(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
金属箔の両面に樹脂層を積層した積層体からなりかつ内容物として食品が収容される容器本体と、金属箔の両面に樹脂層を積層した積層体からなりかつ容器本体のフランジ部にシールされる蓋材とを備えており、容器本体および蓋材に、これらの内側樹脂層および外側樹脂層を部分的に除去することにより、金属箔内面露出部および金属箔外面露出部がそれぞれ形成されており、容器本体の金属箔内面露出部と、蓋材の金属箔内面露出部とは、食品を介して電気的に接続可能な位置に形成されている、通電加熱対応容器。
蓋材の金属箔内面露出部が、蓋材のうち容器本体の開口を覆っている部分に形成されているとともに、金属箔内面露出部の面積が、容器本体の開口の面積の30〜100%である、請求項1記載の通電加熱対応容器。
容器本体の金属箔内面露出部が、容器本体の底壁部に形成されているとともに、金属箔内面露出部の面積が、底壁部の面積の30〜100%である、請求項1または2記載の通電加熱対応容器。
容器本体および蓋材それぞれの金属箔内面露出部および金属箔外面露出部のうち少なくとも金属箔内面露出部が、導電性被膜によって被覆されている、請求項1〜3のいずれか1つに記載の通電加熱対応容器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に示す通電加熱用容器では、容器に絶縁性が必要なことから、容器本体を樹脂製としているが、樹脂製の容器本体は、金属缶や金属箔を含む容器と比べてガスバリア性や紫外線バリア性が劣るため、通電加熱殺菌後の常温下での長期保存により、食品の酸化劣化や退色が起こり易い。また、上記特許文献1の通電加熱用容器の場合、樹脂製容器本体と導電性部材との組合せが複雑であって、その製造も煩雑な工程を要するものであった。
【0006】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、内容物である食品の長期保存を可能にするため、高いガスバリア性および紫外線バリア性を有しているとともに、包装後の食品に電気を流して加熱殺菌を行うことができる容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記の目的を達成するために、以下の態様からなる。
【0008】
1)金属箔の両面に樹脂層を積層した積層体からなりかつ内容物として食品が収容される容器本体と、金属箔の両面に樹脂層を積層した積層体からなりかつ容器本体のフランジ部にシールされる蓋材とを備えており、容器本体および蓋材に、これらの内側樹脂層および外側樹脂層を部分的に除去することにより、金属箔内面露出部および金属箔外面露出部がそれぞれ形成されており、容器本体の金属箔内面露出部と、蓋材の金属箔内面露出部とは、食品を介して電気的に接続可能な位置に形成されている、通電加熱対応容器。
【0009】
2)蓋材の金属箔内面露出部が、蓋材のうち容器本体の開口を覆っている部分に形成されているとともに、金属箔内面露出部の面積が、容器本体の開口の面積の30〜100%である、上記1)の通電加熱対応容器。
【0010】
3)容器本体の金属箔内面露出部が、容器本体の底壁部に形成されているとともに、金属箔内面露出部の面積が、底壁部の面積の30〜100%である、上記1)または2)の通電加熱対応容器。
【0011】
4)容器本体および蓋材それぞれの金属箔内面露出部および金属箔外面露出部のうち少なくとも金属箔内面露出部が、導電性被膜によって被覆されている、上記1)〜3)のいずれか1つの通電加熱対応容器。
【0012】
5)導電性被膜が、金属箔の内面または外面に予め形成された導電性被膜層の一部よりなる、上記4)の通電加熱対応容器。
【0013】
6)導電性被膜が、金属箔内面露出部または金属箔外面露出部のみに導電性被膜処理を施すことにより形成されている、上記4)の通電加熱対応容器。
【発明の効果】
【0014】
上記1)の通電加熱対応容器によれば、容器本体および蓋材それぞれが金属箔を含んだ積層体からなるので、高いガスバリア性および紫外線バリア性が得られ、長期保存による食品の劣化が生じ難い上、容器本体および蓋材の金属箔外面露出部に通電することによって、食品に電気が流れて抵抗熱が発生し、食品の加熱殺菌を短時間で行うことができる。また、上記1)の通電加熱対応容器によれば、通電加熱に必要な構造が、容器本体および蓋材それぞれの内外両側樹脂層の一部を除去して金属箔の内外両面を部分的に露出させることによるものであるので、製造が容易である。
【0015】
上記2)の通電加熱対応容器によれば、蓋材の金属箔内面露出部の面積が、容器本体の開口の面積の30〜100%となされているので、効率的で熱ムラの少ない通電加熱殺菌が可能となり、また、シール部には金属箔内面露出部が形成されないので、容器の密封性が損なわれない。
【0016】
上記3)の通電加熱対応容器によれば、容器本体の金属箔内面露出部の面積が、容器本体の底壁部の面積の30〜100%となされているので、効率的で熱ムラの少ない通電加熱殺菌が可能となる。また、容器本体が積層シートをプレス成形することにより形成される場合、通常、底壁と側壁との間にアールの付いた部分が形成されるが、上記3)の通電加熱対応容器によれば、上記アールの付いた部分には、金属箔内面露出部が形成されないので、プレス成形時に材料破壊やピンホールが発生し難い。
【0017】
上記4)の通電加熱対応容器によれば、容器本体および蓋材それぞれの金属箔内面露出部、または金属箔内面露出部と金属箔外面露出部が、導電性被膜によって被覆されているため、同露出部が食品や外部環境によって腐食するのを効果的に防止することができ、通電機能も損なわれない。
【0018】
上記5)の通電加熱対応容器によれば、導電性被膜が金属箔の内面または外面に予め形成された導電性被膜層の一部よりなるので、同被膜の形成が容易である。
【0019】
上記6)の通電加熱対応容器によれば、導電性被膜が金属箔内面露出部または金属箔外面露出部のみに導電性被膜処理を施すことにより形成されているので、被膜の形成に無駄がなく、コストが抑えられ、また、被膜の性状や厚みの細かい調整が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の実施形態を、
図1〜
図9を参照して説明する。
【0022】
<第1の実施形態>
図1〜
図4は、この発明の第1の実施形態を示すものである。
この実施形態に係る通電加熱対応容器は、例えばスープ、めんつゆ等の液状食品や、カレー、シチュー等の調理済み食品や、プリン、水ようかん等のデザート食品を内容物とするものであって、常温での長期保存が可能であり、かつ包装後に通電加熱による食品の殺菌処理が可能な容器である。
図1および
図2に示すように、通電加熱対応容器(1A)は、食品(C)が収容されるカップ状の容器本体(2)と、容器本体(2)の開口を覆うように容器本体(2)のフランジ部(2a)に熱封緘される蓋材(3)とよりなる。食品(C)は、未殺菌のまま、容器(1A)内が隙間の生じない満杯状態となるように、容器本体(2)に充填される。蓋材(3)には、その外周縁部における周方向の一部から径方向外方に張り出しかつ蓋材(3)を剥離開封する際に指で摘まれる摘み部(3a)が形成されている。
【0023】
容器本体(2)は、金属箔(21)、金属箔(21)の内面に積層された熱封緘性樹脂層(22)、および金属箔(21)の外面に積層された外側樹脂層(23)よりなる積層シート(20)をプレス成形することにより形成されている。積層シート(20)のプレス成形は、深絞り成形や張出し成形等の冷間成形により行われる。金属箔(21)の内面は、導電性被膜(24)で覆われている。
【0024】
蓋材(3)は、金属箔(31)、金属箔(31)の内面に積層された熱封緘性樹脂層(32)、および金属箔層(31)の外面に積層された耐熱性樹脂層(33)よりなる積層シート(30)を所定の形状および寸法に断裁することにより形成されている。金属箔(31)の内面は、導電性被膜(34)で覆われている。耐熱性樹脂層(33)は、熱封緘性樹脂層(32)を構成する樹脂より20℃以上融点の高い樹脂よりなる。
【0025】
容器本体(2)および蓋材(3)には、これらの熱封緘性樹脂層(22)(32)および外側樹脂層(23)、耐熱性樹脂層(33)を部分的に除去することにより、金属箔内面露出部(21A)(31A)および金属箔外面露出部(21B)(31B)がそれぞれ形成されている。容器本体(2)の金属箔内面露出部(21A)と、蓋材(3)の金属箔内面露出部(31A)とは、食品(C)を介して電気的に接続可能な位置に形成されている。
【0026】
容器本体(2)の金属箔内面露出部(21A)は、食品(C)を介して蓋材(3)の金属箔内面露出部(31A)と対向させた状態で通電加熱を行う必要上、通常、容器本体(2)の底壁部(2b)に形成される。
金属箔内面露出部(21A)の形状は特に限定されないが、その面積は、食品(C)との接触面積をできるだけ大きくして、効率的で熱ムラの少ない通電加熱が可能となるように、底壁部(2b)の面積の30〜100%とすることが好ましく、通電加熱の効率を考えると、80〜100%にすることがより好ましい。
一方、容器本体(2)の金属箔外面露出部(21B)は、容器本体(2)の外面であれば、どの位置に形成されてもよく、また、その大きさや形状も特に限定されない。
図1および
図2に示す容器(1A)では、容器本体(2)の底壁部(2b)下面の中心部に金属箔外面露出部(21B)が形成されている。
なお、金属箔内面露出部(21A)および金属箔外面露出部(21B)は、容器本体(2)の内面および外面に少なくとも1つずつ形成されていれば足りるが、それぞれを2つ以上形成しても構わない。
【0027】
蓋材(3)の金属箔内面露出部(31A)は、蓋材(3)のうち容器本体(2)の開口を覆っている部分に形成されている。したがって、蓋材(3)のシール部には、金属箔内面露出部(31A)が形成されないので、容器(1A)の密封性が損なわれるおそれがない。
金属箔内面露出部(31A)の形状は特に限定されないが、その面積は、食品(C)との接触面積をできるだけ大きくして、効率的かつ熱ムラの少ない通電加熱が可能となるように、容器本体(2)の開口の面積の30〜100%とすることが好ましく、通電加熱の効率を考えると、80〜100%にすることがより好ましい。
一方、蓋材(3)の金属箔外面露出部(31B)は、蓋材(3)の外面であれば、どの位置に形成されてもよく、また、その大きさや形状も特に限定されない。
図1および
図2に示す容器(1A)では、蓋材(3)外面の中心部に金属箔外面露出部(31B)が形成されている。
金属箔内面露出部(31A)および金属箔外面露出部
(31B)は、蓋材(3)の内面および外面に少なくとも1つずつ形成されていれば足りるが、それぞれを2つ以上形成しても構わない。
【0028】
図3には、容器本体(2)の層構造が詳しく示されている。
図3(a)に示すように、容器本体(2)を構成している積層シート(20)は、導電性被膜(24)で被覆された金属箔(21)の内面に、接着剤(25)を介して熱封緘性樹脂層(22)を積層するとともに、金属箔(21)の外面に、接着剤(25)を介して外側樹脂層(23)を積層してなるものである。
また、
図3(b)に示すように、容器本体(2)の底壁部(2b)内側には、熱封緘性樹脂層(22)の一部が除去されることにより金属箔内面露出部(21A)が形成されているとともに、外側樹脂層(23)の一部が除去されることにより金属箔外面露出部(21B)が形成されている。金属箔内面露出部(21A)は、導電性被膜(24)によって覆われている。
金属箔(21)には、バリア性、成形性および加工性を考慮すると、軟質化処理を施したアルミニウム箔(アルミ合金箔を含む)、鉄箔、ステンレス箔、銅箔等が使用されるが、電気伝導性、熱伝導性、コスト等を考慮すると、JIS H4160で分類されるA8079、A8021、A3003等のアルミニウム箔であって、厚みが50〜200μmのものが適しており、特に、厚みが70〜150μmの範囲のものが好ましい。
導電性被膜(24)としては、錫メッキや、ベーマイト、アルマイト等の酸化処理膜、化成処理膜、導電性樹脂の塗布膜が使用される。錫メッキ層の厚みとしては、1〜3μmが好ましい。ベーマイトやアルマイト等の酸化被膜層は、膜厚が大きいほど電気を通し難くなるので、ベーマイト層の場合は厚みを0.2〜1μmとし、アルマイト層の場合は厚みを1〜3μmとするのが好ましい。また、化成処理膜は、金属箔(21)への表面処理剤を使用することも可能であり、例えば、金属箔(21)へのクロメート処理、ジルコニウム化合物を用いたノンクロム型化成処理が含まれる。クロメート処理の場合は、脱脂処理を行った金属箔(21)の表面に、下記1)〜3)のいずれかの混合物の水溶液を塗工した後、乾燥させる。
1)リン酸と、クロム酸と、フッ化物の金属塩およびフッ化物の非金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む混合物。
2)リン酸と、アクリル系樹脂、キトサン誘導体樹脂およびフェノール系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂と、クロム酸およびクロム(III)塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む混合物。
3)リン酸と、アクリル系樹脂、キトサン誘導体樹脂およびフェノール系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂と、クロム酸およびクロム(III)塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、フッ化物の金属塩およびフッ化物の非金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む混合物。
前記化成処理膜は、クロム付着量として0.1〜50mg/m
2が好ましく、特に2〜20mg/m
2が好ましい。
さらに、ポリアセチレン樹脂やポリピロール樹脂、ポリアニリン樹脂等の導電性樹脂を使用することが可能であり、また、導電性を有する金属やカーボンを混入した汎用性樹脂を用いることもできる。すなわち、アルミニウム、鉄、ステンレス、ニッケル、銅、カーボン等の粉末や繊維を練り込んだポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン酢ビ共重合体樹脂、ABS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等よりなる膜であって、膜厚を1〜50μmとすることができるが、導電性や食品に対する耐食性を考慮すると、膜厚を5〜30μmとするのが好ましい。
金属箔(21)の内面に積層される熱封緘性樹脂層(22)には、厚さ10〜200μmのポリプロピレン樹脂フィルムやポリエチレン樹脂フィルム等の汎用性フィルム、または、これらの複合フィルムが使用されるが、絶縁性や熱効率を考慮すると、厚みを20〜100μmにすることが好ましい。
金属箔(21)の外面に積層される外側樹脂層(23)には、厚さ12〜50μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリブチレンナフタレート樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム、ポリエチレン樹脂フィルム等の汎用性の高いフィルムや、これらの複合材料が用いられる。
接着剤(25)には、2液硬化型のポリエステルポリウレタン樹脂系接着剤、またはポリエーテルポリウレタン樹脂系接着剤が用いられ、それぞれの膜厚は1〜15μm程度となされるが、密着性や成形性の向上を考慮すると、膜厚を2〜5μmにすることが好ましい。
【0029】
図4には、蓋材(3)の層構造が詳しく示されている。
図4(a)に示すように、蓋材(3)を構成している積層シート(30)は、導電性被膜(34)で被覆された金属箔(31)の内面に、接着剤(35)を介して熱封緘性樹脂層(32)を積層するとともに、金属箔(31)の外面に、接着剤(35)を介して耐熱性樹脂層(33)を積層してなるものである。なお、熱封緘性樹脂層(32)は易開封性樹脂によって構成することが好ましい。
また、
図4(b)に示すように、蓋材(3)の容器本体開口被覆部には、熱封緘性樹脂層(32)の一部が除去されることにより金属箔内面露出部(31A)が形成されているとともに、耐熱性樹脂層(33)の一部が除去されることにより金属箔外面露出部(31B)が形成されている。金属箔内面露出部(31A)は、導電性被膜(34)によって覆われている。
金属箔(31)には、バリア性、柔軟性および加工性を考慮して、軟質化処理を施したアルミニウム箔(アルミ合金箔を含む)、鉄箔、ステンレス箔、銅箔等が使用されるが、電気伝導性、熱伝導性、コスト等を考慮すると、JIS H4160で分類される8079、8021、3003等のアルミニウム箔であって、厚みが7〜150μmのものが適しており、特に、厚みが30〜100μmの範囲のものが好ましい。
導電性被膜(34)としては、錫メッキや、ベーマイト、アルマイト等の酸化処理膜、化成処理膜、導電性樹脂の塗布膜が用いられる。錫メッキ層の厚みとしては1〜3μmが好ましい。ベーマイトやアルマイト等の酸化処理膜は、膜厚が大きいほど電気を通し難くなるので、ベーマイト層の場合は厚みを0.2〜1μmとし、アルマイト層の場合は厚みを1〜3μmとするのが好ましい。また、化成処理膜は、金属箔(31)への表面処理剤を使用することも可能であり、例えば、金属箔(31)へのクロメート処理、ジルコニウム化合物を用いたノンクロム型化成処理が含まれる。クロメート処理の場合は、脱脂処理を行った金属箔(31)の表面に、下記1)〜3)のいずれかの混合物の水溶液を塗工した後、乾燥させる。
1)リン酸と、クロム酸と、フッ化物の金属塩およびフッ化物の非金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む混合物。
2)リン酸と、アクリル系樹脂、キトサン誘導体樹脂およびフェノール系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂と、クロム酸およびクロム(III)塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む混合物。
3)リン酸と、アクリル系樹脂、キトサン誘導体樹脂およびフェノール系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂と、クロム酸およびクロム(III)塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、フッ化物の金属塩およびフッ化物の非金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む混合物。
前記化成処理膜は、クロム付着量として0.1〜50mg/m
2が好ましく、特に2〜20mg/m
2が好ましい。
さらに、ポリアセチレン樹脂やポリピロール樹脂、ポリアニリン樹脂等の導電性樹脂を使用することが可能であり、また、導電性を有する金属やカーボンを混入した汎用性樹脂を用いることもできる。すなわち、アルミニウム、鉄、ステンレス、ニッケル、銅、カーボン等の粉末や繊維を練り込んだポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン酢ビ共重合体樹脂、ABS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等よりなる膜であって、膜厚を1〜50μmとすることができるが、導電性や食品に対する耐食性を考慮すると、膜厚を5〜30μmとするのが好ましい。
金属箔(31)の内面に積層される熱封緘性樹脂層(32)には、厚さ10〜200μmのポリプロピレン樹脂フィルムやポリエチレン樹脂フィルム等の汎用性フィルム、またはこれらの複合フィルムが使用されるが、絶縁性や熱効率を考慮すると、厚みを20〜100μmにすることが好ましい。
金属箔(31)の外面に積層される耐熱性樹脂層(33)には、厚さ12〜50μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリブチレンナフタレート樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム、ポリエチレン樹脂フィルム等の汎用性の高いフィルムや、これらの複合材料が用いられる。
接着剤(35)には、2液硬化型のポリエステルポリウレタン樹脂系接着剤、またはポリエーテルポリウレタン樹脂系接着剤が用いられ、それぞれの膜厚は1〜15μm程度となされるが、密着性や成形性の向上を考慮すると、膜厚を2〜5μmにすることが好ましい。
【0030】
<第2の実施形態>
図5〜
図7は、この発明の第2の実施形態を示すものである。
この実施形態に係る通電加熱対応容器(1B)は、以下の点を除いて、
図1〜
図4に示す第1の実施形態の通電加熱対応容器(1A)と同一である。
すなわち、第2の実施形態の通電加熱対応容器(1B)にあっては、容器本体(2)の金属箔(21)の内面に予め導電性被膜が形成されておらず、金属箔内面露出部(21A)のみに、導電性被膜処理を施すことにより、導電性被膜(240)が形成されている。導電性被膜(240)としては、錫メッキや、ベーマイト、アルマイト等の酸化処理膜が用いられる。錫メッキ層の厚みとしては、1〜3μmが好ましい。ベーマイトやアルマイト等の酸化被膜層は、膜厚が大きいほど電気を通し難くなるので、ベーマイト層の場合は厚みを0.2〜1μmとし、アルマイト層の場合は厚みを1〜3μmとするのが好ましい。
また、この実施形態の通電加熱対応容器(1B)では、蓋材(3)の金属箔(31)の内面にも予め導電性被膜が形成されておらず、金属箔内面露出部(31A)のみに、導電性被膜処理を施すことにより、導電性被膜(340)が形成されている。導電性被膜(340)としては、錫メッキや、ベーマイト、アルマイト等の酸化処理膜が用いられる。錫メッキ層の厚みとしては、1〜3μmが好ましい。ベーマイト、アルマイト等の酸化処理膜は、膜厚が大きいほど電気を通し難くなるので、ベーマイト層の場合は厚みを0.2〜1μmとし、アルマイト層の場合は厚みを1〜3μmとするのが好ましい。
【実施例】
【0031】
次に、この発明の具体的実施例について説明するが、この発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0032】
<実施例1>
図8に示す加工手順に従って、この発明による通電加熱対応容器の容器本体(2)を作製した。
即ち、まず、ジルコニウム化合物を含むノンクロム化成処理を施すことにより両面に導電性被膜(図示略)が形成されている厚さ120μmのJIS H4160で分類されるA8079の焼鈍済みのアルミニウム合金箔(21)を300mm角に断裁し、このアルミニウム合金箔(21)の片面の中央部に、厚さ50μmで40mmφにカットしたポリエステル樹脂粘着テープ(4)を貼り付けた(
図8(a)参照)。
次いで、
図8(b)に示すように、ポリエステル樹脂粘着テープ(4)が貼り付けられたアルミニウム箔(21)の片面全体に、2液硬化型のポリエステルポリウレタン樹脂系接着剤(図示略)を塗布量3g/m
2で塗布して、厚さ25μmのポリエステル樹脂フィルム(23)を貼り合せ、40℃の恒温槽にて3日間静置し、接着剤を養生させた。
次に、ポリエステル樹脂粘着テープ(4)が貼り付けられている部分の周囲のポリエステル樹脂フィルム(23)にカッターナイフで切込みを入れ、ポリエステル樹脂フィルム(23)ごとポリエステル樹脂粘着テープ(4)を剥がし、化成処理したアルミニウム合金箔(21)の片面を部分的に露出させ、露出部(21B)を形成した(
図8(C)参照)。
次に、
図8(d)に示すように、アルミニウム合金箔(21)の他面の中央部に、厚さ50μmで60mmφにカットしたポリエステル樹脂粘着テープ(5)を貼り付け、その上から2液硬化型のポリエステルポリウレタン樹脂系接着剤(図示略)を塗布量3g/m
2にて塗布し、厚さ30μmのポリプロピレン樹脂フィルム(22)を貼り合わせ、40℃の恒温槽にて3日間静置し、接着剤を養生させることにより、3層構造の積層シート(20)を得た(
図8(e)参照)。
次に、
図8(f)に示すように、ポリエステル樹脂粘着テープ(5)が貼り付けられている部分の周囲のポリプロピレン樹脂フィルム(22)にカッターナイフで切込みを入れ、ポリプロピレン樹脂フィルム(22)ごとポリエステル樹脂粘着テープ(5)を剥がして、化成処理したアルミニウム合金箔(21)の他面を部分的に露出させ、露出部(21A)を形成した。
そして、アルミニウム合金箔(21)両面の露出部(21A)(21B)が中央の位置にくるように、積層シート(20)を175mmφにトリミングした(
図8(g)参照)。
次いで、トリミングした積層シート(20)を、深絞り用金型(6)の雄型(61)および雌型(62)間に設置して(
図8(h)参照)、積層シート(20)の周縁部をしわ押え型(63)で押えながら、雄型(61)を雌型(62)内に押し込んで積層シート(20)を成形することにより(
図8(h)参照)、開口径100mmφ、底壁部内面径80mmφ、深さ40mm、フランジ部幅5mm、容量220ccのカップ状容器本体(2)を作製した(
図8(i)参照)。
【0033】
また、
図9に示す加工手順に従って、この発明による通電加熱対応容器の蓋材(3)を作製した。
即ち、まず、ジルコニウム化合物を含むノンクロム化成処理を施すことにより両面に導電性被膜(図示略)が形成されている厚さ20μmのJIS H4160で分類されるA1N30の焼鈍済みのアルミニウム合金箔(31)をA4サイズに断裁し、このアルミニウム合金箔(31)の片面の中央部に、厚さ50μmで40mmφにカットしたポリエステル樹脂粘着テープ(7)を貼り付けた(
図9(a)参照)。
次いで、
図9(b)に示すように、ポリエステル樹脂粘着テープ(7)が貼り付けられたアルミニウム合金箔(31)の片面全体に、2液硬化型のポリエステルポリウレタン樹脂系接着剤(図示略)を塗布量3g/m
2で塗布して、厚さ12μmのポリエステル樹脂フィルム(33)を貼り合わせ、40℃の恒温槽にて3日間静置し、接着剤を養生させた。
次に、ポリエステル樹脂粘着テープ(7)が貼り付けられた部分の周囲のポリエステル樹脂フィルム(33)にカッターナイフで切込みを入れ、ポリエステル樹脂フィルム(33)ごとポリエステル樹脂粘着テープ(7)を剥がし、化成処理したアルミニウム合金箔(31)の片面を部分的に露出させ、露出部(31B)を形成した(
図9(c)参照)。
次に、
図9(d)に示すように、アルミニウム合金箔(31)の他面の中央部に、厚さ50μmで80mmφにカットしたポリエステル樹脂粘着テープ(8)を貼り付け、その上から2液硬化型のポリエステルポリウレタン樹脂系接着剤(図示略)を塗布量3g/m
2にて塗布し、厚さ30μmの易開封性を持つCPP(ポリプロピレン樹脂)フィルム(32)(オカモト株式会社 アロマーTP9)を貼り合わせ、40℃の恒温槽にて3日間静置し、接着剤を養生させることにより、3層構造の積層シート(30)を得た(
図9(e)参照)。
次に、
図9(f)に示すように、ポリエステル樹脂粘着テープ(8)が貼り付けられている部分の周囲のCPPフィルム(32)にカッターナイフで切込みを入れ、CPPフィルム(32)ごとポリエステル樹脂粘着テープ(8)を剥がし、化成処理したアルミニウム合金箔(31)の他面を部分的に露出させ、露出部(31A)を形成した。
そして、アルミニウム合金箔(31)両面の露出部(31A)(31B)が中央の位置にくるように、積層シート(30)を150mmφにトリミングして、蓋材(3)を作製した(
図9(g)参照)。
こうして、上記容器本体(2)および蓋材(3)よりなる実施例1の容器を得た。
【0034】
<実施例2>
容器本体(2)および蓋材(3)を構成する積層シートの材料として、両面が化成処理されていないアルミニウム合金箔を使用するとともに、実施例1と同様の手順で形成したアルミニウム合金箔両面の露出部にのみスズメッキを施して導電性被膜を形成した以外は、実施例1と同様にして、容器本体(2)および蓋材(3)を作製し、実施例2の容器を得た。
【0035】
<比較例1>
容器本体および蓋材を構成する積層シートの材料として、両面が化成処理されていないアルミニウム合金箔を使用し、また、実施例1と同様の手順で形成したアルミニウム合金箔両面の露出部に導電性被膜処理を施さなかった以外は、実施例1と同様にして、容器本体および蓋材を作製し、比較例1の容器を得た。
【0036】
<比較例2>
アルミニウム合金箔両面の露出部を形成しない以外は実施例1と同様にして、容器本体および蓋材を作製し、比較例2の容器を得た。
【0037】
<通電加熱適性評価試験>
実施例1の容器について、その容器本体(2)に、内容物として水道水を満杯に充填した後、蓋材(3)をそのアルミニウム合金箔内面露出部(31A)が容器本体(2)のアルミニウム合金箔内面露出部(21A)と対向するように配置して、容器本体(2)のフランジ部(2a)とこれに重ねられた蓋材(3)の周縁部とを、蓋材(3)の上部より200℃に加熱した熱板によって0.2MPaで2秒間のヒートシールを行い、密封した。
次に、容器本体(2)および蓋材(3)のアルミニウム合金箔外面露出部(21B)(31B)に、銅板を介して100W、5Aの交流電流を印加し、1分後に直ちに蓋材(3)を開封し、容器本体(2)の中心部分の水道水の温度を測定した。
また、交流電流の印加から3分後、5分後に蓋材(3)を開封した場合についても、同様に容器本体(2)の中心部分の水道水の温度を測定した。
そして、実施例2および比較例1,2の容器についても、上記と同様の試験を行った。
結果を以下の表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
また、実施例1,2および比較例1,2の各容器について、内容物として市販のレトルトカレーを容器本体に充填して、上記と同様の試験を行った。
結果を以下の表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】
表1および表2の通り、実施例1の容器の場合、水道水では5分間、レトルトカレーでは3分間で、100℃近い温度まで上昇させることができた。
また、試験後に、水道水、レトルトカレーを取り出した状態の容器本体(2)と蓋材(3)を観察したところ、試験前と比較して外観の変化は見られなかった。
実施例2の容器でも、実施例1とほぼ同じ結果、すなわち、内容物の温度上昇が発現し、外観上の変化が無かった。
これに対し、比較例1の容器では、交流電流を印加した後、水道水やレトルトカレーに接触していたアルミニウム合金箔内面露出部が白く変色した。また、比較例2の容器の場合、全く発熱が見られなかった。