状の壁部151と、壁部151と一体に形成された略半円柱側面の取付凹部152とを有している。壁部151は走査基台145の底面に対して略鉛直方向に配置されており、二つの取付凹部152が凹部を原稿面側に向けて形成されている。それぞれの取付凹部152には、導光部材130が位置決めして固定されている。また、二つの取付凹部152の間には、原稿から反射してきた読取光が通過するスリットが設けられている。
【0047】
導光部材130は、透光性を有する略円柱状で主走査方向に延びる長尺体に形成され、長尺体の長手方向の両端にそれぞれの光入射面が形成され、長尺体の長手方向に沿う側面に光出射面が形成され、長尺体の長手方向に沿う光出射面と対向する他の側面に光反射面が形成されている。この導光部材130は、アクリル樹脂を金型で成形することにより形成される。
【0048】
このような光源ユニット140の構成では、導光部材130の両端の光入射面にそれぞれ発光素子が対峙し配置されている。したがって、各発光素子から出射された光は、導光部材130の光入射面に入射して導光部材130の内部で導光され、光出射面から直接出射されるか、光反射面で反射されて光出射面から出射される。
【0049】
各導光部材130の光出射面は、原稿載置台92を介して原稿の同一箇所に向けられており、各導光部材130の光出射面から出射されたそれぞれの光が原稿の同一箇所に入射して、原稿のその箇所が照明され、原稿のその箇所で反射された反射光が読取光として第1ミラー146に到達してミラーユニット141に向けて反射される。
【0050】
<原稿読取装置の機構構造の説明>
図5は、上記構成の原稿読取装置において、原稿を走査して読み取る原稿読取部90の機構部分の具体的構造を示す概略斜視図である。
【0051】
図5に示すように、原稿読取部90の外枠である筐体35(図中二点鎖線により示す)の底部には、集光レンズ142と撮像素子143とを内包した暗箱18が配置されている。光源ユニット140とミラーユニット141とは、この暗箱18の上方を通過しつつ筐体35の底部に沿って、原稿読み取り方向である副走査方向Xに往復移動するように設けられている。筐体35には、例えば、表面に亜鉛メッキを施した鋼板が用いられる。
【0052】
また、光源ユニット140が取り付けられた走査基台145は、主走査方向Yの両端部にワイヤー固定部21a,21bを有している。一方のワイヤー固定部21aには、一方の駆動ワイヤー45aが固定され、他方のワイヤー固定部21bには、他方の駆動ワイヤー45bが固定されている。また、走査基台145の両端部は、ガイドレール36a,36bにそれぞれ支持されており、走査基台145はこのガイドレール36a,36b上を原稿読み取り方向(副走査方向)Xに往復移動するようになっている。この移動方向Xは、走査基台145の両端に固定された駆動ワイヤー45a,45bが両端部の支持プーリ54a,55aに掛けられた方向で決まるが、これについては後述する。
【0053】
また、ミラーユニット141が取り付けられた走査基台155も同様に、主走査方向Yの両端部にワイヤー固定部22a,22bを有している。一方のワイヤー固定部22aには、プーリ49aが取り付けられ、このプーリ49aに駆動ワイヤー45aが掛けられている。また、他方のワイヤー固定部22bにも、プーリ49bが取り付けられ、このプーリ49bに駆動ワイヤー45bが掛けられている。また、走査基台155の両端部は、ガイドレール37a,37bにそれぞれ支持されており、走査基台155はこのガイドレール37a,37b上を副走査方向Xに往復移動するようになっている。すなわち、走査基台155に取り付けられたミラーユニット141は、走査基台145に取り付けられた光源ユニット140と同じ方向に、光源ユニット140と連係して移動するようになっている。
【0054】
駆動モータ38は、光源ユニット140とミラーユニット141とを駆動するステッピングモータであり、図示しないモータ制御回路によって回転が制御される。駆動モータ38の出力軸の回転は、タイミングベルト44を介して駆動シャフト43に伝達され、駆動シャフト43の両端部に取り付けられた駆動プーリ39a,39bを回転させる。駆動プーリ39a,39bには、駆動ワイヤー45a,45bがそれぞれ巻かれており、さらに駆動ワイヤー45a,45bは、それぞれ走査基台145,155の各ワイヤー固定部21a,21b,22a,22bに固定されている。駆動プーリ39a,39bの回転は、駆動ワイヤー45a,45bによって直線運動に変換され、走査基台145,155を副走査方向Xに移動させる。駆動シャフト43及び駆動プーリ39a,39bは鋼製であり、駆動ワイヤー45a,45bにはスチールワイヤが用いられる。
【0055】
<駆動ワイヤーの掛け回し構造の説明>
次に、駆動ワイヤーの掛け回し構造について、
図5に示した原稿読取部90の機構部分の具体的構造を示す概略斜視図、
図6(a),(b)に示す光学系の構成部材の配置関係を示す説明図、及び
図7に示す各構成部材の斜視図を参照して説明する。なお、
図7は、
図5から駆動ワイヤー45a、45bと支持プーリ54a、54b、55a、55bと駆動プーリ39a、39bとを抜き出して示した構成部材のみを概略的に示した斜視図である。この
図7を参照すれば、駆動ワイヤー45a、45bの引き回し方がより容易に理解される。以下、
図5乃至
図7を参照して、駆動ワイヤー45a、45bの掛け回し構造を説明する。
【0056】
駆動ワイヤー45aの一端は、フック46aに固定されている。その先は、走査基台155のプーリ49a(
図5参照)に掛けられ、さらにその先は、走査終端側(
図6のP2側)の走査基台145のワイヤー固定部21aに固定されている。プーリ49aは動滑車のような動きをするので、走査基台155(ミラーユニット141)は、走査基台145(光源ユニット145)の1/2の速度で移動する。走査基台145に固定された駆動ワイヤー45aのさらに先は、支持プーリ54aに掛けられている。さらに、その先は駆動プーリ39aの周囲に巻き掛けられた後、走査始端側(
図6のP1側)にある支持プーリ55aに掛けられている。そして、さらにその先は、走査基台155のプーリ49aに掛けられている。その先の終端部は、テンションスプリング47aを介して筐体35に固定されている。なお、テンションスプリング47aに至る直前で駆動ワイヤー45aがほぼ直角に曲がっている部分には、図示しないプーリが設けられている。このプーリによって、駆動ワイヤー45aのテンションの方向が、筐体35に掛けられたテンションスプリング47aの方向に変えられる。
【0057】
上記構成において、駆動プーリ39aが
図5において時計回りに回転すると、駆動ワイヤー45aのフック46a側が巻き取られる。これによって、走査基台145及び走査基台155が、走査始端側(P1側)から走査終端側(P2側)へ移動する(
図6(b)参照)。駆動プーリ39aの回転に伴って、駆動ワイヤー45aのテンションスプリング47a側は弛むが、プーリ49aが走査終端側(P2側)へ移動して、弛んだ分を横U字型に伸ばしていく。駆動プーリ39aが逆方向(反時計回り)に回転すると、テンションスプリング47a側が巻き取られ、プーリ49aに掛けられた横U字型の部分が巻き取られて走査基台155が、走査終端側(P2側)から走査始端側(P1側)へ移動し(
図6(a)参照)、これに伴って走査基台145も移動する。
【0058】
以上の説明は、一方の駆動ワイヤー45aについてであるが、他方の駆動ワイヤー45bも同様に一端がフック46bに固定され、その先が、プーリ49b、ワイヤー固定部22b、支持プーリ54b、駆動プーリ39b、支持プーリ55b及びプーリ49bを経て、終端がテンションスプリング47bを介して筐体35に固定されている。
【0059】
図8は、走査基台145の一方のワイヤー固定部21aの構造を一部拡大して示す斜視図である。なお、図示は省略しているが、他方のワイヤー固定部21bも同様の構造となっている。
【0060】
ワイヤー固定部21aは、走査基台145の端部に形成された方形状の開口部60内に、副走査方向Xに渡し架けるように設けられた板状の部材である。このワイヤー固定部21aは、開口部60の副走査方向Xに対向する両縁部から下方に湾曲させた支持腕部62によって開口部60の下方位置に配置されている。また、ワイヤー固定部21aには、その中央部にネジ孔63が設けられており、副走査方向Xに沿う両側部には、駆動ワイヤー45aを引っ掛けて保持するためのリブ片64が設けられている。本実施形態では、駆動ワイヤー45aは、開口部60の下側(すなわち、走査基台145の下側)を通過するようにして、ワイヤー固定部21a上に挿通されている。そして、この状態において、ワイヤー固定部21aの上方から、開口部60を通して、ワイヤー固定部21aとほぼ同形状の固定板66を載置し、固定板66の中央部に設けられたネジ孔67からワイヤー固定部21aのネジ孔63に対してネジ部材68をねじ込むことで、駆動ワイヤー45aをワイヤー固定部21aと固定板66との間に強固に挟み込んで固定する構造となっている。
【0061】
本実施形態では、板金である走査基台145から開口部60を打ち抜くときに、ワイヤー固定部21aと支持腕部62及びリブ片64とを残すように打ち抜き、支持腕部62を湾曲状に圧延するとともに、リブ片64を起立させるように折り曲げ加工することで、ワイヤー固定部21aを走査基台145に一体に形成している。また、走査基台145に開口部60を設けることで、振動源であるワイヤー固定部21aの振動が支持腕部62によって吸収され、走査基台145に伝わる振動を低減することができる。
【0062】
<放熱部材の実施形態1の説明>
図9は、本発明にかかる放熱部材149の実施形態1を示しており、走査基台145の端部に配置された放熱部材149の周辺部分を拡大して示す斜視図である。
図9は、走査基台145のワイヤー固定部21a側の端部を示しているが、ワイヤー固定部21b側の端部に配置される放熱部材149も同様の構成となっている。
【0063】
上記したように、放熱部材149は、基板147に接触(当接)させた状態で走査基台145に固定されている。放熱部材149は、主走査方向Yと平行に配置された第1放熱部149aと、副走査方向Xと平行に配置された第2放熱部149bとからなり、平面視L字状に形成されている。
【0064】
この構成では、第1放熱部149aは、駆動ワイヤー45aが固定されたワイヤー固定部21aから遠い側に配置され、第2放熱部149bは、ワイヤー固定部21aに近い側に配置されている。より具体的には、第1放熱部149aは、駆動ワイヤー45aの配線方向に対して直交する方向に配置されており、第2放熱部149bは、駆動ワイヤー45aの配線方向に沿って配置されている。
【0065】
第1放熱部149a及び第2放熱部149bはそれぞれ、下辺縁部から走査基台145に沿って延設された固定片161,171を備えている。
【0066】
第1放熱部149aに設けられた固定片161は、ワイヤー固定部21aから離れた第1放熱部149aの端部に形成されている。この固定片161には、ネジ固定用の孔161aが形成されている。すなわち、第1放熱部149aの固定片161は、ワイヤー固定部21aから離れた場所において、走査基台145に対しネジ部材166による締結固定となっている。
【0067】
一方、第2放熱部149bに設けられた固定片171は、ワイヤー固定部21aから離れた第2放熱部149bの端部まで延設されており、その延設端部において、固定片171の縁部を弾性部材175によって走査基台145に接触固定する構成となっている。
【0068】
ここで、弾性部材175としては、耐衝撃吸収材としても機能し、かつ、適度な粘着性を有する粘着部材を用いるのが好ましい。粘着部材としては、例えば、いわゆるネジロック剤(株式会社スリーボンド、製品名:1401B)やボンド(コニシ株式会社の登録商標、製品名:G17)等の粘着剤や、粘着シート(ゲルシール)(共同技研化学株式会社、製品名:MG20)等を用いることができる。
【0069】
図10は、弾性部材175として、上記のネジロック剤やボンドといった粘着剤を用いて第2放熱部149bの固定片171を走査基台145に粘着固定した状態を示す断面図である。
【0070】
上記の粘着剤は適度な粘性を有することから、塗布された粘着剤は、固定片171の縁部上面から縁部側面を経て走査基台145の上面に至るまで、若干盛り上がるように塗布されて、固定片171と走査基台145とを強固に接着(粘着)固定する。この際、固定片171と走査基台145との間にも粘着剤が若干浸入し、浸入した部分では固定片171と走査基台145の両接合面が粘着剤で強固に面接着される。
【0071】
この構成によれば、放熱部材149は、第1放熱部149aの固定片161による固定と、第2放熱部149bの固定片171による固定の2箇所での固定となっている。すなわち、振動源である駆動ワイヤー45aのワイヤー固定部21aから遠い側の第1放熱部149aは、ネジ部材(または、ボルト・ナット等の固定具でもよい。)166による締結固定とし、ワイヤー固定部21aに近い側の第2放熱部149bは、振動の影響を受けにくい(すなわち、振動を低減若しくは吸収し得る)弾性部材175を用いた接触固定とすることで、駆動ワイヤー45aからの振動がそのまま放熱部材149に伝わることを低減することができる。その結果、放熱部材149が接触(当接)している基板147や導光部材130等に及ぼす振動の影響も低減できるので、光源ユニット140による読み取り画像の振れを防止若しくは低減することができる。
【0072】
また、この構成によれば、ワイヤー固定部21aという振動源からより遠い位置で固定できるため、ワイヤー固定部21aの振動が減衰された状態でそれぞれの固定部(締結固定部及び接触固定部)に伝わることになり、放熱部材149の振動を低減することができる。また、第2放熱部149bについては、粘着固定とすることで、第2放熱部149bの防振と固定の両方を達成することができる。
【0073】
また、ワイヤー固定部21aが設けられた開口部60は、締結部材であるネジ部材166と弾性部材175との間に設けられている。このように、開口部60をネジ部材166と弾性部材175との間に設けることで、ワイヤー固定部21aの振動が吸収されることになる。
【0074】
<放熱部材の実施形態2の説明>
図11及び
図12は、本発明にかかる放熱部材149の実施形態2を示しており、
図11は、走査基台145の端部に配置された放熱部材149の周辺部分を拡大して示す斜視図、
図12は、第2放熱部149bの固定片171を走査基台145に固定した状態を示す断面図である。なお、
図11及び
図12は、走査基台145のワイヤー固定部21a側の端部を示しているが、ワイヤー固定部21b側の端部に配置される放熱部材149も同様の構成となっている。
【0075】
実施形態1と実施形態2との違いは、弾性部材175による接触固定部分の構造のみであり、その他の構成は
図9に示した実施形態1の構成と同じであるので、ここでは違う部分のみについて説明する。
【0076】
すなわち、実施形態1では、固定片171と走査基台145とは完全な面接触の構造としているが、実施形態2では、弾性部材175による接触固定部分の走査基台145に平面視四角形状の凹部76を形成し、固定片171の端部下面と走査基台145との間の凹部76にも、ネジロック剤やボンドといった粘着剤(弾性部材)175を充填する構造としたものである。
【0077】
この構成によれば、塗布された粘着剤175は、固定片171の縁部上面から縁部側面を経て走査基台145の上面に至るまで、若干盛り上がるように塗布されるとともに、凹部76にも浸入し、凹部76内を充填して、固定片171と走査基台145とを強固に接着(粘着)固定する。この際、凹部76に充填された粘着剤175は、ある程度の厚みを有し、これがクッションとなって、放熱部材149に伝わる振動を低減することができる。また、凹部76があることによって、固定片171と走査基台145との接着面積も広くなることから、弾性力に加え接着力(粘着力)も増大する。
【0078】
<放熱部材の実施形態3の説明>
図13は、本発明にかかる放熱部材149の実施形態3を示しており、第2放熱部149bの固定片171を走査基台145に固定した状態を示す断面図である。なお、
図13は、走査基台145のワイヤー固定部21a側の端部を示しているが、ワイヤー固定部21b側の端部に配置される放熱部材149も同様の構成となっている。
【0079】
実施形態1では、弾性部材175としてネジロック剤やボンドといった粘着剤を用いているが、実施形態3では、弾性部材175として上記粘着シートを用いた構成としたものである。その他の構成については
図9に示した実施形態1の構成と同じであるので、ここでは違う部分のみについて説明する。
【0080】
すなわち、実施形態3では、接触固定部分の走査基台145の上面と固定片171の端部下面との間に、薄い粘着シート(弾性部材)175を配置して接着固定したものである。薄い粘着シートを用いることで、粘着シート以外の部分での固定片171と走査基台145との接触は確保されており、放熱に影響はない。
【0081】
<放熱部材の実施形態4の説明>
図14は、本発明にかかる放熱部材149の実施形態4を示しており、第2放熱部149bの固定片171を走査基台145に固定した状態を示す断面図である。なお、
図14は、走査基台145のワイヤー固定部21a側の端部を示しているが、ワイヤー固定部21b側の端部に配置される放熱部材149も同様の構成となっている。
【0082】
実施形態1と実施形態4との違いは、弾性部材175による接触固定部分の構造のみであり、その他の構成は
図9に示した実施形態1の構成と同じであるので、ここでは違う部分のみについて説明する。
【0083】
すなわち、実施形態1では、固定片171と走査基台145とは完全な面接触の構造としているが、実施形態4では、弾性部材175による接触固定部分の走査基台145に平面視四角形状の凹部67を形成し、この凹67に上記粘着シート(弾性部材)175を配置して、固定片171の端部下面と走査基台145の凹67の底面とを粘着シート175で粘着固定する構造としたものである。
【0084】
この構成によれば、粘着シートに厚みがあることから、クッション性にも優れているので、放熱部材149に伝わる振動を低減することができる。
【0085】
<放熱部材の実施形態5の説明>
図15及び
図16は、本発明にかかる放熱部材149の実施形態5を示しており、
図15は、走査基台145の端部に配置された放熱部材149の周辺部分を拡大して示す斜視図、
図16は、第2放熱部149bの固定片171を走査基台145に固定した状態を示す断面図である。なお、
図15及び
図16は、走査基台145のワイヤー固定部21a側の端部を示しているが、ワイヤー固定部21b側の端部に配置される放熱部材149も同様の構成となっている。
【0086】
実施形態1と実施形態5との違いは、弾性部材175による接触固定部分の構造のみであり、その他の構成は
図9に示した実施形態1の構成と同じであるので、ここでは違う部分のみについて説明する。
【0087】
すなわち、実施形態1では、弾性部材175としてネジロック剤やボンド、粘着シート(ゲルシート)といった粘着部材を用いているが、実施形態5では、粘着性の無いゴム等の弾性シートを用い、固定片171の固定方法として、第1放熱部149aの固定方法と同じ締結固定を採用したものである。
【0088】
すなわち、実施形態5では、弾性部材175による接触固定部分の走査基台145に平面視四角形状の凹部77を形成し、この凹部77に粘着性の無い弾性部材175をクッション材として若干圧縮状態で配置し、ワイヤー固定部21aから最も離れた固定片171の端部にネジ部材167を用いて走査基台145に締結固定する構造としたものである。
【0089】
この構成によれば、第2放熱部149bの固定片171もネジ固定ではあるものの、このネジ固定部(締結固定部)と振動源であるワイヤー固定部21aとの間に弾性部材175が配置されていることから、これがクッションとなって、放熱部材149に伝わる振動を低減することができる。
【0090】
<放熱部材の実施形態6の説明>
図17及び
図18は、本発明にかかる放熱部材149の実施形態6を示しており、
図17は、走査基台145の端部に配置された放熱部材149の周辺部分を拡大して示す斜視図、
図18は、第2放熱部149bの固定片171を走査基台145に固定した状態を示す断面図である。なお、
図17及び
図18は、走査基台145のワイヤー固定部21a側の端部を示しているが、ワイヤー固定部21b側の端部に配置される放熱部材149も同様の構成となっている。
【0091】
実施形態1と実施形態6との違いは、弾性部材175による接触固定部分の構造のみであり、その他の構成は
図9に示した実施形態1の構成と同じであるので、ここでは違う部分のみについて説明する。
【0092】
すなわち、実施形態1では、弾性部材175としてネジロック剤やボンドといった粘着剤を用いて接触固定しているが、実施形態6では、弾性部材175として上記の粘着シートを用い、かつ、固定片171の固定方法として締結固定以外の方法、例えば係止爪による係止固定構造を採用したものである。
【0093】
すなわち、実施形態6では、ワイヤー固定部21aから最も離れた固定片171の端部に対向する位置の走査基台145に切り込みを形成して係止片79を切り起こし、この係止片79の係止爪79aの下面と、これに対向する固定片171の縁部上面との間に粘着シート(弾性部材)175を配置している。粘着シート175は、若干圧縮された状態で配置するのが好ましい。
【0094】
この構成によれば、第2放熱部149bの固定片171を係止片79と粘着シート175とで係止固定しているので、粘着シート175がクッションとなって、放熱部材149に伝わる振動を低減することができる。
【0095】
<放熱部材の実施形態7の説明>
図19は、本発明にかかる放熱部材149の実施形態7を示しており、光源ユニット140の概略平面図である。
【0096】
実施形態7では、上記実施形態1〜6において、第1放熱部149aに特徴を有している。すなわち、第1放熱部149aを、画像読み取り時の有効画像領域Wまで延設した構成としたものである。
【0097】
この構成によれば、十分な放熱効果を維持しつつ、固定片161をワイヤー固定部21aからさらに離すことができるので、第1放熱部149aの振動もさらに低減(抑制)することができる。
【0098】
なお、今回開示した実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。